(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
レーザ測距システムによる適応走査のための方法、装置、システム、およびコンピュータ可読媒体を説明する。以下の記載においては、説明のために、本発明の完全な理解を可能にするために、多数の具体的詳細を記述する。ただし、本発明はそれらの具体的詳細なしでも実行可能であることは、当業者には明らかであろう。その他の例では、本発明を不必要にあいまいにすることを避けるために、周知の構造およびデバイスをブロック図に示す。
【0018】
広い適用範囲を表す距離およびパラメータの数値は近似であるけれども、具体的な非制限的例示に示す数値は、可能な限り、正確に報告する。ただし、数値は、本質的に、本明細書作成時の、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差に由来する誤差を必然的に含む。さらに、文脈から明らかな場合を除き、本明細書に示される数値は、最下位桁が精度を示すものとする。したがって、値1.1は、1.05と1.15の間の値を表す。「約」という語は、所与の値を中心とする広い範囲を示すために用いられ、文脈から明らかな場合を除き、最下位桁を中心とする広い範囲を表し、例えば、「約1.1」は、1.0から1.2までの範囲を意味する。最下位桁が明確でない場合は、「約」という語は、係数2を意味するものとし、例えば、「約X」は、0.5X〜2Xの範囲の値を表し、また、例えば、約100は、50〜200の範囲の値を表す。さらに、本明細書に開示された範囲はすべて、そこに含まれる任意の、およびすべてのサブレンジを包含するものと理解されなければならない。例えば、「10未満」の範囲は、最小値0と最大値10の間(両端を含む)、すなわち、0以上の最小値かつ10以下の最大値を有する、任意の、およびすべてのサブレンジ、例えば、1〜4を、含むことができる。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態は、線形周波数変調光信号に関連して、下述のように記述されるが、周波数変調光信号を用いなくてもよい。また別の実施形態では、振幅パルス化または位相符号化光信号が用いられる。実施形態は、限定された水平角スイープに対する静止レーザ走査に関連して記述される。また別の実施形態では、全360度の水平角スイープを含む、狭い、または広い、水平角スイープを用いる、可動レーザ測距システムが使用される。多くの実施形態は、垂直方向ののこぎり歯状走査軌跡に関して記述される。一方、別の実施形態では、垂直列順走査軌跡あるいは水平行順走査軌跡、またはそれらの組み合わせが用いられる。例えば、水平方向の運動(遅い)のための回転ステージと垂直方向(速い)のためのガルバノ走査ミラーを備えるハードウェア構成を有する実施形態では、垂直方向のこぎり歯状投影が用いられた。また別の実施形態は、2軸高速ステアリングミラー(2つの次元での高速走査、限定視野)または2軸パン−チルトユニット(2つの次元での低速運動、広大視野)、または組み合わせを用いる。
【0020】
1.チャープ検知の概要
図1Aは、実施形態による光学チャープ距離測定を例示するグラフのセット110、120、130、140である。水平軸112は、4つのグラフのすべてに共通であり、ミリ秒(ms、1ms=10
−3s)程度の任意の単位の時間を示す。グラフ110は、送信光信号として使用される光ビームの出力を示す。グラフ110の垂直軸114は、任意の単位での送信信号電力を示す。トレース116は、時刻0に開始する限定的なパルス時間幅τの間、電力がオンであることを示す。グラフ120は、送信信号の周波数を示す。垂直軸124は、任意の単位での送信周波数を示す。トレース126は、パルスの周波数が、パルスの時間幅τを通じて、f
1からf
2へ増加し、したがって、帯域幅B=f
2−f
1を有することを示す。周波数変化率は、(f
2−f
1)/τである。
【0021】
戻り信号は、時間を示す水平軸112と、グラフ120と同じように、周波数を示す垂直軸124を有する、グラフ130に描かれている。グラフ120のチャープ126も、グラフ130に、点線としてプロットされている。第1の戻り信号は、トレース136aによって示されており、送信基準信号が強度(図示せず)において減衰し、Δtだけ遅延したものと同じである。戻り信号が、標的までの距離をRとして、外部の物体から2Rの距離を進行した後、受信されると、この戻り信号は、2R/cによって与えられる遅延時間Δtの時に開始し、ここで、cは媒質中の光の速度(約3×10
8m/s)である。この時間を通じて、周波数は、距離に従属し、周波数の変化率に遅延時間を乗じることに得られる量f
Rだけ変化している。これは、式1aによって与えられる。
f
R=(f
2−f
1)/τ
*2R/c=2BR/cτ (1a)
値f
Rは、脱チャープ化と呼称される時間領域混合演算において、送信信号126と戻り信号136aの周波数の差によって測定される。したがって、距離Rは、式1bによって与えられる。
R=f
Rcτ/2B (1b)
当然、パルスが完全に送信された後に戻り信号が到着した場合、すなわち、2R/cがτより大きい場合、式1aと1bは有効ではない。この場合、ローカルオシレータ(LO)とも呼ばれる基準信号は、戻り信号が基準信号と重なり合うように、既知の量または固定量、遅延される。式1bから計算される距離に加えられる追加距離を得るために、基準信号のこの固定または既知の遅延時間Δt
LOに光の速度cが乗算される。絶対距離は、媒質中の光の速度が不確実であるので、得られないかもしれないが、これは、ほぼ一定の誤差であり、周波数の差に基づく相対距離は、なお、非常に精度が高い。
【0022】
いくつかの状況においては、送信光ビームによって照明された地点においては、半透明物体の前部と後部、またはLIDARからの距離が異なる、物体の近い部分と遠い部分、または照明された地点内の2つの別個の物体など、異なる距離で2つ以上の異なる散乱体に遭遇する。そのような状況では、グラフ130のトレース136bに示す、第2の減衰強度および異なる遅延の信号も受信される。これは、式1bを用いて異なる距離を与える、異なる測定値f
Rを得ることになる。いくつかの状況では、複数の戻り信号が受信される。
【0023】
グラフ140は、第1の戻り信号136aと基準チャープ126の間の差周波数f
Rを描いたものである。水平軸112は、
図1Aの他のすべての並ぶグラフと同様の時間を示し、垂直軸134は、大きく拡大した目盛りでの周波数差を示す。トレース146は、送信すなわち基準のチャープ中に測定された定周波数f
Rを描いたものであり、これは、式1bによって与えられる特定の距離を示す。第2の戻り信号136bは、これが現れた場合、脱チャープ化中に、異なる、より大きな値のf
R(図示せず)を引き起こし、その結果、式1bを用いると、より大きな距離が生成される。
【0024】
脱チャープ化の一般的な方法は、基準光信号と戻って来た光信号の両方を同じ光検知器に誘導することである。検知器の電気出力は、検知器に集まる2つの信号の周波数、位相、および振幅の差に等しいか、またはその他の形で従属する、ビート周波数に支配される。この電気的出力のフーリエ変換は、ビート周波数でのピークを生成する。このビート周波数は、光の周波数レンジであるテラヘルツ(THz、1THz=10
12ヘルツ)ではなく、無線周波数レンジであるメガヘルツ(MHz、1MHz=10
6ヘルツ=10
6サイクル/秒)である。このような信号は、マイクロプロセッサあるいは特別製のFFT、またはその他のデジタル信号処理(DSP)集積回路上で実行される高速フーリエ変換(FFT)アルゴリズムなど、一般的な安価なRFコンポーネントによって容易に処理可能である。別の実施形態においては、戻り信号は、(ローカルオシレータとしてのチャープとの対比において)ローカルオシレータとして機能する連続波(CW)トーンと混合される。この結果、それ自身チャープである(または、何であれ、送信された波長である)信号が検知される。この場合、検知された信号は、Kachelmyer 1990に記載されたように、デジタル領域において整合フィルタリングを経る。これの欠点は、デジタイザの帯域幅要件が一般に高くなることである。コヒーレント検波の積極面は、別の意味で維持される。
【0025】
図1Bは、実施形態による、脱チャープ化から生じるビート周波数の測定値の例示のグラフであり、距離を示す。水平軸152は、メガヘルツ単位の周波数を示し、垂直軸は、送信電力密度I
Tに対する戻り信号の電力密度I
Rをデシベル(dB、dB単位の電力=20 log(I
R/I
T))単位で示す。トレース156は、例えば、FFT回路によって生成されるような、光検知器による電気信号出力のフーリエ変換であり、プロットされたデータは、Adany et al., 2009が発表したデータに基づく。ピークの垂直位置は、式1bを用いると、距離を示すf
Rを与える。さらに、ピークの他の特性を用いて、戻り信号を記述することができる。例えば、ピークにおける電力値は、トレース156の最大値によって、さらに通例においては、ピーク値(
図1Bにおいては、約−31dB)とピークの肩部におけるノイズフロア(
図1Bにおいては、約−50dB)の差157(
図1Bにおいては、約19dB)によって特徴づけられ、ピークの幅は、最大値の半分における周波数幅158(
図1Bにおいては、約0.08MHz)(FWHM)によって特徴づけられる。複数の識別可能な戻り信号がある場合、光検知器のFFTにおいて、複数の異なる電力レベルと幅を有する、複数のピークが存在することになる。トレースにおいて自動的にピークを発見し、位置、高さ、および幅によってそれらを特徴づける任意の方法を用いることができる。例えば、いくつかの実施形態では、Natick, Massachusetts所在のMATHWORKS(商標)のMTLAB(商標)から入手できる、MATLAB−Signal Processing ToolboxによるFFTWまたはピーク検知が使用される。また、Santa Clara, California所在のNVIDIA(商標)から入手できる、CUDAのFFTWおよびCUDA(商標)のカスタムピーク検知によるカスタム実装を使用することもできる。カスタム実装は、フィールドプログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)にプログラムされている。一般的に用いられるアルゴリズムは、距離プロファイルに閾値を設け、質量中心アルゴリズム、ピーク適合アルゴリズム(3点ガウス関数一致)、またはいくつかの関数(ガウス関数などの)についてピークの非線形一致を実行して、ピークの位置をより精度高く決定することである。
【0026】
新たな独立の測定が、可動LIDARシステムの、異なる角度または平行移動位置において、休止tiの後の別のパルスを使用して行われ、したがって、パルスレート(PR)は、式1/(τ+ti)によって与えられる。フレームは、距離の2次元画像であり、そこにおいては、画像の各画素は、送信ビームによって見られた物体の別の部分までの距離を示す。1000個の水平角度かける1000個の垂直角度の各々において、送信信号から組み立てられたフレームについて、各フレームは、10
6個の画素を含み、フレームレート(FR)は、パルスレートの10
−6倍、例えば、10
−6/(τ+ti)である。
【0027】
2.チャープ検知ハードウェアの概要
測距方式がどのように実装されるかを描くために、いくつかの一般的なハードウェア方式を説明する。
図2Aと
図2Bは、様々な実施形態による高解像度LIDARシステムのコンポーネントを例示したブロック図である。
図2Aでは、レーザ源212が、搬送波201を発射し、これが、変調器214において、RF波形発生器215からの入力に基づいて、振幅変調、周波数変調、位相変調、またはそれらの組み合わせによって変調されて、帯域幅Bと時間幅τを有するパルスを含む光信号203が生成される。いくつかの実施形態では、RF波形生成器215は、処理システム250からのコマンドでソフトウェア制御される。スプリッタ216は、変調された信号205を、光信号203のエネルギーのほとんどを有する送信信号205と、それよりはるかに小さいエネルギー量であるが、それでも、標的(図示せず)によって散乱された戻り信号への有効なヘテロダインまたはホモダイン干渉を生成するには十分なエネルギー量を有する基準信号207に分割する。いくつかの実施形態では、送信ビームは複数角度にわたって走査し、走査光学装置218を用いて、その経路内にある物体の輪郭を得る。基準信号は、散乱光とともに検知器アレイ230に到達するように、基準経路220において十分に遅延される。いくつかの実施形態では、スプリッタ216は、変調器214の上流側にあり、基準ビーム207は変調されない。いくつかの実施形態では、基準信号は、新たなレーザ(図示せず)を用いて、独立に生成され、基準経路にある別の変調器(図示せず)と生成器215からのRF波形を用いて、別に変調される。いくつかの実施形態では、
図2Bを参照して下に述べるように、単一のレーザ源212からの出力は、基準経路220において、独立に変調される。柔軟性の小さいものから、大きなものまで、様々な実施形態において、1)経路長が十分に一致するように送信ビームの一部が反射されて検知器アレイに戻ってくるように、対象場所にミラーを置くこと、2)
図2Aに示すように、特定の距離について観測または予想される位相差を補償するための経路長調整の有無にかかわらず、検知器アレイ近傍の光学装置により、経路長をほぼ一致させて、基準ビームをブロードキャストするために、ファイバ遅延を利用すること、または、3)
図2Bを参照して下に詳しく述べるように、経路長の不一致を補償するために別の変調を生成するために、周波数偏移デバイス(音響−光学変調器)またはローカルオシレータ波形変調の時間遅延を用いること、または、それらの組み合わせによって、基準信号は、散乱フィールドまたは反射フィールドとともに到着させられる。いくつかの実施形態では、戻り信号が、遅延なしに、基準信号と十分に重なり合うように、標的が十分近く、パルス時間幅が十分長い。いくつかの実施形態では、基準信号207bは、1つ以上の光混合器232において、戻り信号291と光混合される。様々な実施形態において、標的の複数の部分が、各走査ビームについて、それぞれの戻り光291信号を散乱して検知器アレイ230に戻し、それにより、複数のビームおよび複数の戻り光によって、照明された標的の複数部分のそれぞれの距離に基づいて、点クラウドが生成される。
【0028】
検知器アレイ230は、単一の、あるいは平衡対の光検知器、または標的からの戻りビーム291に対しておおむね垂直な平面内に配置される、そのような光検知器の1Dまたは2Dアレイである。インタフェースパターンの位相あるいは振幅、またはそれらの組み合わせが、パルス時間幅τの間、複数の時点で、各検知器について、取得システム240に記録される。パルス時間幅当たりの時間的標本の数は、ダウンレンジ範囲に影響する。この数は、しばしば、パルス反復率および利用可能なカメラのフレームレートに基づいて選択される実際的な考慮事項である。フレームレートは、標本化帯域幅であり、しばしば、「デジタイザ周波数」と呼ばれる。基本的に、Yレンジ幅の解像度ビンで、パルス時間幅の間に、X個の検知器アレイフレームが採取される場合、X*Yのレンジ範囲が観測可能である。取得されたデータは、
図8を参照して下に述べるコンピュータシステム、または
図9を参照して下に述べるチップセットなどの、処理システム250が使用できるようにされる。いくつかの実施形態では、取得されたデータは、標的の複数部分の複数距離に基づく点クラウドである。
【0029】
適応走査モジュール270は、下にさらに詳細に述べるように、走査の対象とされる特定場所について走査光学装置による非均一走査が望ましいか否かを決定する。例えば、適応走査モジュール270は、対象場所の異なる部分について、フレームを構築するための価値のあるパルス、例えば、数秒間に送信される数百万のビームが、走査される物体からの戻り信号が存在する方向に集中され、対象とされない空や近傍の地面が存在する方向が避けられるように、どのような走査角度と解像度が用いられるべきかを決定する。いくつかの実施形態では、適応走査モジュール270は、RF波形生成器215を制御する。
【0030】
図2Bは、ソフトウェアにより制御される遅延が、ローカルオシレータ(LO)信号とも呼ばれる基準信号を生成する基準経路に導入されることを可能にする代替的ハードウェア配置を描いている。レーザ源212、スプリッタ216、送信信号205、走査光学装置218、光混合器232、検知器アレイ230、取得システム240、および処理システム250は、
図2Aを参照して、上に述べたものと同様である。
図2Bには、生成器215からのRF波形を光搬送波に乗せる、2つの別個の変調器、すなわち、送信経路の214aと基準経路の214bがある。スプリッタ216は、レーザ源212と、変調器214aおよび214bの間を移動して、変調器214aに当たる光信号283と、修正基準経路282において変調器214bに当たる、低い振幅の基準経路信号287aを生成する。この実施形態では、光201は、変調が行われる前に、送信経路(TX)経路ビーム283と、基準/ローカルオシレータ(LO)経路ビーム287aに分割され、各経路には、別個の変調器が使用される。デュアル変調器方式で、いずれの経路も、オフセット開始周波数および/またはオフセット開始時間のチャープをプログラム可能である。これは、ダウンレンジ次元において適応する適応走査方式を可能にするために用いられる。各距離ゲートにおいて用いられる遅延を変化させることにより、このシステムは、他のシステム制限(検知器およびデジタイザの帯域幅、測定時間等)にもかかわらず、高解像度で、明確な測定が可能である。したがって、いくつかの実施形態では、修正適応走査モジュール278が、下に述べる適応走査によって生成される各距離ゲートのために適切な遅延時間を課すように、RF波形生成器を制御する。そこで、ソフトウェアにより制御される遅延基準信号287bは、上に述べたように、戻り信号と混合される。他の実施形態では、ソフトウェアにより制御されるLO基準経路282の遅延はまた、システム280が、チャープドップラ補償のために距離遅延効果を蓄積することを可能にする。
【0031】
例えば、いくつかのチャープの実施形態では、使用されたレーザは、レーザを駆動する電流に適用する変調によって、能動的に線形化された。電気−光変調器が変調を提供する実験も行われた。このシステムは、様々な実施形態のために、下にさらに詳しく述べるように、所望のダウンレンジ解像度のために好適な、帯域幅Bと時間幅τのチャープを生成するように構成される。この技術は、チャープ帯域幅10MHz〜5THzに適用される。しかし、3D撮像適用については、典型的なレンジは、チャープ帯域幅が約300MHz〜約20GHz、チャープ時間幅が約250ナノ秒(ns、ns=10
−9秒)〜約1ミリ秒(ms、1ms=10
−3秒)、標的までの距離が約0メートル〜20キロメートル(km、1km=10
3m)、標的におけるスポットサイズが約3ミリメートル(mm、1mm=10
−3m)〜1メートル(m)、標的における深度解像度が約7.5mm〜0.5mである。いくつかの実施形態では、標的は、400メートル(m)など、最小距離を有する。これらの条件の下で、この距離ウィンドウは数キロメートルまで延ばすことができることも注目される。プロセス、設備、およびデータ構造が、
図2Aおよび
図2Bには、図示のために、特定の配置の統合ブロックとして描かれているが、別の実施形態においては、1つ以上のプロセスあるいはデータ構造、またはそれらの一部は、別のやり方で、同じ、あるいは異なるホストに、1つ以上のデータベースに配置されるか、または排除されるか、または、1つ以上の異なるプロセスあるいはデータ構造は、同じ、あるいは異なるホストに含まれる。例えば、スプリッタ216と基準経路220は、0個以上の光カプラを含む。
【0032】
3.適応走査の概要
図3Aは、実施形態による、走査レーザ測距システムで走査される場所の例示画像である。この画像は、約10センチメートル距離解像度(例えば、5〜20cm)で最大約1キロメートル(例えば、0.5〜2km)の距離のために構成された走査3Dレーザ測距システムの最大水平角および垂直角解像度を用いて生成された。
図3Bは、実施形態による、適応走査される
図3Aの場所の水平方向部分の例を示す画像である。この水平方向の次元は、相対単位での水平角を示し、垂直方向の次元は、静止LIDARシステムから見た、相対単位での垂直角を示す。戻り信号がない角度での測定を回避し、目標空間解像度を得るために、高い角解像度標本化が望ましい、遠い標的に対してのみ、そのような標本化を用い、目標空間解像度を与えるために、低い角解像度で十分な、近い物体に対しては低い角解像度標本化を用いることにより、所望の測距情報の収集を迅速にするために、適応走査が行われる。
【0033】
適応走査の利点を
図3Cに図示する。
図3Cは、実施形態による、
図3Bに明らかに示された形状のための距離のセットの例を示すブロック図である。
図3Cは、標本化角空間を表す。エリア310には、戻り信号がなく、角空間のこのエリアを走査はしないことが望ましい。エリア320には、システムの真直ぐ前方には、対象とはならない地面があるのみである(例えば、このエリアは、十分に知られているか、または、特に関心対象とはされない小さな形状である)。角空間のこのエリアも走査しないことが望ましい。遠方のドーム構造物が、角空間のエリア332を占め、このドームの前の構造物が角空間のエリア330を占め、それらの前の壁またはフェンスが角空間のエリア328を占め、より近い構造物および柱状物が角空間のエリア322を占めている。対象にはならないエリア320と、エリア330の構造物の間において、角空間でエリア321、323、325、および327と記された地面は、距離が大きくなっていくことが明らかである。目標空間解像度s、例えば10センチメートル、以上で、場所の形状を特定するためには、用いられる角解像度Δθは、式2に与えられる、物体への距離Rの関数である。
Δθ=arctan(s/R) (2a)
比s/Rの値が小さい場合には、Δθ≒s/Rである。ほとんどの場合、sは、Rよりもはるかに小さいので、多くの実施形態において、処理を迅速にするために、近似値Δθ=s/Rが用いられる。近距離Rnearから遠距離Rfarまでの距離間隔にあるすべての物体について、少なくとも目標空間解像度s、またはそれ以上を確かに達成するために、遠距離を式2に使用して、式2bを得る。
Δθ=arctan(s/Rfar) (2b)
小さい角の近似が有効である場合には、式2bの近似式2cを用いる。
Δθ=s/Rfar (2c)
当然、任意の所与のレーザ測距システムは、個々の光ビームの最小角幅を有し、そのような角ビーム幅よりはるかに小さい角解像度は、実際には、定義できない。したがって、大きな距離では、目標空間解像度sは、達成不可能なこともある。以下の説明では、単純化のために、計算されたΔθは必ずビーム角幅より大きいと仮定する。
【0034】
式2a〜2cは、対象場所における様々な物体への距離が既知であることを意味する。様々な実施形態により、対象場所に関する距離は、初回通過の疎角解像度によって決定される。対象場所において、一方の次元に延びる距離は他方の次元における距離よりも大きい、または、装置が、一方の次元において、他方の次元と比較して、より大きな制御を有することが一般的であり、それゆえ、いくつかの実施形態では、疎の水平角解像度は、疎の垂直角解像度とは異なる。
図3Dは、実施形態による、
図3Cに描かれた形状に対する疎角走査の例示のブロック図である。水平軸342は、水平角(方位角とも呼ばれる)を示し、垂直軸は、垂直角(仰角とも呼ばれる)を示す。垂直方向のこぎり歯状走査軌跡は、点線346によって示される。図示のために、走査光学装置が通る経路は左下から右上に延びると仮定される。走査軌跡346は、垂直方向のこぎり歯状パターンで、水平方向にA
HRとして指示される反復離隔角347を有する。走査軌跡346は、走査LIDAR測距システムが実行し得る細密水平走査に比べて、走査が幅方向に間が空いている。さらに、疎の垂直標本化解像度で、経路346に沿って距離測定が行われる。したがって、走査軌跡346に沿った測定値は、目標フレームレートに比較して短時間に取得できる。水平解像度は、可変であるが、水平反復離隔A
HRごとに2つの標本を特徴とするので、平均水平解像度はA
HR/2である。他の実施形態では、走査において水平標本離隔と垂直標本離隔の両方とも一定である、行順または列順の走査軌跡が用いられる。そのような実施形態のいくつかにおいては、水平離隔と垂直離隔の両方とも、Δθに設定される。
【0035】
疎走査の結果として、αを水平方向(方位)走査角とし、εを垂直方向(仰角)走査角とすると、疎最小水平角αminから疎最大水平角αmaxまで、かつ、疎最小垂直角εminから疎最大垂直角εmaxまでの、すべての水平角について、多様な距離R(α,ε)を得ることができ、したがって、点クラウドが形成される。エリア320の距離は排除される。その他の距離は、距離ゲートと呼ばれる複数の距離間隔に分割され、各距離ゲートは、別の重なり合わないRnearとRfarによって与えられる別の重なり合わない間隔によって画定される。距離R(α,ε)は、N個の距離ゲートのうちの、距離ゲート番号n、すなわち、RGnという名称のセットの要素であり、式3を満たす。
Rnear
n≦RGn<Rfar
n (3)
値Rnear
nは、下のような命令を使用して、距離R(α,ε)とそれに関連する角座標(α,ε)を1つの距離ゲートのセットに割り当てるためのゲートとして用いることができる。
For α=αmin to αmax, ε=εmin to εmax
N=0
for i=1 to N, if R(α,ε)≧Rnear
i, then n=i
add R(α,ε) to set RGn
そこで、距離ゲートのセットにおけるすべての各座標(α,ε)からなる角空間の各部分は、距離ゲートのうちの1つに関連づけることができる。角範囲ゲートに関連するエリアは、距離ゲートエリアと呼ばれる。
図3Eは、実施形態による、
図3Dに描かれた形状に対する距離ゲート内の距離の一団の内の、角走査空間における走査距離の隣接エリアの例を示すブロック図である。エリア356は、近傍の建物と柱状物のエリア322を含むRG1に割り当てられ、エリア356bは、RG2に割り当てられ、エリア356cは、壁構造物328を含むRG3に割り当てられ、エリア356dは、RG4に割り当てられ、エリア356eは、建物エリア330を含むRG5に割り当てられ、356fは、ドーム構造物332を含むRG6に割り当てられる。
【0036】
様々な実施形態において、水平解像度あるいは垂直解像度、またはそれらの両方は、各距離ゲートnに関連する角空間エリアにおいて、RfarをRfar
nとして、式2bまたは式2cを満たすように調整される。いくつかの実施形態では、各距離ゲートエリアは、疎標本化に基づいて、各水平角についての最小垂直角と各水平角についての最大垂直角によって輪郭が定まる。最小垂直角と最大垂直角は、各々、目標角間隔(RfarをRfar
nとして、式2bによって与えられる間隔)に合わせて内挿補間される。そして、各距離ゲートエリアは、RfarをRfar
nとした式2bによって与えられる水平角解像度と垂直角解像度を用いて、のこぎり歯状走査パターン(または、その他の走査パターン)で、それぞれ別に走査される。走査パターンは、走査軌跡とも呼ばれる。
【0037】
図4は、実施形態による、走査レーザ測距システムによる適応走査の例示の方法を示すフローチャートである。
図4とその後のフローチャート
図14に、工程は、図示のために、特定の順序の統合的工程として描かれているが、他の実施形態においては、1つ以上の工程、またはその一部が、異なる順序で、または時間的に重なり合うか、順次か、あるいは並行して、実行されるか、または、排除され、または、1つ以上の追加工程が追加され、または、いくつかの組み合わせ方で、方法が変更される。
【0038】
工程401では、目標空間解像度sが決定される。任意の方法を用いることができる。これは、ユーザが手入力することもでき、コンピュータ可読媒体上の格納から引き出すこともでき、ローカルまたは遠隔のデータベースまたはサーバから、要求せずに、または問い合わせを行って、受信することもできる。いくつかの実施形態では、対象の物体のサイズ範囲Oが入力され、目標空間解像度sが、例えば、指示された物体サイズOの1/100または1/1000などの、所定の、または指定の、1未満の値に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、工程401において、上述の1つ以上の方法を用いて、そのような物体を検知するための最大距離Rmaxも決定される。いくつかの実施形態では、上述の方法のいずれかを用いて、疎角解像度も与えられる。いくつかの実施形態では、疎角解像度は、1つ以上の他の入力に基づいて決定される。例えば、所望の目標空間解像度がsであり、指定の最大距離がRmaxである場合、最も細密な角解像度Δθbestは、式2においてRをRmaxに置き換えることによって得られる。この場合、疎角解像度は、この最も細密な角解像度Δθbestの倍数である。フレームレートに比べて小さい時間量で、この疎走査を完了するためには、倍数の大きさは、例えば、最も細密な解像度の約10〜100倍である(高解像度フレームの1/100〜1/10,000で、疎フレームを完了する)。指定される空間解像度は、適用に依存する(測量は、例えば、3D形状検知とは異なる要件を含むかもしれない)。様々な実験的実施形態において、標的の空間解像度は、約1cm以上であり、これに対して、実験的撮像装置にとって、やや大きめの最終的解像度とみなされるのが、標的に対して10cmである。疎走査解像度のために用いられる倍数は、細密な標的解像度の約10〜約25倍である。そして、疎走査は、総走査時間に1未満の値を乗じたものであり、適応走査パターンの生成のために有用な情報を与える。
【0039】
工程403では、対象場所の一般的な3D特徴を得るために、ただし、所望の最終的走査角解像度よりも、はるかに疎な空間標本化によって、疎解像度撮像走査が実行される。この疎走査の結果は、疎3次元(3D)点クラウドであり、このクラウドの各点は、レーザ光後方散乱面の照明されたスポットの3D座標内の位置を示す。3D座標は、測距システムからの、方位角α、仰角ε、および距離Rなどの極座標、または、水平方向x(例として、例えば、基準点または測距システムの位置からの北方向の距離)、水平方向y(例として、基準点からの東方向距離)、およびz(例えば、水平面からの高さ)などの直交座標とすることができる。
【0040】
工程405では、疎の点クラウドは、例えば上述の式3を用いる距離座標と、式3のすぐ後に続く疑似コードに従う、距離ゲートにさらに分割される。この小分割は、Rnear
nのN個の固定値でハードコードするか、または、Rnear
nのための1〜N個の計算値に基づく適応型とすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、5パーセンタイル距離と99パーセンタイル距離、それぞれ、R
5とR
99が、疎3D点クラウドにおける距離分布から決定され、距離ゲートの数Nが、99パーセンタイル距離と5パーセンタイル距離の差と対象の物体のサイズから決定される(例えば、N=modulus(.R
99−R
5, M
*O)、ここで、Oは、対象の物体のサイズであり、Mは、M=4など、1より大きい倍数である)。この適応型の例では、N個の距離ゲートは、R
5とR
99の間に均等に分布する。いくつかの実施形態では、工程405は、距離ゲートを決定する前に、取得した疎の点クラウドデータの直交座標表示を、LIDAR測距システムに対する球面座標に変換することを含む。他の実施形態では、N個の距離ゲートの決定は、点密度を距離の関数とする基本的データ分析によって行われた。例示の適応データ分析は、距離ゲートを、最小数の点が存在する密度分布の距離に距離ゲートを配置した。これは、距離ゲートの「継ぎ目」を、システムから見える物体の密度が最小限である所に位置させるために行われた。
【0041】
工程411では、各距離ゲートの点のセットRGnについて、改良された対象場所の標本化のために、適応走査軌跡が決定される。セットRGn内の各物体が、確実に、目標空間解像度s、またはその付近で、解像されるように、式2bまたは式2cで、Rfarの代わりに、距離ゲートにおける特徴的距離を用いて、垂直および水平走査特性のための角解像度を決定する。例えば、距離ゲート内の各物体が、確実に、少なくとも、目標空間解像度sで、標本化されるように、特徴距離は、Rfar
nであり、式2bまたは式2cが用いられる。いくつかの実施形態では、のこぎり歯状パターンの水平反復離隔角度A
HRは、角解像度Δθに合わせて設定され、したがって、最も悪い水平解像度はΔθであり、平均水平解像度は、Δθ/2でも、より良い。いくつかの実施形態では、平均水平解像度sが許容範囲である場合、平均水平解像度がΔθになるので、A
HRは2Δθに設定される。しかし、他の実施形態では、Rnear
nとRfar
nの間にあるものと定義される中距離Rmid
nなど、他の特徴距離が用いられる。したがって、角空間内の距離ゲートエリアにおけるすべての水平角において最小垂直角と最大垂直角の間に、適応走査軌跡が決定される。
【0042】
いくつかの実施形態では、ローカルオシレータの遅延時間Δt
LOnは、n番目の距離ゲートRGnの距離ゲート距離RGRnを用いて、距離ゲートnの各距離ゲート標本化軌跡について、決定され、例えば、RGRnは、Rnear
n、または、式4に従って、上に定義した特徴距離に等しいか、またはその関数である。
Δt
LOn=RGRn/c (4)
【0043】
工程421では、各距離ゲートに対応する各適応走査パターンに基づいて、走査光学装置に対するコマンドが、測距システム、またはシステム内の走査光学装置に、転送され、走査レーザ測距システムを動作させて、適応水平角解像度および適応垂直解像度で、適応走査軌跡に沿って、距離測定値を得る。いくつかの実施形態では、工程421は、現距離ゲート、または、N個の異なる距離ゲートのうちのさらなる距離ゲートのための、式4による遅延時間を示すデータを送信することを含む。それらの実施形態のうちのいくつかでは、測距システムは、
図2BのRF波形生成器215aと変調器214bを用いて、レーザ光を変調して、計算された遅延時間Δt
LOnを課す。
【0044】
工程431では、角空間における距離ゲートエリアのすべてについて、順次適応走査を用いて、結果として取得した点クラウドの点のセットは、すべての被走査物体について、目標空間解像度sを保存する1つ以上の点クラウドの集まりである最終的3Dデータ生産物を構成するように、組み合わされる。同時に、適応走査は、戻り信号がない所、あるいは測距システムに近すぎる所、またはそれらが組み合わさった所については、角空間の走査を回避する。工程441では、3Dデータ生産物に基づいて、デバイスが動作する。いくつかの実施形態では、これは、3Dデータ生産物を示す画像を表示デバイスに提示することを含む。いくつかの実施形態では、これは、3Dデータ生産物の点クラウドに基づいて、少なくとも1つの物体を認識するデータを、デバイスに送信することを含む。いくつかの実施形態では、これは、認識された物体に接近するように、あるいは、それとの衝突を回避するように、車両を動かすこと、または、兵器システムを動作させて、認識された物体に、兵器を誘導することを含む。
【0045】
4.例示実施形態
周波数変調連続波(FMCW)チャープLIDAR測距システムでは、距離ウィンドウは、チャープ帯域幅、デジタイザ帯域幅、およびパルス反復周波数(PRF)によって規定される。したがって、基本的FMCWシステムは、より大きなPRFおよび帯域幅については、距離に限界がある。この限界は、長距離で迅速に距離データを取得するシステムの能力を制限する。この制限は、ソフトウェアプログラム可能な距離遅延に影響するように、LOおよびチャープ波形の送信器/戻り信号経路に、別々の変調器(例えば、
図2Bを参照して、上に述べたように、基準経路282において、RF波形生成器215、および、別個の変調器214bを用いる)を考慮することによって、克服された。LO波形の時間遅延は、所与の距離遅延のための測距周波数帯域幅Bが低減されて、検知器/デジタイザシステムの帯域に入ることを可能にする。このコンセプトは、非ゼロ距離遅延で、距離ウィンドウ内の迅速な距離データ取得を可能にする。これは、適応走査アルゴリズムと組み合わされて、例えば、それぞれの異なる距離ゲートの走査軌跡のための異なる基準経路遅延を用いて、対象のボリュームの量のデータを、いっそう迅速に取得することができる。
【0046】
適応角走査手順は、調査対象のボリュームの角境界に適合する走査を(ビーム走査ハードウェアの能力の範囲内で)生成するように設計される。これは、システムが、「空を走査したり」、「地面を走査したり」することを防ぐ。走査パターンは、ボリュームの疎な非適応走査を考慮することにより、構築される。これは、問題の距離ウィンドウ内の実際のハード標的の境界を画定するために用いられる。この方式の速度と効用を実証するために、調査ソフトウェアが実装された。
【0047】
図5は、実施形態による、俯瞰図および斜視図における後方散乱戻り信号への距離の例示を示す画像である。
図5Aの上部部分のグレー画素は、実験的実施形態において、走査レーザ測距システムによって、戻り信号が検知された所の、水平角と距離の俯瞰
図501を描いている。この実験では、走査レーザ測距システムは、Bozeman, Montana所在のBLACKMORE SENSORS AND ANALYTICS(商標) IncのHRS−3D−AS型適応スキャナを備えた。距離ウィンドウは、3〜96mであった。水平角範囲は、回転ステージで約370°をカバーし、垂直角範囲は、約60°である。距離解像度は、約7.5cmである。
図5Aの下部部分のグレー画素は、同じ実験で、走査レーザ測距システムによって戻り信号が検知された、距離、仰角、および水平位置の斜視
図511を描いている。両方の図で、走査レーザ測距システムの位置503は、画像の左端である。走査レーザ測距システムの位置503の近くに、戻り信号505が、いくつかの実施形態のために望まれるよりもいっそう高い、高空間密度を与え、したがって、対応する目標空間解像度sよりも細密な解像度を与えている。走査レーザ測距システムの位置503から遠く離れると、戻り信号507は、所望の空間密度よりも低い、低空間密度を与え、したがって、いくつかの実施形態のための、対応する目標空間解像度sよりも疎になる。
【0048】
図6Aは、実施形態による、
図5の斜視図における後方散乱信号戻りの距離のための距離ゲートの例示画像である。グレー画素は、
図5Aの下部部分のものと同じ実験において、走査レーザ測距システムによって戻り信号が検知された所の、距離、仰角、および水平位置の斜視
図511を描いている。距離は、4つの距離ゲートに分割され、例えば、N=4で、それらは、距離ゲート1,521、距離ゲート2,522、距離ゲート3,523、および距離ゲート4,524である。
【0049】
図6B〜
図6Eは、実施形態による、
図6Aに図示された4つの距離ゲートの各々における戻り信号の位置を例示する走査角空間におけるマスクである。角空間の黒いエリアは、第1の距離ゲートにおける距離の戻り信号がある所の、方位角と仰角、すなわち、αとεを示し、したがって、細密な解像度の走査が有用であるエリアを示す。疎のマスクは、水平方向に10
−3(約0.06°)の解像度と、垂直方向に10
−4rad(約0.006°)以下の解像度を有する。水平軸632は、方位角αを示し、これは−0.2〜+0.2radで、約−11.5〜+11.5°に対応する。垂直軸は、仰角εを示し、4つのマスク同士で、その範囲がわずかに異なる。
図6Bは、第1の距離ゲートn=1からの戻り信号の角空間位置を描いた2値画像630である。垂直軸634は、約−0.12〜約0radの範囲であり、約−7°から0°、すなわち、水平までである。−0.05rad(約−3°)より上には戻り信号がない。黒マスクエリア635における特徴距離が、目標空間解像度s、および式2aまたは式2cとともに、角解像度Δθを決定するために用いられる。列順または垂直のこぎり歯状走査軌跡については、カバーされるエリアは、最小垂直角約−0.12radから、破線636によって示される最大垂直角までである。行順または水平のこぎり歯状走査軌跡については、最小方位角と最大方位角(図示せず)は、仰角−0.05rad未満について、それぞれ、−0.2radと+0.2radである。
【0050】
同様に、
図6Cは、第2の距離ゲートn=2からの戻り信号を描いたものである。垂直軸644は、約−0.06rad〜約0.11radの範囲であり、これは約−3.5°〜6.3°に一致する。第1の距離ゲートの最大仰角である−0.05rad(約−3°)より下には戻り信号がない。第2の距離ゲートにおける戻り信号は、黒エリア645によって示され、0rad未満の地面レベルとともに、街灯柱と街灯柱の右手の木を表している。黒マスクエリア645における特徴距離が、目標空間解像度s、および式2aまたは式2cとともに、角解像度Δθを決定するために用いられる。列順または垂直のこぎり歯状走査軌跡については、カバーされるエリアは、最小垂直角約−0.5radから、各方位角αにおいて単一の値である、破線646によって示される最大垂直角までである。行順または水平のこぎり歯状走査軌跡については、最小方位角と最大方位角(図示せず)は、仰角εにおいて、各々、単一の値である。最小方位角は、街灯柱の左側にあり、最大方位角は、木の右側にある。
【0051】
図6Dは、第3の距離ゲートn=3からの信号戻りを描いた2値画像650である。垂直軸654は、約−0.01radから約0.11radまで延び、約−0.6°〜約6.3°に一致する。第2の距離ゲートの地面レベルのほぼ最大仰角である、約−0.01rad(約−0.6°)より下には、戻り信号はない。第3の距離ゲートにおける戻り信号は、黒エリア655によって示され、約0radに、頂部の地面レベルとともに、林、林の右手のいくつか街灯および標識柱、ならびに、さらに右手に遠く藪を表している。黒マスクエリアにおける特徴距離が、目標解像度s、および式2aまたは式2cとともに、角解像度Δθを決定するために用いられる。列順または垂直のこぎり歯状走査軌跡については、カバーされるエリアは、トレース658によって与えられた最小垂直角と、各方位角αにおいて単一の値である、破線トレース656によって与えられた最大垂直角の間である。行順または水平のこぎり歯状走査軌跡については、最小方位角と最大方位角(図示せず)は、仰角εにおいて、各々、単一の値である。最小方位角は、林の左手にあり、最大方位角は、林の右手を柱状物のある仰角まで下がり、そこから、柱状物の右手を藪のある仰角まで下がり、そこから藪の右手に延びる。
【0052】
図6Eは、最後の距離ゲートn=4からの信号戻りを描いた2値画像660である。垂直軸664は、(斜視図で、より遠い物体は、より小さく見え、垂直角におけるその延長距離は、より小さいので)約0radから約0.08radまで延び、約0°〜約4.5°に一致する。約0rad未満では、戻り信号はなく、この角度は、第3の距離ゲートの地面レベルのほぼ最大仰角である。第4の距離ゲートにおける戻り信号は、黒エリア665によって示され、林、切り開いた土地、さらに、幅方向に並んだ木々と、その上の約0.01radの地面レベルを表している。黒マスクエリア665における特徴距離が、目標空間解像度s、および式2aまたは式2cとともに、角解像度Δθを決定するために用いられる。列順または垂直のこぎり歯状走査軌跡については、カバーされるエリアは、トレース658によって与えられた最小垂直角と、各方位角αにおいて単一の値である、破線トレース668によって与えられた最大垂直角の間である。行順または水平のこぎり歯状走査軌跡については、最小方位角と最大方位角(図示せず)は、仰角εにおいて、各々、単一の値である。最小方位角は、林の左手に延び、最大方位角は、林の右手を一群の立木のある仰角まで下がり、そこから、右端の0.20radまで下がる。このような行順走査軌跡は、列順またはのこぎり歯状走査軌跡ほどは、多くのエリアを、高精度走査から排除しないことは留意すべきである。点線669は、
図7Aと
図7Bに高精度走査軌跡で表示されたエリアの水平部分を示す。
【0053】
図7Aと
図7Bは、実施形態による、それぞれ、異なる特徴距離(または、異なる目標空間解像度)について
図6Eに描かれた距離ゲートの一部での、複数の隣接する水平スライスにおける例示の適応走査パターンを図示するグラフである。水平軸712は、方位角がラジアル単位で約−0.085〜約0.005radであることを示し、約−5°〜約0.3°のウィンドウに一致し、これは、
図6Eに点線方形669の水平方向範囲として描かれている。垂直軸714は、仰角がラジアン単位で約−0.01rad〜約0.06radであり、約−0.6°〜約3.5°のウィンドウに一致する。現ウィンドウにおける、
図6Eからの、トレース668によって与えられた最小垂直角と破線666によって与えられた最大垂直角もプロットされている。両方のトレースは、この適応走査軌跡の細密角解像度に合わせて、内挿補間されている。
図7Aは、最小仰角と最大仰角の間の高解像度走査軌跡716のグラフ710である。水平反復離隔角A
HRは、約0.0005rad(0.01rad離隔したチェックマーク間に20回の反復があることに留意すること)であり、これは、離隔角0.03°に一致する。この反復離隔角がΔθに等しいと仮定すると、Δθも0.03°に等しい。したがって、こののこぎり歯状走査軌跡に沿って垂直方向0.03°ごとに距離が測定される。
【0054】
図7Bは、異なる距離または目標解像度条件の下での、最小仰角と最大仰角の間の高解像度走査軌跡726のグラフ720である。図示のために、
図7Bでは、
図7Aを作成するために用いられた値よりも、特徴距離が、はるかに小さい、または目標空間解像度sが、はるかに疎であると仮定している。その結果、式2aにより決定される角解像度は、はるかに疎である。
図7Bでは、水平反復離隔角A
HRは、約0.003radであり(0.01rad離隔しているチェックマーク間に約3.3反復があること留意すること)、これは、約0.17°の離隔角に一致し、
図7Aよりも、約6倍疎である。反復離隔角がΔθに等しいと仮定すると、Δθは、0.17°に等しい。したがって、距離は、こののこぎり歯状走査軌跡に沿って垂直方向0.17°ごとに測定される。図示において、読者は、点線が、のこぎり歯状走査軌跡を表す点線−破線線分内にある所で、距離測定が行われると仮定することができる。
【0055】
上述のように、いくつかの実施形態では、距離ゲート、例えば、Nの値、およびN個のRnear
nの値は、適応走査の前に、手動で、事前決定または設定される。しかし、いくつかの実施形態では、Nの値、あるいはRnear
nのN個の値、またはそれらの両方が、疎間隔距離測定においては、観測距離R(α,ε)に基づいて、自動的かつ適応的に決定される。例えば、上述のように、NおよびRnear
nは、観測距離の低パーセンタイルと高パーセンタイル(例えば、5パーセンタイルと99パーセンタイル)に基づいて決定される。
【0056】
別の実施形態では、数Nおよび値Rnear
nは、疎間隔距離測定におけるR(α,ε)のヒストグラムに基づいて決定される。
図10は、実施形態による、対象場所の疎角走査における距離のヒストグラムを例示するグラフ1010である。走査レーザ測距システムは最大距離Rmaxに合わせて構成されるものと仮定される。ヒストグラム軸1012は、Rmaxに比べて小さいビン幅、例えば、Rmaxの1/10〜1/100、または1/1000のビン幅、を有する距離ビンを示す。垂直軸1014は、いずれかの距離ビンに入る測定距離の件数を示す。トレース1016は、例示ヒストグラムを描いたものである。件数は平坦ではなく、いくつかのピーク1017と谷1015を有することに注目すること。大きな形状は、ヒストグラムにおいてピークを生み出す可能性が高く、開けた地域は、谷を生み出す可能性が高い。いくつかの実施形態では、距離ヒストグラムは、一定の角密度で疎走査が実行されることを説明するために、スケールが距離の関数として再設定された。このスケールの再設定は、この食い違いを説明するために、ヒストグラムにおいて、より遠い点の測定に、より重みを与える。
【0057】
いくつかの実施形態では、1つ以上の距離ゲート値Rnear
nが、垂直点線によって示すように、ヒストグラム1016において生起の谷であるように決定される。そして、これらの実施形態のうちのいくつかでは、距離ゲートの特徴距離は、距離ゲートにおける最大生起の距離(例えば、Rpeak
n)である。多様な利用可能なソフトウェアルーチンを用いて、最小値とピーク値の両方が、迅速かつ自動的に、決定される。
【0058】
5.計算ハードウェアの概要
図8は、本発明の実施形態が実装され得るコンピュータシステム800の例示のブロック図である。コンピュータシステム800は、コンピュータシステム800の内部および外部のコンポーネント間で、情報を送受させるためのバス810などの、通信メカニズムを備える。情報は、測定可能な現象、一般的には、電圧であるが、その他の実施形態においては、磁気、電磁気、圧力、化学、分子、原子および量子の相互作用などの現象の物理的信号として表される。例えば、NとSの磁場、または、ゼロと非ゼロの電圧は、2値桁(ビット)の2つの状態(0,1)を表す。他の現象は、より高い基数の桁を表すことができる。測定前の複数の量子状態の重ね合わせは、量子ビット(qubit)を表す。1つ以上の桁のシーケンスは、数または文字のコードを表すために使用される。いくつかの実施形態では、アナログデータと呼ばれる情報は、特定の範囲内の測定可能な値の近似連続体によって表される。コンピュータシステム800、またはその一部は、本明細書に記載する1つ以上の方法の1つ以上の工程を実行するための手段を構成する。
【0059】
2値桁のシーケンスは、数または文字コードを表すために使用されるデジタルデータを構成する。バス810は、情報がバス800に接続されたデバイス間に迅速に送達されるように、多数の並列の情報導体を含む。情報を処理するための1つ以上のプロセッサ802が、バス810に接続される。プロセッサ802は、情報に対する動作のセットを実行する。この動作のセットは、バス810から除法を取り込むこと、および、バス810に情報を送り込むことを含む。この動作のセットはまた、典型的には、1つ以上の情報単位を比較すること、情報単位の位置を移動すること、および、加算または乗算などによって、2つ以上の情報単位を組み合わせることを含む。プロセッサ802によって実行されるべき動作のシーケンスは、コンピュータ命令を構成する。
【0060】
コンピュータシステム800はまた、バス810に接続されたメモリ804を含む。ランダムアクセスメモリ(RAM)またはその他の動的記憶デバイスなどのメモリ804は、コンピュータ命令を含む情報を記憶する。動的メモリは、そこに記憶された情報が、コンピュータシステム800によって変更されることを可能にする。RAMは、メモリアドレスと呼ばれる位置に格納された情報の単位が、隣接するアドレスにある情報から独立して、格納され、引き出されることを可能にする。メモリ804はまた、プロセッサ802によって、コンピュータ命令の実行の間、一時的な値を格納するために使用される。コンピュータシステム800はまた、コンピュータシステム800によって変更されない、命令を含む、静的情報を記憶するための、バス810に接続された読み出し専用メモリ(ROM)806、または、その他の静的記憶デバイスを含む。コンピュータシステム800が電源オフにされた場合、またはその他、電力を失った場合でも、保持される、命令を含む、情報を記憶するために、磁気ディスクまたは光ディスクなどの、非揮発(永久的)記憶デバイス808も、バス810に接続される。
【0061】
命令を含む情報は、人間のユーザが操作する英数字キーを備えるキーボード、またはセンサなど、外部入力デバイス812から、プロセッサによる使用のために、バス810に提供される。センサは、その近傍における状態を検知し、その検知を、コンピュータシステム800において情報を表すために使用される信号に変換する。バス800に接続され、主として人間との対話のために使用される、その他の外部デバイスは、画像を提示するための陰極線管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイ装置814、および、ディスプレイ814上に提示される小さなカーソル像の位置を制御し、ディスプレイ814上に提示されるグラフィカル要素に関連するコマンドを発するための、マウス、トラックボールまたはカーソル誘導キーなどのポインティングデバイス816を含む。
【0062】
図示された実施形態において、特定用途向け集積回路(IC)820など、特別目的ハードウェアが、バス810に接続される。特別目的ハードウェアは、特別な目的のために十分に迅速に、プロセッサ800によって実行されない動作を実行するように構成される。特定用途向けICの例には、ディスプレイ814のための画像を生成するためのグラフィクスアクセラレータ・カード、ネットワークを介して送られるメッセージを暗号化および解読するための暗号化基盤、ならびに、ハードウェアに実装する方がより効率的な複雑な動作シーケンスを反復実行する、ロボットアームおよび医療用走査機器など、特別な外部デバイスとの音声認識およびインタフェースなどがある。
【0063】
コンピュータシステム800はまた、バス800に接続された通信インタフェース870の1つ以上の例を含む。通信インタフェース870は、プリンタ、スキャナ、外部ディスクなど、それ自身のプロセッサとともに動作する多様な外部デバイスに接続される双方向通信を提供する。一般に、この接続は、それ自身のプロセッサを有する多様な外部デバイスが接続されるローカルネットワーク880に接続されるネットワークリンク878との間になされる。例えば、通信インタフェース870は、パソコン上のシリアルポートまたはユニバーサルシリアルバス(USB)であってもよい。いくつかの実施形態では、通信インタフェース870は、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)カード、デジタル加入者線(DSL)、または、対応する型の電話回線への情報通信接続を提供する電話モデムである。いくつかの実施形態では、通信インタフェース870は、バス810上の信号を、同軸ケーブルを介する通信接続のための信号、または光ファイバケーブルを介する通信接続のための光信号に変換するケーブルモデムである。別の例では、通信インタフェース870は、Ethernetなど、適合LANへのデータ通信接続を提供するローカルエリアネットワーク(LAN)カードとあってもよい。無線リンクが実装されてもよい。音波、および、無線波、光、赤外線波を含む電磁波などの、搬送波は、ワイヤもケーブルもなしに、空間を進行する。信号は、搬送波の振幅、周波数、位相、極、またはその他の物理特性の人工の変動を含む。無線リンクについては、通信インタフェース870は、デジタルデータなど、情報のストリームを運ぶ、電気、音、または、赤外線および光の信号を含む、電磁気の信号を送受する。
【0064】
本明細書において、コンピュータ可読媒体という用語は、プロセッサ802への、実行命令を含む、情報の提供に参加する任意の媒体を指すために用いられる。そのような媒体は、非揮発性媒体、揮発性媒体、送信媒体を含むが、それらに限定されない、多数の形式をとる。揮発性媒体は、例えば、記憶デバイス808など、光または電磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、例えば、動的メモリ804を含む。送信媒体は、例えば、同軸ケーブル、銅線ワイヤ、光ファイバケーブル、ならびに、音波、および、無線波、光、赤外線波を含む、電磁波など、ワイヤもケーブルもなしに空間を進行する波を含む。本明細書において、送信媒体を除き、コンピュータ可読媒体という用語は、プロセッサ802への情報の提供に参加する任意の媒体を指すために用いされる。
【0065】
一般的な形のコンピュータ可読媒体は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、または、その他の任意の磁気媒体、コンパクトディスクROM(CD−ROM)、デジタルビデオディスク(DVD)、またはその他の任意の光媒体、パンチカード、紙テープ、またはその他の任意の穴パターンを有する物理媒体、RAM、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、フラッシュEPROM、またはその他の任意のメモリチップあるいはカートリッジ、搬送波、または、コンピュータが読み出すことができるその他の任意の媒体を含む。本明細書において、非一時的コンピュータ可読記憶媒体という用語は、搬送波およびその他の信号を除き、プロセッサ802への情報提供に参加する媒体を指すために用いられる。
【0066】
1つ以上の有形媒体に符号化される論理には、コンピュータ可読媒体上のプロセッサ命令と、ASIC820などの特別目的ハードウェア上のそれのうちの、一方または両方などがある。
【0067】
ネットワークリンク878は、典型的には、1つ以上のネットワークを通じて、情報を使用または処理する他のデバイスに、情報を提供する。例えば、ネットワークリンク878が、ローカルネットワーク880を介して、ホストコンピュータ882、または、インターネットサービスプロバイダ(ISP)によって運用される設備884への接続を提供してもよい。そして、ISP設備884は、現在では一般にインターネット890と呼称される、全世界公衆パケット交換通信の、ネットワークのネットワークを介して、データ通信サービスを提供する。インターネットに接続されたサーバ892と呼ばれるコンピュータは、インターネットを通じて受け取った情報に応答して、サービスを提供する。例えば、サーバ892は、ディスプレイ814における表現のために、映像データを表す情報を提供する。
【0068】
本発明は、本明細書に記載する技術を実装するためのコンピュータシステム800の使用に関する。本発明の実施形態により、前記の技術は、メモリ804に格納された1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行するプロセッサ802に応答して、コンピュータシステム800によって実行される。ソフトウェアおよびプログラムコードとも呼ばれる、そのような命令は、記憶デバイス808など、他のコンピュータ可読媒体から、メモリ804に読み込まれてもよい。メモリ804に格納された命令シーケンスの実行は、プロセッサ802に、本明細書に記載した工程の実行を行わせる。それに代わる別の実施形態では、特定用途向け集積回路820などのハードウェアが、本発明の実装のために、ソフトウェアに代わって、またはソフトウェアと組み合わせて、使用されてもよい。したがって、本発明の実施形態は、個別のハードウェアとソフトウェアの組み合わせに限定されない。
【0069】
ネットワークリンク878、および通信インタフェース870を介する他のネットワークを通じて送信された信号は、情報を、コンピュータシステム800へ、また、そこから情報を運ぶ。コンピュータシステム800は、ネットワークリンク878および通信インタフェース870を介して、特にネットワーク880,890を通じて、プログラムコードを含む、情報を送受することができる。インターネット890を使用する例において、サーバ892は、コンピュータシステム800から送信されたメッセージによって要求された特定アプリケーションのためのプログラムコードを、インターネット890、ISP設備884、ローカルネットワーク880、および通信インタフェース870を介して、送信する。受信されたコードは、受信と同時に、プロセッサ802によって実行されてもよく、後で実行するために、記憶デバイス808、あるいは、その他の非揮発性記憶装置に格納されてもよく、またはそれらの両方であってもよい。このようにして、コンピュータシステム800は、搬送波上の信号の形で、アプリケーションプログラムコードを取得してもよい。
【0070】
多様な形式のコンピュータ可読媒体が、命令あるいはデータ、またはそれらの両方の、1つ以上のシーケンスを、実行のために、プロセッサ802へ運ぶことにかかわってもよい。例えば、命令およびデータは、最初、ホスト882など、遠隔コンピュータの磁気ディスク上に運ばれてもよい。遠隔コンピュータは、命令およびデータを、その動的メモリ内にロードし、命令およびデータを、モデムを使用して、電話回線を通じて送信する。コンピュータシステム800のローカルのモデムが、電話回線を介して、命令およびデータを受信し、ネットワークリンク878として働き、命令およびデータを赤外線搬送波上の信号に変換する赤外線送信器を使用する。通信インタフェース870として働く赤外線検知器が、赤外線信号として運ばれた命令およびデータを受信し、バス810に、命令およびデータを表す情報を乗せる。バス810は、情報をメモリ804に運び、そこから、プロセッサ802が命令を引き出して、命令とともに送られたデータの一部を使用して、命令を実行する。メモリ804に受信された命令およびデータは、任意選択的に、プロセッサ802による実行の前、または後に、記憶デバイス808に格納されてもよい。
【0071】
図9は、本発明の実施形態を実装し得るチップセット900の例示である。チップセット900は、本明細書に記載する方法の1つ以上の工程を実行するようにプログラムされ、例えば、1つ以上の物理的パッケージ(例えば、チップ)に組み込まれた、
図8に関して記載されたプロセッサおよびメモリコンポーネントを含む。例示として、物理的パッケージには、物理的強度、サイズの保存、および/または電気的相互作用の制限など、1つ以上の特徴を提供するための構造的アセンブリ(例えば、ベースボード)上の1つ以上の資材、コンポーネント、および/またはワイヤの配置などがある。特定の実施形態においては、チップセットは単一チップに実装可能であると想定される。チップセット900、またはその一部は、本明細書に記載する方法の1つ以上の工程を実行するための手段を構成する。
【0072】
1つの実施形態において、チップセット900は、チップセット900のコンポーネント間に情報を送受させるためのバス901などの通信メカニズムを含む。プロセッサ903は、例えば、メモリ905に記憶された命令を実行し、情報を処理するために、バス901への接続能力を有する。プロセッサ903は、1つ以上の処理コアを含むことができ、各コアは独立に実行するように構成される。マルチコアプロセッサは、単一の物理パッケージ内での複数処理を可能にする。マルチコアプロセッサの例としては、2つ、4つ、8つ、または、それより大きい数の処理コアを含む。それとは代替的に、または追加的に、プロセッサ903は、命令の独立的実行、パイプライン化、マルチスレッド化を可能にする、バス901を介して、タンデム状に構成された1つ以上のマイクロプロセッサを含んでもよい。プロセッサ903は、1つ以上のデジタル信号プロセッサ(DSP)907、または1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)909など、特定の処理機能およびタスクを実行する、1つ以上の特化したコンポーネントを備えて実現されてもよい。DSP907は、典型的には、プロセッサ903からは独立して、リアルタイムで、現実世界の信号(例えば、音)を処理するように構成される。同様に、ASIC909は、汎用プロセッサでは実行が容易でない、特化した機能を実行するように構成することができる。本明細書に記載する発明機能の実行を助ける、他の特化したコンポーネントとしては、1つ以上のフィールドプログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)(図示せず)、1つ以上のコントローラ(図示せず)、またはその他の1つ以上の特別目的コンピュータチップなどがある。
【0073】
プロセッサ903および付随するコンポーネントは、バス901を介するメモリ905への接続能力を有する。メモリ905は、実行可能な命令であって、それが実行されると、本明細書に記載する方法の1つ以上の工程を行う命令を格納するための、動的メモリ(例えば、RAM、磁気ディスク、書き込み可能光ディスク等)と静的メモリ(例えば、ROM、CD−ROM等)の両方を含む。メモリ905は、本明細書に記載する方法の1つ以上の工程の実行に関連する、またはそれによって生成される、データを格納する。
【0074】
6.変形、拡張、および修正
以上の明細において、本発明は、特定の実施形態に照らして記述された。しかし、本発明の広い精神と範囲から逸脱することなく、本発明に様々な修正および変更を加え得ることは明らかであろう。したがって、明細書および図面は、制限的意味ではなく、例示的意味を有するとみなされなければならない。本明細書および請求の範囲を通じて、文脈から別の意味に解すべき場合を除き、comprise、ならびに、comprisesおよびcomprisingなど、その変形は、述べられた項目、要素、あるいは工程、または、項目、要素、あるいは工程の集まりを含むと解されるが、任意のその他の項目、要素、あるいは工程、または、項目、要素、あるいは工程の集まりを排除するものではない。さらに、不定冠詞aまたはanは、それによって修飾される項目、要素、または工程の1つ以上を示すものである。本明細書において使用される場合、文脈から明らかである場合を除き、値は、それが他の値を2で乗除(2または1/2倍)したものである場合、他の値に「約」を付けたものである。例示の範囲が与えられた場合、文脈から明らかな場合を除き、様々な実施形態において、それに含まれる範囲もすべて意図されている。したがって、いくつかの実施形態において、1から10の範囲は、1から4の範囲を含む。
【0075】
7.参考文献
Adany, P., C. Allen, and R. Hui, “Chirped Lidar Using Simplified Homodyne Detection,” Jour. Lightwave Tech., v. 27 (16), 15 August, 2009.
Haralick, R.M., S.R. Sternberg and X. Zhuang, “”Image Analysis Using Mathematical Morphology,” IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence, v. PAMI-9 (4), July 1987.
Hui, R., C. Allen, and P. Adany, “Coherent detection scheme for FM Chirped laser RADAR,” US patent 7,742,152, 22 June 2010.