(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6812295
(24)【登録日】2020年12月18日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】電気電子機器収納用箱
(51)【国際特許分類】
H02B 1/40 20060101AFI20201228BHJP
H01H 73/20 20060101ALI20201228BHJP
H02B 1/20 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
H02B1/40 D
H01H73/20 B
H02B1/20 D
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-78892(P2017-78892)
(22)【出願日】2017年4月12日
(65)【公開番号】特開2018-182891(P2018-182891A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮山 将
(72)【発明者】
【氏名】和田 真一
【審査官】
内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−158420(JP,A)
【文献】
特開2016−093045(JP,A)
【文献】
特開平11−089018(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第101847552(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40 − 1/44
H01H 69/00 − 69/01
H01H 71/00 − 83/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグイン端子を備え母線バーにプラグ接続するアダプタと、アダプタ上に載置されプラグイン端子に電気的に接続されるブレーカと、で構成されるプラグインユニットで分岐回路を構成する電気電子機器収納用箱であって、
前記アダプタ上に接地端子を設けた電気電子機器収納用箱。
【請求項2】
プラグインユニットをユニット取付レールに固定する固定ねじと前記接地端子が電気的に接続する導通金具をアダプタに設けた請求項1に記載の電気電子機器収納用箱。
【請求項3】
前記固定ねじと前記接地端子とが共通の部材で構成された請求項2に記載の電気電子機器収納用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気電子機器収納用箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、母線バーにプラグ接続するためのアダプタと、このアダプタ上に載置されたブレーカを備えたプラグインユニットを分電盤に設置することは知られている。また、アース配線を行うために、樹脂製の取付基台と銅バーからなるアースバーセットを機器取付レールなどに取り付けることが知られている。アース線は、銅バーに接続されるが、銅バーは筐体に設けられたアース端子に接続されるため、筐体との間にアース経路をとることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−312865号公報
【0004】
しかし、このような方法では、アースバーセットを筐体に設置する必要がある。アースバーセットの設置作業には時間がかかり、作業効率が良くなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明の課題は、アースバーセットを設置せずとも、アース線の接続箇所を確保できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、プラグイン端子を備え母線バーにプラグ接続するアダプタと、アダプタ上に載置されプラグイン端子に電気的に接続されるブレーカと、で構成されるプラグインユニットで分岐回路を構成する電気電子機器収納用箱であって、前記アダプタ上に接地端子を設けた電気電子機器収納用箱とする。
【0007】
また、プラグインユニットをユニット取付レールに固定する固定ねじと前記接地端子が電気的に接続する導通金具をアダプタに設けた構成とすることが好ましい。
【0008】
また、前記固定ねじと前記接地端子とが共通の部材で構成された構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、アースバーセットを設置せずとも、アース線の接続箇所を確保できるようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】電気電子機器収納用箱に取り付けられる内機の斜視図である。
【
図2】内機からプラグインユニットを分離した状態の斜視図である。
【
図3】分岐ユニットからプラグインユニットを分離した状態の斜視図である。
【
図5】プラグインユニットに電源線及びアース線が接続された状態を示した斜視図である。
【
図6】アース端子台を介して、アース線を取付レールに対して取り付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に発明を実施するための形態を示す。本実施形態の電気電子機器収納用箱は、アダプタ7とブレーカ6で構成されるプラグインユニット5で分岐回路を構成する。より詳しくは、プラグイン端子を備え母線バー41にプラグ接続するアダプタ7と、アダプタ7上に載置されプラグイン端子に電気的に接続されるブレーカ6と、で構成されるプラグインユニット5で分岐回路を構成する。また、このアダプタ7上に接地端子8を設けている。したがって、アースバーセットを設置せずとも、アース線91の接続箇所を確保できるようにすることが可能となる。
【0012】
ここで、電気電子機器収納用箱の内部に設置される内機2について説明する。
図1に示すように、本実施形態の内機2は、主幹ブレーカ63と、主幹ブレーカ63の下流側に位置する分岐ユニット4を備えている。主幹ブレーカ63と分岐ユニット4は取付部21に取り付けられ、取付部21を介して電気電子機器収納用箱に固定される。本実施形態の取付部21は二本の取付レール22を備えており、この取付レール22間を渡すように設けられた取付台23が主幹ブレーカ63や分岐ユニット4を支持している。
【0013】
本実施形態の分岐ユニット4は、三本の母線バー41と、母線バー41を支える樹脂製のバー支持部材42と、母線バー41と平行に設けられた金属製のユニット取付レール43と、ユニット取付レール43を支える樹脂製の支持部材44で構成される。なお、母線バー41と、ユニット取付レール43とは、電気的に接続されていない。
【0014】
図2及び
図3に示すことから理解されるように、本実施形態では、このような分岐ユニット4に対して、プラグインユニット5を取り付ける。より詳しくは、母線バー41の上方からプラグインユニット5をプラグ接続し、ユニット取付レール43に固定ねじ98等で固定する。
【0015】
分岐ユニット4に取り付けられるプラグインユニット5は、アダプタ7とブレーカ6とで構成される。アダプタ7は、その背面に図示しないプラグイン端子を複数備えている。各々のプラグイン端子は三本の母線バー41とそれぞれ接続される。また、各プラグイン端子と電気的に接続された3つの接続端子(図示せず)を前面に備えている。
【0016】
ブレーカ6はアダプタ7の前面に載置される。この際、各端子部をアダプタ7の接続端子に接続することで、主幹ブレーカ63⇒母線バー41⇒アダプタ7⇒ブレーカ6が電気的に接続され、もう一方の接続端子に接続された負荷に給電するための経路が構成される。
【0017】
本実施形態では、このような内機2を備えた分電盤であるが、負荷のアース線91を分電盤内に配線し、筐体のアース端子等に接続することで、接地することが可能なように構成されている。特に、アダプタ7上に負荷のアース線91を接続する接地端子8を設けているため、この点について以下で説明する。
【0018】
図4に示すように、本実施形態では、プラグインユニット5のアダプタ7に、固定ねじ98と電気的に接する導通金具92を設け、その導通金具92に接地端子8を取付ける。そして、
図5に示すように、接地端子8に、アース線91を固定することによって、アース線91⇒接地端子8⇒導通金具92⇒固定ねじ98⇒ユニット取付レール43という経路を経て接地することができる。なお、ユニット取付レール43や、取付台23、取付レール22などを、電線等を介して筐体のアース端子と接続したり、直接的に筐体と接地したりすることで、アース線91を接地することができる。
【0019】
このように、プラグインユニット5のアダプタ7に接地端子8を設けることで、筐体内に別途設けていたアースバーセットの設置作業を不要とすることができる。また、プラグインユニット5とユニット取付レール43を固定ねじ98を用いて固定する構造とし、この固定ねじ98と接地端子8を電気的に接続する導通金具92をアダプタ7に設けた構成とすれば、固定ねじ98を介して接地する構成とすることができる。
【0020】
本実施形態では、ブレーカ6を載置する載置台71上に接地端子8が位置するように構成されている。また、この接地端子8は電源側端子(図示せず)との距離よりも負荷側端子61との距離が短くなる位置に設けられている。このように、ブレーカ6の負荷側端子61に近い位置に接地端子8を設ければ、負荷側の配線と、アース配線とを同時に行うことができるため、作業効率を良くすることができる。
【0021】
また、固定ねじ98と接地端子8とを共通の部材で構成することで、一つの部材に固定ねじ98の機能と接地端子8の機能とを持たせることも可能である。プラグインユニット5をユニット取付レール43に固定する固定ねじ98にアース線91が取り付けられた場合、アース線91⇒固定ねじ98⇒ユニット取付レール43という経路を経て接地することができるようになる。したがって、部品点数の増加を抑制しながら接地経路を構成することが可能となる。
【0022】
ここで、
図6のように取付レール22に取付けられるアース端子台100にアース線101を接続することで、アース線101を接地することができる。
図7に示すように、このアース端子台100は、本体部102と可動部103と導体部104で構成されている。本体部102には、アース線と接続するための端子部を備え、端子部と導体部104は電気的に接続されている。このとき、端子部はアース線101を挿入するだけで接続される速結構造であることが好ましい。また、本体部102を取付レール22に取り付けた後、可動部103を可動させることで、アース端子台100を取付レール22に固定することができ、本体部102の裏側に設けられた導体部104と取付レール22とが接触することで導体部104を介して、端子部と取付レール22とが電気的に接続される。このとき、導体部104は取付レール22に接触することで、弾性変形するバネ部材であることが好ましく、バネ部材とすることによって広い接触面積を確保することができる。さらに、導体部104に突起部を設け、取付レール22に設けられた取付穴と突起部を嵌合させることで、取付レール22に対するアース端子台100の固定をより強固にすることができる。
【0023】
以上、いくつかの実施形態を中心に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。
【符号の説明】
【0024】
5 プラグインユニット
6 ブレーカ
7 アダプタ
8 接地端子
41 母線バー
42 ユニット取付レール
91 アース線
98 固定ねじ