【実施例1】
【0013】
図1において、Aは容器本体、Bは容器本体Aに装着され、注出口を有する注出中栓、Cは注出中栓Bに装着されるヒンジキャップ、Dは注出中栓Bの注出口を密封する移行栓である。
ヒンジキャップCは、注出中栓Bに装着されるキャップ本体C1と、キャップ本体C1にヒンジC2を介して開閉可能に取り付けられ、内方に移行栓Dが装着される上蓋C3とを具え、ヒンジキャップCは、少なくともキャップ本体C1と上蓋C3の一方が透明または半透明に形成されている。
キャップ本体C1あるいは上蓋C3のどちらか一方を透明または半透明にした場合は、キャップ本体C1と上蓋C3が別部材で構成されることになる。
また、キャップ本体C1だけを透明または半透明にした場合は、封印リングD3の外面に、例えば「開封済」等と表記しておくと、上蓋C3を開封した際、封印リングD3が落下するので、キャップ本体C1の側面から確認することができる。
移行栓Dは、ヒンジキャップCの上蓋C3に装着され、注出中栓Bの注出口を密封する栓本体D1と、注出中栓Bと係合して上昇が規制される封印リングD3と、栓本体D1と封印リングD3とを連結する破断可能な連結部として、複数配設されたブリッジD2とを具えている。
【0014】
容器本体Aの口筒部1には、外周面に環状の係合突条2が設けられ、後述する注出中栓Bの中栓本体B1を嵌合係止して注出中栓Bを口筒部1に装着している。
【0015】
注出中栓Bは、容器本体Aの口筒部1に装着される中栓本体B1と、中栓本体B1の内方に装着され、注出する流量を調整する弁部材B2と、弁部材B2を中栓本体B1に固定する固定部材B3とからなっている。
【0016】
中栓本体B1は、注出口を形成する注出筒部5と、注出筒部5の下端から拡径して連設され、外周に移行栓Dの封印リングD3が装着される移行栓装着筒部6と、移行栓装着筒部6の下端面外縁から拡径して連設され、外周にキャップ本体C1が装着されるキャップ装着筒部7と、キャップ装着筒部7の下端に連設され、容器本体Aを嵌合係止する容器嵌合部8とからなっている。
注出筒部5の先端は、外周に向けて末広がりに形成されるラッパ状湾曲部9が形成されている。
【0017】
移行栓装着筒部6は、内周に弁部材B2を下から挿入し、弁部材B2外周と係合する弁部材係合部10が形成され、外周の上部には、封印リングD3を係止する係止突部11が突設されている。
【0018】
キャップ装着筒部7は、内周に内側面が固定部材B3外周と係合する固定部材係合リブ12が複数配設され、外周の上部には、キャップ本体C1を装着する装着突部13が突設されている。
固定部材係合リブ12の内側面上部には、固定部材B3の下面外縁と係合する係合突部14が突設されている。
【0019】
容器嵌合部8は、キャップ装着筒部7の下端に連設されたフランジ状の上壁15と、上壁15の下面に垂設される外縁の外筒16と、その内周側の内筒17とからなり、外筒16の内周面と内筒17の外周面との間に、容器本体Aの口筒部1の上部が嵌合挟持される。
外筒16の内周面下部には、容器本体Aの係合突条2に嵌合する係合凹部18が形成され、また、外筒16の下端部付近には、容器を使用した後に注出中栓Bを容器本体Aから分別廃棄するための分離機構が設けられ、外筒16の外周面に分離タブ19が連設されている。
【0020】
弁部材B2は、頂壁20と、頂壁20の外縁に垂設され、外周が中栓本体B1の弁部材係合部10内周と係合する係合筒21とからなり、少なくとも頂壁20は変形可能な薄肉に形成されている。
頂壁20には、中央に上面から見て十字状のスリット22が穿設されている。
【0021】
固定部材B3は、外周が弁部材B2の係合筒21内周に係合する筒壁23と、筒壁23の下端に連設されたフランジ壁24とからなっている。
フランジ壁24は、上面が係合筒21の下端面および中栓本体B1の移行栓装着筒部6の下端面内縁に当接し、側周面が固定部材係合リブ12の上部に形成された係合突部14と嵌合することで、弁部材B2を中栓本体B1に固定するように形成されている。
【0022】
キャップ本体C1は、リング状の上壁25と、上壁25の内縁に垂設される内周壁26と、上壁25の外縁に垂設され、外周上端の所定の位置にヒンジC2を連設する外周壁27とからなっている。
注出中栓Bにキャップ本体C1を装着した際に、内周壁26は、下端面が中栓本体B1の容器嵌合部8の上壁15の上面に当接し、内周面がキャップ装着筒部7の装着突部13外面に当接するように形成され、また、内周壁26の内周面の所定の位置には、上面部が装着突部13の下面部に係合する係合突部28が突設されている。
【0023】
上蓋C3は、頂壁30と、頂壁30の外縁に垂設され、外周下端の所定の位置にヒンジC2が連設される側周壁31とからなり、頂壁30の下面には、移行栓Dを装着する装着筒壁33と、装着筒壁33の内方のヒンジC2側に配設される位置合わせ突部34とが垂設されている。
側周壁31のヒンジC2と反対側の外周上端部には、摘み片35が突設されている。
装着筒壁33の内周下部には、係合凹部36が凹設されている。
【0024】
図1、
図2に示すように、栓本体D1は、下面が中栓本体B1の注出筒部5上端部に当接するリング状の上壁40と、上壁40の内縁に垂設され、注出筒部5の内周に挿入される密封栓部41と、上壁40の外縁に連設されるリング状の係合周壁部42と係合周壁部42の下面外縁から垂設される側周壁部43とからなっている。
係合周壁部42は、上面が上蓋C3の頂壁30下面に当接し、外周が装着筒壁33内周に係合するように形成され、外周の所定の位置には係合凹部36に係合する係止突部45が突設され、また、上面のヒンジC2側には、位置合わせ突部34が挿入される位置合わせ凹部46が凹設されている。
側周壁部43の下端部は、
図1、
図2(b)に示すように、ヒンジC2側に比べヒンジC2と反対側が高さh分だけ上方に傾斜するように形成されている。
【0025】
複数のブリッジD2は、
図2(b)、
図2(c)に示すように、栓本体D1の側周壁部43の下端面外縁から封印リングD3の上端面内縁との間で、栓本体D1の側周壁部43の傾斜に合わせてヒンジC2側のブリッジD2aからヒンジC2と反対側のブリッジD2bに向かい徐々に高くなるとともに、ヒンジC2側のブリッジD2aからヒンジC2と反対側のブリッジD2bに向かい封印リングD3の上端面との連設部の横断面面積が徐々に小さくなるようにそれぞれが形成されている。
【0026】
封印リングD3の内周下端には、
図1、
図2(b)に示すように、中栓本体B1の移行栓装着筒部6の係止突部11と係合する係合突部47が突設されている。
移行栓Dは、封印リングD3の上部が、閉蓋したヒンジキャップCのキャップ本体C1の上壁25より上にある高さでヒンジキャップC内に装着されるように形成されている。
【0027】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
図1に示す本実施例の容器の組み立て工程としては、ヒンジキャップC内に移行栓Dを装着する際には、開蓋したヒンジキャップCの上蓋C3の装着筒壁33内に移行栓Dの栓本体D1を位置合わせして挿入し、栓本体D1の係合周壁部42の係止突部45に対して上蓋C3の装着筒壁33の内周下端が乗り越え、係合凹部36と係合させて、上蓋C3に移行栓Dを装着する。
その際、上蓋C3のヒンジC2側の位置合わせ突部34が栓本体D1の係合周壁部42の位置合わせ凹部46に挿入される位置にないと装着が阻害されるので、上蓋C3と移行栓Dとは、位置合わせしないと装着されないようになっている。
また、移行栓Dは、封印リングD3の上部が、閉蓋したキャップ本体C1の上壁25より上にある高さでヒンジキャップC内に装着されている。
【0028】
注出中栓Bは、中栓本体B1内に弁部材B2を挿入し、係合させた後、固定部材B3を挿入し、係合させることで、中栓本体B1内に弁部材B2および固定部材B3を装着、固定させる。
【0029】
つぎに、注出中栓BにヒンジキャップCを装着する際には、閉蓋したヒンジキャップCを、注出中栓Bの上方から被せていき、キャップ本体C1の内周壁26の下端が中栓本体B1の容器嵌合部8の上壁15上面に当接するとともに、内周壁26内周の係合突部28がキャップ装着筒部7の装着突部13を乗り越え、係合し、キャップ本体C1は中栓本体B1に装着される。
また、上蓋C3内に装着した栓本体D1の密封栓部41の外周が中栓本体B1の注出筒部5の内周に挿入され、密封するとともに、封印リングD3の係合突部47が中栓本体B1の移行栓装着筒部6の係止突部11を乗り越え、係合し、移行栓Dが中栓本体B1に装着される。
【0030】
最後に、ヒンジキャップCを装着した注出中栓Bを内容物を充填した容器本体Aに装着する際には、中栓本体B1の容器嵌合部8の外筒16および内筒17を容器本体Aの口筒部1の上部にあてがい、上方から打栓すると、係合突条2が係合凹部18に嵌合し、注出中栓Bが容器本体Aに装着され、組み立て工程は終了する。
【0031】
本実施例における開蓋の際には、ヒンジキャップCの上蓋C3の摘み片35に指等を当て、上方に押し上げ、上蓋C3をヒンジC2を支点にキャップ本体C1に対して廻動させ、開蓋する。
その際、上蓋C3とともに上蓋C3に装着された移行栓Dの栓本体D1もヒンジC2を中心として廻動し、栓本体D1の密封栓部41が中栓本体B1の注出筒部5から引き抜かれていき、開封されていく。
【0032】
また、栓本体D1がヒンジC2と反対側から上方に引っ張られると、封印リングD3の係合突部47と注出中栓Bの移行栓装着筒部6の係止突部11と係合し、封印リングD3の上昇が規制されているので、栓本体D1と封印リングD3とを連結するブリッジD2に負荷が掛かり、ブリッジD2が破断されていく。
ブリッジD2は、栓本体D1の側周壁部43の傾斜によりヒンジC2と反対側のブリッジD2bが一番高く、また、封印リングD3の上端面との連設部の横断面面積が一番小さいので、破断し易くなっており、簡単に破断される。
ブリッジD2bが破断されるとともに、ブリッジD2bからヒンジC2側のブリッジD2aに向かい徐々に高さが低く、また、横断面積が徐々に大きく形成されているので、栓本体D1の上昇具合により最後の方になると破断し易くなるということがなく、一定の負荷でブリッジD2の破断を進めることができ、開蓋に対して掛かる力を一定に保つことができる。
【0033】
最後は、ブリッジD2aも破断され、ブリッジD2が全て破断されると、
図3に示すように、栓本体D1が上蓋C3とともに開蓋される。
また、ブリッジD2が全て破断されることで、栓本体D1に連結されていた封印リングD3が切り離され、封印リングD3は、係合突部47と移行栓装着筒部6の係止突部11との係合が外れるとともに、移行栓装着筒部6の外周で、且つ上端がキャップ本体C1の上壁25より下側に隠れるように下方に落ちる。
開蓋後に、容器を傾けて、容器本体A内の内容物を注出中栓Bの弁部材B2を通し、中栓本体B1の注出筒部5から注出する。
【0034】
閉蓋する際には、上蓋C3をヒンジC2を介してキャップ本体C1に対して閉蓋させると、上蓋C3に装着された栓本体D1の密封栓部41が中栓本体B1の注出筒部5に挿入され、密封される。
【0035】
最初の開蓋後は、移行栓DのブリッジD2が全て破断され、封印リングD3が移行栓装着筒部6の外周で、且つ上端がキャップ本体C1の上壁25より下側に隠れるように下方に落ちた状態となるので、
図4に示すように、透明または半透明である上蓋C3あるいはキャップ本体C1の外から中を見て、ブリッジD2の破断の有無及び封印リングD3が上壁25より上にあるか無いかで、キャップの開封状態を視認することができ、不正開封を判別することができる。
【実施例2】
【0036】
次に、第1実施例の移行栓の栓本体と封印リングとを連結する連結部の構成を変更した第2実施例について説明する。
以下、第1実施例と同一の構成部分には同一の符号を付し、相違点を中心に説明する。
図5、
図6に示すように、Aは容器本体、Bは容器本体Aに装着され、注出口を有する注出中栓、Cは注出中栓Bに装着されるヒンジキャップ、Eは注出中栓Bの注出口を密封する移行栓である。
移行栓Eは、ヒンジキャップCの上蓋C3に装着され、注出中栓Bの注出口を密封する栓本体E1と、栓本体E1の外周下端に破断可能な連結部E2を介して連結された封印リングE3とを具えている。
【0037】
連結部E2は、
図5に示すように、栓本体E1の側周壁部43の下端面内縁から封印リングE3の上端面内縁との間に形成され、栓本体E1の側周壁部43の傾斜に合わせてヒンジC2側からヒンジC2と反対側に向かい徐々に高さが高くなる破断可能な薄肉に凹設される弱化部50が形成され、弱化部50のヒンジC2と反対側に所定の範囲で切断窓51が穿設されている。
切断窓51の両側部は側方に向かって鋭角の角部が形成されている。
なお、栓本体E1の側周壁部43の下端面は、傾斜していなくても構わないことから、弱化部50の高さも一定幅で構わない。
【0038】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
本実施例における開蓋の際に、上蓋C3とともに、上蓋C3に装着された移行栓Eの栓本体E1もヒンジC2を中心として廻動する。
栓本体E1がヒンジC2と反対側から上方に引っ張られると、封印リングE3は中栓本体B1との係合により上昇が規制されているので、栓本体E1と封印リングE3とを連結する連結部E2に負荷が掛かり、弱化部50が破断されていく。
弱化部50は、ヒンジC2と反対側に切断窓51が穿設されており、切断窓51は、上方に広げられるとともに、切断窓51の両側が側方に向かって角部があるので、弱化部50は、切断窓51の両側に形成された角部の先端から破断し始め、一定の負荷で弱化部50の破断を進めることができ、開蓋に対して掛かる力を一定に保つことができる。
【0039】
最後は、弱化部50が全て破断され、
図6に示すように、栓本体E1が上蓋C3とともに開蓋される。
また、弱化部50が全て破断されることで、栓本体E1に連結されていた封印リングE3が切り離され、封印リングE3は、上端がキャップ本体C1の上壁25より下側に隠れるように下方に落ちるので、透明または半透明である上蓋C3の外から中を見て、連結部E2の破断の有無及び封印リングE3が上壁25より上にあるか無いかで、キャップの開封状態を視認することができ、不正開封を判別することができる。
その他の作用効果は、実施例1と同じである。