【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明に係る自動車を検査するための装置は、複数のグループに分割された複数の撮像装置(画像記録装置)を含む。複数のグループは、少なくとも自動車の上側、前側、後側、左側、及び右側の、それぞれの場合において画像を撮像することができるように配置される。自動車用に規格化された照明条件が優先するように、少なくとも1つの照明手段が撮像装置に対して配置される。実質的に装置内で自動車をセンタリングし、撮像装置に対して自動車を位置決めするガイド手段が、装置の底板に設けられる。ガイド手段は、自動車又は後続の各自動車が、撮像装置の焦点領域内に実質的に配置されるという利点を有する。
【0023】
本発明は、起こり得る損傷について、自動車を、完全に光学的に、かつ、自動的に検査するという利点を有する。本発明に係る装置の利点は、規格化された一定の画像品質(鮮明さ及び照明)で自動車の状態の画像を撮像することができることである。自動車は、例えば、リースされた車両の返却、返却されたレンタカー、フリートの車両、最後に生産ラインを出発する車両、配達場所での輸送後に配達された車両などでもよい。したがって、これらの車両を、高信頼性で、高品質に検査し、かつ、簡単で自動化された費用効果の高い方法で規格化することができる。それぞれの装置に対するアクセス許可を有する各自動車の状態(新しい状態又は過去の状態)はデータベースに保存されているか又は保存されるので、それぞれで新たに検出された自動車の状態と以前の状態とを比較することができる。同様に、本発明に係る装置を用いて、自動車用に、データ記録(画像データ等)を初めて作成することができる。これは、車両への損傷を記録するための、あるいは走行中の車両の起こり得る差し迫った故障を指摘するための客観的な方法である。
【0024】
また、本発明に係る装置は、車両状態に関して、高い透明性及び持続可能性を提供する。さらに、本発明に係る装置を用いて、リース、サービス及び保険契約、並びに配達ルート(生産工程、又は自動車、鉄道、船舶、トラックからの積み降ろしから来る車両のための)のために、対応する自動車の規格化されたサービス間隔を含むことができる。
【0025】
可能な実施形態によれば、ガイド手段は2つの平行したマーキングによって形成される。平行したマーキングは、装置の入口から出口まで走っている。平行したマーキングは、自動車が装置に入るときに撮像装置に対して自動車を位置決めする機能を有する。
【0026】
さらなる実施形態では、ガイド手段は、入口の両側に取り付けられた第1ガイド手段レールと、出口の両側に取り付けられた第2ガイド手段レールとを含む。第1及び第2ガイド手段レールは、撮像装置に対して自動車を位置決めするために装置の側面境界を画定する。
【0027】
本発明に係る装置の特定の実施形態では、筐体が底板に取り付けられている。筐体は、2つの側壁と屋根を支持するフレームを含むか又は構成する。筐体は、入口と出口も形成しており、自動車の上側、前側、後側、左側及び右側の、グループの撮像装置用の少なくともいくつかのホルダがフレームに取り付けられている。
【0028】
時として、筐体の決定的な利点は、気象条件及び変化する照明条件の影響が最小限に抑えられることである。
【0029】
さらなる実施形態では、装置への制御された自動車の進入のための入口制御部を提供する。この実施形態では、各グループの撮像装置及び及び割り当てられた照明手段は、自動車が装置を通過する時に自動車の全側面の画像を撮像することができるように配置される。
【0030】
さらなる可能な実施形態によれば、装置は、入口制御部及び出口制御部を含む。各グループの撮像装置及び割り当てられた照明手段は、装置内での自動車の停止時に自動車の全側面の画像を撮像することができるように配置される。
【0031】
さらなる可能な実施形態では、自動車の下側の画像取得の第2グループの撮像装置用ホルダが、ガイド手段の間の底板に配置される。
【0032】
本発明の可能な実施形態によれば、撮像手段によって撮像された画像は、自動車の上側、下側、前側、後側、左側及び右側のそれぞれで単一の画像に結合される。同様に、自動車の上側、下側、前側、後側、左側及び右側の各画像から、車両の360°ビューを作成することができる。
【0033】
一実施形態では、撮像装置はカメラとして構成され、それを用いて3D画像取得が可能である。これは、損傷又は欠陥の検出又は発見がカメラによる3D画像を通して改善されるという利点を有する。
【0034】
一実施形態では、装置の長手方向軸を横切って装置の床の底板に窪みが設置される。窪みは、タイヤの状態を検出するための手段を受け取る(収容する)機能を有する。
【0035】
さらなる実施形態によれば、第7グループの撮像装置が入口に設けられる。第7グループは自動車の後側を撮像する機能を有する。さらに、第8グループの撮像装置が出口に設けられてもよい。第8グループは自動車の前側を撮像する機能を有する。第7及び第8グループの撮像装置は、HDカメラとして構成することができる。HDカメラを用いて、例えば、自動車のライセンスプレートを撮像し、入口制御部で判断される。
【0036】
装置の撮像装置を、少なくとも1つの照明手段とともにホルダに取り付けてもよい。照明手段は、自然照明に関係なく、常に同じ露光条件下で、撮像装置を用いて画像が撮像され、又は生成されることができるように配置されている。別の実施形態では、照明手段は、共通のホルダに撮像装置と一緒に取り付けられない。唯一の条件は、装置の画像取得で使用される時点に関係なく、定性的に同等の、高品質の、従って同等の画像が生成されるように、自動車の各側面が規格化された方法で照明されることができるように照明手段を取り付けることである。その利点は、常に同じ照明条件が優先されることであり、これは、車両の損傷又は欠陥の検査及び判定を容易にする。
【0037】
自動車の上側、下側、後側、左側及び右側のグループの撮像装置用のホルダは、筐体によって囲まれたフレームに取り付けられていてもよい。同様に、筐体自体は、2つの側壁と屋根を支持し、筐体の入口と出口を形成しているフレームを有してもよい。フレームは、グループの撮像装置及び少なくとも1つの照明手段を保持する機能を有する。
【0038】
また、さらなる実施形態では、自動車の下側も撮像することができる。この目的のために、撮像装置が装置の床にも取り付けられている。この撮像装置を用いて、自動車の下側を撮像することが可能である。この撮像装置は、一定、かつ、撮像のために規格化された撮像条件を得るために照明手段にも割り当てられる。自動車の下側の第2グループの撮像装置用ホルダがガイド手段の間に配置されることは、画像を撮像することにとって有利である。装置の長手方向軸を横切って装置の床のの底板に窪みを導入してもよい。自動車のタイヤの状態を検出するための手段が、窪みの中に設置されていてもよい。顧客の要求に応じて、タイヤの状態を検出するための手段を装置に設置してもよい。本発明に係る装置の基本的な設備は、常に撮像装置が自動車の全側面を検出するために設けられていることである。
【0039】
コンピュータと連動して、自動車の全側面の検査が可能であり、エラー、損傷又は欠陥を容易に発見し、記録することができる。
【0040】
装置の底板は装置の床を支持する。さらなる可能な実施形態によれば、床は、装置の長手方向軸に揃う2つの窪みを有し、それらは互いに距離を置いて床に設置される。窪みのそれぞれはグレーチングで覆われている。自動車のタイヤは、検査工程中又は自動車の装置内への進入中にグレーチング上を転がる。これは、車両のタイヤに付着した汚れやほこりをグレーチングを介して落とし、また、水分や湿気を滴り落とすという利点がある。自動車の下側の第2グループの撮像装置用ホルダは、2つの窪みの間に配置される。
【0041】
自動車の全側面に対して撮像装置によって撮像されたデータを判断するために、各グループの撮像装置は、コンピュータに通信可能に接続されている。同様に、さらなる実施形態によれば、タイヤの状態を検出するための手段もまたコンピュータに通信可能に接続されてもよい。自動車の視覚的状態及び機械的状態に関するデータが保存されているデータベースにコンピュータが割り当てられているので、自動車の全側面の現在撮像された画像に対して、以前に記録されたデータ又はデータベースに入力された新しい車両の現在の状態のデータと比較することができる。本発明に係る装置の特別な利点は、対応するグループに分割された複数のカメラを用いて、自動車の全側面を撮像することができることである。したがって、例えば、トラックの到達困難な場所においても自動車の状態の画像を得ること、これは車両を検査する必要がある人々が行うことは極めて困難であり時間がかかるものであるが、それも可能である。したがって、本発明に係る装置を用いて、屋根用ターポリン、荷台ルーフ、ロール式ターポリン、チッピングトラフのような通常の状況下でのみ検査することができる車両部品の損傷又は欠陥を検査し、場合によっては判定することが容易に可能である。
【0042】
自動車を検査するための方法は、まず、検査対象の自動車の識別が入口制御部により確認されるという事実によって原則的に特徴付けられる。検査対象の自動車の識別は、自動車を検査するための装置のデータベースに保存される。この方法では、装置内への検査対象の自動車に対するアクセス許可がここで確認され、一致すれば、装置内への自動車に対するアクセスが解除される。本発明に係る装置が自動車によって初めて使用される場合には、手動により、又はアプリなどによってアクセスを解除し、装置に割り当てられたデータベースに入力して保存することができる。自動車のための入口制御部の解除は、例えば、バリアを開くことによってでもよい。
【0043】
自動車は、装置の中で実質的にセンタリングされ、装置の底板の底部のガイド手段を介して撮像装置に対して位置決めされることができる。装置内への自動車の進入が検出され、少なくとも1つの照明手段がオンにされる。複数の撮像装置が起動される。光バリアは、装置の長手方向軸に沿って自動車の位置を検出するために使用される。装置内の自動車の位置に応じて、さまざまな動作が起動され又は始動される。
【0044】
本発明の可能な実施形態によれば、一旦車両が装置内に入ると、車両の上側、前側、後側、左側及び右側が、それぞれのグループに細分化された複数の撮像装置を用いて同時に撮像される。これらの画像の撮像は、自動車が装置を通過する間に行われる。少なくとも上側、前側、後側、左側及び右側の撮像された画像は、画像処理によって保存されていた自動車の画像と比較され、又は装置に初めて入る自動車の場合には、適切な方法で保存される。最後に、自動車の、撮像された画像(画像データ)と保存されていた画像(画像データ)との比較のレポートが作成される。例えば、対応する画像で発見された自動車への損傷が、自動車の全体像に自動的にマークされることも可能である。
【0045】
自動車の下側の少なくとも1つの画像が、さらなるグループの撮像装置を用いて撮像することができる。さらなるグループの撮像装置は、マーキングの間の装置の底板に設けられる。
【0046】
本発明を用いて、車両の画像を撮像することができる2つの方法がある。第1の可能性は、検査対象の自動車が低速(15km/h未満)で自動車を検査するための装置を通って移動することである。自動車が装置を通過する間に、自動車の全側面の画像が各グループの撮像装置で撮像される。
【0047】
検査対象の自動車が装置に入り、車両が停止した時に、下側、上側、前側、後側、左側及び右側の画像を撮像することも可能である。
【0048】
同様に、本方法は、本発明の一実施形態によれば、タイヤの状態を検出する可能性も実施してもよい。タイヤの状態の検出は、自動車が装置を通過する間又は装置から自動車の出口で行われる。
【0049】
撮像された画像及び場合によってはまた検出された自動車のタイヤの状態もコンピュータに送信される。コンピュータは、現在検査中の車両に割り当てられているデータセット(画像データ及び英数字データ)をデータベースから読み出す。また、現在撮像された自動車のデータと保存されていたデータ又は新しい車両のデータとの比較がコンピュータを用いて行われる。
【0050】
さらに、コンピュータで実行される画像処理は、複数の撮像装置によって撮像された自動車の上側、下側、前側、後側、左側及び右側の画像を、それぞれ自動車の上側、下側、前側、後側、左側又は右側の単一画像として表示するように構成されることができる。
【0051】
本発明のさらなる可能な実施形態によれば、撮像装置にカメラを使用し、3D画像を生成することができる。これは、車両に対する損傷又は欠陥をよりよく識別又は検出することができるという利点を有する。
【0052】
検査対象の車両の識別は、例えば、自動車のライセンスプレート、バーコード、又は装置のタッチディスプレイ(アプリ)への自動車の識別データの入力によって実行することができる。
【0053】
本発明のさらなる構成は、コンピュータプログラム製品である。コンピュータプログラム製品は、揮発性、かつ、コンピュータ可読の媒体によって提供される。コンピュータプログラム製品は、自動車を検査するための装置のコンピュータに、検査対象の自動車に関するデータ(画像データ及び/又はステータスデータ及び/又はさらなる読み取り可能な車両データ)が装置によって得られるようにさせる。したがって、まず、検査対象の自動車の識別が入口制御部で検出され、コンピュータに割り当てられたデータベースに保存されている識別と比較される。検出された識別が保存されている識別のうちの一つと一致する場合、検査対象の自動車の装置への侵入が可能となる。装置は、いくつかのグループに分割された複数の撮像装置を含む。したがって、複数のグループに分割することによって、検査対象の自動車の少なくとも上側、前側、後側、左側及び右側を撮像することが可能である。画像は、自動車が装置を通過する間又は装置内で自動車が停止している間に撮像される。撮像された画像はコンピュータに送信される。コンピュータは、撮像された画像と、データベースに保存されているデータ又は画像データとを比較する。撮像されたデータと、保存されているデータとを比較することによって、対応するレポートが出力される。
【0054】
さらなる実施形態では、タイヤの状態を検出するための手段を有する装置によって、装置を通過する間又は装置から自動車の出口の間にタイヤの現在の状態を検出することも可能である。この目的のために、コンピュータプログラム製品も同様に構成され。同様に、タイヤの現在の状態に関する収集されたデータもまたコンピュータに送信される。以前に測定された状態からのタイヤの状態に関するデータ、又はタイヤの状態に関する所望のデータはデータベースに保存される。コンピュータは、タイヤの現在の状態に関して測定され又は記録されたデータと、データベースからのデータとを比較する。この目的のために、対応するレポートも作成される。
【0055】
スキャナーとして構成された撮像装置を用いて、検査対象の自動車の上側、下側、前側、後側、左側及び右側から画像データを記録することも考えられる。撮像装置がカメラのみに限定されないことは当業者にとって明らかである。
【0056】
本発明のさらなる実施形態では、自動車に既に設置されているセンサーが本発明に係る装置に使用される。自動車の検査中に、これらのセンサーからのデータも読み出され、自動車部品の状態又は状態変化に関する情報を得る。
【0057】
本発明に係る装置、本発明に係る方法及び本発明に係るコンピュータプログラム製品によって、自動車の状態を簡単な方法で検出し、それからレポートを生成することが可能である。したがって、意思決定者は車両状態の客観的判断を受け取り、また、現時点と比較してより早い時点での状態との比較を迅速かつ簡単な方法で受け取る。したがって、損傷があった場合、この比較によって迅速に対応することができ、損傷がいつ発生したかに関する一連の証拠は単純かつ明確である。同様に、起こり得る損害を事前に指摘することが可能である。3D画像を生成する撮像装置の使用は、自動車に対する損傷又は欠陥の検出を改善する。
【0058】
本発明のさらなる利点及び有利な実施形態は、以下の図面、及びそれらの一部の説明の主題である。