(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に記載の構造のものでは、位置決め機構に相当する、スライド長孔とボルト固定孔、及びこれらを貫通するボルトが、基端部カバー体とスライドカバー体とで構成されるロータリカバーの前後二箇所に、つまり前側のほぼ中間部位、及び後側のほぼ中間部位に設けられている。
したがって、二箇所のガイド機構によってスライドカバー体を安定良く支持して、基端部カバー体に対してスライド操作できる点では有用なものである。しかしながら、スライド長孔やボルト固定孔が、前後二箇所であることにより、基端部カバー体に対してスライドカバー体が少し傾くとコジレが生じ易く、円滑なスライド操作を行い難くなる虞がある点で、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、ロータリカバーの機体左右方向での横幅を変更するに際して、基端部カバー体に対するスライドカバー体の姿勢変化を抑制して、コジレを生じる虞の少ない円滑な変更操作を行い易い歩行型管理機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における歩行型管理機は、機体左右方向に沿う回転軸心を有したロータリ耕耘爪及び前記ロータリ耕耘爪を覆うロータリカバーを有したロータリ耕耘装置を備え、前記ロータリカバーが、前記ロータリ耕耘爪の回転軌跡の外周側に位置
して上方へ突曲する円弧形状の外周部カバーと、前記ロータリ耕耘爪の横側方に位置する側部カバーと、を備え、前記外周部カバーは、機体左右方向での中央部側に位置する基端部カバー体と、前記基端部カバー体に対して機体左右方向にスライドして位置変更可能なスライドカバー体と、を備えて、機体左右方向での横幅を変更可能に構成され、前記外周部カバーの周方向
において、前記ロータリ耕耘爪の回転軸心の直上よりも機体前後方向での前側部分と後側部分との二箇所に振り分けて、前記スライドカバー体のスライド移動を許容しつつ前記スライドカバー体を前記基端部カバー体に位置決めする位置決め機構が分散配置され、
前記位置決め機構とは別に、前記スライドカバー体の前記基端部カバー体に対するスライド移動を案内するガイド機構が備えられ、
前記ガイド機構が、前記位置決め機構に対して前記位置決め機構同士の前後方向間隔よりも狭い間隔を空けて、前記位置決め機構よりも周方向端部側に配置され、前記位置決め機構及び前記ガイド機構に、前記基端部カバー体及び前記スライドカバー体のうちの一方に形成され、機体左右方向に沿って延びる長孔状の第一ガイド孔と、前記基端部カバー体及び前記スライドカバー体のうちの他方に形成され、長孔又は丸孔状の第二ガイド孔と、が備えられ、前記位置決め機構には、前記第一ガイド孔及び前記第二ガイド孔を貫通するノブボルトが備えられ、前記ガイド機構には、前記ノブボルトよりも小径の頭部径を備えて前記第一ガイド孔及び前記第二ガイド孔を貫通する連結ボルトが備えられている、という特徴構成を有している。
【0007】
本発明によれば、外周部カバーの周方向複数箇所に位置決め機構が分散配置され、その位置決め機構とは別に、スライドカバー体の基端部カバー体に対するスライド移動を案内するガイド機構が備えられている。
したがって、複数箇所の位置決め機構によるスライドカバー体のスライド移動に対する案内作用に、さらにガイド機構による案内作用も付加されるので、スライドカバー体は三箇所以上での案内作用を受け、コジレが発生し難い状況を維持しながらスライド移動させられる。これにより、ロータリカバーの機体左右方向での横幅を変更するに際して、基端部カバー体に対してスライドカバー体を円滑に位置変更し、スムースな位置変更操作を行い易いという利点がある。
しかも、ガイド機構は案内を行うだけで、位置決めの機能は必要ないものであるから、ガイド機構に代えて位置決め機構をガイド機構と同数だけ備えた場合に比べて、全体構造の簡素化を図り易い。
【0008】
また、上記構成によれば、位置決め機構よりも周方向端部側にガイド機構が配置されることにより、そのガイド機構と、ガイド機構が配置された側とは反対側に位置する位置決め機構との距離が、位置決め機構同士の間隔よりも必然的に大きくなる。
このため、基端部カバー体に対してスライドカバー体が少し傾いてコジレが発生しようとしたとき、一方の位置決め機構を基準にした場合における他方の位置決め機構部分でのスライドカバー体の変位量よりも、前記一方の位置決め機構を基準にしたガイド機構部分でのスライドカバー体の変位量が大きくなる。
したがって、例えば、ガイド機構におけるガイド孔とピン部材との融通を、位置決め機構におけるガイド孔とピン部材との融通と同程度にすれば、ガイド機構側で変位量が最大となった場合でも、位置決め機構におけるガイド孔とピン部材との融通は、未だ少し余裕がある状態に保たれる。その結果、基端部カバー体に対するスライドカバー体の傾きは、このガイド機構が存在しない場合よりも少ない範囲に制限され、コジレが生じる可能性を低減できる。
【0009】
さらにまた、本構成によれば、長孔状の第一ガイド孔と、及び長孔又は丸孔状の第二ガイド孔と、第一ガイド孔及び第二ガイド孔を貫通するピン部材とを用いて、ガイド機構を構造簡単に構成することができる。
【0010】
上記構成において、前記第一ガイド孔と前記第二ガイド孔の周辺部に、前記基端部カバー体と前記スライドカバー体との平面状の摺接面が形成されていると好適である。
【0011】
本構成によれば、互いに摺接して左右方向に相対移動する第一ガイド孔と第二ガイド孔の周辺部が、平面状の摺接面に形成されている。したがって、周方向では円弧状に形成される基端部カバー体とスライドカバー体の円弧状周面の曲率が、互いに高精度で合致するように形成されたものではなく、製作誤差等で多少の曲率の違いがあっても、周辺部の平面状摺接面で広い接触面積を保つことができる。その結果、周方向での曲率の違いによる影響の少ない状態で、円滑なスライド操作を行い得る。また、基端部カバー体とスライドカバー体とをノブボルト等で締め付けて連結固定する際にも、広い接触面で密着させ易く、強固に固定し易い。
【0012】
上記構成において、前記第一ガイド孔と前記第二ガイド孔の延設方向に沿う縦壁が、前記摺接面のうち、前記延設方向に交差する方向の両側部に設けられ、前記縦壁のうち、前記基端部カバー体及び前記スライドカバー体のうちの一方に形成される前記縦壁が、前記第一ガイド孔の全長にわたって形成され、前記基端部カバー体及び前記スライドカバー体のうちの他方に形成される前記縦壁が、前記一方に形成される縦壁よりも短いと好適である。
【0013】
上記構成によれば、第一ガイド孔と前記第二ガイド孔の延設方向に沿う縦壁が、摺接面のうちの、前記延設方向に交差する方向の両側部に設けられているので、両側部の縦壁も摺接面の一部として利用でき、前記延設方向に交差する方向の摺接面の面積としては比較的狭くコンパクトに構成し易いものでありながら、必要な摺接面積を確保し適切な案内作用を得やすい。
しかも、縦壁はガイド孔の延設方向に沿っているので、スライドカバー体のガイドとしても機能する。そして、この縦壁のガイド機能に関しても、スライドカバー体の左右方向での移動範囲の全体にわたって、ほぼ一定の状態を確保し易く、ガイド機能の大きな変化によってコジレが生じやすくなる虞も少ない。
つまり、基端部カバー体及びスライドカバー体のうちの一方に形成されるところの、第一ガイド孔の延設方向に沿う縦壁が第一ガイド孔の全長にわたって形成され、他方に形成される縦壁が、前記一方に形成される縦壁よりも短い。これにより、短い方である他方の縦壁は、長い方である一方の縦壁に対する接触面積の変化を少なくした状態で案内される。その結果、例えば他方の縦壁側でも第一ガイド孔の全長にわたるほど長く形成された縦壁を備えた場合には、基端部カバー体及びスライドカバー体の縦壁同士が実際に接触している状態の接触面積が、左右方向幅を短くした場合には最も大きくなり、左右方向幅を長くするほど減少するが、本発明の構成では、このように左右方向の移動途中で接触面積が大きく変化することはない。そのため、スライド操作が接触面積の大きな変化に伴って重くなったり、コジレが生じやすくなったりする可能性が少ない。
【0014】
【0015】
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面の記載に基づいて説明する。
尚、本実施形態での説明における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、次のように記載している。つまり、本発明を適用した歩行型管理機の作業走行時における前進側の進行方向(
図1における矢印F参照)が「前」、後進側への進行方向(
図1における矢印B参照)が「後」、その前後方向での前向き姿勢を基準としての右側に相当する方向(
図2における矢印R参照)が「右」、同様に左側に相当する方向(
図2における矢印L参照)が「左」である。
【0018】
〔全体構成〕
図1に示すように、歩行型管理機の走行機体(機体に相当する)には、機体フレーム1の一部を構成するエンジンフレーム10上に、駆動源となるエンジン11が搭載されている。エンジンフレーム10の後方側に、エンジンフレーム10とともに機体フレーム1を構成するミッションケース12が一体に連結されている。
エンジン11とミッションケース12はベルト伝動機構13を介して動力伝達可能に連動連結されている。
【0019】
エンジン11の動力が入力されるミッションケース12は、下方に延出された前部ケース12Aと、斜め後方下方に延出された後部ケース12Bとを備えて二股状に形成されている。前部ケース12Aの下部に走行輪14が車軸14aを介して支持され、後部ケース12Bに駆動軸20を介してロータリ耕耘装置2が支持されている。
【0020】
ミッションケース12の上部から斜め後方上方に主変速レバー15が延出されており、この主変速レバー15を操作することにより、走行輪14の変速操作及び正逆転操作、並びにロータリ耕耘装置2の正逆転操作を行うことができる。
【0021】
機体フレーム1を兼ねる前記ミッションケース12の後部から機体後方に向けて操縦ハンドル16が延出されている。
操縦ハンドル16の右側に作業クラッチレバー17が配設され、さらに操縦ハンドル16の後端側に上下揺動可能にテンションクラッチレバー18が配設されている。
作業クラッチレバー17は、ミッションケース12内に設けられたロータリ耕耘装置2用のクラッチ(図示せず)を断接操作するためのものである。テンションクラッチレバー18は、エンジン11からミッションケース12へのベルト伝動機構13による動力伝達を断続可能に構成されたものである。
【0022】
〔ロータリ耕耘装置〕
ロータリ耕耘装置2について説明する。
図1に示されるように、ロータリ耕耘装置2は、機体前後方向において走行輪14の後方位置に配置され、ミッションケース12の後部ケース12Bに駆動軸20を介して支持されている。
【0023】
ロータリ耕耘装置2は、耕耘爪軸21(ロータリ耕耘爪に相当する)と、ロータリカバー3と、抵抗棒22と、後カバー23とを装備している。
耕耘爪軸21は、ミッションケース12の後部ケース12Bに支持された駆動軸20のうち、ミッションケース12の左右両側に突出する軸部分に多数のナタ状の耕耘爪21aが植設されたものである。耕耘爪軸21は、駆動軸20の回転に伴って耕耘爪21aによる土壌の耕起作用を行う。
ロータリカバー3は、耕耘爪軸21の上半側を覆って、耕耘爪軸21の回転に伴って跳ね上げられる泥土の上方側及び横側方への飛散を制限するように設けられている。
抵抗棒22は、ロータリカバー3の後端側中央部に設けられ、上下位置調節可能に取り付けられている。
後カバー23は、ロータリカバー3の後端側下部から下方へ垂設された複数枚のゴム製可撓板で構成され、耕耘土の後方側への飛散を制限している。
【0024】
〔ロータリカバー〕
図2及び
図3に示されるように、ロータリカバー3は、前記耕耘爪軸21の回転軌跡の外方側に位置する円弧形状の外周部カバー3Aと、前記耕耘爪軸21の横側方に位置する側部カバー3Bと、を備えている。
外周部カバー3Aは、ミッションケース12に固定された中央部カバー体30と、その中央部カバー体30の左右両側に、上下揺動可能に取り付けられた基端部カバー体31と、その基端部カバー体31に対して左右方向で相対摺動可能に取り付けられたスライドカバー体32と、を備えている。
基端部カバー体31に対してスライドカバー体32を左右方向で相対摺動させることにより、外周部カバー3Aの機体左右方向での横幅を変更することができる。
また、スライドカバー体32の横外側端位置には、側部カバ−3Bが端部ヒンジ7を介して揺動開閉可能に取り付けられている。
【0025】
中央部カバー体30は、ミッションケース12の後部ケース12Bが嵌まり込む凹部30aを備えて、後部ケース12Bに固定されている。中央部カバー体30の後部には、耕耘爪21aによる耕深を設定する抵抗棒22が支持されている。
この中央部カバー体30の左右両側で、かつ前後方向での中間部箇所には、基端部カバー体31を連結するためのヒンジ30bが取り付けられている。
【0026】
〔基端部カバー体〕
中央部カバー体30と左右の基端部カバー体31とは、
図2及び
図3に示されるように、揺動調節機構4を介して連結され、左右の基端部カバー体31が中央部カバー体30に対して上下揺動可能に連結されている。
揺動調節機構4は、中央部カバー体30に設けた支持ブラケット40と、左右の基端部カバー体31に設けたフック41と、そのフック41と支持ブラケット40とにわたって掛け渡した左右一対の調節板42と、を備えている。
【0027】
左右の調節板42のそれぞれには、部分円弧状の調節孔43が形成されている。その調節孔43同士を重合させた状態でノブボルト44を挿通し、支持ブラケット40に備えたボルト孔(図示せず)に対してノブボルト44を締め込むことにより、左右の調節板42を締結できるように構成されている。
ノブボルト44を緩めると、左右の調節板42が調節孔43の範囲内で長さ調節され、中央部カバー体30に対する左右の基端部カバー体31の上下揺動角度を調節することができる。
【0028】
左右の調節板42は、フック41と支持ブラケット40との間隔が、左右で均等長さを保つように調節されるものに限らず、
図11に示すように左右で異なるように調節してもよい。この
図11に示す状態では、一方の調節板42は、フック41と支持ブラケット40との間隔が最長であるように調節され、他方はそれよりも短く調節することにより、左右の基端部カバー体31のうちの片方だけを持ち上げ姿勢にしている。
この場合は、持ち上げ姿勢にした片側にだけ泥土を多く排出することができる。左右の調節板42の両方を最短側に操作して、左右の基端部カバー体31の両方を持ち上げると、畝溝内を走行しながら、左右両側の畝へ泥土を跳ね飛ばすように、排出方向を制御することができる。
【0029】
〔スライドカバー体〕
基端部カバー体31の横外方側には、機体左右方向にスライドして位置変更可能なスライドカバー体32が設けられている。このスライドカバー体32は、基端部カバー体31の下方に、基端部カバー体31と上下に重なり合う状態で配置されている。さらに、スライドカバー体32は、基端部カバー体31に対して、位置決め機構5とガイド機構6とによって、スライド移動可能に、かつ、スライド移動した位置で位置決め可能に支持されている。
【0030】
位置決め機構5は、スライドカバー体32及び基端部カバー体31で構成される外周部カバー3Aにおいて、機体前後方向での前半側部分と、後半側部分との両方に設けられている。
そして、ガイド機構6は、外周部カバー3Aの機体前後方向での後半側部分において、位置決め機構5よりも周方向端部側に設けられている。
【0031】
〔位置決め機構について〕
位置決め機構5の具体構造について説明する。
機体前後方向での前半側部分に位置する位置決め機構5と、後半側部分に位置する位置決め機構5とは同一構造に形成されている。
図2乃至
図7に示すように、位置決め機構5は、基端部カバー体31の横外端部寄りに形成された第一ガイド孔50と、スライドカバー体32の第二ガイド孔51と、第一ガイド孔50及び第二ガイド孔51を貫通するノブボルト52と、遮蔽板53とを備えている。
【0032】
基端部カバー体31に形成された第一ガイド孔50は、機体左右方向に沿って延びる長孔状に形成されている。スライドカバー体32に形成された第二ガイド孔51も、機体左右方向に沿って延びる長孔状に形成されている。この実施形態では、第二ガイド孔51が第一ガイド孔50よりも少し短い長孔状に形成されている。
【0033】
図4乃至
図7に示すように、基端部カバー体31のうち、第一ガイド孔50が形成された箇所の周辺部には、平面状の摺接面50aが形成されている。そして、スライドカバー体32においても、第二ガイド孔51が形成された箇所の周辺部には、平面状の摺接面51aが形成されている。
したがって、この位置決め機構5が存在する箇所では、基端部カバー体31とスライドカバー体32とが互いに平面状の摺接面50a,51a同士を摺接させてスライド移動するように構成されている。
また、スライドカバー体32の内面側に摺接する遮蔽板53も、扁平板状に形成されていて、第一ガイド孔50及び第二ガイド孔51の下方側を覆うように設けられている。
尚、
図6及び
図7に示すように、中央部カバー体30の一部は、基端部カバー体31の左右幅方向で部分的に重複し、遮蔽板53よりも耕耘爪軸21側寄りの位置で、第一ガイド孔50の一部を下方から覆うように、横外方へ延出されている。
【0034】
基端部カバー体31の第一ガイド孔50が形成された箇所の周辺部には、第一ガイド孔50の延設方向に沿う縦壁54が、摺接面50aのうち、前記延設方向に交差する方向の両側部に設けられている。
スライドカバー体32の第二ガイド孔51が形成された箇所の周辺部には、第二ガイド孔51の延設方向に沿う縦壁55が、摺接面51aのうち、前記延設方向に交差する方向の両側部に設けられている。
【0035】
上記の縦壁54,55のうち、スライドカバー体32に形成される縦壁55が、第二ガイド孔51の全長にわたって形成され、基端部カバー体31に形成される縦壁54が、スライドカバー体32に形成される縦壁55よりも短く形成されている。これにより、縦壁54,55は、そのスライド移動範囲のうちで、両縦壁54,55が重複する範囲w1で常に重複した状態で摺動移動可能に構成されている(
図5参照)。
【0036】
〔ガイド機構について〕
ガイド機構6の具体構造について説明する。
図2乃至
図7に示すように、ガイド機構6は、基端部カバー体31の横外端部寄りに形成された第一ガイド孔60と、スライドカバー体32の第二ガイド孔61と、第一ガイド孔60及び第二ガイド孔61を貫通する連結ボルト62(ピン部材に相当する)と、遮蔽板63とを備えている。
つまり、ガイド機構6は、基本的には位置決め機構5とは同一の構造であるが、第一ガイド孔60及び第二ガイド孔61を貫通する部材が、ノブボルト52ではなく連結ボルト62である点が相違している。
【0037】
基端部カバー体31に形成された第一ガイド孔60は、機体左右方向に沿って延びる長孔状に形成されている。スライドカバー体32に形成された第二ガイド孔61も、機体左右方向に沿って延びる長孔状に形成されている。この実施形態では、第二ガイド孔61が第一ガイド孔60よりも少し短い長孔状に形成されている。
【0038】
図5は、位置決め機構5とガイド機構6との共通部分を示す斜視図である。
この
図5に示されるように、基端部カバー体31のうち、第一ガイド孔60が形成された箇所の周辺部には、平面状の摺接面60aが形成されている。そして、スライドカバー体32においても、第二ガイド孔61が形成された箇所の周辺部には、平面状の摺接面61aが形成されている。
したがって、このガイド機構6が存在する箇所では、基端部カバー体31とスライドカバー体32とが互いに平面状の摺接面60a,61a同士を摺接させてスライド移動するように構成されている。
また、スライドカバー体32の内面側に摺接する遮蔽板63も、扁平板状に形成されていて、第一ガイド孔60及び第二ガイド孔61の下方側を覆うように設けられている。
尚、このガイド機構6の存在箇所においても、中央部カバー体30の一部は、基端部カバー体31の左右幅方向で部分的に重複し、遮蔽板63よりも耕耘爪軸21側寄りの位置で、第一ガイド孔60の一部を下方から覆うように、横外方へ延出されている。
【0039】
基端部カバー体31の第一ガイド孔60が形成された箇所の周辺部には、第一ガイド孔60の延設方向に沿う縦壁64が、摺接面60aのうち、前記延設方向に交差する方向の両側部に設けられている。
スライドカバー体32の第二ガイド孔61が形成された箇所の周辺部には、第二ガイド孔61の延設方向に沿う縦壁66が、摺接面61aのうち、前記延設方向に交差する方向の両側部に設けられている。
【0040】
上記の縦壁64,65のうち、スライドカバー体32に形成される縦壁65が、第二ガイド孔61の全長にわたって形成され、基端部カバー体31に形成される縦壁64が、スライドカバー体32に形成される縦壁65よりも短く形成されている。これにより、縦壁64,65は、そのスライド移動範囲のうちで、両縦壁64,65が重複する範囲w1で常に重複した状態で摺動移動可能に構成されている(
図5参照)。
【0041】
〔端部ヒンジについて〕
端部ヒンジ7の具体構造について説明する。
スライドカバー体32の横外側端位置で、側部カバ−3Bを揺動開閉可能に取り付けるための端部ヒンジ7は、前後方向の回動中心p1を備えた支点軸70と、その支点軸70を軸線方向の複数箇所で固定支持する軸支用ブラケット71と、支点軸70を相対回転自在に保持する軸保持部72と、を備え、これらの組み合わせで構成されている。
【0042】
支点軸70は、その両端部が軸支用ブラケット71に溶接固定されており、軸支用ブラケット71は、スライドカバー体32の横外側方端部近くに備えた平坦面上に溶接固定されている。
そして支点軸70の中間部が、支点軸70を径方向から抱き込んだ状態で相対回動可能に枢支する軸保持部72によって支持されている。
軸保持部72は、
図8及び
図9に示されるように、二つ折り状に屈曲されたバネ鋼材製の弾性支持体で構成され、屈曲箇所から離れた部位に、支点軸70を抱き込む半割筒状湾曲部72aが形成され、支点軸70を相対回動自在に保持している。
【0043】
側部カバ−3Bの上部外周部分に備えたフランジ状部分33の上側に門形の台座ブラケット34が溶接固定され、軸保持部72は、この台座ブラケット34の上面側に載せ付けられた状態で取り付けられている。
つまり、台座ブラケット34の下面側に頭部を溶接固定した止めボルト73が台座ブラケット34の上面側に突出し、その止めボルト73が貫通する孔部(図示せず)を軸保持部72に形成してある。そして、軸保持部72の孔部に止めボルト73を挿通し、軸保持部72の上側から、止めボルト73に螺合する止めナット74及び座板75により押圧固定して、軸保持部72を台座ブラケット34に固定している。
このようにして、側部カバー3Bの上昇姿勢と下降姿勢との間で、支点軸70を相対回転自在に保持する軸保持部72が、側部カバー3Bの上端部に設けられている。
【0044】
上記の支点軸70は、外周部カバー3Aの機体左右方向における外端部位置であるところの、スライドカバー体32の外端部位置よりも機体左右方向での中央部側寄りの箇所に設けられている。
つまり、
図6乃至
図10に示すように、支点軸70は、明らかにスライドカバー体32の外端部位置よりも機体左右方向での中央部側寄りの箇所に位置している。そして、その回動中心p1は、スライドカバー体32の外端部位置よりも機体左右方向での中央部側寄り位置するように屈曲された側部カバ−3Bの上部外周部分に備えたフランジ状部分33の、機体左右方向での中央部側寄りの端縁の位置とほぼ合致する位置にある。
したがって、
図3に示すように側部カバー3Bを横外方へ張り出すように開放させたとき、その横外方側への張り出し量が比較的少なくて済む。すなわち、回動中心p1の位置が、スライドカバー体32の外端部位置、もしくはそれよりも外側であれば、その位置を基準にして張り出す側部カバー3Bの張り出し量も当然に大きくなるが、回動中心p1の位置がスライドカバー体32の外端部位置よりも機体左右方向での中央部側寄りであることにより、そのような不都合がない。
【0045】
側部カバ−3Bの上部外周部分に備えたフランジ状部分33のうち、門形の台座ブラケット34を取り付けてある箇所は、他の部位よりも機体左右方向での中央部側寄り位置するように、部分的に中央部側寄りに突出した突出フランジ部33aとなっている。
そして、この突出フランジ部33aに対向する位置の基端部カバー体31の機体左右方向での横外側端縁部分に、平面視で突出フランジ部33aが嵌り込むことを許すように凹入した切り欠き部31aが形成されている。この切り欠き部31aが存在することで、スライドカバー体32を最も機体左右方向の中央部側へ引き込ませた姿勢であるところの、外周部カバー3Aの最収縮姿勢で、軸保持部72のうちの機体左右方向での中央部側寄り位置する部分が機体左右方向で入り込み可能であるように構成されている。
【0047】
〔別実施形態の
1〕
実施の形態では、ガイド機構6として、外周部カバー3Aの機体前後方向での後半側部分において、位置決め機構5よりも周方向端部側の一箇所に設けられている構造のものを例示したが、この構造に限定されるものではない。
例えば、外周部カバー3Aの機体前後方向での前半側部分の位置決め機構5よりも周方向端部側の一箇所に設けたものであっても良いし、前半側部分の位置決め機構5よりも周方向端部側と、後半側部分の位置決め機構5よりも周方向端部側と、の複数箇所に設けたものであっても良い。
また、位置決め機構5よりも周方向端部側ではなく、前後の位置決め機構5同士の間に設けたものであっても良い。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0048】
〔別実施形態の
2〕
実施の形態では、位置決め機構5として、基端部カバー体31に形成された第一ガイド孔50が、機体左右方向に沿って延びる長孔状に形成され、スライドカバー体32に形成された第二ガイド孔51も、機体左右方向に沿って延びる長孔状に形成された構造のものを例示したが、必ずしもこの構造に限定されるものではない。
例えば、第一ガイド孔50と第二ガイド孔51のうち、いずれか一方を丸孔で形成してもよい。
また、第二ガイド孔51を長孔で形成した場合に、その機体左右方向での長さを、第一ガイド孔50よりも長い長孔状に形成したものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0049】
〔別実施形態の
3〕
実施の形態では、ガイド機構6として、基端部カバー体31に形成された第一ガイド孔60が、機体左右方向に沿って延びる長孔状に形成され、スライドカバー体32に形成された第二ガイド孔61も、機体左右方向に沿って延びる長孔状に形成された構造のものを例示したが、必ずしもこの構造に限定されるものではない。
例えば、第一ガイド孔60と第二ガイド孔61のうち、いずれか一方を丸孔で形成してもよい。
また、第二ガイド孔61を長孔で形成した場合に、その機体左右方向での長さを、第一ガイド孔60よりも長い長孔状に形成したものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0051】
〔別実施形態の
4〕
実施の形態では、側部カバ−3Bを揺動開閉可能に取り付けるための端部ヒンジ7において、前後方向の回動中心p1を備えた支点軸70を、軸支用ブラケット71で固定した構造のものを例示したが、この構造に限定されるものではない。
例えば、支点軸70を軸支用ブラケット71に回動可能に枢支させて、その支点軸70に側部カバ−3Bを支持させるようにした構造であってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0052】
〔別実施形態の
5〕
実施の形態では、側部カバ−3Bを揺動開閉可能に取り付けるための端部ヒンジ7において、前後方向の回動中心p1を備えた支点軸70を相対回動可能に枢支する軸保持部72が、二つ折り状に屈曲されたバネ鋼材製の弾性支持体で構成された構造のものを例示したが、この構造に限定されるものではない。
例えば、軸保持部72を単なる筒状ボス部材などで構成したものであっても良い。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0053】
〔別実施形態の
6〕
実施の形態では、側部カバ−3Bを揺動開閉可能に取り付けた構造のものを例示したが、この構造に限定されるものではなく、側部カバ−3Bが外周部カバー3Aに固定された構造のものであっても良い。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。