(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6812419
(24)【登録日】2020年12月18日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】ロボットエンドエフェクタを操作するためのロボット外科手術システム制御スキーム
(51)【国際特許分類】
A61B 34/30 20160101AFI20201228BHJP
A61B 17/29 20060101ALI20201228BHJP
A61B 17/34 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
A61B34/30
A61B17/29
A61B17/34
【請求項の数】21
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-512180(P2018-512180)
(86)(22)【出願日】2016年9月6日
(65)【公表番号】特表2018-532455(P2018-532455A)
(43)【公表日】2018年11月8日
(86)【国際出願番号】US2016050359
(87)【国際公開番号】WO2017044406
(87)【国際公開日】20170316
【審査請求日】2019年8月16日
(31)【優先権主張番号】62/217,492
(32)【優先日】2015年9月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】コップ, ブロック
(72)【発明者】
【氏名】シリーズ, ケビン
【審査官】
槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2014/0246479(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0065111(US,A1)
【文献】
特表2015−521901(JP,A)
【文献】
特表2012−529971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/30−34/37
A61B 17/34
A61B 17/29−17/295
A61B 17/068−17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット外科手術システムを動作させる方法であって、前記ロボット外科手術システムは、前記ロボット外科手術システムのアームに結合された外科手術器具のジョーを操作するためのものであり、前記ロボット外科手術システムは、制御器を含み、前記ジョーは、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能であり、前記方法は、
前記制御器が、器具アクセスポートに対する前記器具の位置を検出することと、
前記器具と前記アクセスポートとの間の距離が所定の距離よりも大きいという決定に応答して、前記制御器が、前記ジョーを電気機械的に開放することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記器具の前記ジョーの開放は、前記器具の位置と前記アクセスポートの位置との間の距離が増加しているという決定に応答して、前記制御器が、前記器具の前記ジョー間の距離を増加させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記器具の前記ジョーの開放は、前記アクセスポートの位置に対する前記器具の位置との間の距離が増加するにつれて、前記制御器が、前記アクセスポートの位置に対する前記器具の位置との間の距離の補間に基づいて比例的に、前記ジョー間の距離を徐々に増加させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記器具の位置と前記アクセスポートの位置との間の距離が前記所定の距離未満であるという決定に応答して、前記制御器が、前記器具の前記ジョーを閉鎖することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記器具の前記ジョーの閉鎖は、前記アクセスポートの位置に対する前記器具の位置との間の距離が減少するにつれて、前記制御器が、前記アクセスポートの位置に対する前記器具の位置との間の距離の補間に基づいて比例的に、前記ジョー間の距離を徐々に減少させることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記器具は、前記アクセスポートと同軸の方向に移動可能であり、
前記器具の前記ジョーの開放は、前記制御器が、前記アクセスポートの位置に対する前記アクセスポートと同軸の方向に沿った前記器具の高さの補間に基づいて、前記ジョー間の距離を増加させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記所定の距離は、距離の範囲を含み、前記器具の位置と前記アクセスポートの位置との間の距離が前記距離の範囲内であるという決定に応答して、前記制御器が、前記器具の前記ジョーを閉鎖位置に維持する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ロボット外科手術システムであって、前記ロボット外科手術システムは、
アームと、
前記アームに結合された細長い取り付け具であって、前記細長い取り付け具は、近位端と遠位端とを有する、細長い取り付け具と、
前記細長い取り付け具に結合され、かつ、前記近位端と前記遠位端との間で移動可能である器具であって、前記器具は、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能なジョーを含む、器具と、
前記アームおよび前記細長い取り付具および前記器具と通信するプロセッサと、
前記プロセッサに結合されたメモリと
を含み、
前記メモリは、命令を含み、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、
前記器具が通過する器具アクセスポートに対する前記器具の位置を検出することと、
前記器具の位置と前記アクセスポートの位置との間の距離が所定の距離よりも大きいという決定に応答して、前記器具の前記ジョーを開放することと
を前記プロセッサに行わせる、ロボット外科手術システム。
【請求項9】
前記メモリは、命令をさらに含み、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、
前記器具の位置と前記アクセスポートの位置との間の距離が増加しているという決定に応答して、前記器具の前記ジョー間の距離を増加させることを前記プロセッサに行わせる、請求項8に記載のロボット外科手術システム。
【請求項10】
前記メモリは、命令をさらに含み、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、
前記アクセスポートの位置に対する前記器具の位置との間の距離が増加するにつれて、前記アクセスポートの位置に対する前記器具の位置との間の距離の補間に基づいて比例的に、前記ジョー間の距離を徐々に増加させることを前記プロセッサに行わせる、請求項9に記載のロボット外科手術システム。
【請求項11】
前記メモリは、命令をさらに含み、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、
前記器具の位置と前記アクセスポートの位置との間の距離が前記所定の距離未満であるという決定に応答して、前記器具の前記ジョーを閉鎖することを前記プロセッサに行わせる、請求項8に記載のロボット外科手術システム。
【請求項12】
前記メモリは、命令をさらに含み、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、
前記アクセスポートの位置に対する前記器具の位置との間の距離が減少するにつれて、前記アクセスポートの位置に対する前記器具の位置との間の距離の補間に基づいて比例的に、前記ジョー間の距離を徐々に減少させることを前記プロセッサに行わせる、請求項11に記載のロボット外科手術システム。
【請求項13】
前記メモリは、命令をさらに含み、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、
前記アクセスポートの位置に対する前記細長い取り付け具に沿った前記器具の位置の補間に基づいて、前記ジョー間の距離を増加させることによって、前記器具の前記ジョーを開放することを前記プロセッサに行わせる、請求項8に記載のロボット外科手術システム。
【請求項14】
前記所定の距離は、距離の範囲を含み、前記器具の位置と前記アクセスポートの位置との間の距離が前記距離の範囲内であるという決定に応答して、前記器具の前記ジョーを閉鎖位置に維持する、請求項8に記載のロボット外科手術システム。
【請求項15】
ロボット外科手術システムを制御するための命令を含むコンピュータプログラム製品を格納する非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体であって、前記ロボット外科手術システムは、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能なジョーを備える器具を有するアームと、前記アームに各々が結合されたアクセスポートとを含み、
前記命令は、プロセッサによって実行されると、
前記器具の位置を検出することと、
前記器具の位置と前記アクセスポートの位置との間の距離が所定の距離よりも大きいという決定に応答して、前記器具の前記ジョーを開放することと
を行うように動作可能である、非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項16】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、
前記器具の位置と前記アクセスポートの位置との間の距離が増加しているという決定に応答して、前記器具の前記ジョー間の距離の増加をさらに引き起こす、請求項15に記載の非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項17】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、
前記アクセスポートの位置に対する前記器具の位置との間の距離が増加するにつれて、前記アクセスポートの位置に対する前記器具の位置との間の距離の補間に基づいて比例的に、前記ジョー間の距離を徐々に増加させることをさらに引き起こす、請求項16に記載の非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項18】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、
前記器具の位置と前記アクセスポートの位置との間の距離が前記所定の距離未満であるという決定に応答して、前記器具の前記ジョーの閉鎖をさらに引き起こす、請求項15に記載の非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項19】
前記器具の前記ジョーの閉鎖は、前記アクセスポートの位置に対する前記器具の位置との間の距離が減少するにつれて、前記アクセスポートの位置に対する前記器具の位置との間の距離の補間に基づいて比例的に、前記ジョー間の距離を徐々に減少させることを含む、請求項18に記載の非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項20】
前記器具は、前記アクセスポートと同軸の方向に移動可能であり、
前記器具の前記ジョーの開放は、前記アクセスポートの位置に対する前記アクセスポートと同軸の方向における前記器具の高さの補間に基づいて、前記ジョー間の距離を増加させることを含む、請求項15に記載の非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項21】
前記所定の距離は、距離の範囲を含み、前記器具の位置と前記アクセスポートの位置との間の距離が前記距離の範囲内であるという決定に応答して、前記器具の前記ジョーを閉鎖位置に維持する、請求項15に記載の非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年9月11日に出願された、米国仮特許出願第62/217,492号の利益及びこれに対する優先権を主張し、その全体の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
ロボット外科手術システムを使用して最小侵襲性医療処置を行うことが増えている。典型的には、このような医療処置中、患者は、ロボットシステムに隣接したプラットフォーム上に置かれ、臨床医は、ロボット外科手術システムから離れたコンソールに位置する。臨床医は、入力コントローラまたはハンドル等のユーザインターフェースに入力を提供して、患者に作用するロボットシステムのアーム、例えば、エンドエフェクタに連結されたツールを操作する。
【0003】
ロボット外科手術システムは、ロボットアームを支持するタワーと、リストアセンブリを介してロボットアームに取り付けられた鉗子または把持具等の少なくとも1つのエンドエフェクタとを含み得る。このような構成において、医療処置中、エンドエフェクタ及びリストアセンブリは、小さな切開内(カニューレを介して)または患者の固有の開口に挿入され、エンドエフェクタを患者の体内の手術部位に位置付ける。
【0004】
多くの場合、患者の体内の手術部位からツールが除去されるとき、ツールは、その上に体液及び/または体内組織を含む。器具性能を最適化するために、体液及び/または体内組織は、好ましくは、患者内への再挿入の前にツールから除去される。外科技術師は、典型的には、ベッドの横に位置し、かつツールの洗浄の任務を負うが、技術師は、保護手袋または他の被服を着用していることが多く、これは必要とされるが、手術中に非効率性を招く場合がある。特に、ツールは、手術の精度を改善するように設計されることが増えているため、実装されているエンドエフェクタが、ますますより小さい寸法になり、特に保護手袋の着用中に外科技術師が操作することがより難しくなっている。ツールを患者から除去する前に、ツールのエンドエフェクタは、典型的にはアクセスポートを通過する。これらのツールのエンドエフェクタは、典型的には、ツールをアクセスポートから除去するために、アクセスポートの開口部と整合されなければならなかった。例えば、対のジョーエンドエフェクタは、多くの場合、ジョーがポートの開口部に適合するように閉鎖位置に移動しなければならなかった。閉鎖されたジョーによって、ツールを患者内に再挿入する前にジョーを洗浄するのが難しくなっていた。手術中の最小侵襲性外科手術ツールのより簡単なアクセス性及び洗浄の必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
ロボット外科手術システムのアームに連結された外科手術器具のエンドエフェクタは、器具が比較的狭いアクセスポートの開口部を通って患者から迅速かつ容易に除去される一方で、依然として器具及びそのエンドエフェクタが患者内への再挿入の前に迅速に洗浄されることを可能し得るように操作されてもよい。一対のジョー等の器具エンドエフェクタの位置を含み得る器具の位置は、ロボットシステムにおける位置センサ、存在検出センサ、または他のセンサを使用して、器具アクセスポートに対して検出されてもよい。ジョーは、器具とアクセスポートとの間の距離が所定距離を上回るという決定に応じて電気機械的に開放されてもよい。
【0006】
器具のジョー間の距離は、器具の位置とアクセスポートの位置との間の距離が増加しているという決定に応じて、さらに増加されてもよい。
【0007】
ジョー間の距離は、アクセスポートの位置に対する器具の位置との間の距離が増加するにつれて、アクセスポートの位置に対する器具の位置との間の距離の補間に基づいて比例的に、増加されてもよい。
【0008】
器具のジョーは、器具の位置とアクセスポートの位置との間の距離が所定距離未満であるという決定に応じて、閉鎖されてもよい。
【0009】
ジョー間の距離は、アクセスポートの位置に対する器具の位置との間の距離が減少するにつれて、アクセスポートの位置に対する器具の位置との間の距離の補間に基づいて比例的に、減少されてもよい。
【0010】
器具がアクセスポートと同軸の方向に移動される場合、器具のジョーの開放は、アクセスポートの位置に対するアクセスポートと同軸の方向に沿った器具の高さにおける変化の補間に基づいてジョー間の距離を増加させることを含んでもよい。
【0011】
所定距離は、距離の範囲を含んでもよく、器具の位置とアクセスポートの位置との間の距離が距離の範囲内であるという決定に応じて、器具のジョーは、閉鎖位置に維持されてもよい。
【0012】
ロボット外科手術システムは、アーム、アームに連結された細長い取り付け具、器具、プロセッサ、及びメモリを含んでもよい。細長い取り付け具は、近位端及び遠位端を有してもよく、器具は、細長い取り付け具に取り外し可能に連結され、かつ近位端と遠位端との間で摺動可能であってもよい。器具は、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能であるジョー等のエンドエフェクタを含んでもよい。アクセスポートは、いくつかの事例において、細長い取り付け具の遠位端に近位のアーム上に配置されてもよい。プロセッサは、アーム、細長い取り付け具、及び器具に通信可能に連結されてもよい。メモリは、プロセッサに通信可能に連結され、かつプロセッサによって実行されるときに、プロセッサに、器具の位置を検出させ、かつ器具の位置とアクセスポートの位置との間の距離が所定距離を上回るという決定に応じて、器具のジョーを開放させる命令を含んでもよい。
【0013】
メモリは、プロセッサにより実行されるときに、プロセッサに、器具の位置とアクセスポートの位置との間の距離が増加しているという決定に応じて、器具のジョー間の距離を増加させる命令をさらに含んでもよい。
【0014】
メモリは、プロセッサにより実行されるときに、プロセッサに、アクセスポートの位置に対する器具の位置との間の距離が増加するにつれて、アクセスポートの位置に対する器具の位置との間の距離の補間に基づいて比例的に、ジョー間の距離を徐々に増加させる命令をさらに含んでもよい。
【0015】
メモリは、プロセッサにより実行されるときに、プロセッサに、器具の位置とアクセスポートの位置との間の距離が所定距離未満であるという決定に応じて、器具のジョーを閉鎖させる命令をさらに含んでもよい。
【0016】
メモリは、プロセッサにより実行されるときに、プロセッサに、アクセスポートの位置に対する器具の位置との間の距離が減少するにつれて、アクセスポートの位置に対する器具の位置との間の距離の補間に基づいて比例的に、ジョー間の距離を徐々に減少させる命令をさらに含み得る。
【0017】
メモリは、プロセッサにより実行されるときに、プロセッサに、アクセスポートの位置に対する細長い取り付け具に沿った器具の位置の補間に基づいて、ジョー間の距離を増加することによって、器具のジョーを開放させる命令をさらに含んでもよい。
【0018】
所定距離は、距離の範囲を含んでもよく、器具の位置とアクセスポートの位置との間の距離が距離の範囲内であるという決定に応じて、器具のジョーを閉鎖位置に維持してもよい。
【0019】
非一過性コンピュータ可読媒体は、プロセッサにより実行されるときに、器具の位置を検出し、かつ器具の位置とアクセスポートの位置との間の距離が所定距離を上回るという決定に応じて、器具のジョーを開放する、ように動作可能である、器具を有するアームと、各々がアームに連結されたアクセスポートとを含むロボット外科手術システムを制御するための命令を含むコンピュータプログラム製品を格納してもよい。
【0020】
非一過性コンピュータ可読は、プロセッサにより実行されるときに、器具の位置とアクセスポートの位置との間の距離が増加しているという決定に応じて、器具のジョー間の距離の増加をさらに引き起こす命令をさらに含んでもよい。
【0021】
非一過性コンピュータ可読は、プロセッサにより実行されるときに、アクセスポートの位置に対する器具の位置との間の距離が増加するにつれて、アクセスポートの位置に対する器具の位置との間の距離の補間に基づいて比例的に、ジョー間の距離を徐々に増加させることをさらに引き起こす命令をさらに含んでもよい。
【0022】
非一過性コンピュータ可読は、プロセッサにより実行されるときに、器具の位置とアクセスポートの位置との間の距離が所定距離未満であるという決定に応じて、器具のジョーの閉鎖をさらに引き起こす命令をさらに含んでもよい。
【0023】
非一過性コンピュータ可読は、器具のジョーの閉鎖が、アクセスポートの位置に対する器具の位置との間の距離が減少するにつれて、アクセスポートの位置に対する器具の位置との間の距離の補間に基づいて比例的に、ジョー間の距離を徐々に減少させることを含む、命令をさらに含んでもよい。
【0024】
器具は、アクセスポートと同軸の方向に移動可能であってもよく、非一過性コンピュータ可読は、プロセッサにより実行されるときに、アクセスポートの位置に対するアクセスポートと同軸の方向における器具の高さの補間に基づいて、ジョー間の距離を増加させることを含む、器具のジョーの開放をさらに引き起こす命令をさらに含んでもよい。
【0025】
所定距離は、距離の範囲を含んでもよく、器具の位置とアクセスポートの位置との間の距離が距離の範囲内であるという決定に応じて、器具のジョーを閉鎖位置に維持してもよい。
【0026】
ロボット外科手術システムのアームに連結された外科手術器具のエンドエフェクタも、位置センサ、存在検出センサ、または他のセンサを使用して、器具アクセスポートに対するエンドエフェクタの位置を検出することによって操作されてもよい。エンドエフェクタは、アクセスポートの開口部を通るエンドエフェクタの検出された位置に応じて、アクセスポートの開口部を通らない位置まで電気機械的に存在し得る。
【0027】
本開示の例示的実施形態のさらなる詳細及び態様について、添付の図面を参照して以下により詳細に記載する。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
ロボット外科手術システムのアームに連結された外科手術器具のジョーを操作する方法であって、
器具アクセスポートに対する前記器具の位置を検出することと、
前記器具と前記アクセスポートとの間の距離が所定距離を上回るという決定に応じて、前記ジョーを電気機械的に開放することと、を含む、方法。
(項目2)
前記器具の前記ジョーの前記開放は、
前記器具の前記位置と前記アクセスポートの前記位置との間の前記距離が増加しているという決定に応じて、前記器具の前記ジョー間の距離を増加させることを含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記器具の前記ジョーの前記開放は、前記アクセスポートの前記位置に対する前記器具の前記位置との間の前記距離が増加するにつれて、前記アクセスポートの前記位置に対する前記器具の前記位置との間の前記距離の補間に基づいて比例的に、前記ジョー間の前記距離を徐々に増加させることを含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記器具の前記位置と前記アクセスポートの前記位置との間の前記距離が前記所定距離未満であるという決定に応じて、前記器具の前記ジョーを閉鎖することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記器具の前記ジョーの前記閉鎖は、前記アクセスポートの前記位置に対する前記器具の前記位置との間の前記距離が減少するにつれて、前記アクセスポートの前記位置に対する前記器具の前記位置との間の前記距離の補間に基づいて比例的に、前記ジョー間の前記距離を徐々に減少させることを含む、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記器具は、前記アクセスポートと同軸の方向に移動可能であり、
前記器具の前記ジョーの前記開放は、前記アクセスポートの前記位置に対する前記アクセスポートと同軸の前記方向に沿った前記器具の高さの補間に基づいて、前記ジョー間の距離を増加させることを含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記所定距離は、距離の範囲を含み、前記器具の前記位置と前記アクセスポートの位置との間の前記距離が前記距離の範囲内であるという決定に応じて、前記器具の前記ジョーを閉鎖位置に維持する、項目1に記載の方法。
(項目8)
アームと、
前記アームに連結された細長い取り付け具であって、近位端及び遠位端を有する細長い取り付け具と、
前記細長い取り付け具に連結され、かつ前記近位端と前記遠位端との間で移動可能である器具であって、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能なジョーを含む、器具と、
前記アーム、前記細長い取り付け具、及び前記器具と通信するプロセッサと、
前記プロセッサに連結されたメモリであって、前記プロセッサにより実行されるときに、前記処理ユニットに、
前記器具が通過する器具アクセスポートに対する前記器具の位置を検出させ、かつ
前記器具の前記位置と前記アクセスポートの位置との間の距離が所定距離を上回るという決定に応じて、前記器具の前記ジョーを開放させる、命令を含む、メモリと、を含む、ロボット外科手術システム。
(項目9)
前記メモリは、前記プロセッサにより実行されるときに、前記プロセッサに、
前記器具の前記位置と前記アクセスポートの前記位置との間の前記距離が増加しているという決定に応じて、前記器具の前記ジョー間の距離を増加させる、命令をさらに含む、項目8に記載のロボット外科手術システム。
(項目10)
前記メモリは、前記プロセッサにより実行されるときに、前記プロセッサに、
前記アクセスポートの前記位置に対する前記器具の前記位置との間の前記距離が増加するにつれて、前記アクセスポートの前記位置に対する前記器具の前記位置との間の前記距離の補間に基づいて比例的に、前記ジョー間の前記距離を徐々に増加させる、命令をさらに含む、項目9に記載のロボット外科手術システム。
(項目11)
前記メモリは、前記プロセッサにより実行されるときに、前記プロセッサに、
前記器具の前記位置と前記アクセスポートの前記位置との間の前記距離が前記所定距離未満であるという決定に応じて、前記器具の前記ジョーを閉鎖させる、命令をさらに含む、項目8に記載のロボット外科手術システム。
(項目12)
前記メモリは、前記プロセッサにより実行されるときに、前記プロセッサに、
前記アクセスポートの前記位置に対する前記器具の前記位置との間の前記距離が減少するにつれて、前記アクセスポートの前記位置に対する前記器具の前記位置との間の前記距離の補間に基づいて比例的に、前記ジョー間の前記距離を徐々に減少させる、命令をさらに含む、項目11に記載のロボット外科手術システム。
(項目13)
前記メモリは、前記プロセッサにより実行されるときに、前記プロセッサに、
前記アクセスポートの前記位置に対する前記細長い取り付け具に沿った前記器具の位置の補間に基づいて、前記ジョー間の距離を増加させることによって、前記器具の前記ジョーを開放させる、命令をさらに含む、項目8に記載のロボット外科手術システム。
(項目14)
前記所定距離は、距離の範囲を含み、前記器具の前記位置と前記アクセスポートの位置との間の前記距離が前記距離の範囲内であるという決定に応じて、前記器具の前記ジョーを閉鎖位置に維持する、項目8に記載のロボット外科手術システム。
(項目15)
ロボット外科手術システムを制御するための命令を含むコンピュータプログラム製品を格納する、非一過性コンピュータ可読媒体であって、前記ロボット外科手術システムが、ジョーを備える器具を有するアームと、前記アームに各々が連結されたアクセスポートとを含み、前記命令が、プロセッサにより実行されるときに、
前記器具の位置を検出し、かつ
前記器具の前記位置と前記アクセスポートの位置との間の距離が所定距離を上回るという決定に応じて、前記器具の前記ジョーを開放する、ように動作可能である、非一過性コンピュータ可読媒体。
(項目16)
前記命令は、前記プロセッサにより実行されるときに、
前記器具の前記位置と前記アクセスポートの前記位置との間の前記距離が増加しているという決定に応じて、前記器具の前記ジョー間の距離の増加をさらに引き起こす、項目15に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
(項目17)
前記命令は、前記プロセッサにより実行されるときに、前記アクセスポートの前記位置に対する前記器具の前記位置との間の前記距離が増加するにつれて、前記アクセスポートの前記位置に対する前記器具の前記位置との間の前記距離の補間に基づいて比例的に、前記ジョー間の前記距離を徐々に増加させることをさらに引き起こす、項目16に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
(項目18)
前記命令は、前記プロセッサにより実行されるときに、
前記器具の前記位置と前記アクセスポートの前記位置との間の前記距離が前記所定距離未満であるという決定に応じて、前記器具の前記ジョーの閉鎖をさらに引き起こす、項目15に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
(項目19)
前記器具の前記ジョーの前記閉鎖は、前記アクセスポートの前記位置に対する前記器具の前記位置との間の前記距離が減少するにつれて、前記アクセスポートの前記位置に対する前記器具の前記位置との間の前記距離の補間に基づいて比例的に、前記ジョー間の前記距離を徐々に減少させることを含む、項目18に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
(項目20)
前記器具は、前記アクセスポートと同軸の方向に移動可能であり、
前記器具の前記ジョーの前記開放は、前記アクセスポートの前記位置に対する前記アクセスポートと同軸の前記方向における前記器具の高さの補間に基づいて、前記ジョー間の距離を増加させることを含む、項目15に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
(項目21)
前記所定距離は、距離の範囲を含み、前記器具の前記位置と前記アクセスポートの位置との間の前記距離が前記距離の範囲内であるという決定に応じて、前記器具の前記ジョーを閉鎖位置に維持する、項目15に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
(項目22)
ロボット外科手術システムのアームに連結された外科手術器具のエンドエフェクタを操作する方法であって、
器具アクセスポートに対する前記エンドエフェクタの位置を検出することと、
前記アクセスポートの開口部を通る前記エンドエフェクタの前記検出された位置に応じて、前記アクセスポートの開口部を通らない位置まで前記エンドエフェクタを電気機械的に操作することと、を含む、方法。
【0028】
本開示の種々の態様が、図面を参照して本明細書の以下に記載され、図面は、本明細書に組み込まれ、かつその一部を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本開示に従うロボット外科手術システムの略図である。
【
図2】開放位置における
図1のロボット外科手術システムに含まれ得るアームの側面図である。
【
図3A】
図2のアームと実装され得る、閉鎖位置及び開放位置それぞれにおけるジョーアセンブリを含むエンドエフェクタの斜視図である。
【
図3B】
図2のアームと実装され得る、閉鎖位置及び開放位置それぞれにおけるジョーアセンブリを含むエンドエフェクタの斜視図である。
【
図4】
図1のロボット外科手術システムを制御するための、本開示の制御コンポーネントのブロック図である。
【
図5】
図1のロボット外科手術システムを制御するためのプロセスのフロー図である。
【
図6】閉鎖位置における
図1のロボット外科手術システムに含まれ得るアームの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ロボット外科手術システム及び外科手術アセンブリの実施形態が、図面を参照して詳細に記載されており、同様の参照数字は、いくつかの図の各々において同一または対応する要素を特定する。本明細書で使用される、用語「遠位」は、患者により近い外科手術アセンブリの部分を指し、一方、用語「近位」は、患者からより遠い外科手術アセンブリの部分を指す。
【0031】
図1を参照すると、ロボット外科手術システム1は、複数のロボットアーム2、3、制御デバイス4、及び制御デバイス4に連結されたコンソール5を含む。
図1に示すように、外科手術システム1は、最小侵襲性外科手術を行うために、患者テーブル12上に横たわる患者13上で使用するために構成される。コンソール5は、表示デバイス6及び入力デバイス7、8を含む。表示デバイス6は、3次元画像を表示するために設定され、手動入力デバイス7、8は、臨床医がロボットアーム2、3を遠隔操作することを可能にするように構成される。
【0032】
ロボットアーム2、3の各々は、接合部を通して接続された複数の部材から構成され、対応するロボットアーム2、3の遠位端に接続された外科手術アセンブリ10を含む。ある実施形態では、外科手術アセンブリ10は、エンドエフェクタ23を支持する外科手術器具20を含む。2つのロボットアーム2、3が示されるが、外科手術システム1は、3つ以上のロボットアーム2、3を含んでもよい。この点に関し、追加のロボットアーム(図示せず)は、制御デバイス4に同様に接続され、コンソール5を介して遠隔操作される。したがって、1つ以上の追加の外科手術アセンブリ10及び/または外科手術器具20も、追加のロボットアームに装着されてもよい。
【0033】
ロボットアーム2、3は、制御デバイス4に接続された電気駆動部(図示せず)によって駆動されてもよい。ある実施形態によると、制御デバイス4は、例えば、コンピュータプログラムを介して、駆動部を作動させるように構成され、ロボットアーム2、3ならびにロボットアーム2、3に対応する外科手術アセンブリ10及び/または外科手術器具20が、手動入力デバイス7、8を通して受信した所望の移動を実行するようにする。制御デバイス4も、ロボットアーム2、3及び/または駆動部の移動を調節するように構成されてもよい。
【0034】
制御デバイス4は、複数のモータ(例えば、モータ1…n)を制御してもよく、各モータは、外科手術器具20のエンドエフェクタ23に連結されたケーブル(図示せず)等の、1つ以上のケーブルの押出または引張を駆動するように構成される。使用時、これらのケーブルが押出及び/または引張されるとき、1つ以上のケーブルは、エンドエフェクタ23の動作及び/または移動に影響を及ぼす。制御デバイス4は、1つ以上のエンドエフェクタ23の動作及び/または移動を調整するために、1つ以上のケーブルの押出または引張運動を調整するように、種々のモータの作動を調整する。ある実施形態では、各モータは、1つ以上のケーブルに加えて、またその代わりに、エンドエフェクタ23の動作及び/または移動に影響を及ぼすように、駆動ロッドまたはレバーアームを作動させるように構成される。
【0035】
制御デバイス4は、計算を実行するように、及び/または一連の命令に従って動作するように適合された任意の適切な論理制御回路を含む。制御デバイス4は、無線接続(例えば、Wi−Fi、Bluetooth(登録商標)、LTE等)及び/または有線接続のいずれかを介して、遠隔システム「RS」と通信するように構成され得る。遠隔システム「RS」は、ワークステーション1の種々のコンポーネント、アルゴリズム、及び/または動作に関連するデータ、命令、及び/または情報を含み得る。遠隔システム「RS」は、任意の適切な電子サービス、データベース、プラットフォーム、クラウド「C」(
図1参照)等を含み得る。制御デバイス4は、動作可能にメモリに接続された中央処理装置を含んでもよい。メモリは、一過性メモリ(例えば、RAM)及び/または非一過性メモリ(例えば、フラッシュ媒体、ディスク媒体等)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、メモリは、遠隔システム「RS」の一部であり、及び/またそれに動作可能に連結される。
【0036】
制御デバイス4は、駆動回路等を通して、ワークステーション1のコンポーネントとインターフェースをとるための複数の入力及び出力を含み得る。制御デバイス4は、入力信号を受信し、及び/または出力信号を生成して、ワークステーション1の種々のコンポーネント(例えば、1つ以上のモータ)のうちの1つ以上を制御するように構成され得る。出力信号は、ユーザによりあらかじめプログラムされた及び/または入力され得るアルゴリズム命令を含み得、及び/またはそれに基づき得る。制御デバイス4は、複数のユーザ入力を、遠隔システム「RS」に連結され得るユーザインターフェース(例えば、コンソール5を動作するスイッチ、ボタン、タッチスクリーン等)から受け入れるように構成され得る。
【0037】
メモリ14は、制御デバイス4に直接的及び/または間接的に連結され、人間及び/または解剖アトラスからの術前データを含む命令及び/またはデータベースを格納し得る。メモリ14は、遠隔システム「RS」の一部であり得、及び/またはそれに動作可能なように連結され得る。
【0038】
ある実施形態によると、各ロボットアーム2、3の遠位端は、エンドエフェクタ23(または他の外科手術ツール)をその中に解放可能に固定するように構成され、例えば、トロカールまたは開創器等の任意の数の外科手術ツールまたは器具を受容するように構成されてもよい。
【0039】
次に
図2を参照すると、外科手術ツールをロボットアームに固定するための取り付けアセンブリ210を含むロボットアーム200(ロボットアーム2、3に類似する)の側面図が提供される。ロボットアーム200は、接合部を介して接続された3つの部材から構成される。取り付けアセンブリ210は、アーム200の遠位端220に連結され、取り付けデバイス230及び長手方向に延在する支持部240を含む。取り付けデバイス230は、締め付け及び解放アセンブリ234を支持する筐体232から構成され、多種多様の外科手術ツールをその中に選択的に固定し、そうすることで外科手術ツールをロボットアームに固定するように構成される。取り付けデバイス230は、多種多様の外科手術ツールを受容するように適合されてもよいが、取り付けデバイス230は、ある実施形態では、本明細書において詳細に論じられるように、トロカール250を受容する。トロカール250は、締め付けアセンブリ234の開放構成と閉鎖構成との間の移行によって、取り付けデバイス230内に解放可能に固定される。トロカール250は、患者内の手術部位への経路を提供するように構成されたカニューレ252を含み、患者に外科手術を実行し得る器具260のエンドエフェクタ265を受容するためのアクセスポート254を有する。ある例では、エンドエフェクタ265は、ジョーアセンブリ266を含む。
【0040】
長手方向に延在する支持部240は、取り付けデバイス230の筐体232に対して実質的に垂直に延在し、垂直レール242を支持する。垂直レール242は、支持部240に連結され、支持部240の長さに沿って延在する。垂直レール242は、器具260がそこに摺動可能に連結され、かつトロカール250と整合され得るように構成される。具体的には、器具260のロッドまたはシャフト262から延在するジョーアセンブリ266は、トロカール250のアクセスポート254内への挿入またはそこからの取り外しができるように、トロカール250に実質的に整合される。ある実施形態によると、垂直レール242は、少なくとも器具260のジョーアセンブリ266を、アクセスポート254内への入口の直前にある位置P1と、アクセスポート254からある距離にある位置P2との間に位置付けるために構成される。
【0041】
器具260のジョーアセンブリ266は、カニューレ252内の配置のための少なくとも位置P1における閉鎖位置と、少なくとも位置P2及び/またはカニューレ252の外側の位置にあるときの開放位置との間で移動可能であるように構成される。
図3A及び
図3Bは、閉鎖位置及び開放位置それぞれにおけるジョーアセンブリ366を含むエンドエフェクタ365の斜視図である。ジョーアセンブリ366に加えて、エンドエフェクタ365は、ジョーアセンブリ366が枢動可能に接続されるリストアセンブリ310を含む。ジョーアセンブリ366は、ジョー368、370の開放及び閉鎖のためのプーリー374に連結されるケーブル372を使用して操作可能である一対のジョー368、370を含む。他の実施形態では、器具260は、鉗子、はさみ切断ツール、プライヤ、ステープラ、電気手術鉗子、またはジョーもしくは把持するための同様のコンポーネントを含む他のツールであってもよい。
【0042】
ロボット外科手術システム10のシステムアーキテクチャ400の簡略化された機能ブロック図が
図4に含まれる。システムアーキテクチャ400は、コアモジュール420、外科医マスターモジュール430、ロボットアームモジュール440、及び器具モジュール450を含む。コアモジュール420は、ロボット外科手術システム1の中央制御装置としての役割を果たし、他のモジュール430、440、450の全ての動作を調整する。例えば、コアモジュール420は、制御デバイスをアーム2、3、200にマッピングし、現状を判断し、全ての運動学及びフレーム変換を実行し、結果として生じた移動コマンドをリレーする。この点に関し、コアモジュール420は、ロボット外科手術システム1内の実行のための命令またはコマンドを他のモジュール430、440、450に提供するために、他のモジュール430、440、450の各々からのデータを受信及び分析する。別々のモジュールとして示されるが、モジュール420、430、440、及び450のうちの1つ以上は、他の実施形態において単一のコンポーネントである。
【0043】
コアモジュール420は、モデル422、観測部424、コリジョン管理部426、制御部428、及びスケルトン429を含む。モデル422は、モータ(例えば、モータ1…n)及び/またはアーム2、3、200等の制御されたコンポーネントのために、抽象表現(基底クラス)を提供するユニットを含む。観測部424は、他のモジュール430、440、450から受信した入力信号及び出力信号に基づいて状態推定を作成する。コリジョン管理部426は、システム10内に登録されているコンポーネント間のコリジョンを防止する。スケルトン429は、運動学的及び動力学的観点からシステム10を追跡する。例えば、運動学項目は、ある実施形態では、順運動学または逆運動学のいずれかとして実装されてもよい。動力学的項目は、システムのコンポーネントの動力学をモデル化するために使用されるアルゴリズムとして実装されてもよい。
【0044】
外科医マスターモジュール430は、コンソール5において外科医制御デバイスと通信し、コンソール5から受信した入力をコアモジュール420にリレーする。ある実施形態によると、外科医マスターモジュール430は、ボタン状態及び制御デバイス位置をコアモジュール420に通信し、状態/モード管理部434、フェイルオーバ制御部436、及びN自由度(「DOF」)作動部438を含むノード制御部432を含む。
【0045】
ロボットアームモジュール440は、対応するアーム2、3、200の移動を制御するために、ロボットアームサブシステム、アームカートサブシステム、設定アーム、及び器具サブシステムの動作を調整する。単一のロボットアームモジュール440が含まれるが、ロボットアームモジュール440が単一のアームに対応し、かつそれを制御することを理解されたい。したがって、追加のロボットアームモジュール440は、システム10が多数のアーム2、3、200を含む構成に含まれる。ロボットアームモジュール440は、ノード制御部442、状態/モード管理部444、フェイルオーバ制御部446、及びN自由度(「DOF」)作動部348を含む。
【0046】
器具モジュール450は、アーム2、3、200に装着された器具260(
図2に示す)の移動を制御する。器具モジュール450は、単一の器具に対応し、かつそれを制御するように構成される。したがって、多数の器具が含まれる構成では、追加の器具モジュール450が同様に含まれる。ある実施形態では、器具モジュール450は、エンドエフェクタまたはジョーアセンブリ266の位置(ジョーのピッチ及びヨー角を含んでもよい)、ジョー368、370間の幅または角度、及びアクセスポート254の位置に関連するデータを入手及び通信する。器具モジュール450は、ノード制御部452、状態/モード管理部454、フェイルオーバ制御部456、及びN自由度(「DOF」)作動部458を有する。
【0047】
器具モジュール450により収集された位置データは、コアモジュール420によって使用され、器具260が手術部位内、カニューレ252内、アクセスポート254に隣接して、または自由空間のアクセスポート254の上にあるときを決定する。コアモジュール420は、器具260の位置決めに基づいて器具260のジョーを開放または閉鎖するための命令を提供するか否かを決定する。例えば、器具260の位置によって、器具260がカニューレ252内にあることが示されるとき、命令は、ジョーアセンブリ266を閉鎖位置に維持するように提供される。器具260の位置によって、器具260がアクセスポート254の外部にあると示されるとき(具体的には、ジョーアセンブリ266)、命令は、ジョーアセンブリ266を開放するように提供される。
【0048】
図5は、ある実施形態に従う、ロボット外科手術システム10、具体的には、対応するアーム200に連結された器具260を制御する方法400のフロー図である。
図2をさらに参照すると、システム初期化時、例えば、システムの起動、リセット、または再起動時、またはその間、アーム200及び器具260は、ステップ510において、初期位置に維持される。ある実施形態では、初期位置は、アーム200の遠位端が患者テーブル12(
図1)の上の所定の高さにあること、及び制御される器具260が患者テーブル12から近位の位置にあることを含む。具体的には、器具260は、垂直レール242に沿って位置付けられ、器具260のジョーアセンブリ266がカニューレ252の外部にあるようにする。例えば、
図2に示すように、ジョーアセンブリ266は、アクセスポート254の位置P1から距離D離れた位置P2にあってもよい。P2が、他の実施形態において、
図2に示す場所とは違う場所に位置してもよいこと、及び距離DがP1とP2との間の任意の距離に対応することを理解されたい。加えて、概してP1とP2との間の距離として本明細書に参照されるが、距離Dは、別の実施形態において、位置P1と位置P2との間の垂直距離である。別の実施形態によると、距離Dは、位置P1と位置P2との間の水平距離である。
【0049】
ジョーアセンブリ266のジョー368、370は、いずれかが開放位置に移動するか、または開放位置に維持される。ジョーアセンブリ266がヒンジ接合部として構成されるある実施形態によると、開放位置は、約0〜約10度を上回る角度をその間に有するジョー368、370を含む。別の実施形態では、ジョー368、370間の最大角度は、約45度である。ジョーアセンブリ266がクランプとして構成されるある実施形態では、ジョー368、370は、開放位置と閉鎖位置との間で移動可能であり、ジョー368、370間の最大所定幅は、ある実施形態において、約4ミリメートル(mm)〜約25mmの間の範囲である。さらに別の実施形態では、ジョー368、370は、相互に対して2つの平行面において移動する(例えば、相互により近く及び相互からより遠く)ように構成されてもよい。代替として、ジョー368、370間の所定幅は、上述の範囲を上回るまたはそれ未満である。
【0050】
次に、ステップ504において、アクセスポートと同軸の方向の器具260の移動を示す入力がシステム10によって受信される。器具260の位置の決定は、例えば、Zスライドエンコーダによって、垂直レール242及び器具260の端部に配置されたセンサ間の距離を検出することによって、近接スイッチ等の接触センサによって、器具260により中断されるレーザービーム等の非接触構成等によって、決定されてもよい。アクセスポートと同軸の方向に沿った器具260の移動を示すシステム10により受信された入力に応答して、506において、P1におけるアクセスポート254の位置に対するP2における器具260のジョーアセンブリ266との位置の間の距離Dが所定距離D1を上回るか否かについて決定が行われる。所定距離D1は、ジョー368、370が開放または閉鎖する閾値である。ある実施形態では、所定距離D1は、約10mm〜約25mmの間の範囲の値である。別の実施形態では、所定距離D1は、上述の範囲を上回るまたはそれ未満の値である。所定距離D1は、器具の種類及び/またはエンドエフェクタによってカスタマイズされ、メモリ14に格納されてもよく、その一部分は、アーム200または器具260に関連付けられるか、またはそれに位置してもよい。
【0051】
入力は、コンソール5から受信される。例えば、臨床医は、コンソール5においてタッチスクリーン上の物理的ボタンまたは仮想ボタンを押してもよい。別の実施形態では、入力は、アーム200で受信される。例えば、患者テーブル12の近くの技術師は、垂直レール242をアクセスポート254に近づけて引張すること、または垂直レール242をアクセスポート254から離して押出することのいずれかによって、垂直レール242を操作する。
【0052】
P1におけるアクセスポート254の位置に対するP2における器具260のジョーアセンブリ266の位置との間の距離Dが、
図5に示すように、所定距離「D1」を上回らないという決定が行われる場合、ステップ508において、ジョー368、370を閉鎖位置に向かって移動するように、命令が器具モジュール450に提供される。P1におけるアクセスポート254の位置に対するP2における器具260のジョーアセンブリ266の位置との間の距離Dが所定の距離「D1」を上回るという決定が行われる場合、ステップ510において、器具260のジョー368、370を開放位置に向かって移動するように、命令が器具モジュール450に提供される。
【0053】
ある実施形態によると、ジョー368、370の閉鎖の程度は、アクセスポート254からのジョーアセンブリ266の距離Dに部分的に基づく。ある実施形態では、P2におけるジョーアセンブリ266の位置がP1にあるか、またはP1に隣接してあるとき、ジョー368、370は、実質的に閉鎖される(例えば、ジョー368、370がアクセスポート254の直径未満の幅を有するように位置付けられる)。別の実施形態では、ジョー368、370は、カニューレ252の外部の空間において緩衝帯を画定するために、アクセスポート254の所定の距離の範囲内にある間、実質的に閉鎖位置のままである。
【0054】
ジョーアセンブリ266がアクセスポート254からさらに離れて、または緩衝帯の外部に移動すると、ジョー368、370は、最大幅が得られるまで徐々に幅が広くなる。ある実施形態では、コアモジュール420は、アクセスポート254からのまたは緩衝帯の外部のからのジョーアセンブリ266の距離に基づく、実質的に閉鎖位置から最大開放位置までのジョー幅の値の補間のためのルックアップテーブルまたはアルゴリズムを含み、命令を器具モジュール450に提供して、ジョー368、370を所望の幅に開放する。ある実施形態によると、ジョー幅は、アクセスポート254からのまたは緩衝帯の外部のからのジョーアセンブリ266の距離に正比例する。別の実施形態では、ジョー幅は、アクセスポート254または緩衝帯に最も近いときに比較的小さく、ジョー幅の増加の割合は、ジョーアセンブリ266が位置付けられるアクセスポート254または緩衝帯から離れるほど大きくなる。さらに別の実施形態では、コアモジュール420は、アクセスポート254からのまたは緩衝帯の外部のからのジョーアセンブリ266の距離に基づく、実質的に閉鎖位置から最大開放位置までのジョー角度の値の補間のためのルックアップテーブルまたはアルゴリズムを含み、命令を器具モジュール450に提供して、ジョー368、370を所望の角度に開放する。いずれの場合も、ジョー368、370がその間の最大幅または最大角度を得るとき、ジョー368、370は、ジョーアセンブリ266が、最大幅または最大角度がトリガされる位置を超える位置にあり、ひいてはアクセスポート254からの最大距離を上回る距離にある限り、最大幅または最大角度に維持される。
【0055】
ジョー368、370の閉鎖は、上に詳述した開放順序と同様の方式で動作する。例えば、ジョー368、370間の距離は、最小幅(または実質的な閉鎖)が得られるまで徐々により狭くなる。ある実施形態では、コアモジュール420は、アクセスポート254からのまたは緩衝帯の外部のからのジョーアセンブリ266の距離に基づく、最大開放位置から実質的に閉鎖位置までのジョー幅の値の補間のためのルックアップテーブルまたはアルゴリズムを使用し、命令を器具モジュール450に提供して、ジョー368、370を所望の幅に閉鎖する。ある実施形態によると、ジョー幅は、アクセスポート254からのまたは緩衝帯の外部のからのジョーアセンブリ266の距離に正比例する。別の実施形態では、コアモジュール420は、アクセスポート254からのまたは緩衝帯の外部のからのジョーアセンブリ266の距離に基づく、最大開放位置から実質的に閉鎖位置までのジョー角度の値の補間のためのルックアップテーブルまたはアルゴリズムを含み、命令を器具モジュール450に提供して、ジョー368、370を所望の角度に閉鎖する。例えば、最大幅においてジョー368、370が45度の角度にある構成において、ジョーアセンブリ266が位置P1と位置P2との間の中間にある場合、ジョー368、370は、22.5度の角度に開放し得る。別の実施形態では、ジョー幅は、アクセスポート254または緩衝帯に最も近いときに比較的小さく、ジョー幅の増加の割合は、ジョーアセンブリ266が位置付けられるアクセスポート254または緩衝帯から離れるほど大きくなる。したがって、ある実施形態では、ジョー368、370の幅は、アクセスポート254または緩衝帯から遠くなるほどより急速に減少する。ジョー368、370がその間の最小幅または最小角度を得るとき、ジョー368、370は、最小幅または最小角度がトリガされる位置にあり、ひいてはアクセスポート254から最小距離にある限り、最小幅に維持される(または実質的に閉鎖される)。さらに別の実施形態では、ジョー368、370を徐々にではなく所望の幅に閉鎖するために、ジョー368、370は、アクセスポート254からまたは緩衝帯の外部からのジョーアセンブリ266の距離に基づいて直ちに閉鎖し、そうするための命令は器具モジュール450に含まれる。
【0056】
いずれの場合も、ジョーアセンブリ266の位置(P2)がアクセスポート254の位置(P1)に対して変更したか否かに関する決定が、ステップ512において行われる。例えば、コアモジュール420は、命令を器具モジュール450に提供して、アクセスポート254に対するジョーアセンブリ266の位置変更を検出する。ジョーアセンブリ266の位置変更が検出される場合、本方法は、ステップ506で繰り返す。検出されない場合、ジョー368、370は、前の幅または角度に維持される。
【0057】
簡潔に上述したように、アクセスポート254に対してジョーアセンブリ266を再位置付けするためのシステム10への入力は、ベッドの横の技術師によって受信されてもよい。上述のプロセスを実装することによって、技術師は、垂直レール242に沿ってジョーアセンブリ266の位置を手動で移動することによって、ジョー368、370を開放または閉鎖することができる。手動の移動は、垂直レール242を位置付けるように構成された作動システムを作動させるように、長手方向に延在する支持部に沿って垂直レール242を物理的に押出または引張することによって、またはボタン(物理的または仮想)を使用することによって生じてもよい。
【0058】
ある実施形態では、システム10の使用中の安全性を改善するために、コアモジュール420は、コンソール5から受信した入力について、器具260において受信した入力(例えば、垂直レール242の再位置付け、ジョー368、370を手動で操作することによる、またはジョー368、370を開放もしくは閉鎖するための物理的または仮想ボタンを押すことによるジョー368、370の手動開放または閉鎖)の優先順位を付けるように構成される。
【0059】
別の実施形態によると、垂直レール242を含むように記載されているが、他のロボットアーム設計は、垂直レール242を省略し、代わりに、器具260をx方向、y方向、及びz方向に平行移動させ、最終的に器具260をアクセスポート254と同心に整合するための追加のコンポーネントを含む。このような構成では、外科医による制御運動中に他の接合部(人間の腕に類似する)の調整によって、ロボットアーム及び対応する器具に命令してアクセスポートと同心に平行移動させるソフトウェア強制運動学が、ロボットアームモジュール440に実装される。また、技術師による手動の移動に応答するための命令も含まれ、その命令は、システムによって、技術師がz方向(または他の方向)に沿ってアームを平行移動させることを可能にする一方で、アームに関連付けられたモータが、x方向、y方向、またはz方向のうちの1つ以上から偏位する運動に抵抗するモードを作動させる。
【0060】
本明細書に記載するシステムは、種々の情報を受信し、かつ受信した情報を変換して出力を生成するために、1つ以上の制御器も利用してもよい。制御器は、任意の種類の計算デバイス、計算回路、またはメモリに格納されている一連の命令を実行することが可能である任意の種類のプロセッサもしくは処理回路を含んでもよい。制御器は、多数のプロセッサ及び/またはマルチコア中央処理装置(CPU)を含んでもよく、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラ等の任意の種類のプロセッサを含んでもよい。また、制御器は、一連の命令を実行するために、データ及び/またはアルゴリズムを格納するメモリも含んでもよい。
【0061】
本明細書に記載の方法、プログラム、アルゴリズム、またはコードのいずれもが、プログラミング言語またはコンピュータプログラムに変換されてもよく、またはそれで表現されてもよい。「プログラミング言語」及び「コンピュータプログラム」は、命令をコンピュータに規定するために使用される任意の言語を含み、Assembler、Basic、Batchfiles、BCPL、C、C+、C++、Delphi、Fortran、Java(登録商標)、JavaScript(登録商標)、Machine code、オペレーティングシステムコマンド言語、Pascal、Perl、PL1、スクリプト言語、Visual Basic、それ自体がプログラムを規定するメタ言語、ならびに全ての第1、第2、第3、第4、及び第5世代のコンピュータ言語の言語と、それらの派生語とを含む(がこれらの限定されない)。また、データベース及び他のデータスキーマ、ならびに任意の他のメタ言語も含まれる。解釈、コンパイル、またはコンパイル及び解釈された手法を使用する言語間に区別はない。コンパイルされたプログラムとソースバージョンのプログラムとの間にも区別はない。したがって、2つ以上の状態(ソース、コンパイルされた、オブジェクト、またはリンクされた等)でプログラミング言語が存在し得るプログラムの参照は、このようなあらゆる状態の参照である。プログラムの参照は、実際の命令及び/またはこれらの命令の意図を包含してもよい。
【0062】
本明細書に記載の方法、プログラム、アルゴリズム、またはコードのいずれもが、1つ以上の機械可読媒体またはメモリ上に含まれてもよい。用語「メモリ」は、プロセッサ、コンピュータ、またはデジタル処理デバイス等の機械により可読である形式で情報を提供する(例えば、格納及び/または伝送する)機構を含んでもよい。例えば、メモリは、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、または任意の他の揮発性もしくは不揮発性メモリ記憶デバイスを含んでもよい。メモリ上に含まれるコードまたは命令は、搬送波信号、赤外線信号、デジタル信号、及び他の同様の信号によって表されることができる。
【0063】
本開示のいくつかの実施形態が図面に示されているが、本開示がそれらに限定されることは意図されず、本開示が、当技術分野によって可能になる範囲において広義であること、及び本明細書が同様に読まれることが意図される。上記実施形態の任意の組み合わせも想定され、添付の請求項の範囲内にある。ゆえに、上記記載は、限定的であると解釈されるべきではなく、単に、特定の実施形態の例証として解釈される。当業者は、本明細書に添付の請求項の範囲内において他の修正を想定する。