特許第6811588号(P6811588)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6811588
(24)【登録日】2020年12月17日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20201228BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20201228BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
   G03B5/00 J
   H04N5/225 400
   H04N5/232 480
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-219849(P2016-219849)
(22)【出願日】2016年11月10日
(65)【公開番号】特開2018-77392(P2018-77392A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2019年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
【審査官】 藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−082072(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/004994(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/004952(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00 − 5/06
H04N 5/222− 5/235
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子を保持する光学モジュールと、
前記光学モジュールを、予め設定した軸線と光軸とが一致する基準姿勢および前記軸線に対して前記光軸が傾斜する傾斜姿勢の間で揺動可能に支持する揺動支持機構と、
前記揺動支持機構を介して前記光学モジュールを支持するホルダと、
前記ホルダを前記軸線回りに回転可能に支持する回転支持機構と、
前記回転支持機構を介して前記ホルダを支持する固定体と、
前記光学モジュールを揺動させる揺動用磁気駆動機構と、
前記ホルダを回転させるローリング用磁気駆動機構と、を有し、
前記回転支持機構は、前記揺動支持機構よりも被写体側で前記ホルダを支持する回転軸受を備え
前記回転軸受は、前記軸線と直交する方向において、前記光学モジュールと重なることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
前記ローリング用磁気駆動機構は、前記光学モジュールおよび前記固定体の一方に配置されたローリング用駆動マグネットと、他方に配置されて当該ローリング用駆動マグネットに対向するローリング用駆動コイルと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記揺動用磁気駆動機構は、前記光学モジュールを揺動させるための第1揺動用磁気駆動機構と第2揺動用磁気駆動機構とを備え、
前記軸線と直交して互いに交差する2方向を第1方向および第2方向としたときに、前記揺動支持機構は、前記第1方向に沿った第1軸線回りおよび前記第2方向に沿った第2軸線回りに前記光学モジュールを揺動可能に支持し、
前記ローリング用駆動マグネットとローリング用駆動コイルとは、前記第1方向および前記第2方向の少なくとも一方で対向し、
前記ローリング用磁気駆動機構は、前記軸線回りで前記第1揺動用磁気駆動機構と前記第2揺動用磁気駆動機構との間に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
前記第1揺動用磁気駆動機構は、前記光学モジュールに固定された第1揺動用駆動コイ
ルと、前記固定体に固定された第1揺動用駆動マグネットと、を備え、
前記第2揺動用磁気駆動機構は、前記光学モジュールに固定された第2揺動用駆動コイルと、前記固定体に固定された第2揺動用駆動マグネットと、を備え、
前記ローリング用駆動コイルは、前記光学モジュールに固定され、
前記ローリング用駆動マグネットは、前記固定体に固定され、
前記第1揺動用駆動コイル、前記第2揺動用駆動コイルおよび前記ローリング用駆動コイルは、前記光軸回りの周方向に配列されていることを特徴とする請求項3に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項5】
前記光学モジュールは、前記光学素子を保持する鏡筒を備え、
前記揺動支持機構は、前記軸線回りで前記鏡筒を囲む枠体と、前記光学モジュールの側で前記枠体を揺動可能に支持する光学モジュール側支持部と、前記ホルダの側で前記枠体を揺動可能に支持するホルダ側支持部とを備え、
前記光学モジュール側支持部および前記ホルダ側支持部は、前記軸線回りで前記第1揺動用磁気駆動機構と前記第2揺動用磁気駆動機構との間に位置することを特徴とする請求項3または4に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項6】
前記鏡筒は、前記回転軸受の内周側に挿入されていることを特徴とする請求項5に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項7】
前記ローリング用磁気駆動機構は、前記光学モジュールおよび前記固定体のうち前記ローリング用駆動コイルが固定された側に取り付けられた磁気センサを備え、
前記ローリング用駆動マグネットは、前記軸線回りの周方向に分極着磁されており、
前記磁気センサは、前記光学モジュールが前記軸線回りで予め設定した原点位置に配置されたときに前記ローリング用駆動マグネットの着磁分極線に対向することを特徴とする請求項5または6に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項8】
前記磁気センサは、前記基準姿勢の前記光学モジュールを前記軸線と直交する方向から見た場合に、前記枠体と重なる位置にあることを特徴とする請求項7に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項9】
前記ホルダの回転角度範囲を規定する回転角度規制機構を有し、
前記回転角度規制機構は、前記ホルダおよび前記固定体の一方から他方に向かって前記光軸と交差する方向に突出する突部と、前記ホルダおよび前記固定体の他方において、前記光軸回りの周方向から前記突部に当接可能な回転角度規制部と、を備えることを特徴とする請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項10】
前記ホルダは、前記光学モジュールが内側に挿入された筒部を備え、
前記回転軸受は、ボールベアリングであり、
前記ボールベアリングの内輪は、前記ホルダの前記筒部に固定され、
前記ボールベアリングの外輪は、前記固定体に固定されていることを特徴とする請求項1から9のうちのいずれか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末や移動体に搭載される振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や車両、無人ヘリコプターなどの移動体に搭載される撮像装置は、撮影用の光学モジュールを搭載した光学ユニットを備える。この種の光学ユニットは、撮像装置の振れによる撮影画像の乱れを抑制することが求められる。従って、特許文献1には、光学モジュールを光軸と交差するピッチング(縦揺れ:チルティング)方向およびヨーイング(横揺れ:パンニング)方向に揺動させる揺動用駆動機構と、光学モジュールを光軸回りに回転させるローリング用磁気駆動機構を備えた振れ補正機能付き光学ユニットが提案されている。
【0003】
特許文献1の振れ補正機能付き光学ユニットは、光学素子を保持する光学モジュールと、光学モジュールを揺動可能に支持する揺動支持機構と、揺動支持機構を介して光学モジュールを支持するホルダと、ホルダを回転可能に支持する回転支持機構と、回転支持機構を介してホルダを支持する固定体とを備える。回転支持機構はボールベアリングを備える。ボールベアリングは光軸方向において揺動支持機構よりも像側でホルダを支持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−82072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ホルダを回転可能に支持する回転支持機構が揺動支持機構よりも像側に位置している場合には、振れ補正機能付き光学ユニットが外部から衝撃を受けた場合に、回転支持機構に強い応力が発生して、これらにダメージを与えやすくなる場合がある。例えば、光学モジュールとして、光学素子としてガラス製のレンズを備える場合、また、大口径のレンズを備える場合には、揺動支持機構を介して光学モジュールを支持するホルダの重心は、被写体側に偏ったものとなる。このような場合に、回転支持機構が、揺動支持機構よりも像側に位置していると、光学モジュールおよびホルダの重心と回転支持機構との間の距離が離間することとなるので、外力が加わった場合には、回転支持機構に応力が発生しやすく、回転支持機構を破損させる可能性がある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、外力が加わった場合でも、回転支持機構の破損を防止或いは抑制できる振れ補正機能付き光学ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、光学素子を保持する光学モジュールと、前記光学モジュールを、予め設定した軸線と光軸とが一致する基準姿勢および前記軸線に対して前記光軸が傾斜する傾斜姿勢の間で揺動可能に支持する揺動支持機構と、前記揺動支持機構を介して前記光学モジュールを支持するホルダと、前記ホルダを前記軸線回りに回転可能に支持する回転支持機構と、前記回転支持機構を介して前記ホルダを支持する固定体と、前記光学モジュールを揺動させる揺動用磁気駆動機構と、前記ホルダを回転させるローリング用磁気駆動機構と、を有し、前記回転支持機構は、前記揺動支持機構よりも被写体側で前記ホルダを支持する回転軸受を備え、前記回転軸受は、前記軸線と直交する方向において、前記光学モジュールと重なることを特徴とする。
【0008】
本発明では、ホルダを回転可能に支持する回転支持機構の回転軸受が揺動支持機構よりも被写体側に位置する。従って、例えば、光学モジュールが光学素子としてガラス製のレンズを備えたり、大口径のレンズを備えたりして、光学モジュールを支持するホルダの重心が被写体側に偏ったものとなった場合でも、ホルダの重心と回転支持機構との間の距離は、回転支持機構が揺動支持機構よりも像側に位置している場合と比較して、近い。これにより、外力が加わったときに、回転支持機構で発生する応力を抑制できるので、回転支持機構の破損や、回転支持機構に支持されている部分の破損を防止あるいは抑制できる。
【0009】
本発明において、ホルダを軸線回りに回転させるためには、前記ローリング用磁気駆動機構は、前記光学モジュールおよび前記固定体の一方に配置されたローリング用駆動マグネットと、他方に配置されて当該ローリング用駆動マグネットに対向するローリング用駆動コイルと、を備えることが望ましい。
【0010】
本発明において、前記揺動用磁気駆動機構は、前記光学モジュールを揺動させるための第1揺動用磁気駆動機構と第2揺動用磁気駆動機構とを備え、前記軸線と直交して互いに交差する2方向を第1方向および第2方向としたときに、前記揺動支持機構は、前記第1方向に沿った第1軸線回りおよび前記第2方向に沿った第2軸線回りに前記光学モジュールを揺動可能に支持し、前記ローリング用駆動マグネットとローリング用駆動コイルとは、前記第1方向および前記第2方向の少なくとも一方で対向し、前記ローリング用磁気駆動機構は、前記軸線回りで前記第1揺動用磁気駆動機構と前記第2揺動用磁気駆動機構との間に配置されていることが望ましい。このようにすれば、軸線回りにおける第1揺動用磁気駆動機構と第2揺動用磁気駆動機構との間の空きスペースにローリング用磁気駆動機構を配置できる。また、軸線方向において第1揺動用磁気駆動機構、第2揺動用磁気駆動機構およびローリング用磁気駆動機構を同じ位置に配置できるので、装置を軸線方向で短縮化することが容易となる。
【0011】
本発明において、前記第1揺動用磁気駆動機構は、前記光学モジュールに固定された第1揺動用駆動コイルと、前記固定体に固定された第1揺動用駆動マグネットと、を備え、
前記第2揺動用磁気駆動機構は、前記光学モジュールに固定された第2揺動用駆動コイルと、前記固定体に固定された第2揺動用駆動マグネットと、を備え、前記ローリング用駆動コイルは、前記光学モジュールに固定され、前記ローリング用駆動マグネットは、前記固定体に固定され、前記第1揺動用駆動コイル、前記第2揺動用駆動コイルおよび前記ローリング用駆動コイルは、前記光軸回りの周方向に配列されていることが望ましい。このようにすれば、第1揺動用駆動コイル、第2揺動用駆動コイルおよびローリング用駆動コイルがいずれも光学モジュールに配置されるので、各駆動コイルへの給電を行うための給電用フレキシブルプリント基板などを集約することが容易となる。また、フレキシブルプリント基板上に第1揺動用駆動コイル、第2揺動用駆動コイルおよびローリング用駆動コイルを構成して一部品として、光学モジュールに固定することができる。
【0012】
本発明において、前記光学モジュールは、前記光学素子を保持する鏡筒を備え、前記揺動支持機構は、前記軸線回りで前記鏡筒を囲む枠体と、前記光学モジュールの側で前記枠体を揺動可能に支持する光学モジュール側支持部と、前記ホルダの側で前記枠体を揺動可能に支持するホルダ側支持部とを備え、前記光学モジュール側支持部および前記ホルダ側支持部は、前記軸線回りで前記第1揺動用磁気駆動機構と前記第2揺動用磁気駆動機構との間に位置することが望ましい。このようにすれば、軸線回りにおける第1揺動用磁気駆動機構と第2揺動用磁気駆動機構との間のスペースを有効に利用して、光学モジュール側支持部とホルダ側支持部とを配置できる。
【0013】
本発明において、前記鏡筒は、前記回転軸受の内周側に挿入されていることが望ましい
。このようにすれば、光学モジュールを支持するホルダの重心と、ホルダを回転可能に支持する回転軸受とを近い位置に配置することが容易となる。また、回転軸受によって、光学モジュールの鏡筒を外周側から保護できる。
【0014】
本発明において、前記ローリング用磁気駆動機構は、前記光学モジュールおよび前記固定体のうち前記ローリング用駆動コイルが固定された側に取り付けられた磁気センサを備え、前記ローリング用駆動マグネットは、前記軸線回りの周方向に分極着磁されており、前記磁気センサは、前記光学モジュールが前記軸線回りで予め設定した原点位置に配置されたときに前記ローリング用駆動マグネットの着磁分極線に対向することが望ましい。このようにすれば、磁気センサからの出力に基づいて光学モジュールを保持する可動態の原点位置を把握できる。また、磁気センサからの出力に基づいてローリング用駆動コイルへの給電を制御することにより、回転軸回りの振れ補正を行うことができる。
【0015】
本発明において、前記磁気センサは、前記基準姿勢の前記光学モジュールを前記軸線と直交する方向から見た場合に、前記枠体と重なる位置にあることが望ましい。このようにすれば、光学モジュールが揺動した場合における磁気センサの変位を小さくできる。これにより、光学モジュールの揺動に起因する磁気センサの変位によって磁気センサから出力が大きく変動することを防止できる。また、光学モジュールが基準姿勢から一方側および他方側に揺動する際に、一方側に揺動したときの磁気センサの変位量と他方側に揺動したときの磁気センサの変位量とのバランスをとることができる。これにより、光学モジュールが一方側および他方側に移動する際の磁気センサからの出力のバランスをとることができる。従って、ホルダの原点位置を精度よく検出できる。
【0016】
本発明において、前記ホルダの回転角度範囲を規定する回転角度規制機構を有し、前記回転角度規制機構は、前記ホルダおよび前記固定体の一方から他方に向かって前記光軸と交差する方向に突出する突部と、前記ホルダおよび前記固定体の他方において、前記光軸回りの周方向から前記突部に当接可能な回転角度規制部と、を備えることが望ましい。このようにすれば、光学モジュール(ホルダ)が過度に回転してしまうことを防止できる。
【0017】
本発明において、前記ホルダは、前記光学モジュールが内側に挿入された筒部を備え、前記回転軸受は、ボールベアリングであり、前記ボールベアリングの内輪は、前記ホルダの前記筒部に固定され、前記ボールベアリングの外輪は、前記固定体に固定されていることが望ましい。このようにすれば、光学モジュールを保持したホルダをボールベアリングによって回転可能に支持することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の振れ補正機能付き光学ユニットによれば、ホルダを回転可能に支持する回転支持機構の回転軸受が、揺動支持機構よりも被写体側に位置する。これにより、光学モジュールを支持するホルダの重心と回転軸受機構とを近づけることができるので、外力が加わった場合でも、回転支持機構の破損を防止或いは抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットを物体側および像側から見た斜視図である。
図2図1の振れ補正機能付き光学ユニットを物体側から見た分解斜視図である。
図3図1のA−A線による振れ補正機能付き光学ユニットの断面図である。
図4図1の第1軸線をZ軸方向に通過する平面による振れ補正機能付き光学ユニットの断面図である。
図5図1の第2軸線をZ軸方向に通過する平面による振れ補正機能付き光学ユニットの断面図である。
図6】固定体の斜視図である。
図7】可動体の斜視図である。
図8】光学モジュールの斜視図である。
図9】光学モジュールの斜視図である。
図10】ホルダを物体側および像側から見た斜視図である。
図11】可動枠の斜視図である。
図12】軸線と直交する平面で切断した振れ補正機能付き光学ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの実施の形態を説明する。
【0021】
(全体構成)
本明細書において、XYZの3軸は互いに直交する方向であり、X軸方向の一方側を+X、他方側を−Xで示し、Y軸方向の一方側を+Y、他方側を−Yで示し、Z軸方向の一方側を+Z、他方側を−Zで示す。Z軸(軸線)方向は、振れ補正機能付き光学ユニット1の可動体10が揺動していない状態で、可動体10に搭載される光学モジュール4の光軸Lに沿う方向である。また、−Z方向が光軸L方向の像側、+Z方向が光軸L方向の物体側(被写体側)である。
【0022】
図1(a)は振れ補正機能付き光学ユニット1を+Z方向から見た場合の斜視図であり、図1(b)は−Z方向から見た場合の斜視図である。図2は振れ補正機能付き光学ユニット1を物体側から見た分解斜視図である。図3図1のA−A線による振れ補正機能付き光学ユニットの断面図である。図4図1の第1軸線R1およびZ軸(第3軸線R3)を通過する面で切断した振れ補正機能付き光学ユニットの断面図である。図5図1の第2軸線R2およびZ軸(第3軸線R3)を通過する面で切断した振れ補正機能付き光学ユニットの断面図である。振れ補正機能付き光学ユニット1は、例えばカメラ付き携帯電話機、ドライブレコーダー等の光学機器や、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラ等の光学機器に用いられる。このような光学機器では、撮影時に振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生することを回避するため、振れ補正機能付き光学ユニット1を駆動して振れを補正する。
【0023】
図1から図3に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、光学素子3を保持する光学モジュール4と、光学モジュール4を揺動可能に支持するジンバル機構5(揺動支持機構)と、ジンバル機構5を介して光学モジュール4を支持するホルダ6とを有する。ジンバル機構5は、光学モジュール4を、Z軸(予め設定した軸線)と光軸とが一致する基準姿勢およびZ軸に対して光軸が傾斜する傾斜姿勢の間で揺動可能に支持する。すなわち、光学モジュール4は、ジンバル機構5により、光軸Lと交差する第1軸線R1回りに揺動可能に支持されているとともに、光軸Lおよび第1軸線R1と交差する第2軸線R2回りに揺動可能に支持されている。第1軸線R1および第2軸線R2は、Z軸と直交するとともに、互いに直交する。
【0024】
また、振れ補正機能付き光学ユニット1は、ホルダ6を回転可能に支持する回転支持機構7と、回転支持機構7を介してホルダ6を支持する固定体8を有する。回転支持機構7は、ボールベアリング9(回転軸受)であり、ホルダ6を第3軸線R3回りに回転可能とする。第3軸線R3はZ軸方向である。ここで、光学モジュール4、ホルダ6、および、ジンバル機構5は、固定体8に対して変位する可動体10を構成する。光学モジュール4の−Z方向の端部分には、図1(b)に示すように、ジャイロスコープ11が取り付けられている。
【0025】
さらに、振れ補正機能付き光学ユニット1は、図2から図6に示すように、光学ユニット1を第1軸線R1回りおよび第2軸線R2回りに揺動させる揺動用磁気駆動機構15と、光学ユニット1およびホルダ6を第3軸線R3回りに回転させるローリング用磁気駆動機構16とを有する。揺動用磁気駆動機構15は光学ユニット1と固定体8との間に構成されている。揺動用磁気駆動機構15は第1揺動用磁気駆動機構21と第2揺動用磁気駆動機構22とを備える。ローリング用磁気駆動機構16も、光学ユニット1と固定体8との間に構成されている。ローリング用磁気駆動機構16は、第3軸線R3回りで第1揺動用磁気駆動機構21と第2揺動用磁気駆動機構22との間に位置する。
【0026】
(固定体)
図6は固定体8の斜視図である。固定体8はZ軸方向に見た場合に略八角形の外形をした第1ケース26と、第1ケース26に対して−Z方向側から組み付けられる第2ケース27と、第1ケース26に対して+Z方向側から組み付けられる第3ケース28と、を備える。
【0027】
第1ケース26は、可動体10の回りを囲む八角形の角筒状の胴部31を備える。胴部31はX方向で対向する2枚の側板部31xとY方向で対向する2枚の側板部31yを備える。また、胴部31は、+X方向と+Y方向との間の第1中間方向M(第1軸線R1に沿った方向)で対向する2枚の側壁部31mと、+X方向と−Y方向との間の第2中間方向N(第2軸線R2に沿った方向)で対向する2枚の側壁部31nを備える。
【0028】
図3および図6に示すように、X方向で対向する2枚の側板部31xの内周側の壁面には、それぞれ第1揺動用駆動マグネット33が固定されている。第1揺動用駆動マグネット33は、光学モジュール4に取り付けられた第1揺動用駆動コイル34とともに第1揺動用磁気駆動機構21を構成する。第1揺動用駆動マグネット33はZ軸方向に2分割され、内面側の磁極が分割位置を境にして異なるように分極着磁されている。図6に示すように、Y方向で対向する2枚の側板部31yの内周側の壁面には、それぞれ第2揺動用駆動マグネット35が固定されている。第2揺動用駆動マグネット35は、光学モジュール4に取り付けられた第2揺動用駆動コイル36とともに第2揺動用磁気駆動機構22を構成する。第2揺動用駆動マグネット35はZ軸方向に2分割され、内面側の磁極が分割位置を境にして異なるように分極着磁されている。
【0029】
図4および図6に示すように、+X方向と+Y方向との間の第1中間方向Mで対向する2枚の側壁部31mの内周側の壁面には、それぞれ第3駆動マグネット37(ローリング用駆動マグネット)が固定されている。第3駆動マグネット37は、光学モジュール4に取り付けられた第3駆動コイル38とともにローリング用磁気駆動機構16を構成する。第3駆動マグネット37はZ軸回りの周方向に2分割され、内面側の磁極が分割位置を境にして異なるように分極着磁されている。第3駆動マグネット37における着磁分極線37aは、第3駆動マグネット37の周方向の中心をZ軸方向に延びる。
【0030】
第2ケース27は、八角形の枠状の板部材40からなる。第2ケース27の中央部分には、矩形の開口部40aが設けられている。
【0031】
第3ケース28は、第1ケース26の外径と対応する八角形の角筒部41と、角筒部41の+Z方向に連続する円環状部42を備える。角筒部41を構成する8枚の側壁部のうちの一枚の側壁部43には、矩形の開口部43aが設けられている。図1に示すように、開口部43aの内側には、ホルダ6に設けられた突起44(回転角度規制部)が内周側から挿入されている。
【0032】
また、図1および図3に示すように、円環状部42の内周側にはボールベアリング9が挿入されている。ボールベアリング9の外輪9aは円環状部42の内周側に固定される。ここで、ボールベアリング9の内周側には、ホルダ6の+Z方向の端部分に設けられた円筒部45が挿入されている。また、ボールベアリング9の内輪9bはホルダ6の円筒部45の外周側に固定されている。これにより、固定体8は、ホルダ6を回転可能に保持する。なお、ホルダ6の円筒部45の内周側には、光学モジュール4の鏡筒51が挿入されている。従って、光学モジュール4は、ボールベアリング9の内周側に挿入されている。Z方向と直交する方向から見た場合には、鏡筒51の一部分がボールベアリング9と重なる。
【0033】
(可動体)
図7は可動体10の斜視図である。図2および図7に示すように、可動体10は、光学モジュール4と、ホルダ6と、ジンバル機構5を備える。また、可動体10は光学モジュール4とホルダ6との間に架け渡されたバネ部材47を備える。
【0034】
(光学モジュール)
図8および図9は光学モジュール4の斜視図である。図9では矩形板部を省略している。図8に示すように、光学モジュール4は光学素子3および撮像素子48を備えるモジュール本体部49と、モジュール本体部49を外周側から保持する鏡筒ホルダ50とを備える。
【0035】
モジュール本体部49は、鏡筒51と、鏡筒51の−Z方向の端部分を保持する鏡筒支持部材52とを備える。鏡筒51は、内周側にレンズなどの複数の光学素子3を保持する。本例では複数の光学素子3のうちの少なくとも1枚の光学素子3はガラス製であり、他の光学素子3はプラスチック製である。なお、複数の光学素子3の全てがプラスチック製とされる場合もある。鏡筒支持部材52は、図8に示すように、筒部53と、筒部53の−Z方向の端部分を封鎖する矩形板部54とを備える。筒部53には鏡筒51の−Z方向の端部分が+Z方向から挿入されている。図3図4および図5に示すように、撮像素子48は矩形板部54の+Z方向の側の端面に固定されて筒部53の内側に位置する。矩形板部54における−Z方向の側の端面の中央部分にはジャイロスコープ11が固定されている。撮像素子48およびジャイロスコープ11は光学モジュール4に保持された光学素子3の光軸と重なる位置にある。鏡筒51において鏡筒支持部材52から+Z方向に突出している突出部分51aは、ボールベアリング9に内周側に位置し、Z軸と直交する方向から見た場合に、ボールベアリング9と重なる。
【0036】
図8図9に示すように、鏡筒ホルダ50は、Z軸方向に延びる保持筒55と、保持筒55の−Z方向の端から外周側に広がる略八角形の板部58を備える。保持筒55にはモジュール本体部49(鏡筒支持部材52)が−Z方向から圧入されて保持される。保持筒55は、その外周面に、+X方向、−X方向、+Y方向および−Y方向に突出する4つの突部59を備える。保持筒55の+Z方向の端面および各突部59の+Z方向の端面は段差なく連続している。保持筒55の+Z方向の端面および各突部59の+Z方向の端面はバネ部材47を固定する光学モジュール側バネ部材固定部76である。バネ部材47は光学モジュール側バネ部材固定部76に形成した接着剤層を介して光学モジュール側バネ部材固定部76に固定される。従って、バネ部材47が固定された状態では、バネ部材47は光学モジュール側バネ部材固定部76から+Z方向に浮いている。板部58は保持筒55の外周側を囲む6箇所で+Z方向に立ち上がる6枚の壁部60を備える。6枚の壁部60は、X方向で対向する2枚の壁部60xと、Y方向で対向する2枚の壁部60yと、第1中間方向Mで対向する2枚の壁部60mを備える。板部58において壁部60が設けられていない第2中間方向Nには、切欠き部61が設けられている。
【0037】
X方向で対向する2枚の壁部60xは、外周面に第1揺動用駆動コイル34を保持する第1コイル保持部62を備える。Y方向で対向する2枚の壁部60yは、外周面に第2揺動用駆動コイル36を保持する第2コイル保持部63を備える。第1コイル保持部62および第2コイル保持部63はZ軸回りの周方向に長い長方形の凸部である。第1揺動用駆動コイル34は、その中心孔に第1コイル保持部62が挿入された状態で鏡筒ホルダ50に固定される。第2揺動用駆動コイル36は、その中心孔に第2コイル保持部63が挿入された状態で鏡筒ホルダ50に固定される。図3に示すように、第1コイル保持部62および第2コイル保持部63は、それぞれ、駆動コイル34、36の中央から外周側に突出する。
【0038】
第1中間方向Mで対向する2枚の壁部60mは、外周面に第3駆動コイル38を保持する第3コイル保持部69を備える。第3コイル保持部69は、Z方向に平行に延びる一対の縦リブ64と、一対の縦リブ64の+Z方向の端を接続する横リブ65を備える。第3駆動コイル38は、その中心孔に一対の縦リブ64および横リブ65が挿入された状態で鏡筒ホルダ50に固定される。ここで、2枚の壁部60mのうちの一方の壁部60mにおいて一対の縦リブ64および横リブ65により囲まれた部分は、センサ保持部66となっている。センサ保持部66には、磁気センサ67および温度センサ68が固定されている。本例において、磁気センサ67はホール素子である。温度センサ68はサーミスタである。図9に示すように、第1中間方向Mで対向する2枚の壁部60mは、内周面に、ジンバル機構5を構成する第1接点バネ保持部71を備える。
【0039】
(ホルダ)
図10(a)はホルダ6を+Z方向から見た場合の斜視図であり、図10(b)はホルダ6を−Z方向から見た場合の斜視図である。図10に示すように、ホルダ6は、ボールベアリング9の内周側に挿入される円筒部45と、円筒部45の−Z方向の端縁から外周側に広がる環状板部73を備える。環状板部73をZ軸方向から見た場合の輪郭形状は略八角形であり、周方向の一部分に外周側に突出する突起44が設けられている。環状板部73において、円筒部45を間に挟んで第2中間方向Nで対向する部位には−Z方向に延びる一対の支柱74が設けられている。各支柱74の先端部分には、その内周側部分にジンバル機構5を構成する第2接点バネ保持部72が設けられている。
【0040】
また、環状板部73の−Z方向の端面において、円筒部45を間に挟んでX方向の両側に位置する端面部分には−Z方向に突出する矩形の突起75が設けられている。円筒部45を間に挟んでY方向の両側に位置する端面部分には−Z方向に突出する矩形の突起75が設けられている。各突起75の−Z方向の端面は平面であり、バネ部材47を固定するホルダ側バネ部材固定部77である。ホルダ6がジンバル機構5を介して光学モジュール4を保持する際には、図7に示すように、ホルダ6の支柱74が光学モジュール4において壁部60が設けられていない部分に挿入される。
【0041】
(ジンバル機構)
図4図5図11図12を参照してジンバル機構5を説明する。図11は可動枠83の斜視図である。図12はZ軸と直交する平面で切断した振れ補正機能付き光学ユニット1の断面図である。ジンバル機構5は光学モジュール4(鏡筒ホルダ50)とホルダ6との間に構成されている。ジンバル機構5は、光学モジュール4をホルダ6に対して組み付けたときに第1軸線R1方向で離間する2か所に配置される第1揺動支持部81(光学モジュール側支持部、図4参照)と、第2軸線R2方向で離間する2か所に配置される第2揺動支持部82(ホルダ側支持部、図5参照)とを備える。第1揺動支持部81および第2揺動支持部82によって支持される可動枠83(枠体)を備える。第1揺動支持部81は光学モジュール4に設けられており、第2揺動支持部82はホルダ6に設けられている。
【0042】
まず、可動枠83は、図11に示すように、略八角形形状の枠状のジンバルばね84を備える。ジンバルばね84は、一定幅の枠部と、枠部における光軸L回りの4か所に設けられた支点部86を備える。支点部86は、八角形の各辺部分の周方向の中央から外側に突出する。各支点部86の外周面には溶接等によって各球体85が固定されている。この球体85によって、各支点部86には、可動枠83の外側に向く半球状の凸面が設けられる。第1揺動支持部81および第2揺動支持部82は各支点部86を外周側から支持する。なお、ジンバルばね84は、複数枚の板状ばねを光軸L方向(Z軸方向)に積層した積層体である。
【0043】
図4に示すように、第1揺動支持部81は、光学モジュール4の鏡筒ホルダ50に設けられた第1接点バネ保持部71と、第1接点バネ保持部71に保持される第1接点バネ87と、弾性接着剤88とを備える。第1接点バネ87は、U字状に屈曲した金属製の板バネである。図4(b)に示すように、第1接点バネ87は、Z方向に延びる内側板バネ部87aと、内側板バネ部87aの外周側で内側板バネ部87aとの間に隙間を開けてZ方向に延びる外側板バネ部87bと、径方向に延びて内側板バネ部87aの−Z方向の端と外側板バネ部87bの−Z方向の端とを接続する接続バネ部87cとを備える。内側板バネ部87aおよび外側板バネ部87bは径方向に厚み方向を向けている。内側板バネ部87aには、半球状の凹部からなるバネ側接点部87dが設けられている。バネ側接点部87dには可動枠83の支点部86に溶接された球体85が内周側から接触する。これにより、可動枠83は、光学モジュール4(第1揺動支持部81)に揺動可能に支持される。弾性接着剤88は内側板バネ部87aと外側板バネ部87bとの間に充填されている。弾性接着剤88は、硬化した状態で弾性を備える。
【0044】
図5に示すように、第2揺動支持部82は、ホルダ6の各支柱74に設けられた第2接点バネ保持部72と、第2接点バネ保持部72に保持される第2接点バネ89と、弾性接着剤90とを備える。第2接点バネ89は、U字状に屈曲した金属製の板バネであり、第1接点バネ87と同一形状である。すなわち、第2接点バネ89は、Z方向に延びる内側板バネ部89aと、内側板バネ部89aの外周側で内側板バネ部89aとの間に隙間を開けてZ方向に延びる外側板バネ部89bと、径方向に延びて内側板バネ部89aの+Z方向の端と外側板バネ部89bの+Z方向の端とを接続する接続バネ部89cとを備える。内側板バネ部89aおよび外側板バネ部89bは径方向に厚み方向を向けている。内側板バネ部89aには、半球状の凹部からなるバネ側接点部89dが設けられている。バネ側接点部89dには可動枠83の支点部86に溶接された球体85が内周側から接触する。これにより、可動枠83は、ホルダ6(第2揺動支持部82)に揺動可能に支持される。弾性接着剤90は内側板バネ部89aと外側板バネ部89bとの間に充填されている。弾性接着剤90は、硬化した状態で弾性を備える。
【0045】
光学モジュール4がジンバル機構5を介してホルダ6に保持された状態では、図12に示すように、光学モジュール4は、可動枠83において光学モジュール4の第1揺動支持部81に支持された一対の支点部86を通る第1軸線R1と、可動枠83においてホルダ6の第2揺動支持部82に支持された一対の支点部86を通る第2軸線R2の2本の軸線回りに揺動可能に支持される。
【0046】
(バネ部材)
バネ部材47は、図3図4、および図5に示すように、光学モジュール4の光学モジュール側バネ部材固定部76と、ホルダ6のホルダ側バネ部材固定部77(環状板部73の突起75)との間に架け渡されて、光学モジュール4とホルダ6とを接続する。静止状態にあるときの光学モジュール4の基準姿勢は、バネ部材47によって定まる。基準姿勢において、光学モジュール4の光軸とZ軸とは一致する。
【0047】
図2に示すように、バネ部材47は、金属板を加工した矩形枠状の板バネである。バネ部材47は、その外周部に設けられた4つのホルダ側連結部91を備える。バネ部材47は、各ホルダ側連結部91がホルダ側バネ部材固定部77(環状板部73の突起75)固定されることにより、ホルダ6に接続される。また、バネ部材47は、内周部に円形枠状の光学モジュール側連結部92を備える。バネ部材47は、光学モジュール側連結部92が光学モジュール側バネ部材固定部76に接着剤層を介して固定されることにより、光学モジュール4に接続される。ホルダ側連結部91と光学モジュール側連結部92とはアーム部93によって繋がっている。アーム部93は、光学モジュール側バネ部材固定部76とホルダ側連結部91との間で湾曲する。
【0048】
(揺動用磁気駆動機構)
ここで、光学モジュール4を保持したホルダ6が、ボールベアリング9を介して固定体8に保持された状態では、図3および図12に示すように、光学モジュール4の鏡筒51の+X方向側および−X方向側の側において第1揺動用駆動コイル34と第1揺動用駆動マグネット33がそれぞれ対向して、第1揺動用磁気駆動機構21を構成する。また、光学モジュール4を保持したホルダ6が、ボールベアリング9を介して固定体8に保持された状態では、図12に示すように、光学モジュール4の鏡筒51の+Y方向側および−Y方向側において、第2揺動用駆動コイル36と第2揺動用駆動マグネット35がそれぞれ対向して、第2揺動用磁気駆動機構22を構成する。
【0049】
揺動用磁気駆動機構15は、第1揺動用磁気駆動機構21への通電により発生する磁気駆動力と、第2揺動用磁気駆動機構22への通電により発生する磁気駆動力との合力によって、光学モジュール4を第1軸線R1回りおよび第2軸線R2回りに揺動させる。第1揺動用駆動コイル34および第2揺動用駆動コイル36への通電は、ジャイロスコープ11による振れの検出結果に基づいて制御される。すなわち、第1揺動用駆動コイル34および第2揺動用駆動コイル36へは、ジャイロスコープ11が検出した振れを打ち消す方向に光学モジュールを駆動する駆動電流が供給される。これにより、光学モジュール4は第1軸線R1回りに振れとは反対方向に揺動するとともに、第2軸線R2回りに振れとは反対方向に揺動し、ピッチング方向およびヨーイング方向の振れが補正される。
【0050】
ここで、第1揺動用駆動コイル34および第2揺動用駆動コイル36への通電は、ジャイロスコープ11による振れの検出結果に基づいて制御される。すなわち、第1揺動用駆動コイル34および第2揺動用駆動コイル36へは、ジャイロスコープ11が検出した振れを打ち消す方向に光学モジュールを駆動する駆動電流が供給される。これにより、光学モジュール4は第1軸線R1回りに振れとは反対方向に揺動するとともに、第2軸線R2回りに振れとは反対方向に揺動し、ピッチング方向およびヨーイング方向の振れが補正される。
【0051】
なお、第1コイル保持部62および第2コイル保持部63は、それぞれ、駆動コイル34、36の中央から外周側に突出している。従って、振動や衝撃等によって可動体10がX軸方向やY軸方向に移動した際、第1コイル保持部62および第2コイル保持部63が対向するマグネット33、35と当接して光学モジュール4の移動範囲を規制することができる。これによりバネ部材47の変形を抑制することができる。
【0052】
(ローリング用磁気駆動機構)
また、光学モジュール4を保持したホルダ6が、ボールベアリング9を介して固定体8に保持された状態では、図4および図12に示すように、光学モジュール4の鏡筒51の一方側および他方側において、第3駆動コイル38と第3駆動マグネット37がそれぞれ対向してローリング用磁気駆動機構16を構成する。これら2組の第3駆動コイル38と
第3駆動マグネット37とは、通電時にZ軸(第3軸線R3)回りの同一方向の磁気駆動力が発生するように配線接続されている。従って、2つの第3駆動コイル38に通電することにより、Z軸(第3軸線R3)の振れ補正を行うことができる。
【0053】
第3駆動コイル38への通電は、磁気センサ67による振れの検出結果に基づいて、光学モジュール4をZ軸回りで予め定めた原点位置に配置するように制御される。本例では、光学モジュール4の原点位置は、光学モジュール4に搭載された磁気センサ67が第3駆動マグネット37の着磁分極線37aと対向する位置である。光学モジュール4が原点位置に配置された状態は、図12に示す状態である。
【0054】
例えば、光学モジュール4がZ軸回りで振れると、磁気センサ67は着磁分極線37aからN極またはS極の一方の着磁部分の側に移動する。これにより、磁気センサ67からの出力(電圧出力)は、光学モジュール4の変位量(振れ量)に対応して変化するものとなる。また、磁気センサ67からの出力は、原点位置(着磁分極線37a)を境として、Z軸回りの一方側に振れた場合には基準電圧よりもプラス側に変化し、他方側に振れた場合には基準電圧よりもマイナス側に変化する。このように、磁気センサ67からの出力は、振れ幅、および、振れ方向に対応して変化する。従って、第3駆動コイル36へは、磁気センサ67からの出力に基づいて磁気センサ67が検出した振れを打ち消す方向に光学モジュールを駆動する駆動電流が供給される。これにより、光学モジュール4は第3軸線R3回りに振れとは反対方向に揺動するので、ローリング方向の振れが補正される。
【0055】
ここで、本例の振れ補正機能付き光学ユニット1は、光学モジュール4を機械的に原点位置に復帰させるバネ部材などを備えていない。従って、常に、磁気センサ67からの出力に基づいて第3駆動コイル38への通電を制御して、光学モジュール4を原点位置に配置している。
【0056】
なお、磁気センサ67とともにセンサ保持部66に固定された温度センサ68は、磁気センサ67からの出力を補正するために用いられる。すなわち、ホール素子などの磁気センサ67は、その特性が熱により変動する。また、第3駆動コイル36により囲まれた空間は、通電による第3駆動コイル36の発熱によって温度が変化する。従って、磁気センサ67からの出力を温度センサ68からの出力(温度)に基づいて補正することにより、温度変化に起因して、ローリング方向の振れ補正の精度が低下することを抑制する。
【0057】
また、磁気センサ67は、基準姿勢の光学モジュール4をZ軸と直交する方向から見た場合に、可動枠83と重なる位置にある。これにより、光学モジュール4が揺動した場合でも、磁気センサ67の第1軸線R1回りおよび第2軸線R2回りの変位を小さくすることができるので、光学モジュール4の揺動に起因して磁気センサ67からの出力が大きく変動することを防止できる。また、光学モジュール4が基準姿勢から第1軸線R1回りおよび第2軸線R2回りの一方側および他方側に揺動する際に、一方側に揺動したときの磁気センサ67の変位量と他方側に揺動したときの磁気センサ67の変位量とのバランスをとることができる。これにより、光学モジュール4が揺動する際の磁気センサ67からの出力のバランスをとることができる。従って、ホルダの原点位置を精度よく検出できる。また、磁気センサ67は、Z方向における第3駆動マグネット37の中心と対向するので、磁磁気センサ67を磁束が比較的強い位置に配置できる。よって、磁気センサ67からの出力を確保できる。
【0058】
ここで、本例では、光学モジュール4を保持したホルダ6をボールベアリング9を介して固定体8に保持する際に、ホルダ6の突起44が固定体8の第3ケース28の開口部43aに挿入される。これにより、突起44と第3ケース28の開口部43aとはホルダ6(光学モジュール4)のZ軸回りの回転角度範囲を規制する回転角度規制機構を構成して
いる。すなわち、ホルダ6がZ軸回りを過度に回転する場合には、第3ケース28における開口部43aの内周壁面がZ軸回りの周方向から突起44に当接して、その回転を規制する。
【0059】
なお、光学モジュール4の原点位置は、磁気センサ67と着磁分極線37aとが対向する位置でなくてもよい。例えば、原点位置は、上記の回転角度規制機構によって規定されたホルダ6(光学モジュール4)の回転角度範囲の中心に磁気センサ67が配置される位置とすることができる。原点位置をこのような位置とする場合には、予め、磁気センサ67の出力をモニタしながらホルダ6(光学モジュール4)を回転角度範囲で回転させ、回転角度範囲の中心における磁気センサ67からの出力を記憶保持しておく。そして、磁気センサ67からの出力と記憶保持しておいた値とが一致する位置を原点位置とする。
【0060】
(作用効果)
以上のように、本例の振れ補正機能付き光学ユニット1は、ホルダ6を回転可能に支持するボールベアリング9がジンバル機構5よりも被写体側に位置する。また、光学モジュール4において光学素子3を保持する鏡筒51はボールベアリング9の内周側に挿入されている。従って、光学モジュール4が光学素子3としてガラス製のレンズを備える場合や、大口径のレンズを備える場合などに、光学モジュール4を支持するホルダ6の重心が被写体側に偏ったものとなった場合でも、ホルダ6の重心とボールベアリング9との間の距離が近い。これにより、外力が加わったときに、ボールベアリング9で発生する応力を抑制できるので、ボールベアリング9の破損や、可動体10および固定体8においてボールベアリング9に支持されている部分の破損を防止あるいは抑制できる。また、光学モジュール4において光学素子3を保持する鏡筒51はボールベアリング9の内周側に挿入されている。従って、ボールベアリング9によって、鏡筒51を外周側から保護できる。
【0061】
また、本例では、Z軸回りにおける第1揺動用磁気駆動機構21と第2揺動用磁気駆動機構22との間の空きスペースにローリング用磁気駆動機構16を配置している。これにより、Z軸方向で、第1揺動用磁気駆動機構21、第2揺動用磁気駆動機構22およびローリング用磁気駆動機構16を同じ位置に配置できるので、装置をZ軸方向で短縮化することが容易となる。
【0062】
さらに、本例では、ジンバル機構5において可動枠83を支持する第1揺動支持部81と第2揺動支持部82とは、Z軸回りにおける第1揺動用磁気駆動機構21と第2揺動用磁気駆動機構22との間の空きスペースに設けられている。このような位置に第1揺動支持部81と第2揺動支持部82を設けることにより、装置が大型化することを抑制できる。
【0063】
また、本例では、第1揺動用駆動コイル34、第2揺動用駆動コイル36および第3駆動コイル38がいずれも光学モジュール4に配置される。従って、各駆動コイル34、36、38への給電を行うための給電用フレキシブルプリント基板などを集約することが容易となる。
【0064】
ここで、フレキシブルプリント基板上に第1揺動用駆動コイル34、第2揺動用駆動コイル36および第3駆動コイル38を構成して一部品として、光学モジュール4に固定してもよい。
【0065】
また、本例では、ホルダ6を回転可能に支持する回転支持機構7としてボールベアリング9を用いているが、回転支持機構7としてすべり軸受などの回転軸受を用いることもできる。すべり軸受としては含油軸受などを用いることができる。
【0066】
さらに、本例では、揺動用磁気駆動機構15およびローリング用磁気駆動機構16を構成する各駆動マグネット33、35、37が固定体8に固定され、各駆動コイル34、36、38が光学モジュール4に固定されているが、各駆動マグネット33、35、37と対応する各駆動コイル34、36、38とが対向配置されていればよく、その配置は上記の例に限られるものではない。例えば、各駆動マグネット33、35、37が光学モジュール4に固定され、各駆動コイル34、36、38が固定体8に固定されていてもよい。この場合において、磁気センサ67は、第3駆動コイル38と同じ部材に固定して第3駆動マグネット37に対向させるものとすることができる。
【符号の説明】
【0067】
1…振れ補正機能付き光学ユニット、3…光学素子、4…光学モジュール、5…ジンバル機構、6…ホルダ、7…回転支持機構、8…固定体、9…ボールベアリング、9a…外輪、9b…内輪、10…可動体、11…ジャイロスコープ、15…揺動用磁気駆動機構、16…ローリング用磁気駆動機構、21…第1揺動用磁気駆動機構、22…第2揺動用磁気駆動機構、26…第1ケース、27…第2ケース、28…第3ケース、31…胴部、33…第1揺動用駆動マグネット、34…第1揺動用駆動コイル、35…第2揺動用駆動マグネット、36…第2揺動用駆動コイル、37…第3駆動マグネット(ローリング用駆動マグネット)、37a…着磁分極線、38…第3駆動コイル(ローリング用駆動コイル)、40…板部材、40a…開口部、41…角筒部、42…円環状部、43…側壁部、43a…開口部、44…突起、45…円筒部、47…バネ部材、48…撮像素子、49…モジュール本体部、50…鏡筒ホルダ、51…鏡筒、51a…突出部分、52…鏡筒支持部材、53…筒部、54…矩形板部、55…保持筒、58…板部、59…突部、60…壁部、61…切り欠き部、62…第1コイル保持部、63…第2コイル保持部、64…縦リブ、65…横リブ、66…センサ保持部、67…磁気センサ、68…温度センサ、69…第3コイル保持部、71…第1接点バネ保持部、72…第2接点バネ保持部、73…環状板部、74…支柱、75…突起、76…光学モジュール側バネ部材固定部、77…ホルダ側バネ部材固定部、81…第1揺動支持部、82…第2揺動支持部、83…可動枠、85…球体、86…支点部、87…第1接点バネ、88…弾性接着剤、89…第2接点バネ、90…弾性接着剤、91…ホルダ側連結部、92…光学モジュール側連結部、93…アーム部、L…軸線(光軸)、M…第1中間方向、N…第2中間方向、R1…第1軸線、R2…第2軸線、R3…第3軸線
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図12