特許第6812102号(P6812102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6812102
(24)【登録日】2020年12月18日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】粉末青汁飲料
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20201228BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20201228BHJP
   A23L 2/38 20210101ALI20201228BHJP
【FI】
   A23L33/10
   A23L33/105
   A23L2/38 C
   A23L2/38 J
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-253124(P2015-253124)
(22)【出願日】2015年12月25日
(65)【公開番号】特開2017-112935(P2017-112935A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 敬
(72)【発明者】
【氏名】森川 琢海
(72)【発明者】
【氏名】友澤 寛
(72)【発明者】
【氏名】鍔田 仁人
(72)【発明者】
【氏名】山口 和也
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
【審査官】 市島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−237291(JP,A)
【文献】 特開2013−013392(JP,A)
【文献】 特開2013−147456(JP,A)
【文献】 特開2003−144093(JP,A)
【文献】 特開2003−000194(JP,A)
【文献】 特開2002−275076(JP,A)
【文献】 特開平06−199690(JP,A)
【文献】 家政学雑誌,1978年,Vol.29, No.1,pp.52-54
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00−2/84
A23L 5/40−5/49;31/00−33/29
CAplus/FSTA/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大麦若葉末を含み、さらに、煎茶微粉砕末、未熟みかん末、モロヘイヤ末、タマネギ外皮エキス末、きな粉、秋ウコン末、ケール末、ボタンボウフウ末、及びターミナリアベリリカ抽出粉末を含む粉末青汁飲料であって、
(A)クルクミン0.003〜0.008重量%、
(B)エピガロカテキンガレート1.5〜2.5重量%、
(C)ヘスペリジン0.15〜0.4重量%、
(D)ケルセチン0.005〜0.02重量%、
(E)イソフラボン0.015〜0.05重量%、
(F)フェルラ酸又はその誘導体0.1〜0.3重量%、
(G)クロロゲン酸0.015〜0.05重量%、
(H)没食子酸0.5〜1.5重量%、及び
(I)ルチン0.02〜0.05重量%
を含有し、総ポリフェノール量が7〜10重量%であることを特徴とする粉末青汁飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末青汁飲料に係り、詳しくは、特定のポリフェノールを含有する粉末青汁飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、野菜不足を手軽に解消するための食品として、大麦若葉、ケール、モロヘイヤ等の植物素材を利用した、いわゆる青汁飲料が用いられている。近年では、この青汁飲料の機能性向上に関する研究が行われており、例えば、大麦若葉とグルコサミンを含有する、炎症を効果的に抑えることができる組成物等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−55712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、脳機能改善効果、抗酸化効果、血糖値上昇抑制効果を有する粉末青汁飲料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、健康志向の高まりから需要が拡大している粉末青汁飲料の機能向上について鋭意調査・研究した結果、特定のポリフェノールを配合した青汁飲料が、非常に高い脳機能改善効果、抗酸化効果、血糖値上昇抑制効果を奏することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(A)クルクミン、
(B)エピガロカテキンガレート、
(C)ヘスペリジン、
(D)ケルセチン、
(E)イソフラボン、
(F)フェルラ酸又はその誘導体、
(G)クロロゲン酸、
(H)没食子酸、及び
(I)ルチン
を含有する粉末青汁飲料に関する。
【0007】
本発明の粉末青汁飲料における各ポリフェノール成分の配合量としては、
(A)クルクミン0.001〜0.01重量%、
(B)エピガロカテキンガレート1〜3重量%、
(C)ヘスペリジン0.1〜0.5重量%、
(D)ケルセチン0.001〜0.05重量%、
(E)イソフラボン0.01〜0.1重量%、
(F)フェルラ酸又はその誘導体0.05〜0.5重量%、
(G)クロロゲン酸0.01〜0.1重量%、
(H)没食子酸0.1〜2重量%、
(I)ルチン0.01〜0.1重量%
であることが好ましい。
【0008】
また、本発明の粉末青汁飲料は、脳機能改善、抗酸化、及び血糖値上昇抑制から選ばれる少なくとも1つの用途に用いられることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の粉末青汁飲料によれば、高い脳機能改善効果、抗酸化効果、血糖値上昇抑制効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の粉末青汁飲料を適用したICRマウスから採取した脳(大脳及び海馬)についてのGSH(還元型グルタチオン)値の測定結果を示す図である。
図2】本発明の粉末青汁飲料を適用したICRマウスから採取した血液についてのGSH(還元型グルタチオン)濃度の測定結果を示す図である。
図3】本発明の粉末青汁飲料を適用したICRマウスから採取した脳(大脳及び海馬)についてのMDA(マロンジアルデヒド)濃度の測定結果を示す図である。
図4】本発明の粉末青汁飲料を適用したSDラットの血糖値の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の粉末青汁飲料は、
(A)クルクミン、
(B)エピガロカテキンガレート、
(C)ヘスペリジン、
(D)ケルセチン、
(E)イソフラボン、
(F)フェルラ酸又はその誘導体、
(G)クロロゲン酸、
(H)没食子酸、及び
(I)ルチン
を含有することを特徴とする。
【0012】
本発明の粉末青汁飲料においては、(A)〜(I)のポリフェノールを配合することにより、高い脳機能改善効果、抗酸化効果、及び/又は血糖値上昇抑制効果を得ることができる。特に、血糖値上昇抑制効果においては、短時間で血糖値を平常状態に戻す効果を期待することができる。なお、本発明の粉末青汁飲料には、造粒により顆粒状とした顆粒飲料も含まれる。
【0013】
本発明の粉末青汁飲料における青汁素材としては、大麦若葉、ケール、明日葉、桑葉、モロヘイヤ、長命草等の一般に青汁素材として用いられている植物素材を用いることができる。これらの青汁素材は、粉末青汁飲料中、15重量%以上含まれることが好ましく、20重量%以上含まれることがより好ましく、30重量%以上含まれることがさらに好ましい。
【0014】
これらの青汁素材(植物素材)は、通常、葉や茎を粉末としたものが用いられる。具体的には、植物素材そのものを粉砕して粉末状としたものの他、植物素材の搾汁、抽出物等の液状物を乾燥して粉末状にしたものを挙げることができる。粉末化するに際しては、適宜ブランチング処理、殺菌処理等を施すことができる。抽出物は、適当な溶媒を用いて、必要に応じて加温して抽出することにより得ることができる。溶媒としては、例えば、水、エタノール、含水エタノール等の水溶性溶媒を用いることができる。
【0015】
本発明の粉末青汁飲料は、上述の(A)〜(I)のポリフェノールを少なくとも含むものであるが、(A)〜(I)以外の他のポリフェノールを含んでいてもよい。(A)〜(I)以外の他のポリフェノールとしては、例えば、アントシアニン、プロアントシアニジン、タンニン酸、レスベラトロール等を挙げることができる。
【0016】
本発明の粉末青汁飲料におけるポリフェノールは、天然物由来のポリフェノールであることが好ましく、例えば、ポリフェノールを含む天然素材そのものを粉砕して粉末状としたものの他、植物素材の搾汁、抽出物等の液状物を乾燥して粉末状にしたものや、植物素材の搾汁や抽出物からポリフェノール成分を精製して粉末状としたものを挙げることができる。粉末化するに際しては、適宜ブランチング処理、殺菌処理等の処理を施すことができる。抽出物は、適当な溶媒を用いて、必要に応じて加温して抽出することにより得ることができる。溶媒としては、例えば、水、エタノール、含水エタノール等の水溶性溶媒を用いることができる。本発明のポリフェノールは、市販されているものを使用することができる。
【0017】
本発明の粉末青汁飲料における総ポリフェノール量としては、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、1重量%以上であることが好ましく、3重量%以上であることがより好ましく、5重量%以上であることがさらに好ましく、7重量%以上であることが特に好ましい。上限は特に制限されないが、20重量%であることが好ましく、15重量%であることがより好ましく、10重量%であることがさらに好ましい。
【0018】
(A)クルクミンの配合量としては、粉末飲料全体の0.001〜0.01重量%であることが好ましく、0.003〜0.008重量%であることがより好ましい。(B)エピガロカテキンガレートの配合量としては、粉末飲料全体の1〜3重量%であることが好ましく、1.5〜2.5重量%であることがより好ましい。(C)ヘスペリジンの配合量としては、粉末飲料全体の0.1〜0.5重量%であることが好ましく、0.15〜0.4重量%であることがより好ましい。
【0019】
(D)ケルセチンの配合量としては、粉末飲料全体の0.001〜0.05重量%であることが好ましく、0.005〜0.02重量%であることがより好ましい。(E)イソフラボンの配合量としては、粉末飲料全体の0.01〜0.1重量%であることが好ましく、0.015〜0.05重量%であることがより好ましい。(F)フェルラ酸又はその誘導体の配合量としては、粉末飲料全体の0.05〜0.5重量%であることが好ましく、0.1〜0.3重量%であることがより好ましい。
【0020】
(G)クロロゲン酸の配合量としては、粉末飲料全体の0.01〜0.1重量%であることが好ましく、0.015〜0.05重量%であることがより好ましい。(H)没食子酸の配合量としては、粉末飲料全体の0.1〜2重量%であることが好ましく、0.5〜1.5重量%であることがより好ましい。(I)ルチンの配合量としては、粉末飲料全体の0.01〜0.1重量%であることが好ましく、0.02〜0.05重量%であることがより好ましい。
【0021】
本発明の粉末青汁飲料の摂取量としては特に制限はないが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、(A)〜(I)のポリフェノールの1日当たりの摂取量が、50mg/日以上となるように摂取することが好ましく、100mg/日以上となるように摂取することがより好ましく、150mg/日以上となるように摂取することがさらに好ましい。
【0022】
本発明の粉末青汁飲料は、1日の摂取量が前記摂取量となるように、1つの容器に、又は例えば2〜3の複数の容器に分けて、1日分として収容することができる。例えば、2〜8gを1回分として個別包装することができ、好ましくは3〜5gを1回分として個別包装することができる。本発明の粉末青汁飲料は、水(湯)、牛乳、果汁等に溶解して飲用することができ、食事の際などに手軽に飲用することができる。
【0023】
本発明の粉末青汁飲料は、必要に応じて、アスコルビン酸(ビタミンC)、葉酸、β−カロテン等のビタミン類、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄等のミネラル類、バリン、ロイシン等のアミノ酸、コラーゲン等のタンパク質などを配合することができる。
【0024】
本発明の粉末青汁飲料は、一般的な食品の他、脳機能改善に用いられる脳機能改善用粉末青汁飲料(脳機能改善剤)としても用いることができ、かかる脳機能改善剤は、青汁素材及び所定のポリフェノール成分を含有し、脳機能改善に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではない。例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物のいずれかに脳機能改善の機能がある旨を表示したものが本発明の範囲に含まれる。例えば、医薬品(医薬部外品を含む)や、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品等を挙げることができる。いわゆる健康食品においては、「記憶力の低下が気になる方に」、「記憶機能の衰え防止に」等を表示したものを例示することができる。
【0025】
また、本発明の粉末青汁飲料は、抗酸化に用いられる抗酸化用粉末青汁飲料(抗酸化剤)としても用いることができ、かかる抗酸化剤は、青汁素材及び所定のポリフェノール成分を含有し、抗酸化に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではない。例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物のいずれかに抗酸化の機能がある旨を表示したものが本発明の範囲に含まれる。例えば、医薬品(医薬部外品を含む)や、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品等を挙げることができる。いわゆる健康食品においては、「酸化ストレスの軽減に」、「体内の有害物質を排除したい方に」、「活性酸素の軽減に」等を表示したものを例示することができる。
【0026】
さらに、本発明の粉末青汁飲料は、血糖値上昇抑制に用いられる血糖値上昇抑制用粉末青汁飲料(血糖値上昇抑制剤)としても用いることができ、かかる血糖値上昇抑制剤は、青汁素材及び所定のポリフェノール成分を含有し、血糖値上昇抑制に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではない。例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物のいずれかに血糖値上昇抑制の機能がある旨を表示したものが本発明の範囲に含まれる。例えば、医薬品(医薬部外品を含む)や、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品等を挙げることができる。いわゆる健康食品においては、「血糖値が気になりはじめた方に」、「(食後の)血糖値が気になる方に」、「血糖値の上昇をおだやかにする」、「糖の吸収をおだやかにする」、「血糖値の急激な上昇を抑えたい方に」等を表示したものを例示することができる。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
【0028】
[実施例1]
[脳機能改善試験,抗酸化確認試験]
4週齢の雄性ICRマウスを5日以上馴化後、体重値が均一となるように群分けした(各群6匹)。試験開始日から各日において、各被験物質を強制経口投与30分後に、全ての群に対して2.0mg/kgでスコポラミン(SCOP)を腹腔内投与し、さらにその3時間後に2回目の被験物質経口投与を行う操作を行った。具体的には、各群に対して、下記表1に示す被験物質を投与した。なお、SCOPの投与により、マウスに酸化ストレスおよび認知障害を誘発させることができる。以下、エピガロカテキンガレートをEGCGと表記する。
【0029】
【表1】
【0030】
実施例1の粉末青汁飲料については、大麦若葉末36.5%、その他の原料として、煎茶微粉砕末、未熟みかん末、モロヘイヤ末、タマネギ外皮エキス末、きな粉、秋ウコン末、ケール末、ボタンボウフウ末、及びターミナリアベリリカ抽出粉末を用い、これらを混合したものを使用した。また、比較例2及び3におけるEGCGとしては、精製ポリフェノール剤を用いた。
【0031】
粉末青汁飲料は、(A)〜(I)のポリフェノールを含有しており、(A)〜(I)の各ポリフェノール量は以下の通りであった。また、粉末青汁飲料中の総ポリフェノール量は、約8重量%であった。
(A)クルクミン0.054重量%
(B)エピガロカテキンガレート2重量%
(C)ヘスペリジン0.22重量%
(D)ケルセチン0.0086重量%
(E)イソフラボン0.0271重量%
(F)フェルラ酸又はその誘導体0.16重量%
(G)クロロゲン酸0.021重量%
(H)没食子酸0.7重量%
(I)ルチン0.032重量%
【0032】
試験開始から10日目に解剖を実施した。解剖日当日、SCOP投与30分後に、エーテル麻酔下で解剖を行い、脳(大脳及び海馬)、血液の採取を行った。
【0033】
採取した脳及び血液について、ホモジナイズした脳組織サンプル及びヘパリン処理した血漿を供試し、市販のキット(ケイマンケミカル:グルタチオンアッセイキット)でGSH(還元型グルタチオン)濃度の測定を行った。また、脳については、タンパク質量を市販のキット(ワコー:プロテイン アッセイラピッドキット)で測定し、タンパク質量あたりのGSH濃度(GSH値)を算出した。なお、GSHは、活性酸素を除去し、脳機能の低下を抑制することが知られている。
【0034】
以下、本明細書の測定値に対しては、一元配置分散分析を行い、統計学的に有意な差が認められた場合にTukey−Kramer検定による多重比較を行った。
【0035】
図1に示すように、粉末青汁飲料群では、大脳において、全群と比較して有意に(p<0.05)GSH値が上昇した。また、海馬においては、コントロール群と比較して有意に(p<0.05)GSH値が上昇した。したがって、本発明の粉末青汁飲料には脳機能の改善に効果があると考えられる。
【0036】
また、図2に示すように、血中のGSH濃度についても、粉末青汁飲料群では、コントロール群及びEGCG群と比較して有意に(p<0.05)GSH濃度が上昇した。したがって、全身の抗酸化効果も期待できる。
【0037】
また、採取された脳について、ホモジナイズした組織サンプルを供試し、市販のキット(ケイマンケミカル:TBARSアッセイキット)でMDA(マロンジアルデヒド)濃度の測定を行った。MDA濃度は、酸化ストレスの指標であり、濃度が低いほど試験群の抗酸化力が高いことを表す。
【0038】
図3に示すように、大脳において、コントロール群と比較して、粉末青汁飲料群及びEGCG+大麦若葉末群で、MDA濃度が有意に(p<0.05)低下した。また、海馬において、粉末青汁飲料群は、最も低いMDA濃度を示した。したがって、本発明の粉末青汁飲料には、抗酸化効果があると考えられる。
【0039】
[実施例2]
[血糖値上昇抑制確認試験]
7週齢の雄性SDラットを5日以上馴化後、試験前日から12時間以上絶食させた。被験物質投与前の血糖値及び体重値が均一になるように群分けした(各群6匹)。各群に対応する被験物質とショ糖(2000mg/kg)の混合溶液を強制経口投与した。具体的には、各群に対して、下記表2に示す被験物質を投与した。
【0040】
【表2】
【0041】
実施例2の粉末青汁飲料については、実施例1と同様のものを用いた。また、比較例5及び6におけるEGCGとしては、精製ポリフェノール剤を用いた。
【0042】
被験物質とショ糖の混合溶液投与前(0)、及び投与30、60分経過後に尾静脈より採血を行い、小型血糖値測定器(三和化学研究所:グルテストセンサー)を用いて血糖値(mg/dL)を測定した。
【0043】
図4に示すように、試験開始時からの血糖値変化値(スクロース投与30、60分後の血糖値から、それぞれ、投与前の血糖値を引いた値)を測定すると、投与30分後では、コントロール群と比較して、粉末青汁飲料群、EGCG群、EGCG+大麦若葉末群の全てが血糖値の上昇を有意に(p<0.05)抑制し、3つの試験群に有意差は見られなかった。
しかしながら、投与60分後には、EGCG群と比較して、粉末青汁飲料群が有意に(p<0.05)血糖値の上昇を抑制した。
したがって、本発明の実施例に係る粉末青汁飲料群は、血糖値の上昇を抑制するだけでなく、短時間で血糖値を平常状態に戻す効果があることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の粉末青汁飲料は、いわゆる健康食品等に用いることができることから、産業上の有用性は高い。

図1
図2
図3
図4