特許第6812317号(P6812317)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6812317電力変換装置および電力変換装置を搭載した車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6812317
(24)【登録日】2020年12月18日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】電力変換装置および電力変換装置を搭載した車両
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20201228BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20201228BHJP
   H01L 23/473 20060101ALI20201228BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20201228BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
   B60L9/18 A
   H01L23/46 Z
   H01L25/04 C
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-153080(P2017-153080)
(22)【出願日】2017年8月8日
(65)【公開番号】特開2019-33587(P2019-33587A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2019年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 拓
(72)【発明者】
【氏名】堀内 敬介
(72)【発明者】
【氏名】寺門 秀一
(72)【発明者】
【氏名】稲荷田 聡
【審査官】 土井 悠生
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−157161(JP,A)
【文献】 特開2006−295997(JP,A)
【文献】 特開2015−100223(JP,A)
【文献】 特開2010−124523(JP,A)
【文献】 特開2009−211827(JP,A)
【文献】 特開2016−039639(JP,A)
【文献】 特開2013−198255(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/056209(WO,A1)
【文献】 特開2017−085883(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0054347(US,A1)
【文献】 特開2015−167428(JP,A)
【文献】 特開2013−219892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42−7/98
B60L 9/18
H01L 23/29
H01L 23/34−23/36
H01L 23/373−23/427
H01L 23/44
H01L 23/467−23/473
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
複数のパワーモジュールと、
複数の平滑用コンデンサと、
前記複数の平滑用コンデンサに接続される複数のバスバと、
前記筐体に固定する冷却器と
を備え、
前記冷却器は、自らの両面に前記パワーモジュールを搭載し、
前記筐体外の前記バスバの入出力端子が、前記冷却器の前記パワーモジュールを搭載した前記両面とは異なる側面に配置され
前記冷却器の冷媒出入口が、前記冷却器の前記側面とは反対面の側面に配置され、
前記複数の平滑用コンデンサおよび前記複数のバスバは、前記冷却器の前記パワーモジュールを搭載した前記両面に対向する前記冷却器の両側に配置される
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置であって、
前記パワーモジュールに対して制御信号を授受するための駆動回路を備え、
前記駆動回路の基板を前記冷却器の下面に配置する
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電力変換装置であって、
前記平滑用コンデンサの蓄積電荷を放電する抵抗を設け、
前記抵抗を、前記パワーモジュールを搭載した前記両面それぞれの側に、かつ、前記冷媒出入口の少なくともどちらか一方の近傍に、前記平滑用コンデンサが搭載された空間から突出する態様で配置する
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電力変換装置であって、
前記抵抗を前記冷媒出入口それぞれの近傍に配置した場合、前記パワーモジュールの搭載面と同じ側にある前記抵抗を直列に接続する
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電力変換装置であって、
前記冷却器は、絶縁部材を介して前記筐体に固定される
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の電力変換装置であって、
前記パワーモジュールの搭載面である前記両面それぞれに、3相分の前記パワーモジュールを配置して3相インバータ回路として2群実装させる
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の電力変換装置を搭載した車両。
【請求項8】
請求項7に記載の車両であって、
前記バスバとして、3相分の交流バスバおよびブレーキチョッパ相のバスバを実装する
ことを特徴とする車両。
【請求項9】
筐体と、複数のパワーモジュールと、複数の平滑用コンデンサと、複数のバスバと、冷媒出入口を有する冷却器とを備える電力変換装置における取付け方法であって、
前記筐体に絶縁部材を介して前記冷却器を固定し、前記冷却器の両面に前記パワーモジュールをそれぞれ搭載し、前記パワーモジュールを搭載した前記両面とは異なる前記冷却器の一つの側面に前記筐体外の前記バスバの入出力端子を取り付け、前記冷却器の前記側面とは反対面の側面に前記冷却器が有する前記冷媒出入口を取り付け、前記複数の平滑用コンデンサおよび前記複数のバスバを、前記冷却器の前記パワーモジュールを搭載した前記両面に対向する前記冷却器の両側に取り付ける
ことを特徴とする取付け方法。
【請求項10】
請求項9に記載の取付け方法であって、
前記平滑用コンデンサの蓄積電荷を放電する抵抗を、前記パワーモジュールを搭載した前記両面それぞれの側に、かつ、前記冷媒出入口の少なくともどちらか一方の近傍に、前記平滑用コンデンサが搭載された空間から突出する態様で取り付ける
ことを特徴とする取付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気鉄道車両等が搭載する電力変換装置は、車両を駆動する電動機を制御するためのもので、車両の床下または屋根上に設置される。車両の床下または屋根上には、例えばブレーキ制御装置や屋根上空調等、他にも多くの部品を搭載する必要があるため、電力変換装置に対しても小型化が要求される。
【0003】
電力変換装置は、パワーモジュールの他に、冷却器、平滑用コンデンサおよび変圧器など種々の機器から構成され、それらを内蔵する。これら内蔵する各機器が、それぞれ単体で小型化されることは、電力変換装置の全体を小型化するうえで有効である。これに加えて、電力変換装置の内部構造として内蔵する各機器を効率よく配置することができれば、さらなる小型化を実現することができる。
【0004】
そこで、内蔵する機器の配置を決めるうえで初期に考慮すべき点は、パワーモジュールの冷却方式である。冷却方式には、冷却水を循環させて放熱する水冷式や、冷却フィンに冷却風を供給して放熱する空冷式がある。
【0005】
水冷式においては、パワーモジュールの近傍で冷却器体積が小さくなることから、パワーモジュールを含むユニットは小型となる。ただし、冷却水を循環させるポンプや、外気に放熱するためのラジエータを必要とするので、これらを収容する大規模な領域を別途確保しなければならない。
【0006】
また、空冷式においては、パワーモジュールの近傍で冷却器体積が大きくなることから、パワーモジュールを含むユニットは水冷式と比較して大型となる。しかしながら、冷却水を循環させるポンプやリザーバタンクなどの機器は不要となるため、水冷式と比較して機器の収容領域は小規模のものとなる。
【0007】
上述のとおり、電力変換装置が内蔵する機器を配置するに際し、水冷式と空冷式は互いに相反する性質を有している面があり、要求される仕様に応じて選択する必要がある。
例えば、パワーモジュールを水冷式で冷却する電力変換装置を小型化することに関して、従来技術として特許文献1が挙げられる。複数のパワーモジュールは、冷却器の両面に搭載され、パワーモジュールに電力を入出力するための金属板(バスバ)が冷却器の片面に積層する形で配置されている。
【0008】
また、電力変換装置が内蔵するインバータ回路の入力側に、電力を平滑するための平滑用コンデンサを設け、この平滑用コンデンサ内の電荷を保守時に放電するために放電抵抗を設けることがある。放電抵抗はインバータ駆動時に通電されるため、特許文献2には、この放電抵抗をパワーモジュールが搭載された水冷式冷却器と兼用して実装することで小型化を図ることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第5132175号公報
【特許文献2】特開2014−127577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1においては、パワーモジュール、バスバおよび冷却器を含むユニットを小型化することに焦点が当てられ、ユニットには上記以外の機器を極力搭載せず、ユニットから平滑用コンデンサを離す構成となっている。よって、特許文献2に記載の放電抵抗を必要とするような回路では、バスバを回避した放電抵抗へのケーブル配線が複雑になり冷却器が大型化してしまう。
【0011】
また、電力変換装置の小型化を追求した結果、大電流の流れるバスバ、制御信号をパワーモジュールに授受する信号線および冷却器に流出入する導電性冷媒が相互に高密度に実装される。このため、バスバ周辺に発生する磁場の影響で、意図としない信号電流が誘導され誤動作することや、冷媒を介して他の機器にノイズが伝搬してしまい故障を誘発する懸念がある。
【0012】
以上のように、特許文献1や特許文献2に記載の技術は、上記電磁ノイズの影響を課題としていない。
本発明の目的は、強い電磁場が発生するバスバから信号線や冷媒の供給水路を離して配置する工夫に加えて、放電抵抗が必要な場合に複雑な配線も含めて、電力変換装置の小型化と低ノイズ化の両立を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る電力変換装置は、筐体と、複数のパワーモジュールと、複数の平滑用コンデンサと、平滑用コンデンサに接続される複数のバスバと、筐体に固定する冷却器とを備え、冷却器は、自らの両面に前記パワーモジュールを搭載し、当該パワーモジュールの搭載面とは異なる側面にバスバの入出力端子を配置し、残りの側面に冷媒出入口を配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、強い電磁場が発生するバスバから信号線や冷媒の供給水路を離して配置する工夫に加えて、放電抵抗が必要な場合に複雑な配線も含めて、電力変換装置の小型化と低ノイズ化の両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施例1に係るパワーユニットの斜視図である。
図2図2は、実施例1に係るパワーユニットを筐体外のバスバ入出力端子から見た斜視図である。
図3図3は、実施例1に係るパワーユニットの側面図である。
図4図4は、電気鉄道車両900と、搭載する電力変換装置100の回路ブロック構成を示す図である。
図5図5は、図3に示す平滑用コンデンサおよび各バスバを取り外した側面図(実施例1に係る電力変換装置に搭載されるパワーモジュールのレイアウト図)である。
図6図6は、図5に示す冷却器およびその固定方法を示す図である。
図7図7は、実施例2に係る電力変換装置に搭載されるパワーモジュールのレイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態として、実施例1および2について、図面を用いて以下に説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の実施例1に係るパワーユニット110の斜視図である。
図2は、このパワーユニット110を筐体外のバスバ入出力端子から見た斜視図である。
図3は、このパワーユニット110の側面図である。
【0018】
パワーユニット110は、冷却器150、複数のパワーモジュール1、複数の平滑用コンデンサ120、正極バスバ40、負極バスバ50、制御信号線3(図4で後述)、駆動回路基板130、交流バスバ60、ブレーキチョッパ相バスバ70、放電抵抗30および冷却器150に接続された冷媒出入口151から構成される。
【0019】
複数の平滑用コンデンサ120、および、これら平滑用コンデンサ120に接続された複数の正極バスバ40と負極バスバ50が、複数のパワーモジュール1をその両面に搭載した冷却器150の両側に配置される。筐体外のバスバ入出力端子が冷却器150のパワーモジュール搭載面とは異なる側面に配置される。
【0020】
また、冷却器150と一体となっている冷媒出入口151が、冷却器150の残りの側面に配置される。ここで、冷却器150は、図示しないU字の流路を内部に構成するものである。冷却器150の下面には、パワーモジュール1に制御信号線3を介して信号を授受するために備える駆動回路の基板130が配置されている。さらに、冷却器150の冷媒出入口151に近い部位には、放電抵抗30が、平滑用コンデンサ120が搭載された空間から突出する態様で配置されている。
すなわち、冷却器150の側面には、複数のパワーモジュール1が搭載される面とは別に、筐体外のバスバ入出力端子が搭載される面と冷媒出入口151が搭載される面とが、互いに反対面となるように配置されていることになる。
【0021】
また、冷却器150の下面に、パワーモジュール1に制御信号線3を介して信号を授受するための駆動回路基板130を設けることで、電磁ノイズに弱い制御信号線3を大電流が流れ強磁場を発生するバスバから物理的に離すことができ、さらに、導電性の冷媒を介して他の水冷ユニットにノイズを伝搬する懸念をなくす効果がある。
【0022】
ここで、バスバの種類としては、図1および図2に示すとおり、正極バスバ40、負極バスバ50、交流バスバ60(U相交流バスバ61、V相交流バスバ62およびW相交流バスバ63)に加えて、ブレーキチョッパ相バスバ70を含む。ブレーキチョッパは、回生負荷が足りない時にその不足分だけをブレーキ抵抗器で消費することを目的とし、上下アームの内、片方のアームだけダイオードにしたパワーモジュールに接続される。
【0023】
放電抵抗30は、平滑用コンデンサ120の蓄積電荷を放電するために設け、図1〜3に示すように、冷却器150の冷媒出入口151のそれぞれの近傍(すなわち、冷媒入口の近傍および冷媒出口の近傍)の両面に1つずつ、合計4つ搭載する構成を採ることができる。この場合には、図3に示すように、同じパワーモジュール搭載面側に配置した2つの放電抵抗30を、同じパワーモジュール搭載面側に位置する平滑用コンデンサ120の放電用として直列に接続する態様をすることができる。ただし、この構成に限定されるものではなく、冷媒入口の近傍または冷媒出口の近傍の両面に1つずつ、合計2つ搭載する構成としてもよい。
【0024】
このように、全ての放電抵抗30を、冷却器150の片側の側面に寄せた冷媒出入口151の近傍に配置することで、放電抵抗30と平滑用コンデンサ120との距離を最小限にして、省配線化を図り、小型化を実現している。
【0025】
なお、本実施例1では、平滑用コンデンサ120とパワーモジュール1との距離も小さくできるため、両者を接続する正極バスバ40および負極バスバ50から構成される主回路インダクタンスを小さくすることが可能となる。これにより、低インダクタンス化による過電圧を抑制し、また電気的振動を抑制する効果もある。
【0026】
図4は、電気鉄道車両900と、搭載する電力変換装置100の回路ブロック構成を示す図である。
図示のように、移動体である電気鉄道車両900は、遮断器200、インバータ回路を構成する電力変換装置100および4個の電動機500を備え、これら誘導電動機500は、電気鉄道車両900の4つの車輪にそれぞれ接続されている。
【0027】
電力変換装置100は、架線300とレールや車体などの接地部400との間に接続され、誘導電動機500に交流電力を供給して駆動する。図4の架線300は、直流電力を供給する例を示す。架線300からの電力が交流の場合、電気鉄道車両900は、平滑用コンデンサ120の前段に交流を直流に変換するコンバータモジュールを備え、変換した直流電力を電力変換装置100に供給する。
【0028】
また、電力変換装置100は、異常時の緊急停止用の遮断器200、直流電流から所定の周波数の交流電流に変換するパワーユニット110およびパワーユニット110に対して状態に応じた制御信号を供給する制御回路基板140から構成される。その内のパワーユニット110は、供給される直流電流を安定化し平滑化するための平滑用コンデンサ120、半導体素子2を搭載したパワーモジュール1および制御回路基板140からの制御指令に応じてパワーモジュール1を駆動制御するドライバ回路を搭載した駆動回路基板130から構成される。
【0029】
パワーユニット110については、1in1のパワーモジュール1が6台分で6つのアームからなるインバータ回路を含んで構成される。
図4では、1in1パワーモジュールが6台の例で示しているが、2in1パワーモジュールであれば3台、もしくは6in1パワーモジュールであれば1台でもよい。図1〜3に示す構成では、冷却器150の片面にU相とV相の各パワーモジュール1、反対面にW相とブレーキチョッパ相の各パワーモジュール1を搭載している。
【0030】
各パワーモジュール1は、半導体素子2であるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(metal−oxide−semiconductor field−effect transistor)とダイオードとの並列接続回路からなる上アーム側の電流スイッチ回路と、IGBTやMOSFETとダイオードとの並列接続回路からなる下アーム側の電流スイッチ回路とを、直列に配置することにより構成される。ここで、ブレーキチョッパ相の場合は、片方のアームがダイオードだけで構成される。
【0031】
パワーモジュール1の正極バスバ40側のインターフェースは、モジュール正極端子であり、負極バスバ50側のインターフェースは、モジュール負極端子である。モジュール正極端子は、パワーユニット110内で正極バスバ40を介して平滑用コンデンサ120の正極に接続される。同様に、モジュール負極端子は、負極バスバ50を介して平滑用コンデンサ120の負極に接続される。
【0032】
また、正極バスバ40と負極バスバ50は、跳ね上がり電圧抑制を目的としてインダクタンス低減を実現するために、互いに隣接して実装されている。パワーユニット110は、このようなパワーモジュール1が3組設けられた3相ブリッジ回路として構成される。
【0033】
パワーモジュール1の上アーム電流スイッチ回路と下アーム電流スイッチ回路との接続部分は、モジュール交流端子である。パワーモジュール1のモジュール交流端子からは、交流電流が出力され、3相の交流電流U、VおよびWが、U相交流バスバ61、V相交流バスバ62およびW相交流バスバ63を介して、電動機500へ供給される。
【0034】
平滑用コンデンサ120の蓄積電荷を放電するための放電抵抗30は、平滑用コンデンサ120と並列に正極バスバ40と負極バスバ50との間に配置する。ここでは、放電抵抗30の耐圧を考慮して回路図上の抵抗を2つ直列にしているが、1つにしてもよい。
【0035】
ドライバ回路を搭載した駆動回路基板130からパワーモジュール1に対して出力されるゲート信号は、ゲート信号線3aを介して、各相の半導体素子2に供給される。ゲート信号線3aにより、交流電流U、VおよびWの振幅や位相などが制御される。
【0036】
ソース信号は、各相の半導体素子2のソース信号端子から、ソース信号線3bを介して、駆動回路基板130へ供給される。このソース信号線3bを使って過電流や過電圧を駆動回路基板130で検知し、半導体素子2を保護するか否かなど、次の瞬間の動作を判断しながら制御が行われる。
【0037】
このように、ゲート信号線3aおよびソース信号線3bは、半導体素子2のスイッチング駆動を制御するための制御信号線である。以下では、これらを総称して制御信号線3と記載する場合がある。
【0038】
制御回路基板140は、上アームの半導体素子2と下アームの半導体素子2のスイッチングタイミングを演算処理するマイクロコンピュータ(図示せず)を備え、駆動回路基板130を介して、半導体素子2をスイッチング動作させるための指令を出す。
【0039】
また、駆動回路基板130は、上述したように、ソース信号線3bを使ってそれぞれの半導体素子2のソース電極における過電流検知を行い、過電流が検知された半導体素子2については、そのスイッチング動作を停止させて過電流から保護する。
【0040】
さらに、制御回路基板140には、パワーモジュール1に設けられた温度センサ(図示せず)や、半導体素子2のドレインとソース間の両端に印加される直流電圧を検出する電圧検出回路(図示せず)などからの信号が入力される。制御回路基板140は、それらの制御信号線3に基づき、過温度、過電流および過電圧などの異常を検知する。そして、過温度、過電流および過電圧などの異常を検知した場合には、全ての半導体素子2のスイッチング動作を停止させ、パワーモジュール1を過温度、過電流および過電圧などの異常から保護する。
【0041】
実施例1に係るパワーユニット110は、電動機側のトルクに応じて要求される出力電流がパワーモジュール1あたりの許容出力電流よりも大きい場合には、パワーモジュール1の個数を増やして並列接続してもよい。さらに、電力変換装置100は、図4に示す回路構成に加え、電池に充放電する機能を有する装置構成であってもよい。また、インバータ回路を2つ備えた回路や、インバータ回路に加えコンバータ回路を追加してもよい。
【0042】
図5は、図3に示す平滑用コンデンサ120および各バスバ(40、50、61〜63および70)を取り外した側面図で、実施例1に係る電力変換装置に搭載されるパワーモジュール1のレイアウトを示している。
ここでは、冷却器150に対して、片面に1in1パワーモジュール1を4台搭載した例を示す。図示の面の反対面にも、同様に1in1パワーモジュール1を4台搭載している。1in1パワーモジュール1を2台で1相分を構成するため、片面にU相およびV相、反対面にW相およびブレーキチョッパ相を配置することにより、無駄スペースのない実装としている。また、放電抵抗30に関しては、それを水冷することで小型化を実現し、U字状の流路のインレットとアウトレットの両面に合計4台搭載することで省スペース化を図っている。
【0043】
図6は、図5に示す冷却器150およびその固定方法を示す図である。
冷却器150は、図示しない筐体に片面で4か所、両面で8か所の冷却器固定ボルト160で固定する。これにより、耐振性を確保している。また、冷却器固定ボルト160それぞれに付随する絶縁部材170は、パワーモジュール1で発生した電磁ノイズが筐体を介して周辺部材や鉄道車両全体に伝搬させない目的で設けたものである。これにより、万が一発生したノイズをパワーユニット110の中に留め置くことが可能となる。
【実施例2】
【0044】
図7は、実施例2に係る電力変換装置に搭載されるパワーモジュールのレイアウトを示す図である。
冷却器150に対して、片面に、3相分のパワーモジュール1として、1in1のモジュール6台を配置し、図示の面の反対面にも、同様に3相分のパワーモジュール1を6台配置している。本実施例2では、片面毎にインバータ回路を構成しているため2群のインバータ回路を実装することができ、制御する電動機500の台数を4台から8台に増やすことや、大容量の電動機500もしくは小容量の空調設備などの補機を複数台制御することが可能となる。
【符号の説明】
【0045】
1…パワーモジュール、2…半導体素子、3…制御信号線、
3a…ゲート信号線、3b…ソース信号線、30…放電抵抗、31…配線、
40…正極バスバ、50…負極バスバ、60…交流バスバ、
61…U相交流バスバ、62…V相交流バスバ、63…W相交流バスバ、
70…ブレーキチョッパ相バスバ、100…電力変換装置、110…パワーユニット、
120…平滑用コンデンサ、130…駆動回路基板、140…制御回路基板、
150…冷却器、151…冷媒出入口、160…冷却器固定ボルト、170…絶縁部材、200…遮断器、300…架線、400…接地部、500…電動機、
600…リアクトル、900…電気鉄道車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7