(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記非イオン界面活性剤が8〜22個の炭素原子を有する第1級アルコールであり、前記アルコールがエトキシル化(EO)又はエトキシル化/プロポキシル化(EO/PO)される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
前記動物の皮が、ヒツジの皮、ヤギの皮、ウシの皮、ウマの皮、ブタの皮、シカの皮、カンガルーの皮、爬虫類の皮、ダチョウの皮から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
本発明のなめし方法は、動物の皮を革へと変化させるためのなめし工程の分野で有利に用い得る。
【0003】
動物の皮を革へと変化させるマニュアル、機械的及び物理化学的な作業の組み合わせは一般になめしサイクル又はなめし工程として示される。
【0004】
なめし工程(以下、なめし)の目的は、そのままでは腐敗してしまう動物の皮に不可逆的な安定性を付与することである。なめしは動物の皮を防腐性にして時間が経っても保存がきくようにするだけではなく、皮に所望の特性、例えば熱水耐性、酸及びアルカリに対する耐性、機械耐性並びに寸法安定性ももたらす。これらの特性は、生皮のコラーゲンを様々ななめし剤と反応させることでコラーゲンのポリペプチド鎖を架橋し、結果的に不活化することで得られる。皮に対するなめし工程の有効性の1つの指標は、なめした皮の収縮温度により表される。
【0005】
なめしに供する前に、一般的には塩漬けした又は乾燥させた形態で保存された生皮を、皮の不要な部分(例えば、毛及びフレッシングくず)を除去し、なめし剤を用いる目的の部分、すなわち真皮を用意することを本質的に目的とした一連の作業に供する。これらの準備作業(いわゆる、ビームハウス作業)には、例えば水漬け、フレッシング、脱毛、石灰漬け、分割、脱灰、浸漬及び脱脂作業が含まれる。
【0006】
使用するなめし剤のタイプに応じて、なめす皮を予備的なピックリング処理に供することもでき、その主な目的は、コラーゲンがなめし剤と効果的に反応できるように皮のpH値を最適にすることである(一般に、1〜5の範囲内のpH)。
【0007】
最新技術では、なめし剤として様々なアルデヒドの使用が知られており、例えばグルタルアルデヒド、3−オキソグルタルアルデヒド及びチオ−ジグリコアルデヒドである。
【0008】
例えば米国特許第2941859号には、ウシ及びヒツジの皮のなめしにおける唯一のなめし剤としてのグルタルジアルデヒド(1,5−ペンタンジアール)の使用が記載されている。グルタルジアルデヒドでのなめしでは、皮となめし浴とを比較的長い時間(最高24時間)にわたって接触させる必要があり、いずれの場合でも収縮温度値(Tc)はあまり大きくはなく、特にヒツジ及びヤギの皮の場合、Tc=81〜83℃である。
【0009】
米国特許第5372609号には、3−オキソグルタルジアルデヒド(OHC−CH
2−O−CH
2−CHO)の水溶液をベースにしたなめし浴を使用した皮のなめし処理が記載されている。このなめし剤でヒツジの皮をなめすと(4時間)Tc値はどちらかというと低くなり、約70℃である。
【0010】
得られるTc値、商業原価及びなめした皮の黄変しやすさという点で有効性が乏しいことから、アルデヒド系のなめし剤、特にグルタルジアルデヒドは最近では主に、例えばメインなめし処理としてのクロムなめし又は植物なめしを想定したなめし工程における皮の前なめし処理又は再なめしのためのなめし剤として使用されている。これらの場合、結果的に、クロム又は植物なめし剤をメインなめし剤又は唯一のなめし剤として使用する。
【0011】
皮の前なめしは、皮が一部だけなめされるなめし処理である。したがって、その安定度は完全になめした皮のものより低い。前なめしした皮は、皮の最終的な特性を実質的に不可逆的にする少なくとも1回のさらなるなめし処理を必要とする。
【0012】
概して、前なめし処理により70℃未満のTcが皮に付与され、一方、なめし処理により70℃より高いTcが皮に付与される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで、出願人は、以下の説明でより明らかとなる上記及び他の目的は、少なくとも1種の非イオン界面活性剤と適切な質量比で組み合わせた少なくとも1種の短鎖脂肪族ジアルデヒドを含有するなめし浴において動物の皮を処理することで達成できることを発見した。
【0019】
実際、非イオン界面活性剤と組み合わせた少なくとも一種の短鎖脂肪族ジアルデヒド、特にはグルタルアルデヒドの使用により実質的に完全になめされた皮が得られ、その特性はしたがって時間が経っても安定していることが観察されている。
【0020】
したがって、本発明によるジアルデヒドの使用では、同じなめし浴における非アルデヒド系のなめし剤、特にはクロムなめし剤(二次なめし剤)の使用を回避することができ、あるいは皮を非アルデヒド系なめし剤、特にはクロムなめし剤でのさらなる処理に供することを回避できる。
【0021】
同じなめし浴における二次なめし剤としての非アルデヒド系なめし剤の使用、また事前の(前なめし)又は続く(再なめし)段階における別のなめし浴におけるその使用は、いずれの場合でもあっても、本発明から除外されない。
【0022】
驚くべきことに、少なくとも1種の非イオン界面活性剤と組み合わせた少なくとも1種の短鎖脂肪族ジアルデヒドを含有するなめし浴における上記の皮の処理に続いて少なくとも、少なくとも1種の短鎖脂肪族ジアルデヒドを含み非イオン界面活性剤が不在のなめし浴において第2処理を行うと、驚くほど高い機械的強度(例えば、ダブルエッジ法での引裂試験:ISO 3377−2:2016で測定)を有するなめし皮が得られることも観察されている。皮のこの高い機械的強度により、革製品を製造するための皮の加工過程で発生するくずを減量でき、また傷がより少ない革製品も得られる。
【0023】
第1の態様において、本発明は動物の皮のなめし方法に関し、この方法は以下の段階:
(a)動物の皮を、
・水と、
・2〜30%の範囲内の量の少なくとも1種のC
2−C
8脂肪族ジアルデヒドと、
・0.1〜20%の範囲内の量の少なくとも1種の非イオン界面活性剤
とを含むなめし浴(質量%は皮の裸皮重量(pelt weight)に対するものである)と接触させ、
このなめし浴は1〜5の範囲内のpH及び3〜10
【化1】
の範囲内の密度を有し、
(b)なめし浴のpHを5より高く8以下であるpHにし、
(c)皮を洗浄し、なめした動物の皮を得ること
を含む。
【0024】
好ましい実施形態において、上記の方法は、段階cで得られたなめし皮を
・水と、
・2〜30%の範囲内の量の少なくとも1種のC
2−C
8脂肪族ジアルデヒド
とを含む少なくとも1種のなめし浴(質量%は皮の裸皮重量に対するものである)と接触させる段階も含み、このなめし浴は1〜5の範囲内のpH及び3〜10
【化2】
の範囲内の密度を有し且つ実質的に前出の非イオン界面活性剤を含有しない。
【0025】
本明細書及び同封の請求項の目的において、「含む」という動詞及びその全ての派生語には、「成る」という語及びその派生語の意味も含まれる。
【0026】
本明細書及び同封の請求項において表される限度及び数値範囲には、挙げた数値も含まれる。さらに、限度又は数値範囲の全ての値及び部分範囲も、明確に言及されたがごとく具体的に含まれるものと見なすべきである。
【0027】
本発明の方法は、動物の皮を革に変化させるためのなめし工程内で適用し得る。
【0028】
本発明のなめし方法は多種多様な皮に用い得る。動物の皮は、例えばヒツジの皮、ヤギの皮、ウシの皮(特には子牛又は小さな子牛の皮)、ウマの皮、ブタの皮、シカの皮、カンガルーの皮、爬虫類の皮、ダチョウの皮から選択し得る。
【0029】
特に、本発明の方法を好ましくは、ヒツジの皮(公知のように、脂肪質の物質の含有量が高いことを特徴とする)、ヤギの皮及びウシの皮のなめしに使用する。最良の結果は実際、収縮温度(Tc)の上昇という点でヒツジの皮、ヤギの皮及びウシの皮で得られ、Tcは約90℃に達し得る。
【0030】
本発明の目的において、なめし皮の収縮温度は、標準的な方法であるASTM D6076−08(3013)に準拠して測定するものとする。
【0031】
本発明の目的において、なめし皮の機械的強度は、標準的な方法であるISO 3377−2:2016に準拠して測定するものとする。
【0032】
好ましい実施形態においては、本発明のなめし処理に供する皮を事前にピックリング(pickling)処理に供することでピックリング後の皮のpHを4未満、好ましくは1〜3の範囲内の値にし得る。
【0033】
このピックリング段階は最新技術で公知の技法にしたがって実施し得る。ピックリングは、例えば、皮を、場合によってはギ酸と混合した硫酸の水溶液を含有するピックリング浴と接触させることで実施し得る。必要ならば、例えば皮をpH2未満までピックリングする場合、ピックリング浴は、溶液の密度を上昇させ皮の膨張を防止するための塩(例えば、塩化ナトリウム)を含有し得る。ピックリング浴は典型的には3〜10
【化3】
の範囲内の密度を有する。
【0034】
好ましい実施形態においては、本発明のなめし処理に供する皮を事前に、好ましくはクロムなめし剤の不在下で、前なめし処理に供し得る。
【0035】
さらに好ましい実施形態においては、本発明のなめし処理に供する皮を事前に、ピックリング及び/又は前なめし処理に供し得る。
【0036】
本発明のなめし方法は好ましくは、クロムなめし剤を含有する浴での皮処理段階を全く含まない。
【0037】
本発明において、本発明のなめし浴は、水、なめし剤としての少なくとも1種のC
2−C
8脂肪族ジアルデヒド(2〜8の範囲内の炭素原子総数を有する)及び少なくとも1種の非イオン界面活性剤を含む。
【0038】
この脂肪族ジアルデヒドは好ましくは、グリオキサール、マロン酸ジアルデヒド、コハク酸ジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、アジピン酸ジアルデヒド及びピメリン酸ジアルデヒド又はこれらの混合物から選択される。なめし剤は好ましくはグルタルジアルデヒドである。
【0039】
なめし浴は上記のアルデヒドの1種以上を含み得る。
【0040】
なめし浴中のジアルデヒドの総量は、皮の裸皮重量に対して2〜30質量%、好ましくは3〜15質量%の範囲内である。
【0041】
なめし浴は二次なめし剤として非アルデヒド系なめし剤も含有し得る。この非アルデヒド系なめし剤を含有する場合、その総濃度は皮の裸皮重量に対して30質量%を超えない。上記の非アルデヒド系なめし剤は好ましくはクロムなめし剤を含まない。
【0042】
好ましい実施形態においては、なめし浴において、1種のC
2−C
8線状脂肪族ジアルデヒドだけ、より好ましくはグルタルジアルデヒドだけを使用する。
【0043】
本発明において、なめし浴は、少なくとも1種の非イオン界面活性剤を、処理する皮の裸皮重量に対して0.1〜20質量%の範囲内の量で含む。
【0044】
この非イオン界面活性剤は好ましくは、エトキシル化基(EO)を含有する又はエトキシル化/プロポキシル化(EO/PO)基を含有する第1アルコールである。
【0045】
第1アルコールは、8〜22個の炭素原子を有する線状又は分岐アルコールである。
【0046】
エトキシル化アルコールの分子上に存在するEO基の平均数(平均エトキシル化数)は、1モルのアルコールあたり1〜40モル、好ましくは1〜30モルのEOの範囲内である。
【0047】
EO/POアルコールの分子上に存在するPO基の平均数は、1モルのアルコールあたり1〜20モル、好ましくは1〜10モルのEOの範囲内である。
【0048】
上記のジアルデヒド及び非イオン界面活性剤、またその製造方法は、当業者に公知であり且つ市販されている。
【0049】
なめし浴は好ましくは3〜10
【化4】
の範囲内の密度を有する。浴の密度は、アルカリ及びアルカリ土類金属の塩、特には塩化ナトリウムを添加することで調節し得る。
【0050】
処理開始時、なめし浴は好ましくは1〜5の範囲内、より好ましくは1.5〜4の範囲内のpHを有する。
【0051】
なめし浴での処理時間は好ましくは1〜7時間、より好ましくは1.5〜5時間である。
【0052】
なめし浴の温度は好ましくは10〜50℃、より好ましくは15〜40℃の範囲内である。
【0053】
使用するなめし浴の量は、処理する皮の特徴に応じて広い範囲内で変化し得る。
【0054】
なめし浴と動物の皮との%質量比は好ましくは20〜1000%の範囲内、より好ましくは30〜300%の範囲内である(質量%は皮の裸皮重量に対するものである)。
【0055】
本発明のなめし処理は公知の技術にしたがって公知の装置を使用して実施し得る。処理するピックリングした又はピックリングしていない皮を、例えば槽内のなめし浴に浸漬し、なめし浴を機械的に撹拌し得る。
【0056】
なめし浴での処理が終了したら、必要ならば、なめし浴のpHを、例えばアルカリ炭酸塩及びアルカリ酸化物、例えば炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウム、酸化マグネシウム等を添加することで5〜8の範囲内、好ましくは5.5〜7の範囲内のpH値にする。
【0057】
続いて皮を洗浄し、さらなる加工段階、例えば給脂段階又は染色段階に供し得る。
【0058】
洗浄は好ましくは、20〜60℃の範囲内、より好ましくは30〜50℃の範囲内の温度の水浴で行う。洗浄は1回又は数回実施し得る。各洗浄段階の時間は0.5〜4時間の範囲内になり得る。
【0059】
脂肪族ジアルデヒド及び非イオン界面活性剤を含有する浴におけるなめしの終了時に得られる皮を好ましくは、場合によっては水での洗浄に供した後に、第2なめし浴における少なくとも1回の処理に供する。
【0060】
この第2なめし浴は、第1なめし浴に関して上述した組成、pH及び密度の特徴を有するが、非イオン界面活性剤は実質的に不在であり、すなわち非イオン界面活性剤の濃度は処理する皮の裸皮重量に対して0.1質量%未満、好ましくは0.05質量%未満である。
【0061】
さらに、第2なめし浴での処理は、第1なめし浴での段階aの処理と同じpH、温度、皮との接触時間、なめし浴/皮質量比条件で実施する。
【0062】
好ましい実施形態においては、本発明の方法が非イオン界面活性剤を含有しない第2なめし浴での上記の第2処理も含む場合、第1なめし浴中の脂肪族ジアルデヒドの濃度を第2なめし浴中の脂肪族ジアルデヒドの濃度より高くするのが有利である。第2なめし浴中の脂肪族ジアルデヒドの濃度と第1なめし浴中の脂肪族ジアルデヒドの濃度との比は好ましくは1/1.5以下、より好ましくは1/2以下である。
【0063】
第2なめし処理が終了したら、処理した皮を洗浄し、場合によっては1つ以上の続く仕上げ段階、例えば給脂段階又は染色段階に供する。
【0064】
給脂段階は、公知の技術にしたがって実施し得る。給脂段階は、例えば、なめし皮を、少なくとも脂肪及び/又は給脂油(例えば、硫酸化油)及び場合によっては1種以上の界面活性剤を含む水浴に入れることで実施し得る。給脂は好ましくは20〜60℃の範囲内、より好ましくは30〜50℃の範囲内の温度で実施する。
【0065】
給脂処理時間は好ましくは0.5〜4時間である。
【0066】
給脂処理が終了したら、給脂物質を皮に定着させるために、好ましくはギ酸を、浴のpHが3〜6の範囲内の値まで低下するまで給脂浴に添加する。
【0067】
本発明の方法で得られるなめし皮は、唯一のなめし剤としてのアルデヒド系物質で非イオン界面活性剤の不在下でなめした同じ皮より高い引張強さ、引裂抵抗及び収縮温度に加えて、極めて充実性が高くソフトな感触を有する。特に、本発明の方法により、最高90℃の収縮温度を有するなめし皮、特にはシープスキン、ヤギ革及び牛革が得られる。
【0068】
特に、本発明の方法により、ISO 3371−2の方法に準拠して測定した20〜50Nの範囲内の機械的強度を有するなめし皮、特にはシープスキン、ヤギ革及び牛革が得られる(値は平均厚さ1.25mmを有する皮の場合)。
【0069】
以下の実施形態例は純粋に本発明の目的を例示するためのものであって、同封の請求項で定義される保護範囲を限定するためのものではない。
【実施例】
【0070】
実施例1
ピックリングしたヒツジの皮を、本発明の方法によるなめし処理に供した。
【0071】
なめし浴は以下の組成を有した(処理する皮の裸皮重量に対する質量%)。
・水
・60%の塩化ナトリウム
・6%のグルタルアルデヒド
・12%の非イオン界面活性剤(エトキシル化脂肪族アルコール−Foryl VLC3、Pulcra Chemicals社)
・pH=3.2
【0072】
皮をなめし浴において4時間にわたって35℃で槽内で処理した。なめし浴の質量と皮の裸皮重量との%比は1500%であった。
【0073】
処理が終了したら、浴のpHが5.5〜8の範囲内の値に調節されるまで炭酸ナトリウムを浴に添加した。
【0074】
次に、皮を浴中で1.5時間にわたって維持し、続いて水で洗浄し、最後に給脂した。
【0075】
次に、給脂した皮を乾燥させ、慣用の軟化及びステーキング処理に供した。
【0076】
これらの処理の終了時、測定された収縮温度Tcは90℃より若干低いことが判明した。
【0077】
ISO 3377−2の試験に準拠して測定した、皮の2つのサンプルの機械耐性値(1A及び1B)を表1に示す。
【0078】
実施例2
実施例1で得られた皮の一部を、洗浄ステップ後(給脂に供することなく)、第2なめし浴で処理した。
【0079】
なめし浴は以下の組成を有した(処理する皮の裸皮重量に対する質量%)。
・水
・60%の塩化ナトリウム
・3%のグルタルアルデヒド
・pH=3.2
【0080】
皮をなめし浴において4時間にわたって35℃で槽内で処理した。なめし浴の質量と皮の裸皮重量との%比は1500%であった。
【0081】
処理が終了したら、浴のpHが5.5〜8の範囲内の値に調節されるまで炭酸ナトリウムを浴に添加した。
【0082】
次に、皮を浴中で1.5時間にわたって維持し、続いて水で洗浄し、最後に給脂した。
【0083】
次に、給脂した皮を乾燥させ、慣用の軟化及びステーキング処理に供した。
【0084】
これらの処理の終了時、測定された収縮温度Tcは90℃より若干低いことが判明した。
【0085】
ISO 3377−2の試験に準拠して測定した、皮の2つのサンプルの機械耐性値(2A及び2B)を表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
グルタルアルデヒド及び非イオン界面活性剤のなめし浴において1回のステップで実施された処理ステップにより(実施例1)、十分、すなわち20Nより高い機械耐性値を有するなめし皮が得られる。
【0088】
グルタルアルデヒドだけで実施した追加の処理ステップ(実施例2)では、グルタルアルデヒド及び非イオン界面活性剤の入った1つのなめし浴での処理(実施例1)で得られる皮で観察される値より約50%高い機械耐性値を有するなめし皮が得られる。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕以下の段階:
(a)動物の皮を、
・水と、
・2〜30%の範囲内の量の少なくとも1種のC2−C8脂肪族ジアルデヒドと、
・0.1〜20%の範囲内の量の少なくとも1種の非イオン界面活性剤
とを含むなめし浴(質量%は前記皮の裸皮重量に対するものである)と接触させ、
前記なめし浴が1〜5の範囲内のpH及び3〜10
【化1】
の範囲内の密度を有し、
(b)前記なめし浴の前記pHを5より高く8以下であるpHにし、
(c)前記皮を洗浄し、なめした動物の皮を得ること
を含む、動物の皮のなめし方法。
〔2〕(d)前記なめし皮を
・水と、
・2〜30%の範囲内の量の少なくとも1種のC2−C8脂肪族ジアルデヒド
とを含む少なくとも1種のなめし浴(質量%は前記皮の裸皮重量に対するものである)と接触させる
ことを含み、前記なめし浴が1〜5の範囲内のpH及び3〜10
【化2】
の範囲内の密度を有し且つ実質的に前記非イオン界面活性剤を含有しない、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕前記ステップ(d)の前記なめし浴中の前記C2−C8脂肪族ジアルデヒドの濃度と前記ステップ(a)の前記なめし浴中の前記C2−C8脂肪族ジアルデヒドの濃度との比が1/1.5以下、より好ましくは1/2以下である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔4〕前記C2−C8脂肪族ジアルデヒドが、グリオキサール、マロン酸ジアルデヒド、コハク酸ジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、アジピン酸ジアルデヒド及びピメリン酸ジアルデヒド又はこれらの混合物から選択される、前記〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔5〕前記C2−C8脂肪族ジアルデヒドがグルタルジアルデヒドである、前記〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔6〕前記非イオン界面活性剤が8〜22個の炭素原子を有する第1アルコールであり、前記アルコールがエトキシル化(EO)又はエトキシル化/プロポキシル化(EO/PO)される、先行の態様のいずれか一項に記載の方法。
〔7〕前記動物の皮を前記なめし浴と接触させる前記段階(a)の時間が、1〜7時間、好ましくは1.5〜4時間の範囲内である、先行の態様のいずれか一項に記載の方法。
〔8〕前記なめし浴と前記動物の皮との質量%比が20〜1000%、好ましくは30〜300%の範囲内である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔9〕前記動物の皮がピックリングした皮である、先行の態様のいずれか一項に記載の方法。
〔10〕前記動物の皮が、ヒツジの皮、ヤギの皮、ウシの皮、ウマの皮、ブタの皮、シカの皮、カンガルーの皮、爬虫類の皮、ダチョウの皮、好ましくはヒツジの皮、ヤギの皮及びウシの皮から選択される、先行の態様のいずれか一項に記載の方法。
〔11〕ISO 3371−2:2016の方法に準拠して測定した20〜50Nの範囲内の機械的強度を有する、先行の態様のいずれか一項に記載の方法を用いて得られるなめし皮。