(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記加工物の表面において所望の基準ビーム・プロファイルを提供するように前記光学構成要素を調整することが、前記基準ビームを集束させること、および前記基準ビームの非点収差補正を低減させることを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
前記光学構成要素が、第1のレンズ、第2のレンズおよびスティグメータを含み、前記加工物の表面において所望の基準ビーム・プロファイルを提供するように前記光学構成要素を調整することが、前記第1および第2のレンズの焦点を設定すること、ならびに前記基準ビームの非点収差補正を低減させるように前記スティグメータを調整することを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
荷電粒子ビーム、レーザ・ビームおよび中性粒子ビームは、半導体回路およびマイクロエレクトロメカニカル・アセンブリの製造などのさまざまなマイクロファブリケーション用途で使用されている。用語「マイクロファブリケーション」は、ナノファブリケーション・プロセスを含む、数十ミクロン以下の寸法を有する構造体の製作および改変を含むように使用される。試料の「処理」は、その試料上での構造体のマイクロファブリケーションを指す。電子顕微鏡または集束イオン・ビーム(FIB)システムなどの荷電粒子ビーム・システムでは、源が、荷電粒子を発生させる。それらの荷電粒子は次いで、光学カラムによって集束してビームとなり、画像化および/または処理するターゲットの表面に導かれる。このカラムでは、ターゲット表面のさまざまな位置にビームを移動させるために、このビームを偏向させることができる。製造される構造体がますます小さくなると、ビームをより精確に導くことが必要になる。
【0003】
ビームの正確な位置決めを必要とする半導体製造の1つの態様が、透過電子顕微鏡法用の薄い試料の抜取りである。このような試料は、半導体製造プロセスを監視する目的に使用される。スライス・アンド・ビュー用途として知られているいくつかの用途では、加工物の表面から、薄片と呼ばれる「スライス」または薄い垂直試料がミリングされる。例えば透過電子顕微鏡(「TEM」)によって画像化する露出した断面を残すため、この薄片は抜き取られる。できるだけ平らで垂直な断面を得るためには、ビームによる滑らか(で細かい切削が必要である。
【0004】
通常は、特定のプロセスを実行する記憶されたプログラム、パターン発生器またはオペレータ命令に応答して、ビーム・コントローラが、ビーム・コントローラ座標系を使用して、このビームを、指定された座標まで、または指定された経路に沿って導く。このビームが、加工物またはターゲット試験体の平面で収束すると理想的である。しかしながら、システムが較正されていない場合には、このビームが、試料平面の前方または後方で収束し、それによってこのビームが試料平面で集束しないことがある。また、このビームが、無収差効果を示すこともある。さらに、試験体の軸とビームの走査軸との間の回転不整列が生じることもある。または、これらの軸間に非直交関係が存在することもある。さらに、直交するそれぞれの走査方向の走査利得が異なることがあり、その結果、1つの方向では画像が「引き伸ばされて」見える。したがって、これらの誤りを排除しまたは少なくとも最小化するため、走査ビーム・システムを較正しなければならない。これらの問題を解決するため、ビーム・システムは通常、較正を達成するための制御要素を提供する。例えば、ビームを正しい焦点で収束させる静電レンズ系を提供することができ、非点収差補正効果を調整するスティグメータを提供することができる。
【0005】
荷電粒子ビームを使用してターゲットの表面から材料をミリングする精密処理では、おおまかに言って、ミリング速度がビーム電流に比例する。例えば、材料を速く除去したいときには、より大きなビーム電流が好ましい。しかしながら、より大きな電流を使用するビームの精度はより低く、その結果、通常は、損傷した試料または望ましくない試料が得られる。したがって、より精密な処理用途に対してはより小さなビーム電流が使用されている。より小さなビーム電流を有するビーム、すなわち1秒当たりの荷電粒子がより少ないビームは通常、より大きな電流を有するビームよりも小さなサイズに集束させることができる。例えば、より小さな電流を有する小さなビームはより精確であり、その結果、試料に対する不必要な損傷がより少なくなる。例えば、本発明の譲受人に譲渡されたGerlach他の「Shaped And Low Density Focused Ion Beams」という名称の米国特許第6,949,756号明細書を参照されたい。この特許文献は参照によって本明細書に組み込まれる。しかしながら、より小さな電流ビームを使用すると材料除去の速度が低下し、処理時間がより長くなる。
【0006】
処理時間を短縮することがますます望ましくなっている。ミリング・スピードを高めるため、非円形ビームまたは「成形」ビームが開発された。材料を切り離すためのまっすぐなエッジを有し、同時に、材料を速く除去するのに十分なビーム電流を提供するサイズのビーム・スポット形状を有する、成形ビームを発生させることができる。例えば、本発明の譲受人に譲渡されたGerlach他の「Angular Aperture Shaped Beam System And Method」という名称の米国特許第6,977,386号明細書を参照されたい。この特許文献は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0007】
いくつかのシステムでは、光学カラム内に配置された絞りプレートによってビームが成形される。この絞りプレートは、ビームが通り抜ける1つのビーム画定絞り(beam−defining aperture:BDA)または選択可能な複数のBDAを有する。BDAは通常、金属の帯板にあけられた穴であり、軸から外れた荷電粒子を遮断し、ビームを形成するのに使用する荷電粒子を通過させることが意図されている。金属帯板には通常、いくつかのBDAまたは穴があり、サイズおよび/または形状が異なる穴がビームの経路上に配置されるように帯板を動かすことによって、それらの絞りを、用途に応じて切り換えることができる。例えば、通常は荷電粒子カラム内の1つまたは複数のレンズ間に配された成形絞りによって、幾何学的に成形された所望のスポットを有するビームを形成する。較正を達成するため、制御要素は、2レンズ集束カラムを含むことができ、この集束カラムでは、第1のレンズが、第2のレンズの平面またはその近くにビームの像を形成し、第2のレンズが、ターゲット平面に成形絞りの像を形成する。ビーム・カラム内のこれらのレンズおよびその他の「光学」要素(すなわちスティグメータ)は、静電場または磁場を使用して、ビームを光軸に沿って整列させ、ターゲット平面において集束させることができる。
【0008】
このビームが正確に集束し、その収差が補償されることが重要である。ビームは通常、あるプログラムに入力され記憶された値の表からの、レンズおよびスティグメータなどの光学要素に対する既知の値を使用することによって、または所望の電流に基づくオペレータ命令によって集束および整列させる。例えば、
図1Aおよび1Bは、130pA円形ビームの焦点配列を示す。
図1Aは、上から下へおよび左から右へ蛇行曲線に沿って第2のレンズの焦点を変化させた焦点配列100を示す。このビームは、オート・フォーカスに基づく像鮮明ルーチンを使用して、中央のスポット102がほぼ最適になるように最適化したものである。
図1Bは、非点収差補正をXおよびY方向に沿って変化させた焦点配列104を示す。このビームは、非点収差補正に基づく像鮮明ルーチン使用して、中央のスポット106がほぼ最適になるように最適化したものである。
【0009】
しかしながら、
図2Aおよび2Bに示されているような成形ビームに対する最適な焦点およびスティグメータ設定を予測することは難しい。
図2Aおよび2Bは、楕円形の絞りを用いて形成された420pA成形ビームの焦点配列を示す。
図2Aは、上から下へおよび左から右へ蛇行曲線に沿って第2のレンズの焦点を変化させた焦点配列108を示す。このビームは、オート・フォーカスに基づく像鮮明ルーチンをその対応する円形ビーム上で使用して、中央のスポット110がほぼ最適になるように最適化したものである。
図2Bは、非点収差補正をXおよびY方向に沿って変化させた焦点配列112を示す。このビームは、非点収差補正に基づく像鮮明ルーチンをその対応する円形ビーム上で使用して、中央のスポット114がほぼ最適になるように最適化したものである。しかしながら、
図2Aおよび2Bから分かるように、最適なスポット110、114は楕円形ではなく、より扁平である。これは、楕円形ビーム(または他の成形ビーム)に適用されたオート・フォーカス/非点収差補正ルーチンが通常、最も丸いビームを捜し出すためである。しかしながら、最も丸く成形された楕円形ビームは、ミリングに対して最適とは言えない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の好ましい実施形態によれば、集束イオン・ビーム・システム内のイオン光学カラムが、鮮鋭な分解能を有する1つまたは複数の幾何学的特徴を有する成形ビームであって、集束し光学カラムの軸と整列した成形ビームを生成する。
【0017】
例えば画像化用の断面切削などの微細構造ミリング作業では、まっすぐで「滑らかな」断面を残すスライスを切り離すために、少なくとも1つの鋭いエッジを有するビームが必要となる。そのビームのビーム・スポットは、くっきりした垂直面をミリングする目的に使用することができるそのスポットの鋭いエッジであるリーディング・エッジを有する。ビーム・スポットはさらに幅寸法および深さ寸法を有する。ミリングをより高速にする大きな電流を有する鋭いエッジを生成するため、用途によっては、最小化された深さまたは幅を有するビームが必要となることがある。例えば、
図3は、基板202からミリングされた薄片200の画像を示す。薄片200は次いで抜き取られ、画像化のために調製される。
【0018】
好ましい一システムでは、光学カラム内に配置された絞りプレートによってビームが成形される。この絞りプレートは、ビームが通り抜ける1つのビーム画定絞り(BDA)または選択可能な複数のBDAを有する。BDAは通常、金属の帯板にあけられた穴であり、軸から外れた荷電粒子を遮断し、ビームを形成するのに使用する荷電粒子を通過させることが意図されている。金属帯板には通常、いくつかのBDAまたは穴があり、サイズおよび/または形状が異なる穴がビームの経路上に配置されるように帯板を動かすことによって、それらの絞りを、用途に応じて切り換えることができる。例えば、通常は荷電粒子カラム内の1つまたは複数のレンズ間に配された成形絞りによって、所望のスポットを有するビームを形成する。較正を達成するため、制御要素は、2レンズ集束カラムを含むことができ、この集束カラムでは、第1のレンズが、点源(液体金属イオン源ないしLMIS)からほぼ平行なビームを形成し、第2のレンズが、その点源の、絞りによって成形された、角度分布を有する像を形成する。ビーム・カラム内のこれらのレンズおよびその他の「光学」要素(すなわちスティグメータ)は、静電場または磁場を使用して、ビームを光軸に沿って整列させ、ターゲット平面において集束させることができる。
【0019】
本発明の好ましい1つの方法は、加工物を処理するための作用成形ビームであって、円形ビームと同じ切削エッジの鋭さを有する作用成形ビームを提供するが、円形ビームによって達成することができる電流よりも大きな電流で機能する。本発明の好ましい実施形態は、円形基準ビームおよびほぼ楕円形に成形された作用ビームを使用して説明されるが、本発明の方法は、限定はされないが、円形、楕円形、長方形、半円形(D字形)またはその他の形状を有する絞りから形成されたビームを含む、さまざまなビーム形状を含むことを理解すべきである。
【0020】
薄片のミリングでは通常、滑らかな切削を実施し薄片に対する損傷を防ぐため、約40〜90pAの間の電流を有するビームを使用して、鋭いエッジを有するビームを提供する。この範囲の電流を有するビームは通常、円形である。しかしながら、処理時間を短縮するため、より大きなビーム電流が望ましい。より大きなビーム電流は、例えば楕円形ビームなどの成形(非円形)ビームを使用して達成することができる。しかしながら、鋭い切削エッジを有するように成形ビームを最適化する(整列させ集束させる)ことは難しい。本発明の好ましい1つの方法は、高速ミリングを達成するのに十分な大きなビーム電流を有するが、それにも関わらず、滑らかな切削を実施する鋭い切削エッジを有する成形ビームを提供する。
【0021】
図4〜6に示された好ましい実施形態では、最初に、基準絞り304(
図4)を通して、関連基準電流を有する基準ビーム302(
図5)を、円の形状を有するように形成することによって、断面スライシング用のビームが提供される。一例では、基準絞りの直径が10ミクロン〜1mmの間にあり、基準電流が、約1〜100000pAの範囲にある。基準ビーム302は、光学カラム内の光学構成要素の選択された一組の設定またはパラメータを使用して、光学カラムの軸と整列するように、かつ、ターゲット平面(または加工物)において集束するように最適化される。例えば、第1および第2のレンズならびにスティグメータに対するパラメータを、ビームの所望の最適化を達成する既知の値を使用して操作することができる。選択される光学設定またはパラメータは用途によって異なることがある。
図5に示されているように、基準ビーム302は、加工物のスライスをミリングしまたは切り離すのに適した鋭いエッジ310を有する電流密度プロファイル307および308を生成する、直径306などの寸法を有する。
【0022】
これに一致した鋭いエッジおよびより大きな電流を有するミリング用のビームを形成するため、成形された楕円形の作用絞り312(
図4)を通り抜けるようにビームが導かれるように基準絞り304を移動させて、ほぼ楕円の形状および関連作用電流を有する作用ビーム313(
図6)を形成する。基準ビーム302を最適化するのに使用した第1および第2のレンズならびにスティグメータの前記選択された設定またはパラメータを使用して、作用ビーム313を最適化する。最適化されたときに、加工物をミリングする鋭いエッジ318を有する電流密度プロファイル315および316を生成するように、作用ビーム313は、(
図4に最もよく示されているように)基準ビーム302の寸法306に実質的に一致した短軸314などの寸法を有する。
図4に示されているように、最適化の間に、作用ビーム313の寸法314が、光学カラム内の基準ビーム302の寸法306の位置に沿って、作用ビーム313の寸法314および基準ビーム302の寸法306が軸320に沿って延びるように整列する。軸320は、作用ビームのリーディング・エッジまたは切削エッジ318が材料を切削またはミリングするように、加工物の切削面に対して実質的に垂直に延びることが好ましい。したがって、作用ビーム313は、精密処理を提供する鋭い切削エッジ318を有し、同時に、より高速のミリング操作を、先行技術の方法で可能であった時間よりも短い時間で達成することができるように、大きな電流で機能する。
【0023】
ビームのサイズは、特定の用途に対して必要なビーム電流に依存する。円形基準ビームの直径が、スライス・ミリングにおいて実際に使用される作用成形ビーム絞りの短軸を決定する。したがって、結果的に、必要な指定された電流を有するビームは、決められた寸法を有するビームである。この寸法が作用成形ビーム絞りの短軸を決定する。さらに、作用成形ビーム絞りの長軸はビーム電流によって決定される。例えば、その用途が、円形基準ビームを形成するのに使用したビーム電流の2倍のビーム電流を必要とする場合には、短軸の2倍の長軸を有する作用成形ビーム絞りを形成する。同様に、例えば、その用途が、円形基準ビームを形成するのに使用したビーム電流の3倍のビーム電流を必要とする場合には、短軸の3倍の長軸を有する作用成形ビーム絞りを形成する。一般に、約750pAまでのビームにはこの3:1の比(長軸対短軸)が適用可能である。750pAよりも大きな電流では成形ビーム絞りのこの長軸−短軸比が一般に2:1である。すなわち、長軸が短軸の2倍である。
【0024】
本発明の好ましい実施形態は、楕円形に成形された作用ビーム絞りを利用するが、本発明は、他の非円形ビーム絞り形状を包含することを理解すべきである。例えば、長方形のビーム絞りまたは他の非円形成形ビーム絞りを使用することができる。これらの他の非円形成形ビームも、最初に、選択された光学構成要素パラメータを使用して円形基準ビームを最適化し、次いで、円形基準ビームを整列させるのに使用した前記選択された光学構成要素パラメータを使用して非円形作用成形ビームを最適化する、上記で説明した方法で、集束および整列させることが理解される。
【0025】
図7は、本発明とともに使用するのに適した成形集束イオン・ビーム(「FIB」)システムの一実施形態を概略的に示す。識別される構成要素が、全ての用途において必要となるわけではないことに留意されたい。また、図示されたサイズおよび相対位置は、必ずしも一定の比率では示されておらず、または全ての構成において一貫しているわけでもない。さらに、このシステムは、FIBカラム内の光学構成要素の特定の構成に応じて、プロジェクション法または開口角法で使用することができる。
【0026】
図示された成形ビーム・システムは、液体金属イオン源またはプラズマ・マイクロビーム・イオン源などのイオン源414と集束カラム417とを有する排気された室410を含み、集束カラム417は、所望の成形イオン・ビーム418を画定しそれをターゲット加工物422上に集束させるための
図5のブロック図に示されているものなどの光学系を含む。(用語「集束させる」は広範に使用され、一般に、源イオンの方向を変えて、ターゲット加工物に導かれるビームにすることを指し、1次焦点面に対して技術的に焦点がずれた成形ビームをカバーすることを認識すべきである。)集束カラム417は、2レンズ・イオン集束構造を使用して、絞りによって成形されたビームを発生させる。集束イオン・ビームとともに使用されるレンズおよび他の「光学」要素は、静電場または磁場を使用してビーム中のイオンを制御すること、ならびに、それらの光学要素は、イオンの流れを制御していることを当業者は理解するであろう。集束カラムの設計は、レンズを1つだけ含むこともでき、またはいくつかのレンズを含むこともできる。また、この特定の絞りの手法の原理は、このFIBシステムを使用して論じられるが、それらの原理は、そのシステムに適した光学構成要素が使用される限りにおいて、(電子ビーム・システムなどの)他の荷電粒子システムにも等しくあてはまる。
【0027】
源414からの集束していないイオン・ビーム416はカラム417に入り、カラム417は、成形されたビーム418を、室426の下部の可動X−Yステージ424上に取外し可能に装着された加工物422に向かって放出する。加工物422は、ビーム418によって加工されて所望の結果を達成することができる任意の材料とすることができる。加工物422は、例えば半導体デバイス、フォトリソグラフィ・マスク、磁気記憶ヘッドなどを含むことができる。使用されている特定の成形ビーム・パラメータは、対象の材料および所望の結果に依存する。ネック部410を排気するためにイオン・ポンプ428が使用される。室426は、真空コントローラ432の制御の下、ターボ分子および機械ポンピング・システム430を用いて排気される。
【0028】
液体金属イオン源414と、約30keVのイオン・ビーム418を形成しそれを下方へ導く集束カラム417内の適切な電極とに高電圧電源434が接続されている。集束カラム417、具体的には集束カラム417内の偏向板、スティグメータおよび可変軸可変形状絞りには、ビーム418を制御するため、例えば、所望の作業に従ってビーム418を回転させ、変形し、および/またはターゲット加工物422上におけるビーム418の位置を変更するために、コントローラ436が結合されている。(いくつかのシステムでは、当技術分野でよく知られているように、偏向板、スティグメータおよび/または他の光学デバイスが、最終レンズの後のイオン・カラムの外側に置かれる)。従来のユーザ・インタフェース(図示せず)にコマンドを入力することにより、ユーザは、ビーム418が所望の通りに走査するように、コントローラ436を介してビーム418を制御することができる。あるいは、コントローラ436は、メモリ記憶デバイスにアクセスして、予め決められたビーム形状を使用してシステムがある経路を走査するようにコントローラがシステムを制御するための命令をアップロードすることもできる。
【0029】
源414は通常、電界イオン放出源(液体金属イオン源(LMIS))からガリウムの金属イオン・ビームを提供するが、マルチカスプ・プラズマ・イオン源または他のプラズマ・イオン源などの他のイオン源を使用することもできる。一方、通常はこの源を、加工物422の位置における幅が1/100ミクロン未満のビームに集束させることができる。画像化用の2次電子放出を検出する目的に使用される電子増倍器440が、電源および制御装置445およびビデオ回路442に接続されている。ビデオ回路442は、加工中の加工物422を観察するためのビデオ・モニタ444に駆動信号を供給する。
【0030】
室426の内側の側面に、平行移動デバイス448によってガス源446が配置されている。平行移動デバイス448は、ベローズ452内の支持手段を介してこの源446を位置決めするように適合されている。ともに本発明の譲受人に譲渡されたRasmussenの「Gas Injection System」という名称の米国特許第5,435,850号明細書およびCasella他の「Gas Delivery Systems for Particle Beam Processing」という名称の米国特許第5,851,413号明細書は、蒸気を導入し加工物422に向かって導く装置を開示している。ガス源446は、ヒータを備えるリザーバ454を含む。このヒータは、膜型ヒータを含むことができ、リザーバ454内の化合物の温度を、後により十分に開示するビーム誘起反応に対して適当な分子の流れを提供する温度まで上昇させる目的に使用することができる。リザーバ454からは、皮下注射針によって提供された毛細管を備える移送管または移送ノズル456が延びており、この移送管または移送ノズルは、蒸気を解放するように適合された制御弁458を介してリザーバ454に接続されている。このノズルは、加工物422の上面のある領域に向かって蒸気を直接に向けることができるように、平行移動装置448を使用して、延ばされ、ノズルの軸に対して実質的に垂直な直交する方向に平行移動される。
【0031】
ステージ424上に加工物422を挿入するために扉460が開かれる。ステージ424は加熱されていてもよい。リザーバ454内の温度が室温よりも相当に高い場合に開かないように、この扉はインタロックされている。イオン源および集束カラム装置を密封するため、扉460を開くことができるようになる前に、仕切弁が閉じられる。
【0032】
リザーバ454の温度が、リザーバ454内の化合物を蒸発させる所望の温度まで上昇したら、装置の外側からアクチュエータ・ロッドを後退させて弁プランジャを開き、弁プランジャの位置を調節することによって、弁458を開くことができ、その間に、ノズル456を、加工物の所望のエリアに向かって導く。ベローズ452は、室426内の真空に影響を及ぼすことなくノズル・アセンブリおよびリザーバを加工物に対して移動させることに対応している。
【0033】
この真空制御システムを、蒸気源446のヒータとともに動作させて、材料をエッチングしまたは付着させるために基板422に向かって導かれる蒸気流束を室内において確立するのに適切な蒸気圧条件を提供する。所与のガス流束を確立するため、リザーバを所定の温度まで加熱する。
【0034】
イオン・ビーム418にエネルギーを与え集束させるため、高電圧電源434は、イオン・ビーム・カラム417内の電極に適切な加速電圧を印加する。凝縮した蒸気が表面に付着した加工物にイオン・ビーム418が当たると、イオン・ビームは、このガス化合物と基板の間の反応を開始させるためのエネルギー、および試料の強化されたエッチング/ミリングまたは試料上への強化された材料付着のためのエネルギーを提供する。
【0035】
前に述べた通り、この真空システムは、約1×10
−7トルから5×10
−4トルの間の真空を室426内に提供する。蒸気が放出されたとき、室の背景圧力は、約1×10
−5トルであることが適当である。例示的な実施形態では、ガス源446が、皮下注射針の毛細管を介して適切なガス流束を提供する温度まで加熱され、金属イオン源および集束カラムが、対応する適切なイオン流束を発生させるように適当に制御される。当業者は、特定の用途に対して適切な圧力およびガス流を容易に決定することができる。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態は、加工物を荷電粒子ビーム処理する方法であって、
イオン源からイオンを放出することと、
それらのイオンをイオン・ビームに形成することと、
光軸に沿って配置された光学構成要素を有する光学カラムを通り抜けるようにイオン・ビームを導くことと、
基準ビーム電流および基準ビーム形状を有する基準ビームを形成するために、基準絞りを通り抜けるようにイオン・ビームを導くことと、
加工物の表面において所望の基準ビーム・プロファイルを提供するように光学構成要素を調整することと、
基準絞りの代わりに作用絞りを通り抜けるようにイオン・ビームを導いて作用ビームを形成することにより加工物を処理することであり、作用ビームの作用ビーム電流が基準ビーム電流よりも大きく、加工物表面における作用ビームの作用ビーム形状が基準ビーム形状とは異なることと
を含み、
基準ビーム・プロファイルが、第1の方向に沿ったエッジ・プロファイルを含み、作用ビームが、同じ方向に沿った同じエッジ・プロファイルを有し、それによって、基準ビームよりも迅速に加工物を処理するより大電流の作用ビームを提供し、同時に、少なくとも1つの方向において、基準ビームのエッジの鋭さと同様のエッジの鋭さを提供する
方法を提供する。
【0037】
いくつかの実施形態では、基準絞りが円形であり、作用絞りが円形ではない。
【0038】
いくつかの実施形態では、基準絞りが円形、作用絞りが楕円形であり、その楕円の短軸の寸法が円形の絞りの直径と同じである。
【0039】
いくつかの実施形態では、作用絞りが長方形または半円形である。
【0040】
いくつかの実施形態では、加工物の表面において所望の基準ビーム・プロファイルを提供するように光学構成要素を調整することが、基準ビームを集束させること、および基準ビームの非点収差補正を低減させることを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、光学構成要素が、第1のレンズ、第2のレンズおよびスティグメータを含み、加工物の表面において所望の基準ビーム・プロファイルを提供するように光学構成要素を調整することが、第1および第2のレンズの焦点を設定すること、ならびに基準ビームの非点収差補正を低減させるようにスティグメータを調整することを含む。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態は、試料の表面に対して実質的に垂直な特徴部分を生成するために、ビーム・システム内において、試料の表面に対して実質的に垂直な角度でビームを導き、このビームをある経路に沿って移動させることによって試料を処理する方法であって、
軸に沿って延びる光学構成要素を有する光学カラムを通り抜けるようにビームを導くことと、
基準絞りを通して基準成形ビームを形成することと、
選択された光学構成要素パラメータを使用して、ターゲット平面上への基準成形ビームを、基準成形ビームが光学カラムの軸と整列するように、かつ、鋭いエッジを形成し関連基準電流を有するプロファイルを有するよう基準成形ビームが集束するように最適化することと、
作用絞りを通して作用成形ビームを形成することと、
基準成形ビームを最適化する選択された光学構成要素パラメータを用いて、ターゲット平面上への作用成形ビームを、作用成形ビームが光学カラムの軸と整列するように、かつ、鋭いエッジを形成し関連作用電流を有するプロファイルを有するよう作用成形ビームが集束するように最適化することと
を含む方法を提供する。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態は、成形ビームを生成するビーム・システムであって、
ビームを生成するイオン源と、
第1のレンズおよび第2のレンズを含む光学カラムであり、ビームがそれを通り抜けて延びる光学カラムと、
第1のレンズと第2のレンズの間に配置された絞りプレートであり、基準絞り形状、および基準絞り形状とは異なる作用絞り形状を有する作用絞りを有する、絞りプレートと、
記憶されたコンピュータ命令に従ってビーム・システムの動作を制御するコントローラと、
上記請求項のいずれかに記載の方法を実行するためのコンピュータ命令を記憶したコンピュータ可読記憶装置と
を備えるビーム・システムを提供する。
【0044】
例示のため、集束イオン・ビーム・システムで使用する文脈で本発明を論じた。しかしながら、走査電子顕微鏡および走査透過電子顕微鏡を含む電子ビーム・システムなどの他の走査システムで、本発明の方法を使用することもできることが理解される。
【0045】
本発明の好ましい方法または装置は多くの新規の態様を有する。本発明は、異なる目的を有する異なる方法または装置として実施することができるため、全ての実施形態に全ての態様が存在する必要はない。さらに、記載された実施形態の態様の多くは別個に特許を受けることができる。本発明は幅広い適用可能性を有し、上記の例において説明し示した多くの利点を提供することができる。本発明の実施形態は、具体的な用途によって大きく異なり、全ての実施形態が、これらの全ての利点を提供するわけではなく、本発明によって達成可能な全ての目的を達成するわけではない。
【0046】
さらに、コンピュータ・ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアの組合せ、またはコンピュータ可読の非一時的記憶装置に記憶されたコンピュータ命令によって、本発明の実施形態を実現することができることも認識すべきである。本発明の方法は、標準プログラミング技法を使用し、本明細書に記載された方法および図に基づいて、コンピュータ・プログラムとして実現することができ、このコンピュータ・プログラムは、コンピュータ・プログラムを含むように構成されたコンピュータ可読の非一時的記憶媒体を含み、そのように構成された記憶媒体は、コンピュータを、予め決められた特定の方式で動作させる。コンピュータ・システムと通信するため、それぞれのプログラムは、高水準手続き型プログラミング言語またはオブジェクト指向プログラミング言語で実現することができる。しかしながら、所望ならば、それらのプログラムを、アセンブラ言語または機械語で実現することもできる。いずれにせよ、その言語は、コンパイルまたは解釈される言語とすることができる。さらに、そのプログラムは、そのプログラムを実行するようにプログラムされた専用集積回路上で実行することができる。
【0047】
さらに、方法論は、限定はされないが、荷電粒子ツールもしくは他の画像化デバイスとは別個の、荷電粒子ツールもしくは他の画像化デバイスと一体の、または荷電粒子ツールもしくは他の画像化デバイスと通信するパーソナル・コンピュータ、ミニコンピュータ、メインフレーム、ワークステーション、ネットワーク化されたコンピューティング環境または分散コンピューティング環境、コンピュータ・プラットホームなどを含む、任意のタイプのコンピューティング・プラットホームで実現することができる。本発明の諸態様は、取外し可能であるか、またはコンピューティング・プラットホームと一体であるかを問わない、ハードディスク、光学式読取りおよび/または書込み記憶媒体、RAM、ROMなどの非一時的記憶媒体または記憶デバイス上に記憶された機械可読コードであって、プログラム可能なコンピュータが、本明細書に記載された手順を実行するために、その記憶媒体または記憶デバイスを読んだときに、そのコンピュータを構成し、動作させるために、そのコンピュータが読むことができるように記憶された機械可読コードとして実現することができる。さらに、機械可読コードまたは機械可読コードの一部を、有線または無線ネットワークを介して伝送することができる。本明細書に記載された発明は、マイクロプロセッサまたは他のデータ処理装置と連携して上述の諸ステップを実現する命令またはプログラムを含む、これらのさまざまなタイプの非一時的コンピュータ可読記憶媒体、およびその他のさまざまなタイプの非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む。本発明はさらに、本明細書に記載された方法および技法に従ってプログラムされたコンピュータを含む。
【0048】
入力データに対してコンピュータ・プログラムを使用して、本明細書に記載された機能を実行し、それによって入力データを変換して出力データを生成することができる。この出力情報は、ディスプレイ・モニタなどの1つまたは複数の出力デバイスに出力される。本発明の好ましい実施形態では、変換されたデータが物理的な実在する物体を表し、これには、その物理的な実在する物体の特定の視覚的描写をディスプレイ上に生成することが含まれる。
【0049】
本発明は、適当な任意の物質の試料を調製する目的に使用することができる。特記しない限り、本出願では、用語「加工物」、「試料」、「基板」および「試験体」が相互に交換可能に使用されている。さらに、本明細書において用語「自動」、「自動化された」または同種の用語が使用されるときには常に、それらの用語が、自動プロセスもしくは自動ステップ、または自動化されたプロセスもしくは自動化されたステップの手動開始を含むことが理解される。
【0050】
以下の議論および特許請求の範囲では、用語「含む」および「備える」が、オープン・エンド型の用語として使用されており、したがって、これらの用語は、「...を含むが、それらだけに限定はされない」ことを意味すると解釈すべきである。ある用語が本明細書で特に定義されていない場合、その用語は、その通常の一般的な意味で使用されることが意図されている。添付図面は、本発明の理解を助けることが意図されており、特記しない限り、一定の比率では描かれていない。本発明を実施するのに適した粒子ビーム・システムは例えば、本出願の譲受人であるFEI Companyから市販されている。
【0051】
本発明および本発明の利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された実施形態に、さまざまな変更、置換および改変を加えることができることを理解すべきである。さらに、本出願の範囲が、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法およびステップの特定の実施形態に限定されることは意図されていない。当業者なら本発明の開示から容易に理解するように、本明細書に記載された対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行し、または実質的に同じ結果を達成する既存のまたは今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを、本発明に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、このようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを含むことが意図されている。