(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6811822
(24)【登録日】2020年12月17日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】抗菌光伝送装置および表面を殺菌する方法
(51)【国際特許分類】
A61L 2/08 20060101AFI20201228BHJP
G02B 6/00 20060101ALI20201228BHJP
G02B 6/02 20060101ALI20201228BHJP
G02B 6/44 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
A61L2/08
G02B6/00 326
G02B6/02 Z
G02B6/44 301A
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-188638(P2019-188638)
(22)【出願日】2019年10月15日
(62)【分割の表示】特願2016-532005(P2016-532005)の分割
【原出願日】2014年11月13日
(65)【公開番号】特開2020-72862(P2020-72862A)
(43)【公開日】2020年5月14日
【審査請求日】2019年11月11日
(31)【優先権主張番号】61/908,915
(32)【優先日】2013年11月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(72)【発明者】
【氏名】エドワード ジョン フュークス
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ルヴォヴィッチ ログノフ
(72)【発明者】
【氏名】シンシア ジーン ウィルソン
【審査官】
森 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特公平07−093913(JP,B2)
【文献】
特開平09−285425(JP,A)
【文献】
特表2001−506890(JP,A)
【文献】
特開2011−245305(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/061284(WO,A1)
【文献】
特開2005−208262(JP,A)
【文献】
特開平07−198949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を殺菌する光化学反応を促進するための光伝送装置において、
光源と、
1つまたは複数の通路を備えるパネルであって、当該1つまたは複数の通路の内部の側壁とそこへ記に反射表面が設けられている、パネルと、
前記パネルの上部に配置された光透過性カバーと、
前記光源に動作可能に結合され、前記1つまたは複数の通路内にさらに配置された光拡散ファイバであって、光を前記光透過性カバーを介して殺菌すべき表面に出力して、該表面を殺菌する光化学反応を促進する光拡散ファイバと
を備え、
前記光拡散ファイバはガラスコア、クラッド、および複数の光散乱特徴を有することを特徴とする、光伝送装置。
【請求項2】
前記光源と、前記光拡散ファイバとの間に結合された低散乱性光伝送媒体をさらに備えた、請求項1記載の光伝送装置。
【請求項3】
前記クラッド上に配置された、光反応性剤を含む少なくとも1つの被覆をさらに備えた、請求項1または2記載の光伝送装置。
【請求項4】
前記光反応性剤は、TiO2またはW2O3の少なくともいずれかを含む、請求項3に記載の光伝送装置。
【請求項5】
前記複数の光散乱特徴は、ガス充填空隙を有する、請求項1から4いずれか一項に記載の光伝送装置。
【請求項6】
前記ガス充填空隙は、10nmから1μmの断面サイズを有する、請求項5に記載の光伝送装置。
【請求項7】
前記ガス充填空隙は、SO2,Kr,CO2,O2のうちの少なくともいずれかを含有する、請求項5または6に記載の光伝送装置。
【請求項8】
前記複数の光散乱特徴は空気ラインを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の光伝送装置。
【請求項9】
前記複数の光散乱特徴はGeO2,TiO2,ZrO2,ZnOのうちの少なくともいずれかを含有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の光伝送装置。
【請求項10】
前記ガラスコアは、フッ素がドープされている、請求項1から9のいずれか一項に記載の光伝送装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、その内容に依拠され、下記に十分に説明されているかのように全体がここに引用される、2013年11月26日に出願された米国仮特許出願第61/908915号の米国法典第35編第119条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、表面を殺菌する光化学反応を促進して無菌環境を提供するための光伝送装置に関する。
【背景技術】
【0003】
無菌表面を提供するために、手術台またはクリーンルームおよび他の環境における他の表面などの表面に、抗菌塗布または殺菌剤が一般に施される。公知の抗菌処理は、典型的に、その表面に抗菌ローションまたは液体を施して細菌を死滅させ、それによって、その表面を除染し、浄化する工程を有してなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
抗菌ローションまたは液体を表面に施す時間と費用を要しない、表面を殺菌するための手段を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの実施の形態によれば、表面を殺菌する光化学反応を促進するための光伝送装置が提供される。この装置は、光源と、その光源に動作可能に結合され、殺菌すべき表面内にさらに埋め込まれた光拡散要素とを備えている。この光拡散要素は、光をその表面に出力して、その表面を殺菌する光化学反応を促進する。
【0006】
別の実施の形態によれば、光化学反応を促進することによって、表面を殺菌する方法が提供される。この方法は、光拡散要素を、殺菌すべき表面に結合する工程、光化学反応を促進させる波長を有する光をその光拡散要素に供給する工程、およびその光拡散要素から出力された光を表面に当てて、光化学反応を促進して、その表面を殺菌する工程を有してなる。
【0007】
追加の特徴および利点が、以下の詳細な説明に述べられており、一部は、その説明から当業者に容易に明白になるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含む、ここに記載された実施の形態を実施することによって認識されるであろう。
【0008】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、単なる例示であり、請求項の性質および特徴を理解するための概要または骨子を提供することが意図されているのが理解されよう。添付図面は、さらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。図面は、1つ以上の実施の形態を示しており、説明と共に、様々な実施の形態の原理および作動を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】光伝送装置における光拡散要素として有用な光拡散ファイバの1つの実施の形態の断面図
【
図2】1つの実施の形態による、光拡散要素を使用した、表面を殺菌する光化学反応を促進するための光伝送装置を示す概略平面図
【
図3】1つの実施の形態による、台の表面内の通路に埋め込まれた光拡散要素を示す斜視図
【
図4】さらに台を示す、
図3の線IV−IVを通してとられた断面図
【
図5】
図3の台および埋め込まれた光拡散要素の分解図
【
図6】第2の実施の形態による、台表面の周囲を囲んで台に埋め込まれた光拡散要素を使用した光伝送装置の斜視図
【
図7】さらに台を示す、
図6の線VII−VIIを通してとられた断面図
【
図8】
図6に示された台の周囲を囲んで埋め込まれた光拡散要素および作業面の配置をさらに示す台および作業面の分解図
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、その例が添付図面に示されている、現在好ましい実施の形態を詳しく参照する。できるときはいつでも、同じまたは同様の部品を指すために、図面に亘り同じ参照番号が使用される。
【0011】
以下の詳細な説明は、請求項の性質および特徴を理解するための概要または骨子を提供することが意図された実施の形態を提示している。添付図面は、請求項のさらなる理解を提供するために含まれ、明細書の一部を構成する。図面は、様々な実施の形態を示しており、説明と共に、請求項に記載されたこれらの実施の形態の原理および作動を説明する働きをする。
【0012】
図1〜5を参照すると、台15の作業面などの、物体の表面12を殺菌する光化学反応を促進するための光伝送装置10が示されている。光伝送装置10は、台表面を殺菌するために、活性光および随意的な光触媒を用いて、台15の表面12上の体積内の光化学反応を促進する。表面12を照らすために施される光は、細菌などの微生物の増殖を阻害するまたは病原菌を死滅させる働きをする波長を有する光を含むであろう。その光は、単独で使用しても、ルチルTiO
2などの光触媒と組み合わせて使用してもよい。その光の波長は、1つの実施の形態によれば、200nmから2000nmの範囲にあることがある。具体的な実施の形態によれば、200から400nmの範囲の波長を有する紫外(UV)光が使用されることがある。その光は、波長の組合せを含んでもよく、無菌性を増すのに役立つことが公知の赤色レーザ光線を含んでもよい。さらに、光化学過程を加速させる追加の熱源として、赤外(IR)光の組合せも使用して差し支えない。
【0013】
光伝送装置10は、前記光化学反応を促進させるための選ばれた波長を有する活性光を発生させ供給するための電力光源16を少なくとも1つ備えている。その光源16は、平行またはランバート光源であってよい。光源16は、1つ以上のレーザ、発光ダイオード(LED)、白熱灯、紫外線ランプまたは光源の組合せを含んでもよい。光源16は、固有色を有する光を発生させても、特別色を発生させるために、赤色、緑色および青色光源などの様々な色を組み合わせてもよい。1つの実施の形態において、1つ以上の紫外線光源が使用される。
【0014】
光伝送装置10は、光源16により供給される光を受光し、その光を分散させるために、光源16に動作可能に結合された光拡散要素30も少なくとも1つ備えている。光拡散要素30は、殺菌すべき台15の表面12内に埋め込まれている。光拡散要素30は、光源16により発せられた光を受光し、その光を散乱させ表面12に出力し、光化学反応を促進して表面12を殺菌する、高分散性光伝送ファイバである。光拡散要素30により達成される高分散性光伝送の光減衰は、0.5dB/m以上である。光拡散要素30は、
図3および4に示されるような、台15内に形成された通路24または複数の通路24内に配置された、1つの実施の形態によれば、1つ以上の光拡散ファイバを備えることがある。別の実施の形態によれば、光拡散要素30は、1つ以上の光拡散ロッドを備えることがある。
【0015】
表面12は、手術台(surgical or operating table)、実験台、家庭やオフィスのカウンターテーブル、または任意の他の台表面などの台15の上面作業面であってよい。表面12は、他の実施の形態によれば、便座、取っ手、および他の物体などのその他の物体に関連していてもよい。1つの例示の実施の形態において、表面12は、病院のクリーンルーム14(例えば、手術室)内に使用される台15の作業面であることがある。台15は、上面、下面、および周囲を囲む端を有するパネル22と、光拡散要素30を収容するための上面に形成されたのが図示されている通路24とを備えている。光拡散要素30により発せられた光が上面12を照らせるようにパネル22の上部に、光透過性カバー26を配置してもよい。そのカバー26は、光がカバー26を透過し、拡散されるように半透明であってもよい。光を上面12に向かって上方に反射するために、通路24の内部の側壁と底壁に、反射表面28が設けられてもよい。1つの実施の形態において、パネル22は金属材料を含んでもよく、カバー26はガラスオーバーレイを含んでもよく、その金属パネル22は、追加の反射面の必要をなくすために光反射部分を含んでもよい。通路24および光拡散要素30は、殺菌すべき選択された表面または全表面を適切に照らすように様々な形状とサイズで配列されてもよい。図示された台15は矩形であるが、他の形状とサイズを使用してもよいことを認識すべきである。
【0016】
光伝送装置10は、光源16と光拡散要素30との間に結合された低散乱性光伝送媒体18をさらに備えることがある。1つの実施の形態によれば、低散乱性光伝送媒体18は、光を低信号損失で伝送するように設計された光ファイバを含むことがある。伝送媒体18により達成される低散乱性光伝送の光減衰は、0.5dB/m未満である。1つの実施の形態において、光カプラ20によって光拡散要素30に結合された低散乱性光伝送媒体18が示されている。低散乱性光伝送媒体18は、別の方法で、スプライス、突き合わせ結合および他の光伝送結合を含む様々な光学的結合を使用して、光拡散要素30に動作可能に結合してもよいことを認識すべきである。
【0017】
図2に示された実施の形態において、手術台15の作業面などの表面12はクリーンルーム14内に配置されているのが示されているが、電力光源16はクリーンルーム14の外部に設置されている。低散乱性光伝送媒体18は、光源16により発せられた光を、光信号損失が低い状態でかなりの距離に亘りクリーンルーム14内に、そして光拡散要素30へと伝送させられることが都合よい。この光拡散要素30では、光が拡散され、表面12を殺菌するために台15の表面12に伝送される。このように、光拡散要素30は、クリーンルーム14の外部に光源16を設置しつつ、湿潤環境、爆発性雰囲気、または他の無菌環境における連続殺菌を可能にする多目的遠隔光照明器として使用してよい。このように、光源16は、殺菌する必要がなく、クリーンルーム14の外部から電力を供給してもよい。
【0018】
低散乱性光伝送媒体18は、単一ファイバ、複数のファイバの束ねられた(リボン化された)もの、プラスチック製光ファイバ(POF)、または他の光伝送媒体であってよい伝送ファイバを含むことがある。低散乱性光伝送媒体18は、別の実施の形態によれば、光源16からの光の光拡散要素30への効率的な伝送として使用することもできる溶融シリカロッドを用いてもよい。低散乱性光伝送媒体18は、光カプラ20により、または突き合わせ結合により、光拡散要素30に結合してもよい。
【0019】
光拡散要素30は、単一光拡散ファイバとして構成しても、または複数の光拡散ファイバの束ねた(またはリボン化された)ものであってもよい。光拡散ファイバ30は柔軟であってよく、それゆえ、通路24内の設置が容易になるであろう。1つの実施の形態において、光拡散ファイバ30の直径は、1,000マイクロメートル以下、特に約250マイクロメートルである。他の実施の形態において、光拡散ファイバ30は、1,000マイクロメートル超の直径を有する光拡散ロッドの形態におけるように、より剛性であってもよい。
【0020】
図1に示される典型的な断面構造を有する光拡散ファイバ30の1つの実施の形態が、示されている。光拡散ファイバ30は、シリカファイバのコアおよびクラッドの一方に無作為な空気ラインまたは空隙の形成を含んでもよい。そのような光拡散ファイバを設計し、形成する技術の例が、例えば、これにより引用する、米国特許第7450806号、同第7930904号、および同第7505660号の各明細書、および米国特許出願公開第2011/0305035号明細書に見つかるであろう。光拡散ファイバ30は、Fドープコアを含むことがあるガラスコア32を有する。コア32を取り囲む、光を散乱させるための空気ラインを有するSiO
2クラッド層34が示されている。光を散乱させ、光を側壁に通すように向けるために空気ラインまたは空隙を含むようにクラッド層34を形成してもよい。様々な実施の形態によれば、コア23内、またはクラッド層34内、もしくはその両方に無作為な空気ラインを配置してもよいことを認識すべきである。光拡散ファイバ30において高散乱損失が一般に好ましいことを認識すべきである。一般に、低屈折率高分子一次保護層36がクラッド層34を取り囲んでいる。それに加え、外側の二次層38を一次保護層36上に配置してもよい。一次保護層36は軟らかく液状(liquidy)であってよく、一方で、二次層38はより硬質であってよい。
【0021】
二次層38は、1つの実施の形態による光反応性剤を含むことがある。その光反応性剤は、第1のクラッド被覆よりも硬度が高い二次被覆として設けてもよい。光反応性剤は、物質であって、光がその物質を活性化したときに光酸化する、TiO
2、W
2O
3、および他の触媒成分などの物質を含むことがある。
【0022】
光拡散ファイバ30の散乱損失は、ファイバの製造工程および加工工程により制御されるであろう。空気ライン形成過程中、一般に、多数の気泡の形成により、多量の光散乱が生じ、線引き過程中、高い張力または低い張力を使用して、それぞれ、より高い損失またはより低い損失を生じることによって、散乱を制御することができる。光の損失を最大にするために、その上、全てではなくとも、光拡散ファイバ30の長さの少なくとも一部に亘り、高分子クラッドを除去することが望ましいであろう。光拡散ファイバ30を、TiO
2などの散乱顔料または分子を含有するインクで被覆することにより、光の伝搬方向、並びにその逆方向の両方において均一な角度損失を生じさせることができる。ファイバのクラッドに蛍光染料または蛍光体材料を施した状態(光の紫外線波長を約100パーセントの効率で所望の波長へと効果的に低波長へと変換する(down converting))で、さらに、紫外線光源を使用してもよい。そのような蛍光低波長変換を使用すると、非常に均一な角度光分布が生じる。高散乱性光拡散ファイバ30は、散乱および均一性を促進するために、改良されたクラッドを有してもよい。所望であれば、光出力を増加させるために、光拡散ファイバ30もしくはコアまたはクラッドに意図的に導入した表面欠陥も加えてもよい。
【0023】
光拡散ファイバ30は、多数の(50超の)ガス充填空隙または他のナノサイズ構造、例えば、ファイバの断面に50超、100超、または200超の空洞を有する領域または区域を有することがある。ガス充填空隙は、例えば、SO
2、Kr、Ar、CO
2、N
2、O
2、またはそれらの混合物を含有してよい。ナノサイズ構造(例えば、空隙)の断面サイズ(例えば、直径)は、10ナノメートルから1マイクロメートル(例えば、15ナノメートルから500ナノメートル)で様々であってよく、その長さは、殺菌すべき表面の面積に応じて様々であってよい。
【0024】
光拡散ファイバ30は、空気ラインを有するものとしてここに示され記載されているが、他の光散乱特徴を用いてもよいことを認識すべきである。例えば、高散乱性光伝送を提供するために、GeO
2、TiO
2、ZrO
2、ZnOなどの高屈折率材料を用いてもよい。光拡散要素30は、それほど柔軟ではなく、より大きい直径を有し、被覆がないこともある、光拡散ロッドであってもよいことをさらに認識すべきである。
【0025】
図6〜8を参照すると、別の実施の形態による、殺菌すべき表面12を有する台15の周囲を囲み、表面12内に延在する光拡散要素30を用いた光伝送装置10が示されている。光拡散要素30は、光拡散ファイバまたは光拡散ロッドであってよく、ガラスパネルなどの光透過性媒体40の4つの側端の全てに沿って延在するのが示されている。このように、光拡散要素30の端は、光拡散要素30を通過する光がガラス媒体中に効果的に照射されるようにガラスパネルに光を導く。このガラス媒体40は、光がさらに拡散し、上面を照らすように半透明材料から製造されることがある。その上、ガラス媒体40の底面は、殺菌すべき表面12に向けて光を上方に反射するための反射面42を有する。その上、端部カバー44が、光拡散要素30の外側の台の周辺端部に沿って配置されており、光をガラス媒体40に戻すように反射させるための内部反射面46を備えることがある。このように、光拡散要素30を通過する光は、底面により上方に、端部カバー44により内側に、ガラス媒体40へと反射され、その光は、そこから、殺菌すべき表面12まで伝搬する。
【0026】
ここで、光伝送装置10を使用して、光化学反応を促進することによって表面を殺菌する方法を説明する。この方法は、光拡散要素30を、殺菌すべき表面12に結合する工程を有してなる。この表面12は、クリーンルーム内に使用される手術台などの台15であってよい。この方法は、光化学反応を促進する波長を有する光を、光拡散要素30に供給する工程も有する。この方法はさらに、光拡散要素30からの出力された光を表面12に当てて、光化学反応を促進して、表面12を殺菌する工程をさらに有する。
【0027】
前記方法は、光源16からの光を、低散乱性光伝送媒体18に供給し、その低散乱性光伝送媒体18を光拡散要素30にさらに結合する工程をさらに有することがある。光拡散要素30は、表面12に形成された通路24内に配置されることがある。その表面12はクリーンルーム14内に配置されることがあり、光源16は、クリーンルーム14の外部に配置されることがある。光拡散要素30は、ガラスコア、クラッド、およびコアとクラッドの内の一方の内部に配置された複数の空気ラインを有する光拡散ファイバであってよい。クラッドは、光反応性剤を含む被覆を備えてもよい。
【0028】
したがって、光伝送装置10および方法は、光源16からの光を、台15などの表面12内に埋め込まれた光拡散要素30に伝送して、光源16により発せられた光で表面12を殺菌することが都合よい。このように、表面12は、安全であり、使用しやすく、清浄である様式で、遠隔で発せられ、光拡散要素30により表面に伝送される光により殺菌されるであろう。
【0029】
様々な改変および変更が、請求項の範囲内で実施例に対して行ってよく、異なる実施例の態様を、さらなる実施例を実現するために、異なる様式で組み合わせてもよい。したがて、請求項の真の範囲は、ここに記載された実施の形態に鑑みて、それに制限されずに、本開示の全体から理解すべきである。
【0030】
請求項の精神または範囲から逸脱せずに、様々な改変および変更を行えることが、当業者に明白であろう。
【符号の説明】
【0031】
10 光伝送装置
12 表面
14 クリーンルーム
15 手術台
16 光源
18 低散乱性光伝送媒体
20 光カプラ
24 通路
30 光拡散要素または光拡散ファイバ
32 コア
34 クラッド層
36 低屈折率高分子一次保護層
38 二次層
40 光透過性媒体
42 反射面
44 端部カバー
46 内部反射面46