【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のガスリサイクル機能を備えるエキシマレーザ発振装置は、
ハロゲンガス(例えば、フッ素)、希ガス(例えば、クリプトン、アルゴン、キセノン)、バッファガス(例えば、ネオン、塩素)を有するレーザガスを内部に充填している発振チャンバーと、
前記発振チャンバーから排出された排ガス中の不純物を除去する第一不純物除去装置と、をエキシマレーザ発振装置の系内に備える。
【0014】
前記第一不純物除去装置は、不純物の一部であるフッ素化合物を除去するフッ素化合物除去部を有していてもよい。前記第一不純物除去装置は、フッ素化合物除去部のみを有していてもよい。
【0015】
前記第一不純物除去装置は、不純物の一部であるフッ化炭素(CF
4等)を分解し、分解副生成物にする分解装置を有していてもよい。
前記第一不純物除去装置は、前記分解装置で生成された分解副生成物を所定の反応剤と反応させて前記排ガスから除去する分解副生成物除去部を有していてもよい。フッ化炭素が分解された時の分解副生成物は、例えば、フッ素化合物である。
前記第一不純物除去装置は、フッ素化合物除去部を有さず、分解装置および分解副生成物除去部を有していてもよい。
【0016】
前記第一不純物除去装置は、発振チャンバーから排出された排ガス中の不純物濃度を測定する不純物濃度検知部を有していてもよい。第一不純物除去装置は、フッ素化合物除去部、分解装置、分解副生成物除去部を有さず、不純物濃度検知部を有していてもよい。
不純物濃度検知部は、前記フッ素化合物除去部の上流あるいは下流に設定されていてもよい。
不純物濃度検知部は、前記分解装置より上流に設置されて、分解装置で不純物を除去するか否かの判断に利用されてもよい。また、不純物濃度検知部は、前記分解装置より下流に設置されて、分解装置で処理された後の不純物の濃度を測定するものでもよい。
不純物濃度検知部は、排ガス中の不純物として、CF
4、N
2、Heの内いずれか1種あるは複数種の濃度を測定してもよい。
【0017】
前記第一不純物除去装置が、前記分解装置より上流および/または下流に、排ガスを貯めるためのバッファタンクを有していてもよい。
前記第一不純物除去装置が、前記分解副生成物除去部より上流および/または下流に、排ガスを貯めるためのバッファタンクを有していてもよい。
前記第一不純物除去装置が、前記不純物濃度検知部より上流および/または下流に、排ガスを貯めるためのバッファタンクを有していてもよい。
前記第一不純物除去装置が、前記フッ素化合物除去部より上流および/または下流に、排ガスを貯めるためのバッファタンクを有していてもよい。
【0018】
上記発明において「系内」とは、エキシマレーザ発振装置が単一の筐体であれば筐体内および筐体に接続される構成要素(筐体から突出した要素を含む)であり、エキシマレーザ発振装置が複数の筐体で構成されている場合に、それら筐体が接する配置または近傍に配置される構成を含む。
【0019】
本発明において、特に明記しないかがり、「上流」および「下流」はガス(排ガス、精製ガス、リサイクルガス、原料レーザガスなど)の流れ方向における配置関係を意味する。以下同様である。
【0020】
前記エキシマレーザ発振装置は、その外観(単一筐体)サイズが、例えば、2200〜3500(W)×500〜1500(D)×1500〜2500(H)であってもよい。
エキシマレーザ発振装置は、ガスレーザの一種であり、紫外線域の光を発振する。発振チャンバーにおいて、励起ガスに少なくとも一対の電極で高電圧(高電圧パルス放電)を印加することで、励起状態のエキシマ−が発生し、誘導放出を起こして光(紫外線)が得られる。
発振チャンバーから出射された光は、例えば、挟帯域化モジュール(プリズム、グレーティングを有して構成される)によって特定の波長幅に調整されてもよい。挟帯域化モジュールから発振チャンバーに戻された光は、一対の電極間を通過することで増幅される。また、発振チャンバーを通過するように挟帯域化モジュールと出力ミラーとが光路ラインで繋がり、挟帯域化モジュールと出力ミラーとの間で光が往復するたびに、一対の電極間を通過することで、光が増幅される。挟帯域化モジュールと出力ミラーとで共振器の機能が実現される。出力ミラーを透過した光は出力レーザ光として、例えば露光装置へ出力される。
発振チャンバー内に充填されているレーザガスは、例えば、ネオンガス等のバッファガス(例えば90〜95%)と、希ガス(Kr,Ar,Xe)(例えば5〜9%)およびハロゲンガス(F
2)(例えば1〜5%)からなる励起ガスとを有する。例えば、励起ガスとして、KrF、ArF、XeF、Ar/XeFなどがある。
【0021】
前記エキシマレーザ発振装置は、
1または1以上のレーザガスを前記発振チャンバー供給する1または1以上のレーザガス供給ラインと、
前記レーザガス供給ラインからレーザガスが供給される前記発振チャンバーと、
前記発振チャンバーから排出されるレーザガス(排ガス)を前記第一不純物除去装置(あるいは不純物濃度検知部)へ送るための排ガスラインと、を有していてもよい。
排ガスラインと、レーザガス供給ラインには、制御弁、ガス圧力調整部あるいはガス圧力計、および/またはガス流量調整部計あるいはガス流量計が設置されていてもよい。
前記エキシマレーザ発振装置は、排出用のポンプを有していてもよい。
前記エキシマレーザ発振装置は、前記発振チャンバー内のレーザガスの圧力を測定するレーザガス圧力計を有していてもよい。
前記エキシマレーザ発振装置は、発振チャンバーへレーザガスを所定圧、所定量の供給と、発振チャンバーからレーザガスの所定量の排出を行うために、制御弁、ガス圧力調整部あるいはガス圧力計、および/またはガス流量調整部計あるいはガス流量計が設置され、レーザガス供給・排出制御部によって制御されていてもよい。
発振チャンバー内のガス圧力およびレーザガスの供給圧力(第一圧力)は、エキシマレーザ発振装置の仕様に対応して設定されるが、通常大気圧よりも高い圧力であり、例えば、ゲージ圧で300KPa以上〜700KPaの範囲、好ましくは400KPa以上〜700KPaの範囲、より好ましくは500KPa以上〜700KPaの範囲が例示される。
発振チャンバーから排出される排ガスの圧力は、大気圧以上であって前記第1圧力以下であり、例えば、ゲージ圧で50KPa〜200KPaの範囲が挙げられる。
昇圧機で所定圧に昇圧された第一精製ガスの圧力は、前記第一圧力よりも大きい値であり、例えば、第一圧力との差がゲージ圧で50KPa〜150KPaの範囲である。
【0022】
前記エキシマレーザ発振装置は、前記不純物濃度検知部で測定された結果に基づいて、前記排ガスを前記分解装置および前記分解副生成物除去部へ送るための分解除去処理ラインを有していてもよい。分解除去処理ラインは、発振チャンバーと接続される排ガスラインと接続されていてよく、排ガスラインを兼ねていてもよい。
前記エキシマレーザ発振装置は、前記不純物濃度検知部で測定された結果に基づいて、前記排ガスをエキシマレーザ発振装置の系外へ放出するための放出ラインを有していてもよい。
前記エキシマレーザ発振装置は、前記不純物濃度検知部で測定された結果に基づいて、前記排ガスを前記分解装置および前記分解副生成物除去部へ送らずに後段のプロセスへ送るためのバイパスラインを有していてもよい。
【0023】
前記エキシマレーザ発振装置は、前記不純物濃度検知部で測定された結果に基づいて、排ガスを外気へ排出する第1処理と、不純物の除去処理を実行する第2処理と、後段のプロセスに排ガスを送る第3処理とのいずれかを選択する処理選択部を有していてもよい。
前記処理選択部で前記第1処理が選択された場合に、前記放出ラインで、前記排ガスを外気へ放出し、
前記処理選択部で前記第2処理が選択された場合に、前記分解除去処理ラインに設けられた前記分解装置および前記分解副生成物除去部に前記排ガスを送り、排ガス中の不純物を分解除去し、
前記処理選択部で前記第3処理が選択された場合に、前記バイパスラインで、前記排ガスを後段のプロセスに送ってもよい。
前記第1処理が選択された場合に前記放出ラインへ前記排ガスを放出し、前記第2処理が選択された場合に前記分解除去処理ラインへ前記排ガスを送り、前記第3処理が選択された場合に前記バイパスラインへ前記排ガスを送るように、弁の開閉を制御する弁制御部を有していてもよい。
【0024】
前記分解装置は、例えば、無声放電装置、短波長光発振装置であってもよい。短波長光としては、エキシマレーザ光、UVレーザ光などが挙げられる。分解装置は、分解チャンバーを有してもよい。発振チャンバーから分解チャンバーへ排ガスが送られ、分解チャンバー内でエキシマレーザ光を照射して排ガス中の不純物(CF
4)を分解してもよい。CF
4は分解して分解副生成物(F
2、その他のフッ素化合物)となり、前記分解副生成物は、分解副生成物除去部において、所定の反応剤と反応して吸収除去されてもよい。
【0025】
本発明において、上記「所定の反応剤」は、例えば、金属系反応剤またはガス吸収系反応剤などである。金属系反応剤としては、例えば、Ag系、Cu系の反応剤が挙げられる。ガス吸収系反応剤として、例えば酸性ガス吸収反応剤が挙げられ、例えば、ソーダライムに代表される酸素含有物質を反応剤に使用することが挙げられる。
【0026】
前記フッ素化合物は、例えば、SiF
4,COF
2である。
前記フッ化炭素は、例えば、CF
4である。
前記分解除去処理ラインは、例えば、配管と自動開閉弁を有して構成されていてもよい。
前記バイパスラインは、例えば、配管と自動開閉弁を有して構成されていてもよい。
前記放出ラインは、例えば、配管、外気排出用のベント装置、自動開閉弁などを有して構成されていてもよい。
前記不純物濃度検知部は、例えば分解除去処理ラインなどの配管に配置されていてもよく、濃度測定を行える空間に配置されていてもよく、バッファタンクに配置されていてもよい。
本発明において、「精製ガス」および「リサイクルガス」は、例えば、第1希ガス(例えば、Ar,Kr)を含む主成分ネオンガスである。
本発明において、排ガス中の不純物は、例えば、CF
4、N
2、He、酸素、水分のうちいずれか1種または複数種を含む。希ガス(例えば、アルゴン、クリプトン、キセノン)およびネオンなどのバッファガスは、特に不純物と明示しないかぎり不純物ではない。
【0027】
本発明において、不純物濃度検知部を有する場合に、発振チャンバーから送られた排ガス中の不純物(例えば、CF
4)濃度を測定し、測定結果に応じて排ガスに対し各種の処理を行うことができる。
本発明では、例えば、不純物濃度が所定濃度範囲(例えば、10ppm〜120ppm)よりも高い高濃度の場合に外気へ放出し、不純物濃度が所定濃度範囲(例えば、10ppm〜120ppm)であれば不純物を分解除去し、不純物濃度が所定濃度範囲(例えば、10ppm〜120ppm)未満であればそのまま後段のプロセス(第二不純物除去装置のプロセス)へ排ガスを送り込むように構成することができる。
すなわち、後段のプロセス(第二不純物除去装置のプロセス)には、第一不純物除去装置で除去されなかった不純物を含む排ガス(「第一精製ガス」ともいう。)のみを送りこむことができるため、後段のプロセスにおいてさらに、不純物の除去を行える。
また、第一不純物除去装置の分解副生成物除去部あるいは第二不純物除去装置の第一、第二除去部が早期に性能劣化する現象を抑制し、メンテナンス回数を減らすことが可能になる。
そして、エキシマレーザ発振装置の系内において、排ガスのリサイクル処理(実施形態によっては、一部不純物の除去処理、全不純物の除去処理)を行える。例えば、ArFエキシマレーザ発振装置やKrFエキシマレーザ発振装置の系内において、排ガスから不純物を除去して、第1希ガス含有の主成分ネオンガスを精製し、リサイクルガスとして再利用することができる。
また、本発明では、希ガス(Ar,Kr)を除去しない構成であるため、極低温処理、1MPaG以上の高圧化処理が不要となり、コンパクトな装置構成とできて、エキシマレーザ発振装置の系内(筐体)に組み込むことが可能となる。
また、発振チャンバーで生成されたCF
4等の不純物を効率手良く除去できるようになったため、レーザ発振性能を安定化できる。
また、ガスリサイクル機能をエキシマレーザ発振装置に組み込んだことにより、エキシマレーザ発振装置1台毎のガスリサイクル処理が可能となり、複数台のエキシマレーザ発振装置と接続された大規模な排ガス精製装置よりもリサイクル効率を向上できる。
また、ガスリサイクル機能をエキシマレーザ発振装置に組み込んだことにより、従来の排ガス精製装置を含めた設置スペースを省スペース化できる。
ガスリサイクル機能をエキシマレーザ発振装置に組み込んだことにより、複数台のエキシマレーザ発振装置と接続された排ガス精製装置よりも操作シーケンスが簡易になり、故障率の低下が期待できる。
【0028】
上記の発明において、前記不純物濃度検知部が前記排ガス中のCF
4の濃度を測定する場合に、
CF
4の濃度が第1閾値以上の場合に、前記処理選択部が前記第1処理を選択し、
CF
4の濃度が前記第1閾値よりも小さい第2閾値より大きく、かつ前記第1閾値未満の場合に、前記処理選択部が前記第2処理を選択し、
CF
4の濃度が前記第2閾値未満の場合に、前記処理選択部が前記第3処理を選択する制御を行ってもよい。
上記発明において、「第1閾値」は、例えば、80ppm〜110ppmの間の任意の数値、好ましくは90ppm〜100ppmの間の任意の数値であり、より好ましくは、100ppmである。
上記発明において、「第2閾値」は、例えば、5ppm〜15ppmの間の任意の数値、好ましくは8ppm〜12ppmの間の任意の数値であり、より好ましくは10ppmである。
本発明において、特に質量または重量を明示している場合を除き、濃度は体積濃度を意味する。
【0029】
前記排ガスは、主成分がネオンであり、第1希ガスが総量に対し1〜10%、好ましくは1〜8%である。排ガス中の不純物として、例えばCF
4、N
2、Heなどが挙げられる。排ガス中のCF
4濃度は1ppm〜500ppmの範囲が想定される。
【0030】
CF
4濃度が第1閾値(例えば100ppm)以上の場合には前記処理選択部が第1処理を選択する。前記第1処理は、排ガスを前記放出ラインにより系外に排出する。
一定量(例えば100ppm)以上のCF
4が分解装置に導入されると、排ガス中に含まれるCF
4の一部が分解されず、完全に除去できなくなるが、このような構成とすれば、CF
4除去が不十分となる可能性のある排ガスを予め系外に出すことにより完全な除去を行うことができる。
また、高濃度のCF
4の場合に、前記分解装置で生じた分解副生成物の量が増加し、所定の反応剤(例えば、金属系反応剤、ガス吸収系反応剤)の交換頻度が高まり、配管、弁等の腐食が進行するといった問題が生ずるため、第1閾値以上の濃度のCF
4が分解装置に導入されないようにしてこれらの問題を低減する。第1閾値の値は分解装置の能力に応じて設定してもよい。
CF
4濃度が第1閾値よりも小さい第2閾値(例えば10ppm)より大きく、かつ前記第1閾値未満の場合には前記第2処理を選択する。第2処理は、前記分解装置に前記分解除去処理ラインから排ガスを導入する。分解装置ではCF
4は、例えばUVレーザ光、エキシマレーザ光あるいはプラズマ分解により分解副生成物(F
2、その他のフッ素化合物)となり、前記分解副生成物は所定の反応剤(例えば、金属系反応剤、ガス吸収系反応剤)との反応により除去される。
CF
4濃度が第2閾値未満である場合には前記第3処理を選択し、第3処理は前記分解装置をバイパスし、後段の第二不純物除去装置へ排ガスをそのまま導入する。
【0031】
前記不純物濃度検知部が、前記排ガス中のCF
4、N
2およびHeの濃度を測定する場合において、
(a)He濃度が第3閾値以上である、
(b)CF
4若しくはN
2のいずれかが前記第1閾値(例えば、80ppm〜110ppmの間の任意の数値、好ましくは90ppm〜100ppm)以上である、または、
(c)He濃度が第3閾値未満であって、CF
4若しくはN
2のいずれかが前記第2閾値(例えば、5ppm〜15ppmの間の任意の数値、好ましくは8ppm〜12ppm)以上前記第1閾値未満であり、かつ濃度の大小関係がN
2>(1/2)×CF
4である場合に、前記処理選択部が前記第1処理を選択する。
(d)He濃度が第3閾値未満の場合であって、N
2若しくはCF
4の濃度が前記第2閾値以上前記第1閾値未満、かつ濃度の大小関係がN
2<(1/2)×CF
4である場合に、前記処理選択部が前記第2処理を選択する。
(e)He濃度が第3閾値未満の場合であって、N
2若しくはCF
4の濃度が前記第2閾値未満の場合に、前記処理選択部が前記第3処理を選択する制御を行ってもよい。
上記発明において、「第3閾値」は、例えば、0.5%〜1.5%の間の任意の値、好ましくは0.8%〜1.2%の間の任意の値、より好ましくは1.0%である。
【0032】
前記排ガス中の不純物として、CF
4、N
2およびHeの濃度を測定することもできる。前記排ガス中のCF
4およびN
2濃度は1ppm〜500ppmの範囲、He濃度は0.01〜5.0%の範囲が想定される。
CF
4またはN
2濃度が、例えば100ppm以上となるか、またはHe濃度が、例えば1%以上の場合には、レーザ強度が落ちるため、CF
4またはN
2濃度が第1閾値(例えば100ppm)以上の場合またはHe濃度が第3閾値(例えば1%)以上の場合には、前記処理選択部が第1処理を選択し、前記第1処理は排ガスを前記放出ラインにより系外に排出する。
He濃度が第3閾値未満であって、CF
4およびN
2濃度が第1閾値よりも小さい第2閾値(例えば10ppm)より大きく、かつ前記第1閾値未満の場合であっても、N
2濃度がCF
4濃度の2倍以上となる場合には、前記分解装置の分解過程において発生するイオン量が炭素イオン量に対して窒素イオン量が有利となる。この場合、前記分解装置で分解生成された窒素イオンが炭素イオンよりも排ガス中に含まれる酸素または酸素イオンと優先的に反応し、窒素酸化物を生成する。このため、N
2濃度がCF
4濃度の2倍以上となる場合には、前記処理選択部が第1処理を選択し、前記第1処理は排ガスを前記放出ラインにより系外に排出する。
一方、He濃度が第3閾値未満であり、CF
4およびN
2濃度が第2閾値以上第1閾値未満、かつ、N
2濃度がCF
4濃度の2倍未満である場合には、分解装置により分解が可能であり、この分解による窒素酸化物発生量も少ないため、前記第2処理を選択する。第2処理において、前記分解装置に前記排ガスを前記分解除去処理ラインを通じて導入する。
He濃度が第3閾値未満であって、CF
4およびN
2濃度が第2閾値未満である場合には、前記第3処理を選択する。第3処理は、前記分解装置をバイパスし、後段の第二不純物除去装置へ排ガスをそのまま導入する。
【0033】
上記発明において、分解除去処理ラインに、フッ素化合物除去部、不純物濃度検知部、バッファタンク、分解装置、分解副生成物除去部が、この順に配置されていてもよい。
上記発明において、前記第一不純物除去装置で処理された第一精製ガスをリサイクルガスとして前記発振チャンバーに戻す第一リサイクルラインを備えていてもよい。
【0034】
上記発明において、前記第一不純物除去装置で処理された第一精製ガスをさらに処理するために後段のプロセスに送るためのガス処理ラインを備えていてもよい。
上記発明において、エキシマレーザ発振装置は、前記第一不純物除去装置で処理された第一精製ガスから不純物をさらに除去する第二不純物除去装置を、エキシマレーザ発振装置の系内にさらに備えていてもよい。
上記発明において、前記第二不純物除去装置で処理された第二精製ガスをリサイクルガスとして前記発振チャンバーに戻す第二リサイクルラインをさらに備えていてもよい。別実施形態として、前記第二不純物除去装置が、エキシマレーザ発振装置の系外に配置されていてもよい。または、第二不純物除去装置を系内に配置し、それとは別にリサイクル機能を備えた第三不純物除去装置を系外にさらに備えていてもよい。
【0035】
上記発明において、エキシマレーザ発振装置、前記第一不純物除去装置および/または第二不純物除去装置は、
前記第一精製ガスを所定圧(原料ガスの供給圧と同じあるいはそれ以上の高い圧力、または発振バッファ内の圧力と同じあるいはそれ以上の高い圧力)にまで昇圧する昇圧機(例えば、コンプレッサー)を備えていてもよい。
前記昇圧機で所定圧となった第一精製ガスを、発振チャンバーへ送るリサイクルラインを有していてもよい。
【0036】
上記発明において、前記第二不純物除去装置は、
第一精製ガスから第一不純物(例えば、酸素)を除去する第一除去部(例えば、脱酸素反応手段)と、
第一除去部を通過した第一精製ガスから第二不純物を除去する第二除去部(例えば、ゲッター)と、を有していてもよい。
別実施形態として、上記第一不純物除去装置の代わりに、第二不純物除去装置(後述する構成要素も含んでいてもよい)がエキシマレーザ発振装置の系内に配置されていてもよい。
【0037】
昇圧機、第一除去部、第二除去部が共通の前記ガス処理ラインに配置されていてもよい。
第一除去部は、前記昇圧機で所定圧に昇圧された第一精製ガスから第一不純物を除去してもよい。
前記第二除去部を通過した第二精製ガス(リサイクルガス)は、前記第二リサイクルラインを通じて前記発振チャンバーへ送られてもよい。
【0038】
前記第二不純物除去装置は、
前記昇圧機より下流側で前記第一除去部より上流の前記ガス処理ラインに、排ガスの流量を調整するガス流量調節部あるいは精製ガスの流量を測定するガス流量計が配置されていてもよい。
前記第二不純物除去装置は、
前記昇圧機より下流側で前記第一除去部より上流の前記ガス処理ラインに、排ガスの圧力を調整するガス圧力調節部あるいはガス圧を測定するガス圧力計が配置されていてもよい。
【0039】
前記第二不純物除去装置は、
第二除去部を通過した第二精製ガス(例えば、第1希ガス含有の主成分ネオンガス)を貯める精製ガスバッファタンクをさらに有していてもよい。
【0040】
前記第二不純物除去装置は、原料となるレーザガスがAr・Xe含有ネオンガスである場合に、前記第一精製ガス中に、第1希ガスとしてアルゴン(Ar)、第2希ガスとしてキセノン(Xe)を含み、
第一除去部と第二除去部との間に、前記第一精製ガスからキセノンを除去するキセノン除去部をさらに有していてもよい。キセノン除去部は、例えば、活性炭やゼオライト系の吸着剤が充填された構成が挙げられる。
前記第二不純物除去装置は、原料となるレーザガスがAr・Xe含有ネオンガスである場合に、前記第一精製ガス中に、第1希ガスとしてアルゴン(Ar)、第2希ガスとしてキセノン(Xe)を含み、
精製ガスバッファタンクにあるいは第二精製ガスが流れるガス処理ラインの配管に、補助用キセノン含有ネオンガスを導入する導入ラインをさらに有していてもよい。導入ラインが精製ガスバッファタンクまたはそれより上流あるいは下流のガス処理ラインに接続されていてもよい。精製ガスバッファタンクあるいはガス処理ラインの配管で、第二精製ガスとキセノン含有ネオンガスとが混合されてもよい。補助用キセノン含有ネオンガスは、系内あるいは系外の補助タンクに蓄えられており、補助タンクは導入ラインと接続されていてもよい。
前記導入ラインに、ガス流量調節部あるいはガス流量計、またはガス圧力調節部あるいはガス圧力計が配置されていてもよい。圧力調整部は、補助用キセノン含有ネオンガスの圧力を所定の圧力(例えば、第1圧力)に調整してもよい。「第1圧力」は、例えば、発振チャンバーに供給されるレーザガスの圧力またはそれ以上の圧力である。
前記第二不純物除去装置は、前記第二精製ガスと前記キセノン含有ネオンガスを貯めるリサイクルタンクとをさらに有していてもよい。導入ラインがリサイクルタンクに接続されていてもよい。リサイクルァタンクで、第二精製ガスと補助用キセノン含有ネオンガスとが混合されてもよい。
【0041】
前記第二不純物除去装置は、
前記第二除去部より下流側の前記ガス処理ラインに、第二精製ガスの流量を調整するガス流量調節部あるいは第二精製ガスの流量を測定するガス流量計が配置されていてもよい。精製ガスバッファタンクの下流側またはリサイクルタンクの下流側に、ガス流量調節部あるいはガス流量計が配置されていてもよい。
【0042】
前記第二不純物除去装置は、
前記第二除去部より下流側の前記ガス処理ラインに、第二精製ガスの圧力を調整するガス圧力調節部あるいはガス圧を測定するガス圧力計が配置されていてもよい。精製ガスバッファタンクの下流側またはリサイクルタンクの下流側に、ガス圧力調節部あるいはガス圧力計が配置されていてもよい。
【0043】
前記第二不純物除去装置は、
前記第二除去部より下流側の前記ガス処理ラインに、第二精製ガスの圧力を調整するガス圧力調節部あるいはガス圧を測定するガス圧力計と、第二精製ガスの流量を調整するガス流量調節部あるいは第二精製ガスの流量を測定するガス流量計とが、この順序で配置されていてもよい。前記第二除去部より下流側の前記ガス処理ラインに、第二精製ガスの流量を調整するガス流量調節部あるいは第二精製ガスの流量を測定するガス流量計と、第二
精製ガスの圧力を調整するガス圧力調節部あるいはガス圧を測定するガス圧力計とが、この順序で配置されていてもよい。
【0044】
前記第二不純物除去装置は、2つのキセノン除去部が並列に配置され、一方で吸着処理を行い、他方で再生処理をする構成でもよい。
【0045】
前記第二不純物除去装置は、前記第一精製ガスの温度を調整する温度調整部をさらに有していてもよい。温度調整部として、例えば、熱交換器が挙げられる。温度調整部は、昇圧機より下流側に配置され、好ましくは昇圧機とそれより下流側にある所定の流量調整部あるいはガス流量計、またはガス圧力調整部あるいはガス圧力計との間に配置されてもよい。
【0046】
この構成によれば、第一精製ガスの温度を所定温度に調整することができる。例えば、昇圧機で昇圧されると共に上昇した第一精製ガスの温度(例えば、60〜80℃)を所定温度(例えば15〜35℃)に調整することができる。また、後段の第一、第二除去部における除去作用に適した温度範囲に第一精製ガスの温度を調整することができる。
【0047】
前記第一除去部に対する第1バイパスラインを有していてもよい。
前記第二除去部に対する第2バイパスラインを有していてもよい。
前記キセノン除去部に対する第3バイパスラインを有していてもよい。
第1〜第3バイパスラインにはそれぞれ、仕切弁が配置されている。バイパス処理時に仕切弁が開放される構成である。
前記第一除去部は、少なくともその上流側に仕切弁を有していてもよい。
前記第二除去部は、少なくともその上流側に仕切弁を有していてもよい。
前記キセノン除去部は、少なくともその上流側に仕切弁を有していてもよい。
【0048】
(方法)
本発明のエキシマレーザ発振装置の系内(筐体内)で実行されるリサイクルガス精製方法であって、
発振チャンバーから排出された排出ガス中の不純物を除去する第一不純物除去工程を、エキシマレーザ発振装置の系内で実行することを特徴とする、リサイクルガス精製方法である。
第一不純物除去工程は、不純物の一部であるフッ素化合物を除去するフッ素化合物除去工程とを有してもよい。
第一不純物除去工程は、
不純物の一部であるフッ化炭素を分解し、分解副生成物にする分解工程と、
前記分解工程で生成された分解副生成物を所定の反応剤と反応させて前記排ガスから除去する分解副生成物除去工程部を有していてもよい。
前記第一不純物除去工程は、前記発振チャンバーから排出された排出ガス中の不純物濃度を測定する不純物濃度測定工程を有していてもよい。
【0049】
リサイクルガス精製方法は、
前記第一不純物除去工程で処理された第一精製ガスから不純物をさらに除去する第二不純物除去工程を、エキシマレーザ発振装置の系内でさらに実行してもよい。
前記第二不純物除去工程は、前記第一精製ガスを所定圧にまで昇圧する昇圧工程を有していてもよい。
前記第二不純物除去工程は、前記第一精製ガスから第一不純物を除去する第一除去工程と、
前記第一除去工程の後で、第一精製ガスから第二不純物を除去する第二除去工程とを有していてもよい。
前記第二不純物除去工程は、
前記第一精製ガス中に、第1希ガスとしてアルゴン(Ar)、第2希ガスとしてキセノン(Xe)を含む場合に、
前記第二除去工程の後で、第二精製ガスと補助用キセノン含有ネオンガスとを混合するキセノン含有リサイクルガス混合工程と、を有していてもよい。
前記第二不純物除去工程は、
前記昇圧工程の後で、前記第一精製ガスの温度を低下させる熱交換工程を有していてもよい。