特許第6812202号(P6812202)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6812202X線コンピュータ断層撮影装置および表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6812202
(24)【登録日】2020年12月18日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】X線コンピュータ断層撮影装置および表示装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20201228BHJP
【FI】
   A61B6/00 330Z
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-212508(P2016-212508)
(22)【出願日】2016年10月31日
(65)【公開番号】特開2017-86902(P2017-86902A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2019年9月19日
(31)【優先権主張番号】特願2015-215602(P2015-215602)
(32)【優先日】2015年11月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】大石 圭佑
【審査官】 遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0139215(US,A1)
【文献】 特開2012−110703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 −6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を発生するX線源と、
被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
前記X線源と前記X線検出器とを開口を挟んで有する架台と、
前記開口の中心軸を床面に対して垂直方向に維持し、かつ前記架台を前記床面に対して垂直方向に移動可能に支持する支柱と、
前記X線源と前記X線検出器とにより形成される撮影視野を前記床面に投影した範囲、または、前記撮影視野に含まれる前記開口の外縁を前記床面に投影した範囲に対応する図形を、前記床面に表示する表示装置と、を具備し、
前記表示装置は、前記撮影視野内における被検体の所定の立ち位置または座る位置を表示し、CT撮影に関する検査情報に応じて、前記所定の立ち位置または座る位置に関する表示を変更する、
X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項2】
前記撮影視野に関する複数の図形を記憶する記憶回路をさらに具備し、
前記表示装置は、前記複数の図形にそれぞれ対応し、表示される図形を変更するための入力ボタンを有し、
前記表示装置は、前記入力ボタンを押下することで、前記記憶回路に記憶された前記入力ボタンそれぞれに対応する図形を表示する請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項3】
前記表示装置は、前記CT撮影において被検体に示す付加情報を表示する請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項4】
前記所定の立ち位置または座る位置に設けられ、前記被検体が前記所定の立ち位置または座る位置に位置しているか検出する第1センサと、
前記撮影視野内に設けられ、前記被検体が撮影視野内に位置しているか検出する第2センサと、
をさらに具備する請求項記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項5】
前記第1センサは、前記被検体の接触を検出可能なタッチセンサである請求項記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項6】
前記第1センサは、前記被検体の荷重を検出可能な荷重センサである請求項記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項7】
前記第2センサは、照射したレーザを前記被検体が遮ることにより前記被検体を検出可能なレーザセンサである請求項記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項8】
前記第1センサによる検出結果を基に、前記被検体が前記所定の立ち位置または座る位置に位置しているかを判定し、前記第2センサによる検出結果を基に、前記被検体が前記撮影視野外に位置しているかを判定する判定回路をさらに具備する請求項記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項9】
前記所定の立ち位置または座る位置に位置しないと判定された場合、前記被検体に対する警告と、前記架台のスライド動作の禁止と、前記架台のスライド動作の停止とのうち少なくとも1つを実行するよう制御し、前記被検体が前記撮影視野外に位置すると判定された場合、前記被検体に対する警告と、前記架台のスライド動作の禁止と、前記架台のスライド動作の停止とのうち少なくとも1つを実行するよう制御する制御回路をさらに具備する請求項記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項10】
前記表示装置は、前記警告を表示する請求項記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項11】
前記支柱は、前記架台を水平軸周りに回転可能に支持し、
前記表示装置は、前記架台の回転軸回りの回転角度に応じて、前記表示する図形を変化させる請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項12】
前記支柱は、前記開口の中心軸が床面に対して所定の角度を有する状態で、前記架台を前記床面に対して垂直方向に移動可能に支持し、
前記表示装置は、前記状態において、撮影視野を前記床面に投影した範囲、または、前記開口の外縁を前記床面に投影した範囲を示す図形を、前記床面に表示する、
請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項13】
前記支柱は、前記架台を前記垂直方向にスライド可能に支持するスライド機構と、前記架台を水平軸回りに回転可能に支持するチルト機構とを有し、
前記スライド機構が前記架台をスライドするための動力を発生する第1駆動装置と、
前記チルト機構が前記架台を回転するための動力を発生する第2駆動装置と、
前記第1駆動装置と第2駆動装置とを制御する制御回路と、
をさらに具備する請求項12記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項14】
前記架台の水平軸回りの複数の回転角度にそれぞれ対応する複数の図形を記憶する記憶回路と、
前記回転角度を入力する入力機器とをさらに具備し、
前記表示装置は、前記複数の図形の中から前記入力された回転角度に応じた図形を表示する請求項13記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項15】
前記架台の水平軸回りの回転角度に対応する図形を記憶する記憶回路と、
前記回転角度を入力する入力機器と、
前記入力された回転角度に応じて、前記図形を変形するための変形量を算出する算出部をさらに具備し、
前記表示装置は、前記算出された変形量で変形された前記図形を表示する請求項13記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項16】
X線を発生するX線と、X線を検出するX線検出器と、撮影領域を形成する開口を有し、前記開口を挟んで対向して配置された前記X線と前記X線検出器とを有する架台と、前記開口の中心軸を床面に対して垂直方向に維持し、かつ前記架台を前記床面に対して垂直方向に移動可能に支持する支柱とを具備するX線コンピュータ断層撮影装置に用いられ、
前記X線源と前記X線検出器とにより形成される撮影視野を前記床面に投影した範囲、または、前記撮影視野に含まれる前記開口の外縁を前記床面に投影した範囲に対応する図形を、前記床面に表示し、
前記撮影視野内における被検体の所定の立ち位置または座る位置を表示し、
CT撮影に関する検査情報に応じて、前記所定の立ち位置または座る位置に関する表示を変更する、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線コンピュータ断層撮影装置および表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線コンピュータ断層(Computed Tomography:CT)撮影は、通常、患者が寝台に横になる臥位状態で行われる。近年、嚥下等の診断において、立位または座位状態でのCT撮影が望まれている。
【0003】
立位または座位状態でのCT撮影の場合、患者と架台との接触を防ぐため、患者を適切な位置に立たせる必要がある。また、患者が適切な位置に立っているかどうかを判断する必要がある。しかしながら、当該立位または座位状態でのCT撮影において、患者を適切な位置に立たせる方法および患者が適切な位置に立っているかどうかを判断する方法は、確立されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−328440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施形態の目的は、立位または座位状態でのCT撮影において、被検体の安全を確保することができるX線コンピュータ断層撮影装置および表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、X線源と、X線検出器と、架台と、支柱と、表示装置と、を具備する。前記X線源は、X線を発生する。前記X線検出器は、被検体を透過したX線を検出する。前記架台は、前記X線源と前記X線検出器とを開口を挟んで有する。前記支柱は、前記開口の中心軸を床面に対して垂直方向に維持し、かつ前記架台を前記床面に対して垂直方向に移動可能に支持する。前記表示装置は、前記X線源と前記X線検出器とにより形成される撮影視野を前記架台の上下動方向から前記床面に投影した範囲、または、前記撮影視野に含まれる前記開口の外縁を前記架台の上下動方向から前記床面に投影した範囲に対応する図形を、前記床面に表示する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置を示す図である。
図2図2は、図1に示す第1表示装置について説明するための図である。
図3図3は、図1に示す第1表示装置における所定の立ち位置の表示例を示す図である。
図4図4は、図1に示す第1表示装置における撮影領域に対応した大きさの異なる図形の表示例を示す図である。
図5図5は、架台のチルト角に応じた表示装置における撮影領域の表示例を示す図である。
図6図6は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置における、撮影部位に応じた第1表示装置に対する表示制御の流れを示すフローチャートである。
図7図7は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置における、架台本体のチルト角に応じた第1表示装置に対する表示制御の流れを示すフローチャートである。
図8図8は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置における、被検体が所定の立ち位置に位置していない場合の動作制御の流れを示すフローチャートである。
図9図9は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置における、被検体が撮影領域外に位置している場合の動作制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置を説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能および構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0009】
図1は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置を示すブロック図である。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置(以降、X線CT装置と呼称する。)は、架台装置10とコンソール50とを有する。例えば、架台装置10はCT検査室に設置され、コンソール50はCT検査室に隣接する制御室に設置される。架台装置10とコンソール50とは有線または無線で互いに通信可能に接続される。架台装置10は、立位、座位または臥位の被検体をX線コンピュータ断層撮影(以降、CT撮影と呼称する。)するための構成を有するスキャン装置である。コンソール50は、架台装置10を制御するためのコンピュータあるいはワークステーションである。
【0011】
図1に示すように、架台11は、撮影領域をなす開口15が形成された略円筒形状の構造体である。当該撮影領域は、立位、座位または臥位状態でのCT撮影における撮影視野(FOV:field of view)と略一致する。架台11は、開口15を挟んで対向するように配置されたX線管17とX線検出器19とを収容する。
【0012】
より詳細には、架台11は、アルミ等の金属により形成されたメインフレームと、メインフレームにより中心軸R1回りに軸受等を介して回転可能に支持された回転フレーム21とを更に有している。メインフレームの回転フレーム21との接触部には環状電極が設けられている。メインフレームの当該接触部には環状電極に摺り接触するように導電性の摺動子が取り付けられている。回転フレーム21は、アルミ等の金属により円環形状に形成された金属枠であり、例えば、X線管17とX線検出器19とが取付けられている。X線管17とX線検出器19とは、例えば、回転フレーム21に形成された凹部に嵌め込んでもよいし、ネジ等の締結具により締結してもよい。
【0013】
回転フレーム21は、回転駆動装置23からの動力を受けて中心軸R1回りに一定の角速度で回転する。回転駆動装置23は、架台制御回路25からの制御に従って回転フレーム21を回転させるための動力を発生する。回転駆動装置23は、架台制御回路25からの駆動信号のデューティ比等に応じた回転速度で駆動することにより動力を発生する。回転駆動装置23は、例えば、ダイレクトドライブモータやサーボモータ等のモータにより実現される。本実施形態において、回転駆動装置23は、例えば、架台11に収容する。
【0014】
支柱13は、架台11を床面から離反して支持する基体である。支柱13は、例えば、円柱形状および角柱形状等の柱型形状を有する。支柱13は、例えば、プラスチックや金属等の任意の物質により形成される。支柱13は、例えば、架台11の側面に取り付けられる。支柱13は、立位の被検体をX線コンピュータ断層撮影するため、開口15の中心軸R1が床面に対して垂直方向を維持した状態において架台11をスライド可能に支持する。
【0015】
支柱13には架台11の垂直方向に関するスライドのための駆動装置(以降、支柱駆動装置と呼称する。)27が収容されている。支柱駆動装置27は、架台制御回路25からの制御に従って、架台11を垂直方向に関してスライドするための動力を発生する。具体的には、支柱駆動装置27は、架台制御回路25からの駆動信号のデューティ比等に応じた回転速度で駆動することにより動力を発生する。支柱13は、支柱駆動装置27からの動力を受けて、支柱13に対して架台11を垂直方向に関してスライドする。支柱駆動装置27は、例えば、ダイレクトドライブモータやサーボモータ等のモータにより実現される。
【0016】
支柱13は、例えば、架台11の水平軸(回転軸ともいう。以降、チルト軸と呼称する。)回りに回転可能に架台11を支持するように構成される。この場合、支柱13と架台11とは、架台11がチルト軸回りに回転可能に軸受77等を介して接続される。
【0017】
支柱13には架台11のチルト軸に関するチルトのための駆動装置(以降、チルト駆動装置と呼称する。)29が収容されている。チルト駆動装置29は、架台制御回路25からの制御に従って、架台11をチルト軸に関して回転するための動力を発生する。具体的には、チルト駆動装置29は、架台制御回路25からの駆動信号のデューティ比等に応じた回転速度で駆動することにより動力を発生する。支柱13は、チルト駆動装置29からの動力を受けて、架台11をチルト軸に関してチルトする。チルト駆動装置29は、例えば、ダイレクトドライブモータやサーボモータ等のモータにより実現される。
【0018】
これにより、立位および座位撮影と臥位撮影とを一台の架台装置10で選択的に実行することが可能になる。
【0019】
ここで、支柱13は架台11の両側に設けられる。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、1本の支柱13が架台11の両側部のうちの片側のみに接続されてもよい。また、支柱13は柱型形状を有するとしたが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、支柱13は、架台11の少なくとも一方の側部を支持可能であれば、U字形状等の如何なる形状を有していてもよい。
【0020】
第1表示装置31は、撮影領域または撮影領域に含まれる開口15の外縁に関する床面への投影に対応する図形を表示するための装置である。開口15の外縁は、架台11の内縁に対応する。第1表示装置31は、架台11によるCT撮影において、当該図形により被検体の所定の立ち位置または座る位置を表示する。当該撮影領域は、立位、座位または臥位状態でのCT撮影における撮影視野(FOV)と略一致する。
【0021】
第1表示装置31は、架台11の下方に位置する床面に設置される。第1表示装置31は、例えば、検査の都度、検査室の床面に敷くマット(敷設マット)であってもよい。この場合、取り外した後も正しい位置に設置できるよう、検査室の床面にマーカ等を設置してもよい。また、第1表示装置31は、例えば、液晶ディスプレイおよびLEDを用いた電光掲示板等であって、検査室の床に埋め込んで常設してもよい。
【0022】
図2は、図1に示す第1表示装置31について説明するための図である。
図2に示すように、第1表示装置31は、当該撮影領域313内における被検体の所定の立ち位置311を表示する。本実施形態では、第1表示装置31は、X線管17とX線検出器19とにより形成される撮影視野を架台11の上下動方向から床面に投影した範囲、または、開口15の外縁を架台11の上下動方向から床面に投影した範囲に対応する図形を表示する。図2において、第1表示装置31は、例えば、当該撮影領域313の中心に被検体の所定の立ち位置311を表示している。当該撮影領域313の中心は、当該開口15の中心と略一致している。なお、図2では、一例として、被検体の立ち位置311を表示しているが、これに限定されない。第1表示装置31は、被検体の座る位置あるいは被検体を座位状態とするための椅子等の設置位置を表示してもよい。なお、被検体の所定の立ち位置311に関する表示は、例えば、主記憶回路59に記憶されたプログラムに応じた、システム制御回路61による第1表示装置31の表示制御によって実現されてもよい。
【0023】
また、当該立ち位置311に第1センサ33が設けられる。第1センサ33は、例えば、被検体の接触を検出可能なタッチセンサ、圧力により生じる微弱な電流を検出可能な圧電センサ、および被検体の荷重を検出可能な荷重センサ等である。第1センサ33は、被検体を検出した場合、被検体の検出信号(以降、第1検出信号と呼称する。)をコンソール50の判定回路63へ送信する。ここで、第1センサ33として荷重センサを用いた場合、荷重を検出することが可能であるため、被検体の重心を把握することが可能になる。すなわち、被検体の傾きを把握することができる。なお、図2において、第1センサ33は、当該立ち位置311に設置されるが、これに限定されない。第1センサ33は、例えば、撮影領域313全域に設置してもよい。
【0024】
また、撮影領域313の輪郭に沿って第2センサ35が設置される。第2センサ35は、例えば、レーザ等を用いた光学センサである。第2センサ35は、例えば、照射されるレーザ等を被検体が遮った場合、被検体の検出信号(以降、第2検出信号と呼称する。)をコンソール50の判定回路63へ送信する。なお、第2センサ35の代わりに、LED等の光源を設置してもよい。これにより、被検体および操作者に対して、視覚的に被検体が撮影領域313外に位置していることを知らせることができる。また、撮影領域313の輪郭に沿って第2センサ35が設けられるが、本実施形態はこれに限定されない。第2センサ35は、撮影領域313全域に設置してもよい。
【0025】
また、第1表示装置31における撮影領域313外の領域315には、例えば、CT撮影において被検体に示す付加情報317を表示する。具体的には、主に肺および心臓を撮影する胸部CT撮影、または主に胃および腸を撮影する腹部CT撮影等に行われる息止め時間、所定の立ち位置または座る位置に位置していないこと、および撮影領域313外に位置していること等を通知する被検体への警告等の付加情報317を表示する。また、CT撮影における被検体の姿勢(例えば、立位、座位等の静的姿勢)を示す付加情報317を表示する。なお、付加情報317を視認しやすくするため、被検体の前方に付加情報317を表示するようにする。図2には、当該付加情報317の一例として、被検体の前方に当該息止め時間が表示されている。これらの付加情報は、所定のスキャンプランや撮影方法等に応じて、随時変更および追加が可能である。また、付加情報317の表示方法についても、図2に限定されない。
【0026】
ここで、第1表示装置31は、当該CT撮影に関する検査情報に応じて、立ち位置311に関する表示を変更してもよい。検査情報は、例えば、患者名、性別、身長、体重等の患者情報、CT撮影を行う撮影部位情報等を有する。具体的には、第1表示装置31は、被検体における撮影部位に応じて、撮影領域313内における被検体の所定の立ち位置311に関する表示を変更してもよい。図3は、図1に示す第1表示装置31における所定の立ち位置311の表示例を示す図である。例えば、図3に示すように、撮影領域313の中心からずらして、被検体の所定の立ち位置311を表示してもよい。ここで、被検体の所定の立ち位置311に関する表示は、例えば、主記憶回路59に記憶されたプログラムに応じた、システム制御回路61による第1表示装置31の表示制御によって実現されてもよい。
【0027】
また、第1表示装置31は、主記憶回路59に予め記憶された複数の図形の中から図形を選択し、選択した図形を選択して表示してもよい。図4は、図1に示す第1表示装置31における、撮影領域313に対応した大きさの異なる図形の表示例を示す図である。例えば、図4に示すように、第1表示装置31は、撮影部位に応じて、S、M、Lサイズ等の図形を選択し、選択した図形を撮影領域313として表示してもよい。また、第1表示装置31に入力ボタンを設け、当該入力ボタンを押下することにより、図形を変更してもよい。
【0028】
また、第1表示装置31は、架台11のチルト軸回りの回転角度(以降、チルト角と呼称する。)に応じて、表示する図形を変更してもよい。図5は、架台11のチルト角に応じた第1表示装置31における撮影領域313の表示例を示す図である。図5(a)に示すように、架台11が状態Aの場合、図5(b)に示すように、第1表示装置31は、撮影領域313を真円で表示する。一方、図5(a)に示すように、架台11が状態Bの場合、図5(c)に示すように、第1表示装置31は、撮影領域313を楕円で表示する。
【0029】
ここで、表示する図形を変更するのは、撮影領域313に関する床面への投影をチルト角に応じて略一致させるためである。言い換えれば、架台11上部から見た場合、撮影領域313が楕円に見えるためである。ここで、チルト角に応じた図形の表示は、主記憶回路59に予め記憶された複数の図形の中から架台11のチルト軸回りのチルト角に応じた図形を選択し、選択した図形に応じた第1表示装置31の表示制御によって実現されてもよい。また、チルト角に応じた図形の表示は、主記憶回路59に記憶されたプログラムの中からチルト角に応じたプログラムを読み出し、読み出したプログラムに応じた第1表示装置31の表示制御によって実現されてもよい。このとき、システム制御回路61は、例えば、当該チルト角とから楕円を算出してもよい。
【0030】
X線管17は、高電圧発生器37からの高電圧の印加を受けてX線を発生する。高電圧発生器37は、例えば、回転フレーム21に取付けられている。高電圧発生器37は、架台11の電源装置から環状電極を介して供給された電力から、架台制御回路25による制御に従いX線管17に印加する高電圧を発生する。高電圧発生器37とX線管17とは高圧ケーブルを介して接続されている。高電圧発生器37により発生された高電圧は、高圧ケーブルを介してX線管17に印加される。
【0031】
X線検出器19は、X線管17から発生され被検体を透過したX線を検出する。X線検出器19は、二次元湾曲面に配列された複数のX線検出素子を搭載する。各X線検出素子は、X線管17からのX線を検出し、検出されたX線の強度に応じた波高値を有する電気信号に変換する。各X線検出素子は、例えば、シンチレータと光電変換器とを有する。シンチレータはX線を受けて蛍光を発生する。光電変換器は、発生された蛍光を電荷パルスに変換する。電荷パルスはX線の強度に応じた波高値を有する。光電変換器としては、具体的には、光電子増倍管やフォトダイオード(Photo Diode)等の光子を電気信号に変換する機器が用いられる。なお、本実施形態に係るX線検出器19としてはX線を一旦蛍光に変換してから電気信号に変換する間接検出型の検出器に限定されず、X線を直接的に電気信号に変換する直接検出型の検出器であってもよい。
【0032】
データ収集回路39は、被検体により減弱されたX線の強度を示すデジタルのデータをビュー毎に収集する。データ収集回路39は、例えば、複数のX線検出素子の各々について設けられた積分回路とA/D変換器とが並列して実装された半導体集積回路により実現される。データ収集回路39は、架台11内においてX線検出器19に接続されている。積分回路は、X線検出素子からの電気信号を所定のビュー期間に亘り積分し、積分信号を生成する。A/D変換器は、生成された積分信号をA/D変換し、当該積分信号の波高値に対応するデータ値を有するデジタルデータを生成する。変換後のデジタルデータは、生データと呼ばれている。生データは、生成元のX線検出素子のチャンネル番号、列番号、および収集されたビューを示すビュー番号により識別されたX線強度のデジタル値のセットである。生データは、例えば、架台11に収容された非接触データ伝送装置を介してコンソール50に供給される。
【0033】
なお、架台11には、上記X線管17、X線検出器19、回転フレーム21、メインフレーム、電源装置、高電圧発生器37、およびデータ収集回路39だけでなく、CT撮影に必要なその他の種々の装置を収容してもよい。例えば、回転フレーム21にはX線管を冷却する冷却装置が取付けられてもよい。また、空調のためのファンが架台11に取付けられてもよい。
【0034】
架台制御回路25は、コンソール50のシステム制御回路61からの制御に従い高電圧発生器37、回転駆動装置23、支柱駆動装置27およびチルト駆動装置29を制御する。架台制御回路25は、ハードウェア資源として、CPUやMPU等の処理装置(プロセッサ)とROMやRAM等の記憶装置(メモリ)とを有する。また、架台制御回路25は、ASICやFPGA、CPLD、SPLD等により実現されてもよい。当該処理装置は、当該記憶装置に保存されたプログラムを読み出して実現することで上記機能を実現する。なお、当該記憶装置にプログラムを保存する代わりに、当該処理装置の回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、当該処理装置は、当該回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで上記機能を実現する。
【0035】
コンソール50は、バス(bus)を介して接続された画像再構成装置51、画像処理装置53、第2表示装置55、入力インターフェース(IF)回路57、主記憶回路59、およびシステム制御回路61を有する。画像再構成装置51、画像処理装置53、第2表示装置55、入力IF回路57、主記憶回路59、およびシステム制御回路61間のデータ通信は、バスを介して行われる。
【0036】
画像再構成装置51は、コンソール50からの生データに基づいて被検体に関するCT画像を再構成する。具体的には、画像再構成装置51は、前処理回路511、投影データ記憶回路513、および再構成演算回路515を有する。前処理回路511は、架台装置10からの生データに前処理を施す。前処理としては、対数変換やX線強度補正、オフセット補正等の各種の補正処理を含む。前処理後の生データは、投影データと呼ばれている。投影データ記憶回路513は、前処理回路511により生成された投影データを記憶するHDDやSSD、集積回路記憶装置等の記憶装置である。再構成演算回路515は、投影データに基づいて被検体に関するCT値の空間分布を表現するCT画像を発生する。画像再構成アルゴリズムとしては、FBP(filtered back projection)法やCBP(convolution back projection)法等の解析学的画像再構成法や、ML−EM(maximum likelihood expectation maximization)法やOS−EM(ordered subset expectation maximization)法等の統計学的画像再構成法等の既存の画像再構成アルゴリズムが用いられればよい。
【0037】
画像再構成装置51は、ハードウェア資源として、CPUやMPU、GPU(Graphics Processing Unit)等の処理装置(プロセッサ)とROMやRAM等の記憶装置(メモリ)とを有する。また、画像再構成装置51は、ASICやFPGA、CPLD、SPLDにより実現されてもよい。当該処理装置は、当該記憶装置に保存されたプログラムを読み出して実行することで前処理回路511と再構成演算回路515との機能を実現する。なお、当該記憶装置にプログラムを保存する代わりに、当該処理装置の回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、当該処理装置は、回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで前処理回路511と再構成演算回路515との機能を実現する。また、上記前処理回路511として機能する専用のハードウェア回路と再構成演算回路515として機能する専用のハードウェア回路とが画像再構成装置に実装されてもよい。
【0038】
画像処理装置53は、画像再構成装置51により再構成されたCT画像に種々の画像処理を施す。例えば、画像処理装置53は、CT画像がボリュームデータの場合、当該CT画像にボリュームレンダリングや、サーフェスボリュームレンダリング、画像値投影処理、MPR(Multi-Planer Reconstruction)処理、CPR(Curved MPR)処理等の3次元画像処理を施して表示画像を発生する。画像処理装置53は、ハードウェア資源として、CPUやMPU、GPU等の処理装置(プロセッサ)とROMやRAM等の記憶装置(メモリ)とを有する。また、画像処理装置53は、ASICやFPGA、CPLD、SPLDにより実現されてもよい。
【0039】
第2表示装置55は、2次元のCT画像や表示画像等の種々の情報を表示する。第2表示装置55としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、または当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
【0040】
入力IF回路57は、ユーザからの各種指令および情報入力を受け付ける。入力IF回路57としては、キーボード、マウス、各種スイッチ等が利用可能である。入力IF回路57には、例えば、架台11の任意のチルト軸回りのチルト角が入力される。なお、入力IF回路57は、コンソール50に設けられてもよいし、架台装置10に設けられてもよい。
【0041】
主記憶回路59は、種々の情報を記憶するHDDやSSD、集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、主記憶回路59は、CD−ROMドライブやDVDドライブ、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であってもよい。例えば、主記憶回路59は、本実施形態に係るCT撮影に関する制御プログラム等を記憶する。具体的には、主記憶回路59は、撮影部位に応じた表示制御を実行するためのプログラムを記憶する。また、主記憶回路59は、撮影領域313に関する複数の図形を予め記憶する。例えば、主記憶回路59は、図4に示す大きさの異なる図形を記憶する。また、主記憶回路59は、架台11のチルト軸回りの複数の回転角度にそれぞれ対応する複数の図形を記憶する。
【0042】
システム制御回路61は、ハードウェア資源として、上記の処理装置と記憶装置とを有する。システム制御回路61は、本実施形態に係るX線CT装置の中枢として機能する。具体的には、システム制御回路61は、主記憶回路59に記憶されている制御プログラムを読み出してメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従ってX線CT装置の各部を制御する。
【0043】
判定回路63は、例えば、第1センサ33による検出結果を基に、被検体が所定の立ち位置または座る位置に位置しているかを判定する。判定回路63により被検体が所定の立ち位置または座る位置に位置していないと判定された場合、システム制御回路61は、架台制御回路25を介して、被検体に対して被検体が所定の立ち位置または座る位置に位置していないことを通知する警告と、架台11のスライド動作の禁止と、架台11のスライド動作の停止とのうち少なくとも1つを実行するよう制御する。また、判定回路63は、例えば、第2センサ35による検出結果を基に、被検体が撮影領域313外に位置しているかを判定する。被検体が撮影領域313外に位置していると判定された場合、システム制御回路61は、架台制御回路25を介して、被検体に対して被検体が撮影領域313外に位置していることを通知する警告と、架台11のスライド動作の禁止と、架台11のスライド動作の停止とのうちの少なくとも1つを実行する。
【0044】
なお、画像再構成装置51、画像処理装置53、システム制御回路61および判定回路63は、コンソール50内の単一の基板に集約されてもよいし、複数の基板に分散して実装されてもよい。
【0045】
ここで、本実施形態におけるX線CT装置の動作例について、図を参照して詳しく説明する。
【0046】
(撮影部位に応じた第1表示装置31に対する表示制御)
図6は、撮影部位に応じた第1表示装置31に対する表示制御の流れを示すフローチャートである。
【0047】
図6に示すように、システム制御回路61は、例えば、入力IF回路57により選択された撮影部位情報を取得する(ステップST11)。例えば、第2表示装置55に表示された複数の撮影部位の中から、CT撮影を実行する任意の撮影部位を入力IF回路57により選択する。システム制御回路61は、主記憶回路59から当該取得した撮影部位情報に応じたプログラムを読み出す(ステップST12)。システム制御回路61は、読み出したプログラムに応じて、第1表示装置31に対する表示制御を実行する(ステップST13)。例えば、システム制御回路61は、第1表示装置31に対して、選択した撮影部位に応じた被検体の所定の立ち位置311を表示するよう制御する。これにより、第1表示装置31には、選択した撮影部位に応じた所定の立ち位置311が表示される。また、システム制御回路61は、第1表示装置31に対して選択した撮影部位に応じた大きさの図形を表示するよう制御する。これにより、選択した撮影部位に応じた大きさの撮影領域が表示される。
【0048】
なお、システム制御回路61は、架台制御回路25を介して第1表示装置31を制御する。
【0049】
(架台11のチルト角に応じた第1表示装置31に対する表示制御)
図7は、架台11のチルト角に応じた第1表示装置31に対する表示制御の流れを示すフローチャートである。
【0050】
図7に示すように、システム制御回路61は、例えば、架台11のチルト角を取得する(ステップST21)。チルト角は、例えば、入力IF回路57に入力され、送信される。システム制御回路61は、主記憶回路59から当該取得したチルト角に応じたプログラムを読み出す(ステップST22)。システム制御回路61は、読み出したプログラムに応じて、第1表示装置31の表示制御を実行する(ステップST23)。例えば、システム制御回路61は、第1表示装置31に対してチルト角に応じた図形を表示するよう制御する。これにより、チルト角に応じた真円または楕円の撮影領域313が表示される。
【0051】
なお、システム制御回路61は、架台制御回路25を介して第1表示装置31を制御する。
【0052】
(被検体が所定の立ち位置311に位置していない場合の動作制御)
図8は、被検体が所定の立ち位置311に位置していない場合の動作制御の流れを示すフローチャートである。
【0053】
図8に示すように、システム制御回路61は、第1センサ33から第1検出信号を受信しない場合(ステップST31のNo)、CT撮影中か否かを判定する(ステップST32)。CT撮影中の場合(ステップST32のYes)、システム制御回路61は、X線照射を停止するよう制御する(ステップST33)。具体的には、高電圧発生器37に対して、高電圧の印加を停止するよう制御する。また、システム制御回路61は、回転駆動装置23に対して架台11の動作を停止するよう制御する(ステップST34)。さらに、システム制御回路61は、支柱駆動装置27に対して架台11の動作を停止するよう制御する(ステップST35)。
【0054】
また、CT撮影中でない場合(ステップST32のNo)、システム制御回路61は、支柱駆動装置27に対して架台11の動作を禁止するよう制御する(ステップST36)。システム制御回路61は、第1表示装置31に対して、被検体が所定の立ち位置311に位置していないことを通知する警告を表示するよう制御する(ステップST37)
なお、システム制御回路61は、架台制御回路25を介して第1表示装置31を制御する。
【0055】
(被検体が撮影領域313外に位置している場合の動作制御)
図9は、被検体が撮影領域313外に位置している場合の動作制御の流れを示すフローチャートである。
【0056】
図9に示すように、システム制御回路61は、第2センサ35から第2検出信号を受信した場合(ステップST41のYes)、CT撮影中か否かを判定する(ステップST42)。CT撮影中の場合(ステップST42のYes)、システム制御回路61は、X線照射を停止するよう制御する(ステップST43)。具体的には、高電圧発生器37に対して高電圧の印加を停止するよう制御する。また、システム制御回路61は、回転駆動装置23に対して架台11の動作を停止するよう制御する(ステップST44)。さらに、システム制御回路61は、支柱駆動装置27に対して架台11の動作を停止するよう制御する(ステップST45)。
【0057】
また、CT撮影中でない場合(ステップST42のNo)、システム制御回路61は、支柱駆動装置27に対して架台11の動作を禁止するよう制御する(ステップST46)。システム制御回路61は、第1表示装置31に対して、被検体が撮影領域313外に位置していることを通知する警告を表示するよう制御する(ステップST47)
なお、システム制御回路61は、架台制御回路25を介して第1表示装置31を制御する。
【0058】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態に係るX線CT装置は、X線を発生するX線源と、被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、X線源と前記X線検出器とを開口を挟んで有する架台と、開口の中心軸を床面に対して垂直方向に維持し、かつ架台を前記床面に対して垂直方向に移動可能に支持する支柱と、X線源とX線検出器とにより形成される撮影視野を架台の上下動方向から床面に投影した範囲、または、開口の外縁を架台の上下動方向から前記床面に投影した範囲に対応する図形を、床面に表示する表示装置と、を備える。表示装置は、撮影領域に関する床面の一部への投影に対応する図形を床面に表示することで、被検体を適切な位置に立たせることが可能になる。
【0059】
したがって、本実施形態に係るX線CT装置は、立位または座位状態でのCT撮影において、被検体と架台との接触を防ぐことができる。すなわち、立位または座位状態でのCT撮影において、被検体の安全を確保することができるX線コンピュータ断層撮影装置および表示装置を提供することができる。
【0060】
また、上記説明において用いた「所定のプロセッサ」という文言は、例えば、専用又は汎用のprocessor、circuitry、processing circuitry、operation circuitry、arithmetic circuitry、あるいは、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、Simple Programmable Logic Device(SPLD)、Complex Programmable Logic Device(CPLD)、およびField Programmable Gate Array(FPGA)等を意味する。また、本実施形態の各構成要素(各処理回路)は、単一のプロセッサに限らず、複数のプロセッサによって実現するようにしてもよい。さらに、複数の構成要素(複数の処理回路)を、単一のプロセッサによって実現するようにしてもよい。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0062】
10…架台装置、11…架台、13…支柱、15…開口、17…X線管、19…X線検出器、21…回転フレーム、23…回転駆動装置、25…架台制御回路、27…支柱駆動装置、29…チルト駆動装置、31…第1表示装置、33…第1センサ、35…第2センサ、37…高電圧発生器、39…データ収集回路、50…コンソール、51…画像再構成装置、511…前処理回路、513…投影データ記憶回路、515…再構成演算回路、53…画像処理装置、55…第2表示装置、57…入力インターフェース(IF)回路、59…主記憶回路、61…システム制御回路、63…判定回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9