特許第6812162号(P6812162)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6812162
(24)【登録日】2020年12月18日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】密封した圧力センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/14 20060101AFI20201228BHJP
   G01L 9/00 20060101ALI20201228BHJP
   H01L 29/84 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
   G01L19/14
   G01L9/00 303P
   H01L29/84 B
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-151684(P2016-151684)
(22)【出願日】2016年8月2日
(65)【公開番号】特開2017-53840(P2017-53840A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2019年7月25日
(31)【優先権主張番号】15180231.1
(32)【優先日】2015年8月7日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516188939
【氏名又は名称】センサタ テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202577
【弁理士】
【氏名又は名称】林 浩
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブス フランク ヘンドリ
(72)【発明者】
【氏名】ホップマン ヴィコ
(72)【発明者】
【氏名】タルスマ ヨヘム ヘンドリク
(72)【発明者】
【氏名】ネイス ヨヘム クリスティアーン
(72)【発明者】
【氏名】ホップ エリック
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−205514(JP,A)
【文献】 特許第4014006(JP,B2)
【文献】 特開2005−37400(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0282926(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102011088044(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体圧力を測定するための密封した圧力センサであって、
密封したハウジングであって、第1のハウジング構造、内部を形成するために、前記第1のハウジング構造に密封して接続される第2のハウジング構造、前記内部の中の膜部分であって、前記流体圧力にさらされるように配置される、膜部分と、前記内部に配置されて、前記膜部分に取り付けられる1つ以上の歪み検知要素、を含む、密封したハウジング、および、
1つ以上の歪み検知要素からの出力信号における前記密封したハウジング上の不均一な力の影響を減らすために、前記膜部分と前記密封したハウジングとの間の機械的経路を形成するために前記膜部分と前記第1のハウジング構造との間に配置されて前記膜部分を前記第1のハウジング構造に接続する環状の波状部分、
を備え、
前記第2のハウジング構造は、ハウジング部を含み、前記ハウジング部は、少なくとも2つの開口の各々を通過する電気的接続ピンを有する前記少なくとも2つの開口を有し、前記電気的接続ピンは、非導電性でかつ密封したシール材料によってそれぞれの前記開口にはり付けられる、
圧力センサ。
【請求項2】
前記第1のハウジング構造は、圧力供給開口を含むベース部、および、前記膜部分を含む膜部であって、前記ベース部に密封して接続される、膜部、を含み、
前記ベース部、前記膜部、および前記圧力供給開口は、キャビティを定め、前記キャビティは、前記膜部分を流体とともに圧力接触に入れるように調整される、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記ベース部および前記膜部は、環状の溶接部によって密封して接続される、請求項2に記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記第1のハウジング構造および前記第2のハウジング構造は、環状の溶接部によって密封して接続される、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項5】
前記環状の波状部分の少なくとも1つの断面は、実質的にU字形である、請求項に記載の圧力センサ。
【請求項6】
流体圧力を測定するための密封した圧力センサであって、
密封したハウジングであって、第1のハウジング構造と、内部を形成するために前記第1のハウジング構造に密封して接続される第2のハウジング構造と、前記内部の中の膜部分であって、前記流体圧力にさらされるように配置される、膜部分と、前記内部に配置されて、前記膜部分に取り付けられる1つ以上の歪み検知要素と、を含む、密封したハウジング、を備え、
前記第2のハウジング構造は、ハウジング部を含み、前記ハウジング部は、少なくとも2つの開口の各々を通過する電気的接続ピンを有する前記少なくとも2つの開口を有し、前記電気的接続ピンは、非導電性でかつ密封したシール材料によってそれぞれの前記開口にはり付けられ、
前記第1のハウジング構造は、環状の支持部分と、環状のベース部、第1の厚みを有する環状の曲げ部と、前記第1の厚みよりも大きい第2の厚みを有する環状の剛性部、を含み、
前記環状の支持部分は、前記環状のベース部を前記環状の曲げ部に接続し、前記環状の剛性部は前記膜部分と前記密封したハウジングとの間の機械的経路を拡大するために前記膜部分を前記環状の曲げ部に接続し、これにより、前記1つ以上の歪み検知要素における前記密封したハウジング上の力の影響を減らす
力センサ。
【請求項7】
前記環状の曲げ部は、前記膜部分に関してある角度にある、請求項に記載の圧力センサ。
【請求項8】
前記1つ以上の歪み検知要素がボンディングワイヤによってPCBに電気的に結合される前記密封したハウジング内に配置される印刷回路基板(PCB)をさらに備える、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項9】
前記電気的接続ピンは、複数の弾力のある電気的接続要素によって前記PCBに電気的に結合される、請求項に記載の圧力センサ。
【請求項10】
前記密封したハウジングは、ディスク形状である、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項11】
前記1つ以上の歪み検知要素は、マイクロヒューズのついたシリコン歪ゲージである、請求項1に記載の圧力センサ。
圧力センサ。
【請求項12】
流体圧力を測定するための密封した圧力センサであって、
概して環状の形状を有する第1のハウジング構造であって、環状の外側部、流体の進入を許容するための圧力供給開口を定めるベース部、流体圧力で流体を含むキャビティ、前記流体圧力にさらされる流体対向外部表面を有する膜部と、前記膜部と接触して配置される1つ以上の歪み検知要素、を含む、第1のハウジング構造、および、
概して環状の形状を有して、前記第1のハウジング構造に密封して接続される第2のハウジング構造であって、2つ以上の開口を定めるハウジング部、2つ以上の電気的接続ピンであって、各ピンは、前記2つ以上の開口のうちの1つを通過する、電気的接続ピンと、前記2つ以上の開口に関して適所に前記2つ以上の電気的接続ピンを固定するために配置される非導電性でかつ密封したシール材料、を含む、第2のハウジング構造、
を備え、
前記第1および第2のハウジング構造が密封シールを提供すると共に、前記歪み検知要素は、前記キャビティの範囲内で前記流体圧力を測定
前記第1のハウジング構造は、前記膜部と前記密封したハウジングの前記環状の外側部との間に機械的経路を形成するために、前記膜部と前記環状の外側部との間に配置されて前記膜部を前記環状の外側部に接続する環状の波状部分を含む、
圧力センサ。
【請求項13】
前記第1のハウジング構造は、金属の1つの連続ピースである、請求項12に記載の圧力センサ。
【請求項14】
前記ベース部、前記膜部、前記流体対向外部表面、および前記ハウジング部は、金属である、請求項12に記載の圧力センサ。
【請求項15】
前記環状の波状部分は、複数の剛性部および複数の曲げ部でできている、請求項に記載の圧力センサ。
【請求項16】
各剛性部は厚みを有し、各曲げ部は厚みを有し、および前記膜部の前記流体対向外部表面は厚みを有し、各曲げ部の前記厚みは、前記膜部の前記流体対向外部表面の前記厚みよりも大きく、かつ各剛性部の前記厚みよりも小さい、請求項15に記載の圧力センサ。
【請求項17】
前記環状の波状部分の少なくとも1つの断面は、実質的にS字形である、請求項15に記載の圧力センサ。
【請求項18】
前記膜部分、前記環状の波状部分、および環状の支持部分を備える膜部、をさらに備え、
前記環状の波状部分は、環状の剛性部と、環状の曲げ部とを備え、
前記膜部分は、前記環状の剛性部に取り付けられ、
前記環状の曲げ部は、前記環状の剛性部および前記環状の支持部分に取り付けられ、
前記環状の支持部分は、前記膜部を前記第1のハウジング構造に取り付ける、請求項1に記載の圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
この出願は、2015年8月7日に出願された欧州特許出願第EP15180231号に対する優先権およびそれの利益を請求する。そしてそれは、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
主題技術は、密封した圧力センサに関する。より詳しくは、主題技術は、自動変速装置用途に用いられる密封した圧力センサに関する。
【背景技術】
【0003】
密封した、すなわち液密の、圧力センサの主なタスクは、過酷なまたは危険な環境条件において圧力を測定することである。密封したセンサを有する第1の重要な理由は、環境がセンサのハウジング内に封入されるセンサの要素に損害を与え得るということである。損害は、センサの故障を作ることができる。第2の重要な理由は、低圧を検知する精度にとって重要である一定の内圧を有することである。実際には、ヘリウム漏れ試験の間、漏れがほぼ5×10−8ミリバール×l/秒Heの制限を上回らないときに、センサハウジングは、密封であるとみなされる。
【0004】
圧力センサは、特許文献1から公知である。この圧力センサは、管状ポート部品および管状ハウジングを有する。そしてそれは、比較的長い設計に結果としてなる。ハウジングのフランジおよびポート部品は、密封シールを形成する支持フランジに溶接される。Oリング上の圧縮力は、液密シールを形成して、ハウジング内の構成要素の全スタック上の軸方向荷重を維持する。したがって、ハウジングは気密でなくて、電気的要素は、ハウジング内に密封したシールではない。
【0005】
変速装置用途のための、より小さい、完全に密封したセンサの必要がある。これは、センサがより小さい高さを有しなければならないことを意味する。さらに、特に可能性がある銅−硫黄腐食を防止するために、センサのエレクトロニクスは、測定される媒体からシールされることを必要とする。
【0006】
より小型の圧力センサは、特許文献2および特許文献3から公知である。これらのセンサは、それらのセンサ要素のための密封したハウジングを備える。それらは、密封シールハウジング内に配置されるガラスベースを有するセンサチップを使用する。ダイアフラムがセンサチップにおいて形成される。ガラス対金属シールを形成するために、ガラスベースは、ハウジングに溶解される。ガラス対金属シールは、少なくとも2つの場合に失敗の傾向がある。(1)密封した接続の不足(例えば、ハンダ付け工程の欠陥による)、および、(2)グラスは、圧力ピークおよび動的な力が適用されるときにクラックが入るかもしれない脆い材料である。流体圧力がセンサチップ、ガラスベース、および接続(例えば、ガラス−シリコン接続およびガラス−金属接続)上に直接作用しているので、圧力センサは、ガラスベースのまたはガラス接続のいずれかの損傷ために故障するという潜在的な危険がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,763,724号
【特許文献2】米国特許公開第20090282926号
【特許文献3】米国特許第8,516,897号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下の特徴のうちの少なくとも1つである気密なハウジング構造を有する改良された密封した圧力センサを提供することは、本技術の目的である。特徴すなわち、信頼性が高い、製造に対してより安価である、半または全自動工程によって高い量において生産できる、持続性がありおよび/または過酷な圧力媒体に対して堅牢である、センサハウジングに作用する位置力に対して感度がより低い、および、自動車変速装置用途を代表する温度および振動に耐えることが可能である。センサは、液体燃料圧力検知およびオイル圧力検知のような他の自動車用途のために使用されることもできる。
【0009】
技術の第1の態様によれば、この目的は、請求項1の特徴を有する密封した圧力センサによって達成される。主題技術を実行することの有利な実施形態およびさらなる方法は、他の請求項に記載の手段によって達成されてよい。
【0010】
主題技術による密封した圧力センサは、第1のハウジング構造を有する密封したハウジングを含む。第1のハウジング構造は、流体圧力にさらされる膜部分を含む。密封したハウジングはまた、第2のハウジング構造を含む。第2のハウジング構造は、第1のハウジング構造に密封して接続される。第2のハウジング構造は、ハウジング部を含む。ハウジング部は、少なくとも2つの開口を有し、少なくとも2つの開口は、その開口を通過する少なくとも2つの電気的接続ピンを有する。電気的接続ピンは、非導電性でかつ密封したシール材料によって開口にはり付けられる。1つ以上の歪み検知要素は、密封したハウジング内に配置されて、第1のハウジングの膜部分に取り付けられる。密封したハウジングは、ディスク形状でもよい。歪み検知要素は、マイクロヒューズのついたシリコン歪ゲージでもよい。
【0011】
一実施形態において、第1のハウジング構造は、圧力供給開口を有するベース部、および、膜部分を含む膜部であって、ベース部に密封して接続される膜部を有する。この実施形態では、ベース部、膜部、および圧力供給開口は、キャビティを定める。キャビティは、膜部分を流体とともに圧力接触に入れる。ベース部および膜部は、環状の溶接部によって密封して接続されてよい。
【0012】
別の実施形態において、第1のハウジング構造および第2のハウジング構造は、環状の溶接部によって密封して接続されてよい。第1のハウジング構造は、膜部のまわりの環状の波状部分を含んでよい。加えて、環状の波状部分の少なくとも1つの断面は、実質的にU字形でありえる。
【0013】
第1のハウジング構造は、環状のベース部、第1の厚みを有する環状の曲げ部、および、第1の厚みより大きい第2の厚みを有する環状の剛性部を有してよい。環状の剛性部および環状の曲げ部は、膜部分をベース部に接続する。さらに、曲げ部は、膜部分に関してある角度にあってよい。
【0014】
圧力センサは、1つ以上の歪み検知要素がボンディングワイヤによってPCBに電気的に結合される密封したハウジング内に配置される印刷回路基板(PCB)を含んでよい。電気的接続ピンは、複数の弾力のある電気的接続要素によってPCBに電気的に結合されることができる。
【0015】
さらに別の実施形態において、圧力センサは、流体を受け入れるためのキャビティを定める第1のハウジング構造を有する密封したハウジングを有する。第1のハウジング構造は、金属部、膜部、および流体圧力にさらされる流体対向外部表面を含む。密封したハウジングはまた、第1のハウジング構造に密封して接続される第2のハウジング構造を含む。第2のハウジング構造は、ハウジング部を有する。ハウジング部は、開口を通過する少なくとも2つの電気的接続ピンを有する少なくとも2つの開口を有する。電気的接続ピンは、非導電性でかつ密封したシール材料によって開口にはり付けられる。キャビティ内の流体の流体圧力を測定するために、1つ以上の歪み検知要素は、密封したハウジングに配置される。第1のハウジング構造は、金属の1つの連続ピースであってもよい。ベース部、膜部、流体対向外部表面、およびハウジング部は、全て金属で形成されることができる。
【0016】
さらに別の実施形態において、圧力センサは、概して環状の形状を有する第1のハウジング構造を含む。第1のハウジング構造は、環状の外側部、および、流体の進入を許容するための圧力供給開口を定めるベース部を有する。第1のハウジング構造の範囲内のキャビティは、圧力で流体を含むことができる。第1のハウジング構造の範囲内の膜部は、流体圧力にさらされる流体対向外部表面を有する。歪み検知要素が膜部と接触しているように、1つ以上の歪み検知要素は、第1のハウジング構造の範囲内に配置される。センサはまた、概して環状の形状を有して、第1のハウジング構造に密封して接続される第2のハウジング構造を含む。第2のハウジング構造は、2つ以上の開口を定めるハウジング部を含む。電気的接続ピンは、各開口を通過する。各ピンは、非導電性でかつ密封したシール材によって固定される。この構成において、第1および第2のハウジング構造が密封シールを提供すると共に、歪み検知要素は、キャビティの範囲内で流体圧力を測定する。第1のハウジング構造は、膜部および環状の外側部を接続する環状の波状部分を含むこともできる。環状の波状部分は、複数の剛性部および複数の曲げ部でつくられることができる。環状の波状部分の少なくとも1つの断面は、実質的にS字形でありえる。
【0017】
ここでそして後で展開される用途のためのプロセス、装置、システム、デバイス、および方法として制限なしに含む、多くの仕方において、主題技術が実施されることができて、利用されることができることが理解されるべきである。他の特徴および利点は、例えば、実施形態のさまざまな特徴を例示する添付図面と連動してとられる以下の詳述から明らかになる。
【0018】
これらのおよび他の態様、特性および利点は、図面に関する次の説明に基づいて以下に説明される、同様の参照番号は、同様のまたは同等の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、主題技術による圧力センサの第1実施形態の概略的な分解図である。
図2図2は、第1の実施形態の概略的断面図である。
図3図3は、主題技術による圧力センサの第2実施形態の概略的断面図である。
図4図4は、主題技術による圧力センサの第3実施形態の概略的面図である。
図5図5は、主題技術による圧力センサの第4実施態様の概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
主題技術は、密封した圧力センサと関連した先行技術の課題の多くを解決する。本明細書において開示される技術の利点および他の特徴は、本技術の代表的な実施形態を記載して、そして同様の参照番号が類似の構造要素を確認する図面に関連してなされる特定の好ましい実施形態の以下の詳述から、当業者にとってより直ちに明らかになる。上、下、右、左などのような方向表示が図に関して使われて、制限することを意味しない。
【0021】
図1および図2は、それぞれ、本技術による密封した圧力センサ100の第1実施形態の分解図および断面図を示す。本願の文脈において、密封は、実質的に気密であることを意味する。主題技術は、可能性がある銅−硫黄腐食を防止するために、センサのエレクトロニクスが測定される媒体(主要媒体)から密封されることを必要とする変速装置用途に特に適用できると想像される。密封した圧力センサ100は、堅牢で、製造しやすくて、気密で、低コストである。密封した圧力センサ100は、過酷なまたは危険な環境条件において圧力を測定するために用いることができる。
【0022】
圧力センサ100は、第1のハウジング構造114および第2のハウジング構造112を有するディスク形状の密封したハウジング115を含む。本願の文脈において、ディスク形状は、ハウジングの幅よりも小さい高さを有することを意味する。さらに、ハウジング構造112、114の円周は、通常、形状において環状である。密封したハウジング115は、0.75cm〜1.5cmの範囲の高さを有してよい。開示されたハウジングがディスク形状であるとはいえ、当業者は、ほかの用途のために、ハウジングがプラグの形状であることができると認める。そして、センサ100をデバイスのねじ付き開口に取り付けるために、第1のハウジング構造114は、雄ねじを含む。
【0023】
まだ図1および図2を参照して、第1のハウジング構造114は、金属ベース部114Fおよび金属膜部116を含む。ベース部114Fおよび膜部116は、図2に示される環状の溶接部220によって密封して接続される。ベース部114Fは、圧力供給開口114C、シール面部114B、および側壁部114Aを含む。キャビティ260は、膜部116と第1のハウジング構造114との間に形成される。流体は、圧力供給開口114Cを介して、キャビティ260に入ることができる。このようにして、第1のハウジング構造114は、膜部116の流体対向面119によって形成される流体対向外部表面117、および測定される流体と接触するベース部114Fの表面114Gを含む。
【0024】
膜部116はまた、膜部分116C、環状の波状部分116B、および環状の支持部分116Aを含む。環状の波状部分116Bは、膜部分116Cを囲み、そして、支持部分116Aは、環状の波状部分116Bを囲む。膜部分116Cは、環状の波状部分116Bまたは環状の支持部分116Aの厚みよりも少ない厚みを有する。一実施形態では、図2に最も良く示すように、環状の波状部分116Bの断面は、実質的にU字形である。
【0025】
歪み検知要素120は、膜部分116Cに取り付けられる。歪み検知要素120は、2つの歪ゲージ120A、120Bを有する。流体圧力が流体対向面117上に適用されるときに、1つの歪ゲージ120Aが圧縮(compression)に入れられるように、そして他の歪ゲージ120Bが緊張(tension)に入れられるように、歪み検知要素120は、配置される。別の実施形態では、2つ以上の歪み検知要素は、4つ以上の歪ゲージに電子的に連結される。この実施形態では、膜部分116Cの中心から歪み検知要素のうちの1つまでのラインと、膜部分116Cの中心から歪み検知要素のうちの別の1つまでのラインとの間の角度は、90°で有利な実施形態にある。
【0026】
一実施形態において、歪み検知要素120は、マイクロヒューズのついたシリコン歪ゲージ(例えば、マサチューセッツ州、アトルボロのSensata Technologiesから入手可能な、Automotive Microfused Silicon Strain Gage(MSG))であることができる。この実施形態では、従来の歪ゲージ技術にしたがって歪み検知要素120および膜部分116Cの表面の両方に結合されるガラス材料と共に、歪み検知要素120は、ガラス材料によって膜部分116Cに取り付けられる。半導体歪ゲージ(例えば、ピエゾ抵抗器)、箔歪ゲージ、薄膜歪ゲージ、厚膜歪ゲージ、ポリシリコン歪ゲージ、容量歪ゲージ、それらの組み合わせなど、を含む、多数の他のタイプのいかなる歪ゲージも、歪み検知要素120が含むことができることを、当業者は理解する。
【0027】
一実施形態において、第2のハウジング構造112は、3つの開口112Dおよび3つの電気的接続ピン112Bを有する金属ハウジング部112Aを含む。3つの電気的接続ピン112Bは、非導電性でかつ密封するシール材料112C(例えば、ガラス)によって、3つの開口112Dにおいてはり付けられる。3つの電気的接続ピン112Bがこの実施形態に示されるとはいえ、当業者は、他の数の電気的接続ピンが主題技術を実施するために利用されてよいことを認める。
【0028】
第1のハウジング構造114および第2のハウジング構造112は、環状の溶接部235によって互いに密封して接続される。接続されるときに、ハウジング構造112、114は、構成要素のスタックが配置される区画を定める。スタックは、支持リング140、PCB130、弾力のある電気的接続要素150、および配列構造145を含む。PCB130は、電子回路を含む。電子回路は、以下のアクション:ホイートストーンブリッジを形成する歪み検知要素120によって発生する電気信号の温度補償、較正、内部故障検出、歪み検知要素120からの電気信号を条件付きの測定信号(すなわち流体圧力などを表す信号)に変換すること、のうちの少なくとも1つを実行するように調整される。ボンディングワイヤ113は、歪み検知要素120を電子回路に接続する。電子回路は、必要な較正プロセスを実行するようにさらに構成されることができる。支持リング140は、膜部116の高くしたエッジに溶接される。PCB130は、リフローはんだ付けプロセスによって支持リング140に結合される。配列構造145は、弾力のある電気的接続要素150を受け入れるために開口147を備える。本実施形態では、弾力のある電気的接続要素150は、開いたコイルの螺旋形ばねの形である。配列構造145は、弾力のある電気的接続要素150の第1の端部150AをPCB130上の接触領域130A上に整列配置し、そして、反対側の第2の端部150Bを電気的接続ピン112B上に整列配置する。図示の実施形態では、弾力のある電気的接続要素150は、開いたコイルの螺旋形ばねとして示される。例えば、弾力のある電気的接続要素150が他の方法(例えばU字形の薄板ばね、S字形の薄板ばね、導電性ゴム材料、または導電性エラストマー複合材)で形成されてもよいことを、当業者は理解する。さらに、図示した実施形態では弾力のある電気的接続要素150がPCB130に対して接続ポイントを結合するとはいえ、弾力のある電気的接続要素150が屈曲箔と置き換えられ得ることを、当業者は認める。
【0029】
環状の波状部分116Bの特性は、「波」が膜部分116Cと密封したハウジング115の外部表面との間に機械的経路を拡張することである。この結果、センサ100は、ハウジング115上に作用する位置力および均一な同心力のための感度がより低い。したがって、環状の波状部分116Bによって、センサは、出力信号に重要な影響なしにセンサハウジング115上の不均一な力に対処することができる。
【0030】
使用中、ハウジング115のシール面114Dと流体圧力が測定されなければならないデバイスの表面との間に、Oリング(図示せず)が圧縮される。Oリングは、圧力供給開口114Cのまわりに芯合わせされる。シール面114Dは、ハウジングの下側に小さい深さを有する凹所である。取付力が高くなるときに、シール面114Dのまわりのフランジ114Eは、Oリングを圧縮およびシール面の損害から保護する。Oリングの圧縮力は、供給開口114Cのまわりの均一な同心力によってシール面部114Dを上方へ押す。その結果、ベース部114Fは変形して、結果として生じる力は、膜部116の環状の支持部分116A上に作用する。波状部分116の剛性部116B2が最小限変形する一方で、波状部分116Bの最薄部116B1は変形する。このようにして、膜部分116Cの表面上でハウジング114上に作用する同心力および位置力の影響は、著しく減少する。Oリングのサイズが減少するにつれて、ハウジング114の底側の変形はより大きい点に留意する必要がある。さらに、「可撓性」ボンディングワイヤ113が膜部分116C上の歪み検知要素120をPCB130に結合するために用いられるので、膜部分116Cは、弾力のある電気的接続要素150によりPCB130上に作用する力のために機械的に切り離される。
【0031】
図3は、主題技術による圧力センサ300の第2実施形態の断面図を示す。第2実施形態は、ディスク形状の密封したハウジング315の構成において主に異なる。密封したハウジング315は、ベース部314F、膜部316、側壁部314A、およびカバー部312Aを含む。膜部316は、環状の溶接部327によってベース部314Fに密封接続される。側壁部314Aは、環状の溶接部325によって底部314Bに密封結合される。カバー部312Aは、環状の溶接部335によって側壁部314Aに密封結合される。製造プロセスの実施に応じて、ベース部314F、膜部316および側壁部314Aのアセンブリは、第1のハウジング構造314を形成することができて、カバー部312Aは、第2のハウジング構造312を形成することができる。あるいは、ベース部314Fおよび膜部316のアセンブリは、第1のハウジング構造314を形成することができて、側壁部314Aおよびカバー部312Aのアセンブリは、第2のハウジング構造312を形成することができる。密封したハウジング315は、支持構造340およびPCB330を含む。支持構造340は、リフロープロセスによってPCB330に結合される。結合された支持構造340およびPCB330は、接着剤、溶接またはエポキシによって、第1のハウジング構造314の鉛直面のエッジに付着される。
【0032】
圧力センサ300のために、カバー部312Aは、2つの開口312Dおよび2つの電気的接続ピン312Bを有する。より多くのまたはより少ない開口および電気的接続ピンが用いられてよいことを、当業者は認める。電気的接続ピン312Bは、カバー部312Aの開口312Dを通過して、非導電性の密封したシール材料312Cによって開口312D内にはり付けられる。弾力のある電気的接続要素350は、PCB330上の回路を電気的接続ピン312Bに電気的に接続する。この実施形態では、弾力のある電気的接続要素350は、U字形の薄板ばねの形である。薄板ばねは、PCB330の接触面にリフローされる。第1および第2のハウジング構造314、312の組立の間、弾力のある電気的接続要素350は、密封したハウジング315の室内へ突出する連結ピン312Bの端部に対して押圧される。弾力のある電気的接続要素350が他の形状(例えば、S字形の薄板ばね)でもよいことを、当業者は理解する。導電性ゴム材料または導電性エラストマー複合材の弾力のある電気的接続要素350を形成することがさらに可能あるかもしれない。
【0033】
図3において、膜部116のそれぞれの部分の厚みは、「a」、「b」、「c」、および「d」によって示される。膜部316は、膜部分316C、環状の剛性部316B1、環状の曲げ部316B4、および環状の支持部分316Aを備える。膜部分316Cは、厚み「a」を有する。環状の剛性部316B1は、膜部分316Cの平面に関して曲げられて、厚み「b」を有する。厚み「bは」、厚み「a」よりも大きい。環状の曲げ部316B4は、2つの環状部分316B2、316B3を有する。第1の環状部分316B2は、膜部分316Cに実質的に平行であり、厚み「c」を有する。第2の環状部分316B3は、第1の環状部分316B2に関して曲げられて、厚み「d」を有する。「c」および「d」の個々の厚みは、厚み「b」よりも小さくて、そして厚み「a」よりも大きい。取付力がベース部314F上にまたはそれを介して作用している場合、力は、最初に環状の曲げ部316B4を通過しなければならず、そしてその後、力の合成が膜部分316Cに作用している前に、環状の剛性部316B1を通過しなければならない。曲げ部316B4が剛性部316B1よりも薄いので、取付力の主部は、曲げ部316B4の曲げに結果としてなり、そして、小さい残部だけが剛性部316B1上に作用する。したがって、残部上に作用する力のさらにより小さい一部は、環状の剛性部316B1を通過して、膜部分316C上の応力に影響する。このようにして、環状の剛性部316B1および環状の曲げ部316B4を含む環状の波状部分316Bによって、密封したハウジング315の外観に作用する(非対称の)位置の力および(同心の)均一な力のための感度は、著しく減少する。
【0034】
図4は、主題技術による密封した圧力センサ400の第3実施形態の断面図を概略的に示す。第1のハウジング構造414および膜部416が1つの金属ピースから形成されるという点で、この実施形態は、前述の実施形態と異なる。センサ400の1つの利点は、センサ400がより複雑でないということである。不利な点は、対象物が大きなポート414Cを通して容易に膜に到達することができて、したがって、膜が損傷を受けるということである。第1のハウジング構造414上に作用する力の影響を減らすために、膜部分416Cは、環状の剛性部416B1によって囲まれる。環状の曲げ部416B4は、環状の剛性部416B1を第1のハウジング構造414の環状の外側部414Aに接続する。環状の曲げ部416B4は、剛性部416B1の厚みよりも少ない厚みを有する。さらに、環状の曲げ部416B4は、膜部分416Cに関して曲げられる。影響を減らす方法は、前述の実施形態のそれと類似している。この実施形態では、弾力のある電気的接続要素450は、PCB430に垂直な中心軸線を有する開いたコイルばねである。
【0035】
図5は、密封したハウジング515上に作用する力のための減少した感度を有する密封したハウジング515を有する圧力センサ500の第4の実施態様の概略断面図を示す。この実施形態は、膜部分516Cを環状の外側部516Aに連結する波状部分516Bにおいて、第3の実施形態と異なる。この実施形態では、環状の外側部516Aと膜部分516Cとの間の機械的経路は、さらに増加する。環状の波状部分は、第1の剛性部516B1、516B2、第1の曲げ部516B3、第2の剛性部516B4、および第2の曲げ部516B5を含む。膜部分516Cは、膜部516のすべての構成要素のうちで最も薄い厚みを有する。曲げ部516B3、516B5は、剛性部516B1、516B2、および516B4よりも薄い。第1の剛性部516B1、516B2は、垂直部516B1および水平部516B2を備える。一般に、剛性部を有する膜部分516Cを囲むことは、測定される圧力信号の寄生効果の影響を減らすことができる。垂直部516B1が膜部分516Cとして相当する厚みを有する場合、膜部516上に作用する流体圧力は、膜部分516Cおよび垂直部516B1の両方を曲げる。しかしながら、垂直部516B1の曲げは、膜部分516Cの応力に影響を与えて、したがって、測定される流体圧力に影響する。膜部分516Cを囲む剛性部を有することによって、測定される流体圧力のこの種の歪みは、減少する。
【0036】
提示された実施形態は、とりわけ、0〜20バールの作動範囲の圧力を測定する、そして、測定される媒体の最大120バールの圧力突出に耐える自動車産業の変速装置用途に適している。他の用途では、作動範囲は、0〜70バールでありえる。測定が比較的低圧であるときに、一定の内圧がハウジングにあることは、重要である。主題技術は、要求される溶接の数および必要な溶接の長さを減らして、これにより、作られる潜在的リーク経路をより少なくする。さらに、ガラス−対−金属シール112Cが、連結ピン112Bのまわりで第2のハウジング構造112の開口112Dにおいて使われるだけである。この側が測定される流体圧力にしたがわないので、流体圧力変化によるガラス−対−金属シール112Cの損傷の危険は、取るに足らない。
【0037】
本明細書において開示されるすべての特許および他の参照は、参照によって全体として本明細書に明白に組み込まれる。主題技術がいくつかの実施形態に関して記載された一方で、その代替、修正、置換および等価物が、明細書を読んで即座におよび図面を学んで即座に当業者にとって明らかになると考えられる。主題技術は、例示の実施形態に限られない。変化は、添付の請求の範囲の要旨を逸脱しない範囲でなされることができる。

図1
図2
図3
図4
図5