【実施例1】
【0020】
図1〜
図6は、本発明の実施例1を示す。
【0021】
最初に、対象部品について説明する。
【0022】
図9に対象部品が示されている。同図(A)は、ワッシャ付きボルトである。ボルト1は、軸部2と頭部3によって構成されている。そして、頭部3は、軸部2よりも大径の六角部3Aとワッシャ3Bによって構成されている。ワッシャ3Bは軸部2の小径部5に組み付けられて、軸部2から抜けることなく、ぐらぐらと動くことが許容されている。
【0023】
また、
図9(B)に示すものは、頭部3が、六角部3Aと六角部3Aと一体に成型されたフランジ6によって構成されている。なお、軸部2に雄ねじが加工してあり、
図9(A)と(B)にだけ雄ねじが図示してあり、他の図では雄ねじの図示は省略してある。
【0024】
図9(C)は、短い円筒型の頭部7と雄ねじのない軸部8によって構成された頭部付き軸状部品である。上記3種類の部品は、いずれも磁石に吸引される鉄製である。
【0025】
対象部品としては、上述のように種々なものがあるが、ここでは
図9(B)に示したフランジ一体型のボルト1である。このボルト1の各部寸法は、軸部2の直径と長さがそれぞれ3mmと13mm、ワッシャの直径と厚さがそれぞれ9mmと1mm、六角部の角間寸法と高さがそれぞれ6mmと2.5mmである。
【0026】
対象部品として、上記のように頭部と軸部を有するものを例示しているが、それ以外に溶着用突起付きのプロジェクションナット、ワッシャ、軸なども本願発明の供給対象とすることができる。
【0027】
つぎに、貯留容器について説明する。
【0028】
多数のボルト1が収容される貯留容器9は、
図1に示すように、真上から見て四角い形の箱状とされている。ステンレス鋼製の四角い板材を円弧状に成形して底部材10が形成されている。この底部材10の四辺に、ステンレス鋼製の壁板12、13、14および15が溶接またはボルト付けで結合してある。
【0029】
貯留容器9には、ボルト1が摺動状態で移動したり、ボルト1に磁石吸引力を付与したりする吸引手段が配置される搬送基板が設けてある。この搬送基板は、壁板12、13、14および15の1つによって形成されており、ここでは壁板12が搬送基板とされ、搬送基板にも同様な符号12を付してある。搬送基板12は、鉛直方向に起立した平板状の板材で構成され、後述の磁石吸引力をより強く部品に作用させるために、ステンレス鋼や合成樹脂などの非磁性材料で構成してある。ここでは、ステンレス鋼で作られている。
【0030】
底部材10は、
図4に示すように、搬送基板12側が低くなるように傾斜しており、底部材10と搬送基板12が交差する付近が低部位16とされている。
【0031】
図示していないが、貯留容器9に開閉蓋を設けて、鉄屑などの不純物がボルト1に混入しないようにすることが望ましい。
【0032】
貯留容器9は、支持板11上に配置され、機枠などの静止部材50に固定されている。
【0033】
つぎに、周回部材について説明する。
【0034】
周回部材17は、金属製チェーン、金属製ベルト、合成樹脂製ベルトなどで構成され、無端状、すなわち環状の部材とされている。金属製チェーン、金属製ベルト、合成樹脂製ベルトなどいずれでもよいが、ここではスプロケットホイールに掛け渡した金属製チェーンである。この金属製チェーンにも符号17が付してある。
【0035】
スプロケットホイール18は、搬送基板12の外側面の近くに配置してある。スプロケットホイール18を回転させる駆動手段としては、電動モータ、油圧モータなど種々なものが採用できるが、ここでは電動モータ19が使用されている。電動モータ19に減速ギヤが内蔵された減速ボックス20が一体化され、そこから突き出ている出力軸21がスプロケットホイール18の中心部に結合してある。出力軸21の回転軸線は、搬送基板12の外側面12Aに対して、垂直となっている。つまり、出力軸21の回転軸線は水平方向に配置され、円盤状のスプロケットホイール18と搬送基板12は、平行な位置関係になっている。電動モータ19や減速ボックス20は、搬送基板12に溶接などで結合されたアーム部材23を介して搬送基板12に取り付けられている。
【0036】
つぎに、スプロケットホイールの配置について説明する。
【0037】
図2から明らかなように、電動モータ19で駆動されるスプロケットホイール18は、搬送基板12の中央部のやや下側に寄せ付けて配置され、その真上にスプロケットホイール24が配置してある。スプロケットホイール18とスプロケットホイール24に、無端状の金属製チェーン17が掛け渡してある。スプロケットホイール24の回転軸25は、前述のアーム部材23と同様な構造のアーム部材26に支持されている。なお、
図2においては、アーム部材23、26は、周辺の構造を見やすくするために、2点鎖線で図示してある。
【0038】
両スプロケットホイール18、24は同径であり、これにより金属製チェーン17の配置形態は長円形とされている。スプロケットホイール24と搬送基板12の位置関係は、上述のように、搬送基板12に対するスプロケットホイール18の位置関係と同じである。したがって、周回部材17は、搬送基板12と平行な位置関係となっている。
【0039】
なお、
図1、
図2においては、スプロケットホイールや金属製チェーンを簡略的に図示しているが、
図5には正確に図示してある。
【0040】
つぎに、吸引部材について説明する。
【0041】
図5に示すように、吸引部材27は、複数個のものが金属製チェーン17に結合してある。ここでは、
図2に示すように、7個である。吸引部材27は、搬送基板12の外側面12Aに沿って周回するもので、箱状の容器28に磁石(永久磁石)29が収容され、蓋板30を溶接して磁石29が封じ込めてある。容器28や蓋板30もステンレス鋼のような非磁性材料で構成されている。
【0042】
吸引部材27は、搬送基板12の外側面12Aに沿って移動する。後述のように、ボルト1を吸引しながら移動するときには、蓋板30は搬送基板12の外側面12Aを擦っているが、後述の凹型断面部53を通過した、ボルト1を吸引していない領域では、外側面12Aに向かう吸引力が作用していないので、蓋板30と外側面12Aの間にわずかな空隙が形成されるようになっている。このような擦り移動や空隙形成は、金属製チェーン17と外側面12Aの間の間隔や、金属製チェーン17のたるみ加減で設定される。
【0043】
吸引部材27を金属製チェーン17に結合する構造は、いろいろなものが採用できる。ここでは細長い短冊型のアーム板32の一端を金属製チェーン17に結合し、他端を容器28にボルトまたは溶接で結合してある。金属製チェーン17に対する結合は、チェーンの結合ピン33をアーム板32にかしめ付けてあり、符号34はかしめ部を示している。
【0044】
つぎに、移動経路について説明する。
【0045】
吸引部材27は、アーム板32のアーム長さによって金属製チェーン17から離隔した箇所を長円形の軌跡で周回する。この長円形の移動軌跡が移動経路である。移動経路は、
図2、
図5などにおいて2点鎖線で示され、符号35が付してあり、金属製チェーン17の長円形と相似形である。貯留容器9内に貯留されたボルト1は、
図5(B)に示すように、複数個のものが磁石29で吸引され、搬送基板12の内側面12Bを擦りながら摺動状態で移動する。この移動軌跡が移動経路35である。
【0046】
前述の底部材10の円弧形状は、上記長円形の円弧形状に沿ったものとされている。
【0047】
後述の移送手段の受け部材は、移動経路35上またはその近傍に配置してある。
【0048】
つぎに、移送手段について説明する。
【0049】
移送手段は、貯留容器9の外側に設けられ、貯留容器9から出たボルト1を目的箇所へ移送するものであり、下り傾斜を利用してボルト1を滑降させるものや、振動を利用して移送するものなど、種々な形式のものが採用できる。ここでは、後者の振動式の直進フィーダである。
【0050】
移送手段である直進フィーダは、符号38で示されている。直進フィーダ38は、その長手方向、すなわち移送方向を平たい壁板15の外側面に沿わせて配置してある。直進フィーダ38は、ボルト1が移載される受け部材39と、それに連続する吊り下げ部材40と、この吊り下げ部材40に連続する選別部材41が直線的に配列されている。そして、選別部材41から目的箇所へボルト1を供給するか、または吊り下げ部材40と同様な吊り下げ部材42を経て目的箇所へ供給される。
【0051】
細長い基部材43上に、支持部材44、45、46および47を介して受け部材39、吊り下げ部材40、選別部材41および吊り下げ部材42がボルト付けなどで結合してある。基部材43は、斜めに配置した2つの板ばね49によって静止部材50の上位に配置してあり、電磁石51で基部材43に上下方向の振動を付与することにより、
図6左方への送出力成分が形成されてボルト移送がなされる。
【0052】
受け部材39の中央にボルト1を集中させるために、中央が低くなった円弧面52(
図2、
図3参照)を形成して浅い凹型断面部53としてある。この凹型断面は、移送手段38の移送方向に伸びている。そして、ボルト1が移載される箇所、すなわち凹型断面部53を、前述の移動経路35が通過している。ボルト1は複数個が群をなして搬送基板12の内側面12Bを擦りながら移動するので、受け部材39が移動経路35から少しずれた箇所に、すなわち移動経路35の近傍に配置されていても、ボルト1は受け部材39上に補足される。
【0053】
なお、円弧面型の凹型断面部53を、平坦な2つの斜面で構成されたV字型の凹型断面部にすることも可能である。
【0054】
吊り下げ部材40および42は、
図6(B)に示すように、一対の平行なレール部材55の滑動面56にフランジ6の下面、すなわち頭部3の下面が滑動できる状態で支持されている。そして、軸部2が両レール部材55の間の通過空間54を吊り下げ状態で通過するようになっている。両レール部材55はその下部が結合部材57で一体化してある。
【0055】
つぎに、ガイド部材について説明する。
【0056】
搬送基板12の内側面12Bに吸着されて移動してきたボルト1が、受け部材39上に移載されるときに、1つか2つのわずかなボルト1が受け部材39上に載りきらず、貯留容器9内へ転落することがある。このような転落は、移送効率を低下させるので、それを防止するためにガイド板58が配置してある。ガイド板58は、凹型断面部53に連続した位置関係で搬送基板12から突き出た庇状の形態で、貯留容器9の上位に配置され、凹型断面部53側に向って低くなった傾斜部59が設けてある。ここでは、
図2、
図3に示すように、ガイド板58は、移動経路35に沿った円弧型にしてあり、その頂部から右側が下り傾斜の傾斜部59となっている。ガイド板58は、搬送基板12の内側面12Bに溶接してある。
【0057】
そして、壁板15の上端は、
図3に示すように、受け部材39の側面に接近した箇所であるとともに、ガイド板58の端部近傍まで伸びている。
【0058】
受け部材39が移動経路35から少しずれた箇所に、すなわち移動経路35の近傍に配置されている場合に、ボルト転落の恐れがある。このような場合に、上記ガイド板58を有効活用することが望ましい。
【0059】
ガイド板58とは反対側の受け部材39の側面に、鉛直方向に起立した保護板61が溶接またはボルト付けで結合してある。保護板61は、搬送基板12の内側面12Bの直近まで伸ばしてあり、こうすることにより、保護板61と搬送基板12が交差した箇所の空間部に、受け部材39が配置される。したがって、ボルト1が高速で移動してきた場合であっても、凹型断面部53に受け止められたボルト1は、ガイド板58による転落防止機能、保護板61と搬送基板12による障壁機能によって、異常な方向へ散乱するようなことがない。
【0060】
つぎに、移送手段における選別部材について説明する。
【0061】
ボルト1が、横向き、斜め向きなどの異常な姿勢で移送されてきたときには、そのようなボルト1を排除する必要がある。あるいは、部品供給の工程箇所においては、正常な長さの正常ボルト1Aや、長すぎる過長ボルト1Bや、短すぎる過短ボルト1Cなどが近在した箇所で移送されることがあり、何らかの原因、例えば、作業者が過長ボルト1Bや過短ボルト1Cを誤って正常ボルト1Aに混入することがある。このような異常混入が発生したときに備えて、前述の選別部材41が吊り下げ部材40に連続した状態で配置してある。
【0062】
選別部材41は、異常姿勢の正常ボルト1Aや異常長さのボルト1B、1Cを貯留容器9内へ転落させる構造部分であり、そのために
図6に示すように、選別部材41の左側が開放されている。この開放された空間は、開放空間62として
図6に示されている。それとともに、壁板15の上部に切欠き部15Aを設けて、異常姿勢や異常長さのボルト1A、1B、1Cが貯留容器9内へ転落できるようになっている。
【0063】
図6(C)に示すように、フランジ6の下面が滑動する平坦な第1滑動面41Aと、軸部2の下端部(下端面)が滑動する平坦な第2滑動面41Bが形成され、両滑動面41Aと41Bの上下方向の間隔を軸部2(正常ボルト1Aの軸部2)の長さと同じにしてある。こうすることにより、フランジ6の下面と軸部2の下端部が、それぞれ同時に第1滑動面41Aと第2滑動面41Bを、前記搬送振動によって滑動する。吊り下げ部材40から選別部材41へのボルト移行を円滑に行わせるために、吊り下げ部材40の通過空間54を、第2滑動面41Bの上方空間に連通させてある。
【0064】
そして、異常長さのボルト1B、1Cは、
図6(D)や(E)の矢線で示す方向に転落する。一方、選別部材41は、この転落方向とは反対側に傾斜させた姿勢で配置してある。つまり、鉛直線O−Oに対して選別部材41の上側が右方に傾けてある。ボルトが矢線とは反対側の外部へ転落するのを防止するために、保護板63が選別部材41の外側面に溶接やボルト付けで固定してある。
【0065】
正常ボルト1Aは、フランジ6の下面と軸部2の下端部がそれぞれ同時に第1滑動面41Aと第2滑動面41Bを滑動できるように支持されているので、
図6(C)に示すように、右側へもたれかかったような安定した状態で、そのまま移送され吊り下げ部材42へ移載される。
【0066】
過長ボルト1Bが選別部材41に移載されると、フランジ6が第1滑動面41Aから浮上した位置におかれるので、ボルト1Bの起立状態が不安定になり、そこへ振動が加算されて矢線の方へ倒れるようにして転落する。また、過長ボルト1Bはその上側が、鉛直線O−Oよりも右側にわずかに傾いているが、上記の不安定状態によって転落する。選別部材41の傾斜角をもう少し立てた状態にして、過長ボルト1Bが鉛直線O−Oよりも左側にわずかに傾くようにして、転落しやすくすることも可能である。このように過長ボルト1Bが不安定になるのは、
図6(D)に示すように、フランジ6の外周部が選別部材41の上方部分に接触して、鉛直方向に近い姿勢になるためである。
【0067】
過短ボルト1Cが選別部材41に移載されると、フランジ6が第1滑動面41Aよりも低い位置におかれるので、ボルト1Cの起立状態が不安定になり、そこへ振動が加算されて矢線の方へ倒れるようにして転落する。また、過短ボルト1Cはその上側が、鉛直線O−Oよりも左側にわずかに傾いているので、転落しやすくなっている。このように過短ボルト1Cが不安定になるのは、
図6(E)に示すように、フランジ6の外周部が選別部材41の上方部分41Cに接触して、鉛直方向よりもさらに左側に傾いた姿勢になるためである。
【0068】
正常ボルト1Aの長さが換えられた場合には、選別部材41を支持部材46から取り外し、第1滑動面41Aと第2滑動面41Bの間隔長さが異なった選別部材41に取り替える。こうすることにより、長さの異なった正常ボルト1Aに柔軟に対応することができる。
【0069】
吊り下げ部材40から選別部材41へ円滑にボルト1が移載されるようにするために、壁板15側のレール部材55が他方のレール部材55よりも長さL(
図1参照)の分だけ長く設定してある。
図1に示すように、吊り下げ状態で移送されてきたボルト1は、長さLの差があるので、このLの箇所に差しかかると、壁板15から遠い側のレール部材55が先に途切れる。このため、ボルト1は壁板15側が高くなるように傾斜する。このような傾斜によって外側に傾いている選別部材41に沿うような状態で移載される。つまり、
図6(C)に示すように、正常ボルト1Aが滑らかに選別部材41へ移行する。
【0070】
もし、何らかの原因で吊り下げ部材40上をボルト1が横向きや斜め向きになって移送されたり、頭部3が下側になって移送されたりすると、正しい吊り下げ状態ではないので、ボルト1は吊り下げ部材40から選別部材41側へ転落し選別部材41の一部に衝突する。これによってボルト1は弾かれ、貯留容器9内へ転落する。
【0071】
このように、吊り下げ部材40上のボルト姿勢が異常であったり、ボルトの長さが過長や過短であったりすると、それらは全て貯留容器9内へ転落し、
図6(C)に示す状態のボルト1Aだけが通過することとなり、異常ボルトを確実に排除できる。換言すると、
図6(C)に示すように、フランジ6の下面が第1滑動面41A上を滑動し、軸部2の下端部が第2滑動面41B上を滑動し、これら両滑動が同時になされている場合だけ、正常ボルト1Aの通過が許される。
【0072】
つぎに、選別部材以降の構成を説明する。
【0073】
選別部材41以降は受け箱に入れたり、図示のような吊り下げ部材42へ移送したりする。ここでは、吊り下げ部材42から計数ユニット64で所定個数のボルト通過がなされ、待機ボックス65に蓄積され、同ボックス65の蓋を開けて所定個数のボルト1を取り出すようになっている。
【0074】
計数ユニット64の構成例としては種々なものがある。ここでは、一対の規制部材66、67を進退させるタイプである。エアシリンダ68で進退する規制部材66が進出して一番目のボルト1を停止させ、エアシリンダ69で進退する規制部材67が後退位置で待機している。規制部材67が進出して二番目のボルト1の移動を停止し、次いで規制部材66が後退すると、一番目のボルト1だけが待機ボックス65内へ転落する。
【0075】
その後、規制部材66が再び進出するのと同時に規制部材67が後退すると、二番目にあったボルト1が一番目の位置に停止させられて、上記のような順序で2個目のボルト転落がなされる。
【0076】
つぎに、ボルトの移送挙動について説明する。
【0077】
図3、
図4に示すように、貯留容器9内に多数のボルト1が満たされている状態で、電動モータ19によってスプロケットホイール18が回転し、それとともに金属製チェーン17を介してスプロケットホイール24も回転する。これにともなって吸引部材27が移動経路35上を移動する。吸引部材27が貯留容器9の底部から上方へ移動するときに、底部付近のボルト1は搬送基板12の内側面12Bに吸引されるが、積み重なったボルト1の荷重があるため、磁石29が通過すると、内側面12Bへの吸着が解除され、底深いところに存在するボルト1は上昇しない。
【0078】
吸引部材27が貯留ボルトの上方帯域70(
図3参照)を通過するときに、複数のボルト1が群をなして内側面12Bに吸引された状態で移動経路35に沿って摺動し、そのまま受け部材39の凹型断面部53上で受け止められ、吸引部材27はボルト1を凹型断面部53上に残して再び貯留容器9の底部の方へ移動する。このような循環的動作が7個の吸引部材27によって連続的に行われる。上方帯域70においては、ボルト1の荷重がわずかであるため、磁石29に牽引されるような状態で内側面12Bを擦りながら移動する。
【0079】
吸引部材27がボルト1を吸引しながら移動するときには、吸引部材27も外側面12Aに吸引されるので、蓋板30が外側面12Aを摺動しながら移動経路35に沿って移動する。
【0080】
受け部材39上に到達したボルト1は、横向きや斜め向きなどの姿勢になっている。このときに直進フィーダ38の搬送振動によりボルト1は凹型断面部53の長手方向に姿勢が矯正されながら、吊り下げ部材40へ移行し、
図6(B)に示す吊り下げ状態になる。ボルト1は、この吊り下げ姿勢で選別部材41に移行し、ここでフランジ6の下面が第1滑動面41A上を、軸部2の端面が第2滑動面41B上を滑動する。その後、ボルト1は吊り下げ部材42を経て計数ユニット64から待機ボックス65へ移送される。
【0081】
なお、ボルト1の貯留量が減ってくると、ボルトの積み重ね重量が軽量化されるので、磁石29に吸引されたボルト1は、吸引力を受けていないボルト1をかき分けるようにして移動経路35に沿って移動する。
【0082】
上述のような動作によって貯留容器9内のボルト1が残り少なくなってくると、ボルト1は底部材10の傾斜によって
図4に示す低部位16に集中する。この集中したボルト1を吸引部材27が吸着しきって、ボルト1がなくなるまで供給動作がなされる。
【0083】
この実施例では、上記のように頭部と軸部を有するボルト1が供給されるが、前述のように、溶着用突起付きのプロジェクションナット、ワッシャ、軸などを供給する場合においても、ボルト1と同様な供給移動が可能である。プロジェクションナット、ワッシャ、軸などを供給する場合には、受け部材39、吊り下げ部材40、選別部材41などの構造を各部品に合致したものに変更する。
【0084】
なお、上記エアシリンダに換えて、進退出力をする電動モータを採用することもできる。また、上記永久磁石を電磁石に置き換えることも可能である。電磁石にする場合には、例えば、細長い給電部材を移動経路35に沿って搬送基板12の外側面12Aに絶縁状態で取り付け、ここを吸引部材27に取り付けた集電シューで擦りながら、電磁石への通電を行うようにする。
【0085】
上述の電動モータ、直進フィーダ、計数ユニットなどの動作は、一般的に採用されている制御手法で容易に行うことが可能である。制御装置またはシーケンス回路からの信号で動作する空気切換弁や、エアシリンダの所定位置で信号を発して前記制御装置に送信するセンサー等を組み合わせることによって、所定の動作を確保することができる。
【0086】
以上に説明した実施例1の作用効果は、つぎのとおりである。
【0087】
金属製チェーン、金属製ベルト、合成樹脂製ベルトなどで構成されているとともに、配置形態によって搬送基板12に沿ったボルト1の移動経路35を設定する無端状の周回部材17が設けられ、この周回部材17に磁石29を備えた吸引部材27が取り付けられている。したがって、周回部材17を長円形、角部が丸い三角形などの配置形態とすることによって、磁石29に吸着されたボルト1の移動経路35を自由に選定することがでる。このため、移送手段である直進フィーダ38の所定の箇所へ正確にボルト1を到達させることが実現し、部品供給装置としての動作信頼性が向上する。
【0088】
そして、貯留容器9の一部を形成する搬送基板12をほぼ鉛直方向に起立させるとともに、底部材10を水平方向に対して傾斜させて搬送基板12側を低くした構造とすることができる。これにより、底部材10の低い箇所に集約された、貯留容器9の底部に溜まっているボルト1全てを吸着して、移送手段38の受け部材39へ到達させることが可能となる。このため、貯留容器9内のボルト1は全て使い果たされ、古いボルト1の残留が回避できる。
【0089】
搬送基板12の内側を摺動するボルト1は、移動経路35に沿って移送手段38の受け部材39に到達する。このときにボルト1は受け部材39で受止められるので、ボルト1は受け部材39上に残留し、その後は、吸引部材27はボルト無吸着の状態で通過して行く。したがって、搬送基板12の内面を摺動してきたボルト1は分散したりすることなく、正確に受け部材39上に移載され、正確なボルト移送が実現する。また、磁石29による吸着ボルトは複数個となるので、ボルト1は進行方向に直交した幅を有する群をなして移動する。このため、受け部材39が移動経路35の近傍にずれていても、上記のような受け部材39へのボルト移載が可能となる。
【0090】
周回部材17の配置形態を選定して、吸引部材27の移動軌跡によって設定される移動経路35を貯留容器9の深さ方向や幅方向を大きくした、いわゆる大回り形態とすることにより、貯留容器9の一部を形成する搬送基板12の内側の表面積を大きくすることができ、これにともなって貯留容器9の貯留容積を大きくすることが可能となる。つまり、ボルト1の収容量を増大することが可能となる。吸引部材27の移動軌跡を大回りにするために、ディスタンスピースのような役割を果たすアーム板32の長さを、加減することによって、貯留容器9の貯留容積を適正に選定することができる。
【0091】
吸引部材27は、壁板の1つによって形成された搬送基板12の外側面積の範囲内で周回するので、可動部材を搬送基板12に沿わせてコンパクトにまとめることが可能となる。
【0092】
搬送基板12と保護板61が交差した隅部分の空間箇所に、直進フィーダ38の受け部材39が配置され、搬送基板12の内側面12Bを摺動しながら移動してきたボルト1が受け部材39の上に到達する。このときに、ボルト1が受け部材39から外側に跳ねて転落する恐れがあるが、このようなボルト1は保護板61や搬送基板12に受け止められて、転落したりすることがない。したがって、ボルト1は直進フィーダ38のスタート箇所である受け部材39に確実に移載され、目的箇所への移送が高い信頼性のもとで達成される。
【0093】
受け部材39に連なるガイド板58を配置することにより、磁石29から離隔していて吸引力が弱まった箇所に位置しているボルト1が落下しそうになっても、そのボルト1はガイド板58上を擦りながら移動し、落下することなく受け部材39上に到達する。このようにして少しでも多くのボルト1を受け部材39へ届けることができる。また、ガイド板58が設置されていることにより、受け部材39が移動経路35からずれていても、すなわち、受け部材39が移動経路35の近傍に存在していても、ボルト1はガイド板58上を滑降して受け部材39上に到達し、確実なボルト移動がなされる。
【0094】
直進フィーダ38は、貯留容器9の真っ直ぐな横側面、すなわち壁板15に沿わせて貯留容器9の外側に配置してあるので、直進フィーダ38と貯留容器9をコンパクトにまとめることが可能となる。さらに、直進フィーダ38は、受け部材39、吊り下げ部材40、選別部材41、吊り下げ部材42の順で一連に形成されているので、ボルト1の受け取り、異常ボルト排除などが円滑に達成される。