【文献】
Cacilda Tezelli Junqueira Padovani,Glucocorticoid-induced tumor necrosis factor receptor expression in patients with cervical human papillomavirus infection,Revista da Sociedade Brasileira de Medicina Tropical,2013年,Vol.46 No.3,Page.288-292
【文献】
Adam D. Cohen,Agonist Anti-GITR Monoclonal Antibody Induces Melanoma Tumor Immunity in Mice by Altering Regulatory T Cell Stability and Intra-Tumor Accumulation,PLoS ONE,2010年 5月,Vol.5 No.5,Page.e10436
【文献】
Katrin M. Baltz,Cancer immunoediting by GITR (glucocorticoid-induced TNF-related protein) ligand in humans: NK cell/tumor cell interactions,The FASEB Journal,2007年 8月,Vol.21,Page.2442-2454
【文献】
Wen-Chun Chang,Clinical Significance of Regulatory T Cells and CD8+ Effector Populations in Patients With Human Endometrial Carcinoma,Cancer,2010年12月15日,Vol.116,Page.5777-5788
【文献】
Thais Helena Gasparoto,Patients with oral squamous cell carcinoma are characterized by increased frequency of suppressive regulatory T cells in the blood and tumor microenvironment,Cancer Immunol Immunother,2009年12月12日,Vol.59 No.6,Page.819-828
【文献】
David Coe,Depletion of regulatory T cells by anti-GITR mAb as a novel mechanism for cancer immunotherapy,Cancer Immunol Immunother,2010年,Vol.59,Page.1367-1377
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
詳細な記載
診断用抗GITR抗体を使用する、生体サンプル、例えば、腫瘍検体におけるGITR発現の検出ための種々の方法がここに開示される。このような抗体は、例えば、対象におけるGITRタンパク質レベルのモニタリング、腫瘍組織のような特定の組織におけるGITR陽性である特定の細胞の同定(例えば、Treg細胞および/または腫瘍細胞におけるGITRの存在の同定)、癌の早期検出、既存の癌のモニタリングおよび同定ならびに治療的抗GITR免疫療法の有効性の評価に有用であり得る。
【0023】
定義
本明細書の記載がより容易に理解されるために、まずいくつかの用語を定義する。さらなる定義は、詳細な記載をとおして示される。
【0024】
ここで使用される用語“グルココルチコイド誘導性TNF受容体”または“GITR”は、GITRリガンド(GITR−L)に結合する、TNF受容体スーパーファミリーのメンバーである受容体をいう。GITRはまた腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー18(TNFRSF18)、AITRおよびCD357とも称される。用語“GITR”は、細胞により天然に発現されるGITRのあらゆるバリアントまたはアイソフォームを含む。従って、ここに記載する抗体は、ヒト以外の種からのGITR(例えば、カニクイザルGITR)と交差反応し得る。あるいは、抗体はヒトGITRに特異的であってよく、他の種と何ら交差反応性を示さないでよい。GITRまたはそのあらゆるバリアントおよびアイソフォームは、それらを天然で発現する細胞または組織から発現されるものであっても、当分野で周知のおよび/またはここに記載する技術を使用して組み換えにより産生されてもよい。
【0025】
ヒトGITRの3種のアイソフォームが同定されており、その全てが、C末端部分以外同じ細胞外ドメインを共有する。バリアント1(Accession No. NP_004186;配列番号1)は241アミノ酸からなり、最長トランスクリプトを表す。これは、バリアント2と比較してフレームシフトに至る余分なコーディングセグメントを含む。得られたタンパク質(アイソフォーム1)は、アイソフォーム2と比較して、別個の短いC末端を含む。バリアント2(Accession No. NP_683699;配列番号2)は、255アミノ酸からなり、可溶性である最長タンパク質(アイソフォーム2)をコードする。バリアント3(Accession No. NP_683700;配列番号3)は、バリアント2と比較してフレームシフトに至る余分なコーディングセグメントを含む。得られたタンパク質(アイソフォーム3)は、アイソフォーム2と比較して、別個の短いC末端を含み、234アミノ酸からなる。ヒトGITRアイソフォーム1、2および3のアミノ酸配列を各々配列番号1、2および3に示し、成熟GITRの細胞外ドメインは、配列番号4に示すアミノ酸配列を有する。
【0026】
ここで使用する用語“抗体”は、抗体全体およびそのあらゆる抗原結合フラグメント(すなわち、“抗原結合部分”)または一本鎖を含む。“抗体”は、ある実施態様において、ジスルフィド結合により相互接続した少なくとも2個の重(H)鎖と2個の軽(L)鎖を含む糖タンパク質またはその抗原結合部分をいう。各重鎖は重鎖可変領域(ここではV
Hと略す)および重鎖定常領域を含む。ある天然に存在する抗体において、重鎖定常領域はCH1、CH2およびCH3の3ドメインからなる。ある天然に存在する抗体において、各軽鎖は軽鎖可変領域(ここではV
Lと略す)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、CLの1ドメインからなる。V
HおよびV
L領域は、さらに、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる比較的保存された領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分できる。各V
HおよびV
Lは3CDRおよび4FRからなり、アミノ末端からカルボキシ末端で次のFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順番に配置される。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫グロブリンの、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第一要素(Clq)を含む、宿主組織または因子への結合に介在し得る。
【0027】
抗体は、一般に、その同族抗原に10
−5〜10
−11M以下の解離定数(K
D)により反映される、高い親和性で結合する。約10
−4Mより大きいあらゆるK
Dは、一般に非特異的結合を指すと考えられる。ここで使用する、抗原に“特異的に結合する”抗体は、その抗原および実質的に同一の抗原に、10
−7M以下、好ましくは10
−8M以下、さらにより好ましくは5×10
−9M以下、最も好ましくは10
−8M〜10
−10M以下のK
Dを有することを意味する高親和性で結合するが、無関係抗原には高親和性で結合しない抗体をいう。
【0028】
免疫グロブリンは、IgA、分泌型IgA、IgGおよびIgMを含むが、これらに限定されない一般に知られるアイソタイプの何れかの形態であり得る。IgGアイソタイプは、ある種においてはサブクラスに分割され、ヒトにおいてIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4ならびにマウスにおいてIgG1、IgG2a、IgG2bおよびIgG3である。ある実施態様において、ここに記載されている抗GITR抗体は、IgG1またはIgG2サブタイプのものである。免疫グロブリン、例えば、IgG1は、数アロタイプで存在し、これらは互いに最大で数アミノ酸が異なる。“抗体”は、例として、天然に存在するおよび天然しない抗体の両方、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、キメラおよびヒト化抗体、ヒトおよび非ヒト抗体、完全合成抗体および一本鎖抗体を含む。
【0029】
ここで使用する抗体の“抗原結合部分”なる用語は、抗原(例えば、ヒトGITR)に特異的に結合する能力を保持する抗体の1以上のフラグメントをいう。このような“フラグメント”は、例えば約8〜約1500アミノ酸長、適切には約8〜約745アミノ酸長、適切には約8〜約300、例えば約8〜約200アミノ酸または約10〜約50または100アミノ酸長である。抗体の抗原結合機能は完全長抗体のフラグメントにより発揮され得ることが示されている。抗体、例えば、ここに記載する抗GITR抗体の用語“抗原結合部分”に含まれる結合フラグメントの例は、(i)V
L、V
H、CLおよびCH1ドメインからなる一価フラグメントであるFabフラグメント、(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結した2Fabフラグメントを含む二価フラグメントであるF(ab’)
2フラグメント、(iii)V
HおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント、(iv)抗体の単一アームのV
LおよびV
HドメインからなるFvフラグメント、(v)V
HドメインからなるdAbフラグメント(Ward et al., (1989) Nature 341:544-546)および(vi)単離相補性決定領域(CDR)または(vii)場合により合成リンカーで連結されていてもよい2以上の単離CDRの組み合わせを含む。さらに、Fvフラグメントの2ドメイン、V
LおよびV
Hが別々の遺伝子によりコードされるが、組み換え方法を使用して、合成リンカーにより連結でき、これはV
LおよびV
H領域が一価の分子を形成するように対形成する、単一タンパク質鎖として製造されることを可能とする(一本鎖Fv(scFv)として既知;例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426;およびHuston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883参照)。このような一本鎖抗体もまた抗体の“抗原結合部分”なる用語に包含されることが意図される。これらの抗体フラグメントは、当業者に知られる慣用技術を使用して得られ、該フラグメントを、インタクト抗体と同じ方法で有用性についてスクリーニングする。抗原結合部分を、組み換えDNA技術によりまたはインタクト免疫グロブリンの酵素もしくは化学開裂により製造できる。
【0030】
ここで使用する用語“モノクローナル抗体”は、特定のエピトープに単一結合特異性および親和性を示す抗体または全抗体が特定のエピトープに単一結合特異性および親和性を示す抗体の組成物をいう。従って、用語“ヒトモノクローナル抗体”は、単一結合特異性を示し、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来の可変および任意定常領域を有する抗体または抗体組成物をいう。ある実施態様において、ヒトモノクローナル抗体は、不死化細胞に融合したヒト重鎖トランスジーンおよび軽鎖トランスジーンを含むゲノムを有するトランスジェニック非ヒト動物、例えば、トランスジェニックマウスから得たB細胞を含む、ハイブリドーマにより産生される。
【0031】
ここで使用する用語“組み換えヒト抗体”は、(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックまたは染色体導入された動物(例えば、マウス)から単離された抗体またはそれから調製されたハイブリドーマ、(b)抗体を発現するように形質転換された宿主細胞から、例えば、トランスフェクトーマから単離された抗体、(c)組み換え、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体および(d)ヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを含む任意の他の手段により製造、発現、作製または単離された抗体のような、組み換え手段により製造、発現、作製または単離された、全ヒト抗体を含む。このような組み換えヒト抗体は、生殖系列遺伝子によりコードされ、特定のヒト生殖系列免疫グロブリン配列を利用する可変および定常領域を含むが、その後の、例えば、抗体成熟中に起こる再配列および変異を含む。当分野で知られるとおり(例えば、Lonberg, Nature Biotech 2005;23:1117-25参照)、可変領域は、外来抗原に特異的な抗体を形成するために再配列する種々の遺伝子によりコードされる、抗原結合ドメインを含む。再配列に加えて、可変領域は、外来抗原に対する抗体の親和性を高めるために、さらに複数の一アミノ酸変化(体細胞性変異または高頻度変異と称される)により修飾され得る。定常領域は、抗原へのさらなる応答に対して変化する(すなわち、アイソタイプスイッチ)。それ故に、抗原に応答して軽鎖および重鎖免疫グロブリンポリペプチドをコードする再配列され、体細胞性に変異した核酸分子は、元の核酸分子と配列同一性を有しないかもしれないが、その代わり実質的に同一または類似である(すなわち、少なくとも80%同一性)。
【0032】
“ヒト”抗体(HuMAb)は、フレームワークおよびCDR領域の両方がヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体をいう。さらに、抗体が定常領域を含むならば、定常領域もヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来である。ここに記載する抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によりコードされないアミノ酸残基を含み得る(例えば、インビトロで無作為または部位特異的変異誘発またはインビボで体細胞性変異により導入された変異)。しかしながら、ここで使用する用語“ヒト抗体”は、マウスのような他の哺乳動物種の生殖系列からのCDR配列がヒトフレームワーク配列に移植されている抗体を含むことを意図しない。用語“ヒト”抗体および“完全ヒト”抗体は、同義で使用する。
【0033】
“ヒト化”抗体は、非ヒト抗体のCDRドメインの外側のアミノ酸の一部、大部分または全てが、ヒト免疫グロブリンに由来する対応するアミノ酸に置き換えられている抗体をいう。ヒト化形態の抗体のある実施態様において、CDRドメインの外側のアミノ酸の一部、大部分または全てはヒト免疫グロブリン由来アミノ酸に置き換えられており、一方1以上のCDR領域内のアミノ酸の一部、大部分または全ては未変化である。アミノ酸の小さい付加、欠失、挿入、置換または修飾は、抗体が特定の抗原に結合する能力が消失していない限り、許容される。“ヒト化”抗体は、元の抗体に類似する抗原特異性を保持する。
【0034】
“キメラ抗体”は、可変領域がマウス抗体由来であり、定常領域がヒト抗体由来である抗体のような、可変領域がある種由来であり(例えば、ヒト可変領域)、定常領域が他の種由来である(例えば、マウス定常領域)抗体をいう。種々の種の定常領域配列は当分野で知られ、キメラ抗体産生のために当業者により容易に得られる。キメラ抗GITR抗体の例は、ヒト可変領域配列およびマウス定常鎖配列を含む。例えば、ある実施態様において、キメラ抗GITR抗体は配列番号15および16に各々示す重鎖および軽鎖配列を含む。ある実施態様において、キメラ抗体の重鎖はC末端リシンを欠く。
【0035】
ここで使用する“単離抗体”は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない、抗体をいうことを意図する(例えば、GITRに特異的に結合する単離抗体は、GITR以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。GITRのエピトープに特異的に結合する単離抗体は、しかしながら、異なる種からの他のGITRタンパク質と交差反応性を有してよい。
【0036】
ここで使用する、用語“特異的結合”、“選択的結合”、“選択的に結合する”および“特異的に結合する”は、予め決定した抗原上のエピトープへの抗体の結合をいう。一般に、抗体は(i)例えば、検体として予め決定した抗原、例えば、組み換えヒトGITRおよびリガンドとして抗体を使用してBIACORE 2000装置における表面プラズモン共鳴(SPR)技術により決定したとき、約10
−7M未満、例えば約10
−8M、10
−9Mまたは10
−10M未満またはそれより低い平衡解離定数(K
D)で結合する。
【0037】
ここで使用する用語“k
assoc”または“k
a”は、特定の抗体−抗原相互作用の結合速度をいうことを意図し、一方ここで使用する用語“k
dis”または“k
d”は、特定の抗体−抗原相互作用の解離速度をいうことを意図する。ここで使用する用語“K
D”は、k
d対k
aの比(すなわち、k
d/k
a)から得られ、モル濃度(M)として表される、解離定数をいうことを意図する。抗体のK
D値は、当分野で十分に確立されている方法を使用して決定できる。抗体のK
Dを決定する好ましい方法は、表面プラズモン共鳴の使用、好ましくはBiacore(登録商標)システムのようなバイオセンサーシステムの使用による。
【0038】
“ポリペプチド”は、少なくとも2個の連続的に連結されたアミノ酸残基を含む鎖をいい、鎖長の上限はない。タンパク質中の1以上のアミノ酸残基は、グリコシル化、リン酸化またはジスルフィド結合形成のような、しかし、これらに限定されない修飾を含んでよい。“タンパク質”は1以上のポリペプチドを含み得る。
【0039】
“免疫療法”は、免疫応答の誘発、増強、抑制または他の修飾を含む方法による、疾患を有するまたは疾患の発症もしくは再発のリスクのある対象の処置をいう。この状況において、“抗GITR免疫療法”は、GITRシグナル伝達を調節し、例えば、T細胞活性化の誘導および/または増強(例えば、T細胞によるIL−2および/またはIFN−γ産生増加および/またはT細胞の増殖増加)、制御性T細胞の枯渇などをもたらす、薬剤(例えば、アゴニスト抗GITR抗体)の投与による免疫応答の誘発、増強、抑制または他の修飾を含む方法による、疾患を有するまたは疾患の発症もしくは再発のリスクのある対象(例えば、癌)の処置をいう。
【0040】
ここで使用する、用語“連結”は、2以上の分子の結合をいう。結合は共有結合でも、非共有結合でもよい。結合はまた遺伝子的(すなわち、組み換えによる融合)であってもよい。このような結合は、化学コンジュゲーションおよび組み換えタンパク質産生のような当分野において認知されている多種多様な技術を使用して達成できる。
【0041】
ここで使用する“投与”は、当業者に知られる種々の方法および送達系の何れかを使用する、対象への治療剤を含む組成物の物理的導入をいう。ここに記載する抗体のための好ましい投与経路は、例えば注射または注入による、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、脊髄または他の非経腸投与経路を含む。ここで使用する用語“非経腸投与”は、経腸および局所投与以外の、通常注射による、投与方式を意味し、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、クモ膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内注射および注入、ならびにインビボエレクトロポレーションを含むが、これらに限定されない。あるいは、ここに記載する抗体を局所、上皮または粘膜投与経路のような非経腸ではない経路を介して、例えば、鼻腔内、経口、膣、直腸、舌下または局所投与できる。投与をまた、例えば、1回、複数回および/または1以上の長期にわたり実施し得る。
【0042】
ここで使用する“癌”は、体内での異常細胞の未制御の増殖により特徴付けられる疾患の広い群である。未制御の細胞分裂は、隣接組織に浸潤し、リンパ系または血流を介して体の遠位に転移し得る悪性腫瘍または細胞の形成をもたらす。
【0043】
ここで使用する“腫瘍”は、未制御かつ進行性である過剰な細胞分裂に起因する組織の異常塊をいう。腫瘍は良性または悪性であり得る。
【0044】
用語“患者”は、予防的または治療的処置を受けるヒトおよび他の哺乳動物対象をいう。
【0045】
ここで使用する、用語“対象”は、あらゆるヒトまたは非ヒト動物を含む。例えば、ここに記載する方法および組成物を、癌を有する対象の処置に使用できる。用語“非ヒト動物”は全脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などのような哺乳動物および非哺乳動物を含む。
ここに記載する種々の態様を次の小節にさらに詳細に記載する。
【0046】
ここで使用する単数表現は、文脈から明らかに異なって解釈されない限り、複数を含む。“または”または“および”の使用は、特に断らない限り、“および/または”を意味する。さらに、用語“含む”ならびに“含み”、“含んで”および“包含する”のような他の形態は限定的ではない。
【0047】
ここで使用する用語“約”は、量、期間などのような測定可能な値に関するとき、特定した値から最大±10%の逸脱を含む。特に断らない限り、ここで使用する成分の量、分子量のような性質、反応条件、当分野において承認されている採点システムにおけるスコアなどの全ての数字は、用語“約”により修飾されると理解される。
【0048】
用語“対象のサンプル”は、対象から単離した細胞(例えば、腫瘍細胞、T細胞、B細胞またはその他)、組織(例えば、腫瘍)、体液および/またはこれらの組み合わせをいう。
【0049】
ここで使用する用語“対照サンプル”または“参照サンプル”は、例えば、健常対象からのサンプルまたは評価中の対象から先の時点で調製したサンプルを含む、あらゆる臨床的に適切な対照または参照サンプルをいう。例えば、対照サンプルまたは参照サンプルは、癌発症前、疾患の早い段階または処置剤投与前に対象から採ったサンプルであり得る。
【0050】
発現レベルに関連してここで使用する“閾値レベル”または“カットオフレベル”は、それを超えると患者サンプル(例えば、患者腫瘍サンプル)が“GITR陽性”と考えられ、それ未満ではサンプルが“GITR陰性”と考えられるGITRタンパク質発現レベルをいう。閾値レベルは、例えば、“正常”患者サンプル(例えば、GITR陽性腫瘍を有しない患者集団)または評価中の患者からの適合正常組織からのデータの1以上の収集に基づき得る。閾値レベルを、当分野において認知されている採点システム(例えば、Hスコアシステム)のフレームワークに挿入する。例えば、ある実施態様において、適合正常組織においてHスコア1を有する患者の腫瘍は、腫瘍のHスコアが1より大きいならば、GITR陽性と考えられる。閾値検出レベルは、ある検出方法を使用する最低検出レベルであり得る。例えば、閾値レベルは、それ未満ではGITRが免疫組織化学を使用して、例えば、ここに記載する免疫組織化学方法を使用して検出できないレベルであり得る。
【0051】
診断用抗GITR抗体
ここに提供されるのは、ヒト組織、例えば、腫瘍組織におけるGITRタンパク質発現の検出に有用な診断用抗GITR抗体である。このような抗体は、例えば、抗GITR免疫療法での処置により利益を得る(すなわち、応答する)可能性のある対象の同定/選択、GITR陽性腫瘍の進行のモニタリングおよび/または抗GITR免疫療法の有効性のモニタリングに有用である。
【0052】
従って、ある実施態様において、組織サンプル、例えば、ヒト腫瘍組織サンプルにおけるGITRタンパク質発現の検出に有用な診断用抗GITR抗体は、抗体6G10(完全ヒト抗GITR抗体)の重鎖および軽鎖可変領域CDR配列、重鎖および軽鎖可変領域配列または完全長重鎖および軽鎖配列を含む。6G10についての関連配列を、表2に要約する。
【0053】
ある実施態様において、抗GITR抗体は、配列番号5〜7に示す重鎖可変領域CDR1、CDR2およびCDR3配列および配列番号8〜10に示す軽鎖可変領域CDR1、CDR2およびCDR3配列を有し、ヒトGITRに特異的に結合する。
【0054】
ある実施態様において、抗GITR抗体は配列番号11に示す重鎖可変領域配列および配列番号12に示す軽鎖可変領域配列を有する。
【0055】
ある実施態様において、抗GITR抗体は、配列番号13および14に各々示す重鎖および軽鎖配列を有する。ある実施態様において、重鎖はC末端リシンを欠く。
【0056】
ある実施態様において、抗GITR抗体はIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4抗体またはそのバリアントである。他の実施態様において、抗体はIgA、IgD、IgEまたはIgM抗体である。
【0057】
ある実施態様において、抗GITR抗体はヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体である。
【0058】
ある実施態様において、抗GITR抗体は、Biacoreにより決定して、10nM以下のK
Dで可溶性GITRに結合する。
【0059】
ある実施態様において、抗GITR抗体はキメラ抗体である。ある実施態様において、抗GITR抗体は、6G10抗体の重鎖および軽鎖可変領域配列(各々配列番号11および12)および非ヒト種の定常領域、例えば、マウスIgG2a定常領域(配列番号25)を有する。このようなキメラ6G10抗体は、例えば、ヒト組織におけるGITRタンパク質発現を検出する際の免疫組織化学における背景染色の低減に有用である。従って、ある実施態様において、診断用抗GITR抗体は、配列番号15および16に各々示す重鎖および軽鎖配列を含むキメラ抗体である。ある実施態様において、キメラ抗体の重鎖はC末端リシンを欠く。
【0060】
ある実施態様において、ここに記載する診断用抗GITR抗体は、例えば、免疫組織化学、下に記載するとおり、例えば、腫瘍サンプルによる、GITR発現の検出を容易にするための検出可能部分を含む。検出部分の例は、発光標識、蛍光標識、放射標識(例えば、
99Tc、
45Ti、
112In、
111In、
3H、
121I、
125I、
131I、
14C、
18F、
36Cl、
55Co、
58Co、
51Cr、
67Cu、
64Cu、
66Ga、
68Ga、
76Br、
89Zr、
35S、
32P、
90Y、
13N、
15O、
211At、
186Re、
188Re、
75Se)および酵素標識(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、ウレアーゼ、アセチルコリントランスフェラーゼ、ルシフェラーゼおよびベータ−ガラクトシダーゼ)、エピトープタグ、発色団標識、リン光標識、光親和性分子、ECL標識、色素、ビオチン、ハプテンなどを含む。このような標識は当分野で周知であり、当分野で認められている方法を使用して抗GITR抗体に結合できる。好ましくは、検出可能標識の結合は、抗体のGITRへの結合に顕著に影響しない。検出手段は、選択した標識により決定される。標識またはその反応産物の出現を、標識が粒子であり、適切なレベルで蓄積するとき、裸眼を使用して、または分光光度計、ルミノメーター、蛍光光度計などのような装置を使用して検出でき、全て、標準法に従う。
【0061】
好ましくは、標識をコンジュゲートする方法は、実質的に(またはほぼ)非免疫原性である結合、例えば、ペプチド−(すなわちアミド−)、スルフィド−、(立体障害)、ジスルフィド−、ヒドラゾン−およびエーテル結合をもたらす。これらの結合はほぼ非免疫原性であり、血清中で妥当な安定性を示す(例えばSenter et al., Curr Opin Chem Biol 2009;13 235-44;WO2009/059278号;WO95/17886号参照)。
【0062】
部分(moiety)および抗体の生化学的性質により、種々のコンジュゲーション戦略が用いられ得る。部分が天然に存在するまたは組み換えの50〜500アミノ酸であるならば、当業者が容易に採用し得るタンパク質コンジュゲートの合成化学を記載する参考書における標準法がある(例えばHackenberger et al., Angew Chem Int Ed Engl 2008;47:10030-74参照)。ある実施態様において、抗体または部分内のマレイミド部分とシステイン残基の反応を使用する。これは、例えば抗体のFabまたはFab’フラグメントを使用する場合、特に適するカップリング化学である。あるいは、ある実施態様において、抗体または部分のC末端へのカップリングを実施する。タンパク質、例えばFab−フラグメントのC末端修飾は、例えばSunbul et al., Org Biomol Chem 2009;7:3361-71に記載のとおり実施できる。
【0063】
一般に、部位特異的反応および共有結合カップリングは、天然アミノ酸の、存在する他の官能基の反応性と直交的(orthogonal)反応性を有するアミノ酸への変換に基づく。例えば、稀な配列構成内の特定のシステインは、アルデヒドに酵素的に変換され得る(Frese et al. ChemBioChem 2009;10:425-7参照)。特定の酵素とある配列構成における天然アミノ酸との特定の酵素反応性を利用して、所望のアミノ酸修飾を得ることも可能である(例えば、Taki et al., Prot Eng Des Sel 2004;17:119-26; Gautier et al. Chem Biol 2008;15:128-36; Bordusa et al., Bioorganic Chemistry (2004) 389-403参照)。
【0064】
部位特異的反応および共有結合カップリングはまた末端アミノ酸と適切な修飾剤の選択的反応によっても達成できる。
【0065】
N末端システインとベンゾニトリルの反応性(Ren et al., Angew Chem Int Ed Engl 2009;48:9658-62参照)を使用して、部位特異的共有結合カップリングを達成できる。
【0066】
ネイティブ・ケミカル・ライゲーションは、C末端システイン残基にも依存し得る(Taylor et al., Nucleic Acids and Molecular Biology 2009;22:65-96)。EP1074563号は、負に帯電したアミノ酸鎖内のシステインと、正に帯電したアミノ酸鎖に位置するシステインのより速い反応に基づくコンジュゲーション方法を記載する。
【0067】
部分はまた合成ペプチドまたはペプチド模倣体でもよい。ポリペプチドが化学合成された場合、直交化学反応性を有するアミノ酸を、このような合成中に導入できる(例えば、de Graaf et al., Bioconjug Chem 2009;20:1281-95参照)。多種多様な直交性官能基が議論されており、合成ペプチドに導入され得るため、このようなペプチドのリンカーへのコンジュゲーションは標準的化学である。
【0068】
ある実施態様において、検出可能標識は、抗体に間接的にコンジュゲートされる。例えば、抗体をビオチンとコンジュゲートでき、該標識が、当分野で周知の方法を使用してアビジンとコンジュゲートされ得る。他の実施態様において、非標識抗体を、非標識抗体に結合する標識抗体を使用して検出する。ある実施態様において、検出に使用される標識抗体を、上記の何れかの標識で標識する。ある実施態様において、標識および検出を実施例に記載のとおり、例えば、Leica Bond Polymer Refine Detection System(Leica, Buffalo Grove, IL, Catalog DS9800)を使用して、実施する。
【0069】
製造方法
ここに記載する診断用抗GITR抗体を、当分野で認められている技術を使用して製造できる。ある実施態様において、抗体を、抗体(例えば、6G10抗体)を産生するハイブリドーマから精製できる。例えば、抗体を産生するハイブリドーマを、2リットルスピナーフラスコでモノクローナル抗体精製用に増殖できる。上清を濾過し、濃縮し、その後プロテインA−セファロース(Pharmacia, Piscataway, N.J.)を用いる親和性クロマトグラフィーに付し得る。溶出IgGをゲル電気泳動および高速液体クロマトグラフィーで調べて、純度を確認できる。緩衝液をPBSに交換し、濃度を、1.43吸光係数を使用するOD280により決定できる。
【0070】
ある実施態様において、ここに記載する抗体は、組み換えにより産生できる。例えば、ここに記載する部分長または完全長軽鎖および重鎖をコードするDNAを、遺伝子が転写および翻訳制御配列に動作可能に連結するように発現ベクターに挿入できる。この状況において、用語“動作可能に連結”は、抗体遺伝子がベクターに、該ベクター内の転写および翻訳制御配列が該抗体遺伝子の転写および翻訳の制御についてその意図する機能を提供するようにライゲートされることを意味することが意図される。発現ベクターおよび発現制御配列は、使用する発現宿主細胞と適合性であるように選択する。抗体軽鎖遺伝子および抗体重鎖遺伝子を別個のベクターに挿入しても、両方の遺伝子を同じ発現ベクターに挿入してもよい。抗体遺伝子は、発現ベクターに標準法(例えば、抗体遺伝子フラグメントとベクターの相補的制限部位のライゲーションまたは制限部位が存在しないならば平滑末端ライゲーション)により挿入される。ここに記載する抗体の軽鎖および重鎖可変領域を使用して、V
Hセグメントがベクター内のC
Hセグメントと動作可能に連結し、V
Lセグメントがベクター内のC
Lセグメントと動作可能に連結するように、所望のアイソタイプの重鎖定常および軽鎖定常領域を既にコードする発現ベクターに任意の抗体アイソタイプの完全長抗体遺伝子を挿入することにより、該遺伝子を作ることができる。
【0071】
抗体鎖遺伝子に加えて、組み換え発現ベクターは、宿主細胞における抗体鎖遺伝子発現を制御する調節配列を担持し得る。用語“調節配列”は、抗体鎖遺伝子の転写または翻訳を制御するプロモーター、エンハンサーおよび他の発現調節要素(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことを意図する。このような調節配列は、例えば、Goeddel(Gene Expression Technology. Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, CA (1990))に記載されている。調節配列の選択を含む発現ベクターの設計が、トランスフォームする宿主細胞の選択、所望のタンパク質発現レベルなどのような因子に依存し得ることは当業者が理解している。哺乳動物宿主細胞発現のための好ましい調節配列は、サイトメガロウイルス(CMV)、サルウイルス40(SV40)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP)およびポリオーマ由来のプロモーターおよび/またはエンハンサーのような哺乳動物細胞における高レベルのタンパク質発現を指示するウイルス要素を含む。あるいは、ユビキチンプロモーターまたはβ−グロビンプロモーターのような非ウイルス調節配列を使用し得る。なおさらに、制御性要素は、SV40早期プロモーターからの配列およびヒトT細胞白血病ウイルス1型の長い末端反復を含むSRαプロモーター系のような異なる供給源からの配列からなる(Takebe et al., MCB 1988;8:466-72)。
【0072】
抗体鎖遺伝子および調節配列に加えて、組み換え発現ベクターは、宿主細胞におけるベクターの複製を制御する配列(例えば、複製起点)および選択可能マーカー遺伝子のようなさらなる配列を担持し得る。選択可能マーカー遺伝子は、ベクターが導入されている宿主細胞の選択を促進する(例えば、米国特許4,399,216号、4,634,665号および5,179,017号)。例えば、一般に選択可能マーカー遺伝子はベクターが導入されている宿主細胞にG418、ハイグロマイシンまたはメトトレキサートのような薬物に対する耐性を付与する。好ましい選択可能マーカー遺伝子は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子(dhfr−宿主細胞においてメトトレキサート選択/増幅と共に使用するために)およびneo遺伝子(G418選択のために)を含む。
【0073】
軽鎖および重鎖発現のために、重鎖および軽鎖をコードする発現ベクターを、標準技術により宿主細胞にトランスフェクトする。用語“トランスフェクション”の種々の形は、原核生物または真核生物宿主細胞への外来DNAの挿入に一般的に使用される多種多様な技術、例えば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE−デキストラントランスフェクションなどを包含することを意図する。ここに記載する抗体を原核生物または真核生物宿主細胞の何れかで発現させることは理論的には可能であるが、真核生物細胞、最も好ましくは哺乳動物宿主細胞における抗体の発現が、このような真核生物細胞および特に哺乳動物細胞が、適切に折りたたまれ、免疫学的に活性な抗体を構築し、分泌する可能性が原核生物細胞より高いため、特に好ましい。抗体遺伝子の原核生物発現は、活性抗体の高収率での産生には効果的でないことが報告されている(Immunology Today 1985;6:12-13)。
【0074】
ここに記載する組み換え抗体の発現のための好ましい哺乳動物宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Urlaub and Chasin, PNAS 19809;77:4216-220に記載のdhfr− CHO細胞を含み、例えば、Kaufman et al., Mol Biol 1982;159:601-21に記載のDHFR選択可能マーカーと共に使用する)、NSO骨髄腫細胞、COS細胞およびSP2細胞を含む。特に、NSO骨髄腫細胞での使用のために、他の好ましい発現系は、WO87/04462号、WO89/01036号およびEP338,841号に開示のGS遺伝子発現系である。抗体遺伝子をコードする組み換え発現ベクターが哺乳動物宿主細胞に挿入されたとき、抗体は、宿主細胞における抗体の発現、または、より好ましくは、宿主細胞が増殖している培養培地への抗体の分泌を可能にするのに十分な時間宿主細胞を培養することにより産生される。抗体を、標準タンパク質精製方法を使用して培養培地から回収できる。
【0075】
ここに記載するキメラ抗GITR抗体は、上記のとおり製造したヒトモノクローナル抗体の配列に基づき産生できる。例えば、ある実施態様において、6G10抗体のヒト重鎖および軽鎖可変領域をコードするDNAは、通常の組み換え技術を使用して非ヒト定常領域(例えば、マウス定常領域)に動作可能に連結され得る。
【0076】
細胞におけるヒトGITRの検出方法
生体サンプル、例えば、ヒト腫瘍組織サンプルにおけるGITRタンパク質発現を検出する方法であって、該サンプルと、例えば、配列番号5〜7および8〜10に各々示す重鎖および軽鎖可変領域CDR配列、配列番号11および12に各々示す重鎖および軽鎖可変領域配列または配列番号13および14に各々示す抗体6G10(完全ヒト抗GITR抗体)の完全長重鎖および軽鎖配列を含む抗GITR抗体のような、ここに記載する、抗GITR抗体を接触させることを含み、ここで、抗体またはその抗原結合フラグメントはヒトGITRに特異的に結合し、サンプル中のGITRへの抗体の結合を例えば、免疫組織化学により、検出するものである、方法がここに提供される。ある実施態様において、重鎖はC末端リシンを欠く。ある実施態様において、抗GITR抗体は、非ヒト定常領域(例えば、マウス定常領域)以外、抗体6G10の可変領域を含むキメラ抗体、例えば、配列番号15および16に各々示す重鎖および軽鎖配列を含むキメラ6G10抗体である。ある実施態様において、キメラ抗体の重鎖はC末端リシンを欠く。
【0077】
ある実施態様において、生体サンプルの例は、癌患者から得た血液サンプル、血清サンプル、細胞、外科的切除した組織および生検組織(例えば癌組織)を含む。ここに記載する方法において使用するための生体サンプルは、新鮮なものでも、凍結されていても、固定されていてもよい。生体サンプル、例えば、腫瘍サンプルは、生検、外科的切除または吸引を含むが、これらに限定されない通常の方法を使用して、患者から得ることができる。
【0078】
ヒト組織、例えば、腫瘍組織におけるGITR発現の検出に使用する方法は、定性的、半定量的または定量的であり得る。生体サンプル中のGITRタンパク質レベルの検出について当分野で認められている抗体ベースの方法は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、放射免疫アッセイ、電気化学発光(ECL)アッセイ、表面プラズモン共鳴、ウェスタンブロット、免疫沈殿、蛍光活性化細胞分類(FACS)、免疫蛍光、免疫組織化学などを含むが、これらに限定されない。生体サンプル中のGITR発現を検出する方法は、対照サンプル(陰性および陽性対照)を含み得る。例えば、陰性対照サンプルは、GITRタンパク質を含まないサンプルであり、陽性対照サンプルは、GITRタンパク質を含むサンプルであり得る。結果を陰性および陽性対照と比較することにより、生体サンプルにおけるGITRの存在または非存在を確認できる。
【0079】
ある実施態様において、腫瘍組織サンプルにおけるGITR発現を免疫組織化学により評価する。この技術は、特定の細胞型、例えば、Treg細胞、例えば、腫瘍および腫瘍細胞内のTreg細胞におけるGITRの検出を可能とする。
【0080】
一般的免疫組織化学的方法は当分野で周知である。免疫組織化学を実施するための特定の条件、考察およびガイダンスは、例えば、
www.dako.comからEducation Guideとして入手可能なImmunohistochemical Staining Methods 6th Edition 2013, Taylor CR, Rudbeck L, eds., Dako North America(“Immunohistochemical Staining Method guide”)に記載されている。免疫組織化学染色は、固定組織切片または凍結組織切片で実施し得る。固定組織切片、例えば、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織切片を使用するとき、一般に、方法は次の、腫瘍組織サンプルの獲得(例えば、生検による)、腫瘍サンプルの固定化、包埋(例えば、パラフィン中)、切片化およびマウンティング、抗原回収、一次抗体(例えば、ここに記載するキメラ6G10抗体)とのインキュベーション、検出(例えば、抗原/抗体複合体シグナル増幅後)および病理学者による解釈(例えば、当分野において承認されている採点システムを使用)の工程を含む。
【0081】
適当な、非限定的固定液は、例えば、パラホルムアルデヒド、グルタラルデヒド、ホルムアルデヒド、酢酸、アセトン、四酸化オスミウム、クロム酸、塩化第二水銀、ピクリン酸、アルコール(例えば、メタノール、エタノール)、ジャンドル液、ロスマン液、B5固定液、ブアン液、カルノア固定液およびメタカンを含む。好ましい実施態様において、腫瘍サンプルは、ホルムアルデヒド(例えば、緩衝液中の4%ホルムアルデヒドに対応する10%緩衝化ホルマリン)に固定される。固定されたら、腫瘍サンプルを、アルコールまたはキシレンを使用して連続的に脱水し、パラフィンに包埋し、ミクロトームで切断して腫瘍組織切片(例えば、厚さ約4〜5μm)を作製し、次いでこれをスライドガラス(例えば、接着剤塗布スライドガラス)にマウントできる。
【0082】
包埋材料の例は、パラフィン、セロイジン、OCT
TM化合物、寒天、プラスチックまたはアクリルを含む。好ましい実施態様において、包埋剤はパラフィンである。
【0083】
抗原回収を、当分野で知られる任意の方法を使用して実施できる。抗原回収処理は加熱(例えば、実施例3に記載の熱誘導エピトープ回復(HIER))または酵素分解(またはタンパク質分解誘発性エピトープ回復(PIER))を含み得る。抗原回収方法の例は、マイクロ波加熱、タンパク分解処理(例えば、プロテイナーゼKでの)、圧力鍋加熱および水浴加熱を含む。抗原回収のための詳細な一般法は、Immunohistochemical Staining Method guideのChapter 3に記載される。ある実施態様において、抗原回収を、HIERと市販の抗原回収緩衝液を組み合わせて実施する(実施例3に記載のとおり)。
【0084】
ここに記載する方法は、ヒトGITRタンパク質の発現レベル検出に抗GITR抗体を使用する。ある実施態様において、診断用抗GITR抗体は、配列番号5〜7および8〜10に各々示す重鎖および軽鎖可変領域CDR配列、配列番号11および12に各々示す重鎖および軽鎖可変領域配列または配列番号13および14に各々示す抗体6G10(完全ヒト抗GITR抗体)の完全長重鎖および軽鎖配列を含み、ここで、上記のとおり、抗体またはその抗原結合フラグメントはヒトGITRに特異的に結合する。ある実施態様において、重鎖はC末端リシンを欠く。ある実施態様において、抗GITR抗体は、非ヒト定常領域(例えば、マウス定常領域)以外抗体6G10の可変領域を含むキメラ抗体、例えば、配列番号15および16に各々示す重鎖および軽鎖配列を含むキメラ6G10抗体である。ある実施態様において、キメラ抗体の重鎖はC末端リシンを欠く。このような抗体は、腫瘍組織切片におけるGITR発現検出に特に有用である(例えば、実施例3参照)。
【0085】
組織サンプル、例えば、腫瘍サンプル中のGITRタンパク質発現は、直接的または間接的方法を使用して検出できる。例えば、一次抗体は、ここに記載するとおり、酵素ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)または蛍光標識(例えば、FITC、TRITC)のような検出可能部分を含み得る。ある実施態様において、一次抗体は、それ自体検出可能部分を含まないが、間接的免疫組織化学で、その二次抗体への結合により検出される。従って、ある実施態様において、二次抗体は、検出可能標識、例えば、酵素、発色性または蛍光標識を含む。ある実施態様において、一次抗体は、ヒト可変領域配列および非ヒトFc領域を含むキメラ抗体である。二次抗体を使用して、背景染色を減少させるために一次抗体の非ヒトFc領域を認識させ得る。
【0086】
ある実施態様において、GITRタンパク質発現を、アビジン−ビオチン複合体方法(ABC方法)を使用して検出できる。これらの実施態様において、二次抗体はビオチニル化され、一次抗体とビオチン−アビジン−ペルオキシダーゼ複合体の間の架橋として働き得る。免疫組織化学のための他の適当な非限定的方法は、Immunohistochemical Staining Method guideのChapter 6に記載のもの、例えば、Chilosi et al., Biotech Histochem 1994;69:235; Sabattini et al., J Clin Pathol 1998;51:506-11;およびGross et al., JBC 1959;234:1622に記載の方法を含む。
【0087】
凍結組織切片の調製および染色のための一般的方法は当分野で周知であり、例えば、Immunohistochemical Staining Method guide、Immunohistochemistry and MethodsのChapter 3(Buchwalow and Bocker, Springer-Verlag Berlin Heidelberg 2010)およびTheory and Practice of Histological TechniquesのChapter 21(Bancroft and Gamble, 6
th Edition, Elsevier Ltd., 2008)に記載されている。凍結組織切片染色は、実施例3に記載のとおり実施され得る。
【0088】
GITRタンパク質を、実施例に記載のとおり検出できる。
ある実施態様において、ここに記載する抗GITR抗体で染色したスライドを、当分野で周知の方法を使用して、さらに、例えば、ヘマトキシリンおよび/またはエオシンで対比染色し得る。
【0089】
解釈の工程において、免疫組織化学により検出されたGITRタンパク質発現を、当分野で認められている採点方法により採点する。採点方法の非限定的実施例は下に記載する。
【0090】
例えば、ある実施態様において、GITR発現を、当分野で広く使用され、ダイナミックレンジおよび加重パーセンタイルを考慮して有用である、Hスコア(組織化学スコア)システムにより評価する。Hスコアは、式:3×強染色細胞のパーセンテージ(3+染色)+2×中程度染色のパーセンテージ(2+染色)細胞+1×弱染色のパーセンテージ(1+染色)細胞+0×非染色のパーセンテージ(0染色)細胞に基づく半定量的採点システムであり、0〜300のスコア範囲となる。例えば、McCarty et al., Cancer Res 1986;46:4244-8; Bosman et al., J Clin Pathol 1992;45:120-4; Dieset et al., Analyt Quant Cytol Histol 1996;18:351-4参照。対照組織、例えば、同じ対象からの適合非腫瘍組織を含み得る。従って、ある実施態様において、ここでの抗GITR抗体を使用するGITRに対する染色陽性細胞数および染色強度をHスコアの決定に使用できる。
【0091】
他の実施態様において、GITR発現を、Allred採点システムを使用して評価する(Allred et al., Mod Pathol 1998;11:155-68; Harvey et al., J Clin Oncol 1999;17:1474-91)。この採点システムは、総スコアを得るための比率および強度スコアの付加を含む。従って、ある実施態様において、比率スコアを、GITRに陽性である腫瘍細胞の概算比率に基づき得て(0:なし、1:<1/100、2:1/100〜1/10、3:1/10〜1/3;4:1/3〜2/3;および5:>2/3)、強度スコアを陽性腫瘍細胞におけるGITR発現の平均強度に基づき得る(0:なし、1:弱、2:中、3:強)。それ故に、Allredスコアは0〜8の範囲であり、3〜8の範囲のスコアは陽性と考えられる(すなわち、陽性検出)。従って、ある実施態様において、GITR染色についてAllredスコア3〜8、例えば、Allredスコア3、4、5、6、7または8を有する腫瘍は、GITR陽性腫瘍と考えられる。
【0092】
他の実施態様において、採点システムは、自動化、例えば、コンピュータ化され、画像解析により定量される。自動化方法は当分野で周知である。例えば、平均255染色強度レベルから得る、平均閾値尺度(ATM)スコアを、例えば、Choudhury et al., J Histochem Cytochem 2010;58:95-107, Rizzardi et al., Diagnostic Pathology 2012; 7:42-52に記載のとおり計算できる。他の自動化採点システムは、連続的尺度で、例えば、組織マイクロアレイ(TMA)を使用して実施する、AQUA
(登録商標)(自動化定量解析)である。AQUA
(登録商標)は、標準免疫組織化学とフローサイトメトリーのハイブリッドであり、1〜255の範囲の客観数値スコアを提供し、抗原回収、一次および二次抗体の使用および多重蛍光検出を含む。最適カットオフ点は、Camp et al. Clin Cancer Res 2004;10:7252-9に記載のとおり決定できる。AQUA
(登録商標)採点システムは、Camp et al., Nat Med 2002;8:1323-7; Camp et al., Cancer Res 2003;63:1445-8; Ghosh et al., Hum Pathol 2008;39:1835-43; Bose et al., BMC Cancer 2012;12:332; Mascaux et al., Clin Cancer Res 2011;17:7796-807に詳細に記載されている。他の適当な自動化免疫組織化学プラットホームは、Leica BOND RX染色プラットホームのような市販のプラットホームを含む。プラットホームは、次のスケールで染色強度に基づき腫瘍組織におけるGITR発現を検出する。最小、<1細胞/20×対物レンズ視野数;軽度、1〜<10細胞/20×対物レンズ視野数;中程度、10〜<50細胞/20×対物レンズ視野数;顕著、50〜<200細胞/20×対物レンズ視野数;および強い、>200細胞/20×対物レンズ視野数。
【0093】
従って、患者からの腫瘍サンプルと配列番号5〜7に各々示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、CDR2およびCDR3ならびに配列番号8〜10に各々示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む抗体またはその抗原結合部分を接触させることを含み、ここで、抗体またはその抗原結合フラグメントはヒトGITRに特異的に結合する、癌患者の腫瘍がGITR陽性であるかおよび/またはGITR陽性細胞を含むか否かを決定する方法がここに提供される。
【0094】
癌患者の腫瘍がGITR陽性であるかおよび/またはGITR陽性細胞を含むか否かを決定する方法であって、
(a)患者からの腫瘍サンプルと配列番号5〜7に各々示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、CDR2およびCDR3ならびに配列番号8〜10に各々示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む抗体またはその抗原結合部分を接触させ、ここで、抗体またはその抗原結合フラグメントはヒトGITRに特異的に結合するものであり、そして
(b)サンプルにおけるGITRへの抗体の結合を検出する
ことを含む、方法も提供される。
【0095】
また提供されるのは、癌患者の腫瘍がGITR陽性であるかおよび/またはGITR陽性細胞を含むか否かを決定する方法であって、
(a)患者からの腫瘍サンプルと配列番号5〜7に各々示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、CDR2およびCDR3ならびに配列番号8〜10に各々示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む抗体またはその抗原結合部分を接触させ、ここで、抗体またはその抗原結合フラグメントはヒトGITRに特異的に結合するものであり、
(b)サンプル中のGITRへの抗体の結合を検出し、そして
(c)サンプル中のGITRタンパク質発現レベルを決定することを含み、ここで、閾値レベル、例えば、ある検出方法を使用して検出されるレベルを超えるGITRタンパク質のレベルは、腫瘍がGITR陽性腫瘍であることを示すものである、
方法である。
【0096】
組織(例えば、腫瘍)サンプルにおけるGITR陽性細胞を同定する方法であって、
(a)患者からの組織(例えば、腫瘍)サンプルと配列番号5〜7に各々示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、CDR2およびCDR3ならびに配列番号8〜10に各々示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む抗体またはその抗原結合部分を接触させ、ここで、抗体またはその抗原結合フラグメントはヒトGITRに特異的に結合するものであり、そして
(b)組織(例えば、腫瘍)サンプルの特定のまたは個々の細胞におけるGITRへの抗体の結合を検出し、そして場合により
(c)組織(例えば、腫瘍)サンプルを、例えば、ある細胞型のマーカー(例えば、CD3、CD4、CD8、CD25またはFoxP3マーカー)および/またはヘマトキシリンおよびエオシンで染色し、工程(b)においてGITR陽性として同定された細胞を同定する
ことを含む、方法もここに提供される。
【0097】
工程(c)は、GITR陽性細胞の、例えば、Treg細胞のようなT細胞または腫瘍細胞としての同定を可能とする。それ故に、ここに提供されるのは、次の方法である。
組織(例えば、腫瘍)サンプルにおいてGITRを発現するT細胞の存在を検出するおよび/またはその数を同定するおよび/または組織(例えば、腫瘍)サンプルのT細胞におけるGITRのレベルを同定する方法であって、
(a)例えば、対象からの組織(例えば、腫瘍)サンプルと、配列番号5〜7に各々示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、CDR2およびCDR3ならびに配列番号8〜10に各々示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む抗体またはその抗原結合部分を接触させ、ここで、抗体またはその抗原結合フラグメントはヒトGITRに特異的に結合するものであり、そして
(b)組織(例えば、腫瘍)サンプルのT細胞におけるGITRへの抗体の結合を検出し、そして場合により
(c)組織(例えば、腫瘍)サンプルを、例えば、T細胞のマーカー(例えば、CD3、CD4、CD8、CD25またはFoxP3マーカー)および/またはヘマトキシリンおよびエオシンで染色し、工程(b)においてGITR陽性として同定されたT細胞を同定する
ことを含む、方法。
【0098】
組織(例えば、腫瘍)サンプルにおけるGITRを発現するTreg細胞の存在を検出するおよび/またはその数を同定するおよび/または組織(例えば、腫瘍)サンプルのTreg細胞におけるGITRのレベルを同定する方法であって、
(a)例えば、対象からの組織(例えば、腫瘍)サンプルと、配列番号5〜7に各々示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、CDR2およびCDR3ならびに配列番号8〜10に各々示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む抗体またはその抗原結合部分を接触させ、ここで、抗体またはその抗原結合フラグメントはヒトGITRに特異的に結合するものであり、そして
(b)組織(例えば、腫瘍)サンプルのTreg細胞におけるGITRへの抗体の結合を検出し、そして場合により
(c)組織(例えば、腫瘍)サンプルを、例えば、Treg細胞のマーカー(例えば、FoxP3マーカー)および/またはヘマトキシリンおよびエオシンで染色し、工程(b)においてGITR陽性として同定されたTreg細胞を同定する
ことを含む、方法。
【0099】
組織(例えば、腫瘍)サンプルにおいてGITRを発現するTeff細胞の存在を検出するおよび/またはその数を同定するおよび/または組織(例えば、腫瘍)サンプルのTeff細胞におけるGITRのレベルを同定する方法であって、
(a)例えば、対象からの組織(例えば、腫瘍)サンプルと、配列番号5〜7に各々示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、CDR2およびCDR3ならびに配列番号8〜10に各々示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む抗体またはその抗原結合部分を接触させ、ここで、抗体またはその抗原結合フラグメントはヒトGITRに特異的に結合するものであり、そして
(b)組織(例えば、腫瘍)サンプルのTeff細胞におけるGITRへの抗体の結合を検出し、そして場合により
(c)組織(例えば、腫瘍)サンプルを、例えば、Teff細胞のマーカー(例えば、FoxP3マーカー)および/またはヘマトキシリンおよびエオシンで染色し、工程(b)においてGITR陽性として同定されたTeff細胞を同定する
ことを含む、方法。
【0100】
組織(例えば、腫瘍)サンプルにおいてGITRを発現するTreg細胞およびTeff細胞の存在を検出するおよび/またはその数を同定するおよび/または組織(例えば、腫瘍)サンプルのTreg細胞およびTeff細胞におけるGITRのレベルを同定する方法であって、
(a)例えば、対象からの組織(例えば、腫瘍)サンプルと、配列番号5〜7に各々示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、CDR2およびCDR3ならびに配列番号8〜10に各々示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む抗体またはその抗原結合部分を接触させ、ここで、抗体またはその抗原結合フラグメントはヒトGITRに特異的に結合するものであり、そして
(b)組織(例えば、腫瘍)サンプルのTreg細胞およびTeff細胞におけるGITRへの抗体の結合を検出し、そして場合により
(c)組織(例えば、腫瘍)サンプルを、例えば、Treg細胞およびTeff細胞のマーカー(例えば、CD3、CD4、CD8、CD25および/またはFoxP3マーカー)および/またはヘマトキシリンおよびエオシンで染色し、工程(b)においてGITR陽性として同定されたTreg細胞およびTeff細胞を同定する
ことを含む、方法。
【0101】
腫瘍サンプルにおいてGITRを発現する腫瘍細胞の存在を検出するおよび/またはその数を同定するおよび/または腫瘍細胞におけるGITRのレベルを同定する方法であって、
(a)例えば、対象からの腫瘍サンプルと、配列番号5〜7に各々示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、CDR2およびCDR3ならびに配列番号8〜10に各々示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む抗体またはその抗原結合部分を接触させ、ここで、抗体またはその抗原結合フラグメントはヒトGITRに特異的に結合するものであり、そして
(b)組織(例えば、腫瘍)サンプルの腫瘍細胞におけるGITRへの抗体の結合を検出し、そして場合により
(c)腫瘍サンプルを、例えば、腫瘍細胞または他の細胞型のマーカーおよび/またはヘマトキシリンおよびエオシンで染色し、工程(b)においてGITR陽性として同定された腫瘍細胞を同定する
ことを含む、方法。
【0102】
組織(例えば、腫瘍)サンプルにおいてGITRを発現する腫瘍細胞およびTreg細胞の存在を検出するおよび/またはその数を同定するおよび/または組織(例えば、腫瘍)サンプルの腫瘍細胞およびTreg細胞におけるGITRのレベルを同定する方法であって、
(a)例えば、対象からの組織(例えば、腫瘍)サンプルと、配列番号5〜7に各々示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、CDR2およびCDR3ならびに配列番号8〜10に各々示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む抗体またはその抗原結合部分を接触させ、ここで、抗体またはその抗原結合フラグメントはヒトGITRに特異的に結合するものであり、そして
(b)組織(例えば、腫瘍)サンプルの腫瘍細胞およびTreg細胞におけるGITRへの抗体の結合を検出し、そして場合により
(c)組織(例えば、腫瘍)サンプルを、例えば、腫瘍細胞および/またはTreg細胞のマーカー(例えば、FoxP3マーカー)および/またはヘマトキシリンおよびエオシンで染色し、工程(b)においてGITR陽性として同定された腫瘍細胞およびTreg細胞を同定する
ことを含む、方法。
【0103】
組織(例えば、腫瘍)サンプルにおいてGITRを発現する腫瘍細胞、Treg細胞およびTeff細胞の存在を検出するおよび/またはその数を同定するおよび/または組織(例えば、腫瘍)サンプルの腫瘍細胞、Treg細胞およびTeff細胞におけるGITRのレベルを同定する方法であって、
(a)例えば、対象からの組織(例えば、腫瘍)サンプルと、配列番号5〜7に各々示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、CDR2およびCDR3ならびに配列番号8〜10に各々示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む抗体またはその抗原結合部分を接触させ、ここで、抗体またはその抗原結合フラグメントはヒトGITRに特異的に結合するものであり、そして
(b)組織(例えば、腫瘍)サンプルの腫瘍細胞、Treg細胞およびTeff細胞におけるGITRへの抗体の結合を検出し、そして場合により
(c)組織(例えば、腫瘍)サンプルを、例えば、腫瘍細胞、Treg細胞および/またはTeff細胞のマーカー(例えば、CD3、CD4、CD8、CD25および/またはFoxP3マーカー)および/またはヘマトキシリンおよびエオシンで染色し、工程(b)においてGITR陽性として同定された腫瘍細胞、Treg細胞およびTeff細胞を同定する
ことを含む、方法。
【0104】
腫瘍マーカーの例は、例えば、ErbB受容体、メランA[MART1]、gp100、チロシナーゼ、TRP−1/gp 75、TRP−2、MAGE−1、MAGE−3、HPV E6およびE7タンパク質、ムチン[MUC−1]、前立腺特異的抗原[PSA]、癌胎児性抗原[CEA]、PIA腫瘍抗原、MAGE−2、MAGE−4、MAGE−6、MAGE−10、MAGE−12、BAGE−1、CAGE−1,2,8、CAGE−3 to 7、LAGE−1、NY−ESO−1/LAGE−2、NA−88、GnTVおよびTRP2−INT2を含む。
【0105】
Treg細胞表面マーカーはCD4、CD25およびFOXP3を含む。
【0106】
ある実施態様において、検出方法の組み合わせを使用して、GITR陽性またはGITR陰性として腫瘍を指定する精度を高める。例えば、ある実施態様において、免疫組織化学と蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)の組み合わせを使用して、腫瘍をGITR陽性または陰性として分類する。このような試みは、例えば、Her−2/neu試験の最適化に使用される。例えば、Ridolfi et al., Mod Pathol 2000;13:866-73参照。
【0107】
ここに記載する抗体ベースの検出方法の何れも単独で、またはRNAscopeおよび定量的PCRのようなRNAベースの検出方法と組み合わせて使用できる。
【0108】
上記検出方法は、一般に参照または対照サンプルと共に実施する。ある実施態様において、対照サンプルは、適合正常組織の切片である。ある実施態様において、対照または参照サンプルは、GITR発現腫瘍または癌に罹患していない対象(例えば、健常対象)に由来する。このようなサンプルは、生体サンプルにおけるGITR発現細胞の量の正規化参照値を提供し得る。
【0109】
予後方法の例
ここに提供されるのは、抗GITR免疫療法に応答する可能性のある癌患者を同定するまたは癌患者が抗GITR免疫療法に応答するか否かを予測する方法であって、
(a)患者からの腫瘍サンプルと抗GITR抗体またはその抗原結合部分を接触させ、
(b)腫瘍サンプル中のGITRへの抗体の結合を検出し、
(c)サンプル中のGITRタンパク質発現レベルを決定することを含み、ここで、閾値レベルを超えるGITRタンパク質レベルは腫瘍がGITR陽性腫瘍であり、患者が抗GITR免疫療法に応答する可能性があるまたは応答すると予測されることを示すものである、
方法である。ある実施態様において、例えば、腫瘍における、特定の免疫細胞、例えば、T細胞、例えば、Treg細胞のような腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)におけるGITRの発現レベルが検出またはモニターされ、例えば、対象の抗GITR治療に対する応答の可能性が決定される。ある実施態様において、腫瘍細胞のGITR発現レベルが検出またはモニターされ、例えば、対象の抗GITR治療に対する応答の可能性が決定される。
【0110】
ある実施態様において、抗GITR抗体は、配列番号5〜7および8〜10に各々示す重鎖および軽鎖可変領域CDR配列、配列番号11および12に各々示す重鎖および軽鎖可変領域配列または配列番号13および14に各々示す抗体6G10(完全ヒト抗GITR抗体)の完全長重鎖および軽鎖配列を含む抗体であり、ここで、抗体またはその抗原結合フラグメントはヒトGITRに特異的に結合する。ある実施態様において、重鎖はC末端リシンを欠く。ある実施態様において、抗GITR抗体は、非ヒト定常領域(例えば、マウス定常領域)以外抗体6G10の可変領域を含むキメラ抗体、例えば、配列番号15および16に各々示す重鎖および軽鎖配列を含むキメラ6G10抗体である。ある実施態様において、キメラ抗体の重鎖はC末端リシンを欠く。ある実施態様において、GITR発現の検出を、上記のとおり、免疫組織化学で行う。ある実施態様において、免疫組織化学を他の検出方法、例えば、FISHと組み合わせる。
【0111】
ある実施態様において、腫瘍サンプルはFFPE切片として調製される。他の実施態様において、腫瘍サンプルは凍結組織切片として調製される。
【0112】
ある実施態様において、腫瘍は、腫瘍サンプルまたはその中の免疫細胞、例えば、腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)、例えば、Treg細胞が、同じ癌患者からの適合正常組織または免疫細胞、例えば、Treg細胞より多くGITR陽性細胞を有するならば、GITR陽性であり、抗GITR免疫療法による利益がある可能性があると考えられる。
【0113】
ある実施態様において、癌患者は、腫瘍サンプル中のGITR陽性細胞、例えば、免疫細胞、例えば、Treg細胞のような腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)および/または腫瘍細胞の数が閾値レベルを超えるならば、抗GITR免疫療法により利益がある可能性があるまたは利益があると予測される。閾値レベルは、実施例におけるように、ここでさらに記載するとおり、ある検出系、例えば、免疫組織化学で決定されるGITRの最低レベルであり得る。ある実施態様において、癌患者は、腫瘍サンプルにおけるGITR陽性細胞、例えば、免疫細胞、例えば、Treg細胞のような腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)および/または腫瘍細胞の数が上記の当分野において承認されている採点システムを使用する閾値数または比率を超えるならば、抗GITR免疫療法により利益がある可能性があるまたは利益があると予測される。それ故に、ある実施態様において、GITR陽性細胞の数または比率は、ここに記載する採点システムを使用して、一定の閾値数または比率を超え、“GITR陽性”として定義される。
【0114】
ある実施態様において、腫瘍、例えば、腫瘍細胞および/または免疫細胞、例えば、Treg細胞のような腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)において、少なくとも1%、例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%の細胞がGITRタンパク質を発現する腫瘍サンプルは“GITR陽性”として指定され、癌患者は抗GITR免疫療法に応答する可能性があるまたは応答すると予測される。
【0115】
ある実施態様において、Hスコアを腫瘍サンプルについて計算する。従って、ある実施態様において、少なくとも5、例えば少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも275または少なくとも290のHスコアを有する腫瘍サンプルは“GITR陽性”として指定され、癌患者は抗GITR免疫療法に応答する可能性があるまたは応答すると予測される。スコアは、腫瘍における全細胞または特定のタイプの細胞、例えば、免疫細胞、例えば、Treg細胞のような腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)および/または腫瘍細胞に基づき計算し得る。
【0116】
ある実施態様において、Allredスコアを腫瘍サンプルについて計算する。従って、ある実施態様において、少なくとも3、例えば少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7または8のAllredスコアを有する腫瘍サンプルは“GITR陽性”として指定され、癌患者は抗GITR免疫療法に応答する可能性があるまたは応答すると予測される。スコアは、腫瘍における全細胞または特定のタイプの細胞、例えば、免疫細胞、例えば、Treg細胞のような腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)および/または腫瘍細胞に基づき計算し得る。
【0117】
ある実施態様において、AQUAスコアを計算する。従って、ある実施態様において、少なくとも5、例えば少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、少なくとも225または少なくとも250のAQUAスコアを有する腫瘍サンプルは“GITR陽性”として指定され、癌患者は抗GITR免疫療法に応答する可能性があるまたは応答すると予測される。スコアは、腫瘍における全細胞または特定のタイプの細胞、例えば、免疫細胞、例えば、Treg細胞のような腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)および/または腫瘍細胞に基づき計算し得る。
【0118】
ある実施態様において、上記採点システムの一つとFISHのような他の検出モダリティの組み合わせを使用して、腫瘍がGITR陽性であるかまたはGITR陰性であるかの決定の精度を上げる。
【0119】
ある実施態様において、患者は、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞性肺癌、扁平上皮非小細胞性肺癌(NSCLC)、非扁平上皮NSCLC、神経膠腫、消化器癌、腎臓癌(例えば明細胞癌)、卵巣癌、肝臓癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、腎臓癌(例えば、腎臓細胞癌(RCC))、前立腺癌(例えばホルモン難治性前立腺腺癌)、甲状腺癌、神経芽腫、膵臓癌、神経膠芽腫(多形神経膠芽腫)、子宮頸癌、胃癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌および頭頸部癌(または癌腫)、胃癌、胚細胞腫瘍、小児肉腫、副鼻腔ナチュラルキラー、黒色腫(例えば、転移悪性黒色腫、例えば皮膚または眼内悪性黒色腫)、骨癌、皮膚癌、子宮癌、肛門部癌、精巣癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、小児固形腫瘍、輸尿管癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管形成、脊髄軸腫瘍、脳癌、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮細胞癌、T細胞リンパ腫、アスベスト誘発を含む環境誘発癌、ウイルス関連癌またはウイルス起源の癌(例えば、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV関連または起源腫瘍))および2つの腫瘍な血液細胞系譜、すなわち、骨髄細胞株(これは顆粒球、赤血球、血小板、マクロファージおよび肥満細胞を生じる)またはリンパ系細胞株(これはB細胞、T細胞、NK細胞および形質細胞を生じる)の何れか由来の血液系腫瘍、例えば、全タイプの白血病、リンパ腫および骨髄腫、例えば、急性、慢性、リンパ性および/または骨髄性白血病、例えば急性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)および慢性骨髄性白血病(CML)、未分化AML(M0)、骨髄芽球性白血病(M1)、骨髄芽球性白血病(M2;細胞成熟を伴う)、前骨髄球性白血病(M3またはM3バリアント[M3V])、骨髄単球性白血病(M4または好酸球増加症を伴うM4バリアント[M4E])、単球性白血病(M5)、赤白血病(M6)、巨核芽球性白血病(M7)、孤立顆粒球性肉腫および緑色腫、リンパ腫、例えばホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、B細胞血液悪性腫瘍、例えば、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、リンパ形質細胞様リンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ系組織(MALT)リンパ腫、未分化(例えば、Ki 1+)大細胞リンパ腫、成人T細胞リンパ腫/白血病、マントル細胞リンパ腫、血管免疫芽細胞性T細胞リンパ腫、血管中心性リンパ腫、腸管T細胞リンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫、前駆体Tリンパ芽球性リンパ腫、Tリンパ芽球性およびリンパ腫/白血病(T−Lbly/T−ALL)、末梢T細胞リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、移植後リンパ増殖性障害、真性組織球性リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性浸出リンパ腫、B細胞リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫(LBL)、リンパ系造血性腫瘍、急性リンパ芽球性白血病、汎発性大B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、汎発性組織球性リンパ腫(DHL)、免疫芽球性大細胞リンパ腫、前駆体Bリンパ芽球性リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫(CTLC)(菌状息肉症またはセザリー症候群とも呼ばれる)およびリンパ形質細胞様リンパ腫(LPL)とワルデンシュトレームマクログロブリン血症、骨髄腫、例えばIgG骨髄腫、軽鎖骨髄腫、非分泌型骨髄腫、くすぶり型骨髄腫(緩徐進行性骨髄腫とも呼ばれる)、孤立性形質細胞腫および多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、ヘアリー細胞リンパ腫、骨髄系造血性腫瘍、線維肉腫および横紋筋肉腫を含む間葉起源の腫瘍、精上皮腫、奇形芽腫癌、星状細胞腫を含む中枢および末梢神経の腫瘍、シュワン腫、線維肉腫、横紋筋肉腫および骨肉腫を含む間葉起源の腫瘍および黒色腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、精上皮腫、甲状腺濾胞性癌および奇形芽腫癌、リンパ系造血性腫瘍、例えばT細胞障害、例えば、小細胞および大脳様細胞型のものを含むT前リンパ球性白血病(T−PLL)を含むが、これに限定されないT細胞およびB細胞腫瘍を含む他の腫瘍、好ましくはT細胞型の大顆粒状リンパ球白血病(LGL)、a/d T−NHL肝脾リンパ腫、末梢/胸腺後T細胞リンパ腫(多形性および免疫芽球性サブタイプ)、血管中心性(経鼻)T細胞リンパ腫、頭頸部癌、腎臓癌、直腸癌、甲状腺癌、急性骨髄リンパ腫ならびにこれらの癌のあらゆる組み合わせからなる群から選択される癌を有する。ある実施態様において、癌は転移癌、難治性癌または再発性癌である。
【0120】
癌患者が抗GITR免疫療法による利益を受ける可能性がある(すなわち、GITR陽性腫瘍を有する)として同定されたら、患者を治療的抗GITR抗体(すなわち、抗GITR免疫療法)で処置できる。
【0121】
従って、ここに提供する抗GITR抗体および方法を使用するGITRタンパク質発現のレベルにより決定された、GITR陽性腫瘍を有する癌患者を処置する方法であって、該患者に治療有効量の抗GITR抗体またはその抗原結合部分を投与することを含む、方法がここに提供される。
【0122】
ある実施態様において、GITRタンパク質発現のレベルの決定に使用した抗GITR抗体は、配列番号5〜7および8〜10に各々示す重鎖および軽鎖可変領域CDR配列、配列番号11および12に各々示す重鎖および軽鎖可変領域配列または配列番号13および14に各々示す抗体6G10(完全ヒト抗GITR抗体)の完全長重鎖および軽鎖配列を含む抗体であり、ここで、抗体またはその抗原結合フラグメントはヒトGITRに特異的に結合する。ある実施態様において、重鎖はC末端リシンを欠く。ある実施態様において、抗体は、非ヒト定常領域(例えば、マウス定常領域)以外抗体6G10の可変領域を含むキメラ抗体、例えば、配列番号15および16に各々示す重鎖および軽鎖配列を含むキメラ6G10抗体である。ある実施態様において、キメラ抗体の重鎖はC末端リシンを欠く。ある実施態様において、GITR発現の検出は、上記のとおり、免疫組織化学により実施される。
【0123】
ある実施態様において、ここに記載する方法を使用してGITR陽性腫瘍(すなわち、GITR陽性腫瘍細胞および/または免疫細胞、例えば、Treg細胞のような腫瘍浸潤性リンパ球(TIL))を有するとして決定された癌患者は、任意のGITRシグナル伝達を調節する薬剤(例えば、アゴニスト抗GITR抗体)で処置され、例えば、T細胞活性化の誘導および/または増強(例えば、T細胞によるIL−2および/またはIFN−γ産生増加および/またはT細胞の増殖増加)、制御性T細胞の枯渇などがもたらされる。従って、癌患者を処置する方法であって、
(a)ここに記載する方法を使用して、例えば、患者からの腫瘍サンプルと配列番号5〜7に各々示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、CDR2およびCDR3ならびに配列番号8〜10に各々示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を含む抗体またはその抗原結合部分を接触させ、ここで、抗体またはその抗原結合フラグメントはヒトGITRに特異的に結合するものであり、サンプル中のGITRへの抗体の結合を検出して、癌患者の腫瘍(腫瘍細胞および/または免疫細胞、例えば、Treg細胞のような腫瘍浸潤性リンパ球(TIL))がGITR陽性であるか否かを決定し、そしてサンプル中のGITRタンパク質発現レベルを決定し、ここで、腫瘍細胞および/またはその免疫細胞、例えば、Treg細胞のような腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)における閾値レベルを超えるGITRタンパク質のレベルは腫瘍がGITR陽性を示すものであり、そして
(b)腫瘍がGITR陽性であると決定されたら、治療有効量のGITRシグナル伝達を調節する薬剤、例えば、IL−2を増加する、T細胞によるIFN−γ産生を増加するおよび/またはT細胞増殖を増加するおよび/または制御性T細胞を枯渇させる薬剤を投与する
ことを含む、方法がここに提供される。
【0124】
例えば、ある実施態様において、患者を、治療有効量のWO15187835号(その内容を引用により本明細書に包含させる)に開示のアゴニスト抗GITR抗体、例えば、抗体28F3、19D3、18E10、3C3−1、3C3−2、2G6、9G7−1、9G7−2、14E3、19H8−1、19H8−2および/または6G10の重鎖および軽鎖可変領域CDR、重鎖および軽鎖可変領域または重鎖および軽鎖を有する抗体およびそのバリアントで処置される。PCT特許出願WO15187835号に開示の抗体の配列は、表2に提供する(配列番号5〜14および27〜228参照)。患者をまた任意の他の抗GITR抗体、例えば、TRX518(Leap Therapeutics)、MK−4166(Merck)、LKZ−145(Novartis)、GWN−323(Novartis Pharmaceuticals Corp.)、Medi 1873(MedImmune)、INBRX−110(Inhibrx)、GITR−Fcタンパク質(OncoMed)およびWO2006105021号、WO2009009116号、WO2011028683号、US2014/0072565号、US20140072566号、US20140065152号、WO2015031667号、WO15184099号、WO2015184099号またはWO2016054638号に開示の抗体でも処置し得る。
【0125】
GITR陽性腫瘍/癌をモニタリングする方法の例
ここに提供されるのは、癌患者におけるGITR発現腫瘍をモニタリングする方法である。モニタリングの方法は、上記の癌患者が抗GITR免疫療法に応答する可能性があるか否かを決定する方法に準じて実施し得る。
【0126】
GITRの存在を組織全体、例えば、腫瘍またはその特定の細胞でモニターし得る。例えば、GITRの存在を腫瘍細胞および/または腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)、例えば、Treg細胞およびTeff細胞でモニターし得る。
【0127】
GITRの存在(または発現)のモニタリングは、2以上の時点でのGITRの存在の決定を含み得る。例えば、第一および第二組織サンプルを対象から得てよく(そしてGITRの存在および/またはレベルを決定し)、ここで、例えば、第一および第二組織サンプルは、互いに3〜7日以内、1〜3週間以内または1〜3ヶ月以内に得る。組織サンプルはまたGITRの存在および/またはレベルの決定のために、毎週または毎月得てもよい。
【0128】
従って、ある実施態様において、癌患者におけるGITR発現腫瘍をモニタリングする方法は、
(a)抗GITR抗体またはその抗原結合部分を使用して第一の時点で組織(例えば、腫瘍)サンプルにおけるGITRタンパク質発現を検出し、
(b)第一の時点でのGITRタンパク質発現レベルを決定し、
(c)工程(a)で使用したのと同じ抗体を使用して第二の時点で組織(例えば、第一の時点で生検したのと同じ腫瘍であり得る腫瘍)サンプルにおけるGITRタンパク質発現を検出し、そして
(d)第二の時点での腫瘍におけるGITRタンパク質発現レベルを決定する
ことを含む。
【0129】
癌患者におけるGITR発現腫瘍をモニタリングする方法であって、
(a)抗GITR抗体またはその抗原結合部分を使用して第一の時点で組織(例えば、腫瘍)サンプルにおけるTreg細胞のGITRタンパク質発現を検出し、
(b)第一の時点でのGITRタンパク質発現レベルを決定し、
(c)工程(a)で使用したのと同じ抗体を使用して第二の時点で組織(例えば、第一の時点で生検したのと同じ腫瘍であり得る腫瘍)サンプルにおけるTreg細胞のGITRタンパク質発現を検出し、そして、
(d)第二の時点でのTreg細胞におけるGITRタンパク質発現レベルを決定する
ことを含む、
方法もここに提供される。
【0130】
癌患者におけるGITR発現腫瘍をモニタリングする方法であって、
(a)抗GITR抗体またはその抗原結合部分を使用して第一の時点で組織(例えば、腫瘍)サンプルにおけるTeff細胞のGITRタンパク質発現を検出し、
(b)第一の時点でのGITRタンパク質発現レベルを決定し、
(c)工程(a)で使用したのと同じ抗体を使用して第二の時点で組織(例えば、第一の時点で生検したのと同じ腫瘍であり得る腫瘍)サンプルにおけるTeff細胞のGITRタンパク質発現を検出し、そして、
(d)第二の時点でのTeff細胞におけるGITRタンパク質発現レベルを決定する
方法もここに提供される。
【0131】
癌患者におけるGITR発現腫瘍をモニタリングする方法であって、
(a)抗GITR抗体またはその抗原結合部分を使用して第一の時点で腫瘍サンプルにおける腫瘍細胞のGITRタンパク質発現を検出し、
(b)第一の時点でのGITRタンパク質発現レベルを決定し、
(c)工程(a)で使用したのと同じ抗体を使用して第二の時点で腫瘍サンプル(これは、第一の時点で生検したのと同じ腫瘍であり得る)における腫瘍細胞のGITRタンパク質発現を検出し、そして、
(d)第二の時点での腫瘍細胞におけるGITRタンパク質発現レベルを決定する
ことを含む、方法も提供される。
【0132】
ある方法において、GITRの存在および/またはレベルは、Treg細胞および/またはTeff細胞および/または腫瘍細胞で決定される。
【0133】
従って、ある実施態様において、癌患者におけるGITR発現腫瘍をモニタリングする方法は、
(a)抗GITR抗体またはその抗原結合部分を使用して第一の時点でGITR陽性腫瘍におけるGITRタンパク質発現を検出し、
(b)第一の時点でのGITRタンパク質発現レベルを決定し、
(c)工程(a)と同じ抗体を使用して第二の時点で腫瘍におけるGITRタンパク質発現を検出し、
(d)第二の時点での腫瘍におけるGITRタンパク質発現レベルを決定し、そして
(e)第一の時点と第二の時点で決定されたGITRタンパク質発現のレベルを比較する
ことを含む。
【0134】
GITR発現は、腫瘍細胞および/または腫瘍内の免疫細胞、例えば、Treg細胞のような腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)および/またはTeff細胞で決定し得る。第二の時点に比して第一の時点のレベルが高いのは腫瘍退縮の指標である可能性があり、第二の時点に比して第一の時点のスコアが低いのは腫瘍進行の指標である可能性があり、そして第一の時点と第二の時点のレベルが相対的に変わらないのは腫瘍安定の指標である可能性がある。
【0135】
ある実施態様において、GITRタンパク質発現のレベルの決定に使用した抗GITR抗体は配列番号5〜7および8〜10に各々示す重鎖および軽鎖可変領域CDR配列、配列番号11および12に各々示す重鎖および軽鎖可変領域配列または配列番号13および14に各々示す抗体6G10(完全ヒト抗GITR抗体)の完全長重鎖および軽鎖配列を含む抗体であり、ここで、抗体またはその抗原結合フラグメントはヒトGITRに特異的に結合する。ある実施態様において、重鎖はC末端リシンを欠く。ある実施態様において、抗体は、非ヒト定常領域(例えば、マウス定常領域)以外抗体6G10の可変領域を含むキメラ抗体、例えば、配列番号15および16に各々示す重鎖および軽鎖配列を含むキメラ6G10抗体である。ある実施態様において、キメラ抗体の重鎖はC末端リシンを欠く。好ましい実施態様において、GITR発現の検出は、ここに記載する免疫組織化学により実施する。ある実施態様において、GITRタンパク質発現レベルを、ここに記載するHスコアシステム、Allredスコアシステム、AQUA
(登録商標)系または自動化採点システムからなる群から選択される採点システムを使用して決定する。
【0136】
このようなモニタリングの方法はまた抗GITR免疫療法が有効である可能性があるか否かの決定にも有用であり得る。
【0137】
従って、ここに提供されるのは、GITR陽性腫瘍を有する患者における抗GITR免疫療法の有効性をモニタリングする方法であって、
(a)抗GITR抗体を使用して、抗GITR免疫療法開始前または後の第一の時点でGITR陽性腫瘍におけるGITRタンパク質発現レベルを検出し、
(b)第一の時点からの腫瘍におけるGITRタンパク質発現レベルを決定し、
(c)工程(a)と同じ抗体を使用して抗GITR免疫療法開始後の第二の時点でGITR陽性腫瘍におけるGITRタンパク質発現を検出し、
(d)第二の時点からの腫瘍におけるGITRタンパク質発現レベルを決定し、
(e)第一の時点と第二の時点で決定されたGITRタンパク質発現のレベルを比較することを含み、ここで第二の時点に比して第一の時点のレベルが高いのは有効な抗GITR免疫療法の指標である可能性があり、第二の時点に比して第一の時点のスコアが低いのは抗GITR免疫療法が無効である指標であり、そして第一の時点と第二の時点のスコアが変わらないのは抗GITR免疫療法が安定的であるとの指標である可能性があるものである、
方法である。GITR発現は腫瘍細胞および/または腫瘍内の免疫細胞、例えば、Treg細胞のような腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)で決定し得る。
【0138】
ある実施態様において、GITRタンパク質発現のレベルの決定に使用した抗GITR抗体は配列番号5〜7および8〜10に各々示す重鎖および軽鎖可変領域CDR配列、配列番号11および12に各々示す重鎖および軽鎖可変領域配列または配列番号13および14に各々示す抗体6G10(完全ヒト抗GITR抗体)の完全長重鎖および軽鎖配列を含む抗体であり、ここで、抗体またはその抗原結合フラグメントはヒトGITRに特異的に結合する。ある実施態様において、重鎖はC末端リシンを欠く。ある実施態様において、抗体は、非ヒト定常領域(例えば、マウス定常領域)以外抗体6G10の可変領域を含むキメラ抗体、例えば、配列番号15および16に各々示す重鎖および軽鎖配列を含むキメラ6G10抗体である。ある実施態様において、キメラ抗体の重鎖はC末端リシンを欠く。好ましい実施態様において、GITR発現の検出は、ここに記載する免疫組織化学により実施する。ある実施態様において、GITRタンパク質発現レベルを、ここに記載するHスコアシステム、Allredスコアシステム、AQUA
(登録商標)系または自動化採点システムからなる群から選択される採点システムを使用して決定する。
【0139】
ある実施態様において、抗GITR免疫療法は、癌患者に治療有効量のWO15187835号(その内容を引用により本明細書に包含させる)に開示の抗GITR抗体、例えば、抗体28F3、19D3、18E10、3C3−1、3C3−2、2G6、9G7−1、9G7−2、14E3、19H8−1、19H8−2および/または6G10の重鎖および軽鎖可変領域CDR、重鎖および軽鎖可変領域または重鎖および軽鎖を有する抗体およびそのバリアントを投与することを含む。PCT特許出願WO15187835号に開示の抗体の配列は表2に提供する(配列番号5〜14および27〜228参照)。患者をまた任意の他の抗GITR抗体、例えば、TRX518(Leap Therapeutics)、MK−4166(Merck)、LKZ−145(Novartis)、GWN−323(Novartis Pharmaceuticals Corp.)、Medi 1873(MedImmune)、INBRX−110(Inhibrx)、GITR−Fcタンパク質(OncoMed)およびWO2006105021号、WO2009009116号、WO2011028683号、US2014/0072565号、US20140072566号、US20140065152号、WO2015031667号、WO15184099号、WO2015184099号またはWO2016054638号に開示の抗体でも処置し得る。
【0140】
ある実施態様において、GITR発現腫瘍の状態を、最初の診断後(すなわち、腫瘍がGITR陽性であるとの決定を行った後)、例えば、最初の診断1ヶ月後、最初の診断2ヶ月後、最初の診断3ヶ月後、最初の診断4ヶ月後、最初の診断5ヶ月後、最初の診断6ヶ月後、最初の診断1年後などのように、繰り返しモニターできる。他の実施態様において、GITR発現腫瘍に対する抗GITR免疫療法の有効性を、抗GITR免疫療法開始後、例えば、治療開始1ヶ月後、治療開始2ヶ月後、治療開始3ヶ月後、治療開始4ヶ月後、治療開始5ヶ月後、治療開始6ヶ月後、治療開始1年後などのように、繰り返しモニターできる。
【0141】
診断用キット
ここに記載する診断用抗GITR抗体および使用のための指示を含むキットがここに提供される。従って、ある実施態様において、キットは、配列番号5〜7および8〜10に各々示す重鎖および軽鎖可変領域CDR配列、配列番号11および12に各々示す重鎖および軽鎖可変領域配列または配列番号13および14に各々示す抗体6G10の完全長重鎖および軽鎖配列を含む抗体を含み、ここで、抗体またはその抗原結合フラグメントはヒトGITRに特異的に結合する。ある実施態様において、重鎖はC末端リシンを欠く。ある実施態様において、抗GITR抗体は非ヒト定常領域(例えば、マウス定常領域)以外抗体6G10の可変領域を含むキメラ抗体、例えば、配列番号15および16に各々示す重鎖および軽鎖配列を含むキメラ抗体である。ある実施態様において、キメラ抗体の重鎖はC末端リシンを欠く。ある実施態様において、抗体は検出可能標識、例えば、抗体−標識コンジュゲートを含む。このようなキットは、少なくとも一つのさらなる試薬を含み得る。例えば、ある実施態様において、キットは緩衝液、安定化剤、基質、免疫検出剤(例えば、免疫組織化学において使用する二次抗体)および/またはアッセイに必要な補助因子を含む。ある実施態様において、抗体および、場合により試薬は、適切には等分される。ある実施態様において、キットは、癌患者から生体サンプルを得るための手段を含む。このような手段は、例えば、癌患者から液体または組織サンプルを得るのに使用できる試薬を含む。
【0142】
本発明を、次の実施例によりさらに説明し、これはさらに限定するものと解釈してはならない。本明細書に引用されている全ての図および全ての参考文献、Genbank配列、特許および公開特許出願は、引用により明示的に本明細書に包含させる。特に、WO15187835号の開示を、引用により明示的にここに包含させる。
【実施例】
【0143】
実施例1:6G10抗体の産生
ヒト抗GITR抗体6G10を、HuMAb(登録商標)トランスジェニックマウス(“HuMAb”はMedarex, Inc., Princeton, New Jerseyの商標である)およびKMマウス(KMマウス
(登録商標)系は、PCT公開WO02/43478号に記載のとおりSC20導入染色体を含む)の免疫化の過程で産生し、GITRに結合する抗体への融合についてスクリーニングした(同時出願のPCT出願PCT/US15/33991号参照)。cDNA配列決定は、6G10抗体について1重鎖および1軽鎖を同定した。6G10抗体の可変領域アミノ酸配列およびアイソタイプを
図1〜4および表2に示す。
【0144】
実施例2:6G10抗体の結合性質
6G10抗体の可溶性GITRへの結合をBiacoreにより決定した。6G10抗体をヒトカッパ被覆チップ(約5KRU;Southernbiotech)に捕捉し、組み換えヒトGITR(rHGITR/Fc:R&D systems)を500nM、250nM、125nM、62nMおよび31nM濃度でチップを通して流した。抗体/体積の捕捉濃度は、2〜40μg/mL(10μL/分で5μL)であった。抗原結合時間は、15μL/分で5分であり、抗原解離時間は6分であり、再生を50mM HCl/50mM NaOH(100μL/分で各12μL)で実施した。6G10は、可溶性ヒトGITRへの結合について1.87×10
−9MのK
Dを示し、3.83×10
5M
−1s
−1のk
aおよび7.15×10
−4s
−1のk
dであった。
【0145】
実施例3:キメラ6G10抗体を用いる癌組織の免疫組織化学
2種の免疫組織化学(IHC)技術を、組織切片におけるGITR検出に使用した。一つのIHC方法をホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織切片で行い、他方を凍結組織切片で実施した。
数抗GITR抗体がこれらのIHC方法で試験されており、6G10が一貫して良好であった。
ヒト組織におけるGITR発現の検出のために、蛍光標識形態の6G10抗体を調製し、6G10−FITCと名づけた。利用者がおよび臨床で扱いやすい方法をさらに開発するために、6G10抗体をマウスキメラIgG2a形式に操作し、Leica BondRXプラットホームを使用する自動化免疫組織化学のために最適化した。キメラ6G10抗体の重鎖および軽鎖配列を各々
図5および6および表2に示す。重鎖はC末端リシンを含んでも含まなくてもよい。
簡潔には、通常の組織学法に従いスライドを脱パラフィン処理および再水和し、Decloaking Chamber(BioCareMedical)を使用して10分、110℃でpH6標的回収緩衝液(Dako)と共に手動でHIER(熱誘導エピトープ回復)に付した。次いでスライドをLeica BondRX自動化免疫組織化学着色剤に載せた。組織切片をキメラ6G10抗体と0.5μg/mlで60分インキュベートし、続いてLeica Bond Polymer Refine Detection System(DS9800)で製造業者の指示に従い検出した。簡潔には、組織切片をウサギ抗マウスリンカー(Leica)と30分およびNovolinkMaxポリマー(Leica)と30分インキュベートした。最後に、スライドをDAB基質−色素原溶液と6分反応させた。次いでスライドを通常の組織学的方法に従いマイヤーのヘマトキシリンで対比染色し、脱水し、浄化し、パーマウントのカバーガラスをした。0.5%Hu−ガンマ−グロブリン(Sigma)添加Dakoタンパク質ブロックを、非特異的結合の遮断に使用し、0.5%ヒトガンマグロブリンおよび0.5%BSA添加PBSを、一次および二次抗体療法の希釈剤として使用した。
【0146】
腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)をプロファイルするために、CD3(T細胞マーカー)およびFoxP3(制御性T細胞マーカー)に対する市販のモノクローナル抗体を使用して、隣接切片を染色した。社内操作マウスキメラヒト抗KLH IgG2aおよび市販マウスIgG1を陰性対照抗体として使用した。ヒトGITRを安定に発現するHEK−293T細胞および過形成ヒト扁桃組織切片を陽性対照として使用した。5腫瘍タイプからのFFPE組織サンプルを組織販売業者から、各腫瘍タイプ13〜26ケースで購入した。
免疫染色後、スライドを光学顕微鏡下に試験した。GITRおよびTILの採点のために、Aperio(登録商標)ScanScopeおよびHALO
TM画像解析ソフトウェアを使用する自動化および定量解析を、スライド全体で実施した。代表的画像をAperio ScanScopeまたはOlympus DP71デジタル・マイクロスコープ・カメラで撮った。
表1は、子宮頸癌(CC)、黒色腫(Mel)、肝細胞癌(HCC)、結腸直腸癌(CRC)および頭頸部扁平上皮細胞癌(HNSCC)におけるGITR陽性TILの分布を要約する。顕微鏡20×対物レンズ下の陽性細胞数の概算による13〜26ケースの手動スコア。最小、<1細胞/20×対物レンズ視野数;軽度、1〜<10細胞/20×対物レンズ視野数;中程度、10〜<50細胞/20×対物レンズ視野数;顕著、50〜<200細胞/20×対物レンズ視野数;強い、>200細胞/20×対物レンズ視野数。腫瘍切片全体の少なくとも1/3が上記基準に適合した。
【0147】
【表1】
【0148】
過形成性扁桃において、強い散在陽性細胞は、毛包間領域および胚中心ならびに散在上皮浸潤性リンパ球に分布した。より陽性の細胞が、上皮直下のMNCの限局性塊に分布する傾向にあった。CD3+TILは試験した全癌サンプルに存在したが、量は癌毎に異なり、同じ組織内での分布は不均一であった。CD8+TILは大部分の組織に存在した。試験した複数の癌で、GITR陽性染色はTILにわずかに存在した。一般に、GITR+細胞の存在量は、TILに比例した。GITR陽性TILは子宮頸癌(CC)、黒色腫(Mel)および肝細胞癌(HCC)に豊富であり、ある程度の染色が結腸直腸癌(CRC)および頭頸部扁平上皮細胞癌(HNSCC)でも見られ、この中で子宮頸部扁平上皮細胞癌が最も豊富な染色を示した。
GITR陽性染色は、NSCLC(非小細胞肺癌)、CC、HNSCCおよびHCCにおける腫瘍細胞でも観察された(
図7)。NSCLCおよびCCにおいて、染色の特異性を、GITR融合タンパク質とのインキュベーションによる染色の完全退色により確認した。
【0149】
免疫組織化学を凍結組織サンプルでも実施した。5μmのクライオスタット切片をアセトンで10分固定し、室温で間接的免疫ペルオキシダーゼ方法を使用して免疫染色した。CD3(T細胞マーカー)、CD8(細胞毒性T細胞マーカー)およびFoxP3(制御性T細胞マーカー)モノクローナル抗体での染色のために、スライドを、さらに10%NBFで2分固定した。6G10−FITCおよびHuIgG2−FITCでの染色のために、スライドを10%NBFに1分浸漬した。EnVision+System添加ペルオキシダーゼブロックおよび0.5%ヒトガンマグロブリン添加Dakoタンパク質ブロックを、それぞれ内因性ペルオキシダーゼ活性および非特異的結合の遮断に使用した。一次抗体(5μg/mLの6G10−FITC、1:100のCD3、1:100のCD8または5μg/mLもしくは10μg/mLのFoxP3)またはアイソタイプ対照抗体(5μg/mLのHuIgG2−FITC)を切片に適用し、1時間インキュベートした。マウスまたはウサギIgG用のEnVision+Systemを検出系として使用した。6G10−FITCおよびそのアイソタイプ対照HuIgG2−FITCのために、ウサギ抗FITC抗体(5μg/mL)を架橋抗体として使用した。最後に、スライドをDAB基質−色素原溶液と6分反応させ、通常の組織学的方法を使用してマイヤーのヘマトキシリンで対比染色し、脱水し、浄化し、Permountでカバースリップした。CD3、CD8およびFoxP3モノクローナル抗体について、Dakoタンパク質ブロックを希釈剤として使用し、一方6G10−FITCおよびHuIgG2−FITCについて、0.5%ヒトガンマグロブリンおよび0.5%BSA添加PBSを一次および二次抗体両方の希釈剤として使用した。3腫瘍タイプからの凍結組織サンプルを組織販売業者から購入した。
種々の量のGITR+TILが3腫瘍タイプで観察された。FoxP3はTILの小サブセットに存在した。腫瘍細胞サブセットの抗GITR抗体での染色も観察され、染色の特性をGITR融合タンパク質とのインキュベーションによる染色の完全退色により確認した。GITR腫瘍細胞におけるGITR mRNAの存在も、凍結切片のRNAscopeで観察され、これはさらにIHC結果を確認した。
これらの結果は、抗GITR抗体6G10が固定および凍結組織サンプルにおけるヒトGITRタンパク質を効率的に検出できることを示す。
【0150】
【表2】
【表3】
【0151】
【表4】
【表5】
【0152】
【表6】
【表7】
【0153】
【表8】
【表9】
【0154】
【表10】
【表11】
【0155】
【表12】
【表13】
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【表14】
【表15】
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【表16】
【表17】
【0158】
【表18】
【表19】
【0159】
【表20】
【表21】
【0160】
【表22】
【表23】
【0161】
【表24】
【表25】
【0162】
【表26】
【表27】
【表28】
【0163】
表2は、成熟可変領域および重鎖および軽鎖の配列、および、示しているならば、シグナルペプチドを伴う配列を提供する。
【0164】
均等物:
当業者は、ここに開示する特定の実施態様の多くの均等物を認識し、または日常的なものを超えない実験を使用して確認することができる。このような均等物は添付する特許請求の範囲に包含されることが意図される。