(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
セラミック原料、及び水を含有する原料組成物から構成され、一方の端面である第1端面から他方の端面である第2端面まで延びる複数のセルを区画形成するセル壁を備える未焼成のハニカム成形体の乾燥方法であって、
前記未焼成のハニカム成形体の中心部の温度を100℃以下に維持しながら前記未焼成のハニカム成形体について誘電乾燥を行い、前記未焼成のハニカム成形体が乾燥前に含む全水分の30〜57%の水分を除去した第1次乾燥ハニカム成形体を得る誘電乾燥工程と、
前記誘電乾燥工程によって得られた前記第1次乾燥ハニカム成形体についてマイクロ波乾燥を行って残余の水分を除去したハニカム乾燥体を得るマイクロ波乾燥工程と、を有するハニカム成形体の乾燥方法。
前記誘電乾燥工程に供する前記未焼成のハニカム成形体は円柱状であり、前記未焼成のハニカム成形体の端面における直径が50〜200mmであり、前記未焼成のハニカム成形体の前記セルの延びる方向の長さが150〜350mmであり、前記未焼成のハニカム成形体の前記セル壁の厚さが50〜350μmである請求項1または2に記載のハニカム成形体の乾燥方法。
セラミックス材料に添加剤を加えて得られた原料を混練し、坏土とした後、前記坏土をハニカム形状に押出成形して、ハニカム成形体を作製するハニカム成形体作製工程と、
作製した前記ハニカム成形体を、請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカム成形体の乾燥方法によって乾燥してハニカム乾燥体を得る乾燥工程と、
得られた前記ハニカム乾燥体を焼成し、ハニカム構造体を得る焼成工程と、を有するハニカム構造体の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載のハニカム構造体の乾燥方法のように誘電乾燥またはマイクロ波乾燥のみを用いて乾燥させる方法であると、以下の問題がある。即ち、例えばコージェライト製のハニカム成形体の乾燥工程において、誘電乾燥及びマイクロ波乾燥では各々加熱分布を持って乾燥が進行していく。そのため、ハニカム成形体の一方の端部、他方の端部、及び、これらの中間部における寸法に大きな差異が生じた状態で乾燥が進むことになる。その結果、得られるハニカム乾燥体は、規定の寸法に収まらないことがある。そのため、ハニカム乾燥体において外周部を研削するなどの方法により寸法を調整する手間が増え、最終的な製品であるハニカム構造体の生産性の低下や生産が困難となるという問題が生じてしまうことがある。
【0007】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものである。本発明は、乾燥中におけるハニカム成形体内の温度分布のバラツキが小さく均一に乾燥でき、良好な品質のハニカム乾燥体を生産性良く得ることができるハニカム成形体の乾燥方法及びハニカム構造体の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1] セラミック原料、及び水を含有する原料組成物から構成され、一方の端面である第1端面から他方の端面である第2端面まで延びる複数のセルを区画形成するセル壁を備える未焼成のハニカム成形体の乾燥方法であって、前記未焼成のハニカム成形体の中心部の温度を100℃以下に維持しながら前記未焼成のハニカム成形体について誘電乾燥を行い、前記未焼成のハニカム成形体が乾燥前に含む全水分の30〜
57%の水分を除去した第1次乾燥ハニカム成形体を得る誘電乾燥工程と、前記誘電乾燥工程によって得られた前記第1次乾燥ハニカム成形体についてマイクロ波乾燥を行って残余の水分を除去したハニカム乾燥体を得るマイクロ波乾燥工程と、を有するハニカム成形体の乾燥方法。
【0009】
[2] 前記誘電乾燥工程に供する前記未焼成のハニカム成形体の乾燥前の含水率が、20〜60%である前記[1]に記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【0010】
[3] 前記誘電乾燥工程に供する前記未焼成のハニカム成形体は円柱状であり、前記未焼成のハニカム成形体の端面における直径が50〜200mmであり、前記未焼成のハニカム成形体の前記セルの延びる方向の長さが150〜350mmであり、前記未焼成のハニカム成形体の前記セル壁の厚さが50〜350μmである前記[1]または[2]に記載のハニカム成形体の乾燥方法。
【0011】
[4] セラミックス材料に添加剤を加えて得られた原料を混練し、坏土とした後、前記坏土をハニカム形状に押出成形して、ハニカム成形体を作製するハニカム成形体作製工程と、作製した前記ハニカム成形体を、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム成形体の乾燥方法によって乾燥してハニカム乾燥体を得る乾燥工程と、得られた前記ハニカム乾燥体を焼成し、ハニカム構造体を得る焼成工程と、を有するハニカム構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明のハニカム成形体の乾燥方法によれば、乾燥中におけるハニカム成形体内の温度分布のバラツキが小さく均一に乾燥でき、良好な品質のハニカム乾燥体を生産性良く得ることができる。
【0013】
本発明のハニカム構造体の製造方法によれば、良好な品質のハニカム構造体を生産性良く得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0016】
(1)ハニカム成形体の乾燥方法:
本発明のハニカム成形体の乾燥方法は、セラミック原料、及び水を含有する原料組成物から構成され、一方の端面である第1端面11から他方の端面である第2端面12まで延びる複数のセル2を区画形成するセル壁1を備える未焼成のハニカム成形体100の乾燥方法である。つまり、本発明のハニカム成形体の乾燥方法は、未焼成のハニカム成形体に対して、乾燥を行う方法である。具体的には、本発明のハニカム成形体の乾燥方法は、乾燥していない未焼成のハニカム成形体(即ち、水分を含み粘土状のハニカム成形体)から乾燥した未焼成のハニカム成形体(ハニカム乾燥体)を製造する方法である。なお、未焼成のハニカム成形体とは、セラミック原料の粒子が、原料組成物をハニカム形状に成形したときの粒子形状を維持した状態で存在し、セラミック原料が焼結していない状態のものをいう。
図1は、本発明のハニカム成形体の乾燥方法における乾燥対象の一実施形態を模式的に示す斜視図である。
【0017】
本発明のハニカム成形体の乾燥方法は、誘電乾燥工程とマイクロ波乾燥工程とを有している。誘電乾燥工程は、未焼成のハニカム成形体の中心部の温度を100℃以下に維持しながら未焼成のハニカム成形体について誘電乾燥を行い、未焼成のハニカム成形体の全水分の30〜
57%の水分を含む第1次乾燥ハニカム成形体を得る工程である。また、マイクロ波乾燥工程は、誘電乾燥工程によって得られた第1次乾燥ハニカム成形体についてマイクロ波乾燥を行ってハニカム乾燥体を得る工程である。
【0018】
このようなハニカム成形体の乾燥方法によれば、誘電乾燥とマイクロ波乾燥の配分を最適に決定することで、乾燥中におけるハニカム成形体内の温度分布のバラツキが小さくなる。そのため、得られるハニカム乾燥体の寸法(セルの延びる方向の寸法)のバラツキが改善される。その結果、製品の品質が確保し易くなり、生産性が向上する。
【0019】
(1−1)誘電乾燥工程:
本工程においては、未焼成のハニカム成形体が乾燥前に含む全水分の30〜
57%の水分を除去した第1次乾燥ハニカム成形体を得る。即ち、未焼成のハニカム成形体が乾燥前に含む全水分の30〜
57%の水分が除去された段階で本工程は終了となり、マイクロ波乾燥工程に移行することになる。誘電乾燥は、製品の中央部から加熱し、マイクロ波乾燥は外表面から加熱される。どちらか一方の乾燥方法のみで乾燥させると、加熱が中央部又は外表面に集中する。そこで、両乾燥方法を組合せることにより、中央部と外表面との温度差を小さくすることができる。但し、先にマイクロ波乾燥を行うと、外表面が先に加熱されることによって外皮(外表面)からの乾燥収縮が生じるので、製品(ハニカム成形体)内部に圧力が加わりセルの変形が発生する。
【0020】
図2は、本発明のハニカム成形体の乾燥方法における第1次乾燥ハニカム成形体の含水率と円筒度との関係を示すグラフである。なお、円筒度は、ハニカム乾燥体を、そのセルの延びる方向(
図1中のX方向)に複数の位置で寸法(外径(
図1中の符号Y参照))を測定したときの最大寸法と最小寸法との差を意味する。
【0021】
第1次乾燥ハニカム成形体の含水率が上記範囲内であるか否かについては、以下のように判断する。乾燥前の未焼成のハニカム成形体の含水率は、湿式混合粉を赤外線加熱式水分計で測定することにより算出する。第一次乾燥ハニカム成形体の含水率については、乾燥前の未焼成ハニカム成形体の重量及び誘電乾燥後のハニカム成形体(第1次乾燥ハニカム成形体)の重量を測定し、飛散した水分の量から計算する。このようにして未焼成のハニカム成形体が乾燥前に含む全水分の30〜
57%の水分が除去された第1次乾燥ハニカム成形体を得ることができる。なお、予め複数の乾燥条件で誘電乾燥を行い、第1次乾燥ハニカム成形体の含水率が上記範囲内となる条件を確認しておくことができる。
【0022】
第1次乾燥ハニカム成形体は、上記のように、未焼成のハニカム成形体が乾燥前に含む全水分の30〜
57%の水分を除去したものであることが必要である。そして
、第1次乾燥ハニカム成形体は、未焼成のハニカム成形体が乾燥前に含む全水分の40〜50%の水分を除去したものであること
が好ましい。
【0023】
本工程においては、未焼成のハニカム成形体の中心部の温度を100℃以下に維持しながら未焼成のハニカム成形体について誘電乾燥を行うことが必要である。このように未焼成のハニカム成形体の中心部の温度を100℃以下に維持することにより、未焼成のハニカム成形体において局所的に乾燥してしまう部分の発生を防止することができる。局所的に乾燥してしまう部分が発生すると、その部分において熱応力が生じてクラックが発生し易くなるためである。なお、未焼成のハニカム成形体の中心部の温度を測定するのは、誘電乾燥においてこの中心部が最も温度が高いためである。即ち、この中心部が100℃以下であれば、その他の部分も100℃以下となるためである。未焼成のハニカム成形体の中心部の温度は、光ファイバー温度計により測定した値である。
【0024】
本工程において、未焼成のハニカム成形体の中心部の温度を100℃以下に維持しながら未焼成のハニカム成形体について誘電乾燥を行う条件は、適宜決定することができる。具体的には、予備試験で小型測温装置を製品(乾燥前の未焼成のハニカム成形体)に埋め込み、中心部の温度を100℃以下に保つことができる乾燥機の出力及び乾燥時間を決定する。誘電乾燥を行う条件は、このようにして設定することができる。
【0025】
含水率は、製品の要求特性によって異なるので、含水率に応じて乾燥機の出力及び乾燥時間を設定する。対応可能な含水率は20〜60%の範囲にある。なお、「未焼成のハニカム成形体」の含水率は、湿式混合粉を赤外線加熱式水分計にて測定した値である。
【0026】
本工程である未焼成のハニカム成形体の誘電乾燥では、一般的に10〜50MHzの周波数が用いられる。
【0027】
(1−1−1)未焼成のハニカム成形体の成形:
未焼成のハニカム成形体は、従来公知の方法で作製できる。具体的には、まず、セラミック原料及び水を含有する原料組成物を成形して、一方の端面である第1端面から他方の端面である第2端面まで延びる複数のセルを区画形成するセル壁を備える未焼成のハニカム成形体を形成する。
【0028】
原料組成物に含有されるセラミック原料としては、コージェライト化原料、コージェライト、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、ムライト、及びチタン酸アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。なお、コージェライト化原料とは、シリカが42〜56質量%、アルミナが30〜45質量%、マグネシアが12〜16質量%の範囲に入る化学組成となるように配合されたセラミック原料である。そして、コージェライト化原料は、焼成されてコージェライトになるものである。
【0029】
原料組成物は、上記セラミック原料と水以外に、分散媒、有機バインダ、無機バインダ、造孔材、界面活性剤等を混合して調製することができる。各原料の組成比は、特に限定されず、作製しようとするハニカム構造体の構造、材質等に合わせた組成比とすることが好ましい。
【0030】
原料組成物を成形する際には、まず、原料組成物を混練して坏土とし、得られた坏土をハニカム形状に成形する。原料組成物を混練して坏土を形成する方法としては、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。坏土を成形してハニカム成形体を形成する方法としては、例えば、押出成形、射出成形等の公知の成形方法を用いることができる。具体的には、所望のセル形状、隔壁(セル壁)の厚さ、セル密度を有する口金を用いて押出成形してハニカム成形体を形成する方法等を好適例として挙げることができる。口金の材質としては、摩耗し難い超硬合金を用いることができる。
【0031】
未焼成のハニカム成形体のセル形状(セルが延びる方向に直交する断面におけるセル形状)としては、特に制限はない。セル形状としては、三角形、四角形、六角形、八角形、円形、あるいはこれらの組合せを挙げることができる。
【0032】
ハニカム成形体の形状としては、円柱状、楕円柱状、端面が「正方形、長方形、三角形、五角形、六角形、八角形等」の多角柱状等を挙げることができる。
【0033】
未焼成のハニカム成形体は、上記の通り、円柱状とすることができ、この場合、未焼成のハニカム成形体の端面における直径は50〜200mmとすることが好ましい。また、未焼成のハニカム成形体は、セルの延びる方向の長さが150〜350mmであることが好ましい。未焼成のハニカム成形体は、セル壁の厚さが50〜350μmであることが好ましい。上記のような条件を満たす未焼成のハニカム成形体を乾燥する場合、乾燥中におけるハニカム成形体内の温度分布のバラツキが更に小さく均一に乾燥できる。そのため、更に良好な品質のハニカム乾燥体を生産性良く得ることができる。
【0034】
(1−2)マイクロ波乾燥工程:
本工程であるハニカム成形体のマイクロ波乾燥では、一般的に1,000〜10,000MHzの周波数が用いられる。
【0035】
本工程におけるマイクロ波乾燥におけるマイクロ波の出力は、ハニカム成形体に含まれるバインダ等の発火の可能性を考慮して、ハニカム乾燥体の温度が150℃を超えないように設定する。乾燥時間は、残存する水分が焼成工程に影響しないレベルに下がるようにハニカム成形体の重量を測定して設定する。
【0036】
(2)ハニカム構造体の製造方法:
本発明のハニカム構造体の製造方法の一実施形態としては、ハニカム成形体作製工程と、乾燥工程と、焼成工程と、を有している。これらの工程により、ハニカム構造体を製造することができる。本発明のハニカム構造体の製造方法によれば、良好な品質の(即ち、ハニカム構造体の側面全体での最大寸法と最小寸法との差(円筒度)が小さい)ハニカム構造体を生産性良く得ることができる。
【0037】
ハニカム成形体作製工程では、まず、上述したように坏土を作製できる。即ち、セラミック原料(セラミックス材料)に、水、バインダ等の各種添加剤を加えて得られた原料を混練し、坏土とする。その後、この坏土を押出成形して、ハニカム形状の成形体(ハニカム成形体)を作製する。
【0038】
乾燥工程では、ハニカム成形体作製工程で作製したハニカム成形体を上述した本発明のハニカム成形体の乾燥方法によって乾燥して、ハニカム乾燥体を得る。
【0039】
焼成工程では、乾燥工程で得られたハニカム乾燥体を焼成してハニカム構造体を得る。焼成条件は、従来公知の条件を適宜採用することができる。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を、実施例により更に具体的に説明する。本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0041】
(
参考例1)
まず、セラミック原料としてアルミナ、カオリン及びタルクを混合したコージェライト化原料を用い、有機バインダを含む結合材、造孔材、分散媒として水(73質量%)を混合し、混練して坏土を得た。
【0042】
得られた坏土を押出成形し、セルの延びる方向に直交する断面形状が正方形であるセルを有する未焼成のハニカム成形体を得た。この未焼成のハニカム成形体は、直径(
図1中のY方向の最大長さ)126mm、長さ(セルの延びる方向の長さ(
図1中のX方向の長さ))220mmであり、外形が円柱状であった。
【0043】
得られた未焼成のハニカム成形体は、含水率が42%であり、セル密度が40個/cm
2であり、セル壁の厚さが210μmであり、質量が1250gであった。このような未焼成のハニカム成形体を2個用意し、これらについて以下のようにして乾燥操作を行った。
【0044】
得られた未焼成のハニカム成形体に対して、誘電乾燥装置を使用して、周波数13MHz、出力5kW、加熱時間500秒間として、バッチで誘電乾燥を行った(誘電乾燥工程)。このようにして、未焼成のハニカム成形体が乾燥前に含む全水分の64%の水分を除去した第1次乾燥ハニカム成形体を得た。なお、上記乾燥条件によれば、未焼成のハニカム成形体の中心部の温度は100℃となることを光ファイバー温度計による測定で予め確認した。なお、表1中、未焼成のハニカム成形体が乾燥前に含む全水分から除去された水分の割合を「水分除去率(%)」と示す。
【0045】
次に、マイクロ波乾燥装置を使用して、第1次乾燥ハニカム成形体について、周波数2450MHz、出力5kW、加熱時間300秒間として、バッチでマイクロ波乾燥を行い、残余の水分を除去した(マイクロ波乾燥工程)。
【0046】
次に、マイクロ波乾燥後の第1次乾燥ハニカム成形体(ハニカム乾燥体)について、含水率を測定して、ハニカム乾燥体が乾燥されていることを確認した。その結果、ハニカム乾燥体の含水率は、2%であった。
【0047】
また、ハニカム乾燥体について、一方の端面である第1端面から他方の端面である第2端面までの間の複数個所における寸法を測定した(
図3は、2つのハニカム乾燥体についての測定結果を示す)。その結果、ハニカム乾燥体の側面全体での最大寸法と最小寸法との差(円筒度)は、0.8mmであり、良好な品質のハニカム乾燥体を生産性良く得ることができた。なお、円筒度は、複数のハニカム乾燥体における平均値で示す。
図3中、「高さ」は、セルの延びる方向の位置(
図1中のX方向の位置)を示す。また、
図3中、「外径」は、ハニカム乾燥体の直径(
図1中のY方向の最大長さ)を示す。
図4〜
図6も同様である。円筒度は、1mm以下であることがよい。
【0048】
また、得られたハニカム乾燥体について焼成を行い、ハニカム焼成体の側面全体での最大寸法と最小寸法との差(円筒度)を算出した。その結果は、1.0mmであった。本実施例では、一方の端部、他方の端部、及び、これらの中間部における寸法の差異が小さい良好な品質のハニカム構造体を生産性良く得ることができた。なお、焼成条件は、従来公知の条件で行った(具体的には、最高温度1400℃で5時間)。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
(実施例2〜5、比較例1〜4)
表1、表2に示すように条件を変更した以外は、
参考例1と同様にして未焼成のハニカム成形体を乾燥した。この乾燥方法における結果を表1、表2に示す。
【0052】
実施例4、5では、未焼成のハニカム成形体の含水率は23%であった。また、比較例2では、
参考例1で使用した未焼成のハニカム成形体と同じハニカム成形体を使用し、未焼成のハニカム成形体が乾燥前に含む全水分の26%の水分が除去された乾燥ハニカム成形体を得た。この比較例2では、誘電乾燥工程からマイクロ波乾燥工程に移行した際にハニカム成形体にキレの発生があった。なお、「キレ」とは、ハニカム成形体の隔壁の一部が裂けた状態のことをいう。
【0053】
なお、実施例2〜5、比較例1〜4においても、
参考例1の場合と同様に、得られたハニカム乾燥体について焼成を行った後の円筒度を測定した。その結果を表2に示す。
【0054】
表1、表2から、
参考例1、実施例
2〜5のハニカム成形体の乾燥方法によれば、比較例1〜4のハニカム成形体の乾燥方法に比べて、乾燥分布が小さくて均一に乾燥でき、良好な品質のハニカム乾燥体を生産性良く得ることができることが分かる。
【0055】
また、得られるハニカム構造体においても円筒度が良好であり、本発明のハニカム構造体の製造方法によれば、良好な品質のハニカム構造体を生産性良く得ることができることが分かる。