(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
物体側から順に配置される、正の屈折力を有する第一レンズ群と、負の屈折力を有する第二レンズ群と、正の屈折力を有する第三レンズ群と、正の屈折力を有する第四レンズ群とからなり、各レンズ群間の間隔を変化させることにより変倍の作用を有する変倍光学系であって、
前記第一レンズ群は、物体側から順に配置される1枚の負レンズと、少なくとも2枚の正レンズとから構成され、
広角端から望遠端への変倍時に、前記第一レンズ群が移動し、
以下の条件式で表される条件を満足することを特徴とする変倍光学系。
0.33 < dnp/fw < 10 ・・・(1)
90 < FOVwide ・・・(9)
但し、
dnpは、第一レンズ群において最も物体側に配置される負レンズと、この負レンズに後続する正レンズとの間の光軸上の距離であり、
fwは、広角端における当該光学系全系の焦点距離であり、
FOVwideは、広角端における当該変倍光学系の画角であり、単位は「°」である。
物体側から順に配置される、正の屈折力を有する第一レンズ群と、負の屈折力を有する第二レンズ群と、正の屈折力を有する第三レンズ群と、正の屈折力を有する第四レンズ群と、第五レンズ群とからなり、各レンズ群間の間隔を変化させることにより変倍の作用を有する変倍光学系であって、
前記第一レンズ群は、物体側から順に配置される1枚の負レンズと、少なくとも2枚の正レンズとから構成され、
以下の条件式で表される条件を満足することを特徴とする変倍光学系。
0.33 < dnp/fw < 10 ・・・(1)
4.90 < f1/fw < 20.00 ・・・(3)
0 < vp2−vn1 < 24 ・・・(8)
但し、
dnpは、第一レンズ群において最も物体側に配置される負レンズと、この負レンズに後続する正レンズとの間の光軸上の距離であり、
fwは、広角端における当該光学系全系の焦点距離であり、
f1は、第一レンズ群の焦点距離であり、
vn1は、第一レンズ群に配置される負レンズのd線に対するアッベ数であり、
vp2は、第一レンズ群に配置される正レンズのうち、物体側から数えて二番目に配置される正レンズのd線に対するアッベ数である。
物体側から順に配置される、正の屈折力を有する第一レンズ群と、負の屈折力を有する第二レンズ群と、正の屈折力を有する第三レンズ群と、正の屈折力を有する第四レンズ群とからなり、各レンズ群間の間隔を変化させることにより変倍の作用を有する変倍光学系であって、
前記第一レンズ群は、物体側から順に配置される1枚の負レンズと、少なくとも2枚の正レンズとから構成され、
広角端から望遠端への変倍時に、前記第一レンズ群が移動し、
以下の条件式で表される条件を満足することを特徴とする変倍光学系。
0.04 < dnp/fw ・・・(1−a)
0.95 < D1G/fw < 9.00 ・・・(4)
90 < FOVwide ・・・(9)
但し、
dnpは、第一レンズ群において最も物体側に配置される負レンズと、この負レンズに後続する正レンズとの間の光軸上の距離であり、
fwは、広角端における当該光学系全系の焦点距離であり、
D1Gは、第一レンズ群において最も物体側に配置される負レンズの物体面と、最も像面側に配置されるレンズの像側面との間の光軸上の距離であり、
FOVwideは、広角端における当該変倍光学系の画角であり、単位は「°」である。
物体側から順に配置される、正の屈折力を有する第一レンズ群と、負の屈折力を有する第二レンズ群と、正の屈折力を有する第三レンズ群と、正の屈折力を有する第四レンズ群と、第五レンズ群とからなり、各レンズ群間の間隔を変化させることにより変倍の作用を有する変倍光学系であって、
前記第一レンズ群は、物体側から順に配置される1枚の負レンズと、少なくとも2枚の正レンズとから構成され、
広角端から望遠端への変倍時に、前記第一レンズ群と前記第三レンズ群とが移動し、
以下の条件式で表される条件を満足することを特徴とする変倍光学系。
0.04 < dnp/fw ・・・(1−a)
0.95 < D1G/fw < 9.00 ・・・(4)
但し、
dnpは、第一レンズ群において最も物体側に配置される負レンズと、この負レンズに後続する正レンズとの間の光軸上の距離であり、
fwは、広角端における当該光学系全系の焦点距離であり、
D1Gは、第一レンズ群において最も物体側に配置される負レンズの物体面と、最も像面側に配置されるレンズの像側面との間の光軸上の距離である。
物体側から順に配置される、正の屈折力を有する第一レンズ群と、負の屈折力を有する第二レンズ群と、正の屈折力を有する第三レンズ群と、正の屈折力を有する第四レンズ群とからなるか、または、物体側から順に配置される、正の屈折力を有する第一レンズ群と、負の屈折力を有する第二レンズ群と、正の屈折力を有する第三レンズ群と、正の屈折力を有する第四レンズ群と、第五レンズ群とからなり、各レンズ群間の間隔を変化させることにより変倍の作用を有する変倍光学系であって、
前記第一レンズ群は、物体側から順に配置される1枚の負レンズと、少なくとも2枚の正レンズとから構成されると共に、前記変倍の際に光軸に沿って移動し、
前記第三レンズ群は、少なくとも1枚の正レンズ及び負レンズを含み、
以下の条件式で表される条件を満足することを特徴とする変倍光学系。
0.95 < D1G/fw < 9.00 ・・・(4)
80 < FOVwide ・・・(9)
0 < vp2−vn1 < 24 ・・・(8)
−200 < f3n/f3 × v3n <−30 ・・・(12)
但し、
D1Gは、第一レンズ群において最も物体側に配置される負レンズの物体面と、最も像面側に配置されるレンズの像側面との間の光軸上の距離であり、
fwは、広角端における当該光学系全系の焦点距離であり、
FOVwideは、広角端における当該変倍光学系の画角であり、単位は「°」であり、
vn1は、第一レンズ群に配置される負レンズのd線に対するアッベ数であり、
vp2は、第一レンズ群に配置される正レンズのうち、物体側から数えて二番目に配置される正レンズのd線に対するアッベ数であり、
f3nは、前記第三レンズ群に含まれるいずれか一の所定の負レンズの焦点距離であり、
v3nは、前記第三レンズ群に含まれるいずれか一の所定の負レンズのd線に対するアッベ数であり、
f3は、前記第三レンズ群の焦点距離である。
当該変倍光学系を構成するレンズ群のうち、少なくともいずれか一のレンズ群は回折面を含み、以下の条件式で表される条件を満足する請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の変倍光学系。
|WΔ(d−S)| ≦ 0.1 ・・・(15)
|TΔ(d−S)| ≦ 0.1 ・・・(16)
但し、
WΔ(d−S)は、広角端におけるd線に対するS線の近軸結像位置であり、
TΔ(d−S)は、望遠端におけるd線に対するS線の近軸結像位置である。
請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の変倍光学系と、当該変倍光学系の像側に設けられ、前記変倍光学系によって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本件発明の実施例1の変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端におけるレンズ構成例を示す断面図である。
【
図2】実施例1の変倍光学系の広角端における無限遠合焦時の球面収差図(spherical aberration)、非点収差図(astigmatism)及び歪曲収差図(distortion )である。
【
図3】実施例1の変倍光学系の中間焦点距離における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図4】実施例1の変倍光学系の望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図5】本件発明の実施例2の変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端におけるレンズ構成例を示す断面図である。
【
図6】実施例2の変倍光学系の広角端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図7】実施例2の変倍光学系の中間焦点距離における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図8】実施例2の変倍光学系の望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図9】本件発明の実施例3の変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端におけるレンズ構成例を示す断面図である。
【
図10】実施例3の変倍光学系の広角端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図11】実施例3の変倍光学系の中間焦点距離における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図12】実施例3の変倍光学系の望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図13】本件発明の実施例4の変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端におけるレンズ構成例を示す断面図である。
【
図14】実施例4の変倍光学系の広角端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図15】実施例4の変倍光学系の中間焦点距離における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図16】実施例4の変倍光学系の望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図17】本件発明の実施例5の変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端におけるレンズ構成例を示す断面図である。
【
図18】実施例5の変倍光学系の広角端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図19】実施例5の変倍光学系の中間焦点距離における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図20】実施例5の変倍光学系の望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図21】本件発明の実施例6の変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端におけるレンズ構成例を示す断面図である。
【
図22】実施例6の変倍光学系の広角端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図23】実施例6の変倍光学系の中間焦点距離における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図24】実施例6の変倍光学系の望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図25】本件発明の実施例7の変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端におけるレンズ構成例を示す断面図である。
【
図26】実施例7の変倍光学系の広角端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図27】実施例7の変倍光学系の中間焦点距離における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図28】実施例7の変倍光学系の望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図29】本件発明の実施例8の変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端におけるレンズ構成例を示す断面図である。
【
図30】実施例8の変倍光学系の広角端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図31】実施例8の変倍光学系の中間焦点距離における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図32】実施例8の変倍光学系の望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図33】本件発明の実施例9の変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端におけるレンズ構成例を示す断面図である。
【
図34】実施例9の変倍光学系の広角端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図35】実施例9の変倍光学系の中間焦点距離における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図36】実施例9の変倍光学系の望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図37】本件発明の実施例10の変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端におけるレンズ構成例を示す断面図である。
【
図38】実施例10の変倍光学系の広角端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図39】実施例10の変倍光学系の中間焦点距離における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図40】実施例10の変倍光学系の望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図41】本件発明の実施例11の変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端におけるレンズ構成例を示す断面図である。
【
図42】実施例11の変倍光学系の広角端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図43】実施例11の変倍光学系の中間焦点距離における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図44】実施例11の変倍光学系の望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図45】本件発明の実施例12の変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端におけるレンズ構成例を示す断面図である。
【
図46】実施例12の変倍光学系の広角端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図47】実施例12の変倍光学系の中間焦点距離における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図48】実施例12の変倍光学系の望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図49】本件発明の実施例13の変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端におけるレンズ構成例を示す断面図である。
【
図50】実施例13の変倍光学系の広角端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図51】実施例13の変倍光学系の中間焦点距離における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【
図52】実施例13の変倍光学系の望遠端における無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本件発明に係る変倍光学系及び撮像装置の実施の形態を説明する。
【0023】
1.変倍光学系
1−1.変倍光学系の構成
本件発明に係る変倍光学系は、物体側から順に配置される、正の屈折力を有する第一レンズ群、負の屈折力を有する第二レンズ群、第三レンズ群、正の屈折力を有する第四レンズ群とを備え、各レンズ群間の間隔を変化させることにより変倍の作用を有する変倍光学系であって、第一レンズ群は、物体側から順に配置される1枚の負レンズと、少なくとも2枚の正レンズとから構成され、後述する所定の条件式で表される条件を満足することを特徴とする。まず、本件発明に係る変倍光学系の構成について説明する。
【0024】
本件発明に係る変倍光学系は
、物体側から順に、正・負・正又は負・正のパワー配置を有する。後述するとおり、当該変倍光学系は、上記第一レンズ群〜第四レンズ群からなる4群構成の変倍光学系であってもよいし、第四レンズ群に後続する正又は負の屈折力を有する第五レンズ群を備える5群構成の変倍光学系であってもよい。いずれの場合であっても、各レンズ群間の間隔を変化させることにより変倍の作用を有する。また、各レンズ群間の間隔を変化させることにより、変倍域全域において良好な光学性能を実現させることが容易になる。
【0025】
以下、各レンズ群の具体的な構成について説明する。但し、各レンズ群を構成するレンズ等において満足すべき条件式、或いは満足することが好ましい条件式に関する事項は後述する。
【0026】
(1)第一レンズ群
第一レンズ群は正の屈折力を有するレンズ群であり、上述したとおり、物体側から順に配置される1枚の負レンズと、少なくとも2枚の正レンズとから構成される。すなわち、第一レンズ群は少なくとも3枚のレンズから構成され、当該第一レンズ群において、物体側から、負レンズ、正レンズ、正レンズの順に各レンズが配置される。このとき、当該負レンズと正レンズとは、所定の空気間隔を介して配置される。第一レンズ群において、当該負レンズと正レンズとを所定の空気間隔を介して配置することにより、当該変倍光学系の広角化を図る上で有利になる。なお、この点に関しては、条件式(1)又は条件式(1−a)において、再度説明する。
【0027】
(2)第二レンズ群
第二レンズ群は負の屈折力を有するレンズ群であり、第二レンズ群全体で負の屈折力を有する限り、その具体的なレンズ構成は特に限定されるものではない。しかしながら、当該第二レンズ群は少なくとも負レンズを1枚有するものとし、正レンズを少なくとも1枚含むことが好ましい。第二レンズ群を正のレンズを少なくとも1枚含む構成とすることにより、広い波長域の光線に対して球面収差、コマ収差を適切に補正することができ、光学性能の高い変倍光学系を得ることができる。
【0028】
(3)第三レンズ群
第三レンズ群の屈折力は特に限定されるものではなく、正であっても負であってもよい。また、その具体的なレンズ構成は特に限定されるものではない。しかしながら、より小型で高い変倍比を実現するという観点から、第三レンズ群は正の屈折力を有するレンズ群であることが好ましい。また、第三レンズ群が正の屈折力を有する場合、収差補正を良好に行うという観点から、当該第三レンズ群は少なくとも1枚の負レンズを含むことが好ましい。正の屈折力を有する第三レンズ群に負レンズを少なくとも1枚配置することで、広い波長域の光線に対して収差補正を適切に行うことができる。このとき、当該負レンズは、正レンズと接合されていることがさらに好ましい。第三レンズ群に負レンズを配置する際に、当該負レンズを含む接合レンズを用いることにより、第三レンズ群をコンパクトに構成することができる。これと同時に、製造誤差に対する敏感度を低減させることができるため量産性が向上する。なお、本件発明において、接合レンズを構成する各レンズはそれぞれ1枚のレンズとして数える。
【0029】
また、本件発明に係る変倍光学系において、当該第三レンズ群は4枚以下のレンズで構成されることが好ましい。レンズ枚数が多い程、良好な収差補正を行う上で有利である。しかしながら、レンズ枚数が増加すると、当該変倍光学系をコンパクトに構成することが困難になる。当該観点から、当該第三レンズ群は上記負レンズを含む4枚のレンズで構成されることが好ましい。
【0030】
(4)第四レンズ群
本件発明において、第四レンズ群は正の屈折力を有するレンズ群であり、第四レンズ群全体で正の屈折力を有する限り、その具体的なレンズ構成は特に限定されるものではない。しかしながら、収差補正を良好に行うという観点から、当該第四レンズ群は少なくとも1枚の負レンズを含むことが好ましい。正の屈折力を有する第四レンズ群を負のレンズを少なくとも1枚含む構成とすることにより、像面湾曲、色収差補正を効果的に行うことができる。このとき、当該負レンズは正レンズと接合されていることがさらに好ましい。第三レンズ群において述べた理由と同様の理由から、当該負レンズを含む接合レンズを用いて第四レンズ群を構成することにより、第四レンズ群をコンパクトに構成することができ、量産性を向上することができる。
【0031】
このとき、当該第四レンズ群は、物体側から順に配置される正レンズ、正レンズ及び負レンズの少なくとも3枚のレンズから構成され、物体側から二番目に配置される正レンズと、この正レンズに後続する負レンズとが接合されていることが好ましい。
【0032】
(5)第五レンズ群
本件発明に係る変倍光学系は、上記第四レンズ群に後続する第五レンズ群を備えていてもよい。第五レンズ群の屈折力は正及び負のいずれであってもよい。第五レンズ群を備えることにより、高性能な変倍光学系を得ることがより容易になり、広角化、大口径化を図る上でも有利である。第五レンズ群の屈折力が正である場合、センサー入射角を小さくすることができる。例えば、第五レンズ群は、最も物体側に負レンズを備えると共に、3枚以下のレンズから構成されることが好ましい。このとき、当該負レンズと空気間隔を介して正レンズを配置することがより好ましい。第五レンズ群において、最も物体側に負レンズを配置すると共に、当該負レンズと空気間隔を介して正レンズを配置すれば、変倍比を比較的大きくすることができる。当該構成は、大口径比化を図る上でも好ましい。また、当該第五レンズ群は正の屈折力を有するレンズ群であることが好ましい。第五レンズ群が正の屈折力を有するレンズ群である場合、物体側から順に配置される、負レンズ、正レンズを備えることが、少ない構成枚数で変倍比を大きくする上で、より好ましい。
【0033】
(6)回折面
本件発明に係る変倍光学系において、該変倍光学系を構成するレンズ群のうち、少なくともいずれか一のレンズ群は回折面を含むことが好ましい。当該変倍光学系を構成するレンズ群のうち、いずれか一のレンズ群が回折面を含むことにより、広い波長域の光線に対して、より良好に色収差を補正することができ、高い光学性能を有する変倍光学系を得ることがより容易になる。
【0034】
また、回折面を用いて当該変倍光学系を構成することにより、回折面を含まない場合と比較すると、少ない枚数の光学要素(屈折レンズ/回折レンズ)で光学性能の高い当該変倍光学系を構成することが容易になり、当該変倍光学系をよりコンパクトに構成することが可能になる。また、当該変倍光学系を構成するレンズ群のうち、複数のレンズ群が回折面を含んでもよい。
【0035】
ここで、回折面は下記式で表される位相差関数により規定される回折格子構造を有するものとする。例えば、硝材製レンズ、プラスチック製レンズ等の各種光学要素の光学面に、切削法、フォトリソグラフィー法、モールド法等により、回折格子構造を形成することにより回折面を含む回折レンズを得ることができる。
【0037】
但し、上記式において、
φ(h)は位相差関数であり、mは回折次数であり、λは規格化波長である。また、C1、C2、C3、C4は回折面係数であり、hは同径方向における光軸からの長さである。
【0038】
(6)開口絞り
本件発明において開口絞りの位置は特に限定されるものではないが、当該変倍光学系の小型化及び軽量化を図る観点から、第三レンズ群の物体側に配置されることが好ましい。
【0039】
1−2.変倍時の動作
本件発明において、変倍時における各レンズ群の動作は特に限定されるものではないが、各レンズ群間の間隔を変化させるものとする。各レンズ群間の間隔を変化させることができる限り、各レンズ群は固定群又は移動群のいずれであってもよい。但し、高変倍比を達成すると共に、当該光学系をコンパクトに構成し、且つ、変倍域全域において収差補正を良好に行い高い光学性能を得るという観点から、少なくとも第二レンズ群及び第四レンズ群を移動群とすることが好ましく、第一レンズ群以外のレンズ群を全て移動群とすることが好ましい。
【0040】
負の屈折力を有する第二レンズ群は有効径が小さいため、当該第二レンズ群を移動群とすることで、変倍時における収差変動を小さく抑制することができる。また、正の屈折力を有する第四レンズ群を移動群とすることで、変倍時における瞳収差を良好に補正することができる。また、第二レンズ群及び第四レンズ群を移動群とすることにより、開口絞りの物体側と像側とにおいて、変倍時におけるレンズ位置の変化に伴って発生する軸外収差の変動を抑制することが容易になり、軸外収差を良好に補正することができる。
【0041】
このとき、広角端から望遠端への変倍時に、第三レンズ群及び第四レンズ群を物体側に移動させることが好ましい。望遠端において、第三レンズ群及び第四レンズ群を広角端よりも物体側に位置させることにより、第一レンズ群に入射する光線束の径を小さくすることができ、望遠端における像面湾曲補正に有利である。また、第三レンズ群を移動群とすることにより、変倍時の瞳収差を良好に補正することができる。
【0042】
また、本件発明に係る変倍光学系において、第一レンズ群は固定群及び移動群のいずれであってもよいが、望遠端における色収差補正をさらに良好にするという観点から、当該第一レンズ群は移動群であることが好ましい。第一レンズ群を移動群とすることにより、像面湾曲の補正を良好に行うことができる。これと同時に、望遠端において、第一レンズ群に入射する光線束の径を大きくすることが容易になり、色収差補正、軸上収差
補正を行う上で有利である。また、第二レンズ群は負の屈折力を有するため、第二レンズ群の作用により特に広角端では、第一レンズ群の入射する軸上光束と軸外光束とが離れて通過するため、画角変化に伴うコマ収差の変動を良好に補正することができる。なお、後述する条件式(4)のみを満足させる場合、第一レンズ群は移動群であることが求められる。
【0043】
また、本件発明に係る変倍光学系が第五レンズ群を備える場合、広角端から望遠端への変倍時に、第五レンズ群を移動群とすることにより、変倍時における像面湾曲、非点収差を良好に補正することができ、高変倍比を達成すると共に変倍域全域において高い結像性能を実現することが容易になる。
【0044】
本件発明に係る変倍光学系は、高変倍比、広画角であり、Fnoの小さい明るい光学系であるため、広角端から望遠端にかけてレンズ位置の変化に伴い発生する軸外収差の補正には、各レンズ群を通過する軸外光束の高さを積極的に変化させることが重要である。そのため、本変倍光学系が備える各レンズ群をそれぞれ移動群とし、各レンズ群に変倍時の移動を分担させることにより、軸外光束の高さを焦点距離に応じて変化させることができ、軸外収差を良好に補正することができる。
【0045】
1−3.合焦時の動作
次に、合焦時の動作を説明する。本件発明に係る変倍光学系において、合焦群は特に限定されるものではない。例えば、第四レンズ群を合焦群とし、無限遠物体から近距離物体への合焦時に第四レンズ群を光軸方向に移動させることが好ましい。第四レンズ群をいわゆる合焦群とすれば、無限遠物体から近距離物体への合焦時に発生する諸収差を補正し、解像度の高いより良好な光学性能を有する変倍光学系を得ることができる。さらに、第四レンズ群を合焦群とすれば、望遠端における合焦時の移動量を小さくすることができる。そのため、前群の有効径を小さく維持したまま合焦することが可能になるため、当該変倍光学系の小型化を図る上でも好ましい。
【0046】
1−4.条件式
次に、本件発明に係る変倍光学系が満足すべき条件、又は、満足することが好ましい条件について説明する。
【0047】
1−4−1.条件式(1)
本件発明に係る変倍光学系は、以下に示す条件式(1)で表される条件を満足することを特徴とする。
【0048】
0.33 < dnp/fw < 10 ・・・(1)
【0049】
但し、dnpは、第一レンズ群において最も物体側に配置される負レンズと、この負レンズに後続する正レンズとの間の光軸上の距離であり、fwは、広角端における当該光学系全系の焦点距離である。
【0050】
上記条件式(1)は、広角端における当該光学系全系の焦点距離に対する、第一レンズ群において最も物体側に配置される負レンズとこの負レンズに後続する正レンズとの間の光軸上の距離の比を規定する式である。条件式(1)を満足することにより、すなわち、第一レンズ群において最も物体側に配置される負レンズと、この負レンズに後続する正レンズとの間の空気間隔が上記範囲を満足することにより、負レンズにおいて拡散された光束を正レンズに入射させることができるため、当該変倍光学系の広角化を図る上で有利である。また、条件式(1)を満足することにより、当該負レンズと当該正レンズとの間の空気間隔が適切な範囲内となる。そのため、当該負レンズの有効径が大きくなり過ぎるのを抑制することができ、当該変倍光学系の小型化を図ることができる。また、この負レンズに後続する正レンズの有効径も小さくすることができるため、収差補正を行う上で有利になる。
【0051】
条件式(1)の数値が下限値以下である場合、第一レンズ群において最も物体側に配置される負レンズと正レンズとの間の空気間隔が小さく、当該変倍光学系の広角化を図ることが困難になる。一方、条件式(1)の数値が上限値以上である場合、当該負レンズと正レンズとの間の空気間隔が大きくなり、当該負レンズ及び、この負レンズに後続する正レンズの有効径が大きくなるため、当該変倍光学系の小型化を図ることが困難になる。
【0052】
上記効果を得る上で、当該変倍光学系は下記の条件式(1−b)を満足することが好ましい。なお、下記に示す好ましい数値範囲の下限値又は上限値により上記条件式(1)の範囲を狭めてもよい。他の条件式において示す好ましい数値範囲においても同様である。
【0053】
0.34 < dnp/fw < 4.00 ・・・(1−b)
【0054】
1−4−2.条件式(2)
上記条件式(1)を満足するとき、以下の条件式(2)で表される条件を満足すると共に、後述する条件式(3)を満足することが好ましい。
【0055】
0.30 < f1/ft < 2.40 ・・・(2)
【0056】
但し、f1は第一レンズ群の焦点距離であり、ftは望遠端における当該変倍光学系全系の焦点距離である。
【0057】
上記条件式(2)は、望遠端における当該変倍光学系全系の焦点距離に対する第一レンズ群の焦点距離の比を規定する式である。条件式(2)を満足する場合、望遠端における当該変倍光学系全系の焦点距離に対する第一レンズ群の焦点距離が適切な範囲内となり、より高い変倍比を達成することができる。これと同時に、望遠端における当該変倍光学系の焦点距離に対して、光学全長をより短くすることができる。
【0058】
条件式(2)の数値が下限値以下である場合、第一レンズ群の屈折力が強く、高い変倍比を達成する上では有利であるが、広角化を図ることが困難になる。また、第一レンズ群を変倍時に移動する移動群としたとき、第一レンズ群の移動に伴う収差変動が大きくなり、変倍域全域においてより高い光学性能を得ることが困難になる。一方、当該条件式(2)の数値が上限値以上になると、第一レンズ群の屈折力が弱く、広角化を図る上では有利であるが、高変倍比を達成することが困難になる。また、望遠端における当該変倍光学系の焦点距離に対して、光学全長が長くなり、当該変倍光学系をよりコンパクトに構成することが困難になる。
【0059】
上記効果を得る上で、当該変倍光学系は下記の条件式(2−a)を満足することがより好ましい。
【0060】
0.60 < f1/ft < 2.39 ・・・(2−a)
【0061】
1−4−3.条件式(3)
上記条件式(1)を満足するとき、上記条件式(2)と共に、下記の条件式(3)で表される条件を満足することが好ましい。
【0062】
4.90 < f1/fw < 20.00 ・・・(3)
【0063】
条件式(3)は、広角端における当該変倍光学系全系の焦点距離に対する第一レンズ群の焦点距離を規定する式である。条件式(3)を満足する場合、広角端における当該変倍光学系全系の焦点距離に対する第一レンズ群の焦点距離が適切な範囲内となり、一層の広角化を図る上で有利である。また、当該条件式(3)を満足する場合、広角端における当該変倍光学系の光学全長を短くすることができる。
【0064】
条件式(3)の数値が下限値以下である場合、第一レンズ群の屈折力が強く、高い変倍比を達成する上では有利であるが、広角化を図ることが困難になる。一方、条件式(3)の数値が上限値以上である場合、第一レンズ群の屈折力が弱く、広角化を図る上で有利であるが、高い変倍比を達成することが困難になる。また、この場合、広角端における当該変倍光学系の焦点距離に対して、光学全長が長くなり、当該変倍光学系をコンパクトに構成することが困難になる。
【0065】
上記効果を得る上で、当該変倍光学系は下記の条件式(3−a)を満足することがより好ましい。
【0066】
7.90 < f1/fw < 16.00 ・・・(3−a)
【0067】
1−4−4.条件式(1−a)及び条件式(4)
また、本件発明に係る変倍光学系は、上記条件式(1)に代えて、下記の条件式(1−a)で表される条件を満足すると共に、下記の条件式(4)で表される条件を満足させてもよい。
【0068】
0.04 < dnp/fw ・・・(1−a)
0.95 < D1G/fw < 9.00 ・・・(4)
【0069】
但し、dnp、fwは条件式(1)において述べたとおりであり、D1Gは、第一レンズ群において最も物体側に配置される負レンズの物体面と、最も像面側に配置されるレンズの像側面との間の光軸上の距離である。すなわち、D1Gは、第一レンズ群の厚みである。
【0070】
条件式(1−a)は、上述した条件式(1)と同様である。条件式(1−a)を満足することにより、第一レンズ群において最も物体側に配置される負レンズと、この負レンズに後続する正レンズとの間に適切な空気間隔を設けることができ、当該変倍光学系の広角化を図る上で有利である。
【0071】
条件式(4)は、広角端における当該変倍光学系全系の焦点距離に対する第一レンズ群の厚みの比を規定する式である。上記条件式(1−a)と共に当該条件式(4)を満足することにより、広角端における焦点距離に対する第一レンズ群の厚みを適切な範囲にすることができ、より収差の少ない変倍光学系を得ることができる。また、第一レンズ群における上記負レンズと上記正レンズとの間の空気間隔がより適切な範囲となるため、条件式(1)の場合と同様に、当該変倍光学系の広角化を図ると共に、当該光学系の小型化を図ることができる。
【0072】
ここで、条件式(1−a)の数値が下限値以下である場合、上記負レンズと上記正レンズとの間の空気間隔が小さくなり過ぎ、当該変倍光学系の広角化を図ることが困難になる。
【0073】
また、条件式(4)の数値が下限値以下である場合、第一レンズ群に配置されるレンズの厚み、或いはレンズ群間の空気間隔が小さく、当該変倍光学系の広角化を図ることが困難になる。一方、条件式(4)の数値が上限値以上である場合、第一レンズ群の厚みが大きくなりすぎ、当該変倍光学系の小型化を図ることが困難になる。
【0074】
上記効果を得る上で、当該変倍光学系は、上述した条件式(1)を満足することが好ましく、条件式(4)を満足することがより好ましい。
【0075】
この場合、条件式(1−a)、条件式(1−b)、及び以下の条件式(4−a)を満足することがさらに好ましい。
【0076】
1.2 < D1G/fw < 7.0 ・・・(4−a)
【0077】
ここで、変倍時に第一レンズ群を移動群とする場合、条件式(1)に代えて、条件式(4)を満足させてもよい。
【0078】
負の屈折力を有する第一レンズ群を移動群とする場合に、条件式(4)を満足させれば、当該第一レンズ群に対する周辺光束の主光線が、広角端から望遠端にかけて、その入射位置及び入射角度と、その射出位置及び射出角度とが大きく変化するため、焦点距離に応じた収差補正を良好に行うことができる。広角端から望遠端にかけて変倍する際に、第一レンズ群を像面側に移動させることが好ましい。広角端よりも望遠端において、第一レンズ群がより物体側に位置することにより、条件式(4)を満足する場合の効果をより良好に得ることができる。なお、この場合、条件式(1−a)、好ましくは条件式(1)を満足させてもよいことは勿論であり、条件式(4−a)を満足させることがより好ましい。
【0079】
1−4−5.条件式(5)
本件発明に係る変倍光学系が上記条件式(1−a)と共に、条件式(4)を満足する場合、以下の条件式(5)で表される条件を満足することが好ましい。
【0080】
0.88 < |ΔD12g|/fw < 30.0 ・・・(5)
【0081】
但し、ΔD12gは、広角端における第一レンズ群と第二レンズ群との間の光軸上の距離と、望遠端における第一レンズ群と第二レンズ群との間の光軸上の距離との差である。すなわち、ΔD12gは、広角端から望遠端への変倍時における第一レンズ群と第二レンズ群との間の距離の変動量である。
【0082】
条件式(5)は、広角端における当該変倍光学系全系の焦点距離に対する、広角端から望遠端への変倍時における第一レンズ群と第二レンズ群との間の距離の変動量の比を規定する式である。条件式(5)を満足する場合、変倍時における第一レンズ群と第二のレンズ群との間の距離の変動量が適切な範囲内となり、より高い変倍比を達成したときも当該変倍光学系をコンパクトに構成することが容易になる。
【0083】
条件式(5)の数値が下限値以下である場合、変倍時における上記第一レンズ群と第二レンズ群との間の距離の変動量が小さく、高い変倍比を達成することが困難になる。一方、条件式(5)の数値が上限値以上である場合、変倍時における上記第一レンズ群と第二レンズ群との間の距離の変動量が大きく、当該変倍光学系をコンパクトに構成することが困難になる。
【0084】
上記効果を得る上で、当該変倍光学系は以下の条件式(5−a)を満足することがより好ましい。
【0085】
2.00 < |ΔD12g|/fw < 25.0 ・・・(5−a)
【0086】
1−4−6.条件式(6)
本件発明に係る変倍光学系が上記条件式(1−a)と共に条件式(4)を満足する場合、以下の条件式(6)で表される条件を満足することが好ましい。
【0087】
8.9 < ΔD2g ・・・(6)
但し、ΔD2gは上述したとおりである。
【0088】
条件式(6)は、広角端から望遠端への変倍時における第二レンズ群の移動量を規定する式である。条件式(6)を満足する場合、より高い変倍比を達成することが容易になる。条件式(6)の数値が下限値以下である場合、変倍時における第二レンズ群の移動量が小さく、より高い変倍比を達成することが困難になる。
【0089】
上記効果を得る上で、当該変倍光学系は下記の条件式(6−a)を満足することがより好ましい。
【0090】
9.5 < ΔD2g ・・・(6−a)
【0091】
1−4−7.条件式(7)
本件発明に係る変倍光学系において、上記条件式(1)を満足するとき、広角端から望遠端への変倍時に第二レンズ群が移動し、且つ、下記の条件式(7)で表される条件を満足することが好ましい。
【0092】
1.0 < ΔD2g/fw < 50.0 ・・・(7)
但し、ΔD2gは、広角端から望遠端への変倍時における第二レンズ群の移動量である。
【0093】
条件式(7)は、広角端における当該変倍光学系全系の焦点距離に対する、広角端から望遠端への変倍時における第二レンズ群の移動量を規定する式である。条件式(7)を満足する場合、より高い変倍比を達成することが容易になる。これと同時に、変倍時における第二レンズ群の移動量が適切な範囲になるため、当該変倍光学系をよりコンパクトに構成することが容易になる。
【0094】
条件式(7)の数値が下限値以下である場合、変倍時における第二レンズ群の移動量が小さく、当該変倍光学系においてより高い変倍比を達成することが困難になる。また、条件式(7)の数値が上限値以上になると、変倍時における第二レンズ群の移動量が大きく、当該変倍光学系をよりコンパクトに構成することが困難になる。
【0095】
上記効果を得る上で、当該変倍光学系は下記の条件式(7−a)を満足することがより好ましい。
【0096】
1.2 < ΔD2g/fw < 10.0 ・・・(7−a)
【0097】
1−4−8.条件式(8)
本件発明に係る変倍光学系は、以下の条件式(8)で表される条件を満足することが好ましい。
【0098】
0 < vp2−vn1 < 24 ・・・(8)
【0099】
但し、vn1は、第一レンズ群に配置される負レンズのd線に対するアッベ数であり、vp2は、第一レンズ群に配置される正レンズのうち、物体側から数えて二番目に配置される正レンズのd線に対するアッベ数である。すなわち、第一レンズ群が物体側から順に負レンズ、第一正レンズ、第二正レンズを備える場合、vp2は第二正レンズのd線に対するアッベ数を意味する。
【0100】
条件式(8)は、第一レンズ群に配置される負レンズに配置されるd線に対するアッベ数と、上記第二正レンズのd線に対するアッベ数の差を規定する式である。条件式(8)を満足する場合、変倍域全域において色収差補正をより良好に行うことができ、変倍域全域においてより高い光学性能を有する変倍光学系を得ることが容易になる。
【0101】
条件式(8)の数値が下限値以下である場合、中間焦点距離から望遠端における色収差補正を良好に行うことが困難になる。また、軸上周辺の解像度が不足する場合がある。一方、条件式(8)の数値が上限値以上である場合、広角端から中間焦点距離における色収差補正が過剰になり易く、適切な色収差補正を行うことが困難になる。
【0102】
上記効果を得る上で、当該変倍光学系は下記の条件式(8−a)を満足することがより好ましい。
【0103】
7 < vp2−vn1 < 23 ・・・(8−a)
【0104】
1−4−9.条件式(9)
本件発明に係る変倍光学系において、以下の条件式(9)で表される条件を満足することが好ましい。
【0105】
80 < FOVwide ・・・(9)
【0106】
但し、FOVwideは、広角端における当該変倍光学系の画角である。
【0107】
条件式(9)は、広角端における当該変倍光学系の画角(全画角)を規定する式である。本件発明に係る変倍光学系は、条件式(9)を満足する広角撮像が可能な光学系に好適であり、下記条件式(9−a)を満足する光学系により好適である。
【0108】
90 < FOVwide < 120 ・・・(9−a)
【0109】
1−4−10.条件式(10)
本件発明に係る変倍光学系において、以下の条件式(10)で表される条件を満足することが好ましい。
【0110】
4 < ft/fw < 18 ・・・(10)
【0111】
条件式(10)は変倍比を規定する式である。本件発明に係る変倍光学系は、記条件式(10)を満足する高い変倍比を有する光学系に好適であり、下記の条件式(10−a)を満足する光学系により好適である。
【0112】
7 < ft/fw < 13 ・・・(10−a)
【0113】
1−4−11.条件式(11)
本件発明に係る変倍光学系において、以下の条件式(11)で表される条件を満足することが好ましい。
【0114】
80 < vp1 < 100 ・・・(11)
【0115】
但し、vp1は、第一レンズ群に配置される正レンズのうち、最も物体側に配置される正レンズ、すなわち第一正レンズのd線に対するアッベ数である。
【0116】
条件式(11)は、第一レンズ群に配置される正レンズのうち、最も物体側に配置される正レンズのd線に対するアッベ数を規定する式である。条件式(11)を満足する場合、変倍域全域において色収差補正を良好に行うことができ、より高い光学性能を有する変倍光学系を得ることが容易になる。また、広い波長域の光線を用いる場合も、異常分散性を過剰に利用して色収差補正を行う必要がなくなる。
【0117】
条件式(11)の数値が下限値以下である場合、中間焦点距離から望遠端における色収差補正を良好に行うことが困難になる。また、軸上周辺の解像度が不足する場合がある。一方、条件式(8)の数値が上限値以上である場合、広角端から中間焦点距離における色収差補正が過剰になり易く、適切な色収差補正を行うことが困難になる。また、この場合、異常分散性を過剰に利用しなければ、広い波長域の光線に対して良好に色収差補正を行うことが困難になる。
【0118】
1−4−12.条件式(12)
本件発明に係る変倍光学系において、第三レンズ群は少なくとも1枚の正レンズ及び負レンズを含み、以下の条件式(12)で表される条件を満足することが好ましい。
【0119】
−200 < f3n/f3 × v3n <−30 ・・・(12)
【0120】
但し、
f3nは、前記第三レンズ群に含まれるいずれか一の所定の負レンズの焦点距離であり、
v3nは、前記第三レンズ群に含まれるいずれか一の所定の負レンズのd線に対するアッベ数であり、
f3は、前記第三レンズ群の焦点距離である。
【0121】
条件式(12)は、第三レンズ群が少なくとも1枚の正レンズ及び負レンズを含むとき、第三レンズ群に含まれるいずれか一の所定の負レンズの屈折力と、そのアッベ数とを規定する式である。条件式(12)を満足するような負レンズと、正レンズとを用いて第三レンズ群を構成することにより、変倍域全域において色収差を良好に補正することができ、解像度の高いより良好な光学性能を有する変倍光学系を得ることができる。この場合、第三レンズ群は、最も物体側に正レンズを備えると共に、最も像面側に正レンズを備え、これらの正レンズの内側に、上記条件式(12)を満足する負レンズを一枚備えることがより好ましい。
【0122】
1−4−13.条件式(13)
本件発明に係る変倍光学系が第四レンズ群に後続する第五レンズ群を備え、当該第五レンズ群が、最も物体側に負レンズを備えると共に、3枚以下のレンズから構成されるとき、以下の条件式(13)で表される条件を満足することが好ましい。
【0123】
0.35 < D5G/fw < 1.8 ・・・(13)
【0124】
但し、D5Gは、第五レンズ群において最も物体側に配置されるレンズの物体面と、最も像面側に配置されるレンズの像側面との間の光軸上の距離である。すなわち、D5Gは、第五レンズ群の厚みである。
【0125】
条件式(13)は、広角端における当該変倍光学系全系の焦点距離に対する第五レンズ群の厚みの比を規定する式である。条件式(13)を満足することにより、変倍時における収差変動を小さくすることができ、変倍域全域においてより高い光学性能を有する変倍光学系を得ることがより容易になる。これと同時に、適切なバックフォーカスを保つことができ、収差補正にも有利である。
【0126】
1−4−14.条件式(14)
本件発明に係る変倍光学系において、以下の条件式(14)で表される条件を満足することが好ましい。
【0127】
0.35 < n1−n2 < 0.5 ・・・(14)
【0128】
但し、n1は、第一レンズ群において最も物体側に配置される負レンズのd線に対する屈折率であり、n2は、第一レンズ群において最も物体側に配置される負レンズに後続する正レンズのd線に対する屈折率である。
【0129】
条件式(14)は、第一レンズ群において、物体側から順に配置される負レンズと、正レンズのd線に対する屈折率の差を規定する式である。条件式(14)を満足することにより、広角端における像面補正を良好に行うことができ、より高い光学性能有する変倍光学系を得ることがより容易になる。また、広い波長域の光線を用いる場合も、異常分散性を過剰に利用して色収差補正を行う必要がなくなる。
【0130】
1−4−15.条件式(15)及び条件式(16)
本件発明に係る変倍光学系を構成するレンズ群のうち、少なくともいずれか一のレンズ群が回折面を含むとき、以下の条件式(15)及び条件式(16)で表される条件を満足することが好ましい。
【0131】
|WΔ(d−S)| ≦ 0.1 ・・・(15)
|TΔ(d−S)| ≦ 0.1 ・・・(16)
【0132】
但し、WΔ(d−S)は、広角端におけるd線に対するS線の近軸結像位置であり、TΔ(d−S)は、望遠端におけるd線に対するS線の近軸結像位置である。
【0133】
本件発明に係る変倍光学系を構成する少なくともいずれか一のレンズ群が回折面を含むとき、上記条件式(15)及び条件式(16)を満足させることにより、軸上色収差をより良好に補正することができ、変倍域全域においてより高い光学性能の変倍光学系を得ることが容易になる。
【0134】
また、当該変倍光学系が条件式(15)及び条件式(16)を満足する場合、可視光波長域の光線であるd線の近軸結像位置と、近波長域の光線であるS線の近軸結像位置との差(ピントズレ)が0.1mm以下と微小である。このため、当該変倍光学系において用いる光線の波長が可視光波長域と、近赤外波長域との間で変化した場合も、合焦位置が変化せず、諸収差の変動を抑制することができる。従って、当該変倍光学系が可視光波長域から近赤外波長域までの広い波長域の光線を使用する場合であっても、いずれの波長域においても鮮明な輪郭の被写体像を得ることができる。
【0135】
さらに、当該変倍光学系を回折面を含む構成とすることにより、当該変倍光学系全体の温度特性を改善することもできる。すなわち、回折面を用いて色収差補正を行うことにより、上述のとおり、少ない枚数の光学要素で当該変倍光学系を構成することができる。従って、色収差補正を行う上では良好であるが、温度特性の悪い硝材からなる光学要素の枚数を減らすことができる。そのため、当該変倍光学系全体において温度変化に伴う近軸結像位置の変動、すなわちピントズレを抑えることができる。例えば、監視用撮像装置等の屋外で使用される据付固定型の撮像装置は、昼夜の温度変化、或いは季節変化に伴う温度変化に晒される。従って、このような温度変化に晒される変倍光学系においては、回折面を含むと共に、上記条件式(15)及び条件式(16)を満足させることがより好ましい。
【0136】
1−4−16.軸上色収差
本件発明に係る変倍光学系において、850nmから650nmの範囲内の光線に対する広角端及び望遠端における軸上色収差の差が60μm以内であることが好ましい。この場合、可視光波長域の光線についてのピント位置と、近赤外波長域の光線についてのピント位置とのズレが極めて小さく、当該変倍光学系の使用波長域が可視光波長域から近赤外波長域に及ぶ場合であっても、使用する波長域の変化に応じてピント位置を調整する必要がなく、可視光波長域の光線に対する像面位置において、近赤外波長域の光線を結像させた場合も精細でシャープな画像を得ることができる。
【0137】
2.撮像装置
次に、本件発明に係る撮像装置について説明する。本件発明に係る撮像装置は、上記本件発明に係る変倍光学系と、当該変倍光学系の像側に設けられ、当該変倍光学系によって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする。ここで、撮像素子等に特に限定はなく、CCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子等を用いることができる。当該固体撮像素子の画素数等に限定はないが、本件発明に係る変倍光学系は高い光学性能を有し、解像力が高いため高画素数の固体撮像素子を用いた撮像装置に好適であり、200万画素以上、500万画素以上等の高画素数の固体撮像素子を用いた撮像装置に好適である。
【0138】
また、当該撮像装置は、レンズが筐体に固定されたレンズ固定式の撮像装置であってもよいし、一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラ等のレンズ交換式の撮像装置であってもよいのは勿論である。さらに、上記変倍光学系は、小型、軽量であり、簡易な構成とすることができる。さらに、上記変倍光学系は、結像性能が高く、可視光波長域から近赤外波長域まで、変倍域全域において広い波長域の光線を良好に補正することができる。これらのことから、当該撮像装置は、可視光波長域の光線だけではなく近赤外波長域の光線を用いて撮像を行う監視用撮像装置等の広い波長範囲の光線を用いて撮像を行う据付固定型の小型の撮像装置に好適である。
【0139】
次に、実施例を示して本件発明を具体的に説明する。但し、本件発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下に挙げる各実施例の変倍光学系は、デジタルカメラ、ビデオカメラ、銀塩フィルムカメラ等の撮像装置(光学装置)に用いられる撮像光学系である。また、各レンズ断面図において、図面に向かって左方が物体側、右方が像側である。
【実施例1】
【0140】
(1)変倍光学系の構成
図1は、本件発明に係る実施例1の変倍光学系の広角端及び望遠端における無限遠合焦時のレンズ構成を示すレンズ断面図である。当該変倍光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第一レンズ群G1と、負の屈折力を有する第二レンズ群G2と、正の屈折力を有する第三レンズ群G3と、正の屈折力を有する第四レンズ群G4と、正の屈折力を有する第五レンズ群G5とから構成されている。第三レンズ群G3の物体側には開口絞りSが配置されている。
【0141】
第一レンズ群G1は、物体側から順に配置される、負レンズと、正レンズ(第一正レンズ)と、正レンズ(第二正レンズ)とから構成される。
第二レンズ群G2は、物体側から順に配置される、負レンズと、負レンズと、正レンズ及び負レンズを接合した接合レンズとから構成される。
第三レンズ群G3は、物体側から順に配置される、正レンズと、正レンズ及び負レンズを接合した接合レンズと、正レンズとから構成される。この第三レンズ群において、最も物体側に配置される正レンズの物体側面及び像側面はいずれも非球面である。
【0142】
第四レンズ群G4は、物体側から順に配置される、正レンズと、正レンズ及び負レンズを接合した接合レンズとから構成される。この第四レンズ群において、最も物体側に配置される正レンズの物体側面及び像側面はいずれも非球面である。
第五レンズ群G5は、物体側から順に配置される、負レンズと、正レンズとから構成される。第五レンズ群において最も像側に配置される正レンズの物体側及び像側面はいずれも非球面である。
【0143】
当該実施例1の変倍光学系において、広角端から望遠端への変倍に際し、第一レンズ群〜第五レンズ群を移動させて、各レンズ群間の間隔を変化させることにより変倍する。ここで、第二レンズ群を光軸方向において物体側に移動させることで主たる変倍作用を得ると共に、第一レンズ群、第三レンズ群及び第四レンズ群を光軸方向に移動させることで像面一の補正を行う。
【0144】
また、当該実施例1の変倍光学系では、無限遠物体から近距離物体への合焦の際、第四レンズ群G4を光軸方向に沿って物体側に移動させる。当該実施例1の変倍光学系において、合焦時に第四レンズ群G4に代えて、第一レンズ群G1を光軸方向に沿って物体側に移動させてもよい。
【0145】
なお、
図1において、第三レンズ群G3の物体側に示す「S」は開口絞りである。また、第三レンズ群G3の像側に示す「CG」はローパスフィルターやカバーガラス等を示す。また、「CG」の像側に示す「IMG」は像面であり、具体的にはCCDやCMOSセンサーなどの固体撮像装置の撮像面、あるいは銀塩フィルムのフィルム面等を示す。これらの符号等は以下の実施例で示す各レンズ断面図においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0146】
(2)数値実施例
次に、当該変倍光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表1に当該実施例の各種データを示す。表1(1−1)において、「No.」は物体側から数えたレンズ面の順番(面番号)、「r」はレンズ面の曲率半径、「d」はレンズ面の光軸上の間隔、「nd」はd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、「ABV」はd線に対するアッベ数を示している。また、レンズ面が非球面である場合、面番号の後に「ASPH]を表示している。表1(1−2)は、表(1−1)に示した非球面に関する非球面データである。非球面の形状は、光軸方向をX、光軸に垂直な方向の高さをH、レンズ面頂を原点としたときの高さHにおける光軸方向の変位量をX(H)、近軸曲率半径をR、円錐係数をk、2次、4次、6次、8次、10次の非球面係数をそれぞれA、B、C、D、Eとするとき、光の進行方向を正として、以下に示す式(X(H))で表される。表3には、下記式で非球面形状を表したときの各次数における非球面係数(A、B、C、D、E)を示している。但し、表(1−2)において、[E−a]は「×10
−a」を示す。表1(1−3)には、各焦点距離におけるFナンバー(Fno)、半画角(ω)、表(1−1)に示す可変間隔を示す。また、表14に条件式(1)〜条件式(16)の数値を示す。さらに、表14に各レンズ群の焦点距離を示す。なお、各表中の長さの単位はすべて「mm」であり、画角の単位はすべて「°」である。これらの表に関する事項は各実施例で示す各表においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0147】
【数2】
【0148】
【表1】
【0149】
また、
図2〜
図4に、当該変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端における無限遠合焦時の縦収差図をそれぞれ示す。縦収差図は、図面に向かって左から順に、球面収差、非点収差、歪曲収差を表している。球面収差を表す図では、縦軸は開放F値との割合、横軸にデフォーカスをとり、二点鎖線がIR(波長λ=850.0000nm)、短波線がC線(波長λ=656.2800nm)、実線がd線(波長λ=587.0700nm)、一点鎖線がg線(波長λ=435.8400nm)における球面収差を表す。非点収差を表す図では、縦軸は像高、横軸にデフォーカスをとり、実線がサジタル面(S)、破線がメリジオナル面(M)での非点収差を表す。歪曲収差を表す図では、縦軸は像高、横軸に%をとり、歪曲収差を表す。これらの縦収差図に関する事項は以下の実施例で示す各縦収差図においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【実施例2】
【0150】
(1)変倍光学系の構成
図5は、本件発明に係る実施例2の変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端における無限遠合焦時のレンズ構成を示すレンズ断面図である。実施例2の変倍光学系は実施例1の変倍光学系と略同様の構成を有し、具体的には
図5に示すとおりである。また、変倍時及び合焦時の動作は実施例1と略同様である。
【0151】
(2)数値実施例
次に、当該変倍光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表2は、当該変倍光学系の各種データである。また、
図6〜
図8に、当該変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端における無限遠合焦時の縦収差図をそれぞれ示す。また、条件式(1)〜条件式(16)の数値を表14に示す。さらに、表14に各レンズ群の焦点距離を示す。
【0152】
【表2】
【実施例3】
【0153】
(1)変倍光学系の構成
図9は、本件発明に係る実施例3の変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端における無限遠合焦時のレンズ構成を示すレンズ断面図である。実施例3の変倍光学系は実施例1の変倍光学系と略同様の構成を有し、具体的には
図9に示すとおりである。また、変倍時及び合焦時の動作は実施例1と略同様である。
【0154】
(2)数値実施例
次に、当該変倍光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表3は、当該変倍光学系の各種データである。また、
図10〜
図12に、当該変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端における無限遠合焦時の縦収差図をそれぞれ示す。また、条件式(1)〜条件式(16)の数値を表14に示す。さらに、表14に各レンズ群の焦点距離を示す。
【0155】
【表3】
【実施例4】
【0156】
(1)変倍光学系の構成
図13は、本件発明に係る実施例4の変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端における無限遠合焦時のレンズ構成を示すレンズ断面図である。実施例4の変倍光学系は実施例1の変倍光学系と略同様の構成を有し、具体的には
図13に示すとおりである。また、変倍時及び合焦時の動作は実施例1と略同様である。
【0157】
(2)数値実施例
次に、当該変倍光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表4は、当該変倍光学系の各種データである。また、
図14〜
図16に、当該変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端における無限遠合焦時の縦収差図をそれぞれ示す。また、条件式(1)〜条件式(16)の数値を表14に示す。さらに、表14に各レンズ群の焦点距離を示す。
【0158】
【表4】
【実施例5】
【0159】
(1)変倍光学系の構成
図17は、本件発明に係る実施例5の変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端における無限遠合焦時のレンズ構成を示すレンズ断面図である。実施例5の変倍光学系は実施例1の変倍光学系と略同様の構成を有し、具体的には
図17に示すとおりである。また、変倍時及び合焦時の動作は実施例1と略同様である。
【0160】
(2)数値実施例
次に、当該変倍光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表5は、当該変倍光学系の各種データである。また、
図18〜
図20に、当該変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端における無限遠合焦時の縦収差図をそれぞれ示す。また、条件式(1)〜条件式(16)の数値を表14に示す。さらに、表14に各レンズ群の焦点距離を示す。
【0161】
【表5】
【実施例6】
【0162】
(1)変倍光学系の構成
図21は、本件発明に係る実施例6の変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端における無限遠合焦時のレンズ構成を示すレンズ断面図である。実施例6の変倍光学系は実施例1の変倍光学系と略同様の構成を有し、具体的には
図21に示すとおりである。また、変倍時及び合焦時の動作は実施例1と略同様である。
【0163】
(2)数値実施例
次に、当該変倍光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表6は、当該変倍光学系の各種データである。また、
図22〜
図24に、当該変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端における無限遠合焦時の縦収差図をそれぞれ示す。また、条件式(1)〜条件式(16)の数値を表14に示す。さらに、表14に各レンズ群の焦点距離を示す。
【0164】
【表6】
【実施例7】
【0165】
(1)変倍光学系の構成
図25は、本件発明に係る実施例7の変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端における無限遠合焦時のレンズ構成を示すレンズ断面図である。実施例7の変倍光学系は、第五レンズ群は負の屈折力を有する以外は、実施例1の変倍光学系と略同様の構成を有する。具体的な構成は
図25に示すとおりである。また、変倍時及び合焦時の動作は実施例1と略同様である。
【0166】
(2)数値実施例
次に、当該変倍光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表7は、当該変倍光学系の各種データである。また、
図26〜
図28に、当該変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端における無限遠合焦時の縦収差図をそれぞれ示す。また、条件式(1)〜条件式(16)の数値を表14に示す。さらに、表14に各レンズ群の焦点距離を示す。
【0167】
【表7】
【実施例8】
【0168】
(1)変倍光学系の構成
図29は、本件発明に係る実施例8の変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端における無限遠合焦時のレンズ構成を示すレンズ断面図である。
【0169】
実施例8の変倍光学系は正の屈折力を有する第一レンズ群G1と、負の屈折力を有する第二レンズ群G2と、正の屈折力を有する第三レンズ群G3と、正の屈折力を有する第四レンズ群とから構成される。
【0170】
第一レンズ群G1は、物体側から順に配置される、負レンズと、正レンズ(第一正レンズ)と、正レンズ(第二正レンズ)とから構成される。
第二レンズ群G2は、物体側から順に配置される、負レンズと、負レンズと、正レンズ及び負レンズを接合した接合レンズとから構成される。
第三レンズ群G3は、物体側から順に配置される、正レンズと、正レンズ、負レンズ及び正レンズの3枚のレンズを接合した接合レンズと、正レンズと、正レンズ及び負レンズを接合した接合レンズとから構成される。この第三レンズ群において、最も物体側に配置される正レンズの物体側面及び像側面はいずれも非球面である。
【0171】
第四レンズ群G4は、物体側から順に配置される、負レンズと、正レンズとから構成される。第四レンズ群において最も像側に配置される正レンズの物体側及び像側面はいずれも非球面である。
【0172】
当該実施例8の変倍光学系において、広角端から望遠端への変倍に際し、第一レンズ群〜第四レンズ群を移動させて、各レンズ群間の間隔を変化させることにより変倍する。ここで、第二レンズ群を光軸方向において物体側に移動させることで主たる変倍作用を得ると共に、第一レンズ群、第三レンズ群及び第四レンズ群を光軸方向に移動させることで像面一の補正を行う。
【0173】
(2)数値実施例
次に、当該変倍光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表8は、当該変倍光学系の各種データである。また、
図30〜
図32に、当該変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端における無限遠合焦時の縦収差図をそれぞれ示す。また、条件式(1)〜条件式(16)の数値を表15に示す。さらに、表15に各レンズ群の焦点距離を示す。
【0174】
【表8】
【実施例9】
【0175】
(1)変倍光学系の構成
図33は、本件発明に係る実施例9の変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端における無限遠合焦時のレンズ構成を示すレンズ断面図である。実施例9の変倍光学系は、実施例8の変倍光学系と略同様の構成を有し、具体的には
図33に示すとおりである。また、変倍時及び合焦時の動作も実施例8と略同様である。
【0176】
(2)数値実施例
次に、当該変倍光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表9は、当該変倍光学系の各種データである。また、
図34〜
図36に、当該変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端における無限遠合焦時の縦収差図をそれぞれ示す。また、条件式(1)〜条件式(16)の数値を表15に示す。さらに、表15に各レンズ群の焦点距離を示す。
【0177】
【表9】
【実施例10】
【0178】
(1)変倍光学系の構成
図37は、本件発明に係る実施例10の変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端における無限遠合焦時のレンズ構成を示すレンズ断面図である。実施例10の変倍光学系は、実施例8の変倍光学系と略同様の構成を有し、具体的には
図37に示すとおりである。また、変倍時及び合焦時の動作も実施例8と略同様である。
【0179】
(2)数値実施例
次に、当該変倍光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表10は、当該変倍光学系の各種データである。また、
図37〜
図40に、当該変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端における無限遠合焦時の縦収差図をそれぞれ示す。また、条件式(1)〜条件式(16)の数値を表15に示す。さらに、表15に各レンズ群の焦点距離を示す。
【0180】
【表10】
【実施例11】
【0181】
(1)変倍光学系の構成
図41は、本件発明に係る実施例11の変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端における無限遠合焦時のレンズ構成を示すレンズ断面図である。実施例11の変倍光学系は、実施例8の変倍光学系と略同様の構成を有し、具体的には
図41に示すとおりである。また、変倍時及び合焦時の動作も実施例8と略同様である。
【0182】
(2)数値実施例
次に、当該変倍光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表11は、当該変倍光学系の各種データである。また、
図42〜
図44に、当該変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端における無限遠合焦時の縦収差図をそれぞれ示す。また、条件式(1)〜条件式(16)の数値を表15に示す。さらに、表15に各レンズ群の焦点距離を示す。
【0183】
【表11】
【実施例12】
【0184】
(1)変倍光学系の構成
図45は、本件発明に係る実施例12の変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端における無限遠合焦時のレンズ構成を示すレンズ断面図である。実施例12の変倍光学系は、実施例8の変倍光学系と略同様の構成を有し、具体的には
図45に示すとおりである。また、変倍時及び合焦時の動作も実施例8と略同様である。
【0185】
(2)数値実施例
次に、当該変倍光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表12は、当該変倍光学系の各種データである。また、
図46〜
図48に、当該変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端における無限遠合焦時の縦収差図をそれぞれ示す。また、条件式(1)〜条件式(16)の数値を表15に示す。さらに、表15に各レンズ群の焦点距離を示す。
【0186】
【表12】
【実施例13】
【0187】
(1)変倍光学系の構成
図49は、本件発明に係る実施例13の変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端における無限遠合焦時のレンズ構成を示すレンズ断面図である。実施例13の変倍光学系は、実施例1の変倍光学系と略同様の構成を有し、具体的には
図49に示すとおりである。また、変倍時及び合焦時の動作も実施例1と略同様である。当該変倍光学系を構成する第一レンズ群〜第五レンズ群のうち、第四レンズ群において最も物体側に配置されるレンズの像側面は回折面である。
【0188】
(2)数値実施例
次に、当該変倍光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表13は、当該変倍光学系の各種データである。なお、表13−4は、回折面データである。当該変倍光学系に含まれる回折面について、その面番号(No)、有効径(mm)、回折次数(m)、規格化波長(λ)、回折面係数(C01、C02、C03、C04)を示す。また、
図50〜
図52に、当該変倍光学系の広角端、中間焦点距離及び望遠端における無限遠合焦時の縦収差図をそれぞれ示す。また、条件式(1)〜条件式(16)の数値を表15に示す。さらに、表15に各レンズ群の焦点距離を示す。
【0189】
【表13】
【0190】
【表14】
【0191】
【表15】