特許第6812437号(P6812437)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6812437混成無線システムでの自動音声整合化の方法及びそのための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6812437
(24)【登録日】2020年12月18日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】混成無線システムでの自動音声整合化の方法及びそのための装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/16 20060101AFI20201228BHJP
   H04H 40/18 20080101ALI20201228BHJP
   H04H 20/22 20080101ALI20201228BHJP
【FI】
   H04B1/16 A
   H04H40/18
   H04H20/22
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-530522(P2018-530522)
(86)(22)【出願日】2016年12月9日
(65)【公表番号】特表2019-502310(P2019-502310A)
(43)【公表日】2019年1月24日
(86)【国際出願番号】US2016065754
(87)【国際公開番号】WO2017100528
(87)【国際公開日】20170615
【審査請求日】2019年12月6日
(31)【優先権主張番号】14/966,716
(32)【優先日】2015年12月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517284201
【氏名又は名称】アイビクィティ デジタル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158551
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 貴明
(72)【発明者】
【氏名】オロフヴォシュチ ガブリエル エス
(72)【発明者】
【氏名】パフジャ アシュウィニ
【審査官】 佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−232945(JP,A)
【文献】 特開2013−172441(JP,A)
【文献】 特開2007−328133(JP,A)
【文献】 特表2008−538063(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101167278(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0003801(US,A1)
【文献】 特開2015−056798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/16
H04H 20/22
H04H 40/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル無線受信機内でデジタル無線放送信号を処理する方法であって、
(a)アナログ音声サンプルストリーム内のサンプルとデジタル音声サンプルストリーム内のサンプル間の時間遅延を表す複数の現在相関サンプル値を決定する段階と、
(b)アナログ音声サンプルストリーム内の前記サンプルとデジタル音声サンプルストリーム内のサンプル間の現在反転ステータスを決定する段階と、
(c)遅延履歴及び反転ステータス履歴を更新する段階と、
(d)第1の信頼閾値との一致に関して前記現在相関サンプル値を検査する段階と、
(e)段階(d)で一致が見つかった場合に、前記遅延履歴内の第1の複数の値の各々が前記現在相関サンプル値の予め決められた範囲内で一致するかを決定する段階と、
(f)段階(e)で一致が見つかった場合に、前記反転ステータス履歴内の値が前記現在反転ステータスに一致するかを決定する段階と、
(g)段階(f)で前記一致が見つかった場合に、前記デジタル音声サンプルストリームとの出力の混合を可能にする段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記一致が、段階(d)、次に、続く段階(e)で見つからなかった場合に、
(h)第2の信頼閾値との一致に関して前記現在相関サンプル値を検査する段階と、
(i)段階(h)で一致が見つかった場合に、前記遅延履歴内の第2の複数の値の各々が前記現在相関サンプル値の予め決められた範囲内で一致するかを決定する段階と、
(j)段階(i)で一致が見つかった場合に、前記反転ステータス履歴内の前記値が前記現在反転ステータスに一致するかを決定する段階と、
(k)段階(j)で前記一致が見つかった場合に、前記デジタル音声サンプルストリームとの前記出力の混合を可能にする段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記一致が、段階(h)、次に、続く段階(i)で見つからなかった場合に、
(l)第3の信頼閾値との一致に関して前記現在相関サンプル値を検査する段階と、
(m)段階(l)で一致が見つかった場合に、前記遅延履歴内の第3の複数の値の各々が前記現在相関サンプル値の予め決められた範囲内で一致するかを決定する段階と、
(n)段階(m)で一致が見つかった場合に、前記反転ステータス履歴内の前記値が前記現在反転ステータスに一致するかを決定する段階と、
(o)段階(n)で前記一致が見つかった場合に、前記デジタル音声サンプルストリームとの前記出力の混合を可能にする段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記一致が、段階(k)で見つからなかった場合に、
前記アナログ音声サンプルストリーム内の異なるサンプル及び前記デジタル音声サンプルストリーム内の異なるサンプルを使用して段階(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、及び(g)を繰り返す段階、
を更に含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の信頼閾値は、前記第2の信頼閾値よりも低く、該第2の信頼閾値は、前記第3の信頼閾値よりも低いことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記遅延履歴内の前記第1の複数の値は、該遅延履歴内の前記第2の複数の値よりも小さく、該遅延履歴内の該第2の複数の値は、該遅延履歴内の第3の複数の値よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記履歴更新は、直近の相関反復からの値を以前の反復から最大設定可能履歴長さまでの値を含有する前記遅延及び反転の各々のためのバッファ内にコピーすることによって達成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
全体履歴長さが、走査範囲の長さによって定められた離散窓に分割された時間履歴を表すことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
デジタル無線放送信号のための受信機であって、
(a)アナログ音声サンプルストリーム内のサンプルとデジタル音声サンプルストリーム内のサンプル間の時間遅延を表す複数の現在相関サンプル値を決定し、
(b)アナログ音声サンプルストリーム内の前記サンプルとデジタル音声サンプルストリーム内のサンプル間の現在反転ステータスを決定し、
(c)遅延履歴及び反転ステータス履歴を更新し、
(d)第1の信頼閾値との一致に関して前記現在相関サンプル値を検査し、
(e)段階(d)で一致が見つかった場合に、前記遅延履歴内の第1の複数の値の各々が前記現在相関サンプル値の予め決められた範囲内で一致するかを決定し、
(f)段階(e)で一致が見つかった場合に、前記反転ステータス履歴内の値が前記現在反転ステータスに一致するかを決定し、かつ
(g)段階(f)で前記一致が見つかった場合に、前記デジタル音声サンプルストリームとの出力の混合を可能にする、
ように構成された処理回路、
を含むことを特徴とする受信機。
【請求項10】
前記一致が、段階(d)、次に、段階(e)で見つからなかった場合に、前記処理回路は、
(h)第2の信頼閾値との一致に関して前記現在相関サンプル値を検査し、
(i)段階(h)で一致が見つかった場合に、前記遅延履歴内の第2の複数の値の各々が前記現在相関サンプル値の予め決められた範囲内で一致するかを決定し、
(j)段階(i)で一致が見つかった場合に、前記反転ステータス履歴内の前記値が前記現在反転ステータスに一致するかを決定し、かつ
(k)段階(j)で前記一致が見つかった場合に、前記デジタル音声サンプルストリームとの前記出力の混合を可能にする、
ように更に構成される、
ことを特徴とする請求項9に記載の受信機。
【請求項11】
前記一致が、段階(h)、次に、段階(i)で見つからなかった場合に、前記処理回路は、
(l)第3の信頼閾値との一致に関して前記現在相関サンプル値を検査し、
(m)段階(l)で一致が見つかった場合に、前記遅延履歴内の第3の複数の値の各々が前記現在相関サンプル値の予め決められた範囲内で一致するかを決定し、
(n)段階(m)で一致が見つかった場合に、前記反転ステータス履歴内の前記値が前記現在反転ステータスに一致するかを決定し、かつ
(o)段階(n)で前記一致が見つかった場合に、前記デジタル音声サンプルストリームとの前記出力の混合を可能にする、
ように更に構成される、
ことを特徴とする請求項10に記載の受信機。
【請求項12】
前記一致が、段階(k)で見つからなかった場合に、前記処理回路は、
前記アナログ音声サンプルストリーム内の異なるサンプル及び前記デジタル音声サンプルストリーム内の異なるサンプルを使用して段階(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、及び(g)を繰り返す、
ように更に構成される、
ことを特徴とする請求項11に記載の受信機。
【請求項13】
前記第1の信頼閾値は、前記第2の信頼閾値よりも低く、該第2の信頼閾値は、前記第3の信頼閾値よりも低いことを特徴とする請求項11に記載の受信機。
【請求項14】
前記遅延履歴内の前記第1の複数の値は、該遅延履歴内の前記第2の複数の値よりも小さく、該遅延履歴内の該第2の複数の値は、該遅延履歴内の前記第3の複数の値よりも小さいことを特徴とする請求項11に記載の受信機。
【請求項15】
前記履歴更新は、直近の相関反復からの値を以前の反復から最大設定可能履歴長さまでの値を含有する前記遅延及び反転の各々のためのバッファ内にコピーすることによって達成されることを特徴とする請求項9に記載の受信機。
【請求項16】
全体履歴長さが、走査範囲の長さによって定められた離散窓に分割された時間履歴を表すことを特徴とする請求項15に記載の受信機。
【請求項17】
(a)アナログ音声サンプルストリーム内のサンプルとデジタル音声サンプルストリーム内のサンプル間の時間遅延を表す複数の現在相関サンプル値を決定する段階と、
(b)アナログ音声サンプルストリーム内の前記サンプルとデジタル音声サンプルストリーム内のサンプル間の現在反転ステータスを決定する段階と、
(c)遅延履歴及び反転ステータス履歴を更新する段階と、
(d)第1の信頼閾値との一致に関して前記現在相関サンプル値を検査する段階と、
(e)段階(d)で一致が見つかった場合に、前記遅延履歴内の第1の複数の値の各々が前記現在相関サンプル値の予め決められた範囲内で一致するかを決定する段階と、
(f)段階(e)で一致が見つかった場合に、前記反転ステータス履歴内の値が前記現在反転ステータスに一致するかを決定する段階と、
(g)段階(f)で前記一致が見つかった場合に、前記デジタル音声サンプルストリームとの出力の混合を可能にする段階と、
を含む方法を処理システムに実行させるように構成された実行可能命令を含有するコンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項18】
(h)第2の信頼閾値との一致に関して前記現在相関サンプル値を検査する段階と、
(i)段階(h)で一致が見つかった場合に、前記遅延履歴内の第2の複数の値の各々が前記現在相関サンプル値の予め決められた範囲内で一致するかを決定する段階と、
(j)段階(i)で一致が見つかった場合に、前記反転ステータス履歴内の前記値が前記現在反転ステータスに一致するかを決定する段階と、
(k)段階(j)で前記一致が見つかった場合に、前記デジタル音声サンプルストリームとの前記出力の混合を可能にする段階と、
を処理システムに実行させるように構成された実行可能命令を更に含有することを特徴とする請求項17に記載のコンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項19】
(l)第3の信頼閾値との一致に関して前記現在相関サンプル値を検査する段階と、
(m)段階(l)で一致が見つかった場合に、前記遅延履歴内の第3の複数の値の各々が前記現在相関サンプル値の予め決められた範囲内で一致するかを決定する段階と、
(n)段階(m)で一致が見つかった場合に、前記反転ステータス履歴内の前記値が前記現在反転ステータスに一致するかを決定する段階と、
(o)段階(n)で前記一致が見つかった場合に、前記デジタル音声サンプルストリームとの前記出力の混合を可能にする段階と、
を処理システムに実行させるように構成された実行可能命令を更に含有することを特徴とする請求項18に記載のコンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項20】
前記アナログ音声サンプルストリーム内の異なるサンプル及び前記デジタル音声サンプルストリーム内の異なるサンプルを使用して処理システムに段階(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、及び(g)を繰り返させるように構成された実行可能命令を更に含有することを特徴とする請求項19に記載のコンピュータ可読ストレージ媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の開示は、デジタル無線放送受信機に関し、特に、デジタル無線受信機内のアナログ及びデジタル経路を処理する方法及びそのためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル無線放送技術は、デジタル音声及びデータサービスをモバイル、携帯、及び固定受信機に送出する。帯域内オンチャネル(IBOC)デジタル音声放送(DAB)と呼ぶ1つのタイプのデジタル無線放送は、既存の中間周波数(MF)及び超高周波(VHF)無線帯域内の地上送信機を使用する。iBiquity Digital Corporationによって開発されたHD Radio(登録商標)技術は、デジタル無線放送及び受信のためのIBOC実施の一例である。
【0003】
IBOC信号は、複数のデジタル変調搬送波と組み合わせたアナログ変調搬送波を含む混成フォーマットで又はアナログ変調搬送波が使用されない全デジタルフォーマットで送信することができる。混成モードを使用して、放送局は、より高品質及びよりロバストなデジタル信号を用いて同時にアナログAM及びFMの送信を続けることができ、放送局自体及びその聴取者が彼らの現在の周波数割り当てを維持しながらアナログ無線からデジタル無線に変換することを可能にする。
【0004】
デジタル送信システムの1つの特徴は、デジタル化音声及びデータの両方を同時に送信する固有の機能である。すなわち、この技術は、AM及びFM無線局からの無線データサービスも考慮している。放送信号は、アーティスト、曲タイトル、又は局コールレターのようなメタデータを含むことができる。イベント、交通、及び天気に関する特別なメッセージも含めることができる。例えば、交通情報、天気予報、ニュース、及び競技スコアは、全てをユーザが無線局を聴取しながら無線受信機のディスプレイにわたってスクロールすることができる。
【0005】
IBOC技術は、既存のアナログ放送フォーマットよりも優れたデジタル品質音声を提供することができる。各IBOC信号は、既存のAM又はFMチャネル割り当てのスペクトルマスク内で送信されるので、それは、新しいスペクトル割り当てを必要としない。IBOCは、放送局が現在の聴取者母体にデジタル品質音声を供給することを可能にしながらスペクトルの節約を促進する。
【0006】
全国無線システム委員会、すなわち、全国放送局連合及び消費者電子機器連合によって出資される規格設定機関は、2005年9月にNRSC−5Aで指定されたIBOC規格を採択した。引用によって本明細書にその開示が組み込まれているNRSC−5は、AM及びFM放送チャネル上でデジタル音声及び付属データを放送するための要件を明記している。規格及びその参照文献は、RF/送信サブシステムとトランスポート及びサービス多重サブシステムとの詳細な解説を含んでいる。規格のコピーは、http://www.nrscstandards.org/standards.aspでNRCSから取得することができる。iBiquityのHD無線技術は、NRSC−5 IBOC規格の実施である。HD無線技術に関する更に別の情報は、www.hdradio.com及びwww.ibiquity.comで見出すことができる。
【0007】
他のタイプのデジタル無線放送システムは、衛星デジタル音声無線サービス(SDARS、例えば、XM Radio(登録商標)、Sirius(登録商標))、デジタル音声無線サービス(DARS、例えば、WorldSpace(登録商標))、及びデジタル無線モンディエール(DRM)、Eureka 147(DAB Digital Audio Broadcasting(登録商標)として銘柄化)、DAB バージョン 2、及びFMeXtra(登録商標)のような衛星システムを含む。本明細書に使用する時に、「デジタル無線放送」という語句は、帯域内オンチャネル放送、並びに他のデジタル地上放送及び衛星放送を含むデジタル音声及びデータ放送を包含する。
【0008】
両方のAM及びFM帯域内オンチャネル(IBOC)放送システムは、アナログ変調搬送波と複数のデジタル変調副搬送波とを含む複合信号を利用する。プログラムコンテンツ(例えば、音声)は、アナログ変調搬送波及びデジタル変調副搬送波上で冗長的に送信することができる。アナログ音声は、ダイバーシティ遅延によって送信機において遅延される。
【0009】
デジタル音声信号の不在時に(例えば、チャネルが最初に同調された時)、アナログAM又はFMバックアップ音声信号が音声出力に給送される。デジタル音声信号が利用可能になる時に、混合関数が、アナログバックアップ信号を滑らかに減衰させ、かつ最終的にデジタル音声信号に混ざりながらそれをデジタル音声信号で置換し、そのためにこの遷移は、音声プログラムの何らかの連続性を保存する。類似の混合は、デジタル信号を壊すチャネル停止中に発生する。この場合に、アナログ信号は、デジタル破損が音声出力に現れる時に音声がアナログに十分に混合されるようにデジタル信号を減衰することにより、徐々に出力音声信号内に混合される。デジタル音声信号の破損は、巡回冗長検査(CRC)エラー検出手段、又は音声復号器又は受信機内の他のデジタル検出手段を通してダイバーシティ遅延時間中に検出することができる。
【0010】
IBOCシステムのデジタル音声信号とアナログ音声信号との間の混合の概念は、例えば、これによりその開示が引用によって組み込まれる米国特許第7,546,088号明細書、第6,178,317号明細書、第6,590,944号明細書、第6,735,257号明細書、第6,901,242号明細書、及び第8,180,470号明細書に既に説明されている。ダイバーシティ遅延及び混合は、デジタル停止が発生した時に受信機がデジタル音声ギャップをアナログ音声で充填することを可能にする。ダイバーシティ遅延は、短い停止がモバイル環境に発生した時(例えば、モバイル受信機が橋の下を通る時)に音声出力が妥当な品質を有することを保証する。これは、時間ダイバーシティがデジタル及びアナログ信号のための音声プログラムの異なるセグメントに影響を与える停止を引き起こすためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第7,546,088号明細書
【特許文献2】米国特許第6,178,317号明細書
【特許文献3】米国特許第6,590,944号明細書
【特許文献4】米国特許第6,735,257号明細書
【特許文献5】米国特許第6,901,242号明細書
【特許文献6】米国特許第8,180,470号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】IBOC規格、全国無線システム委員会、2005年9月、NRSC−5Aで指定
【非特許文献2】NRCS、http://www.nrscstandards.org/standards.asp
【非特許文献3】www.hdradio.com
【非特許文献4】www.ibiquity.com
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
受信機では、アナログ及びデジタル経路は、別々に及び従って非同期で処理される場合がある。ソフトウエア実施では、例えば、アナログ及びデジタル復調処理は、異なるソフトウエアスレッドを使用する別々のタスクとして取り扱うことができる。アナログ及びデジタル信号のその後の混合は、信号が、それらが混合される前に時間的に整合化されることを必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
例示的実施形態により、デジタル無線受信機内でデジタル無線放送信号を処理する方法は、(a)アナログ音声サンプルストリーム内のサンプルとデジタル音声サンプルストリーム内のサンプル間の時間遅延を表す複数の現在相関サンプル値を決定する段階、(b)アナログ音声サンプルストリーム内のサンプルとデジタル音声サンプルストリーム内のサンプル間の現在反転ステータスを決定する段階、(c)遅延履歴と反転ステータス履歴を更新する段階、(d)第1の信頼閾値との一致に関して現在相関サンプル値を検査する段階、(e)段階(d)で一致が見つかった場合に、遅延履歴内の第1の複数の値の各々が現在相関サンプル値の予め決められた範囲内で一致するかを決定する段階、(f)段階(e)で一致が見つかった場合に、反転ステータス履歴内の値が現在反転ステータスに一致するかを決定する段階、及び(g)段階(f)で一致が見つかった場合に、デジタル音声サンプルストリームとの出力の混合を可能にする段階を含む。
【0015】
別の実施形態では、デジタル無線放送信号のための受信機は、(a)アナログ音声サンプルストリーム内のサンプルとデジタル音声サンプルストリーム内のサンプル間の時間遅延を表す複数の現在相関サンプル値を決定し、(b)アナログ音声サンプルストリーム内のサンプルとデジタル音声サンプルストリーム内のサンプル間の現在反転ステータスを決定し、(c)遅延履歴と反転ステータス履歴を更新し、(d)第1の信頼閾値との一致に関して現在相関サンプル値を検査し、(e)一致が段階(d)で見つかった場合に、遅延履歴内の第1の複数の値の各々が現在相関サンプル値の予め決められた範囲内で一致するかを決定し、(f)一致が段階(e)で見つかった場合に、反転ステータス履歴内の値が現在反転ステータスに一致するかを決定し、かつ(g)段階(f)で一致が見つかった場合に、デジタル音声サンプルストリームとの出力の混合を可能にするように構成された処理回路を含む。
【0016】
別の実施形態では、製造物品は、デジタル無線放送信号を処理する上述の方法を処理システムに実行させるようになった実行可能命令を含有するコンピュータ可読ストレージ媒体を含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】IBOC無線受信機の音声整合化アーキテクチャの機能ブロック図である。
図2A】音声整合化方法の機能ブロック図である。
図2B】音声整合化方法の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書に説明する実施形態は、混合関数を制御するためのデジタル無線放送信号のデジタル及びアナログ成分の処理に関する。本発明の開示の態様は、例示的IBOCシステムの関連で提示されるが、本発明の開示は、IBOCシステムに制限されないこと、及び本明細書の教示が他の形態のデジタル無線放送にも同様に適用可能であることを理解しなければならない。
【0019】
図面を参照すると、図1は、IBOC無線受信機10の音声整合化アーキテクチャの機能ブロック図である。IBOC信号は、アンテナ12上で受信され、かつチューナと、ライン18上のデジタル音声復調器16及びライン22上のアナログ音声復調器20に渡される中間周波数信号を生成するためのアナログ/デジタル変換器とを含むフロントエンド回路14内で処理される。アナログ音声復調器は、ライン24上に音声サンプルのストリームを生成する。音声サンプルのこのストリームは、受信IBOC無線信号のアナログ変調部分から導出されるので、それは、この説明ではアナログ音声ストリーム(又はアナログ音声部分)と呼ぶ。デジタル音声復調器は、ライン26上に音声サンプルのストリームを生成する。音声サンプルのこのストリームは、受信IBOC無線信号のデジタル変調部分から導出されるので、それは、この説明ではデジタル音声ストリーム(又はデジタル音声部分)と呼ぶ。デジタル音声ストリームのサンプルは、複数のデジタル音声バッファ28に格納される。アナログ音声ストリームのサンプルは、ブロック30でサンプルレート変換を受けて複数のアナログ音声バッファ32に格納される。整合化処理が、ブロック34でアナログ及びデジタル音声バッファ内のサンプルに対して実行される。整合化処理は、デジタル音声サンプルの整合化を調節するのに使用されるオフセット値をライン36上に生成してライン40上に整合化されたデジタル音声信号を生成する。ベースバンドプロセッサも、アイテム44内で実行される混合関数を制御する混合信号をライン42上に生成する。アナログ信号は、異なるプロセッサ上にある可能性があるので、整合化を達成するのにデジタル音声ストリームだけが修正される。更に、現在再生中の音声ストリームの遅延に対して調節を行うことは、ユーザに対して望ましくないことになる歪み/アーチファクトに至る可能性がある。
【0020】
混合関数は、アナログ音声サンプル及びデジタル音声サンプルを受信してライン46上に出力を生成する。混合関数の出力は、ブロック48で音声処理を受け、かつデジタル−アナログコンバータ52内でアナログ信号に変換されてスピーカ56のような出力デバイスに送信される信号をライン54上に生成する音声出力をライン50上に生成する。
【0021】
AM及びFMのIBOC送信システム内のデジタル無線放送信号の送信の基本単位は、典型的に秒の桁の持続時間であるモデムフレームである。固定数の音声フレームを各モデムフレームに割り当てることができる。音声フレーム周期は、音声フレーム内のサンプルをレンダリングするのに、例えば、ユーザのための再生音声に必要な時間の長さである。例えば、音声フレームが、2048サンプルを含有し、サンプリング周期が、22.67μsecである場合に、音声フレーム周期は、約46.44ミリ秒であると考えられる。スケジューラーが、各モデムフレーム内の音声フレームに割り当てられるビットの総数を決定する。
【0022】
図2A及び2Bは、図1の受信機内で実行することができる音声整合化方法の機能ブロック図を示している。図2A及び2Bは、遅延がアナログ音声サンプルとデジタル音声サンプル間で測定される反復処理を示し、測定された遅延は、1又は2以上の履歴遅延(例えば、以前の測定からの)と比較されて予め決められた信頼レベルを満足するかを決定する。この信頼試験の結果は、デジタル音声出力とのアナログ音声出力の混合を可能にするのに十分な整合化が存在するかを決定するのに使用される。
【0023】
ブロック60では、デジタル音声サンプルのストリームとアナログ音声サンプルのストリームが処理のために提示されている。これらのサンプルは、複数の音声フレームに配置することができる。デジタル及びアナログ音声ストリームは、同じプログラムコンテンツを表すことができる。
【0024】
ブロック62では、走査範囲(すなわち、次の相関演算に使用されるサンプルの数)を決定してダウンサンプリング係数nを決定するのに構成パラメータが調べられる。ダウンサンプリング係数(粗い整合化)は、精細な整合化がその後の反復に対して見つからなかった場合に混合に許容可能なレベルの精度を維持しながらより大きい走査範囲に対してより短い処理時間を与えるように選択される。より小さい走査範囲は迅速処理を可能にするが、大きい遅延が検出される機能を制限する。より大きい走査範囲は、処理を開始することができる前にバッファに入れるのに長くかかるが、単一パスで大きい遅延を見出す可能性を有する。
【0025】
ブロック64では、信頼閾値及び履歴長さパラメータがロードされる。この説明に使用する時の信頼閾値は、遅延結果が有効と見なされるのに必要な最小信頼値(相関ライブラリによって提供することができる)である。様々な実施形態では、信頼値は、相関ライブラリからの相関結果の強度を表す整数とすることができる。
【0026】
履歴長さは、信頼閾値の各々に結び付けられた現在の値と比較される以前の値の数に対する設定可能パラメータである。より高い信頼は、現在の値に符合させるのにより少ない以前の値を必要とし、より低い信頼は、現在の値に符合させるのにより多くの以前の値を必要とする。ここでの値は、2つの部分、すなわち、相関ライブラリによって戻された計算遅延と位相反転表示子とを有する。これらの各々は、相関パスが成功した(すなわち、信頼>閾値)後に保存され、かつ現在の遅延及び反転と比較される(最初に遅延と比較される)。最小信頼値は、信頼閾値と同じであり、すなわち、結果が有効であると見なされるために相関ライブラリからの信頼が超えなければならない構成において設定された整数値と同じである。
【0027】
信頼閾値は、例えば、高閾値、中間閾値、及び低閾値を含むことができる。これらの閾値は、第1、第2、及び第3の閾値とそれぞれ呼ぶことができる。履歴長さは、短期履歴、中期履歴、及び長期履歴を含むことができる。これらの履歴長さは、第1、第2、及び第3の履歴長さとそれぞれ呼ぶことができる。履歴長さは、その後の信頼試験に使用されるサンプルの数を指定する。ここでのサンプルは、整合化遅延及び位相反転に対する以前の相関結果である。音声ストリームは、フレーム毎に決して保存されない。
【0028】
相関演算は、デジタル音声サンプルとアナログ音声サンプル間の相対的遅延を決定するためにブロック66で実行される。相関演算はまた、デジタル音声サンプルとアナログ音声サンプル間の反転の表示と信頼尺度とを提供する。音声波形が0の周りで上下に反転し、すなわち、−1によって乗算された時に反転が発生する。例えば、位相反転正弦波では、通常は1でのピークが−1で発生し、通常は−1でのピークが1で発生するであろう。理想的な例では、2つのそれ以外は同一かつ時間整合化されるが位相反転された音声ソースが互いに混合される場合に、出力でのどのサンプルの和も0であり、音声はサイレンスであろう。実際には、音声レベルは、2つの位相反転ストリームを混合することによって引き起こされる相殺に起因して混合しながら顕著に落ち込み、混合が完了して1つのストリームだけが出力される状態で回復する。相関ライブラリは、位相が反転された信号を送信する。反転が見つかった場合に、整合化遅延バッファから出力遅延バッファにコピーされた時に整合化処理が音声処理層への訂正に対する必要性にフラグを立て、デジタル音声の出力が−1によって乗算される。信頼尺度は、信頼閾値と比較される相関ライブラリによって戻された値である。基本閾値よりも低い信頼尺度値は一致処理にパスせず、別の反復を強制する。この例における閾値は、0から127の範囲とすることができる常に整数である。
【0029】
中間及び高信頼閾値は、低(又は基本)閾値プラス定数の形態を取ることができる。信頼閾値は、高信頼閾値定数が中間閾値定数よりも大きく、かつ中間閾値定数がゼロよりも増大するように実施される。履歴長さ(窓サイズ)は、高信頼窓サイズが中間信頼窓サイズよりも小さく、かつ中間信頼窓サイズが低信頼窓サイズよりも小さくなるように実施される。
【0030】
遅延及び反転ステータス履歴は、ブロック68に示すように更新される。反転履歴は、バイナリ0/1値として格納することができる(反転されないか又は反転されて表される)。履歴は、現在の反復の検出された反転と以前の反転を比較するのに使用される。矛盾した反転履歴は、比較された信号の類似であるが同一ではない部分で計算された相関ピークを除外するのに使用される。これは、相関における一般的な偽陽性であり、実際の遅延であるが負のピークを有するとして類似の計算された遅延に現れることが多い。
【0031】
履歴更新は、直近の反復からの値を以前の反復からの値(動的構成変更を可能にするための最大設定可能履歴長さまで)を含有する遅延及び反転の各々のバッファにコピーすること及び同じバッファから最も古い値を取り除くことによって達成される。遅延及び反転は、相関からの結果である。短期、中期、及び長期履歴長さは、遅延及び反転の各々の現在の反復と比較される以前の反復の数の尺度である。全体履歴長さは、走査範囲の長さによって定められた離散窓に分割された時間履歴を表している。パス結果の合計時間履歴は、一致する結果を見出すのに必要な連続的な反復の数によって乗算された走査範囲の長さである。
【0032】
ブロック66で相関ライブラリによって戻された信頼尺度は、ブロック70に示すように高信頼閾値と比較される。尺度が高信頼閾値よりも大きい場合に、現在の反復によって戻された遅延は、ブロック72に示すように遅延履歴からのアイテムの短い履歴数と比較される。アイテムは、相関の以前の反復からの遅延オフセット及び位相反転結果である。遅延履歴は、ブロック74に示すように短い履歴長さ構成によって指定された以前の相関結果の数における一致に関して検査される。履歴窓の長さ(以前の相関結果の数)に等しい連続符合がある時に、±nの許容範囲では(ここでnはダウンサンプリング係数である)、履歴一致検査は、パスするとして定義される。いずれの他の結果も失敗である。例えば、履歴内の値は、現在の値の±n内になければならず、すなわち、n=5(ダウンサンプリング)、現在の値=5、履歴値=10、0がパス結果である。同様に、n=1(ダウンサンプリングなし)、現在の値=4、履歴値=3では、5がパス結果である。
【0033】
現在の値は、検査される履歴長さに含まれる。これは、履歴が検査の前に更新されるためである。例えば、3の履歴長さは、現在の値を以前の2つの値と比較する。現在の値との一致は、±nに等しい遅延履歴として定義され、現在の値に反転履歴で100%一致する。
【0034】
ブロック70の比較が高信頼閾値を満足しない場合に、ブロック66で決定された信頼尺度は、ブロック76に示すように中期履歴信頼閾値と比較される。信頼尺度が中期履歴信頼閾値よりも大きい場合に、現在の反復によって戻された遅延は、ブロック78に示すようにアイテムの中期履歴数と比較される。アイテムは、相関の以前の反復からの遅延オフセット及び位相反転結果である。比較が中間信頼閾値を超えた場合に、ブロック74に示したように中期履歴長さ構成によって指定された以前の相関結果の数における一致が遅延履歴で検査される。
【0035】
ブロック76の比較が中間信頼閾値を満足しない場合に、ブロック66で決定された信頼尺度は、ブロック80に示すように低履歴信頼閾値と比較される。尺度が低履歴信頼閾値よりも大きい場合に、現在の反復によって戻された遅延は、ブロック82に示すように低信頼結果のアイテムの長期履歴数と比較される。比較が中間信頼閾値を超えた場合に、ブロック74に示したように長期履歴長さ構成によって指定された以前の相関結果の数における一致に関して遅延履歴で検査される。
【0036】
ブロック72、78、及び82は、検査される履歴サイズが各信頼閾値に結び付けられることを示す。ブロック74は、履歴検査の全体、すなわち、「各アイテムは現在の反復の履歴±nにあるか?」を見ている。
【0037】
高、中間、及び低閾値に対して信頼を試験する段階は、例えば、高信頼閾値を満足する場合に速い結果を達成する機会を提供し、少数の相関履歴サンプルを使用して決定を実行することができ、従って、時間をそれ程必要としない。
【0038】
遅延履歴内の値が直近の値の±nサンプル内で一致する場合に、反転履歴の各値は、ブロック84に示すように現在の反転値との一致に関して検査される。一致が見つかった場合に、時間整合化は、ブロック86に示すようにパスする。
【0039】
一致する遅延及び反転値がアナログ音声及びデジタル音声ストリーム間で見出され、デジタルストリームに適用された状態で、次に、出力をアナログからデジタルと混合することができる。本発明のシステムがブロック88に示すように予めデジタルと混合されている場合に、整合化試行カウンタがリセットされる。出力がデジタルと混合されなかった場合に、デジタル音声遅延は、ブロック90に示すように現在の履歴窓からの平均遅延(最も近い整数に切り捨てられる)によって調節される。
【0040】
ブロック90のデジタル音声調節に続いて、ブロック92は、ダウンサンプリングされた音声入力が有効にされたかを決定するための検査を示している。有効である場合に、その後の反復は、ブロック94に示すように精細検索として構成される。精細検索は、ダウンサンプリングのない検索、すなわち、n=1である。
【0041】
ダウンサンプリングされた音声入力が有効でない場合に、その後の反復は、ブロック96に示すように粗い検索として構成される。粗い検索は、ダウンサンプリングを用いる検索、すなわち、n≠1である。次に、整合化関数は、ブロック98に示すように混合関数によって提供された混合信号の上書きを中止する。混合ステータスは、システム全体がデジタル音声を再生することを可能にするフラグである。混合ステータスフラグは、ソフトウエアが混合信号をトリガするための手段である。混合信号及び混合ステータスフラグは、この説明では同じと考えることができる。
【0042】
図2Bの混合ステータスは、本発明のシステムがアナログ出力状態に留まるように混合関数によって提供された混合信号を上書きする。順序は以下の通りであり、すなわち、混合関数が混合をデジタル信号に送信し、整合化が見つかったかを整合化関数が決定し、整合化関数が、必要に応じてアナログに留まるために混合信号を上書きする。整合化が見つかった状態で、整合化関数は介入せず、混合関数結果が優先権を取る。自動整合化処理が有効にされる時に、整合化が見出されるか又は許可された試行の数が使い果たされるまで(設定可能)、混合関数から送られる混合信号を上書きする。本発明のシステムの他の部分は、デジタルとの混合を回避することができる。
【0043】
ブロック70、76、及び80での信頼閾値試験、ブロック74での遅延履歴一致試験、又はブロック84での反転履歴試験が満足されなかった場合に、整合化反復は、ブロック100に示すように失敗し、整合化試行カウンタがブロック102に示すように増分される。
【0044】
出力がブロック104に示すようにデジタルと混合されなかった場合に、混合信号は、ブロック106に示すようにアナログ音声出力を強制するために上書きされる。出力がデジタルと混合されている場合に、本発明のシステムは、試行の最大数に到達したかをブロック108で検査する。到達した場合に、本発明のシステムは、これが即時混合モードであるかをブロック110で検査して決定する。即時混合モードは、受信機が、整合化が見出されないままで反復の予め決められた設定可能な数の後に混合することを可能にする設定可能オプションである。混合は、整合化がその反復の数内で見出されないが音声が不整合化されることになる場合にこの状況でより速く発生することになる。
【0045】
本発明のシステムが即時混合モードではない場合に、整合化試行カウンタは、ブロック112でリセットされ、本発明のシステムは、その後の反復のためにブロック114でその後の音声フレームに進む。整合化試行カウンタは、ブロック98の作動に応答してリセットされる。
【0046】
図2A及び2Bは、アナログからデジタルへの初期混合の前に少なくとも2度実行することができる反復処理を示している。アイテム番号120、122、124、126、及び128は、図2A及び図2Bに共通であるラインを識別する。
【0047】
連続相関演算は、例えば、46ミリ秒から3秒の予め決められた時間制限値(すなわち、走査長さ又は走査範囲)の間で選択することができるローリング時間窓を用いて実施することができる。相関演算は、遅延値及び信頼尺度を提供することができる。遅延値及び信頼尺度は、数学的相関演算を実施するブラックボックス演算によって計算することができる。例えば、遅延、信頼尺度、及び反転信号を提供するあらゆる相関関数を使用することができる。
【0048】
説明した処理は、デジタル音声が再生されている間も背景で継続させることができる。これは、整合化及び混合を決定するために最初に使用される音声ではなく将来のデジタル音声停止のための直近の高品質デジタル音声に基づいて遅延及び反転履歴が更新及び保存されることを可能にする。デジタル音声ストリームに適用される反転及び/又は遅延への更新は、背景処理中は許可されない。
【0049】
デジタル音声停止の場合に、以前の試行からの遅延及び反転履歴が保存され、デジタル音声が利用可能になった時に整合化検査に使用される。これは、本発明のシステムが、デジタル及びアナログ音声の整合化が変更されず、自動整合化システムの範囲を超える何かがデジタル対アナログ整合化に影響を与えている場合に累積される完全な新しい履歴だけを要求することによって停止に続いて迅速に混合することを可能にする。検出された遅延又は反転値のいずれの変更も、デジタル音声停止に続くその後のアナログ対デジタル混合中のデジタル音声ストリームに適用され、すなわち、デジタル音声停止によって発生するデジタルからアナログ音声への混合、続いてアナログ音声の期間、及び新しく決定された値を使用してアナログからデジタル音声への混合で終わる。
【0050】
図2A及び2Bに示す機能は、ベースバンドプロセッサ、例えば、本明細書に説明した機能を実行するように構成された(例えば、ソフトウエア及び/又はファームウエアでプログラムされた)1又は2以上に処理ユニット(例えば、プロセッサ又は他の回路)を含むことができる処理システムを含むことができるベースバンドプロセッサで実行することができ、ベースバンドプロセッサの処理システムは、あらゆる適切なメモリ(例えば、RAM、フラッシュROM、ROM)に適切に結合することができる。
【0051】
本明細書に説明する例示的手法は、ソフトウエア、ファームウエア、及びハードウエアのあらゆる適切な組合せを使用して実施することができ、これらのあらゆる特定の組合せに制限されない。あらゆる適切な処理システムを使用して本明細書に説明する例示的手法を実施するためのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ可読ストレージ媒体、磁気ディスク又は他の磁気メモリのような物理的オブジェクトであるストレージ媒体、光学ディスク(例えば、DVD)又は他の光学メモリ、RAM、ROM、又はフラッシュメモリ、メモリカードのようなあらゆる他の適切なメモリ上に具現化することができる。
【0052】
本発明は、いくつかの実施形態に関して説明したが、以下の特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲から逸脱することなく開示する実施形態に様々な変更を加えることができることは当業者に明らかであろう。上述の実施形態及び他の実施形態は、特許請求の範囲内である。
【符号の説明】
【0053】
10 IBOC無線受信機
12 アンテナ
16 デジタル音声復調器
20 アナログ音声復調器
34 整合化アルゴリズム
図1
図2A
図2B