(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記内側ダクトの前記翼型の翼弦線と前記シャフトの回転軸心と平行な線とがなす角度は、前記外側ダクトの前記翼型の翼弦線と前記回転軸心と平行な線とがなす角度よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のダクト装置。
前記内側ダクトの後端部と前記外側ダクトの後端部とは、前記シャフトの回転軸心に垂直な同一面上に位置することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のダクト装置。
前記内側ダクトの前端部と前記外側ダクトの前端部とは、前記シャフトの回転軸心に垂直な同一面上に位置し、前記内側ダクトの前記翼型の翼弦長を前記外側ダクトの前記翼型の翼弦長よりも長く形成したことを特徴とする請求項1に記載のダクト装置。
前記内側ダクトの前記翼型の翼弦長を前記外側ダクトの前記翼型の翼弦長よりも短く形成すると共に、前記内側ダクトの前端部と前記外側ダクトの前端部との距離よりも前記内側ダクトの後端部と前記外側ダクトの後端部との距離を長く形成したことを特徴とする請求項1に記載のダクト装置。
前記ボス部と前記内側ダクトとの間、及び、前記内側ダクトと前記外側ダクトとの間の少なくとも一方に設けられ、前記船体を前進させる推進力を生じる前記プロペラの回転方向とは逆方向の水流を該プロペラに与えるリアクションフィンを備えることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のダクト装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような、いわゆる二重ダクト構造を有するダクト装置では、船尾のプロペラに流入する流れを利用して、内側ダクト及び外側ダクトがそれぞれ発生させる推進方向の推力を得たり、伴流の増加により伴流係数を高めることができる。特に、推力を発生させることにより、プロペラを動かす動力源の出力が抑制され、船舶の推進効率の向上を図ることができる。この種のダクト装置において、ダクト装置の改善により、更なる推進効率の向上が期待される。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、推進効率の向上を図ったダクト装置およびダクト装置を備える船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るダクト装置は、船体の船尾に設けられたプロペラの前方においてプロペラのシャフトを支持するボス部の周囲の少なくとも一部に配置される内側ダクトと、内側ダクトの外側に配置される外側ダクトと、内側ダクト及び外側ダクトを船体に支持するステーと、を備え、内側ダクト及び外側ダクトの断面は、それぞれ翼型であり、内側ダクトの前端部と外側ダクトの前端部とで規定されるダクト間流入口の開口面積よりも、内側ダクトの後端部と外側ダクトの後端部とで規定されるダクト間流出口の開口面積を大きく形成したことを特徴とする。
【0007】
この構成において、内側ダクトの翼型の翼弦線とシャフトの回転軸心と平行な線とがなす角度は、外側ダクトの翼型の翼弦線と回転軸心と平行な線とがなす角度よりも大きくしてもよい。
【0008】
また、外側ダクトは、翼型の後縁がシャフトの回転軸心に対して径方向に湾曲してもよい。
【0009】
また、内側ダクトの後端部と外側ダクトの後端部とは、シャフトの回転軸心に垂直な同一面上に位置する構成としてもよい。
【0010】
また、シャフトの回転軸心からプロペラの先端までの径方向の距離をrとした場合、回転軸心から内側ダクトの後端部までの径方向の距離は、0.3r以上0.5r以下であり、回転軸心から外側ダクトの後端部までの径方向の距離は、0.5r以上0.9r以下であることが好ましい。この場合、内側ダクトの後端部と外側ダクトの後端部との径方向の距離は、0.2r以上0.4r以下であることが好ましい。
【0011】
また、内側ダクトの前端部と外側ダクトの前端部とは、シャフトの回転軸心に垂直な同一面上に位置し、内側ダクトの翼型の翼弦長を外側ダクトの翼型の翼弦長よりも長く形成した構成としてもよい。
【0012】
また、内側ダクトの翼型の翼弦長を外側ダクトの翼型の翼弦長よりも短く形成すると共に、内側ダクトの前端部と外側ダクトの前端部との距離よりも内側ダクトの後端部と外側ダクトの後端部との距離を長く形成してもよい。
【0013】
また、本発明に係るダクト装置は、船体の船尾に設けられたプロペラの前方においてプロペラのシャフトを支持するボス部の周囲の少なくとも一部に配置される内側ダクトと、内側ダクトの外側に配置される外側ダクトと、内側ダクト及び外側ダクトを船体に支持するステーと、を備え、内側ダクト及び外側ダクトの断面は、それぞれ翼型であり、内側ダクトの後端部と外側ダクトの後端部とは、シャフトの回転軸心に垂直な同一面上に位置することを特徴とする。
【0014】
この構成において、シャフトの回転軸心からプロペラの先端までの径方向の距離をrとした場合、回転軸心から内側ダクトの後端部までの径方向の距離は、0.3r以上0.5r以下であり、回転軸心から外側ダクトの後端部までの径方向の距離は、0.5r以上0.9r以下であることが好ましい。さらに、内側ダクトの後端部と外側ダクトの後端部との径方向の距離は、0.2r以上0.4r以下であることが好ましい。
【0015】
また、ボス部と内側ダクトとの間、及び、内側ダクトと外側ダクトとの間の少なくとも一方に設けられ、船体を前進させる推進力を生じるプロペラの回転方向とは逆方向の水流を該プロペラに与えるリアクションフィンを備えてもよい。
【0016】
また、内側ダクト及び外側ダクトは筒状体として形成され、内側ダクト及び外側ダクトの少なくとも一方は、筒状体の軸心をシャフトの回転軸心から偏心させてもよい。
【0017】
また、内側ダクト及び外側ダクトは、少なくとも筒状体の一部として形成されてもよい。
【0018】
本発明に係る船舶は、船体と、船体の船尾に配置されたプロペラと、船尾のプロペラの前方に配置された上記ダクト装置と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、内側ダクトの前端部と外側ダクトの前端部とで規定されるダクト間流入口の開口面積よりも、内側ダクトの後端部と外側ダクトの後端部とで規定されるダクト間流出口の開口面積を大きく形成したことにより、ダクト間流出口での流出速度をダクト間流入口での流入速度よりも小さくすることができる。このため、伴流係数の向上を図り、推進効率の向上を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0022】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るダクト装置の一例を模式的に示す側面図である。
図2は、第1実施形態に係るダクト装置の一例を模式的に示す正面図であって、
図1のA−A線矢視図に相当する。
図3は、第1実施形態に係るダクト装置の一例を模式的に示す部分拡大図である。
【0023】
図1に示すように、船舶50は、船体100の船尾100Bに設けられたプロペラ101と、プロペラ101の前方に配置されたダクト装置1と、プロペラ101の後方に配置された舵120とを備えている。ダクト装置1は、船体100の船尾100Bに配置される。プロペラ101は、シャフト103を介して、船体100に搭載された動力源(不図示)と接続される。動力源は、ディーゼルエンジンのようなエンジン及びモータの少なくとも一方を含む。船体100は、シャフト103を回転可能に支持する船尾管(ボス部)104を備える。動力源は、シャフト103を介してプロペラ101を回転させる。プロペラ101は、シャフト103の末端に連結されるハブ101Aと、このハブ101Aの外周面に放射状に設けられる複数のブレード101Bとを備え、シャフト103の回転軸心AXを中心に回転する。プロペラ101が回転することにより、船舶50が航走する。
【0024】
プロペラ101の回転により、船舶50は、船首側に前進する。前進する船舶50の進行方向に関して前方に船首が配置され、後方に船尾100Bが配置される。以下の説明において、前進する船舶50の進行方向に関して前方を単に前方と適宜称し、前進する船舶の進行方向に関して後方を単に後方と適宜称する。また、シャフト103の回転軸心AXと平行な方向を適宜、軸方向と称し、回転軸心AXに対する放射方向を適宜、径方向と称する。
【0025】
ダクト装置1は、
図1及び
図2に示すように、プロペラ101の前方に配置される内側ダクト2及び外側ダクト3と、これら内側ダクト2及び外側ダクト3と船体100の少なくとも一部とを接続するステー4とを備えている。内側ダクト2は、プロペラ101の前方において、プロペラ101の回転軸心AXの周囲を囲むように配置され、外側ダクト3は、内側ダクト2の外側に該内側ダクト2の周囲を囲むように配置される。本実施形態では、内側ダクト2及び外側ダクト3は、それぞれ円筒形状に形成され、これらを組み合わせた、いわゆる二重ダクト形状を呈する。内側ダクト2及び外側ダクト3は、船尾管104の一部を囲んで配置され、ステー4は、内側ダクト2及び外側ダクト3と船尾管104とを連結する。
【0026】
内側ダクト2は、前端部21と、この前端部21よりも後方に配置されてプロペラ101と対向する後端部22とを備える。前端部21は、流体(海水など)が流入する内側ダクト流入口5を規定し、後端部22は、流体が流出する内側ダクト流出口6を規定する。内側ダクト2は、前端部21から後端部22に向けて、内径が漸次短くなるように傾斜する略円錐台の円筒形状を呈した筒状体として構成されており、内側ダクト流出口6は、内側ダクト流入口5よりも小さく形成されている。
【0027】
また、外側ダクト3は、内側ダクト2の外側に、流路となる空間を介して配置される。外側ダクト3は、前端部31と、この前端部31よりも後方に配置されてプロペラ101と対向する後端部32とを備える。前端部31は、内側ダクト2の前端部21とともに、上記した流路に流体が流入するダクト間流入口7を規定し、後端部32は、内側ダクト2の後端部22とともに流体が流出するダクト間流出口8を規定する。外側ダクト3は、内側ダクト2と同様に、前端部31から後端部32に向けて、内径が漸次短くなるように傾斜する略円錐台の円筒形状を呈した筒状体として構成されている。本構成では、ダクト間流出口8がダクト間流入口7よりも大きくなるように、内側ダクト2及び外側ダクト3の形状が規定されている。
【0028】
本実施形態では、内側ダクト2及び外側ダクト3は、ステー4を介して、船尾管104に連結固定されている。ステー4は、
図2に示すように、内端部4Aが船尾管104の上面に固定され、この上面から鉛直上方に延びている。ステー4は、内側ダクト2を貫通し、該ステー4の内端部4Aと外端部4Bとの間に形成された中間部4Cが内側ダクト2に連結されている。また、ステー4の外端部4Bは、外側ダクト3の内周面に連結されている。ステー4の断面は翼型を呈しており、内側ダクト2内及び外側ダクト3内の水(海水)の流れを阻害しないように形成されている。ステー4の断面形状は、翼型だけでなく、楕円型や半楕円型としてもよい。
【0029】
内側ダクト2及び外側ダクト3は、少なくともこれら内側ダクト2(筒状体)の軸心SX1及び外側ダクト3(筒状体)の軸心SX2と、シャフト103の回転軸心AXとが平行となるように配置されている。本実施形態では、内側ダクト2及び外側ダクト3は、プロペラ101のシャフト103と同心上、すなわち、内側ダクト2及び外側ダクト3の各軸心SX1,SX2とシャフト103の回転軸心AXとが一致するように配置されている。
【0030】
図3に示すように、内側ダクト2及び外側ダクト3の断面は、それぞれ翼型である。内側ダクト2及び外側ダクト3の翼型は、流体との相互作用によって効率良く揚力を得られる外形を有する。具体的には、内側ダクト2の翼型は、前端部21の輪郭を形成する前縁23から後端部22の輪郭を形成する後縁24に向かって徐々に細くなる形状である。本実施形態では、内側ダクト2の翼型の外面26は、直線状、あるいは内面25の凸度合いよりも小さい凸、あるいは凹な曲面状である。内側ダクト2の翼型の内面25は、内側(船尾管104側)に凸な曲面状である。内側ダクト2の翼型形状において、前縁23と後縁24とを結ぶ直線が翼弦線27を規定する。同様に、外側ダクト3の翼型は、前端部31の輪郭を形成する前縁33から後端部32の輪郭を形成する後縁34に向かって徐々に細くなる形状である。本実施形態では、外側ダクト3の翼型の外面36は、直線状、あるいは内面35の凸度合いよりも小さい凸、あるいは凹な曲面状である。外側ダクト3の翼型の内面35は、内側(内側ダクト2側)に凸な曲面状である。また、外側ダクト3の翼型形状において、前縁33と後縁34とを結ぶ直線が翼弦線37を規定する。
【0031】
水上(海上)を船舶50が前進すると、水(海水)の少なくとも一部は、上記した内側ダクト流入口5及びダクト間流入口7を通じて、内側ダクト2内及び外側ダクト3内に流入する。流入した水は、内側ダクト2及び外側ダクト3の各内面(内周面)25,35及び各外面(外周面)26,36に沿って流れる。内側ダクト2及び外側ダクト3は、それぞれ内面25,35の方が外面26,36よりも凸度合いが大きく形成されているため、内面25,35に沿って流れる流速が外面26,36に沿って流れる流速よりも大きくなり、ベルヌーイの定理により、各前端部21,31における内側ダクト2及び外側ダクト3の各内面(内周面)25,35側が負圧になり、揚力が発生する。この揚力の軸方向の成分によって、推力が発生する。本構成では、内側ダクト2及び外側ダクト3がそれぞれ推力を発生させるため、その分、プロペラ101を動かす動力源の出力が抑制され、推進効率(燃料の利用効率)を高めることができる。
【0032】
ところで、内側ダクト2及び外側ダクト3を組み合わせた二重ダクト構造では、推進効率の更なる向上を図る構成が模索されている。発明者の鋭意研究によれば、ダクト間流出口8から流出される水(海水)の流速が、ダクト間流入口7に流出される水(海水)の流速よりも早い場合、プロペラ101に対する水の流れの迎角が相対的に小さくなり、同一回転数においてプロペラ推力(伴流係数)が減少する。伴流係数は、プロペラ101に流入する水の流速が船速に対してどれだけ遅くなっているかを示す値であり、伴流係数が大きいほど、船舶の推進効率が改善する。このため、ダクト間流出口8の水の流速がダクト間流入口7の水の流速よりも早い構成では、伴流係数が低減して船舶50の推進効率が低減することが判明した。
【0033】
この問題を解決するために、本実施形態では、ダクト間流出口8の開口面積Aoをダクト間流入口7の開口面積Aiよりも大きく形成している。具体的には、
図3に示すように、内側ダクト2の翼型の翼弦線27とシャフト103の回転軸心AXと平行な線とがなす角度θ1は、外側ダクト3の翼型の翼弦線37と回転軸心AXと平行な線とがなす角度θ2よりも大きく形成されている。この構成では、内側ダクト2の翼型の傾斜角度が外側ダクト3の翼型の傾斜角度よりも大きくなり、ダクト間流出口8の開口面積Aoをダクト間流入口7の開口面積Aiよりも大きく形成することができる。
【0034】
ダクト間流入口7での流入速度Vi、ダクト間流出口8での流出速度Voとすると、連続の式により、
Ai×Vi=Ao×Vo (1)
が成立する。この数式(1)は、
Vo=Ai/Ao×Vi (2)
となる。上述のように開口面積Aoは開口面積Aiよりも大きいため、流出速度Voを流入速度Viよりも小さくすることができる。
【0035】
この構成によれば、ダクト間流出口8での流出速度Voをダクト間流入口7での流入速度Viよりも小さく(遅く)するディフューザ効果を奏することができる。このため、プロペラ101が駆動する際の抵抗を低減でき、その分、伴流係数の向上を図ることができる。従って、船舶50の推進効率の向上を実現でき、所要馬力を低減することができる。
【0036】
ここで、内側ダクト2の翼型の翼弦線27とシャフト103の回転軸心AXと平行な線とがなす角度θ1が大きくすることにより、内側ダクト2の内側ダクト流出口6の開口面積が相対的に小さくなり、内側ダクト流出口6での流出速度が増加する。しかし、内側ダクト流出口6から流出された水は、プロペラ101のハブ101Aを含む中央部に供給されるため、プロペラ効率(伴流係数)への影響を抑制することができる。
【0037】
また、本実施形態では、内側ダクト2の前端部21と外側ダクト3の前端部31とは、シャフト103の回転軸心AXに垂直な所定の同一面F1上に位置し、内側ダクト2の後端部22と外側ダクト3の後端部32とは、シャフト103の回転軸心AXに垂直な所定の同一面F2上に位置する。この構成によれば、内側ダクト2及び外側ダクト3の翼弦長(コード長)が同等に形成されるため、内側ダクト2及び外側ダクト3にそれぞれ推力を発生させることができ、推進効率の向上を実現できる。
【0038】
また、内側ダクト2の後端部22と外側ダクト3の後端部32とが所定の同一面F2上に位置することにより、内側ダクト2の後端部22と外側ダクト3の後端部32とを揃えて配置することができる。このため、各ダクトの後端部22,32とプロペラ101との距離をほぼ一定とすることができ、各ダクトの後端部22,32で規定されるダクト間流出口8から流出されてプロペラ101に流入する流れの均一化を図ることができ、伴流係数の向上を図ることができる。
【0039】
また、本実施形態では、シャフト103の回転軸心AXからプロペラ101のブレード101Bの先端までの径方向の距離をrとした場合、回転軸心AXから内側ダクト2の後端部22までの径方向の距離L1は、0.3r以上0.5r以下であり、回転軸心AXから外側ダクト3の後端部32までの径方向の距離L3は、0.5r以上0.9r以下とすることが好ましい。この場合、内側ダクト2の後端部22と外側ダクト3の後端部32との径方向の距離L2(L3−L1)は、0.2r以上0.4r以下に設けられる。距離L2が、0.2rよりも小さい場合には、内側ダクト2と外側ダクト3とが接近し、これらダクト間の干渉を生じる。また、0.4rよりも大きい場合には、上記した各ダクトの内面25,35に沿って流れる流速と外面26,36に沿って流れる流速との流速差が得られにくくなり、内側ダクト2と外側ダクト3に発生する推力が低減することが想定されるためである。
【0040】
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態に係るダクト装置の一例を模式的に示す部分拡大図である。この第2実施形態に係るダクト装置1Aは、
図4に示すように、外側ダクト3Aの形状が異なる。第1実施形態で説明した構成と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
第2実施形態に係るダクト装置1Aにおいても、ダクト間流出口8の開口面積Aoをダクト間流入口7の開口面積Aiよりも大きく形成している。具体的には、
図4に示すように、外側ダクト3Aの翼型の外面36Aは若干凹な曲面状に形成され、外側ダクト3Aの翼型の後縁34Aは、シャフト103の回転軸心AXに対して径方向に湾曲している。別の表現では、外側ダクト3Aの翼型のキャンバ線38Aは、後縁34Aに向かって、内側ダクト2の翼弦線27から徐々に離間するように湾曲している。これにより、ダクト装置1Aでは、ダクト間流出口8の開口面積Aoがダクト間流入口7の開口面積Aiよりも大きく形成されるため、ダクト間流出口8での流出速度Voをダクト間流入口7での流入速度Viよりも小さく(遅く)するディフューザ効果を奏することができる。このため、プロペラ101が駆動する際の抵抗を低減でき、その分、伴流係数の向上を図り、ひいては、推進効率の向上を実現できる。
【0042】
また、本実施形態においても、内側ダクト2の前端部21と外側ダクト3Aの前端部31Aとは、シャフト103の回転軸心AXに垂直な所定の同一面F1上に位置し、内側ダクト2の後端部22と外側ダクト3Aの後端部32Aとは、シャフト103の回転軸心AXに垂直な所定の同一面F2上に位置する。この構成によれば、内側ダクト2及び外側ダクト3Aの翼弦長(コード長)が同等に形成されるため、内側ダクト2及び外側ダクト3Aにそれぞれ推力を発生させることができ、推進効率の向上を実現できる。
【0043】
また、内側ダクト2の後端部22と外側ダクト3Aの後端部32Aとが所定の同一面F2上に位置することにより、内側ダクト2の後端部22と外側ダクト3Aの後端部32Aとを揃えて配置することができる。このため、各ダクトの後端部22,32Aとプロペラ101との距離をほぼ一定とすることができ、各ダクトの後端部22,32Aで規定されるダクト間流出口8から流出されてプロペラ101に流入する流れの均一化を図ることができ、伴流係数の向上を図ることができる。
【0044】
また、本実施形態では、シャフト103の回転軸心AXからプロペラ101のブレード101Bの先端までの径方向の距離をrとした場合、回転軸心AXから内側ダクト2の後端部22までの径方向の距離L1は、0.3r以上0.5r以下であり、回転軸心AXから外側ダクト3Aの後端部32Aまでの径方向の距離L3は、0.5r以上0.9r以下とすることが好ましい。この場合、内側ダクト2の後端部22と外側ダクト3Aの後端部32Aとの径方向の距離L2(L3−L1)は、0.2r以上0.4r以下に設けられる。この構成によれば、内側ダクト2と外側ダクト3Aとの干渉を抑制するとともに、各ダクトの内面25,35Aに沿って流れる流速と外面26,36Aに沿って流れる流速との流速差を所定値以上に確保することができ、内側ダクト2と外側ダクト3Aに発生する推力の低減を抑制できる。
【0045】
<第3実施形態>
図5は、第3実施形態に係るダクト装置の一例を模式的に示す部分拡大図である。この第3実施形態に係るダクト装置1Bは、
図5に示すように、内側ダクト2Bの形状が異なる。第1実施形態で説明した構成と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
第3実施形態に係るダクト装置1Bにおいても、ダクト間流出口8の開口面積Aoをダクト間流入口7の開口面積Aiよりも大きく形成している。具体的には、
図5に示すように、内側ダクト2Bは翼型の翼弦長が外側ダクト3の翼型の翼弦長よりも長く形成されている。内側ダクト2Bの前端部21Bと外側ダクト3の前端部31とは、シャフト103の回転軸心AXに垂直な所定の同一面F1上に位置することにより、内側ダクト2Bの後端部22Bは、外側ダクト3の後端部32よりも軸方向にプロペラ101に接近して突出する。また、内側ダクト2Bの翼型の翼弦線27Bと、外側ダクト3の翼型の翼弦線37とは、これら翼弦線27B,37と回転軸心AXと平行な線とがなす角度θが同一に形成されている。すなわち、内側ダクト2Bと外側ダクト3とは、翼弦線27B,37が互いに略平行となるように配置されている。
【0047】
上記した構成によれば、内側ダクト2Bの前端部21Bと外側ダクト3の前端部31との距離L4よりも、内側ダクト2Bの後端部22Bと外側ダクト3の後端部32との距離L5は長く(大きく)形成される。このため、ダクト間流出口8の開口面積Aoは、ダクト間流入口7の開口面積Aiよりも大きく形成される。従って、ダクト間流出口8での流出速度Voをダクト間流入口7での流入速度Viよりも小さく(遅く)するディフューザ効果を奏することができるため、プロペラ101が駆動する際の抵抗を低減でき、その分、伴流係数の向上を図り、ひいては、推進効率の向上を実現できる。
【0048】
また、本実施形態では、内側ダクト2Bの翼弦長(コード長)を外側ダクト3の翼弦長(コード長)よりも長く形成したため、内側ダクト2により大きな推力を発生させることができる。
【0049】
<第4実施形態>
図6は、第4実施形態に係るダクト装置の一例を模式的に示す部分拡大図である。この第4実施形態に係るダクト装置1Cは、
図6に示すように、内側ダクト2Cの形状が異なる。第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
第4実施形態に係るダクト装置1Cにおいても、ダクト間流出口8の開口面積Aoをダクト間流入口7の開口面積Aiよりも大きく形成している。具体的には、
図6に示すように、内側ダクト2Cは翼型の翼弦長が外側ダクト3の翼型の翼弦長よりも短く形成されている。さらに、内側ダクト2Cの後端部22Cは、外側ダクト3の後端部32よりも軸方向にプロペラ101から離間した位置に設けられる。また、内側ダクト2Cの翼型の翼弦線27Cと、外側ダクト3の翼型の翼弦線37とは、これら翼弦線27C,37と回転軸心AXと平行な線とがなす角度θが同一に形成されている。すなわち、内側ダクト2Cと外側ダクト3とは、翼弦線27C,37が互いに略平行となるように配置されている。
【0051】
上記した構成によれば、内側ダクト2Cの前端部21Cと外側ダクト3の前端部31との距離L6よりも、内側ダクト2Cの後端部22Cと外側ダクト3の後端部32との距離L7は長く(大きく)形成される。このため、ダクト間流出口8の開口面積Aoは、ダクト間流入口7の開口面積Aiよりも大きく形成される。従って、ダクト間流出口8での流出速度Voをダクト間流入口7での流入速度Viよりも小さく(遅く)するディフューザ効果を奏することができるため、プロペラ101が駆動する際の抵抗を低減でき、その分、伴流係数の向上を図り、ひいては、船舶50の推進効率の向上を実現できる。
【0052】
また、本実施形態では、ダクト間流出口8の開口面積Aoをダクト間流入口7の開口面積Aiよりも大きい条件の下、外側ダクト3に対する内側ダクト2Cの軸方向位置を自在に変更することができ、ダクト装置1Cの配置構成の自由度を高めることができる。
【0053】
<第5実施形態>
図7は、第5実施形態に係るダクト装置の一例を模式的に示す部分拡大図である。この第5実施形態に係るダクト装置1Dに関し、第1実施形態で説明した構成と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0054】
本実施形態では、
図7に示すように、内側ダクト2の前端部21と外側ダクト3の前端部31とは、シャフト103の回転軸心AXに垂直な所定の同一面F1上に位置し、内側ダクト2の後端部22と外側ダクト3の後端部32とは、シャフト103の回転軸心AXに垂直な所定の同一面F2上に位置する。また、内側ダクト2の翼型の翼弦線27と、外側ダクト3の翼型の翼弦線37とは、これら翼弦線27,37と回転軸心AXと平行な線とがなす角度θが同一に形成されている。すなわち、内側ダクト2と外側ダクト3とは、翼弦線27,37が互いに略平行となるように配置されている。
【0055】
この構成によれば、内側ダクト2及び外側ダクト3の翼弦長(コード長)が同等に形成されるため、内側ダクト2及び外側ダクト3にそれぞれ推力を発生させることができ、推進効率の向上を実現できる。また、内側ダクト2の後端部22と外側ダクト3の後端部32とが所定の同一面F2上に位置することにより、内側ダクト2の後端部22と外側ダクト3の後端部32とを揃えて配置することができる。この構成では、ダクト間流出口8の開口面積Aoがダクト間流入口7の開口面積Aiよりも小さくなるものの、各ダクトの後端部22,32とプロペラ101との距離をほぼ一定とすることができる。このため、各ダクトの後端部22,32で規定されるダクト間流出口8から流出されてプロペラ101に流入する流れの均一化を図ることができ、伴流係数の向上を図ることができる。
【0056】
また、本実施形態では、シャフト103の回転軸心AXからプロペラ101のブレード101Bの先端までの径方向の距離をrとした場合、回転軸心AXから内側ダクト2の後端部22までの径方向の距離L1は、0.3r以上0.5r以下であり、回転軸心AXから外側ダクト3の後端部32までの径方向の距離L3は、0.5r以上0.9r以下とすることが好ましい。この場合、内側ダクト2の後端部22と外側ダクト3の後端部32との径方向の距離L2(L3−L1)は、0.2r以上0.4r以下に設けられる。この構成によれば、内側ダクト2と外側ダクト3との干渉を抑制するとともに、各ダクトの内面25,35に沿って流れる流速と外面26,36に沿って流れる流速との流速差を所定値以上に確保することができ、内側ダクト2と外側ダクト3に発生する推力の低減を抑制できる。
【0057】
次に、第5実施形態の変形例について説明する。
図8は、第5実施形態の変形例に係るダクト装置の一例を模式的に示す部分拡大図である。この変形例に係るダクト装置1Eに関し、第1実施形態で説明した構成と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。本変形例では、内側ダクト2E及び外側ダクト3Eは、それぞれ翼弦長(コード長)が軸心SX1,SX2を中心とした周方向の位置によって異なる点で第5実施形態のダクト装置1Dと構成を異にする。
【0058】
本変形例では、
図8に示すように、内側ダクト2Eの後端部22Eと外側ダクト3Eの後端部32Eとは、シャフト103の回転軸心AXに垂直な所定の同一面F2上に位置する。また、内側ダクト2Eの翼型の翼弦線27Eと、外側ダクト3Eの翼型の翼弦線37Eとは、これら翼弦線27E,37Eと回転軸心AXと平行な線とがなす角度θが同一に形成されている。すなわち、内側ダクト2Eと外側ダクト3Eとは、翼弦線27E,37Eが互いに略平行となるように配置されている。
【0059】
本変形例によれば、内側ダクト2Eの後端部22Eと外側ダクト3Eの後端部32Eとが所定の同一面F2上に位置することにより、内側ダクト2Eの後端部22Eと外側ダクト3Eの後端部32Eとを揃えて配置することができる。このため、上記した第5実施形態と同様に、各ダクトの後端部22E,32Eとプロペラ101との距離をほぼ一定とすることができる。従って、各ダクトの後端部22E,32Eで規定されるダクト間流出口8から流出されてプロペラ101に流入する流れの均一化を図ることができ、伴流係数の向上を図ることができる。
【0060】
一方、内側ダクト2E及び外側ダクト3Eは、それぞれ翼弦長(コード長)が周方向の位置によって異なる。具体的には、内側ダクト2Eは、船尾管104よりも上方に位置する上部の翼弦長よりも、船尾管104よりも下方に位置する下部の翼弦長の方が短く形成されている。また、内側ダクト2Eの翼弦長は、該内側ダクト2Eの上部から下部に向けて漸次短くなるように傾斜しており、内側ダクト2Eの前端部21Eは、所定の同一面F3上に位置する。外側ダクト3Eも同様に、船尾管104よりも上方に位置する上部の翼弦長よりも、船尾管104よりも下方に位置する下部の翼弦長の方が短く形成されている。また、外側ダクト3Eの翼弦長は、該外側ダクト3Eの上部から下部に向けて漸次短くなるように傾斜しており、外側ダクト3Eの前端部31Eは、内側ダクト2Eの前端部21Eとともに、所定の同一面F3上に位置する。
【0061】
海中における水の流れ(潮の流れ)は複雑であり、一般に、海面からの深さが深い方が、水の流れが速い傾向にあると知られている。この構成では、内側ダクト2E及び外側ダクト3Eにおける下部の翼弦長が上部の翼弦長よりも短いため、該内側ダクト2E及び外側ダクト3Eの下部でそれぞれ発生する推力が低減するものの、より流れの速い水が内側ダクト2E及び外側ダクト3Eに沿って流れる際の流れ抵抗を低減することができる。このため、伴流係数の向上を図り、船舶50の推進効率の向上を実現できる。
【0062】
また、本変形例においても、シャフト103の回転軸心AXからプロペラ101のブレード101Bの先端までの径方向の距離をrとした場合、回転軸心AXから内側ダクト2Eの後端部22Eまでの径方向の距離L1は、0.3r以上0.5r以下であり、回転軸心AXから外側ダクト3Eの後端部32Eまでの径方向の距離L3は、0.5r以上0.9r以下とすることが好ましい。この場合、内側ダクト2Eの後端部22Eと外側ダクト3Eの後端部32Eとの径方向の距離L2(L3−L1)は、0.2r以上0.4r以下に設けられる。この構成によれば、内側ダクト2Eと外側ダクト3Eとの干渉を抑制するとともに、各ダクトの内面25E,35Eに沿って流れる流速と外面26E,36Eに沿って流れる流速との流速差を所定値以上に確保することができ、内側ダクト2Eと外側ダクト3Eに発生する推力の低減を抑制できる。
【0063】
<第6実施形態>
図9は、第6実施形態に係るダクト装置の一例を模式的に示す正面図である。この
図9では、各ダクト2,3の前端部21,31側から描いており、簡略化のために後端部側を省略している。また、第1実施形態で説明した構成と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
ダクト装置1Fは、
図9に示すように、内側ダクト2及び外側ダクト3を支持するステー(リアクションフィン)40と、内側ダクト2と外側ダクト3との間に設けられるフィン(リアクションフィン)41とを備える。ステー40は、このステー40の内端部40Aが船尾管104の外周面に固着され、該船尾管104の外周面から回転軸心AXの径方向に延出している。ステー40は、例えば、回転軸心AXの径方向(放射方向)であって、水平に対して45度の傾斜角度で左上方に延出している。このステー40は、内側ダクト2を貫通し、該ステー40の内端部40Aと外端部40Bとの間に形成された中間部40Cが内側ダクト2に連結されている。また、ステー40の外端部40Bは、外側ダクト3を貫通しての該外側ダクト3に連結されている。なお、
図9では、ステー40の外端部40Bが外側ダクト3を貫通しているが、外側ダクト3の内面35に連結してもよい。本実施形態では、内側ダクト2及び外側ダクト3の各軸心SX1,SX2とシャフト103の回転軸心AXとが一致するように配置されている。
【0065】
フィン41は、回転軸心AXの径方向に複数(5つ)延在し、内側ダクト2の外面26と外側ダクト3の内面35とを連結する。これらフィン41は、例えば、回転軸心AXの径方向(放射方向)であって左右に水平にそれぞれ延出する2つと、回転軸心AXの径方向(放射方向)であって、水平に対して45度の傾斜角度で左右下方に延出する2つと、回転軸心AXの径方向(放射方向)であって、水平に対して45度の傾斜角度で右上方に延出する1つの、計5つが設けられる。本実施形態では、上記したステー40と5つのフィン41は、船体100を前進させる推進力を生じるプロペラ101の回転方向とは逆方向の流れをプロペラ101に与えるように、ひねりを付けて設けられている。本実施形態では、ステー40が支持部材だけでなくリアクションフィンとしても機能するため、ダクト装置1Fの構成を簡素化できる。
【0066】
ステー40及びフィン41は、プロペラ101が回転して船体100が前進するとき、プロペラ101の回転方向と逆方向の流れをプロペラ101に送り込む。このため、プロペラ101の後方にてプロペラ101の回転方向と同じ方向で発生する回転流が減少される。この結果、回転流によるプロペラ101の推進効率の低下が抑えられ、プロペラ101の推進性能の向上を図ることができる。
【0067】
<第7実施形態>
図10は、第7実施形態に係るダクト装置の一例を模式的に示す正面図であり、
図11は、第7実施形態の変形例に係るダクト装置の一例を模式的に示す正面図である。この
図10,11においても、各ダクト2G(2H),3(3H)の前端部21G(21H),31(31H)側から描いており、簡略化のために後端部側を省略している。また、第1実施形態で説明した構成と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
ダクト装置1Gは、
図10に示すように、内側ダクト2Gと外側ダクト3とを備える。外側ダクト3は、この外側ダクト3の軸心SX2と回転軸心AXとが一致するように配置されている。一方、内側ダクト2Gは、この内側ダクト2Gの軸心SX1が回転軸心AXに対して鉛直下方に位置するように偏心して配置されている。このように、内側ダクト2Gは、外側ダクト3に対して、鉛直下方に偏心配置されているため、内側ダクト2の前端部21Gと外側ダクト3の前端部31とで規定されるダクト間流入口7は上部側が下部側よりも広くなる。
【0069】
上述したように、一般に、海面からの深さが深い方が、水の流れが速く、深さが浅い方が、水の流れが遅い傾向にある。本実施形態では、ダクト間流入口7の上部側の開口面積を下部側よりも広くしたため、流速の遅い水の流れを、より多くプロペラ101に供給することができる。従って、プロペラ101が駆動する際の抵抗を低減でき、その分、伴流係数の向上を図り、ひいては、船舶の推進効率の向上を実現できる。
【0070】
変形例に係るダクト装置1Hは、
図11に示すように、内側ダクト2Hと外側ダクト3Hとを備え、これら内側ダクト2H及び外側ダクト3Hの軸心SX1,SX2がそれぞれ回転軸心AXに対して鉛直上方に位置するように偏心して配置されている。この構成では、内側ダクト2H及び外側ダクト3Hが鉛直上方に偏心配置されているため、内側ダクト2の前端部21Hが規定する内側ダクト流入口5は、回転軸心AXの上部側が下部側よりも広くなる。このため、本変形例においても、流速の遅い水の流れを、より多くプロペラ101に供給することができるため、プロペラ101が駆動する際の抵抗を低減でき、その分、伴流係数の向上を図り、ひいては、船舶の推進効率の向上を実現できる。
【0071】
<第8実施形態>
図12は、第8実施形態に係るダクト装置の一例を模式的に示す正面図であり、
図13は、第8実施形態の変形例に係るダクト装置の一例を模式的に示す正面図である。この
図12,13においても、各ダクト2(2J),3I(3J)の前端部21(21J),31I(31J)側から描いており、簡略化のために後端部側を省略している。また、第1実施形態で説明した構成と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0072】
ダクト装置1Iは、
図12に示すように、内側ダクト2と外側ダクト3Iとを備える。内側ダクト2は、略円筒形状の筒状体として形成され、外側ダクト3Iは、半円筒状(筒状体の一部)に形成されて、内側ダクト2(船尾管104)の上方に配置されている。内側ダクト2と外側ダクト3Iの軸心SX1,SX2は回転軸心AXと一致する。ここで、半円筒状(筒状体の一部)の軸心は、筒状体を構成した際の軸心とする。
【0073】
上述したように、一般に、海面からの深さが深い方が、水の流れが速い傾向にあり、より流れの速い水がダクト装置1Iを流れると流れ抵抗が増大するおそれがある。本実施形態では、外側ダクト3Iを、半円筒状(筒状体の一部)に形成して内側ダクト2(船尾管104)の上方に配置しているため、内側ダクト2及び外側ダクト3Iに沿って流れる際の流れ抵抗を低減することができる。このため、伴流係数の向上を図り、推進効率の向上を実現できる。
【0074】
また、変形例に係るダクト装置1Jは、
図13に示すように、内側ダクト2Jと外側ダクト3Jとを備え、これら内側ダクト2J及び外側ダクト3Jをともに半円筒状(筒状体の一部)に形成している。これら内側ダクト2J及び外側ダクト3Jは、船尾管104の上方に配置されており、内側ダクト2J及び外側ダクト3Jの軸心SX1,SX2は回転軸心AXと一致する。本変形例においても、内側ダクト2J及び外側ダクト3Jに沿って流れる際の流れ抵抗を低減することができるため、伴流係数の向上を図り、推進効率の向上を実現できる。
【0075】
本実施形態では、内側ダクト2J及び外側ダクト3I,3Jを半円筒状に形成したが、筒状体の一部として、船尾管104(回転軸心AX)の周囲の少なくとも上部に配置されているのであれば、形状を適宜変更してもよい。