特許第6812320号(P6812320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ KDDI株式会社の特許一覧

特許6812320不特定多数の投稿文を用いて将来的な消費電力量を予測するプログラム、装置及び方法
<>
  • 特許6812320-不特定多数の投稿文を用いて将来的な消費電力量を予測するプログラム、装置及び方法 図000002
  • 特許6812320-不特定多数の投稿文を用いて将来的な消費電力量を予測するプログラム、装置及び方法 図000003
  • 特許6812320-不特定多数の投稿文を用いて将来的な消費電力量を予測するプログラム、装置及び方法 図000004
  • 特許6812320-不特定多数の投稿文を用いて将来的な消費電力量を予測するプログラム、装置及び方法 図000005
  • 特許6812320-不特定多数の投稿文を用いて将来的な消費電力量を予測するプログラム、装置及び方法 図000006
  • 特許6812320-不特定多数の投稿文を用いて将来的な消費電力量を予測するプログラム、装置及び方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6812320
(24)【登録日】2020年12月18日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】不特定多数の投稿文を用いて将来的な消費電力量を予測するプログラム、装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20201228BHJP
   G06Q 50/00 20120101ALI20201228BHJP
【FI】
   G06Q50/06
   G06Q50/00 300
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-158907(P2017-158907)
(22)【出願日】2017年8月21日
(65)【公開番号】特開2019-36256(P2019-36256A)
(43)【公開日】2019年3月7日
【審査請求日】2019年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【弁理士】
【氏名又は名称】早原 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】平田 紀史
(72)【発明者】
【氏名】吉原 貴仁
【審査官】 鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−016632(JP,A)
【文献】 特開2014−106585(JP,A)
【文献】 特開2016−081471(JP,A)
【文献】 特開2016−110556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現時間帯の消費電力量から将来時間帯の消費電力量を予測するようにコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
時間帯毎に、不特定多数のユーザからの投稿文を蓄積する投稿文蓄積手段と、
前記投稿文に含まれる特徴要素毎に、各時間帯における投稿文の投稿数を抽出する投稿数抽出手段と、
時間帯tの消費電力量、及び、各特徴要素の投稿数と、時間帯t+1の消費電力量とを教師データとして学習した学習モデルを含む学習エンジンと
して機能させ、
前記学習エンジンは、運用時における時間帯tの消費電力量と各特徴要素の投稿数とを入力することによって、時間帯t+1の消費電力量を出力する
ようにコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項2】
前記投稿抽出手段における前記投稿数は、
当該特徴要素を含む投稿文の数、若しくは、全投稿文の数に対する当該投稿文の数の割合、又は、
前記特徴要素に基づいてクラスタリングされたクラスタの投稿文の数、若しくは、全投稿文の数に対する当該クラスタの投稿文の数の割合
としてコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記投稿文は、SNS(Social Networking Service)、ブログ、ミニブログ又は掲示板に投稿されるテキストである
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記特徴要素は、ハッシュタグである
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記投稿文に地域要素が更に含まれており、
前記投稿数抽出手段は、地域要素毎について、前記投稿文に含まれる特徴要素毎に、各時間帯における投稿文の投稿数を抽出し、
前記学習エンジンは、地域要素毎に、時間帯tの消費電力量、及び、各特徴要素の投稿数と、時間帯t+1の消費電力量とを教師データとして学習した学習モデルを構築し、
前記学習エンジンは、地域要素毎に、運用時における時間帯tの消費電力量と各特徴要素の投稿数とを入力することによって、時間帯t+1の消費電力量を出力する
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記地域要素は、所定の地域範囲を表し、前記投稿文のテキストに記述された地域名、前記投稿文の内容から推定される地域名、又は、前記投稿文に情報属性として付与された位置情報に基づいて特定される
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
現時間帯の消費電力量から将来時間帯の消費電力量を予測する装置において、
時間帯毎に、不特定多数のユーザからの投稿文を蓄積する投稿文蓄積手段と、
前記投稿文に含まれる特徴要素毎に、各時間帯における投稿文の投稿数を抽出する投稿数抽出手段と、
時間帯tの消費電力量、及び、各特徴要素の投稿数と、時間帯t+1の消費電力量とを教師データとして学習した学習モデルを含む学習エンジンと
を有し、
前記学習エンジンは、運用時における時間帯tの消費電力量と各特徴要素の投稿数とを入力することによって、時間帯t+1の消費電力量を出力する
ことを特徴とする装置。
【請求項8】
現時間帯の消費電力量から将来時間帯の消費電力量を予測する装置の消費電力量予測方法において、
前記装置は、学習時に、
時間帯毎に、不特定多数のユーザからの投稿文を蓄積する投稿文蓄積部を用いて、
前記投稿文に含まれる特徴要素毎に、各時間帯における投稿文の投稿数を抽出するステップと、
時間帯tの消費電力量、及び、各特徴要素の投稿数と、時間帯t+1の消費電力量とを教師データとして学習した学習モデルを含む学習エンジンを構築するステップとを実行し、
前記装置は、運用時に、
前記学習エンジンに、運用時における時間帯tの消費電力量と各特徴要素の投稿数とを入力することによって、時間帯t+1の消費電力量を出力するステップを実行する
ことを特徴とする装置の消費電力量予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数世帯における消費電力量を予測する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前日の宿泊予約やキャンセルに基づいて、宿泊施設の電力需要を予測する技術がある(例えば非特許文献1参照)。この技術によれば、宿泊施設の電力調達を効率化すると共に、インバランス料金を最小化することができる。
また、コミュニティの総電力需要を予測する技術もある(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、エネルギー消費調整要請(需要の削減要請)を実施した場合、その要請を送信した世帯と送信していない世帯を区別して、将来の特定時期におけるエネルギー需要を予測する。
更に、地域毎に、予測された発電量及び消費電力量に基づいて気象状況の推移を推測し、その気象状況の推移に基づいて発電量及び消費電力量を補正して、電力供給を制御する技術もある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図1は、従来技術における消費電力量予測装置の機能構成図である。
【0004】
各世帯には、消費電力量を計測するスマートメータ(電力計)が設置されている。スマートメータは、世帯内に設置されたHEMS−GW(Home Energy Management System - GateWay)やHome−GWを介して、広域通信網(インターネット又は通信事業者網)に接続されたサーバと通信することができる。
図1によれば、広域通信網には、消費電力量予測装置1が接続されている。スマートメータは、所定時間帯毎に計測した消費電力量を、消費電力量予測装置1へ送信する。消費電力量予測装置1は、各世帯の消費電力量を、スマートメータから受信するものであってもよいし、電力会社から取得するものであってもよい。
【0005】
図1によれば、消費電力量予測装置1は、以下の機能構成部を有する。
世帯毎の消費電力量を受信する消費電力量収集部
複数世帯を所定のグループにまとめて消費電力量を算出する消費電力量算出部
グループ毎に将来時間帯t+1の消費電力量を予測する予測部
予測部としては、様々な統計的分析方法が用いられる。最終的に、予測された消費電力量に基づいて、様々なアプリケーションが実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許5596220号公報
【特許文献2】特開2014−027780号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】楽天株式会社、プレスリリース、[online]、[平成29年7月23日検索]、インターネット<URL:http://corp.rakuten.co.jp/news/press/2014/0603_01.html>
【非特許文献2】経済産業省、総合資源エネルギー調査会省エネルギー基準部会(第17回)参考資料1、「トップランナー基準の現状等について」、p.18、[onine]、[平成29年7月23日検索]、インターネット<URL:http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004310/017_s01_00.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
宅内で活動する人が多くなるほど、家庭用電気機器の利用が増加し、所定地域の総消費電力量が増加するという統計データがある(例えば非特許文献2参照)。これによれば、人の在宅による消費電力量は、全体の約4割以上を占めるとされている。即ち、照明、テレビ、エアコン、電気温水器、電気ポットのような家庭用電気機器の使用が増えるほど、その地域全体の消費電力量も増加すると予測される。
【0009】
これに対し、非特許文献1に記載の技術は、宿泊施設を前提とし、特許文献1に記載の技術は、エネルギー消費調整要請の有無を前提としており、これらは、日常の消費電力量を予測するものではない。また、特許文献1に記載の技術は、気象状況の推移に応じて、消費電力量の予測を補正するに過ぎず、そもそも、人の活動に応じて消費電力量を予測するものではない。
【0010】
一方で、本願の発明者らは、人の在宅による活動の増加又は減少を推定することができれば、現在の消費電力量から将来の消費電力量を予測することができるのではできないか、と考えた。特に、情報端末の位置情報を測位することなく、且つ、情報端末から専用のデータを収集することなく、人の日常の情報発信活動の中で、その地域における将来の消費電力量を予測することはできないか、と考えた。
【0011】
そこで、本発明は、情報端末を用いた人の日常の情報発信活動の中で、将来的な消費電力量を予測するプログラム、装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、現時間帯の消費電力量から将来時間帯の消費電力量を予測するようにコンピュータを機能させるプログラムにおいて、
時間帯毎に、不特定多数のユーザからの投稿文を蓄積する投稿文蓄積手段と、
投稿文に含まれる特徴要素毎に、各時間帯における投稿文の投稿数を抽出する投稿数抽出手段と、
時間帯tの消費電力量、及び、各特徴要素の投稿数と、時間帯t+1の消費電力量とを教師データとして学習した学習モデルを含む学習エンジンと
して機能させ、
学習エンジンは、運用時における時間帯tの消費電力量と各特徴要素の投稿数とを入力することによって、時間帯t+1の消費電力量を出力する
ようにコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0013】
本発明における他の実施形態によれば、
投稿抽出手段における投稿数は、
当該特徴要素を含む投稿文の数、若しくは、全投稿文の数に対する当該投稿文の数の割合、又は、
特徴要素に基づいてクラスタリングされたクラスタの投稿文の数、若しくは、全投稿文の数に対する当該クラスタの投稿文の数の割合
としてコンピュータを機能させることも好ましい。
【0014】
本発明における他の実施形態によれば、
投稿文は、SNS(Social Networking Service)、ブログ、ミニブログ又は掲示板に投稿されるテキストである
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0015】
本発明における他の実施形態によれば、
特徴要素は、ハッシュタグであることも好ましい。
【0016】
本発明における他の実施形態によれば、
投稿文に地域要素が更に含まれており、
投稿数抽出手段は、地域要素毎について、投稿文に含まれる特徴要素毎に、各時間帯における投稿文の投稿数を抽出し、
学習エンジンは、地域要素毎に、時間帯tの消費電力量、及び、各特徴要素の投稿数と、時間帯t+1の消費電力量とを教師データとして学習した学習モデルを構築し、
学習エンジンは、地域要素毎に、運用時における時間帯tの消費電力量と各特徴要素の投稿数とを入力することによって、時間帯t+1の消費電力量を出力する
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0017】
本発明における他の実施形態によれば、
地域要素は、所定の地域範囲を表し、投稿文のテキストに記述された地域名、投稿文の内容から推定される地域名、又は、投稿文に情報属性として付与された位置情報に基づいて特定される
ようにコンピュータを機能させることも好ましい。
【0018】
本発明によれば、現時間帯の消費電力量から将来時間帯の消費電力量を予測する装置において、
時間帯毎に、不特定多数のユーザからの投稿文を蓄積する投稿文蓄積手段と、
投稿文に含まれる特徴要素毎に、各時間帯における投稿文の投稿数を抽出する投稿数抽出手段と、
時間帯tの消費電力量、及び、各特徴要素の投稿数と、時間帯t+1の消費電力量とを教師データとして学習した学習モデルを含む学習エンジンと
を有し、
学習エンジンは、運用時における時間帯tの消費電力量と各特徴要素の投稿数とを入力することによって、時間帯t+1の消費電力量を出力する
ことを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、現時間帯の消費電力量から将来時間帯の消費電力量を予測する装置の消費電力量予測方法において、
装置は、学習時に、
時間帯毎に、不特定多数のユーザからの投稿文を蓄積する投稿文蓄積部を用いて、
投稿文に含まれる特徴要素毎に、各時間帯における投稿文の投稿数を抽出するステップと、
時間帯tの消費電力量、及び、各特徴要素の投稿数と、時間帯t+1の消費電力量とを教師データとして学習した学習モデルを含む学習エンジンを構築するステップとを実行し、
装置は、運用時に、
学習エンジンに、運用時における時間帯tの消費電力量と各特徴要素の投稿数とを入力することによって、時間帯t+1の消費電力量を出力するステップを実行する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明のプログラム、装置及び方法によれば、情報端末を用いた人の日常の情報発信活動の中で、将来的な消費電力量を予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】従来技術における消費電力量予測装置の機能構成図である。
図2】本発明におけるシステム構成図
図3】本発明における消費電力量予測装置の機能構成図である。
図4】各機能構成部によって保持されるテーブルである。
図5】投稿文に基づくテーブルである。
図6】時間帯tの消費電力量と時間帯t+1の消費電力量とを表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0023】
図2は、本発明におけるシステム構成図である。
【0024】
図2によれば、インターネットのような広域通信網に、消費電力量予測装置1及びSNSサーバ2が接続されている。
また、世帯毎に設置されたスマートメータ2は、広域通信網を介して時間帯毎の消費電力量を送信する。
更に、不特定多数のユーザは、自ら所持する例えばスマートフォンやタブレット、パーソナルコンピュータのような情報端末4を用いて、広域通信網に接続されたSNSサーバ3へ投稿文を発信することができる。投稿文は、SNS、ブログ、ミニブログ又は掲示板に投稿されるテキストである。SNSサーバ3は、例えばtwitter(登録商標)のようなサイトサーバである。
【0025】
消費電力量予測装置1は、現時間帯tの消費電力量と、SNSサーバ3から取得した現時間帯tの多数の投稿文とを用いて、将来時間帯t+1の消費電力量を予測することができる。
【0026】
スマートメータ2は、通信機能を搭載した電力計であって、世帯毎に設置されるものである。スマートメータ2は、その世帯で計測された所定時間帯毎の消費電力量を、HEMS−GWやHomeGWを介して、消費電力量予測装置1へ送信する。勿論、これらGWを介することなく、スマートメータ1が直接的に電力会社へ消費電力量を送信し、消費電力量予測装置1は、その電力会社から世帯毎の消費電力量を取得するものであってもよい。
【0027】
図3は、本発明における消費電力量予測装置の機能構成図である。
図4は、各機能構成部によって保持されるテーブルである。
【0028】
図3によれば、消費電力量予測装置1は、消費電力量収集部111と、グループ消費電力量算出部112と、現時間帯投稿文記憶部121と、投稿数抽出部122と、学習エンジン13とを有する。これら機能構成部は、装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。また、これら機能構成部の処理の流れは、装置の消費電力量予測方法としても理解できる。
【0029】
消費電力量予測装置1は、グループ地域範囲(表a)及び世帯位置情報(表b)のテーブルを予め記憶している。
(表a)グループID(IDentifier)毎に、消費電力量の予測対象となる地域範囲を表すテーブルである。地域範囲としては、県市町村単位であってもよいし、緯度経度のメッシュ単位であってもよい。
(表b)世帯ID毎に、その世帯宅の位置情報を表すテーブルである。位置情報は、緯度経度であってもよいし、住所であってもよい。
【0030】
[消費電力量収集部111]
消費電力量収集部111は、世帯毎に、各所定時間帯で計測された消費電力量を収集する。消費電力量は、各世帯に設置されたスマートメータ2から受信するものであってもよいし、電力会社から取得するものであってもよい。
【0031】
消費電力量収集部111は、世帯消費電力量(表c)のテーブルを作成する。
(表c)世帯ID毎に、各時間帯(例えば30分単位)の消費電力量を表すテーブルである。例えば以下のようなものである。
世帯ID1->時間帯2017-07-23 21:00〜21:29->消費電力量40kWh
時間帯2017-07-23 21:30〜21:59->消費電力量40kWh
時間帯2017-07-23 22:00〜22:29->消費電力量20kWh
時間帯2017-07-23 22:30〜22:59->消費電力量35kWh
時間帯2017-07-23 23:00〜23:29->消費電力量40kWh
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
世帯ID2->時間帯2017-07-23 21:00〜21:29->消費電力量40Wh
時間帯2017-07-23 21:30〜21:59->消費電力量40kWh
時間帯2017-07-23 22:00〜22:29->消費電力量20kWh
時間帯2017-07-23 22:30〜22:59->消費電力量25kWh
時間帯2017-07-23 23:00〜23:29->消費電力量60kWh
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
世帯ID3->時間帯2017-07-23 21:00〜21:29->消費電力量40Wh
時間帯2017-07-23 21:30〜21:59->消費電力量30kWh
時間帯2017-07-23 22:00〜22:29->消費電力量40kWh
時間帯2017-07-23 22:30〜22:59->消費電力量25kWh
時間帯2017-07-23 23:00〜23:29->消費電力量70kWh
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【0032】
[グループ消費電力量算出部112]
グループ消費電力量算出部112は、グループ毎に、総消費電力量を算出する。グループとは、地域範囲、例えば都道府県単位や電力区域毎であってもよい。
グル−プ毎の総消費電力量は、学習エンジン13へ出力される。
【0033】
グループ消費電力量算出部112は、グループ消費電力量(表d)のテーブルを作成する。
(表d)グループID毎に、各時間帯の消費電力量を表すテーブルである。即ち、そのグループの地域範囲に含まれる複数世帯における総消費電力量である。これは、表a〜cを用いて、例えば以下のように作成される。
グループID1->時間帯2017-07-23 21:00〜21:29->総消費電力量120GWh
時間帯2017-07-23 21:30〜21:59->総消費電力量90GWh
時間帯2017-07-23 22:00〜22:29->総消費電力量80GWh
時間帯2017-07-23 22:30〜22:59->総消費電力量85GWh
時間帯2017-07-23 23:00〜23:29->総消費電力量170GWh
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
グループID2->時間帯2017-07-23 21:00〜21:29->総消費電力量60GWh
時間帯2017-07-23 21:30〜21:59->総消費電力量50GWh
時間帯2017-07-23 22:00〜22:29->総消費電力量40GWh
時間帯2017-07-23 22:30〜22:59->総消費電力量50GWh
時間帯2017-07-23 23:00〜23:29->総消費電力量50GWh
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
グループID3->時間帯2017-07-23 21:00〜21:29->総消費電力量80GWh
時間帯2017-07-23 21:30〜21:59->総消費電力量70GWh
時間帯2017-07-23 22:00〜22:29->総消費電力量40GWh
時間帯2017-07-23 22:30〜22:59->総消費電力量60GWh
時間帯2017-07-23 23:00〜23:29->総消費電力量70GWh
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【0034】
[現時間帯投稿文記憶部121]
現時間帯投稿文記憶部121は、現時間帯tにおける、不特定多数のユーザからの投稿文を蓄積する。
【0035】
図5は、投稿文に基づくテーブルである。
【0036】
(表e)時間帯毎の投稿文を表すテーブルである。
投稿文は、一般的に、ユーザ自らの考えを発信したテキストである。投稿文には、投稿要素に関連するキーワードやタグ、URLが含まれるものであってもよい。タグは、投稿内容に付随する情報要素である。
【0037】
[投稿数抽出部122]
投稿数抽出部122は、投稿文に含まれる特徴要素毎に、各時間帯における投稿文の投稿数を抽出する。「特徴要素」とは、投稿文に含まれる情報要素であればよい。
【0038】
「特徴要素」は、例えば人が宅内で活動している際に投稿したであろうキーワード等が設定されるようにする。本発明によれば、人の在宅による活動が推定できるキーワードを特徴要素するのが好ましい。例えばワールドカップの中継が放送されている場合、多くの人が宅内でテレビを視聴していると想定できる。このとき、例えばtwitter(登録商標)のツィートには、多数の#worldcupの投稿文が発信されると考えられる。そのような時間対では、他の日の同じ時間帯と比べて、多くの人が宅内でテレビに限らず、照明、エアコン等による家庭用電気機器が使用される。これによって、所定地域における総消費電力量も増加すると考えられる。そうすると、所定の特徴要素が記述された投稿文の数を計数することによって、現時間帯の消費電力量から将来時間帯の消費電力量を予測することができると考えられる。
【0039】
特徴要素は、例えばキーワード(単語)であってもよい。所定の特徴要素それぞれに、1つ以上の単語を予め規定しておく。そして、全ての投稿文を、形態素解析によって単語に区分し、各特徴要素の単語を含む投稿数を計数する。
また、特徴要素は、例えばタグ(ハッシュタグ)であってもよい。twitter(登録商標)のツィートの場合、所定の特徴要素それぞれに、1つ以上のハッシュタグを予め規定しておく。例えば#worldcupを1つの特徴要素として規定した場合、#worldcupが記述された投稿文の数を計数する。
更に、特徴要素は、例えばURL(Uniform Resource Locator)であってもよい。所定の特徴要素それぞれに、1つ以上のURLを予め規定しておく。例えばhttp://aaa.comを1つの特徴要素として規定した場合、そのhttp://aaa.comが記述された投稿文の数を計数する。
【0040】
即ち、特徴要素毎の「投稿数」とは、例えば以下のようなものである。
(1)当該特徴要素を含む投稿文の数
(2)全投稿文の数に対する、当該特徴要素を含む投稿文の数の割合
(3)当該特徴要素に基づいてクラスタリングされたクラスタの投稿文の数
(4)全投稿文の数に対する、当該特徴要素に基づくクラスタの投稿文の数の割合
これら特徴要素毎の投稿数は、学習エンジン13に対する入力ベクトルとなる。
【0041】
ここで、クラスタとは、投稿文に投稿要素自体が含まれることに限られず、その投稿内容に基づく何らかのクラスタリングがなされていればよい。各クラスタを特徴要素として、各クラスタに含まれる投稿文の数を計数する。即ち、各クラスタをベクトルの要素とし、各ベクトルの値を投稿数とする。
クラスタリングには、k-meansやLDA(Latent Dirichlet Allocation)のような様々な既存技術を用いることもできる。勿論、教師なし学習としてのクラスタリングに限られず、教師あり学習(Supervised learning)としての分類方法を用いることもできる。この場合は、学習時に、投稿文と正解クラスとを対応付けた教師(訓練)データを事前に入力することによって学習モデルを生成する。
【0042】
(表f)時間帯t毎の各特徴要素の投稿数を表すテーブルである。
例えば、時間帯19:30〜19:59には、特徴要素#worldcupを含む投稿文が、4500件、投稿されたことが計数されている。
また、時間帯19:30〜19:59には、特徴要素#TVを含む投稿文が、2000件、投稿されたことが計数されている。
【0043】
[学習エンジン13]
学習エンジン13は、学習時に、内部で学習モデルを生成し、運用時に、その学習モデルを用いて、将来時間対t+1の消費電力量を予測する。
図6は、時間帯tの消費電力量と時間帯t+1の消費電力量とを表すグラフである。
【0044】
<学習時>
学習エンジン13は、学習時に、時間帯tの消費電力量、及び、各特徴要素の投稿数と、時間帯t+1の消費電力量とを教師データとして学習した学習モデルを生成する。
学習方式が例えばVAR(vector autoregression)である場合、時間帯tにおける消費電力量は、例えば以下のようにモデル化することができる。
消費電力量(t)=a1*消費電力量(t-1)+a2*消費電力量(t-2)+
b1*#worldcup投稿数(t-1)+b2*#worldcup投稿数(t-2)+
c1*#TV投稿数(t-1)+c2*#TV投稿数(t-2)+
d 式(1)
t、t-1、t-2:時間帯
a1,a2,b1,b2,c1,c2,d:学習モデルのパラメータ
このように、過去における時間帯tの消費電力量、及び、各特徴要素の投稿数と、時間帯t+1の消費電力量とを教師データとして、学習モデル(パラメータ)を生成する。
【0045】
尚、時間帯tや時間帯t+1について、時間帯の幅や単位時間の個数を限定するものではない。あくまで、過去の時間帯の消費電力量と各特徴要素の投稿数とから、将来時間帯の消費電力量を予測するものとして表現しているに過ぎない。
時間帯tの消費電力量のモデル式は、少なくとも1つの時間帯t-1の消費電力量や投稿数から生成される。但し、前述した実施形態によれば、複数の時間帯t-1及びt-2の消費電力量や投稿数から生成している。
【0046】
<運用時>
学習エンジン13は、運用時に、その学習モデルを用いて、現時間帯tの消費電力量と、各特徴要素の投稿数とを入力することによって、将来時間帯t+1の消費電力量を出力する。
例えば前述したVARで生成された学習モデルが、以下のようなものであったとする。
(a1, a2, b1, b2, c1, c2, d)=(0.4, 0.3, 0.2, 0.1, 0.2, 0.1, 100)
このとき、運用時に、学習エンジン13へ入力される時間帯tの消費電力量及び各特徴要素の投稿数が、以下のようなものであったとする。
消費電力(t-1)=2027
消費電力(t-2)=1950
#worldcup投稿数(t-1)=2000
#worldcup投稿数(t-2)=1500
#TV投稿数(t-1)=600
#TV投稿数(t-2)=500
この場合、t=20:30の消費電力を予測するためには、式(1)に当てはめると、以下のような将来時間帯における予測された消費電力量が算出される。
消費電力(t)=0.4*2027+0.3*1950+0.2*2000+0.1*1500+0.2*600
+0.1*500+100
=2215.8
【0047】
<地域要素を含む投稿文に基づく実施形態>
投稿文に、地域要素が更に含まれているとする。地域要素としては、GPS(Global Positioning System)に基づく緯度経度情報であってもよいし、地名であってもよい。
「地域要素」は、所定の地域範囲を表す。投稿文のテキストに記述された地域名や、投稿文の内容から推定される地域名、又は、投稿文に情報属性として付与された位置情報に基づいて特定されるものであってもよい。
尚、SNSの投稿文のユーザIDと、位置情報とを予め対応付けておくことも好ましい。この場合、投稿文と地域要素とを対応付けることができる。
【0048】
投稿数抽出部122は、「地域要素」毎について、投稿文に含まれる「特徴要素」毎に、各時間帯における投稿文の「投稿数」を抽出する。
これに対し、学習エンジン13は、「地域要素」毎に、時間帯tの消費電力量、及び、各特徴要素の投稿数と、時間帯t+1の消費電力量とを教師データとして学習した学習モデルを構築する。そして、学習エンジン13は、「地域要素」毎に、運用時における時間帯tの消費電力量と各特徴要素の投稿数とを入力することによって、時間帯t+1の消費電力量を出力する。
投稿文に「地名」が含まれていたとしても、その投稿文が、必ずしもその「地名」に位置する情報端末2から発信されたものであるとは限らない。しかしながら、その「地名」の場所では、何らかの事象が発生しているとは認識できる。それは、その地域範囲の消費電力量に影響を与える可能性もある。
【0049】
以上、詳細に説明したように、本発明のプログラム、装置及び方法によれば、不特定多数の投稿文を用いて将来的な消費電力量を予測することができる。
本発明によれは、人の在宅による活動に基づく特徴要素を含む投稿文の数を検出することによって、現在時間帯の消費電力量から将来時間帯の消費電力量を予測することができる。
また、情報端末の位置情報を測位することなく、且つ、情報端末から専用のデータを収集することなく、人の日常の情報発信活動の中で、その地域における将来の消費電力量を予測することができる。
【0050】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0051】
1 消費電力量予測装置
111 消費電力量収集部
112 グループ消費電力量算出部
121 在宅推定部
122 在宅率算出部
13 学習エンジン
2 スマートメータ
3 SNSサーバ
4 情報端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6