(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
図22を用いて従来のシートトラックのロックレバーの一例を説明する。
図22は従来のシートトラックのロックレバーを説明する構成図である。
図において、アッパレールにピン1を用いて、ロックレバー3と操作部材5とが回転可能に設けられている。
【0003】
ロックレバー3の回転端部側(アッパレールの後部側)には、ロアレールに設けられた被ロック部(例えば、ロック爪)に係脱可能なロック部(例えば、ロック孔)3aが形成されている。さらに、ロックレバー3の回転端部側には、ピン7が設けられている。
操作部材5の一方の端部側(アッパレールの前部側)は、着座者の操作力が作用する操作部5aとなっている。また、他方の端部側(アッパレールの後部側)の下面は、ピン7が当接可能となっている。
【0004】
線状のばね材でなる付勢部材9の中間部は、「へ」字状に屈曲された屈曲部9aを有している。この屈曲部9aがアッパレールに設けられた回動規制片11の溝11aに係止されている。付勢部材9の一方の端部側(アッパレールの前部側)は、操作部材5の一方の端部側に係止され、他方の端部側(アッパレールの後部側)は、ロックレバー3のピン7の下部に押接し、ロックレバー3の後部側、操作部材5の後部側を上方(ロックレバー3のロック部3aがロアレールの被ロック部に係合する方向:ロック方向)に付勢している。
【0005】
ここで、付勢部材9の付勢力に抗して操作部材5の操作部5aを上方に引き上げると、操作部材5の他方の端部がピン7を介してロック部材3の他方の端部側を押し下げ、ロックレバー3のロック部3aがロアレールの被ロック部から離反するアンロック状態となる(例えば、特許文献1参照)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(全体構成)
図1−
図4を用いて、本実施形態のシートトラックの全体構成を説明する。
図1は本実施形態のシートトラックを上から見た時の分解斜視図、
図2は
図1のシートトラックを下から見た時の分解斜視図、
図3は
図1のシートトラックを組み立てた際の
図1の矢印IIIから見たアッパレールの正面図、
図4は
図3の切断線IV−IVでの切断部端面図である。
【0015】
シートレール50は、フロア側に設けられるロアレール51と、シート側に設けられ、このロアレール51にスライド可能に係合したアッパレール53とからなっている。
アッパレール53には、ロアレール51に対するアッパレール53のスライド動作を規制するロック位置、ロアレール51に対するアッパレール53のスライド動作を許容するアンロック位置、アンロック位置よりさらに作動させたフルオープン位置を移動可能なロックレバー55が設けられている(ロック位置、アンロック位置、フルオープン位置は後述する)。
【0016】
このロックレバー55は、操作部材57により、ロック位置/アンロック位置/フルオープン位置に切り替えられる。
また、アッパレール53には、アッパレール53のスライド方向を長手とする針金状で、ロックレバー55をロック位置方向に付勢する付勢部材59が設けられている。
【0017】
そして、本実施形態では、シートレール50において、操作部材57がある方が前である。
尚、
図1−
図4及び後述する
図5−
図7において、矢印F方向が前方向、矢印R方向が後方向、矢印U方向が上方向、矢印L方向が下方向を示している。
(ロアレールとアッパレール)
ロアレール51とアッパレール51を
図1−
図4を用いて説明する。
【0018】
図3、
図4に示すように、ロアレール51の断面形状は、フロアと略水平に配置される基底部51aと、基底部51aの一方の端部から折曲され、上方に延出する第1側壁部51bと、基底部51aの他方の端部から折曲され、上方に延出する第2側壁部51cと、第1側壁部51bの上方の端部から折曲し、基底部51aと略平行に第2側壁部51c方向へ延出する第1上面部51dと、第2側壁部51cの上方の端部から折曲し、基底部51aと略平行に第1側壁部51b方向へ延出する第2上面部51eと、第1上面部51dの他方の端部から基底部51a方向に折曲し、第1側壁部51bより長さが短い第1垂下部51fと、第2上面部51eの他方の端部から基底部51a方向に折曲し、第1垂下部51fと空間を介して対向し、第1垂下部51fと略同じ長さの第2垂下部51gとからなっている。
【0019】
アッパレール53は、ロアレール51の基底部51aと略平行に設けられた上面部53aと、上面部53aの一方の端部より折曲し、ロアレール51の第1垂下部51fと第2垂下部51gとの間の空間を介してロアレール51内へ延出する第1側壁部53bと、上面部53aの他方の端部より折曲し、ロアレール51の第1垂下部51fと第2垂下部51gとの間の空間を介してロアレール51内へ延出する第2側壁部53cと、第1側壁部53bの下方の端部よりロアレール51の第1側壁部51b、第1上面部51d,第1垂下部51fで形成される空間へ延出する第1跳上部53dと、第2側壁部53cの下方の端部よりロアレール51の第2側壁部51c,第2上面部51e,第2垂下部51gで形成される空間へ延出する第2跳上部53eとからなっている。
【0020】
ここで、ロアレール51の第1側壁部51b、第1上面部51d、第1垂下部51fと、第2側壁部51c、第2上面部51e、第2垂下部51gとは、基底部51aの両側から延出する一対のロアフランジ部として機能する。
また、アッパレール53の第1側壁部53b、第2側壁部53cは、前記一対のロアフランジ部の間に設けられた基部として機能し、第1跳上部53d、第2跳上部53eは、前記基部から延出し、ロアフランジと係合可能な一対のアッパフランジとして機能する。
【0021】
そして、
図1、
図2に示すように、リテーナ61に保持された鋼球63が、ロアレール51の第1側壁部51b、第1上面部51dと、アッパレール53の第1跳上部53dとで囲まれた空間に配置されている。リテーナ61に保持された鋼球65がロアレール51の基底部51a、第1側壁部51bと、アッパレール53の第1跳上部53dとで囲まれた 空間に配置されている。また、リテーナ67に保持された鋼球69が、ロアレール51の第2側壁部51c、第2上面部51eと、アッパレール53の第2跳上部53eとで囲まれた空間に配置されている。リテーナ67に保持された鋼球71がロアレール51の基底部51a、第2側壁部51cと、アッパレール53の第2跳上部53eとで囲まれた空間に配置されている。これにより、アッパレール53はロアレール51に対してスムーズにスライド移動する。
【0022】
図2に示すように、ロアレール51の基底部51aは、2カ所の孔51hを有し、これらの孔51hを挿通するピン73により、ロアレール51はフロア側に取り付けられる。
図1に示すように、アッパレール53の上面部53aは、4カ所の孔53fを有し、これらの孔53fを挿通するピン75により、アッパレール53はシート側に取り付けられる。
(ロック機構)
図1−
図7を用いて説明する。
図5は
図3の底面図、
図6は
図2に示すシートトラックを組み付けた際のアッパレールの斜視図、
図7は
図6のアッパレールを異なる方向から見た斜視図、
図8は
図1のロックレバーの拡大斜視図、
図9は
図8のロックレバーを異なる方向から見た斜視図、
図10は
図1のロックレバー55の第1係止部55iを通る切断線X−Xでの切断部端面図、
図11は
図1のロックレバー55の第2係止部55jを通る切断線XI−XIでの切断部端面図、
図12は
図1のロックレバー55の第2係止部55jを通る水平断面図、
図13は
図1のアッパレール53の第2係止孔53jを通る垂直断面図である。
【0023】
図1−
図3、
図5−7に示すように、アッパレール53の上面部53a、第1側壁部53b、第2側壁部53cに囲まれた空間内には、シートトラックの前側より順に、操作部材57の後部と、ロックレバー55とが配置され、さらに、その空間には、操作部材57とロックレバー55とに係止される付勢部材59も配置される。
【0024】
図1に示すように、ロアレール51の第2垂下部51gは、アッパレール53の移動方向(長手方向)に沿って複数のロック孔(ロアレール51のロック部)51iを有している。尚、本実施形態では、図示しないが、第1垂下部51fも、第2垂下部51gの複数のロック孔51iに対向するロック孔51i(図示せず)を有している。
【0025】
また、アッパレール53は、その第1側壁部53bの長手方向中央部に、第1切り欠き部53gを有している。さらに、アッパレール53は、その第1跳上部53dに、切り欠き部53gに対向する第2切り欠き部53hを有している。
図5、
図6に示すように、アッパレール53は、その第1側壁部53bに、前方より第1係止孔53i、第2係止孔53jを有している。
【0026】
一方、
図6、
図8に示すように、ロックレバー55は、第1係止孔53i、第2係止孔53jに嵌まる突状の第1係止部55i、突状の第2係止部55jを有している。
そして、
図10に示すように、第1係止部55iは、ロックレバー55が、ロック位置−アンロック位置−フルオープン位置を移動する際において、第1係止孔53iの第1垂下部(ロアフランジ部)51f側の角部(K1)に当接し、この角部(K1)がロックレバー55の回転支点となり、ロックレバー55は図において、実線(ロック位置)と二点鎖線(フルオープン位置)との間を回転移動する。
【0027】
さらに、
図10に示すように、ロックレバー55の第1係止部55iにおけるアッパレール53の第1係止孔53iの第1垂下部(ロアフランジ部)51f側の角部(K1)との当接面は、ロックレバー55の第1係止部55iを第1係止孔53iに嵌める方向に誘導する傾斜面となっている。
【0028】
また、
図11に示すように、第2係止部55jも、ロックレバー55が、ロック位置−アンロック位置−フルオープン位置を移動する際において、第2係止孔53jの第1垂下部(ロアフランジ部)51f側角部(K2)に当接し、この角部(K2)もロックレバー55の回転支点となり、ロックレバー55は図において、実線(ロック位置)と二点鎖線(フルオープン位置)との間を回転移動する。
【0029】
さらに、
図12に示すように、アッパレール53の第2係止部55jは、基端部の幅が第2係止孔53jの幅より狭く、先端部の幅が第2係止孔53jの幅より広い幅広形状である。また、本実施形態では、第2係止部55jは、基部から先端部に行くに従って漸次的に幅が広くなる一対のテーパ面55k、55lを有した台形状とした。
【0030】
また、
図13に示すように、アッパレール53の第2係止孔53jには、ロックレバー55の第2係止部55jが当接し、ロックレバー55の回転支点となる突部53kが形成されている。
図1、
図3、
図5、
図11に示すように、ロックレバー55の後部には、ロックレバー55が回転することにより、アッパレール53の第1切り欠き部53gを挿通し、ロアレール51の第1垂下部51fのロック孔51iに係脱可能な複数の(本実施形態では6つ)ロック爪(係止部)55aが形成されている。尚、本実施形態では、ロアレール51の第1垂下部51fのロック孔51iに係合したロックレバー55のロック爪55aの先端側は、アッパレール53の第2切り欠き部53hを挿通するようになっている。
【0031】
そして、アッパレール53に設けられたロックレバー55のロック爪55aが、ロアレール51のロック孔51iに係合することにより、アッパレール53のロアレール51に対するスライド動作が規制される。
(操作部材、付勢部材)
図1−
図16を用いて説明する。
図14は
図1のシートトラックを組み立て、アッパレールの上面部を破断した状態で、上方から見た平面図、
図15は
図14でアッパレールの上面部を破断しない状態での切断線XV−XVでの断面図、
図16は
図15の切断線XVI−XVIでの端面図、
図17はロック時におけるロックレバーに作用する力を説明する図、
図18はロック解除し始めにおけるロックレバーに作用する力を説明する図である。
【0032】
図1−
図3、
図5−
図7、
図10、
図14−
図16に示すように、操作部材57は、ロックレバー55より前側に配置される。操作部材57の後部には、ロックレバー55の前部に設けられた円筒面を有した被押圧部55cを上方から押圧可能な押圧部57aが形成されている。操作部材57の前部は、折曲され、シートクッションの前部に沿う操作部57bとなっている。
【0033】
また、操作部材57の中間部の上面は、アッパレール53の上面部53aの内壁側に形成された支点突部53lに当接し、当接点を回転支点として上下方向に回転可能となっている。さらに、アッパレール53の第2側壁部53cであって、支点突部53lよりも後方の位置には、操作部材57の下面が当接可能なストッパ突部53mが形成されている。
【0034】
図14,
図15に示すように、アッパレール53は、その上面部53aに、切り起こし加工で形成され、アッパレール53の上面部53aと、一対の側壁部(第1側壁部53b、第2側壁部53c)とで囲まれる空間に延出する引掛部54を有している。この引掛部54は、アッパレール53のスライド方向で対向する第1対向面54a、第2対向面54bと、これら第1対向面54a、第2対向面54bを接続する接続面(底面)54cを有する引掛溝54dを有している。
【0035】
図1−
図3、
図5−
図7、
図14−
図16に示すように、付勢部材59は、線状の材料(ワイヤー材)を様々な方向に曲げ加工して得られた線細工ばねである。
付勢部材59は、アッパレール53の上面部53aと、一対の側壁部(第1側壁部53b、第2側壁部53c)とで囲まれる空間に、アッパレール53のスライド方向に沿って配置されている。
【0036】
そして、付勢部材59は、その中間部に、アッパレール53のスライド方向と交差する方向に折曲され、アッパレール53の引掛部54の引掛溝54dに係止される交差部59cを有している。この交差部59cが、引掛溝54dの第1対向面54a、第2対向面54bに当接することで、付勢部材59とアッパレール53とのアッパレール53のスライド方向の相対移動が禁止される。
【0037】
さらに、付勢部材59の交差部59cが、引掛溝54dの接続面(底面)54cに押接することで、付勢部材59とアッパレール53との下方向の相対移動が禁止されると共に、押圧部57aがロックレバー55の被押圧部55cを押圧する方向に操作部材57を付勢している(詳細は後述する)。
【0038】
付勢部材59は、その後部に、アッパレール53のスライド方向と交差する方向に折曲され、ロックレバー55の中間部に形成された孔55bに係止することで、ロックレバー55をロック位置方向に付勢する後部折曲部(アーム部)59aを有している。この後部折曲部59aは、後部折曲部59aがねじられた際の弾性復元力を用いてロックレバー55をロック位置方向に付勢する付勢部として機能し、ロックレバー55の孔55bの内壁面(摺接面)は、付勢部材59の付勢力が作用する付勢力作用部Pとして機能する。
【0039】
次に、付勢部材59は、その前端側に、アッパレール53のスライド方向と交差する方向に折曲され、操作部材57の回転支点より前方の下部にアッパレールのスライド方向と交差する方向に形成された溝57cに係止することで、操作部材57のアッパレール53のスライド方向の移動を規制すると共に上述したように操作部材57を付勢する規制部59bを有している。
【0040】
図1、
図2、
図14、
図15に示すように、前述した交差部59cと規制部59bとの間には、交差部59cから下方へ延出するアーム部159と、アーム部159の終端(下端)からアッパレール53のスライド方向と交差する方向に折曲された横断部161と、横断部161の終端から斜め上方に向かって前方へ延出する第1山部163と、第1山部163の上端から斜め下方に向かって前方へ延出し、規制部59bに接続する第2山部165とが形成されている。即ち、アーム部159は規制部59bの中心軸CL1と異なる高さに位置する。
【0041】
そして、横断部161と第1山部163と第2山部165とで、アーム部159の終端から延出し、終端と規制部59bを接続する接続部が構成されている。
さらに、
図2、
図15に示すように、アッパレール53の第1側壁部53bには、付勢部材59のアーム部159が当接可能な当接壁167aを有する切り起こし部167が形成されている。この切り起こし部167は、操作部材57を後方(
図1において矢印R方向)に押した場合に、付勢部材59のアーム部159がその当接壁167aに当接するように形成されている。
【0042】
また、
図15に示すように、
付勢部材59の規制部59bの中心軸CL1は、横断部161の中心軸CL2より上方に位置している。
さらに、付勢部材59の横断部161の中心軸CL2と規制部59bの中心軸CL1との距離をL1、
付勢部材59の規制部59bの中心軸CL1と交差部59cの中心軸CL3との距離をL2とした場合、
L2>L1となるようにした。
【0043】
さらに、
図7に示すように、アッパレール53の第2側壁部53cには、操作部材57に当接することで操作部材57を付勢部材59から離間させるガイド部53nが形成されている。
ここで、上記構成のシートスライド装置の作動を説明する。
【0044】
最初に、操作部材57を操作していない状態では、
図11に示すように、付勢部材59の付勢力により、アッパレール53に設けられたロックレバー55は、実線で示すロック位置にある。即ち、ロック爪55aが、アッパレール53の第1切り欠き部53gを挿通して、ロアレール51のロック孔51iに係合し、さらに、アッパレール53の第2切り欠き部53hに係合し、アッパレール53のロアレール51に対するスライド動作が規制されたロック状態にある。
【0045】
次に、付勢部材59の付勢力に抗して操作部材57の操作部57bを上方に引き上げると、アッパレール53に設けられたロックレバー55は二点鎖線で示すフループン位置まで回転する。即ち、ロック爪55aと、ロアレール51のロック孔51iとの係合が解除され、アッパレール53のロアレール51に対するスライド動作が許容されたアンロック状態になる。
【0046】
そして、アッパレール53をロアレール51に対して所望の位置までスライドさせ、操作部材57に対する操作力を解除すると、付勢部材59の弾性復元力(付勢力)より、フルオープンに位置にあるロックレバー55はロック位置まで戻り、アッパレール53のロアレール51に対するスライド動作が規制されたロック状態に復帰する。
【0047】
尚、本実施形態では、
図17に示すように、ロックレバー55と付勢部材59とは、ロック状態にある場合(アッパレール53のスライド動作を規制させる場合)、ロックレバー55の付勢力作用部Pには、付勢部材59による付勢力Fが作用する。
一方、ロックレバー55のロック爪55aとロアレール51のロック孔51iは、噛み合い点E(第1付勢力受け部)で係止状態にある。
【0048】
よって、噛み合い点Eを支点として、ロックレバー55は第2係止部55jの一対のテ ーパ面55k、テーパ面55lが第2係止孔53jに押接する方向(矢印H1)に付勢されている。
また、ロック解除直後では、
図18に示すように、ロックレバー55のロック爪55aとロアレール51のロック孔51iとの噛み合い点Eでの係止が無くなる。一方、操作部材57の押圧部57aとロックレバー55の被押圧部55cは、当接点(第2付勢力受け部)Sで係止状態にある。
【0049】
即ち、ロックレバー55の付勢力受け部が付勢力作用部Pを介して移動している。
そして、当接点Sを支点として、ロックレバー55は第2係止部55jの一対のテーパ面55k、テーパ面55lが第2係止孔53jから離間する方向(H2)に付勢されている。
【0050】
さらに、本実施形態は、
図19に示すように、ロック状態、アンロック状態、フルオープン状態への移行に伴い、ロックレバー55の孔55bの内壁面(摺接面)に対して、付勢部材59の後部折曲部(アーム部)59aが摺接することで、付勢力作用部Pが移動する。即ち、付勢力作用部Pの位置が変化することにより、ロック状態、アンロック状態、フルオープン状態での付勢部材59のアーム長と、ロックレバー55のロックアーム長を変えるように設定している。尚、付勢部材59のアーム長とは、後部折曲部(アーム部)59aの回転支点K3(基部)からロックレバー55の付勢力作用部Pまでの長さをいい、ロックレバー55のロックアーム長とは、ロックレバー55の付勢力作用部Pからロックレバー55の回転支点(K2)までの長さをいう。
【0051】
本実施形態例では、アンロック位置を越えてフルオープン位置側へロックレバー55が作動すると付勢部材59のアーム長が長くなるようにした。
また、アンロック位置を越えてフルオープン位置側へロックレバー55が作動するとロックアーム長が短くなるようにした。
【0052】
上記構成によれば、以下のような効果が得られる。
(1) 付勢部材59は、その中間部に、アッパレール53のスライド方向と交差する方向に折曲され、アッパレール53の引掛部54の引掛溝54dに係止される交差部59cを有している。この交差部59cが、引掛溝54dの第1対向面54a、第2対向面54bに当接することで、付勢部材59とアッパレール53とのアッパレール53のスライド方向の相対移動が禁止され、位置規制が確実となる。
【0053】
(2) 付勢部材59は、その前端側に、アッパレール53のスライド方向と交差する方向に折曲され、操作部材57の回転支点より前方の下部にアッパレール53のスライド方向と交差する方向に形成された溝57cに係止することで、操作部材57のアッパレール53のスライド方向の移動を規制する規制部59bを有していることにより、操作部材57の前後移動規制(抜け止め)も実現できる。
【0054】
(3)
図14,
図15に示すように、アッパレール53は、その上面部53aに、切り起こし加工で形成され、アッパレール53の上面部53aと、一対の側壁部(第1側壁部53b、第2側壁部53c)とで囲まれる空間に延出する引掛部54を有している。この引掛部54は、アッパレール53のスライド方向に対向する第1対向面54a、第2対向面54bと、これら第1対向面54a、第2対向面54bを接続する接続面(底面)54cを有する引掛溝54dを有している。
【0055】
よって、付勢部材59の交差部59cが第1対向面54a、第2対向面54bへ押し当たることで、交差部59cがアッパレール53のスライド方向と交差する方向へ滑ろうとしても、アッパレール53の第1側壁部53b、第2側壁部53cに当接することでそれが規制される。よって、引掛部54と付勢部材59の規制部(交差部)59cとの引っ掛かりを確保できる。
【0056】
(4) 操作部材57の付勢およびロックレバー55の付勢に伴う反力がそれぞれ交差部59cに作用するが(交差部59cが付勢の基点となっている)、その反力が共に引掛溝54dの接続面54cに対して交差部59cを押し当てる方向である。
よって、付勢部材59の交差部59cの引掛溝54dからの脱落を防止でき、付勢部材59の前後移動規制が確実となる。
【0057】
(5) アッパレール53は、操作部材57に当接することで操作部材57を付勢部材59から離間させるガイド部53nを有することにより、操作部材57の動作が付勢部材59に当接することで阻害されること(例えば、ハーフロック)を防止する。
(6)
図20に示すように、操作部材57を矢印F方向に引くと、付勢部材59のアーム部159は、引掛部54(交差部59c)を支点として矢印CW方向に回転する。
【0058】
本実施形態では、付勢部材59の規制部59bの中心軸CL1は、横断部161の中心軸CL2より上方に位置している。
よって、付勢部材59の規制部59bは、上方(矢印UP方向)に移動し、即ち、操作部材57の溝57cに食い込む方向に移動し、操作部材57の抜け強度が向上する。
【0059】
さらに、付勢部材59の規制部59bの中心軸CL1と交差部59cの中心軸CL3との距離をL2とした場合、L2>L1となるようにしたことにより、付勢部材59の規制部59bは、確実に操作部材57の溝57cに食い込む方向に移動し、操作部材57の抜け強度が向上する。
【0060】
(7)
図21に示すように、操作部材57を矢印R方向に押すと、付勢部材59のアーム部159が、アッパレール53の切り起こし部167の当接壁167aに当接し、引掛部54を支点とする回転が禁止され、第1山部163が横断部161の中心軸CL2を支点として矢印方向CWに回転する。よって、付勢部材59の規制部59bは、上方(矢印UP方向)に移動し、即ち、操作部材57の溝57cに食い込む方向に移動し、操作部材57の抜け強度が向上する。
【0061】
(6),(7)により、操作部材57の前方向の引っ張り、後方向の押し込みに対し、付勢部材59の規制部59bは操作部材57の溝57cに食い込む挙動を発生させることができるので、簡単な構造で、操作部材57の高い抜け強度を得ることができる。
尚、本実施例の切り起こし部167の当接壁167aは、操作部材57を押した場合に、付勢部材59のアーム部159が当接するよう設けたが、逆に、操作部材57を引いた場合に、付勢部材59のアーム部159が当接するように設けてもよい。