特許第6811586号(P6811586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン軽金属株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6811586-デッキ装置 図000002
  • 特許6811586-デッキ装置 図000003
  • 特許6811586-デッキ装置 図000004
  • 特許6811586-デッキ装置 図000005
  • 特許6811586-デッキ装置 図000006
  • 特許6811586-デッキ装置 図000007
  • 特許6811586-デッキ装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6811586
(24)【登録日】2020年12月17日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】デッキ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 5/04 20060101AFI20201228BHJP
【FI】
   B60R5/04 Z
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-218534(P2016-218534)
(22)【出願日】2016年11月9日
(65)【公開番号】特開2018-75943(P2018-75943A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2019年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100791
【氏名又は名称】アイシン軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】二塚 滋
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 信輔
【審査官】 宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0285422(US,A1)
【文献】 実開昭57−085343(JP,U)
【文献】 実開昭61−038242(JP,U)
【文献】 特開2000−025526(JP,A)
【文献】 特開2008−024060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 5/00−5/04
B60R 7/08
B60P 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール部材と、当該レール部材に装着したスライド自在のスライドデッキとを備え、前記スライドデッキは前記レール部材の前方側と後方側の両方に突出移動可能であり、
前記スライドデッキと前記レール部材との間にスライド自在のスライダーを有し、前記スライドデッキは前記スライダーに当接するストッパーを当該スライドデッキの前端側と後端側に有し、前記レール部材は前記スライダーが抜け出すのを規制する規制部を当該レール部材の前端側と後端側に有することを特徴とするデッキ装置。
【請求項2】
前記レール部材はベースデッキの左右両側に対向して一対設けてあり、前記一対のレール部材間に前記スライドデッキを装着してあることを特徴とする請求項記載のデッキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の荷室等に設けられるデッキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の後部に設けられた荷室に荷物を積み降ろしする際の利便性を高める目的でバックドアを開き、デッキ部材(フロアボード)を後方に引き出す構造が、例えば特許文献1〜3に開示されている。
しかし、いずれも手前に積んだ荷物を奥側(車両前方側)に積み換えしなければならなかったり、搭載には車両の構造を変えなければならないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4069502号公報
【特許文献2】特開2007−30666号公報
【特許文献3】実開昭61−38242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、簡単な構造で荷物の積み降ろしの利便性が向上するデッキ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るデッキ装置は、レール部材と、当該レール部材に装着したスライド自在のスライドデッキとを備え、前記スライドデッキは前記レール部材の前方側と後方側の両方に突出移動可能であることを特徴とする。
【0006】
ここでスライドデッキは、車両の荷室のフロアに沿って車両の前後方向にスライドできるものをいい、レール部材はこのスライドデッキをスライド自在に保持する部材をいう。
本明細書で前方とは、車両の後部にデッキ装置を搭載した状態で車両の前方側に位置するものとして表現する。
【0007】
本発明は、レール部材を車両のフロア側に固定し、レール部材にスライド自在に装着したスライドデッキを後方に引き出し、このスライドデッキに荷物を積み、そのままレール部材の前方側にこのスライドデッキを移動させることができる構造であれば、その構造に制限はない。
例えば、スライドデッキと前記レール部材との間にスライド自在のスライダーを有し、前記スライドデッキは前記スライダーに当接するストッパーを当該スライドデッキの前端側と後端側に有し、前記レール部材は前記スライダーが抜け出すのを規制する規制部を当該レール部材の前端側と後端側に有する例が挙げられる。
【0008】
車両へのレール部材の取付方法に制限はないが、例えばレール部材はベースデッキの左右両側に対向して一対設けてあり、前記一対のレール部材間に前記スライドデッキを装着してあってもよい。
このようにすると、簡単な構造でありながら強度及び剛性を確保しやすい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るデッキ装置は、スライドデッキをレール部材の後方側と前方側の両方に移動できるので、スライドデッキを荷室の後方に引き出し、荷物を積み、そのままスライドデッキを荷室の奥側に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】車両に搭載した本発明に係るデッキ装置の動きを示す。(a)はスライドデッキの定位置、(b)はスライドデッキを後方に引き出した状態、(c)はスライドデッキをレール部材よりも前方に移動させた状態を示す。
図2】(a)はスライドデッキが定位置にある場合、(b)はスライドデッキを手前(後方)に引き出した状態を示す。
図3】スライドデッキを奥側に移動させた状態を示す。
図4】(a)は図2に示したA−A線断面図を示し、(b),(c)はスライドデッキをレール部材の前後に移動させた状態を示す。
図5】(a)はスライドデッキを取り外した状態を示す。(b)は部分拡大図を示す。
図6】スライドデッキ及びスライダーを示す。
図7】スライドデッキとレール部材との関係をスライドデッキの裏面側から見た状態を示し、(a)はスライドデッキの移動途中、(b)は規制部にスライダーが当たり、このスライダーとストッパーとが当接した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るデッキ装置の構造例を以下、図面に基づいて説明する。
図1は、デッキ装置10の動きを示す。
車両1の荷室のバックドア等の後部よりのフロアに、デッキ装置10を搭載した例である。
図1(a)は定位置状態を示し、(b)はスライドデッキ12をレール部材11から後方(手前)に引き出し、荷室の外側に移動突出させた状態を示す。
図1(c)は、スライドデッキ12をレール部材11の前方側に移動させた状態を示す。
【0012】
デッキ装置10の外観図を図2,3に示す。
車両のフロアの左右に対向して固定する一対のレール部材11a,11bを有する。
レール部材11a,11bは、対向面に凹部状のレール溝部を有し、この両側の溝部間にスライド自在に装着されたスライドデッキ12を有する。
本実施例に係るスライドデッキ12は、パネル部材12aの左右両側にスライドレール部12b,12bを取り付けてあり、スライドレール部12bの前端側と後端側にそれぞれストッパー12cを有する。
【0013】
レール部材11a,11bのレール溝部と、スライドデッキ12の両側のスライドレール12bとの間には、図4,6,7に示すようにこのスライドレール12bを上下でくわえ込むようにスライダー15を取り付けてある。
スライダー15は、摺動しやすい樹脂製が好ましく、金属材を芯材にしてもよい。
レール部材11a,11bの前端側と後端側とには、例えば図5に示すように規制部14を設け、このスライダー15が抜け出さないようにしてある。
この規制部14は、レール溝部に一体的に形成してもよく、別部材を取り付けてもよい。
規制部14は、スライドデッキの前後端部に設けたストッパー12cは通過できるが、スライダー15とは干渉し、スライダー15が外に抜け出さない構造になっている。
これに対してスライドデッキのストッパー12cは、スライダー15と干渉し、スライダー15がレール部材の規制部14に当たり移動できなくなると、このスライダー15にスライドデッキのストッパー12が当接し、それ以上の移動が規制されることになる。
【0014】
その位置関係をスライドデッキ12と、レール部材11bとを裏側から見た図7に示す。
図7(a)に示すようにスライドデッキ12をレール部材11bから引き出すと、スライダー15が規制部14に当たり抜け出せないが、スライドデッキ12のスライドレール部12bは、このスライダー15に摺接しながら移動する。
または、先にスライダー15が規制部14に当たり、その後にストッパー12cがスライダー15に当たる。
図7(b)に示すようにスライダー15が規制部14に規制され、スライダー15がスライドデッキ12に固定したストッパー12cに当たると、それ以上スライドデッキ12が移動できなくなる。
スライダー15の形状例を図6に示す。
また、このストッパー12cは、規制の位置が調整できるようにスライドレールの途中に取り付けてもよい。
【0015】
これにより図2〜4に示すように、スライドデッキ12をレール部材11a,11bの前方に引き出すことも後方に押し出すこともできる。
【0016】
本実施例では、左右一対のレール部材11a,11bは、レール溝部を上下2段に形成し、下段側のレール溝部にベースデッキ13を装置し、このベースデッキ13も後方に引き出し可能にした例であり、図5に示すように2つのパネル13a,13bをヒンジ部13cにて回動自在に連結することで、引き出した後に後方手前側のパネル13aを下側に回動できるようになっている。
このベースデッキ13は無くてもよく、また左右のレール部材11a,11bをこのベースデッキ13に連結した構造であってもよい。
レール部材11a,11bは、ブラケットa,bにてフロアに固定できる。
【0017】
本発明に係るデッキ装置は、多くの車両に車体の改造をすることなく、容易に取り付けることができる。
左右のレール部材にて、スライドデッキを車両フロアと並行に取り付けることができるので、部品点数が少なく、強度,剛性を確保しやすい。
【符号の説明】
【0018】
10 デッキ装置
11 レール部材
11a レール部材
12 スライドデッキ
12c ストッパー
13 ベースデッキ
14 規制部
15 スライダー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7