(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
[第1実施形態]
図8は、本実施形態に係る作業機1の全体構成を示す概略側面図である。本実施形態では、作業機1として旋回作業機であるバックホーが例示されている。この実施形態では、作業機1としてバックホーを例示しているが、作業機は、トラクタ、コンバイン、田植機等の農業機械、コンパクトトラックローダ、スキッドステアローダ等であってもよい。
【0012】
先ず、作業機1の全体構成を説明する。
図8に示すように、作業機1は、機体2と、走行装置3と、作業装置4とを備えている。機体2上にはキャビン5が搭載されている。キャビン5の室内には運転席6が設けられている。
本実施形態においては、作業機1の運転席6に着座した運転者(オペレータ)の前側(
図8の矢印A1方向)を前方、運転者の後側(
図8の矢印A2方向)を後方、運転者の左側(
図8の手前側)を左方、運転者の右側(
図8の奥側)を右方として説明する。
【0013】
また、前後方向K1に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。機体2の幅方向の中央部から右部、或いは、左部へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向であって機体2の幅方向の中心から離れる方向のことである。機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向であって機体2の幅方向の中心に近づく方向である。
【0014】
図8に示すように、走行装置3は、左側に設けられた走行体3Lと、右側に設けられた走行体3Rとを有する。走行体3L及び走行体3Rは、クローラ式の走行装置である。走行装置3の前部には、ドーザ装置7が装着されている。ドーザ装置7は、ドーザシリンダを伸縮することにより昇降(ブレードを上げ下げ)させることができる。
機体2は、旋回台であって、走行装置3上に旋回ベアリング8を介して縦軸(上下の方向に延伸する軸心)回りに旋回自在に支持されている。機体2は、油圧モータ(油圧アクチュエータ)からなる旋回モータによって旋回駆動される。機体2は、縦軸回りに旋回する旋回基板9と、ウエイト10とを有している。旋回基板9は、鋼板等から形成されており、旋回ベアリング8に連結されている。ウエイト10は、機体2の後部に設けられている。機体2の後部には、原動機E1が搭載されている。原動機E1は、ディーゼルエンジンである。なお、原動機E1は、電動モータであってもよいし、ディーゼルエンジン及び電動モータを有するハイブリッド型であってもよい。
【0015】
機体2は、機体幅方向の中央のやや右寄りの前部に支持ブラケット13を有している。支持ブラケット13には、スイングブラケット14が、縦軸回りに揺動自在に取り付けられている。スイングブラケット14には、作業装置4が取り付けられている。
図8に示すように、作業装置4は、ブーム15と、アーム16と、バケット(作業具)17とを有している。ブーム15の基部は、スイングブラケット14に横軸(機体幅方向に延伸する軸心)回りに回動自在に枢着されている。これによって、ブーム15が上下に揺動自在とされている。アーム16は、ブーム15の先端側に横軸回りに回動自在に枢着されている。これによって、アーム16が前後或いは上下に揺動自在とされている。バケット17は、アーム16の先端側にスクイ動作及びダンプ動作可能に設けられている。作業機1は、バケット17に代えて或いは加えて、油圧アクチュエータにより駆動可能な他の作業具(予備アタッチメント)を装着することが可能である。他の作業具(予備アタッチメント)としては、油圧ブレーカ、油圧圧砕機、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等が例示できる。
【0016】
スイングブラケット14は、機体2内に備えられたスイングシリンダの伸縮によって揺動自在とされている。ブーム15は、ブームシリンダC3の伸縮によって揺動自在とされている。アーム16は、アームシリンダC4の伸縮によって揺動自在とされている。バケット17は、バケットシリンダ(作業具シリンダ)C5の伸縮によってスクイ動作及びダンプ動作自在とされている。ドーザシリンダ、スイングシリンダ、ブームシリンダC3、アームシリンダC4、バケットシリンダC5は、油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)によって構成されている。キャビン5内の運転席6の左側には、操縦装置19Lが設けられ、運転席6の右側には、操縦装置19Rが設けられている。
【0017】
図1は、作業機のデータ通信システムの概略図を示している。
図1を用いて、作業機1に搭載した機器及びデータ通信システムについて説明する。
図1に示すように、作業機1は、制御装置30を有している。制御装置30は、作業機1に関する制御を行う装置であって、例えば、油圧制御、オートアイドル制御(AI制御)、ブーム高さ制御、アーム高さ制御などの様々な制御を行う。
【0018】
制御装置30には、各種センサが接続され、センサで検出された値(信号)が入力される。例えば、制御装置30には、ポジションセンサ等で検出された操縦装置(操縦装置19L、操縦装置19R)の操作量、ガバナセンサで検出されたガバナ角度(ガバナ位置)、ポジションセンサ等で検出されたアクセルの操作量、回転センサ等で検出されたエンジン回転数、角度センサ等で検出されたアームの角度及びブームの角度が入力される。
【0019】
制御装置30は、油圧制御では、操縦装置19L,19Rの操作量に応じて比例電磁弁等に制御信号を出力し、比例電磁弁の開度を設定することで、比例電磁弁に接続された流量制御弁を制御する。即ち、油圧制御では、油圧アクチュエータ(スイングシリンダ、ブームシリンダC3、アームシリンダC4、バケットシリンダ)を制御する流量制御弁を制御する。
【0020】
制御装置30は、オートアイドル制御では、操縦装置19L、19Rが操作されているときは、アクセルの操作量に応じた制御信号をエンジンに出力することでエンジン回転数を増減し、操縦装置19L、19Rが操作されていないときは、アイドリング回転数を示す制御信号をエンジンに出力することにより、エンジン回転数をアイドリング状態に固定する。
【0021】
制御装置30は、ブーム高さ制御では、ブーム15の高さが予め設定されたブームの高さの上限値になったときに操縦装置19L、19Rの操作に関わらずブーム15の上げ動作を停止する。即ち、ブーム高さ制御では、ブーム15を上げ動作時のブームの角度が上限値に達した際には、ブームシリンダC3に対応する流量制御弁を制御することでブームの上げ動作を停止させる。
【0022】
制御装置30は、アームの角度制御では、アームの角度が予め設定されたアームの角度(アーム角度)の上限値又は下限値となったときに操縦装置19L、19Rの操作に関わらずアーム16の掻き込み動作を停止する。即ち、アーム角度制御では、アーム16の掻き込み動作時のアーム角度が上限値又は下限値に達した際は、アームシリンダC4に対応する流量制御弁を制御することでアーム16の掻き込み動作を停止する。
【0023】
以上のように、制御装置30によって、油圧制御、オートアイドル制御(AI制御)、ブーム高さ制御、アーム高さ制御などの様々な制御を行うことができる。なお、上述した制御は一例であって限定されず、制御装置30は作業機1の態様に応じて必要な制御を実行する。
制御装置30は、第1記憶部33と、計時部34とを有している。計時部34は、制御装置30に設けられた電気・電子部品、当該制御装置30に格納されたプログラム等から構成されている。計時部34は、エンジン回転センサで検出されたエンジン回転数が制御装置30に時点(駆動開始)から制御装置30へのエンジン回転数の入力が終了する時間(駆動終了)までの稼働時間を演算する。言い換えれば、計時部34は、エンジンの駆動している時間(経過時間)をタイマ等により求める。例えば、9時から12時までの間にエンジンが連続して駆動した場合は、稼働時間(経過時間)は3時間である。計時部34は、エンジンの駆動(エンジンの駆動開始からエンジンの駆動終了)毎に、演算した稼働時間を累積することにより、累積稼働時間(アワメータ)を求める。この実施形態では、エンジンの駆動開始から駆動終了までの稼働時間の累積値を累積稼働時間としているが、エンジン以外の駆動部品が駆動した時間を累積稼働時間(アワメータ)としてもよく、エンジンに限定されない。第1記憶部33は、不揮発性のメモリ等から構成され、計時部34が計時した累積稼働時間を記憶する。
【0024】
図1に示すように、作業機1は、通信装置40を有している。通信装置40は、作業機1のデータ(情報)を当該作業機1の外部に出力したり、外部のデータを作業機1に取り込む装置である。通信装置40は、第1通信部41を有している。第1通信部41は、外部の機器(外部機器)50と接続可能である。第1通信部41は、ビーコン等のブロードキャスト信号を外部機器50に出力可能であって、例えば、通信規格IEEE802.15.1シリーズのBluetooth(登録商標)の仕様におけるBluetooth(登録商標) Low Energy等によって外部機器50と無線通信を行う。
【0025】
通信装置40は、収集部42と、記憶部43とを有している。収集部42は、通信装置40に設けられた電気・電子部品、当該通信装置40に格納されたプログラム等から構成されている。収集部42は、作業機に関する機械情報を収集する。具体的には、通信装置40と、作業機1に設けられた制御装置30、センサ等の機器は通信ラインL1等により接続されていて、収集部42は、通信ラインL1に流れる様々な信号(データ)を機械情報として取得する。詳しくは、収集部42は、制御装置30によってオートアイドル制御、ブーム高さ制御、アーム高さ制御等の制御を行っている状況における各種センサからの信号、累積稼働時間等を機械情報として収集する。上述した実施形態では、制御装置30が制御を行っている場合の信号及び累積稼働情報を機械情報としているが、収集部42が収集する機械情報は限定されない。収集部42は、作業機1に搭載した機器の故障、警告関する情報を機械情報として収集してもよいし、作業機1の機器の設定値等を機械情報として収集してもよく、作業機1に関する情報であれば何でもよい。
【0026】
記憶部43は、不揮発性のメモリ等から構成されていて、収集部42が収集した機械情報を一時的に記憶する。記憶部43に一時的に記憶された機械情報、即ち、収集部42が収集した機械情報は、通信装置40(第1通信部41)によって外部機器50に送信される。
外部機器50は、タブレット、スマートフォン、PDA等であって持ち運びが可能な携帯端末である。携帯端末50は、作業機1に設けられた通信装置40に接続可能であって、様々なデータ(情報)を通信装置40との間で送受信可能である。携帯端末50は、第2通信部51を有している。第2通信部51は、近距離、長距離の通信を行う部品等で構成され、例えば、通信規格IEEE802.15.1シリーズのBluetooth(登録商標)の仕様におけるBluetooth(登録商標) Low Energy等によって通信装置40と無線通信を行う。なお、第2通信部は、携帯電話通信網、データ通信網、携帯電話通信網等によって無線通信を行うものであってもよい。
【0027】
携帯端末50は、記憶部52と、表示部53と、処理部54とを有している。記憶部52は、不揮発性のメモリであって、通信装置40から受信した機械情報、様々なアプリケーションソフトウェア(アプリ)、オペレーションシステム(OS)等を記憶する。表示部53は、様々な情報を表示することが可能であって、液晶パネル等から構成されている。処理部54は、携帯端端末50に設けられた電気・電子部品、当該携帯端末50に格納されたプログラム(アプリ、OS)等から構成されている。処理部54は、携帯端末50の様々な処理を実行する。
【0028】
次に、携帯端末50と通信装置40との接続について説明する。
図2に示すように、通信装置40の第1通信部41は、ビーコンBを出力する。携帯端末50(第2通信部51)がビーコンBを通信領域E1(ビーコンBを送信可能な領域)よりも外部に位置している場合、処理部54は、機械情報を取得する取得処理を実行しない。取得処理とは、作業機1の機械情報を取得して携帯端末50に記憶するためのアプリケーションソフトウェア(取得アプリという)を記憶部52から読み出して起動する処理であり、処理部54は、携帯端末50が通信領域E1外では、取得アプリの起動を実行しない。なお、取得アプリは、機械情報を取得するための処理を行うためのアプリであり、携帯端末50にインストールすることにより取得処理を行うためのプログラム、携帯端末50と通信装置40とが接続するために必要な情報(サービスUUID、PINコード等)、後述する起動情報G1等が携帯端末50に格納される。
【0029】
携帯端末50が通信領域E1内である場合、当該携帯端末50の第2通信部51がビーコンBを受信した時点で、処理部54は、機械情報を取得する取得処理の開始を実行し、取得アプリを起動する。処理部54は、取得アプリの起動後(取得処理の開始後)に、接続処理を実行する。接続処理とは、少なくとも処理部54が第2通信部51に対して、通信装置40と接続することを指令する。第2通信部51は、処理部54の指令を受けて通信装置40に対して接続要求を送信し、当該通信装置40と第2通信部51との相互間で通信が行われる。処理部54は、通信装置40と第2通信部51との相互間で通信が確立すると、通信装置40から送信された機械情報の取得を取得アプリ等の動作(処理)によって行わせる。処理部54は、機械情報の取得が完了した場合、例えば、通信装置40から送信予定の機械情報が送信されたことを示す信号を第2通信部51が受信した時点で接続処理を終了し、第2通信部51と通信装置40との通信を切断する。通信装置40は、第2通信部51との通信の切断後は、再び、ビーコンBを出力する。
【0030】
図3は、携帯端末50と通信装置40との接続のフローチャートを示している。
図3を用いて携帯端末50と通信装置40との接続について詳しく説明する。
図3に示すように、通信装置40は、記憶部43に記憶している全ての機械情報(全機械情報)のうち、携帯端末50へ未送信である機械情報(未送信情報)のデータ容量が所定以上であるか否かの判断を行う(S1)。未送信情報のデータ容量が所定以上である場合(S1、Yes)は、通信装置40の第1通信部41は、携帯端末50に対して機械情報の取得を要求するために、ビーコンBを送信する(S2:送信ステップ)。携帯端末50の第2通信部51がビーコンBを受信する(S3)と、処理部54は、ビーコンBに含まれる情報に基づいて取得処理を実行するか否かの判断を行う(S4)。
【0031】
図4は、ビーコンBのパケット(アドバタイズパケット)Q1を示している。
図4に示すように、パケットQ1には、起動情報F1と、接続情報F2とを含んでいる。起動情報F1とは、取得処理の開始の契機とするための情報である。通信装置40が送信したビーコンB(パケットQ1)に含まれる起動情報F1と、同一の起動情報G1が携帯端末50の記憶部52に記憶されている場合、処理部54は取得処理を実行すると判断する(S4、Yes)。一方で、通信装置40が送信したビーコンB(パケットQ1)に含まれる起動情報F1と、同一の起動情報G1が携帯端末50の記憶部52に記憶されていない場合、処理部54は取得処理を実行しないと判断する(S4、No)。
【0032】
図5は、通信装置40が送信するビーコンBの起動情報F1と、携帯端末50の記憶部52に記憶されている起動情報G1との関係を示している。
図5に示すように、通信装置40が送信した起動情報F1が「5411」であり、携帯端末50の記憶部52に記憶されている起動情報G1が「5411」である場合、両者の起動情報は一致するため、処理部54は、取得処理を実行すると判断する。一方、通信装置40が送信した起動情報F1が「5400」であり、携帯端末50の記憶部52に記憶されている起動情報G1には「5400」が記憶されていない場合、両者の起動情報は一致しないため、処理部54は、取得処理を実行しないと判断する。なお、上述した実施形態では、ビーコンBの起動情報F1と同一の起動情報G1が携帯端末50に記憶されている場合に、取得処理を実行するとしているが、これに代え、ビーコンBの起動情報F1に対応付けられた起動情報G1が携帯端末50に記憶されている場合に、処理部54は取得処理を実行してもよい。
【0033】
処理部54は、処理部54は取得処理を実行すると判断すると(S4、Yes)、取得処理の開始を実行し、取得アプリを起動する(S5:取得実行ステップ)。処理部54は、取得アプリの起動が完了すると、接続処理を実行する(S6:接続実行ステップ)。例えば、処理部54は、接続処理の実行後は、受信した接続情報F2を用いた通信装置40への接続処理を行う。接続情報F2とは、通信装置40と接続するための情報であって、例えば、サービスUUID、PINコード等であって、サービスUUID又はPINコードを第2通信部51が通信装置40に送信することにより、携帯端末50と通信装置40との接続が確立される。なお、携帯端末50と通信装置40との接続に関する処理は、従来と同様であり、サービスUUID又はPINコードの認証などを実行する。
【0034】
通信装置40は、携帯端末50(第2通信部51)に接続後、当該携帯端末50に記憶部43の機械情報(未送信の機械情報)を送信する(S7)。通信装置40は、機械情報の送信が完了したことを携帯端末50に通知し、処理部54は、機械情報の送信が完了したことを受信すると、処理部54は、機械情報の取得を完了とし(S8)、通信装置40に対して切断要求を行う(S9)。通信装置40は、携帯端末50からの切断要求に応じて、当該携帯端末50との通信の切断を実行し、切断完了の通知を携帯端末50に送信する(S10)。携帯端末50が切断完了を受信すると、処理部54は接続処理を終了する(S11:接続完了ステップ)。通信装置40は、携帯端末50との通信の切断後は、ビーコンBを出力する処理に戻り、接続完了ステップが終了する毎に、連続的に繰り返しビーコンBを出力する。また、携帯端末50は、通信装置40から受信した機械情報を記憶部52に記憶する。
【0035】
携帯端末50の記憶部52に記憶した機械情報は、表示部53に表示したり、携帯端末50とは異なる外部機器、例えば、サーバやパーソナルコンピュータ等に送信することが可能である。
以上によれば、通信装置40と、接続処理及び取得処理を実行可能な携帯端末50とを備えた作業機のデータ通信システムであって、通信装置40は、携帯端末50に対して取得処理を開始させる起動情報F1と、接続処理を実行させる接続情報F2とを含むビーコンBを送信する。また、携帯端末50は、起動情報F1を取得した場合に取得処理を開始し且つ取得処理の開始後に接続処理を実行して通信装置40から機械情報を取得する。
【0036】
このため、携帯端末50が通信装置40から送信されたビーコンBを受信するだけで、取得処理及び接続処理を実行することができ、ビーコンBの受信を契機として携帯端末50は、作業機1の機械情報を自動的に取得することができる。例えば、作業機を所有する作業者、又は、作業機の操縦を行う作業者が携帯端末50を所持しているだけで、作業者が操作しなくても自動的に作業機1の機械情報を取得することができる。
【0037】
また、処理部54は、機械情報の取得が完了した場合に接続処理を終了する。このため、携帯端末50が機械情報を取得した時点で接続処理が終了するため、携帯端末50と通信装置40との繋ぎっぱなしを防止することができ、通信装置40は他の携帯端末50に対して新たにビーコンBを送信することができる。例えば、作業者Aが所有する第1携帯端末、作業者Bが所有する第2携帯端末とし且つ第1携帯端末と第2携帯端末とが同一の通信領域E1に存在する場合、第1携帯端末が機械情報を通信装置40から取得後に即座に接続処理が終了することから、第2携帯端末が通信装置40から機械情報を取得することができる。
【0038】
また、通信装置40は、起動情報F1と接続情報F2とを含むビーコンを連続的に繰り返し送信する。このため、所定の携帯端末50との通信の切断後に、別の携帯端末50と接続を即座に行うことができ、別の携帯端末50に機械情報を送信することができる。
さて、通信装置40は、複数のビーコンを送信可能である。例えば、通信装置40は、第1のビーコン(第1ビーコン)B1と、第2起動情報を含む第2のビーコン(第2ビーコン)B2とを別々のタイミングで送信可能である。第1ビーコンB1と第2ビーコンとは含まれる情報が異なるビーコンであって、第1ビーコンB1は第1起動情報を含み、第2ビーコンB2は、第2起動情報を含む。
【0039】
図6は、通信装置40が、第1ビーコンB1と第2ビーコンB2とを所定の携帯端末50に送信した状態を示している。例えば、第1起動情報は「5411」であり、第2起動情報は「5412」であるとして、通信装置40と携帯端末50との接続について説明する。
図6に示すように、携帯端末50が通信領域E1の境界である位置P1にて第1起動情報が含まれる第1ビーコンB1を受信した場合、携帯端末50には、
図5に示すように第1起動情報と同一の起動情報が記憶されているため、携帯端末50の処理部54は取得処理及び接続処理を実行する。その後、携帯端末50が通信領域E1内の位置P2において、位置P1で受信したビーコンと同じ第1ビーコンB1を受信した場合、即ち、位置P1で取得処理の開始の契機となった起動情報と同じ起動情報を含む第1ビーコンB1を位置P1とは異なる位置P2で取得した場合、処理部54は取得処理を実行しない。
【0040】
また、携帯端末50が通信領域E1内の位置P3において、第1ビーコンB1と異なる第2ビーコンB2を受信した場合、処理部54は、第2ビーコンB2を受信したことを契機として、第1ビーコンB1で行った処理と同一の処理、即ち、取得処理の開始により取得アプリを起動する。そして、携帯端末50は、取得処理の開始後に接続処理を行うことで、機械情報を通信装置40から取得する。
【0041】
即ち、携帯端末50は、通信領域E1において、第1ビーコンB1の受信を契機として取得処理を実行した場合は、その後に、同一の第1ビーコンB1を受信した場合であっても取得処理は実行せず、第1ビーコンB1と異なる第2ビーコンB2を受信した場合に、取得処理を実行する。なお、携帯端末50は、第2ビーコンB2の受信を契機として取得処理を実行した場合は、その後に、同一の第2ビーコンB2を受信した場合であっても取得処理は実行せず、第1ビーコンB1及び第2ビーコンB2とは異なるビーコンを受信したときに、取得処理を実行する。
【0042】
以上によれば、携帯端末50は、通信領域E1内に位置する状況下で同じ起動情報を有するビーコンを複数回受信した場合は、2回目以降でのビーコンによる取得処理の実行は行わない。
なお、携帯端末50は、通信領域E1内において、ビーコン(旧ビーコンという)を受信し、旧ビーコンの受信を契機として取得処理の実行を行った後、当該携帯端末50が通信領域E1外へ出て旧ビーコンが受信できない状況になり、さらに、当該携帯端末50が通信領域E1に再び入って、旧ビーコンと同一のビーコンを受信した場合は、当該旧ビーコンと同一のビーコンを契機として少なくとも1回は取得処理の実行を行ってもよい。即ち、携帯端末50が通信領域E1外に出て一旦、第1ビーコンB1又は第2ビーコンB2を受信不能な状況になった場合には、第1ビーコンB1又は第2ビーコンB2にて取得処理を行ってもよい。
【0043】
図7は、通信装置40が、第1ビーコンB1と第2ビーコンB2とを所定の携帯端末50に送信した場合のフローチャートを示している。
図7における説明では、所定の携帯端末50は通信領域E1に入った後、当該通信領域E1外に出ていないことを前提として説明を進める。
図7において、S1〜S3、S5〜S11は、通信装置40が第1ビーコンB1を送信する以外は、
図6と同様である。
【0044】
通信装置40は、未送信情報のデータ容量が所定以上であり、携帯端末50に対して接続を要求する場合(S1、Yes)は、通信装置40の第1通信部41は、第1ビーコンB1を送信する(S2:第1送信ステップ)。携帯端末50の第2通信部51が第1ビーコンB1を受信する(S3)と、処理部54は、第1ビーコンB1に含まれる情報に基づいて取得処理を実行するか否かの判断を行う(S4)。
【0045】
処理部54は、第1ビーコンB1に含まれる起動情報が携帯端末50の記憶部52に記憶され、且つ、第1ビーコンB1によって取得処理を行ったことが無い場合、処理部54は取得処理を実行すると判断する(S4、Yes)。一方で、第1ビーコンB1に含まれる起動情報が携帯端末50の記憶部52に記憶されていない場合、又は、第1ビーコンB1に含まれる起動情報を記憶部52に記憶されている状態でも第1ビーコンB1によって取得処理を既に行ったことがある場合、処理部54は取得処理を実行しないと判断する(S4、No)。S4の処理後は、通信装置40及び携帯端末50は、上述したようにS5〜S10を実行する。
【0046】
通信装置40は、第1ビーコンB1により携帯端末50に接続後(S11後)、未送信情報のデータ容量が所定以上であるか否かを判断する(S20)。未送信情報のデータ容量が所定以上であり、携帯端末50に対して接続を要求する場合(S20、Yes:第2送信ステップ)は、第1通信部41は、第2ビーコンB2を送信する(S21)。言い換えれば、第2送信ステップでは、第1ビーコンB1の送信後に記憶部43に記憶された機械情報が更新され、且つ更新された機械情報を携帯端末50に対して取得することを要求する場合に第2ビーコンB1を送信する。
【0047】
携帯端末50の第2通信部51が第2ビーコンB2を受信する(S22)と、処理部54は、第2ビーコンB2に含まれる情報に基づいて取得処理を実行するか否かの判断を行う(S23)。処理部54は、第2ビーコンB2に含まれる起動情報が携帯端末50の記憶部52に記憶され、且つ、第2ビーコンB2によって取得処理を行ったことが無い場合、処理部54は取得処理を実行すると判断する(S23、Yes)。一方で、第2ビーコンB2に含まれる起動情報が携帯端末50の記憶部52に記憶されていない場合、又は、第2ビーコンB2に含まれる起動情報を記憶部52に記憶されている状態でも第2ビーコンB2によって取得処理を既に行ったことがある場合、処理部54は取得処理を実行しないと判断する(S23、No)。
【0048】
処理部54は、取得処理を実行すると判断すると(S23、Yes)、取得処理の開始を実行し、取得アプリを起動する(S24)。即ち、処理部54は、第2ビーコンB2を受信した場合も第1ビーコンB1と同一の処理を実行する。言い換えれば、処理部54は携帯端末50に複数のアプリケーションソフトが格納されていたとしても、第1ビーコンB1を受信した場合も第2ビーコンB2を受信した場合も取得処理では、同一のアプリケーションソフトを起動する。
【0049】
処理部54は、取得アプリの起動が完了すると、接続処理を実行する(S25:接続実行ステップ)。通信装置40は、記憶部43に記憶した機械情報を送信する(S26)。処理部54は、機械情報の取得後、通信装置40に対して切断要求を行う(S27)。通信装置40は、携帯端末50との通信の切断を実行し、切断完了の通知を携帯端末50に送信する(S28)。携帯端末50が切断完了を受信すると、処理部54は接続処理を終了する(S29:接続完了ステップ)。
【0050】
以上によれば、通信装置40(第1通信部41)は、複数のビーコンを送信可能であり、処理部54は、複数のビーコンのうち、処理を実行する契機となったビーコンと同一の情報を有する第1ビーコンB1を受信した場合には処理を実行せず、第1ビーコンB1とは異なる第2ビーコンB2を受信した場合には第1ビーコンB1で行った処理と同一の処理を行う。即ち、処理部54は、複数のビーコンのうち、処理の開始の契機となった起動情報と同じ起動情報を含む第1ビーコンB1を取得した場合には取得処理を実行せず、第1ビーコンB1とは起動情報が異なる第2ビーコンB2を取得した場合に取得処理を実行する。
【0051】
これによれば、携帯端末50が通信領域E1に位置している状況下において、第1ビーコンB1及び第2ビーコンB2を契機として、携帯端末50に対し任意の処理を実行させることができる。例えば、第1ビーコンB1及び第2ビーコンB2を契機とした処理が取得処理である場合には、携帯端末50は通信領域E1に居ながらにして、別々のタイミングで作業機1から機械情報を自動的に取得することができる。
【0052】
また、携帯端末50は、第1ビーコンB1に対応付けられた第1起動情報と第2ビーコンB2に対応付けられた第2起動情報を記憶する記憶部52を有し、処理部54は、記憶部52に記憶された第1起動情報に対応する第1ビーコンB1を取得した場合及び記憶部52に記憶された第2起動情報に対応する第2ビーコンB2を取得した場合に同一の処理を実行する。
【0053】
これによれば、携帯端末50が通信領域E1に位置している状況下において、携帯端末50が第1ビーコンB1及び第2ビーコンB2をそれぞれ契機として、携帯端末50に対して同一の処理を実行させることができる。例えば、携帯端末50にアプリケーションソフトをインストールしている場合、このアプリケーションソフトを第1ビーコンB1及び第2ビーコンB2によって異なるタイミングで起動させることができる。
【0054】
第1通信部41は、第1ビーコンB1により携帯端末50に接続後、当該携帯端末50に対して接続を要求する場合に第2ビーコンB2を送信する。携帯端末50が通信領域E1に位置している状況下において、第1ビーコンB1及び第2ビーコンB2によって別々のタイミングで携帯端末50に対して作業機1(第1通信部41)が接続することができる。
【0055】
また、通信装置40は、収集部42と、記憶部43とを有し、第1通信部41は、携帯端末50に対して記憶部43に記憶された機械情報を取得することを要求する場合に第1ビーコンB1を送信する。これによれば、第1ビーコンB1によって作業機1の機械情報を所定の携帯端末50に送信することができる。第2通信部51は、第2ビーコンB2を取得した場合に当該第2ビーコンB2を送信した通信装置50に接続を行う。
【0056】
また、第1通信部41は、第1ビーコンB1の送信後に記憶部に記憶された機械情報が更新され且つ更新された機械情報を携帯端末50に対して取得することを要求する場合に第2ビーコンB2を送信する。これによれば、第1ビーコンB1によって作業機1の機械情報を所定の携帯端末50に送信した後、作業機1の機械情報が更新した場合には、更新した機械情報を携帯端末50に送信することができる。
【0057】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
上述した実施形態では、作業機1の機械情報を収集するシステムについて説明したが、これに代えて、携帯端末等の外部機器50から認証情報を作業機1に送信するシステム(盗難防止システム)に適用してもよい。盗難防止システムは、ビーコンを受信した場合に携帯端末50から認証情報を作業機1に送信する。また、作業機1側(制御装置30)では、制御装置30に記憶されている認証情報と、携帯端末50から送信された認証情報との認証を行う認証処理を実行し、認証情報の認証成立後に原動機E1の起動を許可し、認証成立がしない場合に原動機E1の起動を許可しない。この場合、取得アプリは、携帯端末50がビーコンを受信した場合に予め携帯端末50に記憶されている認証情報を送信するためのアプリである。また、取得アプリは、盗難防止に関する処理(認証情報の送信)を行うアプリと、作業機1の機械情報を収集するアプリとを統合したアプリであってもよい。