特許第6812400号(P6812400)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6812400ガスリサイクル機能を有するエキシマレーザ発振装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6812400
(24)【登録日】2020年12月18日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】ガスリサイクル機能を有するエキシマレーザ発振装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/225 20060101AFI20201228BHJP
   B01D 53/70 20060101ALI20201228BHJP
   H01S 3/036 20060101ALI20201228BHJP
   C01B 23/00 20060101ALN20201228BHJP
   C01B 9/08 20060101ALN20201228BHJP
【FI】
   H01S3/225ZAB
   B01D53/70
   H01S3/036
   !C01B23/00
   !C01B9/08
【請求項の数】6
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-237231(P2018-237231)
(22)【出願日】2018年12月19日
(62)【分割の表示】特願2017-98468(P2017-98468)の分割
【原出願日】2017年5月17日
(65)【公開番号】特開2019-83320(P2019-83320A)
(43)【公開日】2019年5月30日
【審査請求日】2018年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109428
【氏名又は名称】日本エア・リキード合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小浦 輝政
(72)【発明者】
【氏名】松本 幸二
(72)【発明者】
【氏名】野澤 史和
(72)【発明者】
【氏名】篠原 悠介
【審査官】 小濱 健太
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第08929419(US,B1)
【文献】 特開2001−300260(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/076415(WO,A1)
【文献】 国際公開第2017/072863(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00−3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスリサイクル機能を備えるエキシマレーザ発振装置は、
ハロゲンガス、希ガス、およびバッファガスを有するレーザガスを内部に充填している発振チャンバーと、
前記発振チャンバーから排出された排ガス中の不純物を除去する第一不純物除去装置と、をエキシマレーザ発振装置の系内に備え、
前記第一不純物除去装置は、
不純物の一部であるフッ化炭素を分解し、フッ素化合物を含む分解副生成物にする、エキシマレーザ光を前記排ガスに照射する装置である分解装置と、
前記分解装置で生成されたフッ素化合物を含む分解副生成物を所定の反応剤と反応させて前記排ガスから除去する分解副生成物除去部と、を有する、エキシマレーザ発振装置。
【請求項2】
前記第一不純物除去装置は、
前記分解装置より上流に配置された、不純物の一部であるフッ素化合物を除去するフッ素化合物除去部を、さらに有する請求項1に記載のエキシマレーザ発振装置。
【請求項3】
前記第一不純物除去装置は、
発振チャンバーから排出された排ガス中のCF、N、Heの内いずれか1種あるいは複数種の不純物濃度を測定する不純物濃度検知部と、を有し、
エキシマレーザ発振装置は、前記不純物濃度検知部で測定された結果に基づいて、排ガスを外気へ排出する第1処理と、フッ素化合物を含む不純物の除去処理を実行する第2処理と、後段のプロセスに排ガスを送る第3処理とのいずれかを選択する処理選択部をさらに有する、請求項1または2に記載のエキシマレーザ発振装置。
【請求項4】
前記エキシマレーザ発振装置は、
前記第一不純物除去装置で処理された第一精製ガスから少なくとも酸素を含む不純物をさらに除去する第二不純物除去装置を、エキシマレーザ発振装置の系内にさらに備える、請求項1から3のいずれか1項に記載のエキシマレーザ発振装置。
【請求項5】
前記第二不純物除去装置は、
第一精製ガスから第一不純物を除去する第一除去部と、
第一除去部を通過した第一精製ガスから第二不純物を除去する第二除去部と、を請求項4に記載のエキシマレーザ発振装置。
【請求項6】
前記第二不純物除去装置は、
前記第一精製ガス中に、第1希ガスとしてアルゴン(Ar)、第2希ガスとしてキセノン(Xe)を含む場合に、
前記キセノンを除去するキセノン除去部と、
補助用キセノン含有ネオンガスを混合させるべく導入するための導入ラインと、をさらに有する、請求項4または5に記載のエキシマレーザ発振装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エキシマレーザの発振チャンバーから排出される排ガスから不純物を除去し、例えば、エキシマレーザ発振装置に必要な希ガスであるクリプトン含有ネオンガス、キセノンおよびアルゴン含有ネオンガス、キセノン含有ネオンガスを回収し、リサイクルガスとして再利用可能なエキシマレーザ発振装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエキシマレーザ発振装置には、この発振装置で使用されるレーザガス(レーザ媒質のガス)のリサイクル機能は無く、発振装置とは別に、エキシマレーザ発振装置の系外に排出された排ガス(使用済みレーザガス)から不純物を除去するリサイクルシステム(ネオン回収システムともいう)が必要であった。一般的に低温分離等の様々な分離技術を用い、排ガス中の不純物および希ガスを分離してネオンが99%以上の高純度ネオンガスとして精製し、レーザガスの原料ガスとしてリサイクルする技術が主流である。
【0003】
例えば、エキシマレーザ発振装置から系外に排出された排ガスを再利用する工程において、フッ素化合物を除去する方法の一例として特許文献1がある。
また、キセノン−塩素系ガスを使用するエキシマレーザ発振装置からネオンガスを回収する方法が特許文献2に記載されている。
また、クリプトンやキセノンを使用する各種プロセスの排ガスに含まれる微量不純物を除去でき、エキシマレーザ発振装置の近くに設置して希ガス(クリプトン、キセノン)のみを分離回収し、再利用する希ガス分離回収装置が特許文献3に記載されている。
また、エキシマレーザ発振装置から系外に排出されたレーザガス(排ガス)からハロゲンを除去し、所定の精製処理後にレーザガス成分を補充して、再びエキシマレーザ発振装置へ送り込み、再利用する構成が特許文献4に記載されている。
また、KrFエキシマレーザ発振装置から系外に排出された、不純物が多く含まれた主成分ネオンガスの排ガスから高純度のネオンガスのみを回収することが特許文献5に記載されている。
【0004】
また、排ガス中のCFを分解する方法として無声放電を用いる方法が特許文献6に、コロナ放電による方法が非特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−92920号公報
【特許文献2】特開2008−168169号公報
【特許文献3】特開2004−161503号公報
【特許文献4】特開平11−54851号公報
【特許文献5】特開2001−232134号公報
【特許文献6】特開2006−110461号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】T.IEEE Japan, Vol.117−A,No.10(1997)「コロナ放電によるエキシマガス中のガス状不純物の除去」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記背景技術および特許文献1〜5で開示されている通り、エキシマレーザ発振装置から系外に排出された排ガスをリサイクルするためには、リサイクルするための精製装置が別に必要であり、そのための設置スペースが必要である。更に、このリサイクル装置とエキシマレーザ発振装置はそれぞれ別体の装置であるため、それぞれの装置を連携させて稼動させる必要がある。
【0008】
また、エキシマレーザ発振装置から系外に排出された排ガスから不純物を分離し、原料のレーザガス中のネオンガスと同じあるいは実質的に同程度の高純度ネオンガスを回収し、レーザガスとしてリサイクル利用するためには、排ガスからアルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)などの希ガスを除去する必要がある。しかし、それらアルゴン、クリプトンを排ガスから分離する排ガス精製装置として、−100℃以下になるような極低温技術の使用がある。また、極低温技術を使用しない方法として、昇圧機等による排ガスの高圧化と吸着技術による分離方法が提案されている。しかし、極低温技術、および排ガスの高圧化と吸着技術は、多大なエネルギーを必要とする。
また、従来の排ガス精製装置は大型であり、複数のエキシマレーザ発振装置から出た大量の排ガスにも対応できるように設計されている。そして、排ガス精製装置が稼動を停止すると、この排ガス精製装置に接続されている複数のエキシマレーザ発振装置の稼動に大きな影響を及ぼすことが懸念される。
【0009】
また、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)が除去可能となりネオン(Ne)を主成分としたリサイクルガスが精製できたとしても、エキシマレーザ発振装置内で生成されたCF等の不純物は、レーザ発振に影響を及ぼす。これらCF等の不純物の除去は、上記特許文献などに記載されてはいるものの簡単ではない。また、排ガス精製装置に導入される排ガス(低純度のネオンガス)中の不純物濃度を検知することも簡単ではない。そのため、排ガス中の不純物濃度が高い場合には、排ガス精製装置(特に吸着除去手段などの装置)の性能がより早く低下する。そのため、吸着除去手段の交換等のメンテナンス頻度が多くなる。
【0010】
また、特許文献1の不純物除去装置では、CFを含む不純物をゼオライト等の吸着剤で除去する工程を有するが、CFを高濃度に含有する排ガスの場合には、吸着剤でCFを除去しきれないという問題がある。このため、エキシマレーザ発振装置で発生したCFは、排ガスの精製工程を繰り返すと、リサイクルガス中のCF濃度が徐々に上昇していき、エキシマレーザ発振装置においてレーザパルス出力エネルギーの低下等の不具合が懸念される。また、分解方法によっては、CF分解時に新たな不純物である酸素を発生させるという問題がある。
【0011】
また、特許文献6の排ガス中のCFを無声放電により分解する方法は、比較的高濃度のCFを分解処理できるが、一定量のCFが分解後も残留するという問題がある。非特許文献1の排ガス中のCFをコロナ放電により分解する方法では、電極がフッ化して劣化しやすいという問題がある。
【0012】
本発明の第1の目的は、エキシマレーザ発振装置で使用される希ガス(例えば、アルゴン、キセノン、クリプトンなど)を含む排ガスから、不純物を除去する除去機能をエキシマレーザ発振装置の系内に設けることである。
また、本発明の第2の目的は、エキシマレーザ発振装置の系内において、エキシマレーザの発振チャンバーから排出された排ガスから一部の不純物を除去し、その他不純物をエキシマレーザ発振装置の系外で除去することである。
また、本発明の第3の目的は、エキシマレーザ発振装置の系内において、エキシマレーザの発振チャンバーから排出された排ガス中の不純物濃度を測定し、エキシマレーザ発振装置の系内および/またはエキシマレーザ発振装置の系外で不純物の除去処理をすることである。
また、不純物が除去された精製ガス(希ガスを含むレーザガス)をリサイクル利用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のガスリサイクル機能を備えるエキシマレーザ発振装置は、
ハロゲンガス(例えば、フッ素)、希ガス(例えば、クリプトン、アルゴン、キセノン)、バッファガス(例えば、ネオン、塩素)を有するレーザガスを内部に充填している発振チャンバーと、
前記発振チャンバーから排出された排ガス中の不純物を除去する第一不純物除去装置と、をエキシマレーザ発振装置の系内に備える。
【0014】
前記第一不純物除去装置は、不純物の一部であるフッ素化合物を除去するフッ素化合物除去部を有していてもよい。前記第一不純物除去装置は、フッ素化合物除去部のみを有していてもよい。
【0015】
前記第一不純物除去装置は、不純物の一部であるフッ化炭素(CF等)を分解し、分解副生成物にする分解装置を有していてもよい。
前記第一不純物除去装置は、前記分解装置で生成された分解副生成物を所定の反応剤と反応させて前記排ガスから除去する分解副生成物除去部を有していてもよい。フッ化炭素が分解された時の分解副生成物は、例えば、フッ素化合物である。
前記第一不純物除去装置は、フッ素化合物除去部を有さず、分解装置および分解副生成物除去部を有していてもよい。
【0016】
前記第一不純物除去装置は、発振チャンバーから排出された排ガス中の不純物濃度を測定する不純物濃度検知部を有していてもよい。第一不純物除去装置は、フッ素化合物除去部、分解装置、分解副生成物除去部を有さず、不純物濃度検知部を有していてもよい。
不純物濃度検知部は、前記フッ素化合物除去部の上流あるいは下流に設定されていてもよい。
不純物濃度検知部は、前記分解装置より上流に設置されて、分解装置で不純物を除去するか否かの判断に利用されてもよい。また、不純物濃度検知部は、前記分解装置より下流に設置されて、分解装置で処理された後の不純物の濃度を測定するものでもよい。
不純物濃度検知部は、排ガス中の不純物として、CF、N、Heの内いずれか1種あるは複数種の濃度を測定してもよい。
【0017】
前記第一不純物除去装置が、前記分解装置より上流および/または下流に、排ガスを貯めるためのバッファタンクを有していてもよい。
前記第一不純物除去装置が、前記分解副生成物除去部より上流および/または下流に、排ガスを貯めるためのバッファタンクを有していてもよい。
前記第一不純物除去装置が、前記不純物濃度検知部より上流および/または下流に、排ガスを貯めるためのバッファタンクを有していてもよい。
前記第一不純物除去装置が、前記フッ素化合物除去部より上流および/または下流に、排ガスを貯めるためのバッファタンクを有していてもよい。
【0018】
上記発明において「系内」とは、エキシマレーザ発振装置が単一の筐体であれば筐体内および筐体に接続される構成要素(筐体から突出した要素を含む)であり、エキシマレーザ発振装置が複数の筐体で構成されている場合に、それら筐体が接する配置または近傍に配置される構成を含む。
【0019】
本発明において、特に明記しないかがり、「上流」および「下流」はガス(排ガス、精製ガス、リサイクルガス、原料レーザガスなど)の流れ方向における配置関係を意味する。以下同様である。
【0020】
前記エキシマレーザ発振装置は、その外観(単一筐体)サイズが、例えば、2200〜3500(W)×500〜1500(D)×1500〜2500(H)であってもよい。
エキシマレーザ発振装置は、ガスレーザの一種であり、紫外線域の光を発振する。発振チャンバーにおいて、励起ガスに少なくとも一対の電極で高電圧(高電圧パルス放電)を印加することで、励起状態のエキシマ−が発生し、誘導放出を起こして光(紫外線)が得られる。
発振チャンバーから出射された光は、例えば、挟帯域化モジュール(プリズム、グレーティングを有して構成される)によって特定の波長幅に調整されてもよい。挟帯域化モジュールから発振チャンバーに戻された光は、一対の電極間を通過することで増幅される。また、発振チャンバーを通過するように挟帯域化モジュールと出力ミラーとが光路ラインで繋がり、挟帯域化モジュールと出力ミラーとの間で光が往復するたびに、一対の電極間を通過することで、光が増幅される。挟帯域化モジュールと出力ミラーとで共振器の機能が実現される。出力ミラーを透過した光は出力レーザ光として、例えば露光装置へ出力される。
発振チャンバー内に充填されているレーザガスは、例えば、ネオンガス等のバッファガス(例えば90〜95%)と、希ガス(Kr,Ar,Xe)(例えば5〜9%)およびハロゲンガス(F)(例えば1〜5%)からなる励起ガスとを有する。例えば、励起ガスとして、KrF、ArF、XeF、Ar/XeFなどがある。
【0021】
前記エキシマレーザ発振装置は、
1または1以上のレーザガスを前記発振チャンバー供給する1または1以上のレーザガス供給ラインと、
前記レーザガス供給ラインからレーザガスが供給される前記発振チャンバーと、
前記発振チャンバーから排出されるレーザガス(排ガス)を前記第一不純物除去装置(あるいは不純物濃度検知部)へ送るための排ガスラインと、を有していてもよい。
排ガスラインと、レーザガス供給ラインには、制御弁、ガス圧力調整部あるいはガス圧力計、および/またはガス流量調整部計あるいはガス流量計が設置されていてもよい。
前記エキシマレーザ発振装置は、排出用のポンプを有していてもよい。
前記エキシマレーザ発振装置は、前記発振チャンバー内のレーザガスの圧力を測定するレーザガス圧力計を有していてもよい。
前記エキシマレーザ発振装置は、発振チャンバーへレーザガスを所定圧、所定量の供給と、発振チャンバーからレーザガスの所定量の排出を行うために、制御弁、ガス圧力調整部あるいはガス圧力計、および/またはガス流量調整部計あるいはガス流量計が設置され、レーザガス供給・排出制御部によって制御されていてもよい。
発振チャンバー内のガス圧力およびレーザガスの供給圧力(第一圧力)は、エキシマレーザ発振装置の仕様に対応して設定されるが、通常大気圧よりも高い圧力であり、例えば、ゲージ圧で300KPa以上〜700KPaの範囲、好ましくは400KPa以上〜700KPaの範囲、より好ましくは500KPa以上〜700KPaの範囲が例示される。
発振チャンバーから排出される排ガスの圧力は、大気圧以上であって前記第1圧力以下であり、例えば、ゲージ圧で50KPa〜200KPaの範囲が挙げられる。
昇圧機で所定圧に昇圧された第一精製ガスの圧力は、前記第一圧力よりも大きい値であり、例えば、第一圧力との差がゲージ圧で50KPa〜150KPaの範囲である。
【0022】
前記エキシマレーザ発振装置は、前記不純物濃度検知部で測定された結果に基づいて、前記排ガスを前記分解装置および前記分解副生成物除去部へ送るための分解除去処理ラインを有していてもよい。分解除去処理ラインは、発振チャンバーと接続される排ガスラインと接続されていてよく、排ガスラインを兼ねていてもよい。
前記エキシマレーザ発振装置は、前記不純物濃度検知部で測定された結果に基づいて、前記排ガスをエキシマレーザ発振装置の系外へ放出するための放出ラインを有していてもよい。
前記エキシマレーザ発振装置は、前記不純物濃度検知部で測定された結果に基づいて、前記排ガスを前記分解装置および前記分解副生成物除去部へ送らずに後段のプロセスへ送るためのバイパスラインを有していてもよい。
【0023】
前記エキシマレーザ発振装置は、前記不純物濃度検知部で測定された結果に基づいて、排ガスを外気へ排出する第1処理と、不純物の除去処理を実行する第2処理と、後段のプロセスに排ガスを送る第3処理とのいずれかを選択する処理選択部を有していてもよい。
前記処理選択部で前記第1処理が選択された場合に、前記放出ラインで、前記排ガスを外気へ放出し、
前記処理選択部で前記第2処理が選択された場合に、前記分解除去処理ラインに設けられた前記分解装置および前記分解副生成物除去部に前記排ガスを送り、排ガス中の不純物を分解除去し、
前記処理選択部で前記第3処理が選択された場合に、前記バイパスラインで、前記排ガスを後段のプロセスに送ってもよい。
前記第1処理が選択された場合に前記放出ラインへ前記排ガスを放出し、前記第2処理が選択された場合に前記分解除去処理ラインへ前記排ガスを送り、前記第3処理が選択された場合に前記バイパスラインへ前記排ガスを送るように、弁の開閉を制御する弁制御部を有していてもよい。
【0024】
前記分解装置は、例えば、無声放電装置、短波長光発振装置であってもよい。短波長光としては、エキシマレーザ光、UVレーザ光などが挙げられる。分解装置は、分解チャンバーを有してもよい。発振チャンバーから分解チャンバーへ排ガスが送られ、分解チャンバー内でエキシマレーザ光を照射して排ガス中の不純物(CF)を分解してもよい。CFは分解して分解副生成物(F、その他のフッ素化合物)となり、前記分解副生成物は、分解副生成物除去部において、所定の反応剤と反応して吸収除去されてもよい。
【0025】
本発明において、上記「所定の反応剤」は、例えば、金属系反応剤またはガス吸収系反応剤などである。金属系反応剤としては、例えば、Ag系、Cu系の反応剤が挙げられる。ガス吸収系反応剤として、例えば酸性ガス吸収反応剤が挙げられ、例えば、ソーダライムに代表される酸素含有物質を反応剤に使用することが挙げられる。
【0026】
前記フッ素化合物は、例えば、SiF,COFである。
前記フッ化炭素は、例えば、CFである。
前記分解除去処理ラインは、例えば、配管と自動開閉弁を有して構成されていてもよい。
前記バイパスラインは、例えば、配管と自動開閉弁を有して構成されていてもよい。
前記放出ラインは、例えば、配管、外気排出用のベント装置、自動開閉弁などを有して構成されていてもよい。
前記不純物濃度検知部は、例えば分解除去処理ラインなどの配管に配置されていてもよく、濃度測定を行える空間に配置されていてもよく、バッファタンクに配置されていてもよい。
本発明において、「精製ガス」および「リサイクルガス」は、例えば、第1希ガス(例えば、Ar,Kr)を含む主成分ネオンガスである。
本発明において、排ガス中の不純物は、例えば、CF、N、He、酸素、水分のうちいずれか1種または複数種を含む。希ガス(例えば、アルゴン、クリプトン、キセノン)およびネオンなどのバッファガスは、特に不純物と明示しないかぎり不純物ではない。
【0027】
本発明において、不純物濃度検知部を有する場合に、発振チャンバーから送られた排ガス中の不純物(例えば、CF)濃度を測定し、測定結果に応じて排ガスに対し各種の処理を行うことができる。
本発明では、例えば、不純物濃度が所定濃度範囲(例えば、10ppm〜120ppm)よりも高い高濃度の場合に外気へ放出し、不純物濃度が所定濃度範囲(例えば、10ppm〜120ppm)であれば不純物を分解除去し、不純物濃度が所定濃度範囲(例えば、10ppm〜120ppm)未満であればそのまま後段のプロセス(第二不純物除去装置のプロセス)へ排ガスを送り込むように構成することができる。
すなわち、後段のプロセス(第二不純物除去装置のプロセス)には、第一不純物除去装置で除去されなかった不純物を含む排ガス(「第一精製ガス」ともいう。)のみを送りこむことができるため、後段のプロセスにおいてさらに、不純物の除去を行える。
また、第一不純物除去装置の分解副生成物除去部あるいは第二不純物除去装置の第一、第二除去部が早期に性能劣化する現象を抑制し、メンテナンス回数を減らすことが可能になる。
そして、エキシマレーザ発振装置の系内において、排ガスのリサイクル処理(実施形態によっては、一部不純物の除去処理、全不純物の除去処理)を行える。例えば、ArFエキシマレーザ発振装置やKrFエキシマレーザ発振装置の系内において、排ガスから不純物を除去して、第1希ガス含有の主成分ネオンガスを精製し、リサイクルガスとして再利用することができる。
また、本発明では、希ガス(Ar,Kr)を除去しない構成であるため、極低温処理、1MPaG以上の高圧化処理が不要となり、コンパクトな装置構成とできて、エキシマレーザ発振装置の系内(筐体)に組み込むことが可能となる。
また、発振チャンバーで生成されたCF等の不純物を効率手良く除去できるようになったため、レーザ発振性能を安定化できる。
また、ガスリサイクル機能をエキシマレーザ発振装置に組み込んだことにより、エキシマレーザ発振装置1台毎のガスリサイクル処理が可能となり、複数台のエキシマレーザ発振装置と接続された大規模な排ガス精製装置よりもリサイクル効率を向上できる。
また、ガスリサイクル機能をエキシマレーザ発振装置に組み込んだことにより、従来の排ガス精製装置を含めた設置スペースを省スペース化できる。
ガスリサイクル機能をエキシマレーザ発振装置に組み込んだことにより、複数台のエキシマレーザ発振装置と接続された排ガス精製装置よりも操作シーケンスが簡易になり、故障率の低下が期待できる。
【0028】
上記の発明において、前記不純物濃度検知部が前記排ガス中のCFの濃度を測定する場合に、
CFの濃度が第1閾値以上の場合に、前記処理選択部が前記第1処理を選択し、
CFの濃度が前記第1閾値よりも小さい第2閾値より大きく、かつ前記第1閾値未満の場合に、前記処理選択部が前記第2処理を選択し、
CFの濃度が前記第2閾値未満の場合に、前記処理選択部が前記第3処理を選択する制御を行ってもよい。
上記発明において、「第1閾値」は、例えば、80ppm〜110ppmの間の任意の数値、好ましくは90ppm〜100ppmの間の任意の数値であり、より好ましくは、100ppmである。
上記発明において、「第2閾値」は、例えば、5ppm〜15ppmの間の任意の数値、好ましくは8ppm〜12ppmの間の任意の数値であり、より好ましくは10ppmである。
本発明において、特に質量または重量を明示している場合を除き、濃度は体積濃度を意味する。
【0029】
前記排ガスは、主成分がネオンであり、第1希ガスが総量に対し1〜10%、好ましくは1〜8%である。排ガス中の不純物として、例えばCF、N、Heなどが挙げられる。排ガス中のCF濃度は1ppm〜500ppmの範囲が想定される。
【0030】
CF濃度が第1閾値(例えば100ppm)以上の場合には前記処理選択部が第1処理を選択する。前記第1処理は、排ガスを前記放出ラインにより系外に排出する。
一定量(例えば100ppm)以上のCFが分解装置に導入されると、排ガス中に含まれるCFの一部が分解されず、完全に除去できなくなるが、このような構成とすれば、CF除去が不十分となる可能性のある排ガスを予め系外に出すことにより完全な除去を行うことができる。
また、高濃度のCFの場合に、前記分解装置で生じた分解副生成物の量が増加し、所定の反応剤(例えば、金属系反応剤、ガス吸収系反応剤)の交換頻度が高まり、配管、弁等の腐食が進行するといった問題が生ずるため、第1閾値以上の濃度のCFが分解装置に導入されないようにしてこれらの問題を低減する。第1閾値の値は分解装置の能力に応じて設定してもよい。
CF濃度が第1閾値よりも小さい第2閾値(例えば10ppm)より大きく、かつ前記第1閾値未満の場合には前記第2処理を選択する。第2処理は、前記分解装置に前記分解除去処理ラインから排ガスを導入する。分解装置ではCFは、例えばUVレーザ光、エキシマレーザ光あるいはプラズマ分解により分解副生成物(F、その他のフッ素化合物)となり、前記分解副生成物は所定の反応剤(例えば、金属系反応剤、ガス吸収系反応剤)との反応により除去される。
CF濃度が第2閾値未満である場合には前記第3処理を選択し、第3処理は前記分解装置をバイパスし、後段の第二不純物除去装置へ排ガスをそのまま導入する。
【0031】
前記不純物濃度検知部が、前記排ガス中のCF、NおよびHeの濃度を測定する場合において、
(a)He濃度が第3閾値以上である、
(b)CF若しくはNのいずれかが前記第1閾値(例えば、80ppm〜110ppmの間の任意の数値、好ましくは90ppm〜100ppm)以上である、または、
(c)He濃度が第3閾値未満であって、CF若しくはNのいずれかが前記第2閾値(例えば、5ppm〜15ppmの間の任意の数値、好ましくは8ppm〜12ppm)以上前記第1閾値未満であり、かつ濃度の大小関係がN>(1/2)×CFである場合に、前記処理選択部が前記第1処理を選択する。
(d)He濃度が第3閾値未満の場合であって、N若しくはCFの濃度が前記第2閾値以上前記第1閾値未満、かつ濃度の大小関係がN<(1/2)×CFである場合に、前記処理選択部が前記第2処理を選択する。
(e)He濃度が第3閾値未満の場合であって、N若しくはCFの濃度が前記第2閾値未満の場合に、前記処理選択部が前記第3処理を選択する制御を行ってもよい。
上記発明において、「第3閾値」は、例えば、0.5%〜1.5%の間の任意の値、好ましくは0.8%〜1.2%の間の任意の値、より好ましくは1.0%である。
【0032】
前記排ガス中の不純物として、CF、NおよびHeの濃度を測定することもできる。前記排ガス中のCFおよびN濃度は1ppm〜500ppmの範囲、He濃度は0.01〜5.0%の範囲が想定される。
CFまたはN濃度が、例えば100ppm以上となるか、またはHe濃度が、例えば1%以上の場合には、レーザ強度が落ちるため、CFまたはN濃度が第1閾値(例えば100ppm)以上の場合またはHe濃度が第3閾値(例えば1%)以上の場合には、前記処理選択部が第1処理を選択し、前記第1処理は排ガスを前記放出ラインにより系外に排出する。
He濃度が第3閾値未満であって、CFおよびN濃度が第1閾値よりも小さい第2閾値(例えば10ppm)より大きく、かつ前記第1閾値未満の場合であっても、N濃度がCF濃度の2倍以上となる場合には、前記分解装置の分解過程において発生するイオン量が炭素イオン量に対して窒素イオン量が有利となる。この場合、前記分解装置で分解生成された窒素イオンが炭素イオンよりも排ガス中に含まれる酸素または酸素イオンと優先的に反応し、窒素酸化物を生成する。このため、N濃度がCF濃度の2倍以上となる場合には、前記処理選択部が第1処理を選択し、前記第1処理は排ガスを前記放出ラインにより系外に排出する。
一方、He濃度が第3閾値未満であり、CFおよびN濃度が第2閾値以上第1閾値未満、かつ、N濃度がCF濃度の2倍未満である場合には、分解装置により分解が可能であり、この分解による窒素酸化物発生量も少ないため、前記第2処理を選択する。第2処理において、前記分解装置に前記排ガスを前記分解除去処理ラインを通じて導入する。
He濃度が第3閾値未満であって、CFおよびN濃度が第2閾値未満である場合には、前記第3処理を選択する。第3処理は、前記分解装置をバイパスし、後段の第二不純物除去装置へ排ガスをそのまま導入する。
【0033】
上記発明において、分解除去処理ラインに、フッ素化合物除去部、不純物濃度検知部、バッファタンク、分解装置、分解副生成物除去部が、この順に配置されていてもよい。
上記発明において、前記第一不純物除去装置で処理された第一精製ガスをリサイクルガスとして前記発振チャンバーに戻す第一リサイクルラインを備えていてもよい。
【0034】
上記発明において、前記第一不純物除去装置で処理された第一精製ガスをさらに処理するために後段のプロセスに送るためのガス処理ラインを備えていてもよい。
上記発明において、エキシマレーザ発振装置は、前記第一不純物除去装置で処理された第一精製ガスから不純物をさらに除去する第二不純物除去装置を、エキシマレーザ発振装置の系内にさらに備えていてもよい。
上記発明において、前記第二不純物除去装置で処理された第二精製ガスをリサイクルガスとして前記発振チャンバーに戻す第二リサイクルラインをさらに備えていてもよい。別実施形態として、前記第二不純物除去装置が、エキシマレーザ発振装置の系外に配置されていてもよい。または、第二不純物除去装置を系内に配置し、それとは別にリサイクル機能を備えた第三不純物除去装置を系外にさらに備えていてもよい。
【0035】
上記発明において、エキシマレーザ発振装置、前記第一不純物除去装置および/または第二不純物除去装置は、
前記第一精製ガスを所定圧(原料ガスの供給圧と同じあるいはそれ以上の高い圧力、または発振バッファ内の圧力と同じあるいはそれ以上の高い圧力)にまで昇圧する昇圧機(例えば、コンプレッサー)を備えていてもよい。
前記昇圧機で所定圧となった第一精製ガスを、発振チャンバーへ送るリサイクルラインを有していてもよい。
【0036】
上記発明において、前記第二不純物除去装置は、
第一精製ガスから第一不純物(例えば、酸素)を除去する第一除去部(例えば、脱酸素反応手段)と、
第一除去部を通過した第一精製ガスから第二不純物を除去する第二除去部(例えば、ゲッター)と、を有していてもよい。
別実施形態として、上記第一不純物除去装置の代わりに、第二不純物除去装置(後述する構成要素も含んでいてもよい)がエキシマレーザ発振装置の系内に配置されていてもよい。
【0037】
昇圧機、第一除去部、第二除去部が共通の前記ガス処理ラインに配置されていてもよい。
第一除去部は、前記昇圧機で所定圧に昇圧された第一精製ガスから第一不純物を除去してもよい。
前記第二除去部を通過した第二精製ガス(リサイクルガス)は、前記第二リサイクルラインを通じて前記発振チャンバーへ送られてもよい。
【0038】
前記第二不純物除去装置は、
前記昇圧機より下流側で前記第一除去部より上流の前記ガス処理ラインに、排ガスの流量を調整するガス流量調節部あるいは精製ガスの流量を測定するガス流量計が配置されていてもよい。
前記第二不純物除去装置は、
前記昇圧機より下流側で前記第一除去部より上流の前記ガス処理ラインに、排ガスの圧力を調整するガス圧力調節部あるいはガス圧を測定するガス圧力計が配置されていてもよい。
【0039】
前記第二不純物除去装置は、
第二除去部を通過した第二精製ガス(例えば、第1希ガス含有の主成分ネオンガス)を貯める精製ガスバッファタンクをさらに有していてもよい。
【0040】
前記第二不純物除去装置は、原料となるレーザガスがAr・Xe含有ネオンガスである場合に、前記第一精製ガス中に、第1希ガスとしてアルゴン(Ar)、第2希ガスとしてキセノン(Xe)を含み、
第一除去部と第二除去部との間に、前記第一精製ガスからキセノンを除去するキセノン除去部をさらに有していてもよい。キセノン除去部は、例えば、活性炭やゼオライト系の吸着剤が充填された構成が挙げられる。
前記第二不純物除去装置は、原料となるレーザガスがAr・Xe含有ネオンガスである場合に、前記第一精製ガス中に、第1希ガスとしてアルゴン(Ar)、第2希ガスとしてキセノン(Xe)を含み、
精製ガスバッファタンクにあるいは第二精製ガスが流れるガス処理ラインの配管に、補助用キセノン含有ネオンガスを導入する導入ラインをさらに有していてもよい。導入ラインが精製ガスバッファタンクまたはそれより上流あるいは下流のガス処理ラインに接続されていてもよい。精製ガスバッファタンクあるいはガス処理ラインの配管で、第二精製ガスとキセノン含有ネオンガスとが混合されてもよい。補助用キセノン含有ネオンガスは、系内あるいは系外の補助タンクに蓄えられており、補助タンクは導入ラインと接続されていてもよい。
前記導入ラインに、ガス流量調節部あるいはガス流量計、またはガス圧力調節部あるいはガス圧力計が配置されていてもよい。圧力調整部は、補助用キセノン含有ネオンガスの圧力を所定の圧力(例えば、第1圧力)に調整してもよい。「第1圧力」は、例えば、発振チャンバーに供給されるレーザガスの圧力またはそれ以上の圧力である。
前記第二不純物除去装置は、前記第二精製ガスと前記キセノン含有ネオンガスを貯めるリサイクルタンクとをさらに有していてもよい。導入ラインがリサイクルタンクに接続されていてもよい。リサイクルァタンクで、第二精製ガスと補助用キセノン含有ネオンガスとが混合されてもよい。
【0041】
前記第二不純物除去装置は、
前記第二除去部より下流側の前記ガス処理ラインに、第二精製ガスの流量を調整するガス流量調節部あるいは第二精製ガスの流量を測定するガス流量計が配置されていてもよい。精製ガスバッファタンクの下流側またはリサイクルタンクの下流側に、ガス流量調節部あるいはガス流量計が配置されていてもよい。
【0042】
前記第二不純物除去装置は、
前記第二除去部より下流側の前記ガス処理ラインに、第二精製ガスの圧力を調整するガス圧力調節部あるいはガス圧を測定するガス圧力計が配置されていてもよい。精製ガスバッファタンクの下流側またはリサイクルタンクの下流側に、ガス圧力調節部あるいはガス圧力計が配置されていてもよい。
【0043】
前記第二不純物除去装置は、
前記第二除去部より下流側の前記ガス処理ラインに、第二精製ガスの圧力を調整するガス圧力調節部あるいはガス圧を測定するガス圧力計と、第二精製ガスの流量を調整するガス流量調節部あるいは第二精製ガスの流量を測定するガス流量計とが、この順序で配置されていてもよい。前記第二除去部より下流側の前記ガス処理ラインに、第二精製ガスの流量を調整するガス流量調節部あるいは第二精製ガスの流量を測定するガス流量計と、第二
精製ガスの圧力を調整するガス圧力調節部あるいはガス圧を測定するガス圧力計とが、この順序で配置されていてもよい。
【0044】
前記第二不純物除去装置は、2つのキセノン除去部が並列に配置され、一方で吸着処理を行い、他方で再生処理をする構成でもよい。
【0045】
前記第二不純物除去装置は、前記第一精製ガスの温度を調整する温度調整部をさらに有していてもよい。温度調整部として、例えば、熱交換器が挙げられる。温度調整部は、昇圧機より下流側に配置され、好ましくは昇圧機とそれより下流側にある所定の流量調整部あるいはガス流量計、またはガス圧力調整部あるいはガス圧力計との間に配置されてもよい。
【0046】
この構成によれば、第一精製ガスの温度を所定温度に調整することができる。例えば、昇圧機で昇圧されると共に上昇した第一精製ガスの温度(例えば、60〜80℃)を所定温度(例えば15〜35℃)に調整することができる。また、後段の第一、第二除去部における除去作用に適した温度範囲に第一精製ガスの温度を調整することができる。
【0047】
前記第一除去部に対する第1バイパスラインを有していてもよい。
前記第二除去部に対する第2バイパスラインを有していてもよい。
前記キセノン除去部に対する第3バイパスラインを有していてもよい。
第1〜第3バイパスラインにはそれぞれ、仕切弁が配置されている。バイパス処理時に仕切弁が開放される構成である。
前記第一除去部は、少なくともその上流側に仕切弁を有していてもよい。
前記第二除去部は、少なくともその上流側に仕切弁を有していてもよい。
前記キセノン除去部は、少なくともその上流側に仕切弁を有していてもよい。
【0048】
(方法)
本発明のエキシマレーザ発振装置の系内(筐体内)で実行されるリサイクルガス精製方法であって、
発振チャンバーから排出された排出ガス中の不純物を除去する第一不純物除去工程を、エキシマレーザ発振装置の系内で実行することを特徴とする、リサイクルガス精製方法である。
第一不純物除去工程は、不純物の一部であるフッ素化合物を除去するフッ素化合物除去工程とを有してもよい。
第一不純物除去工程は、
不純物の一部であるフッ化炭素を分解し、分解副生成物にする分解工程と、
前記分解工程で生成された分解副生成物を所定の反応剤と反応させて前記排ガスから除去する分解副生成物除去工程部を有していてもよい。
前記第一不純物除去工程は、前記発振チャンバーから排出された排出ガス中の不純物濃度を測定する不純物濃度測定工程を有していてもよい。
【0049】
リサイクルガス精製方法は、
前記第一不純物除去工程で処理された第一精製ガスから不純物をさらに除去する第二不純物除去工程を、エキシマレーザ発振装置の系内でさらに実行してもよい。
前記第二不純物除去工程は、前記第一精製ガスを所定圧にまで昇圧する昇圧工程を有していてもよい。
前記第二不純物除去工程は、前記第一精製ガスから第一不純物を除去する第一除去工程と、
前記第一除去工程の後で、第一精製ガスから第二不純物を除去する第二除去工程とを有していてもよい。
前記第二不純物除去工程は、
前記第一精製ガス中に、第1希ガスとしてアルゴン(Ar)、第2希ガスとしてキセノン(Xe)を含む場合に、
前記第二除去工程の後で、第二精製ガスと補助用キセノン含有ネオンガスとを混合するキセノン含有リサイクルガス混合工程と、を有していてもよい。
前記第二不純物除去工程は、
前記昇圧工程の後で、前記第一精製ガスの温度を低下させる熱交換工程を有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1A】実施形態1のエキシマレーザ発振装置の構成例を示す図である。
図1B】実施形態1のエキシマレーザ発振装置の構成例を示す図である。
図2A】実施形態2のエキシマレーザ発振装置の構成例を示す図である。
図2B】実施形態2のエキシマレーザ発振装置の構成例を示す図である。
図3】実施形態3のエキシマレーザ発振装置の構成例を示す図である。
図4】実施形態4のエキシマレーザ発振装置の構成例を示す図である。
図5】実施形態5のエキシマレーザ発振装置の構成例を示す図である。
図6】実施形態6のエキシマレーザ発振装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
(実施形態1)
実施形態1のエキシマレーザ発振装置1について図1A、1B、1Cを用いて説明する。
エキシマレーザ発振装置は、例えば、クリプトン・フッ素(KrF)エキシマレーザ発振装置、アルゴン・フッ素(ArF)エキシマレーザ発振装置、アルゴンキセノンフッ素(Ar/Xe・F)エキシマレーザ発振装置である。
【0052】
実施形態1のエキシマレーザ発振装置1は、ハロゲンガス(例えば、フッ素)、希ガス(例えば、クリプトン、アルゴン、キセノン)、バッファガス(例えば、ネオン、ヘリウム、塩素)を有するレーザガスを内部に充填している発振チャンバー12と、発振チャンバー12から排出された排ガス中の不純物を除去する第一不純物除去装置13と、第一不純物除去装置13から送られてきた第一精製ガスから不純物を除去する第二不純物除去装置14とを、エキシマレーザ発振装置1の系内に備える。
【0053】
発振チャンバー12には、所定圧、所定量のレーザガスが充填されている。この状態で、高電圧パルス生成器11が高電圧パルス放電を、発振チャンバー12内のレーザガス(励起ガス)に対し、少なくとも一対の電極に印加することで、励起状態のエキシマ−が発生し、誘導放出を起こして光が得られる。発振チャンバー12から出射された光は、不図示の挟帯域化モジュールによって特定の波長幅に調整される。挟帯域化モジュールから発振チャンバー12に戻された光は、上記の一対の電極間を通過することで増幅される。発振チャンバー12を通過するように挟帯域化モジュールと出力ミラーとが光路ラインで繋がり、挟帯域化モジュールと出力ミラーとの間で光が往復するたびに、一対の電極間を通過することで、光が増幅される。出力ミラーを透過した光は出力レーザ光として、例えば露光装置へ出力される。ここでは、挟帯域化モジュールと出力ミラーとで共振器の機能が実現されるが、他構成で共振器の機能を実現してもあってもよい。
【0054】
発振チャンバー12内に充填されているレーザガスは、例えば、ネオンガスあるいはヘリウム等のバッファガス(例えば90〜95%)と、希ガス(Kr,Ar,Xe)(例えば5〜9%)およびハロゲンガス(F)(例えば1〜5%)からなる励起ガスとを有する。例えば、励起ガスとして、KrF、ArF、XeF、Ar/XeFなどがある。
本実施形態において、発振チャンバー12へリサイクルガスとして戻すのは、レーザガス成分と同じ成分の希ガス(例えば、クリプトン、アルゴン、アルゴン・キセノン)を含む主成分バッファガス(例えば、ネオン)である。ハロゲンガス含有主成分バッファガスとリサイクルガスとが混合され多後で、発振チャンバー12へ送られてもよい。
エキシマレーザ発振装置1は、発振チャンバー12へ第一レーザガスを送り込むための第一レーザガス供給ラインと、第二レーザガスを送り込むための第二レーザガス供給ラインと、リサイクルガスを送り込むリサイクルガスラインとを、有していてもよい。
第一レーザガスが、ハロゲンガス含有主成分バッファガスまたは希ガスおよびハロゲンガス含有主成分バッファガスであってもよい。
第二レーザガスが、ハロゲンガス含有主成分バッファガスまたは希ガスおよびハロゲンガス含有主成分バッファガスであってもよい。
第一レーザガス供給ライン、第二レーザガス供給ラインは、それそれ、制御弁、ガス流量計、ガス流量調整部、圧力計、圧力調整部(例えば減圧弁)などが配置され、発振チャンバー12へレーザガスを供給する際に、それらが制御装置によって制御され、所定圧、所定流量のレーザガスが発振チャンバーへ供給される。
【0055】
図1Aにおいて、供給容器10から第一レーザガスが供給ラインL1を通じてエキシマレーザ発振装置1へ所定圧(第一圧力)で供給される。供給ラインL1には供給弁101、仕切り弁102(あってもなくてもよい)、ガス流量調整部104は、供給用仕切弁103が配置される。ガス流量調整部104は、ガス流量計と、ガス流量調整弁とを有し、ガス流量計の測定値に応じて弁を調整しガス流量を制御する。ガス流量調整部104の代わりにガス流量計、圧力計、減圧調整部が配置されていてもよい。
エキシマレーザ発振装置1の制御装置が、例えば、リサイクルガスのみを発振チャンバー12へ供給する際に、供給弁101および/または供給用仕切弁103を閉じるように制御する。「第一圧力」は、エキシマレーザ発振装置1の仕様に応じて設定され、例えば300KPa〜700KPaである。
【0056】
また、第二レーザガスを供給するための第二レーザガス供給ライン(不図示)が供給ラインL1、発振チャンバー12またはリサイクルライン(L31,L6)に接続されるように設けられている。第二レーザガス供給ライン(不図示)には、第一レーザガス供給ラインと同様に各種弁、ガス流量調整部が配置される。
供給容器10内の第一レーザガスの圧力が第一圧力よりも大きい場合に、ガス流量調整部104より上流側または下流側に配置されたガス減圧弁(不図示)で第一レーザガスの圧力を第一圧力へ減圧してもよい。
不図示の供給容器内の第二レーザガスの第一圧力よりも大きい場合に、ガス減圧弁(不図示)で第二レーザガスの圧力を第一圧力へ減圧してもよい。
【0057】
(第一不純物除去装置)
第一不純物除去装置13、第二不純物除去装置14の構成例を図1Bに示す。
発振チャンバー12から排出される排ガスは、排ガスラインL2を通って第一不純物除去装置13へ送られる。排ガスは、大気圧以上であって上記第一圧力以下である第二圧力で排出される。この第二圧力もエキシマレーザ発振装置1の仕様に応じて設定される。なお、排ガスラインL2に排出用ポンプ(不図示)が配置され、排ガスの排出を実行する(あるいは促進する)構成であってもよい。
「第二圧力」としては、例えば50〜100KPaである。排出される排ガスには、不純物が混じっている。不純物としては、例えば、窒素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、水、CF、He、CHなどが挙げられる。
エキシマレーザ発振装置1の制御装置は、レーザガス供給・排出制御部(不図示)を有し、レーザガス供給・排出制御部は、制御弁、ガス流量計、ガス流量調整部、ガス減圧弁などを制御し、所定のルール(例えば、稼働時間に基づく定期的なタイミング)に従って、発振チャンバー12からレーザガス(排ガス)を排出し、この排出された量に対応した量の第一レーザガス、第二レーザガス、リサイクルガスの内いずれか1種または2種以上を供給する。
【0058】
排ガスラインL2は、第一不純物除去装置13において分解除去処理ラインになる。
まず、排ガスはフッ素化合物除去部131に送られ、不純物の一部であるフッ素化合物が除去される。
次いで、バッファ空間1321に送られて排ガスが一定量になるように貯留される。バッファ空間1321は、所定量の排ガスを貯めて、後述の不純物濃度検知部132による不純物測定を安定的に行う機能を有する。
バッファ空間1321の内部に配置された不純物濃度検知部132により、排ガス中の不純物濃度が測定される。ここでは、不純物として例えばCHの濃度が測定される。不純物濃度検知部132としては、例えば、ガスクロマトグラフィー、熱伝導式濃度センサー、半導体式濃度センサーなどを用いることができる。
【0059】
バッファ空間1321から排ガスを外気へ放出するための放出ラインL20が設けられている。放出ラインL20は、例えば、配管、外気排出用のベント装置、自動開閉弁221を有して構成されている。
【0060】
バッファ空間1321の下流において、分解除去処理ラインL2からバイパスラインL21が分岐する。バイパスラインL21は、例えば、配管、自動開閉弁241を有して構成されている。
【0061】
分解除去処理ラインL2は、例えば、配管とガス流量測定部212と、自動開閉弁231を有して構成されている。ガス流量測定部212としては、マスフローメーターを用いることができる。交換時期判断部(不図示)は、ガス流量測定部212の測定値と不純物濃度検知部132の測定値に基づいて、不純物の量を算出し、分解副生成物除去部135の所定の反応剤の交換時期を求めてもよい。求められた交換時期は、入出力インタフェースなどに出力され、オペレータに知らせてもよい。
【0062】
また、分解除去処理ラインL2には、自動開閉弁231より下流側に、バッファ容器133が配置され、ここで所定量の排ガスを貯める構成である。バッファ容器133より下流側に、不純物の一部であるフッ化炭素(CF)を分解し、分解副生成物にする分解装置134が配置される。本実施形態において、分解装置134は、エキシマレーザ光を排ガスに照射する装置である。
分解装置134より下流側に分解副生成物除去部135が配置される。本実施形態において、分解副生成物は、例えば、フッ素化合物であり、分解装置134で生成された分解副生成物を所定の反応剤(例えば、金属系反応剤またはガス吸収系反応剤)と反応させて排ガスから除去する。分解副生成物除去部135を通過した排ガスを第一精製ガスと呼ぶ。第一精製ガスは、ガス処理ラインL3で第二不純物除去装置14へ送られる。
また、別実施形態として、ガス流量測定部212はあってもなくてもよい。
【0063】
本実施形態における処理選択の判断は以下の通りである。
不純物濃度検知部132は排ガス中のCFの濃度を測定する。この場合において、CFの濃度が第1閾値(例えば100ppm)以上の場合に、処理選択部(不図示)が第1処理を選択し、CFの濃度が第1閾値よりも小さい第2閾値(例えば10ppm)より大きく、かつ第1閾値未満の場合に、処理選択部が第2処理を選択し、CFの濃度が第2閾値未満の場合に、処理選択部が第3処理を選択する。
【0064】
また、別の実施形態として、不純物濃度検知部132が排ガス中のCF、NおよびHeの濃度を測定する。この場合において、
(a)He濃度が第3閾値(例えば1.0%)以上である、
(b)CF若しくはNのいずれかが前記第1閾値(例えば100ppm)以上である、または、
(c)He濃度が第3閾値未満であって、CF若しくはNのいずれかが前記第2閾値(例えば10ppm)以上第1閾値未満であり、かつ濃度の大小関係がN>(1/2)×CFである場合に、処理選択部が第1処理を選択する。
(d)He濃度が第3閾値未満の場合であって、N若しくはCFの濃度が前記第2閾値以上前記第1閾値未満、かつ濃度の大小関係がN<(1/2)×CFである場合に、処理選択部が第2処理を選択する。
(e)He濃度が第3閾値未満の場合であって、N若しくはCFの濃度が前記第2閾値未満の場合に、処理選択部が第3処理を選択する。
【0065】
なお、上記金属系反応剤に限定されず、ガス吸収系反応剤を代わりに使用することもできる。
【0066】
制御装置、処理選択部、各種弁の制御部、交換時期判断部は、CPU(又はMPU)などのハードウエア、回路、ファームウエア、ソフトウエアプログラムを記憶するメモリなどを有し、ソフトウエアとの協働により動作する構成でもよい。
【0067】
(第二不純物除去装置)
第二不純物除去装置14は、ガス処理ラインL3で送られてきた第一精製ガスから第一、第二不純物を除去し、第二精製ガスを得る。ガス処理ラインL3は、例えば、配管、1または1以上の自動開閉弁を有して構成されている。
ガス処理ラインL3には、コンプレッサー141、第一除去部142、第二除去部143、精製ガスバッファタンク144がこの順に配置されている。第二除去部143を通過したガスを、第二精製ガス(リサイクルガスともいう)という。
また、別実施形態として、第一除去部142より上流側に、熱交換器、第一精製ガスの流量を調整する調整部、第一精製ガスの流量を測定する流量計、第一精製ガスの圧力を調整する圧力調整部が設けられていてもよい。熱交換器は、第一精製ガスの温度を所定温度に低下させる。コンプレッサー141で昇圧されると共に上昇したガス温度(例えば、60〜80℃)を所定温度(例えば15〜35℃)に低下させることができ、例えば、後段の各種除去部における除去作用に適した温度範囲までガス温度を低下させる。
また、別実施形態として、第二除去部142より下流側または精製ガスバッファタンク144の下流側に、第二精製ガスの流量を調整する調整部、第二精製ガスの流量を測定する流量計、第二精製ガスの圧力を調整する圧力調整部が設けられていてもよい。
【0068】
コンプレッサー141は、第一排ガスの圧力を第三圧力へ昇圧する。第三圧力は、例えば、第一圧力よりも50KPa〜150KPaほど高い圧力である。圧力制御部(不図示)は、コンプレッサー141に組み込まれた圧力計あるいはコンプレッサー141より下流に配置された圧力計の測定値に基づいて第一精製ガスの圧力を制御する。
【0069】
第一除去部142は、第一精製ガスから酸素を除去する、酸化マンガン反応剤あるいは酸化銅反応剤が充填された脱酸素装置である。酸化マンガン反応剤としては、一酸化マンガンMnOなどの反応剤、二酸化マンガンMnOの反応剤、吸着剤をベースとした酸化マンガン反応剤が挙げられる。酸化銅反応剤としては、例えば、酸化銅CuOなどの反応剤、吸着剤をベースとした酸化銅反応剤が挙げられる。
第一除去部142を通過した精製ガスは、配管L4を通じて第二除去部143に送られる。
【0070】
第二不純物は、排ガス成分中で最も多く含まれる不純物を除いた成分であり、例えば、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、水、CF、CH、Heなどが挙げられる。CFは、第一不純物除去装置で除去(一部除去、完全除去)されている場合もあれば、バイパスされて第二不純物除去装置へ送られる場合もある。
第二除去部143は、酸素以外の不純物(例えば、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、水、CH)を除去する、化学吸着剤が充填されたゲッターである。
第二除去部143を通過した第二精製ガスは、酸素、酸素以外の不純物が除去されたガス(希ガス含有の主成分バッファガス)である。第二精製ガスは配管L5を通じて精製ガスバッファタンク144へ送られる。
【0071】
精製ガスバッファタンク144内の第二精製ガスは、リサイクルラインL6を通じて、リサイクルガスとして発振チャンバー12へ送られる。リサイクルラインL6には、例えば、リサイクルガスを供給する際に弁が開く自動開閉弁、リサイクルの流量を調整する調整部、リサイクルガスの流量を測定する流量計、リサイクルガスの圧力を調整する圧力調整部の内、1種または1種以上が設けられ、それらがレーザガス供給・排出制御部によって制御され、リサイクルガスを発振チャンバー12へ供給する構成でもよい。
【0072】
(実施形態2)
実施形態2のエキシマレーザ発振装置1について図2A、2Bを用いて説明する。実施形態1と同様の構成は、その説明を省略または簡単にする場合がある。実施形態2のエキシマレーザ発振装置1は、図2Aに示すように、第一不純物除去装置13をその系内に備え、第二不純物除去装置14をその系外に配置する構成である。
【0073】
図2Bに示すように、第二不純物除去装置14(コンプレッサー141、第一除去部142、第二除去部143、精製ガスバッファタンク144)は、エキシマレーザ発振装置1の系外に配置される。
【0074】
(実施形態3)
実施形態3のエキシマレーザ発振装置について図3を用いて説明する。実施形態1、2と同様の構成は、その説明を省略または簡単にする場合がある。実施形態1、2と異なる点は、第二不純物除去装置14の構成において、キセノン除去部70、補助キセノンガス供給機能を有することである。レーザガスの成分に排ガス中のキセノンを除去した方が、第二除去部143で第二不純物を除去しやすい。すなわち、第二不純物除去装置14がエキシマレーザ発振装置の系内、系外のいずれに配置されていてもよい。
【0075】
第一除去部142の後段にキセノン除去部70が配置され、ここでキセノンが除去される。キセノン除去部70は、活性炭が充填された脱キセノン装置である。キセノン除去部70を通過した精製ガスは第二除去部143に送られる。
【0076】
精製ガスバッファタンク144の下流側に、減圧弁151、ガス流量調整部152が配置されている。圧力制御部(不図示)は、配管L5の下流側に配置される圧力計あるいは減圧弁151に組み込まれた圧力計の測定値に基づいて、減圧弁151を制御し、第二精製ガスの圧力を制御する。精製ガスバッファタンク144の第二精製ガスは、第三圧力のガスであるため、発振チャンバー12内のレーザガスと同じ圧力(第一圧力)まで減圧する。
【0077】
精製ガス流量調整部152は、ガス流量計と、ガス流量調整弁とを有し、精製ガス制御部(不図示)が、ガス流量計の測定値に応じて、ガス流量調整弁を調整し、第二精製ガスの流量を制御する。これにより、発振チャンバー12へ送り込まれる第二精製ガスの供給量を一定に制御できる。なお、精製ガス流量調整部152は、ガス流量計のみであってもよい。また、精製ガス流量調整部152あるいはガス流量計と、減圧弁151との配置は逆であってもよい。
【0078】
精製ガス流量調整部152の下流側に、配管L5に合流する補助希ガス導入ラインL7が設けられる。補助希ガス導入ラインL7には、バッファガス(例えばネオン)とキセノンの補助希ガスが充填された補助容器71、供給弁(不図示)、補助希ガス減圧弁(補助希ガス圧力調整部に相当する)72、補助希ガス流量調整部73がこの順に配置される。
【0079】
圧力制御部(不図示)は、補助希ガス導入ラインL7の下流側に配置される圧力計の測定値に基づいて、補助希ガス減圧弁72を制御し、補助希ガスの圧力を制御する。補助容器71内の補助希ガスの圧力が第一圧力よりも大きい場合に、第一圧力になるように減圧される。
【0080】
補助希ガス流量調整部73は、ガス流量計と、ガス流量調整弁とを有し、精製ガス制御部(不図示)が、ガス流量計の測定値に応じて、ガス流量調整弁を調整し、補助希ガスの流量を制御する。精製ガス制御部は、レーザガス(例えばアルゴン、キセノン、ネオン)と同じ配合量のキセノン含有ガス(主成分ネオン)になるように、補助希ガスの流量と第二精製ガスの流量とを制御する。
【0081】
本実施形態において、配管L5に、第二精製ガスおよび補助希ガスからなるリサイクルガスを貯留するリサイクルガスタンク145が配置される。リサイクルガスタンク145の入口側と、出口側に自動開閉弁が設けられていてもよい。第二精製ガスと補助希ガスとがリサイクルガスタンク145内で混合され一定濃度に安定する。
【0082】
リサイクルガスタンク145内のリサイクルガスは、リサイクルラインL6を通じて発振チャンバー12へ送られる。リサイクルラインL6には、例えば、リサイクルガスを供給する際に弁が開く自動開閉弁、リサイクルの流量を調整する調整部、リサイクルガスの流量を測定する流量計、リサイクルガスの圧力を調整する圧力調整部の内、1種または1種以上が設けられ、それらがレーザガス供給・排出制御部によって制御され、リサイクルガスを発振チャンバー12へ供給する構成でもよい。
【0083】
(実施形態4)
実施形態4のエキシマレーザ発振装置について図4を用いて説明する。実施形態3と同様の構成は、その説明を省略または簡単にする場合がある。実施形態3と異なる点は、バッファガス(例えばネオン)とキセノンの補助希ガスが充填された補助容器471が、レーザガスタンクキャビネット400に収容されていることである。レーザガスタンクキャビネット400には、第一レーザガスタンク10も収容されている。なお、第二不純物除去装置14がエキシマレーザ発振装置の系内、系外のいずれに配置されていてもよい。
【0084】
(実施形態5)
実施形態5のエキシマレーザ発振装置1について図5を用いて説明する。実施形態1と同様の構成は、その説明を省略または簡単にする場合がある。実施形態1と異なる点は、第一不純物除去装置13は、フッ素化合物除去部131、不純物濃度検知部132、バッファ空間1321、ガス流量測定部212と、自動開閉弁231とを有する。
なお、第一不純物除去装置13は、フッ素化合物除去部131のみを有する構成でもよく、不純物濃度検知部132のみを有する構成でもよい。
【0085】
第三不純物除去装置13aとして、バッファ容器133、分解装置134、分解副生成物除去部135が設けられていてもよく、なくてもよい。
第一精製ガスのガス処理ラインL3に、コンプレッサー141が配置され、その下流に自動開閉弁252と、コンプレッサー141と自動開閉弁252との間のガス処理ラインL3から分岐し、発振チャンバー21へ送り込む分岐ラインL31が設けられている。なお、コンプレッサー141の上流側にバッファタンク(不図示)が配置され、精製ガスを所定量貯めておく構成でもよい。
不純物濃度検知部132の結果に基づいて、バイパスラインL21を通過した精製ガスあるいは第三不純物除去装置13aを通過した第一精製ガスを昇圧し、発振チャンバー21へ送り込むことができる。このとき自動開閉弁252が閉じられ、分岐ラインL31に配置された自動開閉弁251が開けられる。ガス処理ラインL3または分岐ラインL31に、熱交換器が配置され第一精製ガスの温度を所定温度に低下させてもよい。
【0086】
分岐ラインL31に精製ガスバッファタンクが配置されていてもよい。精製ガスは、分岐ラインL31を通じて、リサイクルガスとして発振チャンバー12へ送られる。分岐ラインL31には、例えば、ガスを供給する際に弁が開く自動開閉弁、ガス流量を調整する調整部、ガスの流量を測定する流量計、ガスの圧力を調整する圧力調整部の内、1種または1種以上が設けられ、それらがレーザガス供給・排出制御部によって制御され、ガスを発振チャンバー12へ供給する構成でもよい。
【0087】
また、別実施形態として、ガス処理ラインL3にコンプレッサー141より上流側に別分岐ラインを配置し、この別分岐ラインからバイパスラインL21を通過した精製ガスあるいは第三不純物除去装置13aを通過した第一精製ガスを発振チャンバー21へ送り込むことができる。別分岐ラインに精製ガスバッファタンクが配置されていてもよい。別分岐ラインには、例えば、ガスを供給する際に弁が開く自動開閉弁、ガス流量を調整する調整部、ガスの流量を測定する流量計、ガスの圧力を調整する圧力調整部の内、1種または1種以上が設けられ、それらがレーザガス供給・排出制御部によって制御され、ガスを発振チャンバー12へ供給する構成でもよい。
【0088】
(実施形態6)
実施形態6のエキシマレーザ発振装置1について図6を用いて説明する。実施形態5と同様の構成は、その説明を省略または簡単にする場合がある。実施形態5と異なる点は、第三不純物除去装置13aが第二不純物除去装置14に含まれており、エキシマレーザ発振装置1の系外に配置されていることである。
【0089】
(別実施形態)
上記実施形態1〜6において、放出ラインL20、バイパスラインL21はあってもなくてもよい。
上記実施形態1〜6において、第一不純物除去装置13はあってもなくてもよい。
上記実施形態1〜6において、第二不純物除去装置14はあってもなくてもよい。
上記実施形態1〜6において、バイパスラインL21は、後段のプロセスに排ガスを送り込む構成ではなく、発振チャンバー12へ送り込む構成であってもよい。係る場合に、バイパスラインL21にバッファタンクが配置されていてもよい。精製ガスは、分岐ラインL31を通じて、リサイクルガスとして発振チャンバー12へ送られる。バイパスラインL21には、例えば、ガスを供給する際に弁が開く自動開閉弁、ガス流量を調整する調整部、ガスの流量を測定する流量計、ガスの圧力を調整する圧力調整部の内、1種または1種以上が設けられ、それらがレーザガス供給・排出制御部によって制御され、ガスを発振チャンバー12へ供給する構成でもよい。
【0090】
(リサイクルガス精製方法)
上記エキシマレーザ発振装置の系内(筐体内)で実行されるリサイクルガス精製方法であって、
発振チャンバーから排出された排出ガス中の不純物を除去する第一不純物除去工程を、エキシマレーザ発振装置の系内で実行することを特徴とする、リサイクルガス精製方法である。
第一不純物除去工程は、不純物の一部であるフッ素化合物を除去するフッ素化合物除去工程とを有してもよい。
第一不純物除去工程は、
不純物の一部であるフッ化炭素を分解し、分解副生成物にする分解工程と、
前記分解工程で生成された分解副生成物を所定の反応剤と反応させて前記排ガスから除去する分解副生成物除去工程部を有していてもよい。
前記第一不純物除去工程は、前記発振チャンバーから排出された排出ガス中の不純物濃度を測定する不純物濃度測定工程を有していてもよい。
【0091】
リサイクルガス精製方法は、
前記第一不純物除去工程で処理された第一精製ガスから不純物をさらに除去する第二不純物除去工程を、エキシマレーザ発振装置の系内でさらに実行してもよい。
前記第二不純物除去工程は、前記第一精製ガスを所定圧にまで昇圧する昇圧工程を有していてもよい。
前記第二不純物除去工程は、前記第一精製ガスから第一不純物を除去する第一除去工程と、
前記第一除去工程の後で、第一精製ガスから第二不純物を除去する第二除去工程とを有していてもよい。
前記第二不純物除去工程は、
前記第一精製ガス中に、第1希ガスとしてアルゴン(Ar)、第2希ガスとしてキセノン(Xe)を含む場合に、
前記第二除去工程の後で、第二精製ガスと補助用キセノン含有ネオンガスとを混合するキセノン含有リサイクルガス混合工程と、を有していてもよい。
前記第二不純物除去工程は、
前記昇圧工程の後で、前記第一精製ガスの温度を低下させる熱交換工程を有していてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 エキシマレーザ発振装置
11 高電圧パルス生成器
12 発振チャンバー
13 第一不純物除去装置
131 フッ素化合物除去部
132 不純物濃度検知部
133 バッファ容器
134 分解装置
135 分解生成物除去部
14 第二不純物除去装置
141 コンプレッサー
142 第一除去部
143 第二除去部
144 精製ガスタンク
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6