(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0022】
(第1の実施形態:発電システム100)
図1は、第1の実施形態にかかる発電システム100を説明する図である。
図1に示すように、発電システム100は、脱硫装置110と、改質器112と、燃料電池114と、分離装置116と、オフガス燃焼器118と、燃焼機関120と、コンプレッサ122と、発電機124と、熱交換器126と、凝縮器128と、二酸化炭素圧縮機130と、二酸化炭素回収部132と、インバータ140を含んで構成される。なお、
図1中、ガスや水等の物質の流れを実線の矢印で示し、電力の流れを破線の矢印で示す。
【0023】
脱硫装置110は、原料ガス(例えば、都市ガス)GG1から硫黄分を除去する。脱硫装置110は、例えば、硫黄分を吸着する吸着剤が充填された脱硫器で構成される。なお、原料ガスGG1から硫黄分を除去する技術については、様々な既存の技術を適用できるので、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0024】
改質器112は、脱硫装置110によって硫黄分が除去された原料ガスGG2を改質して、改質ガスKG(水素(H
2)、一酸化炭素(CO)を含む)を生成する。本実施形態において、改質器112には、炭化水素の水蒸気改質反応を促進するための触媒が配されており、改質器112に原料ガスGG2(炭化水素)および水蒸気が供給されると下記反応式(1)および反応式(2)に示す水蒸気改質反応が進行し、炭化水素が水素および一酸化炭素に改質される。
C
nH
m + nH
2O → nCO + (m/2+n)H
2 …反応式(1)
CO + H
2O → CO
2 + H
2 …反応式(2)
こうして、改質器112によって生成された改質ガスKGは、燃料電池114の燃料極に供給される。燃料電池114の空気極には、後述するコンプレッサ122から、少なくとも酸素(O
2)を含む酸素含有ガスSG(例えば、空気)が供給される。
【0025】
燃料電池114は、改質ガスKGおよび酸素含有ガスSGを電力と熱に変換する。本実施形態において、燃料電池114は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)で構成される。燃料電池114によって生成された電力の一部は、後述するインバータ140を介して、後述する減圧ポンプ152、二酸化炭素圧縮機130に供給され、その他の電力は、電力利用設備に供給される。また、燃料電池114によって生成された熱は、熱利用設備に供給される。
【0026】
燃料電池114の空気極から排出された空気極オフガスKOG(例えば、600℃程度)は、酸素と窒素(N
2)とで構成され(例えば、酸素濃度16%程度)、分離装置116に供給される。また、燃料電池114の燃料極から排出された燃料極オフガスNOG(例えば、600℃程度)は、二酸化炭素(CO
2)、水(H
2O)、一酸化炭素、水素で構成され、オフガス燃焼器118に供給される。
【0027】
分離装置116は、空気極オフガスKOGを、酸素富化ガスSFG(空気より酸素を多く含むガス)と、窒素富化ガスCFG(空気より窒素を多く含むガス)とに分離する。本実施形態において、分離装置116は、圧力スイング吸着(PSA:Pressure Swing Adsorption)法を利用した分離装置であり、吸着塔150と、減圧ポンプ152(真空ポンプ)とを含んで構成される。吸着塔150は、常温より高温の温度環境下(例えば、250℃〜900℃)で酸素を吸着する酸素吸着剤(例えば、ペロブスカイト型酸化物)が内部に収容されている。減圧ポンプ152は、吸着塔150内を減圧して酸素吸着剤に吸着した酸素を酸素吸着剤から脱着させて吸着塔150から排出する。常温より高温の温度環境下で酸素を吸着する酸素吸着剤を用いたPSA法の分離装置については、特許第5600336号公報に記載された技術等の既存の様々な技術を適用できるので、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0028】
分離装置116によって分離された酸素富化ガスSFGの一部は、オフガス燃焼器118に供給される。また、その他の酸素富化ガスSFGは、酸素利用設備に供給される。分離装置116によって分離された窒素富化ガスCFGは、窒素利用設備に供給される。
【0029】
オフガス燃焼器118は、燃料電池114の燃料極から排出された燃料極オフガスNOGを、分離装置116によって分離された酸素富化ガスSFGで燃焼させる。
【0030】
燃焼機関120は、例えば、ガスタービンやガスエンジンで構成され、オフガス燃焼器118で生じた燃焼排ガスHG(二酸化炭素、水)によって回転軸を回転させる。コンプレッサ122は、燃焼機関120の回転軸と同軸で接続されており、燃焼機関120の回転軸の回転によって酸素含有ガスSGを昇圧(圧縮)する。発電機124は、コンプレッサ122の回転軸と同軸で接続されており、コンプレッサ122の回転軸の回転(燃焼機関120の回転軸の回転)によって発電する。
【0031】
熱交換器126は、燃焼機関120を回転した後の燃焼排ガスHGと、コンプレッサ122によって昇圧された酸素含有ガスSGとを熱交換する。熱交換器126を備えることにより、燃焼排ガスHGの熱で酸素含有ガスSGが昇温されることとなり、燃料電池114の発電効率を向上させることができる。
【0032】
また、上記コンプレッサ122が燃料電池114の空気極に高圧(大気圧より高圧)の酸素含有ガスSGを供給することにより、燃料電池114の発電効率を向上させることができる。例えば、コンプレッサ122が、酸素含有ガスSGを0.2MPaに昇圧して、燃料電池114の空気極に供給した場合、燃料電池114の発電効率を20%程度向上させることが可能となる。
【0033】
凝縮器128は、熱交換器126によって熱交換が為された(冷却された)燃焼排ガスHG(二酸化炭素、水)をさらに冷却し、水を凝縮させる。これにより、燃焼排ガスHGを二酸化炭素NGと、水DS(ドレン水)とに分離することができる。凝縮器128によって分離された二酸化炭素NGは、二酸化炭素圧縮機130で昇圧され、二酸化炭素貯留(CCS)システム等の二酸化炭素回収部132で回収される。また、凝縮器128によって分離された水DSは、外部に排出される。
【0034】
インバータ140は、燃料電池114から出力された電力(直流電流)を交流電流に変換する。インバータ140によって交流電流に変換された電力は、減圧ポンプ152、二酸化炭素圧縮機130に供給される。
【0035】
以上説明したように、本実施形態にかかる発電システム100によれば、分離装置116が常温より高温の温度環境下で酸素を吸着する酸素吸着剤を備える構成により、空気極オフガスKOGの熱エネルギーを損なうことなく、そのまま酸素の分離に利用することができる。したがって、空気極オフガスKOGから効率よく酸素(酸素富化ガスSFG)を分離することが可能となる。
【0036】
また、燃料電池114の空気極には、コンプレッサ122によって昇圧された酸素含有ガスSGが供給されるため、空気極オフガスKOGも大気圧より高圧となっている。したがって、別途のコンプレッサを備えずとも空気極オフガスKOGを吸着塔150に供給することができる。なお、燃料電池114と吸着塔150との間にコンプレッサを設けておくことも考えられる。しかし、この場合、燃料電池114の発電効率を向上できない。一方、発電システム100のように、燃料電池114の上流側にコンプレッサ122を設ける構成、すなわち、コンプレッサ122が酸素含有ガスSGを昇圧して燃料電池114の空気極に供給する構成により、燃料電池114の発電効率を向上させ、かつ、吸着塔150に空気極オフガスKOGを供給することが可能となる。
【0037】
また、上記したように、燃料極オフガスNOGは、二酸化炭素、水、一酸化炭素、水素で構成される。このため、オフガス燃焼器118が、燃料極オフガスNOGを酸素富化ガスSFGで燃焼させることにより、窒素を殆ど含まない燃焼排ガスHG(二酸化炭素、水)を生成することができる。したがって、凝縮器128が燃焼排ガスHGを冷却するだけで容易に二酸化炭素NGを分離することが可能となる。このため、二酸化炭素NGの分離に要するコストを低減することが可能となる。
【0038】
そして、二酸化炭素圧縮機130、二酸化炭素回収部132によって二酸化炭素NGを回収することにより、二酸化炭素NGが大気に排出される事態を回避することができる。つまり、発電システム100は、CO
2フリーの発電を行うことが可能となる。
【0039】
また、燃料電池114から出力された電力によって、減圧ポンプ152、二酸化炭素圧縮機130が駆動されることから、外部の電力を消費せずに、電力、熱、酸素富化ガスSFG、窒素富化ガスCFGを生成することができる。
【0040】
(シミュレーション)
発電システム100が250kWの電力を発電できる場合、空気極オフガスKOGは、酸素濃度16%、温度600℃、圧力0.2MPa、流量1250Nm
3/hである。この空気極オフガスKOGから分離装置116が分離(製造)できる酸素富化ガスSFGの製造量は、最大で100m
3/hであり、電力原単位は、酸素1m
3あたり0.35kWhである。一方、オフガス燃焼器118において、燃料極オフガスNOGを完全酸化するために必要な酸素は、12.6m
3/hである。以上のことから、分離装置116は、オフガス燃焼器118で消費されるより多量の酸素富化ガスSFGを製造できることが分かった。
【0041】
(第2の実施形態:発電システム200)
図2は、第2の実施形態にかかる発電システム200を説明する図である。
図2に示すように、発電システム200は、脱硫装置110と、改質器112と、燃料電池114と、分離装置116と、オフガス燃焼器218と、燃焼機関120と、コンプレッサ122と、発電機124と、熱交換器126と、インバータ140とを含んで構成される。なお、
図2中、ガスや水等の物質の流れを実線の矢印で示し、電力の流れを破線の矢印で示す。また、上述した発電システム100と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して重複説明を省略する。
【0042】
本実施形態において、オフガス燃焼器218には、燃料電池114の燃料極から排出された燃料極オフガスNOGと、酸素含有ガスSG(例えば、空気)とが供給され、オフガス燃焼器218は、燃料極オフガスNOGを酸素含有ガスSGに含まれる酸素によって燃焼させる。
【0043】
また、本実施形態の発電システム200では、分離装置116によって分離された窒素富化ガスCFGが、オフガス燃焼器218に供給される。燃料を空気で燃焼させる場合、燃焼温度が所定温度(例えば、1200℃)以上となると、NOx(窒素酸化物)の生成量が急激に増加する(拡大Zeldovich機構)。したがって、燃料電池114、オフガス燃焼器218、燃焼機関120、コンプレッサ122を備える従来のシステムには、空気から窒素富化ガスを製造する専用の装置が設けられており、製造した窒素富化ガスをオフガス燃焼器218に供給して、燃焼温度を低下させていた。したがって、窒素富化ガスを製造する専用の装置自体のイニシャルコスト、および、ランニングコストがかかっていた。
【0044】
一方、本実施形態の発電システム200では、分離装置116によって分離された窒素富化ガスCFGを、オフガス燃焼器218に供給する構成により、窒素富化ガスCFGを製造する専用の装置を備えずとも、NOxの生成を低減することが可能となる。つまり、低コストでNOxの生成を低減することができ、発電システム200から排気される燃焼排ガスHG中のNOxを低減することが可能となる。
【0045】
(第3の実施形態:発電システム300)
図3は、第3の実施形態にかかる発電システム300を説明する図である。
図3に示すように、発電システム300は、脱硫装置110と、改質器112と、燃料電池114と、分離装置116と、オフガス燃焼器318と、燃焼機関120と、コンプレッサ322と、発電機124と、熱交換器126と、インバータ140とを含んで構成される。なお、
図3中、ガスや水等の物質の流れを実線の矢印で示し、電力の流れを破線の矢印で示す。また、上述した発電システム100と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して重複説明を省略する。
【0046】
本実施形態において、コンプレッサ322は、酸素含有ガスSGおよび酸素富化ガスSFGの混合気SG/SFGを昇圧する。そして、昇圧された混合気SG/SFGは、熱交換器126を介して燃料電池114の空気極に供給される。
【0047】
また、本実施形態において、オフガス燃焼器318には、燃料電池114の燃料極から排出された燃料極オフガスNOGと、コンプレッサ322によって昇圧された混合気SG/SFGとが供給され、オフガス燃焼器318は、燃料極オフガスNOGを混合気SG/SFGに含まれる酸素によって燃焼させる。
【0048】
オフガス燃焼器318にコンプレッサ322によって昇圧された混合気SG/SFGを供給する構成により、燃料極オフガスNOGと混合気SG/SFGとの圧力差を低減することができる。これにより、オフガス燃焼器318において、効率よく燃料極オフガスNOGを燃焼させることが可能となる。
【0049】
また、酸素含有ガスSGが空気である場合、混合気SG/SFGは、酸素含有ガスSGよりも酸素分圧が高い。したがって、酸素分圧の高い混合気SG/SFGを燃料電池114の空気極に供給することで、燃料電池114の性能を向上させることができる。
【0050】
(第4の実施形態:発電システム400)
図4は、第4の実施形態にかかる発電システム400を説明する図である。
図4に示すように、発電システム400は、所謂、石炭ガス化複合発電システムであり、ストックヤード410と、微粉炭化装置412と、搬送部414と、石炭ガス化炉416と、燃料電池114と、分離装置116と、オフガス燃焼器118と、燃焼機関120と、コンプレッサ122と、発電機124と、熱交換器126と、凝縮器128と、二酸化炭素圧縮機130と、二酸化炭素回収部132と、インバータ140を含んで構成される。なお、
図4中、ガスや水等の物質の流れを実線の矢印で示し、電力の流れを破線の矢印で示す。また、上述した発電システム100と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して重複説明を省略する。
【0051】
ストックヤード410は、石炭STを貯留する。微粉炭化装置412には、ストックヤード410に貯留された石炭STが導入される。微粉炭化装置412(貯留部)は、石炭STを粉砕して微粉炭BTを製造する。搬送部414は、微粉炭化装置412が製造した微粉炭BTを、不活性ガス(例えば、窒素富化ガス)を用いて、石炭ガス化炉416に気流搬送する。
【0052】
石炭ガス化炉416は、少なくとも酸素を含むガスと、微粉炭BTとを反応させて、少なくとも水素を含むガス化ガスSGGを生成する。本実施形態において、石炭ガス化炉416には、分離装置116によって分離された酸素富化ガスSFGが導入される。したがって、石炭ガス化炉416は、分離装置116によって分離された酸素富化ガスSFGと、微粉炭BTとを反応させて、ガス化ガスSGGを生成する。
【0053】
石炭ガス化炉416を備えた従来のシステムには、空気から酸素富化ガスを製造する専用の装置が設けられており、製造した酸素富化ガスSFGを石炭ガス化炉416に供給して、ガス化ガスSGGの生成効率の向上を図っていた。したがって、酸素富化ガスを製造する専用の装置自体のイニシャルコスト、および、ランニングコストがかかっていた。酸素富化ガスSFGを石炭ガス化炉416に供給する従来の石炭ガス化複合発電システムでは、酸素富化ガスを製造する専用の装置の動力がシステム全体の動力の約50%を占めるため、酸素富化ガスの製造に要するコストの低減が希求されていた。
【0054】
そこで、本実施形態の発電システム400では、分離装置116によって分離された酸素富化ガスSFGを、石炭ガス化炉416に供給する構成により、酸素富化ガスSFGを製造する専用の装置を備えずとも、ガス化ガスSGGを効率よく生成することが可能となる。つまり、低コストでガス化ガスSGGの生成効率の向上を図ることが可能となる。したがって、発電システム400全体の発電効率を向上でき、また、CO
2排出原単位の低減を図ることが可能となる。
【0055】
こうして、石炭ガス化炉416によって生成されたガス化ガスSGGは、燃料電池114の燃料極に供給される。
【0056】
また、本実施形態の搬送部414は、分離装置116によって分離された窒素富化ガスCFGを用いて、微粉炭化装置412が製造した微粉炭BTを石炭ガス化炉416に気流搬送する。これにより、搬送部414が利用する不活性ガスのコストを削減することができる。また、上記したように、窒素富化ガスCFGは、600℃程度と高温である。したがって、不活性ガスを利用する従来技術と比較して、不活性ガスの加熱に要するコストを削減することが可能となる。
【0057】
(シミュレーション)
発電システム400が1350kWの電力を発電する場合、石炭ガス化炉416で必要とされる酸素量は、553m
3/hとなる。また、発電システム400で生じる空気極オフガスKOGは、酸素濃度16%、温度600℃、圧力0.55MPa、流量6250Nm
3/hである。したがって、発電システム400の分離装置116で製造できる酸素(酸素富化ガスSFG)の量は、500m
3/hとなる。以上のことから、発電システム400では、石炭ガス化炉416で必要となる酸素の大半を空気極オフガスKOGで賄うことができ、小規模で高効率な発電システムを構築できることが分かった。
【0058】
(第5の実施形態:発電システム500)
図5は、第5の実施形態にかかる発電システム500を説明する図である。
図5に示すように、発電システム500は、メタン発酵槽510と、消化ガス圧縮機512と、二酸化炭素分離部514と、改質器516と、燃料電池114と、分離装置116と、オフガス燃焼器118と、燃焼機関120と、コンプレッサ122と、発電機124と、熱交換器126と、凝縮器128と、二酸化炭素圧縮機130と、二酸化炭素回収部532と、インバータ140を含んで構成される。なお、
図5中、ガスや水等の物質の流れを実線の矢印で示し、電力の流れを破線の矢印で示す。また、上述した発電システム100と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して重複説明を省略する。
【0059】
メタン発酵槽510は、バイオマスを嫌気的に微生物に分解させて、少なくともメタン(CH
4)と二酸化炭素を含む消化ガスSKGを発生させる。消化ガス圧縮機512は、消化ガスSKGを昇圧して、二酸化炭素分離部514に供給する。二酸化炭素分離部514は、例えば、二酸化炭素分離膜を含んで構成され、消化ガスSKGを、二酸化炭素NGと、メタン富化ガスGGとに分離する。
【0060】
改質器516は、メタン富化ガスGGを改質して、改質ガスKGを生成する。改質器516には、上記改質器112と同様に、炭化水素の水蒸気改質反応を促進するための触媒が配されており、改質器516にメタン富化ガスGGおよび水蒸気が供給されると、上記反応式(1)および反応式(2)に示す水蒸気改質反応が進行し、メタンが水素および一酸化炭素に改質される。
【0061】
二酸化炭素回収部532は、凝縮器128によって水が取り除かれた二酸化炭素NGに加えて、二酸化炭素分離部514が分離した二酸化炭素NGを回収する。
【0062】
以上説明したように、本実施形態にかかる発電システム500によれば、燃料電池114が、バイオマス由来の消化ガスSKGを用いて発電し、また、オフガス燃焼器118、凝縮器128、二酸化炭素圧縮機130、二酸化炭素回収部532によって二酸化炭素NGを回収することにより、カーボンネガティブ発電を行うことができる。
【0063】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0064】
例えば、上述した実施形態において、燃料電池114としてSOFCを例に挙げて説明した。しかし、常温より高温の空気極オフガスKOGを排出することができれば、燃料電池の種類に限定はない。例えば、燃料電池114として、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)を採用してもよい。また、燃料電池114として、SOFCとMSCFとを組み合わせた燃料電池を採用してもよい。
【0065】
また、上記実施形態において、分離装置116として、PSA法を利用した分離装置を例に挙げて説明した。しかし、分離装置116は、少なくとも、常温より高温の温度環境下で酸素を吸着する酸素吸着剤が内部に収容され、燃料電池114の空気極から排出された空気極オフガスKOGが供給される吸着塔を有していればよい。例えば、分離装置116として、温度スイング吸着(TSA:Temperature Swing Adsorption)法を利用した分離装置を採用してもよい。
【0066】
また、上記実施形態において、コンプレッサ122が酸素含有ガスSGとして空気を燃料電池114の空気極に供給する構成を例に挙げて説明した。しかし、コンプレッサ122は、酸素含有ガスSGとして、分離装置116によって分離された酸素富化ガスSFGを含むガス(例えば、空気と酸素富化ガスSFGとの混合気)を昇圧して燃料電池114の空気極に供給してもよい。これにより、燃料電池114の発電効率を向上させることができる。
【0067】
また、上記実施形態において、コンプレッサ122が、燃焼機関120の回転によって駆動される構成を例に挙げて説明した。しかし、コンプレッサ122は、電力で駆動されてもよい。この場合、コンプレッサ122が、燃料電池114が出力した電力(インバータ140によって交流電流に変換された電力)で駆動されることにより、消費電力を低減しつつ、酸素含有ガスSGを昇圧することができる。
【0068】
また、上記第4の実施形態において、石炭ガス化炉416に酸素富化ガスSFGが供給される構成を例に挙げて説明した。しかし、石炭ガス化炉416には、酸素富化ガスSFGに加えて、空気が供給されてもよい。