特許第6811704号(P6811704)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6811704
(24)【登録日】2020年12月17日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】刈草量検出装置
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/64 20060101AFI20201228BHJP
   A01D 43/063 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
   A01D34/64 A
   A01D43/063
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-252063(P2017-252063)
(22)【出願日】2017年12月27日
(65)【公開番号】特開2019-115314(P2019-115314A)
(43)【公開日】2019年7月18日
【審査請求日】2019年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】徳永 達朗
(72)【発明者】
【氏名】赤井 勇斗
(72)【発明者】
【氏名】山下 信行
(72)【発明者】
【氏名】永石 祥一朗
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−4799(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第687407(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/64
A01D 43/063
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集草容器に形成された検出開口に嵌め込む位置に配置され、軸芯を中心に揺動自在に前記集草容器に支持されるセンサ板と、
前記センサ板を閉じ方向に付勢する付勢部材と、
前記集草容器に収容された刈草の重量により前記付勢部材の付勢力に抗して前記センサ板が揺動した際の揺動を検知する検知部とを備えると共に、
前記センサ板が、刈草の重量の作用により揺動端が前記検出開口の外方に張り出す構造であり、前記検出開口の開口縁のうち前記集草容器の内面側に対し、前記揺動端の方向に向かう刈草の移動を規制する規制部材を備えている刈草量検出装置。
【請求項2】
前記付勢部材の付勢力により前記センサ板が閉塞姿勢にある場合に、前記検出開口の開口縁の外面側に重複する遮蔽体が前記センサ板の前記揺動端に備えられている請求項1に記載の刈草量検出装置。
【請求項3】
前記軸芯が水平姿勢で前記センサ板の下部に配置され、
前記センサ板のうち左右方向での側端部と、前記検出開口の開口縁のうち前記側端部に対向する部位との一方に対し、柔軟に変形し得る材料で成る漏出抑制部材を備えている請求項1又は2に記載の刈草量検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草刈機において集草容器に収容された刈草の量を検出する刈草量検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記構成の刈草検出装置として特許文献1には、草刈機に備えた集草容器に揺動自在にセンサ板を備え、このセンサ板を閉じ方向に付勢するスプリングを備えており、集草容器に収容された刈草の重量によってセンサ板が所定の揺動姿勢に達した際に検出手段が検出状態に達する技術が記載されている。
【0003】
この特許文献1の刈草量検出装置は、集草容器に形成した検出孔にセンサ板を嵌め込み、このセンサ板の一端を枢支軸により揺動自在に支持し、このセンサ板を閉じた状態の基準姿勢に付勢するようにスプリングの付勢方向が設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−4799公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載される刈草量検出装置では、集草容器に収容される刈草の量が少ない場合には、センサ板が基準姿勢(閉じ姿勢)に維持される。そして、収容される刈草量が増大した場合には、刈草の重量によってセンサ板の揺動端が検出孔の開口縁から外方に張り出す姿勢に達する。
【0006】
しかしながら、刈草量の増大に伴いセンサ板の揺動端が検出孔の開口縁から外方に張り出す状態では、検出孔の開口縁とセンサ板の揺動端との間に隙間が形成され、この隙間から刈草の一部が外部に漏れ出す不都合に繋がるものであった。
【0007】
このような不都合を解消するために、例えば、検出孔の開口縁の上部に対して外方に突出する庇状の突出部を形成することも考えられるが、刈草の漏出を抑制するため庇状の突出部の下面と、センサ板の揺動端とのクリアランスを小さくした場合には、庇の下面とセンサ板の揺動端との間に刈草が挟み込まれセンサ板の円滑な揺動を損なうことも想像された。
【0008】
このような理由から、刈草の収容量を検知するセンサ板が揺動する構成であっても刈草の漏出を抑制する刈草量検出装置が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の特徴は、集草容器に形成された検出開口に嵌め込む位置に配置され、軸芯を中心に揺動自在に前記集草容器に支持されるセンサ板と、
前記センサ板を閉じ方向に付勢する付勢部材と、
前記集草容器に収容された刈草の重量により前記付勢部材の付勢力に抗して前記センサ板が揺動した際の揺動を検知する検知部とを備えると共に、
前記センサ板が、刈草の重量の作用により揺動端が前記検出開口の外方に張り出す構造であり、前記検出開口の開口縁のうち前記集草容器の内面側に対し、前記揺動端の方向に向かう刈草の移動を規制する規制部材を備えている点にある。
【0010】
この特徴構成によると、集草容器に収容された刈草の量が増大し、この刈草の重量によりセンサ板が軸芯を中心に揺動する際には、検出開口から外方に向けてセンサ板の揺動端が張り出す状況にあっても、検出開口の開口縁に沿ってセンサ板の揺動端の方向に流れようとする刈草を規制部材が規制する。このように刈草の流れが規制されることにより、刈草の一部が検出開口の開口縁とセンサ板の揺動端との間に隙間が形成されても刈草が隙間から漏出する現象を抑制できる。
つまり、刈草は所定の長さを有するため、集草容器の内部では多数の刈草が絡み合った状態にある。また、隙間から刈草が漏出する際には、絡み合った状態の複数の刈草が隙間の方向に流れるように移動する。このような理由から規制部材を検出開口の開口縁において刈草がセンサ板の揺動端に流れる現象を規制するだけで、刈草の隙間からの漏出を抑制できる。
従って、刈草の収容量を検知するセンサ板が揺動する構成であっても刈草の漏出を抑制する刈草量検出装置が構成された。
【0011】
他の構成として、前記付勢部材の付勢力により前記センサ板が閉塞姿勢にある場合に、前記検出開口の開口縁の外面側に重複する遮蔽体が前記センサ板の前記揺動端に備えられても良い。
【0012】
これによると、刈草の重量によってセンサ板が揺動し、センサ板の揺動端と、検出開口の開口縁との間に隙間が形成され、この隙間を刈草が通過することがあっても、この刈草は遮蔽体に接触することになり、刈草の外部への漏出を抑制できる。
【0013】
他の構成として、前記軸芯が水平姿勢で前記センサ板の下部に配置され、
前記センサ板のうち左右方向での側端部と、前記検出開口の開口縁のうち前記側端部に対向する部位との一方に対し、柔軟に変形し得る材料で成る漏出抑制部材を備えても良い。
【0014】
これによると、漏出抑制部材を備えることにより、センサ板の側端部と、検出開口のうちセンサ板の側端部に対向する開口縁部との間の隙間を埋めるように漏出抑制部材を配置できる。これにより、センサ板の側端部と検出開口との隙間から刈草が漏出を抑制できる。特に、漏出抑制部材が柔軟に変形し得る材料が用いられるため、例えば、ゴム板やブラシ状部材を用い、この材料をセンサ板の側端部と検出開口との隙間を埋めるように配置することにより、刈草の漏出を一層良好に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】草刈機の全体図である。
図2】刈草回収装置の側面図である。
図3】排出姿勢にある刈草回収装置の側面図である。
図4】センサ板が基準姿勢にある草量検出装置の断面図である。
図5】センサ板が検知姿勢にある草量検出装置の断面図である。
図6】基準姿勢にあるセンサ板と規制部材と漏出抑制部材とを示す断面図である。
図7】検知姿勢にあるセンサ板と規制部材と漏出抑制部材とを示す断面図である。
図8】センサ板の部位を示す後面図である。
図9】センサケースとセンサ板との構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1は、草刈機100の全体側面図である。同図に示すように、Fは自走車の「前方向」、Rは自走車の「後方向」、Uは自走車の「上方向」、Dは自走車の「下方向」を示している。
【0017】
図1に示すように、草刈機100は、車体に左右一対の操向操作自在な前車輪1と、左右一対の駆動自在な後車輪2とを備え、車体の運転部に運転座席3を備えた乗用型の自走車として構成されている。この自走車の車体フレーム4の前車輪1と後車輪2との間にリンクユニット10で支持される草刈装置20を備えている。更に、車体フレーム4の後部に支持フレーム31を介して刈草回収装置30を備え、刈草回収装置30は刈草を収容する集草容器32を有している。
【0018】
この草刈機100は、走行に伴い芝や草を刈り込む草刈り作業を行う。すなわち、自走車は、車体前部にエンジン5を設けており、このエンジン5の駆動力を変速装置17と左右の伝動ケース18とを介して左右の後車輪2に伝える走行駆動系を備えると共に、エンジン5の駆動力をエンジン5の下方の動力取出機構40から草刈装置20に伝える作業駆動系を備えている。
【0019】
〔作業駆動系と草刈装置〕
図1に示すように、動力取出機構40は、入力軸41を有し、この入力軸41にエンジン5の駆動力が伝動ベルト42を介して伝えられる。入力軸41の駆動力は油圧操作式の作業クラッチ45を介して動力取出軸43に伝達され、この動力取出軸43の駆動力が伝動軸46を介して草刈装置20の刈刃駆動機構22に伝えられる。
【0020】
リンクユニット10は、車体フレーム4に上下揺動自在に支持された左右一対の前揺動リンク11と、車体フレーム4に上下揺動自在に支持された左右一対の後揺動リンク12と、左右一対の連動リンク13とを備えている。
【0021】
左右の前揺動リンク11の作動端部が、草刈装置20の刈刃ハウジング21の前連結部材23に連結され、左右一対の後揺動リンク12の作動端部が、刈刃ハウジング21の後連結部材24に連結される。左側の連動リンク13は、左側の前揺動リンク11と後揺動リンク12とに連係し、右側の連動リンク13は、右側の前揺動リンク11と後揺動リンク12とに連係する。左右一対の前揺動リンク11が回転軸14に連結することにより、この左右の前揺動リンク11が一体揺動するように構成され、一方の前揺動リンク11にリフトシリンダ15の駆動力が伝えられる。
【0022】
この構成から、リンクユニット10は、リフトシリンダ15の駆動力により左右一対の前揺動リンク11が一体に揺動し、左右の前揺動リンク11の作動端部と、左右の後揺動リンク12の作動端とが、車体フレーム4に対して上下に変位する結果、草刈装置20の昇降が実現する。
【0023】
草刈装置20は、刈刃ハウジング21の前後側の左右位置に接地ゲージ輪25を備え、刈刃ハウジング21の内部に二枚の刈刃26を横方向に並列して備えている。また、刈刃ハウジング21に刈刃駆動機構22を備えており、この刈刃駆動機構22からの駆動力により各々の刈刃26が駆動される。
【0024】
草刈装置20は、各々の刈刃26が駆動回転することにより草の刈り取りを行う。また、刈刃26の駆動回転に伴って発生する風の流れによって刈草を排出する刈草排出ダクト27を刈刃ハウジング21の上部から後方に亘って形成している。この刈草排出ダクト27は自走車に左右一対の後車輪2の間を車体前後方向に通過する位置に配置され、刈刃ハウジング21から排出された刈草が集草容器32に送り込まれる。
【0025】
このような構成から、草刈機100は、作業クラッチ45を伝動状態に設定することで各々の刈刃26が駆動回転する状態で草刈装置20を下降させ、この下降状態において自走車を走行させることにより、前後側に接地ゲージ輪25が接地する状態で草の刈り取りが行われる。そして、刈り取られた刈草は、刈刃26からの風による搬送作用により刈草排出ダクト27から集草容器32に送り込まれ、この集草容器32に回収される。
【0026】
〔刈草回収装置と集草容器〕
図1図3に示すように、刈草回収装置30は、自走車の後端に備えた左右一対の支持フレーム31と、この支持フレーム31に支持されるリンク機構33と、リンク機構33を駆動する左右一対の昇降シリンダ34と、集草容器32の姿勢を制御する単一のダンプシリンダ35とを備えている。
【0027】
リンク機構33は、左右各々の支持フレーム31の上側に揺動自在に支持される左右一対のトップリンク33aと、左右各々の支持フレーム31の下側に揺動自在に支持される左右一対のロアーリンク33bと、一対のトップリンク33aおよび一対のロアーリンク33bの揺動端に支持される容器支持体33cとを備えている。
【0028】
容器支持体33cは、集草容器32の後部位置に対し横向き姿勢の回転支軸36を介し回転自在に連結している。左右の昇降シリンダ34は左右の支持フレーム31と左右のロアーリンク33bとの間に介装されている。ダンプシリンダ35は、回転支軸36と一体回転するアーム部と容器支持体33cとの間に介装されている。
【0029】
集草容器32は、左右の側壁と天井壁と底壁とに空気の流通を許す網状の材料が用いられている。また、集草容器32の前端に刈草投入口32cが配置され、刈草排出ダクト27で供給される刈草が刈草投入口32cに投入される。集草容器32の後端に刈草排出口32bが配置され、この後端位置には刈草排出口32bを開閉する蓋体32aが配置されている。
【0030】
集草容器32の左右の容器フレーム32fに対し連結ピン39aを介して横向き姿勢の支持軸芯を中心に揺動自在に支持アーム39が支持され、この支持アーム39の後端に蓋体32aが備えられている。支持アーム39の前端と容器支持体33cとの間に開閉リンク37が備えられている。
【0031】
図1図2には、刈草を回収する姿勢にある集草容器32を示している。この姿勢では、左右の昇降シリンダ34が収縮状態にあり、ダンプシリンダ35が収縮状態にある。この状態で刈り取り作業を行うことにより草刈装置20で刈り取られた刈草が、刈刃26の駆動回転に伴って発生する風の流れとともに刈草排出ダクト27から刈草投入口32cを介して集草容器32に送り込まれ、空気は集草容器32の網状部から排出され、刈草は集草容器32に回収される。
【0032】
また、集草容器32に収容された刈草を排出する場合には、図3に示すように、左右の昇降シリンダ34を伸長作動させることでリンク機構33の作動により集草容器32を自走車の後方上方に作動させつつ集草容器32の刈草排出口32bを下側に向ける。これに続いてダンプシリンダ35を伸長作動させることで開閉リンク37の作動により蓋体32aが開放し、刈草排出口32bから刈草が自重により排出される。
【0033】
〔刈草量検出装置〕
図1図2に示すように、集草容器32の前部で刈草投入口32cの下部位置に刈草量検出装置60を備えている。自走車は、刈草量検出装置60で集草容器32が満杯状態に達したことを検知した場合に、図1に示す運転パネル50に備えた満杯警報ランプ51を点灯させることにより満杯状態に達したことを作業者に認識させる。
【0034】
図4図9に示すように、集草容器32の前部で刈草投入口32cの下部にセンサケース61を備えている。刈草量検出装置60は、センサケース61の前壁部61fの検出開口61aに嵌め込まれるセンサ板62と、センサ板62の下端部を支持する横向き姿勢の軸体71と、センサ板62を閉塞姿勢の方向に付勢する付勢部材としてのコイル型のスプリング65を備えている。更に、センサ板62の設定姿勢まで揺動したことを検知する検知部としての検知スイッチ66とを備えている。
【0035】
センサケース61は、左右の側壁部61sと、底壁部61bと、前壁部61fとを備えており、前壁部61fに矩形の検出開口61aが形成されている。前壁部61fは、下端部を基準にして上端部が前側に所定量だけ変位する傾斜姿勢であり、図4に示すように、センサ板62が基準姿勢A(閉塞姿勢)にある場合には、このセンサ板62が前壁部61fに沿う姿勢となる。
【0036】
センサケース61の前壁部61fの下部で検出開口61aの外側(左右)位置に前側に突出する板状のブラケット61cを備え、前側に突出し各々のブラケット61cの内側に配置される板状の支持プレート70をセンサ板62に備えている。ブラケット61cと支持プレート70との各々に形成された貫通孔に軸体71を遊嵌状態で備えることにより、軸体71の軸芯Xを中心にセンサ板62が揺動自在に支持される。尚、軸芯Xは、左右方向に沿う水平姿勢である。
【0037】
センサ板62は、基準姿勢Aにおいて揺動端側(上部側)ほど検出開口61aに深く入り込むように構成された受圧体62aと、この受圧体62aの上端側において前側に折曲げて形成した上壁体62bと、受圧体62aの左右方向での両側部に取付られた板状の側壁体62c(センサ板62の側端部の一例)とを備えている。前述した支持プレート70は、左右の側壁体62cの下端位置において、側壁体62cと一体形成されている。
【0038】
また、基準姿勢Aにおいて前壁部61fに当接することでセンサ板62の姿勢を決める規制体62dを側壁体62cに形成している。更に、左右の規制体62dを繋ぐ領域で、上壁体62bと隙間のなく配置される遮蔽体75を備えている。この遮蔽体75は、センサ板62が基準姿勢A(閉塞姿勢)にある場合に、検出開口61aの開口縁のうち上側の外側に重複するように、センサ板62の揺動端に備えられている。
【0039】
検知スイッチ66は、センサケース61の一方の側壁部61sの外面に備えられ、この検知スイッチ66を操作する当接体62eをセンサ板62前面側から外方に張り出す姿勢で設けている。この検知スイッチ66は、検知スイッチ66の被操作部に当接体62eが当接する状態でOFF状態となり、被操作部から当接体62eが離間した際にON状態となる機能のものが使用されている。
【0040】
センサ板62の前面側にスプリング65の一方の端部を係止する係止アーム63を備え、センサケース61の上部位置にはスプリング65の他方の端部を保持する保持部材72を備えている。係止アーム63には複数の係止部63aが形成され、この係止部63aの何れか1つを選択してスプリング65を備えることにより、センサ板62に閉塞姿勢に向けて作用する付勢力の調節が可能となる。
【0041】
このような構成であるため、集草容器32に回収される刈草の量が増大した場合には、刈草の重量がセンサ板62の受圧体62aに作用するため、センサ板62はスプリング65の付勢力に抗して軸芯Xを中心に上端側(揺動端)が前方(外方)に張り出す形態で揺動する。
【0042】
図5図7には検出姿勢Bに達したセンサ板62を示しており、センサ板62の揺動量が所定量に達した場合に検知スイッチ66が検出状態に達し、この検出に基づいて満杯警報ランプ51が点灯するため、集草容器32での刈草の回収量が所定値に達したことを作業者が認識できる。尚、図面に示した検出姿勢Bは検知スイッチ66が検出状態に達するに充分な量だけ揺動した姿勢を示している。
【0043】
この刈草量検出装置60では、センサ板62の上壁体62bと、検出開口61aの上部の開口縁との間に僅かに隙間が形成される。また、センサ板62を構成する側壁体62c(センサ板62の側端部)の外面と、検出開口61aの左右方向での開口縁との間にも隙間が形成されている。更に、刈草排出ダクト27から集草容器32に供給される空気の圧力がセンサ板62の部位に作用するため、自走車の走行に伴う振動や、空気の圧力の作用によりセンサ板62が基準姿勢Aにあっても検出開口61aの上部位置や、隙間から刈草が漏出することもあった。この刈草の漏出はセンサ板62が刈草の圧力により揺動する際に一層顕著になる。
【0044】
この漏出を抑制するため、センサ板62の揺動端側(上端側)に前述した遮蔽体75を備えている。また、センサ板62の揺動端側(上端側)からの刈草の漏出を抑制するため、センサケース61の内部には、検出開口61aの上部の開口縁の方向に刈草が移動する現象を抑制する規制部材76を備えている。更に、側壁体62cの外面(側端部)には、ブラシで成る漏出抑制部材77を備えている。
【0045】
図6図9に示すように、前壁部61fのうち受圧体62aの両側部に隣接する位置の前壁内面61frに規制部材76が備えられる。この規制部材76は、基部76aと、前壁内面61frに対して直交する姿勢となるように立ち上がる規制部76bと、傾斜部76cとが一体形成されている。
【0046】
この規制部材76は、側面視で基部76aが前壁内面61frに対してスポット溶接等により固定され、センサ板62の受圧体62aの揺動端より下側に規制部76bを配置し、この規制部76bより上側に傾斜部76cが配置されるように、前壁内面61frの開口縁に沿って配置されている。
【0047】
図9に示すように、漏出抑制部材77は、ベルト状部77aの一方の面に多数の繊維77bが起立するように備えている。図8に示すように、漏出抑制部材77は、ベルト状部77aを、左右の側壁体62cの各々の外面にビスやリベット等で固定することや、接着剤を用いて固定しており、繊維77bを検出開口61aの左右の開口縁のうち対向する部位に軽く接触させる状態で備えられる。
【0048】
そして、遮蔽体75を備えることにより、センサケース61の検出開口61aの上端の開口縁と、センサ板62の揺動端との間の隙間から刈草が漏出する場合には、刈草が遮蔽体75に接触することで漏出が抑制される。
【0049】
このように、規制部材76を備えることにより、センサケース61の内部においてセンサ板62の揺動端の方向に移動しようとする刈草は規制部材76の規制部76bに接触することにより、センサ板62の揺動端の方向への移動が規制される。つまり、刈草は、所定の長さを有し、多くの刈草が絡みあった状態で存在するため、規制部材76を備えることによりセンサケース61の内部において刈草がセンサ板62の揺動端の方向へ移動する現象を規制することになり、このように移動が規制されることにより刈草が隙間に達する現象を抑制し漏出の防止を実現する。
【0050】
更に、漏出抑制部材77は、センサ板62の左右の側壁体62cの外面と、センサケース61の検出開口61aの左右の開口縁との間の隙間を漏出抑制部材77が埋める状態で配置される。これにより、この隙間に向けて刈草が移動する現象を漏出抑制部材77が阻止できる。
【0051】
〔実施形態の作用効果〕
このように、刈草量検出装置60が、センサケース61の検出開口61aにセンサ板62を嵌め込み、集草容器32に回収された刈草の重量の作用によりセンサ板62を、下側の軸芯Xを中心に揺動させ、この揺動量から刈草の回収量の検知が可能となる。
【0052】
また、この構成では、検出開口61aにセンサ板62を揺動自在に嵌め込んだ構成であるため検出開口61aの開口縁とセンサ板62の外周との間に隙間が形成される。特に、センサケース61の内面で左右の前壁部61fのうち左右の前壁内面61frに規制部材76を備えることにより、センサ板62が基準姿勢Aより前方に揺動することによりセンサ板62の上端から刈草が漏出しやすい状況に陥っても、規制部材76が刈草の漏出を抑制する。更に、センサ板62の上端からの刈草の漏出を遮蔽体75が漏出を抑制する。
【0053】
漏出抑制部材77は、センサ板62の左右の側壁体62cの外面と、センサケース61の検出開口61aの左右の開口縁との間の隙間を漏出抑制部材77が埋める状態であるため、この隙間からの刈草の漏出を抑制する。
【0054】
このように遮蔽体75と、規制部材76とはセンサ板62の揺動時に、揺動を妨げることがないため、センサ板62の円滑な作動を可能にする。また、漏出抑制部材77はセンサ板62の作動時に、検出開口61aの開口縁に軽く接触する程度のものであるためセンサ板62の円滑な作動を妨げることもない。
【0055】
特に、遮蔽体75と、規制部材76と、漏出抑制部材77とを備えることによって刈草の漏出を抑制するため、センサ板62と、検出開口61aとの隙間を小さくするように設計する必要がなく、センサ板62とセンサケース61との製造に高い精度を要求されることがなく、製造が容易となる。
【0056】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
【0057】
(a)規制部材76として、側面視で鋸歯状となる複数の規制部76bを備えて構成する。このように構成することにより、センサケース61の内部での刈草の流れを一層良好に抑制し、刈草の漏出を抑制する。
【0058】
(b)漏出抑制部材77を、センサケース61の検出開口61aのうち、センサ板62の側壁体62cに対向する開口縁部に支持する。この構成では、例えば、漏出抑制部材77が実施形態と同様にブラシで構成する場合には、ベルト状部77aを開口縁部に固定し、多数の繊維77bを側壁体62cに接触させる形態で配置することになる。尚、漏出抑制部材77をセンサ板62の側壁体62cの外面(側端部)と、センサケース61の検出開口61aとの双方に備えても良い。
【0059】
(c)漏出抑制部材77として、柔軟に変形し得るゴム材料や樹脂材料で成るシール部材を用いる。このように柔軟に変形し得る材料で成る漏出抑制部材77を用いても、一層良好に刈草の漏出を抑制する。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、草刈機等において集草容器に収容された刈草の量を検出する刈草量検出装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0061】
32 集草容器
61a 検出開口
62 センサ板
62c 側端部
65 スプリング(付勢部材)
66 検知スイッチ(検知部)
75 遮蔽体
76 規制部材
77 漏出抑制部材
A 基準姿勢(閉塞姿勢)
X 軸芯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9