特許第6812304号(P6812304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6812304
(24)【登録日】2020年12月18日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】車両用シートおよびシート操作部
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/06 20060101AFI20201228BHJP
   B60N 2/64 20060101ALI20201228BHJP
   B60N 2/20 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
   B60N2/06
   B60N2/64
   B60N2/20
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-110561(P2017-110561)
(22)【出願日】2017年6月5日
(65)【公開番号】特開2018-203045(P2018-203045A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2019年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】秋元 紀人
(72)【発明者】
【氏名】本多 正明
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−216708(JP,A)
【文献】 特開平11−310068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 − 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションと、シートバックと、を有し、
前記シートバックは、
前記シートバックの背面に設けられたシート操作部を有し、
前記シート操作部は、
1本の軸部材と、
第1軸受け部と第2軸受け部とを有する取り付け枠部と、
横並びに配置された第1操作部及び第2操作部と、を含み、
前記軸部材は、
前記第1軸受け部と前記第2軸受け部とに取り付けられ、
前記第1軸受け部と前記第2軸受け部との間において前記取り付け枠との固定部は有さないと共に、前記第1操作部及び前記第2操作部の回動中心とされ、
前記取り付け枠部は、
前記第1操作部が配置される第1収容凹部と、
前記第2操作部が配置される第2収容凹部と、を含む、
ことを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シートにおいて、
前記第1操作部及び前記第2操作部は、前記第1軸受け部と前記第2軸受け部との間に配置される、車両用シート。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用シートにおいて、
前記第1軸受け部及び前記第2軸受け部は、前記取り付け枠部に設けられた丸穴形状を有する開口部である、車両用シート。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用シートにおいて、
前記第1収容凹部は、
前記第1軸受け部が設けられた左側面と、
右側面と、を含み、
前記第2収容凹部は、
左側面と、
前記第2軸受け部が設けられた右側面と、を含み、
前記第1収容凹部の前記右側面と前記第2収容凹部の前記左側面は、前記軸部材を通すことが可能な溝構造の開口部を有する、車両用シート。
【請求項5】
シートバックの背面に設けられるシート操作部であって、
前記シート操作部は、
1本の軸部材と、
第1軸受け部と第2軸受け部とを有する取り付け枠部と、
横並びに配置された第1操作部及び第2操作部と、を含み、
前記軸部材は、前記第1軸受け部と前記第2軸受け部とに取り付けられ、前記第1軸受け部と前記第2軸受け部との間において前記取り付け枠部との固定部は有さないと共に、前記第1操作部及び前記第2操作部の回動中心とされ、
前記取り付け枠部は、
前記第1操作部が配置される第1収容凹部と、
前記第2操作部が配置される第2収容凹部と、を含む、
ことを特徴とするシート操作部。
【請求項6】
請求項5に記載のシート操作部において、
前記第1操作部及び前記第2操作部は、前記第1軸受け部と前記第2軸受け部との間に配置される、シート操作部。
【請求項7】
請求項6に記載のシート操作部において、
前記第1軸受け部及び前記第2軸受け部は、前記取り付け枠部に設けられた丸穴形状を有する開口部である、シート操作部。
【請求項8】
請求項7に記載のシート操作部において、
前記第1収容凹部は、
前記第1軸受け部が設けられた左側面と、
右側面と、を含み、
前記第2収容凹部は、
左側面と、
前記第2軸受け部が設けられた右側面と、を含み、
前記第1収容凹部の前記右側面と前記第2収容凹部の前記左側面は、前記軸部材を通すことが可能な溝構造の開口部を有する、シート操作部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用シートおよびシート操作部に関し、特に、シート操作部をシート背面に有する車両用シートに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
車両用シートには、シート操作部として、シート本体の前後方向の位置調整を可能にする機構(スライド機構)と、座面を形成するシートクッションと背もたれを形成するシートバックとの角度調整を可能にする機構(リクライニング機構)とを備えるものがある。
【0003】
特許文献1は、複数の操作部材をシートバックの背裏に設けた車両用シートを、開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−186105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、横並びに配置された複数のシート操作部(レバー)をシートバックの背面に設けた車両用シートを検討した。その結果、各シート操作部の操作性を維持しながら(レバー自体の大きさは変更せずに)、複数のシート操作部の全体的な配置面積を小面積化して小さく見せ、見栄えを良くしたいとの要求があることに気づいた。その為には、横並びに配置された複数のシート操作部の間隔を狭くする必要がある。
【0006】
本発明の目的は、見栄えの良いシート操作部を有する車両用シートを提供することにある。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0009】
すなわち、車両用シートは、シートクッションと、シートバックと、を有する。前記シートバックは、1本の軸部材と、第1軸受け部と第2軸受け部とを有する取り付け枠部と、横並びに配置された第1操作部及び第2操作部と、を含む。軸部材は、前記第1軸受け部と前記第2軸受け部とに取り付けられ、前記第1軸受け部と前記第2軸受け部との間において前記取り付け枠部との固定部は有さないと共に、前記第1操作部及び前記第2操作部の回動中心とされる。
【発明の効果】
【0010】
上記車両用シートによれば、見栄えの良いシート操作部を有する車両用シートを提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例に係る車両用シート1の左前方側からの斜視図である。
図2】実施例に係る車両用シート1の左後方側からの斜視図である。
図3】実施例に係る操作部11及び12の非操作時の状態の斜視図である。
図4】実施例に係る操作部11及び12の操作時の状態の斜視図である。
図5】シート10のスライド機能の構成を説明するための模式的な図である。
図6】シート10のリクライニング機能の構成を説明するための模式的な図である。
図7】取り付け枠部16の取り付け構成を示す図である。
図8図7のA−A線から下方向に見た場合の断面部分の図である。
図9】軸部材40を取り付けた状態における取り付け枠部16の裏面図である。
図10図9から軸部材40を除いた状態の取り付け枠部16の裏面図である。
図11図10の上側部分を拡大した斜面図であり、図11の(a)は図10の上側部分を拡大した斜面図であり、図11の(b)は軸受け部1621の拡大図であり、図11の(c)は右側面161R及び左側面162Lの拡大図であり、図11の(d)は軸受け部1611の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
なお、開示はあくまで一例にすぎず、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【実施例】
【0014】
図1は、実施例に係る車両用シート1の左前方側からの斜視図であり、図2は、実施例に係る車両用シート1の左後方側からの斜視図である。車両用シート1は、例えば、助手席が示されるが、他の席(運転席、後部座席のシート)であってもよい。車両用シート1は、シート10、操作部11、12、13、14、及び、2本のレール15を備える。シート10は、シートクッション101、シートバック102、ヘッドレスト103及びシートベルト200を有する。シートクッション101は座面を構成し、シートバック102は背もたれを構成する。ヘッドレスト103は、シートバック102の上方に配され、着座者の頭部を支持する。シートベルト200は着座者の体を車両の衝突時の衝撃等から保護する。シート10は、その前後方向の位置調整を可能にするスライド機能、及び、シートクッション101とシートバック102との角度調整を可能にするリクライニング機能を有する。
【0015】
操作部11及び13は、スライド操作用の操作部(レバー)であり、シート10の前後方向のスライド操作を受け付ける。操作部11及び13のどちらを利用しても、シート10のスライド操作を行うことが可能である。2本のレール15は、車両に固定され、シート10の前後方向のスライドを可能にするガイドとして作用する。
【0016】
操作部12及び14は、リクライニング操作用の操作部(レバー)であり、シート10のリクライニング操作を受け付ける。操作部12及び14のどちらを利用しても、シート10のリクライニング操作を行うことが可能である。
【0017】
操作部11及び12は、シート10の背面側、すなわち、シートバック102の後方側の面に水平方向又は横方向に並んで配置され、比較的簡便に、操作部11及び12のいずれにも容易に操作できるようになっている。この例では、操作部11及び12は、ヘッドレスト103より下方においてシート10の幅方向に並んでおり、利用者が使いやすい位置に配置される。特に制限されないが、シートバック102の後方側の下部には雑誌等を収容可能なポケット104が設けられており、操作部11及び12はポケット104より上方に配置される。これにより、操作部11及び12、並びに、ポケット104は、いずれも利用者にとって使いやすい位置に配置される。
【0018】
操作部13は、シート10の前方側、この例では、シートクッション101の前方側の下部に配置され、操作部11とは独立してスライド操作を受け付ける。操作部14は、シート10の側方側、この例では、シートクッション101の左側方側に配置され、操作部12とは独立してリクライニング操作を受け付ける。即ち、利用者は、操作部11及び13のいずれを用いてもスライド操作を行うことができ、また、操作部12及び14のいずれを用いてもリクライニング操作を行うことができる。
【0019】
操作部11はシート10の背面側に配置され、操作部11と同機能を実現するための操作部13はシート10の前方側に配置される。よって、利用者は、使いやすい方の操作部11又は13を用いてスライド操作を行えばよい。操作部12は、操作部11に対して、操作部12と同機能を実現するための操作部14の側とは反対側に配置される。よって、利用者は、使いやすい方の操作部12又は14を用いてリクライニング操作を行えばよい。
【0020】
操作部11及び12の露出面(具体的には、操作部11及び操作部12が収容凹部(第1収容凹部)161及び収容凹部(第2収容凹部)162にそれぞれ収容された状態でユーザが目視可能な位置)には、マークがそれぞれ付される。これらのマークは、操作部11及び12のいずれがスライド操作用レバーなのかリクライニング操作用レバーなのか、利用者が区別しやすいものが用いられる。
【0021】
図3は、実施例に係る操作部11及び12の非操作時の状態の斜視図である。図4は、実施例に係る操作部11及び12の操作時の状態の斜視図である。シート10の背面側(シートバック102の後方側の面)には取り付け枠部16が設けられており、操作部11及び12は、非操作時の状態(利用者により操作されていない状態)では、この取り付け枠部16に収容される。取り付け枠部16には収容凹部161及び162が設けられており、操作部11及び12は非操作時の状態では収容凹部161及び162にそれぞれ収容される。
【0022】
この例では、操作部11および操作部12は互いに異なる形状を有する。これにより、利用者は、いずれがスライド操作用またはリクライニング操作用なのか区別可能である。操作部11および操作部12は、軸Xを中心に同軸上で回動可能に構成されたレバーである。軸Xは、後述されるように、1本の軸部材40により構成される。
【0023】
操作部11は、指を挿入可能な開口部11Hを有するレバーで構成可能である。利用者は、開口部11Hに指を入れて操作部11をシート10の背面から起立する方向に軸Xを中心に回動させることで、シート10をスライド可能な状態にすることができる。利用者は開口部11Hに指を入れて操作部11を把持することができ、その状態で操作部11を回動させて起立させることができる。
【0024】
操作部12は、指を挿入可能な凹部12Hを下端部に有するレバーで構成可能である。利用者は、凹部12Hに指を入れて操作部12をシート10の背面から起立する方向に軸Xを中心に回動させることで、シート10をリクライニング可能な状態にすることができる。開口部11Hおよび凹部12Hは、いずれも利用者の指が挿入可能なサイズで設けられればよい。
【0025】
また、本実施例では、回動軸と交差する方向(即ち、シート10の上下方向)における収容凹部161及び162の長さは互いに等しい。そして、同方向における操作部11及び12の長さは互いに異なる。このような構造によれば、操作部11及び12を区別可能にすることもできる。
【0026】
図5は、シート10のスライド機能の構成を説明するための模式的な図である。図6は、シート10のリクライニング機能の構成を説明するための模式的な図である。
【0027】
図5を用いてシート10のスライド機能を説明する。操作部11はシート10の背面に配置され、操作部13はシート10の前方側に配置される。シート10には、その底部においてレール15と摺動可能なスライド機構171が配置され、また、スライド機構171のロックまたはロック解除を行うロック解除機構172が内蔵される。操作部11及び13は、それぞれ、ワイヤ11W及び13Wを介してロック解除機構172に接続される。例えば、利用者が操作部11を回動させると、それに伴う引張力がワイヤ11Wを介してロック解除機構172に伝達され、スライド機構171のロックが解除される。これにより、スライド機構171がレール15に沿って図中の矢印の方向に摺動可能になる。そして、利用者が操作部11を元の状態に戻すと(収容凹部161内に収容すると)、スライド機構171は再びロックされる。利用者が操作部13を操作した場合も同様である。
【0028】
図6を利用してシート10のリクライニング機能を説明する。操作部12はシート10の背面に配置され、操作部14はシート10の側方側に配置される。シート10には、リクライニング機構181、及び、そのロックまたはロック解除を行うロック解除機構182が内蔵される。操作部12及び14は、それぞれ、ワイヤ12W及び14Wを介してロック解除機構182に接続される。例えば、利用者が操作部12を回動させると、それに伴う引張力がワイヤ12Wを介してロック解除機構182に伝達され、リクライニング機構181のロックが解除される。これにより、シート10のシートバック102が図中の矢印の方向に回動可能になる。そして、利用者が操作部12を元の状態に戻すと(収容凹部162内に収容すると)、リクライニング機構181は再びロックされる。利用者が操作部14を操作した場合も同様である。なお、スライド機能およびリクライニング機能の構成は、機械的構成やモータ等を用いた電動式の構成を採用することが出来る。
【0029】
以下、図面を用いて、操作部11、12と取り付け枠部16との構成を説明する。
【0030】
図7は、取り付け枠部16の取り付け構成を示す図である。操作部11および12が組み込まれた取り付け枠部16は、鉄などの金属材料からなる取り付けフレーム300(以下、フレームとも称す)に固定される。取り付けフレーム300は、取り付け部材又は取り付け板という事もできる。フレーム300は、シートバック102内に設けられた、図示されないシートバックフレームまたはシートバックフレームを構成するパイプ等に固定される。取り付け枠部16は、ワイヤ11Wの固定部11WFが嵌め込まれるワイヤ固定部16WF1と、ワイヤ12Wの固定部12WFが嵌め込まれるワイヤ固定部16WF2と、を有する。ワイヤ固定部16WF1とワイヤ固定部16WF2とは、図7において、取り付け枠部16の上側の部分のほぼ中央に、横方向に並んで配置される。また、ワイヤ11Wとワイヤ12Wとは、フレーム300に、ワイヤ固定部300WFにより固定される。
【0031】
取り付け枠部16は、上側枠部16Uと、下側枠部16Dと、左側枠部16Lと、右側枠部16Rと、中央枠部16Mと、を有している。取り付け枠部16の収容凹部161は、上側枠部16Uと、下側枠部16Dと、左側枠部16Lと、中央枠部16Mとに囲まれた領域に設けられる。一方、取り付け枠部16の収容凹部162は、中央枠部16Mと、上側枠部16Uと、下側枠部16Dと、右側枠部16Rと、に囲まれた領域に設けられる。操作部11及び12は、中央枠部16Mを挟んで、収容凹部161及び162に、横に並んで配置される。
【0032】
図8は、図7のA−A線から下方向に見た場合の断面部分の図である。操作部11及び12は、金属から構成される直線状の1本の棒ないしピン等からなる軸部材40を回転軸(図4の軸X)とするように、軸部材40に回動可能に取り付けられる。図8において、軸部材40の左端部401及び右端部402は、収容凹部161の左側面161Lに設けられた軸受け部(第1軸受け部)1611及び収容凹部162の右側面162Rに設けられた軸受け部(第2軸受け部)1621に、それぞれ回転可能に固定される。すなわち、操作部及び操作部(11、12)は、軸受け部(1611)と軸受け部(1621)の間に、横に並んで配置されるように、設けられる。一方、軸部材40は、収容凹部161の右側面161R及び収容凹部162の左側面162Lには、固定されていない。すなわち、収容凹部161の右側面161R及び収容凹部162の左側面162Lは、軸部材40の固定部分または軸受け部を有していない。
【0033】
なお、図示されないが、操作部11のばね固定部と取り付け枠部16のばね固定部との間には、第1ばね部材が固定され、操作部11を操作状態から非操作状態に戻すために用いられる。同様に、操作部12のばね固定部と取り付け枠部16のばね固定部との間には、第2ばね部材が固定され、操作部12を操作状態から非操作時の状態に戻すために用いられる。
【0034】
図7及び図8から理解されるように、操作部11の横幅は、操作部12の横幅より長くされている。さらに、収容凹部161の深さは、収容凹部162の深さより深くされている。このようにして、操作部11および操作部12の形状を異ならせることで、操作部11及び12の区別の容易化が図られる。
【0035】
以下、図9図11を用いて、取り付け枠部16の構成を詳細に説明する。
【0036】
図9は、軸部材40を取り付けた状態における取り付け枠部16の裏面図である。図10は、図9から軸部材40を除いた状態の取り付け枠部16の裏面図である。図11は、図10の上側部分を拡大した斜面図である。図11の(a)は、図10の上側部分を拡大した斜面図であり、図11の(b)は軸受け部1621の拡大図であり、図11の(c)は右側面161R及び左側面162Lの拡大図であり、図11の(d)は軸受け部1611の拡大図である。
【0037】
図9及び図10に示されるように、取り付け枠部16は、上側枠部16Uと、下側枠部16Dと、左側枠部16Lと、右側枠部16Rと、中央枠部16Mと、を有している。取り付け枠部16の収容凹部161は、上側枠部16Uと、下側枠部16Dと、左側枠部16Lと、中央枠部16Mとに囲まれた領域に設けられる。一方、取り付け枠部16の収容凹部162は、中央枠部16Mと、上側枠部16Uと、下側枠部16Dと、右側枠部16Rと、に囲まれた領域に設けられる。
【0038】
収容凹部161は、左側面161L、右側面161R、上側面161U、下側面161Dおよび底部161Bにより構成される。同様に、収容凹部162は、左側面162L、右側面162R、上側面162U、下側面162Dおよび底部162Bにより構成される。
【0039】
図9図10および図11に示されるように、軸部材40の左端部401及び右端部402は、収容凹部161の左側面161Lに設けられた軸受け部1611及び収容凹部162の右側面162Rに設けられた軸受け部1621に、それぞれ回転可能に固定される。図11の(a)、(b)及び(d)に示される様に、軸受け部1611及び軸受け部1621は、丸穴形状のような開口部として構成される。
【0040】
一方、軸部材40は、収容凹部161の右側面161R及び収容凹部162の左側面162Lには、固定されていない。収容凹部161の右側面161R及び収容凹部162の左側面162Lは、軸部材40の固定部分または軸受け部を有していない。すなわち、図11の(c)に示される様に、収容凹部161の右側面161R及び収容凹部162の左側面162Lは、軸部材40を通すことが出来るような、U溝のような溝構造U1およびU2をそれぞれ有しており、軸部材40自体は固定されていない。溝構造U1およびU2は、取り付け枠部16の裏面側に開口部を有する形状であり、U字型、V字型、コの字型などを採用することが可能である。したがって、軸部材40は、軸受け部1611と軸受け部1621とにより取り付け枠部16に固定されるが、軸受け部1611と軸受け部1621と間において、取り付け枠部16に固定されないこととなる。
【0041】
図11の(c)において、距離L1は、収容凹部161の右側面161R及び収容凹部162の左側面162Lの間隔を示しており、おおよそ、12mm(ミリメートル)とされる。距離L2及びL3は、収容凹部161の右側面161R及び収容凹部162の左側面162Lのそれぞれの板厚を示しており、おおよそ2mmとされる。中央枠部16Mの幅は、10mm程度にされている。
【0042】
取り付け枠部16は、公知の射出成形により形成可能である。取り付け枠部16は、例えば、熱硬化性樹脂材料を加熱して流動状態にし、閉じた上金型と下金型との間の空洞部(キャビティ)に加圧注入し、金型内で固化させることにより形成される。
【0043】
丸穴のような開口部とされる軸受け部1611及び軸受け部1621は、スライド金型を利用することにより形成可能である。しかしながら、おおよそ、12mmとされる収容凹部161の右側面161Rと収容凹部162の左側面162Lの間隔において、収容凹部161の右側面161R及び収容凹部162の左側面162Lに、スライド金型を用いて、軸部材40の軸受け部とされる丸穴形状の開口部を形成することは、スライド金型の構成上、極めて難しい。本発明者らの検討によれば、収容凹部161の右側面161Rと収容凹部162の左側面162Lに各々丸穴形状の軸受け部を形成するためには、おおよそ3mm(板厚2mmの1.5倍)のスライド金型のスライド量と固定金型15mmの2セットが必要であり、中央枠部16Mの幅はおおむね30mm以上―40mm以下のような幅とされてしまう。操作部11の幅はおおよそ100mm、操作部12の幅はおおよそ80mmとした場合、30mm以上―40mm以下の幅の中央枠部16Mは、見栄えが良いとも思われない。
【0044】
そのため、収容凹部161の右側面161R及び収容凹部162の左側面162Lには、軸受け部とされる丸穴形状の開口部を形成しないで、スライド金型ではない一般的な金型により形成可能な溝構造U1およびU2とした。この溝構造の採用により、収容凹部161の右側面161Rと収容凹部162の左側面162Lの間隔を狭くすることが可能となる。これにより、横並びに配置されたシート操作部11、12の間隔を狭くすることが出来るので、シートバック102の背面の面積に対するシート操作部11、12の全体的な配置面積を小面積化して小さく見せ、見栄えを良くできる。シート操作部11、12の全体的な配置面積は、取り付け枠部16の上側枠部16Uと、下側枠部16Dと、左側枠部16Lと、右側枠部16Rと、により決まるので、中央枠部16Mの幅を狭くすることにより、全体的な配置面積の小面積化が可能にできる。
【0045】
また、シート操作部11、12は、軸受け部1611及び軸受け部1621と、1本の軸部材40とにより、取り付け枠部16に取り付けられる。この構成は、シート操作部11および12のおのおのに1本の軸部材を設ける構成と比べて、部品点数を低減でき、製造コストの低減も可能である。
【0046】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0047】
1:車両用シート
10:シート
11、12、13、14:操作部
11W:ワイヤ
12W:ワイヤ
15:レール
101:シートクッション
102:シートバック
16:取り付け枠部
161、162:収納凹部
1611:第1軸受け部(丸穴形状の開口部)
1621:第2軸受け部(丸穴形状の開口部)
U1、U2:溝構造
40:軸部材
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