特許第6812452号(P6812452)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6812452繊維性ウェブからロールを巻くための巻き取り機及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6812452
(24)【登録日】2020年12月18日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】繊維性ウェブからロールを巻くための巻き取り機及び方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 18/20 20060101AFI20201228BHJP
【FI】
   B65H18/20
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-546694(P2018-546694)
(86)(22)【出願日】2017年2月17日
(65)【公表番号】特表2019-509953(P2019-509953A)
(43)【公表日】2019年4月11日
(86)【国際出願番号】EP2017053608
(87)【国際公開番号】WO2017157609
(87)【国際公開日】20170921
【審査請求日】2019年8月30日
(31)【優先権主張番号】16160363.4
(32)【優先日】2016年3月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519183807
【氏名又は名称】バルメット、ソチエタ、ペル、アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】ファブリツィオ、バルトリーニ
【審査官】 西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−194534(JP,A)
【文献】 特開昭52−110909(JP,A)
【文献】 特開平02−163248(JP,A)
【文献】 特開2002−316752(JP,A)
【文献】 特開昭51−096512(JP,A)
【文献】 実開昭57−096134(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 18/00 − 18/28
B65H 23/195
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙ウェブ又は不織布材料のウェブなどの繊維性ウェブからウェブロール(2)を巻き取るための巻き取り機(1)であって、前記巻き取り機(1)は、巻き取りの間前記ウェブロール(2)を支持するための2つの支持ロール(3、4)と;前記ウェブロール(2)を巻き取るためのコアシャフト(5)と;キャリアチャック(6)であって、キャリアチャック(6)において前記コアシャフト(5)の各長手方向端部において前記コアシャフト(5)が回転可能にジャーナル支持される、キャリアチャック(6)と;フレーム(7)であって、フレーム(7)において前記キャリアチャック(6)が前記支持ロール(3、4)に向けて又は前記支持ロール(3、4)から離れるように移動可能に設けられる、フレーム(7)と;巻かれている前記ウェブロール(2)に対して作用することができるように設けられるライダーロール(8)と;前記ライダーロール(8)を支持するライダーロール梁(9)であって、前記ライダーロール(8)が前記支持ロール(3、4)に向けて又は前記支持ロール(3、4)から離れるように移動されることができるように、前記フレーム(7)において移動可能に設けられるライダーロール梁(9)と;前記ライダーロール梁(9)を前記支持ロール(3、4)に向けて又は前記支持ロール(3、4)から離れるように移動させるための少なくとも1つのアクチュエータ(10)と;前記ライダーロール(8)と前記ウェブロール(2)との間の力を検出するように設けられる少なくとも1つのロードセル(12)と;を備え、前記巻き取り機(1)はまた、前記コアシャフト(5)の前記キャリアチャック(6)を前記ライダーロール梁(9)とは独立して移動させるための少なくとも1つのアクチュエータ(11)を備え;前記巻き取り機(1)は、前記キャリアチャック(6)が前記コアシャフト(5)に及ぼす力を検出するように設けられる少なくとも1つのロードセル(13)を備え、前記巻き取り機(1)は、前記ロードセル(12、13)に接続される論理制御システム(14)を備え、前記論理制御システム(14)は前記ウェブロール(2)と前記ライダーロール(8)との間の力と前記キャリアチャック(6)が前記コアシャフト(5)に及ぼす力とに関する測定された値を受け取り、前記論理制御システム(14)は、巻かれている前記繊維性ウェブの想定される厚さ及び坪量と機械速度とに基づいて前記ウェブロール(2)の径及び重量を計算するようにプログラムされ、前記論理制御システム(14)は、前記ライダーロール梁(9)及び前記キャリアチャック(6)のための前記アクチュエータ(10、11)を制御するように設けられ、前記論理制御システム(14)は、前記ロードセル(12、13)からの検出された力と前記ウェブロール(2)の計算された重量によってもたらされる力との総計が前記ウェブロール(2)と前記支持ロール(3、4)との間の力に関する設定値に対応するように、前記キャリアチャック(6)及び前記ライダーロール梁(9)の移動を制御するようにプログラムされる、ことを特徴とする巻き取り機。
【請求項2】
少なくとも2つのロードセル(13)が、前記キャリアチャックが前記コアシャフトに及ぼす力を測定するように設けられ、各キャリアチャックにおいて少なくとも1つのロードセルを含む請求項1に記載の巻き取り機。
【請求項3】
少なくとも2つのロードセル(12)が、前記ライダーロール(8)と前記ウェブロール(2)との間の力を測定するように設けられ、前記ライダーロール梁(9)の各軸方向端部に配置される少なくとも1つのロードセル(12)を含む請求項1又は2に記載の巻き取り機。
【請求項4】
前記キャリアチャック(6)及び前記ライダーロール梁は、前記ウェブロールの径の計算された値に基づいて前記支持ロール(3、4)に対して移動される請求項1に記載の巻き取り機。
【請求項5】
前記論理制御システム(14)は、前記ライダーロール(8)と前記ウェブロール(2)との間の力に関する期待値と前記キャリアチャックが前記コアシャフト(5)に及ぼす力に関する期待値とを計算するようにプログラムされ、それらの期待される力の値は、前記ウェブロール(2)の計算された径に基づいており、前記論理制御システム(14)は、測定された力の値が前記期待値から逸脱する場合には前記ウェブの厚さの値を再計算するようにプログラムされている請求項1に記載の巻き取り機。
【請求項6】
前記巻き取り機は、前記ライダーロール梁(9)及び前記コアシャフトの各軸方向端部において、少なくとも1つのねじ付きバー(15)を更に備え、当該少なくとも1つのねじ付きバー(15)は、前記キャリアチャック(6)及び前記ライダーロール梁(9)の移動の方向に延在し、前記キャリアチャック(6)及び前記ライダーロール梁のための前記アクチュエータ(10、11)は、前記ねじ付きバー(15)上に設けられており、前記キャリアチャック(6)及び前記ライダーロール梁(9)を前記支持ロール(3、4)に向けて又は前記支持ロール(3、4)から離れるように移動させるように前記ねじ付きバー(15)と相互に作用するねじ付き片を具備する、請求項1に記載の巻き取り機。
【請求項7】
巻き取り機(1)において繊維性ウェブを巻き取ってロール(2)にする方法であって、当該巻き取り機(1)は、巻き取りの間前記ロール(2)を支持するための2つの支持ロール(3、4)と;前記ウェブを巻き取ってウェブロール(2)にするためのコアシャフト(5)と;キャリアチャック(6)であって、キャリアチャック(6)において前記コアシャフト(5)の各長手方向端部において前記コアシャフト(5)が回転可能にジャーナル支持される、キャリアチャック(6)と;フレーム(7)であって、フレーム(7)において前記キャリアチャック(6)が前記支持ロール(3、4)に向けて又は前記支持ロール(3、4)から離れるように移動可能に設けられるフレーム(7)と;巻かれている前記ウェブロール(2)に対して作用することができるように設けられるライダーロール(8)と;ライダーロール(8)を支持するライダーロール梁(9)であって、前記ライダーロール(8)が前記支持ロール(3、4)に向けて又は前記支持ロール(3、4)から離れるように移動されることができるように前記フレーム(7)において移動可能に設けられるライダーロール梁(9)と;を備え、前記方法において、前記ライダーロール(8)が前記ウェブロール(2)に及ぼす力が検出され、前記コアシャフト(5)が前記ウェブロール(2)に及ぼす力も検出され、前記ウェブロール(2)の重量は、ウェブ厚さ及び坪量に関する値が考慮されて、機械速度に基づいて連続的に計算され、前記ライダーロール(8)、前記コアシャフト(5)及び前記ウェブロール(2)の重量によってもたらされる力は、連続的に計算されて、結果としてもたらされる計算された力が前記ウェブロール(2)と前記支持ロール(3、4)との間のニップ力に関して設定された所望の値と適合するか否かを確かめるように、前記ウェブロール(2)と前記支持ロール(3、4)との間のニップ力に関して設定された所望の値と比べられ、前記結果としてもたらされる計算された力と前記設定された所望の値との間に偏差がある場合、前記キャリアチャック(6)及び/又は前記ライダーロール梁(9)は、前記偏差が取り除かれるまで移動させられる、ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙ウェブなどの紙ウェブや不織布材料のウェブからロールを巻き取るための巻き取り機及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
巻き取り機は、抄紙機で製造された紙ロールがより狭いロールに変換される際に変換する目的で一般的に使用され、その巻き取り機は、ウェブをより狭くするために使用されるスリッターと関連して一般に使用される。巻き取り機の一例は、米国特許第5,320,299号に開示されている。巻き取り機は、巻き取られている紙ロールが支持される支持ロール又は支持ドラムを有することができる。巻き取り機は、不織布材料のウェブにも使用される。本発明の目的は、巻き取り作業の重要なパラメータを効果的に制御できる改良された巻き取り機及び改良された巻き取り方法を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,320,299号
【発明の概要】
【0004】
本発明は、紙などの繊維性ウェブや不織布材料のウェブのウェブロールを巻くための巻き取り機に関する。この特許出願の文脈において、「ウェブロール」という用語は、例えば紙ロールなど、紙又は不織布材料などの繊維性ウェブのロールとして理解されるべきである。本発明の巻き取り機は、巻き取り中にウェブロールを支持するための2つの支持ロールと、紙や不織布材料のロールを巻き取るためのコアシャフトとを備える。コアシャフトの各長手方向端部には、コアシャフトが回転可能にジャーナル支持された(journalled)キャリアチャックが設けられている。本発明の巻き取り機は、キャリアチャックが支持ロールに向かって又は支持ロールから離れるように移動可能に配置されたフレームと、巻かれているロール、例えば紙ロールや不織布材料のロール、に対して作用することができるように配置されたライダーロールとを更に備える。ライダーロールは、ライダーロールが支持ロールに向かって又は支持ロールから離れるように動かされることができるよう、フレームにおいて移動可能に配置されたライダーロール梁によって支持される。巻き取り機はまた、ライダーロール梁を支持ロールに向けて又は支持ロールから離れるように動かすための少なくとも1つのアクチュエータを備え、少なくとも1つのロードセルが、紙や不織布材料のロール、すなわちウェブロール、と、ライダーロールとの間において力を検出するように設けられている。本発明によれば、巻き取り機はまた、ライダーロール梁とは独立してコアシャフトのキャリアチャックを移動させるための少なくとも1つのアクチュエータと、キャリアチャックがコアシャフトに及ぼす力を検出するように配置された少なくとも1つのロードセルとを備える。本発明の巻き取り機はまた、ロードセルに接続された論理制御システムを備え、論理制御システムは、ウェブロールとライダーロールとの間の力の測定値と、キャリアチャックがコアシャフトに及ぼす力の測定値と、を受け取る。論理制御システムは、巻かれている繊維性ウェブの想定される厚さ及び坪量及び機械速度に基づいて、ウェブロールの径及び重量を計算するようにプログラムされている。更に論理制御システムは、キャリアチャック及びライダーロールのためのアクチュエータを制御するように構成されている。ロードセルから検出された力と、ウェブロールの計算された重量から得られる力との総計が、ロールと支持ロールとの間の力の設定値に対応するように、論理制御システムは、キャリアチャック及びライダーロール梁の移動を制御するようにプログラムされている。
【0005】
本発明の好ましい実施形態において、少なくとも2つのロードセルは、キャリアチャックがコアシャフトに及ぼす力を測定するように配置され、各キャリアチャック上の少なくとも1つのロードセルを含む。
【0006】
好ましい実施形態において、少なくとも2つのロードセルは、ライダーロールとウェブロールとの間の力を測定するように配置され、ライダーロール梁の各軸方向端部に配置された少なくとも1つのロードセルを含む。
【0007】
本発明の実施形態では、ウェブロール径の計算値に基づいて、キャリアチャック及びライダーロール梁が支持ロールに対して移動される。
【0008】
論理制御ユニットは、ライダーロールとウェブロールとの間の力の期待値と、キャリアシャフトがコアシャフトに及ぼす力の期待値とを計算するように適宜プログラムされていてもよく、それらの力の期待値はウェブロールの計算された径に基づいている。そして、測定された力の値が期待値から逸脱すると、ウェブ厚さ(例えば紙の厚さ)の値は再計算されることができる。
【0009】
巻き取り機は、ライダーロール梁及びコアシャフトの各軸方向端部において、ライダーロール梁及びキャリアチャックの移動の方向に延びる少なくとも1つのねじ付きバーを更に備えてもよい。そして、キャリアチャック及びライダーロール梁のためのアクチュエータは、ねじ付きバーに配置されていてもよく、ねじ付きバーと相互作用してチャック及びライダーロール梁を支持ロールに向けて又は支持ロールから離れるように動かすように設けられた複数のねじ付き片を備えていてもよい。
【0010】
本発明はまた、巻き取り機においてウェブロール(例えば、紙ロール又は不織布材料のロール)を巻き取る方法に関し、その巻き取り機は、巻き取り中にウェブロールを支持する2つの支持ロールと、ウェブロールを巻き取るためのコアシャフト、すなわちその上にウェブロールが巻かれるコアシャフト、とを備える。本発明の方法で使用される巻き取り機において、コアシャフトの各長手方向端部には、コアシャフトが回転可能にジャーナル支持されたキャリアチャックと、キャリアチャックが支持ロールに向けて又は支持ロールから離れるように移動可能に設けられるとともにライダーロールがウェブロールに対して作用することができるように設けられたフレームと、がある。巻き取り機はまた、ライダーロールを担持するライダーロール梁を有し、ライダーロールが支持ロールに向けて又は支持ロールから離れるように移動されることができるように、ライダーロール梁はフレームにおいて移動可能に設けられている。本発明の方法では、ライダーロールがウェブロールに及ぼす力が検出される。本発明によれば、コアシャフトがウェブロールに及ぼす力も検出され、ウェブロールの重量は、ウェブの厚さ及び坪量、例えば繊維性ウェブの厚さ及び坪量、の値が考慮され、機械速度に基づいて連続的に計算される。ライダーロール、コアシャフト及びウェブロールの重量から得られる力は、連続的に計算され、ウェブロールと支持ロールとの間のニップ力の設定された所望の値と比較される。この目的は、計算された結果の力が、ウェブロールと支持ロールとの間のニップ力についての設定された所望の値と適合するかどうかを確かめることである。計算された結果の力と設定された所望の値との間に偏差がある場合、偏差がなくなるまで、キャリアチャック及び/又はライダーロール梁が移動される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、2つの支持ロール、ライダーロール及び巻かれたウェブロールを有する巻き取り機の基本的な概略図を示す側面図である。
図2図2は、巻き取り機における力平衡の概略図である。
図3図3は、図1のものと同様の図であるが、フレーム、ライダーロール用のキャリア梁、及びコアシャフト用のチャックも示す。
図4図4は、図3と同様の図であるが、他の構成要素の表示を簡略化するために支持ドラム及びウェブロールが取り除かれている。
図5図5は、ライダーロール及びコアシャフトを移動させるためのアクチュエータ構成の可能な実施形態の概略図である。
図6図6は、ウェブロールが時間の経過と共にサイズがどのように大きくなるかの概略図である。
図7図7は、本発明で使用されることができる基本制御ループの概略図である。
図8図8は、本発明で使用されることができる制御ループの別の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照すると、繊維性ウェブのウェブロール2を巻き取るための巻き取り機1が示されている。繊維性ウェブは、15g/m〜40g/mの範囲の坪量を有するティッシュペーパーのウェブなどの紙ウェブであってもよいが、本発明は他の繊維性ウェブにも使用することができる。図1からわかるように、巻き取り機1は、巻き取り中にウェブロール2を支持する2つの支持ロール3、4と、ウェブロール2を巻き取るためのコアシャフト5とを備える。ライダーロール8は、支持ロール又は支持ドラム3、4とは反対側のウェブロール2の側部を押圧するように構成されている。図2を参照すると、支持ロール3、4が、巻かれているウェブロール2と一緒に、それぞれニップN及びNを形成することが分かる。ニップN及びNにおけるニップ力は、すなわち支持ロール3、4とウェブロール2との間のニップ力は、それぞれ図2においてF及びFとして示されている。巻き取りの間、ニップN及びNにおける力F及びFを所定の所望の値に保ち、巻き取り作業の結果が良好になるようにすることが望ましい。本発明の目的は、これらの力が制御されることが可能な巻き取り機を実現することである。図2はまた、ライダーロール8からの力F、ウェブロール2自体の重量からの力F、及び更に説明される力Fを含む、ウェブロール2に作用する他の力を示す。これらの力は、ウェブロールのサイズが大きくなるにつれて変化するが、お互いにバランスが取られている。
【0013】
ここで、巻き取り機はフレーム7に配置されていることが分かる図3が参照される。ライダーロール8は、巻き取られているウェブロール2に対して作用することができるように構成されており、ライダーロール梁9によって支持されており、好ましくは、ライダーロール8が支持ロール3、4に向かって又は支持ロール3、4から離れるように動くことができるように、ライダーロール梁9はフレームにおける垂直ガイド(図示せず)においてスライドできるように構成されている。コアシャフト5の各長手方向端部には、コアシャフト5が回転可能にジャーナルで支えられるチャック6がある。巻き取り機1のチャック6の一方の側のみが図に示されているが、巻き取り機の反対側は同じに見え、同じ構成要素が巻き取り機の他方の側に存在するということが理解されるべきである。キャリアチャック6は、支持ロール3、4に向かって又は支持ロール3、4から離れるように移動可能に設けられている。本発明の複数の実施形態では、キャリアチャック6は支持梁6aを有し、当該支持梁6aは、フレーム7における垂直ガイドにおいてスライドできるように構成されうる。
【0014】
図4を参照すると、巻き取り機1は、ライダーロール梁9を支持ロール3、4に向けて又は支持ロール3、4から離れるように移動させることができる少なくとも1つのアクチュエータ10を備え、少なくとも1つのアクチュエータ11は、キャリアチャック6を支持ロール3、4に向けて又は支持ロール3、4から離れるように移動させることができるように設けられている。ライダーロール梁9及びチャック6のためのアクチュエータ10、11は、図5を参照して後に説明するように、互いに独立して動作することができる。
【0015】
図3及び図4において更に分かるように、ライダーロール8とウェブロール2との間の力を検出するように設けられた少なくとも1つのロードセル12がある。図3及び図4において、ロードセルはライダーロール梁9上に配置されているように示されているが、他の場所に配置されることもできることが理解されるべきである。少なくとも1つのロードセル13もキャリアチャック6上に配置され、この少なくとも1つのロードセル13は、キャリアチャック6がコアシャフト5に及ぼす力を検出するように設けられている。原則として、ロードセル12、13が巻き取り機の一方の側にのみ配置される実施形態が考えられるが、好ましくは、コアシャフト5の各軸方向端部に少なくとも1つのロードセル13があり、少なくとも1つのロードセル12がライダーロール梁9の各端部にある。ライダーロール梁9に1つのみのロードセル12が使用され、そのような単一のロードセルがライダーロール8の軸方向端部間のあるポイントに配置されうる実施形態も考えられる。いくつかのロードセル12が、ライダーロール8の軸方向延長部に沿った異なるポイントにおいてライダーロール梁上に配置されることも可能である。
【0016】
引き続き図4を参照すると、論理制御システム14が、ウェブロール2とライダーロール8との間の力の測定された値と、キャリアチャック6がコアシャフト5に及ぼす力の測定された値とを受け取ることができるように、ライダーロール8及びキャリアチャック6のためのロードセル12、13は、論理制御システム14に接続されている。
【0017】
論理制御システム14は、機械速度、及び巻かれている紙の想定される厚さ及び坪量に基づいて、ウェブロール2の径及び重量を計算するようにプログラムされている。以下で更に説明するように、論理制御システム14は、ライダーロール梁9及びキャリアチャック6のためのアクチュエータ10、11を制御するように設けられている。更に、ロードセル12、13から検出された力とウェブロール2の計算された重量から生じる力との総計が、ウェブロール2と支持ロール3、4との間の力の設定値に相当するように、論理制御システム14は、キャリアチャック6及びライダーロール梁9の移動を制御するようにプログラムされている。論理制御システム14は、コンピュータを適宜含むことができる。
【0018】
ここで、アクチュエータ10、11を実現するための1つの可能な実施形態が概略的に示されている図4及び図5が参照される。ねじ付きバー15は、フレーム7において配置されてもよく、場合によってはフレーム(又は機械床などの他の対象物)において固定されていてもよい。アクチュエータ10、11は、ねじ付きバー15と相互作用するように設計された要素16、17を備えていてもよい。例えば、要素16、17の回転がねじ付きバー15に沿った移動をもたらすように、要素16、17は、ねじ付きバー15と相互作用する雌ねじを有する要素であってもよい。アクチュエータ10、11がライダーロール梁9とチャック6のための支持梁6aとに締結され/固定的に接続され、アクチュエータ10、11がお互いに独立して作動されて制御されることができ、コアシャフト5とライダーロール8とは互いに独立して動かされることができる。巻き取り機1の両側において、すなわちコアシャフト5及びウェブロール2の各軸方向端部において、図5に示すような構成が用いられることができる。
【0019】
図5に示されるアクチュエータ構成は、独立して動作可能なアクチュエータ10、11の1つの可能な実施形態に過ぎないことが理解されるべきである。本発明に関係する当業者は、他の可能なアクチュエータを容易に思いつくことができる。
【0020】
本発明者によって考案された1つの代替可能性は、両方のアクチュエータ10、11に共通の固定されたねじ付きバー15の代わりに、ライダーロール梁9とチャック6のための支持梁6aとのための別個のねじ付きバー15があってもよい。そして、別個のねじ付きバーの回転によって、ライダーロール梁9及びチャックのための支持梁6aが移動されることができる。それらのねじ付きバー15は別個であるので、それらが別々に回転させられて固定要素16、17と相互作用させられることができ、それにより支持梁6a及びライダーロール梁が互いに独立して動かされることができる。ライダーロール梁9及び支持梁6aのための別個のねじ付きバー15を有する実施形態は、図面には示されていないが、上記の説明から明らかであるはずである。そのような実施形態において、論理制御システム14は、ねじ付きバー15の回転を制御するように構成及びプログラムされてもよい。
【0021】
したがって、ねじ付きバー15を使用するアクチュエータ解決が用いられる場合、少なくとも2つの実施形態があり、そのうちの1つの実施形態では、少なくとも1つのねじ付きバーが、ライダーロール梁9のアクチュエータ10と支持梁6aのアクチュエータ11との両方に共通である。これは、「共通のねじ付きバーの実施形態」と呼ばれうる。他の実施形態は、ライダーロール梁9の1又は複数のアクチュエータ10及び支持梁6aの1又は複数のアクチュエータ11のための別個の複数のねじ付きバーが存在する実施形態であり、この実施形態は「別個のねじ付きバーの実施形態」と呼ばれうる。共通のねじ付きバーの実施形態では、図4に示すように、巻き取り機の各側において2つの別個のねじ付きバー、すなわち総計4つのねじ付きバー15があってもよい。しかしながら、より良好な制御を与えるので(図4に示すように)2つのねじ付きバーが好ましいが、各側において1つのみのねじ付きバー15を使用することが可能である。別個のねじ付きバーの実施形態では、巻き取り機の各側において4つのねじ付きバーが、すなわち総計8つのねじ付きバー15があってもよい。
【0022】
アクチュエータ10、11は、他の形態をとることもできる。例えば、それらは、支持梁6a及びライダーロール梁9を動かすことができる油圧シリンダ又は他の種類のアクチュエータであってもよい。
【0023】
アクチュエータ10、11によって、ライダーロール8及びチャック6、ひいてはコアシャフト5は、ウェブロール2に作用してウェブロール2が力を受けるようにさせられることができる。例えば、ライダーロール8は、ウェブロール2(図2参照)に対して力Fを作用させる成長するウェブロール2に対し、多かれ少なかれ押し付けられることができる。同様に、コアシャフト5は、チャック6の移動によって、ライダーロールからの力Fの方向とは反対の方向を有しうる力Fを、成長するウェブロール2に及ぼすようにさせられることができる。このようにして、キャリアチャック6を持ち上げることが、支持ロール3、4に対するウェブロール2からの圧力を解放することを可能にする。ライダーロール9は、コアシャフト5とは独立して動かされることができるので、ライダーロール8とウェブロール2との間のニップ力Fは、制御されて独立して変えられることができ、それは多くの実際の用途において望ましいものとなりうる。
【0024】
巻き取り機1の動作の間、キャリアチャック6及びライダーロール梁9は、ウェブロール径の計算された値に基づいて、支持ロール3、4に対して移動される。図6を参照すると、ウェブロール2の径が時間とともにどのように増加するかが分かる。図6は、ウェブロール2が時間tにおいて第1のサイズ/径をどのように有するかを概略的に示す。巻き取り動作が継続すると、ウェブロール2の径が大きくなり、時間tでは径が増大している。図6において、半径は「X」として示されており、ウェブロールの半径が、どのようにして時点tにおいて半径Xを有し、その半径がどのようにして時点tにおいてXに成長したかが分かる。これを補うために、ウェブロール2の成長に伴い、コアシャフト5及びライダーロール8は支持ロール3、4から離すように移動させられる必要がある。コアシャフト5はウェブロール2の中間に位置し、ライダーロール8はウェブロール2の上面に位置しているので、ライダーロール8は明らかにコアシャフトよりも大きく移動しなければならない。この移動は、通常、垂直方向の移動であり、図にはそのように示されているが、必ずしもそうではない実施形態も考えられることに留意されるべきである。
【0025】
ここで、論理制御ユニット14のための基本制御ループが説明される図7が参照される。最初は、支持ロール3、4とウェブロール2との間のニップ力F、Fの設定された所望の値が論理制御システムに与えられる。ロードセル12、13は、ライダーロール8がウェブロール2に対して及ぼす力と、コアシャフト5がウェブロール2に対して及ぼす力とに関する実際の値を表す信号を送信する。
【0026】
引き続き図7を参照すると、所与の機械速度、すなわち繊維性ウェブの速度、が論理制御ユニットに与えられる。この速度は、図7において矢印WSで表されている。矢印WTによって表される所与のウェブの厚さも論理制御ユニット14に与えられる。図7には示されていないが、繊維性ウェブの坪量(すなわち、1平方メーター当たりのグラム)も論理制御ユニット14に与えられていることが理解されるべきである。繊維性ウェブの厚さ及び機械速度に関する所与の値に基づいて、論理制御ユニット14は、ウェブロール2の径及びウェブロール2の重量をも連続的に計算することができる。ウェブロール2の計算された径に基づいて、論理制御ユニット14は、アクチュエータ10、11に信号を送り、それらが作動させられてライダーロール8及びコアシャフト5を移動させて、それらの位置を、ウェブロール2の変化する径に適合させる。ロードセル12、13は、ライダーロール8a及びコアシャフト5がウェブロール2に及ぼす実際の力F及びFを表す信号を送る。そしてこれらの値に基づいて、論理制御ユニット14は、ウェブロール2の重量を、そしてそれによってウェブロール2の重量から生じる重力F図2参照)であって支持ロール3、4に向かう方向に作用する重力をも、計算することができる。そして論理制御ユニットは、ウェブロール2と支持ロール3、4との間の所望のニップ力F及びFと適合するべき簡単な式F+F−FCに従って、力F、F及びFの総計を比較することができる。勿論、当業者は、ニップ力F、Fが、ライダーロール8、コアシャフト5及びウェブロール2の重量から生じる力と全く同じ平面内では通常は作用しないことを認識し、力F、F、Fと同じ平面において作用する力成分が考慮される必要がある。これは当業者によく知られた基本数学の問題であるので、この態様の詳細な説明は必要ではない。
【0027】
論理制御ユニット14が、偏差があること、すなわち力F、F、及びFがニップ力F及びFと適合しないこと、を見つけた場合、論理制御システム14は補正動作を行う。例えば、論理制御システムが、ウェブロールに作用する力F、F、及びFの総計が、ニップN及びNのために設定されたニップ力F及びFに適合するべきものよりも大きいと判断した場合(図2参照)、論理制御システム14は、ニップ力N及びNが設定値よりも高いと結論付ける。そして論理制御システム14は、チャック6(そしてそれによりコアシャフト5)を支持ロール3、4から離れる方向へ移動させて、ニップ力F及びFが減少するようにニップN及びNを解放することをアクチュエータ11に命ずることによって、これを補正することができる。あるいは、1又は複数のアクチュエータ10は論理制御ユニット14により作動させられて、ライダーロール8からのウェブロール2に対する力が減少するように、ライダーロール8を支持ロール3、4から(図では鉛直上方に)遠ざけるように移動させることができる。また、論理制御システム14がライダーロール8及びコアシャフト5の両方を支持ロール3、4から離れるように移動させて、力F及びFに関する設定値が達せられるまでウェブロール2と支持ロール3、4との間のニップ力を減じることが可能である。
【0028】
同様に、論理制御ユニット14に到達するロードセル12、13からの読み取り値が、ウェブロール2に作用する力F、F、及びFの総計が、ニップN及びNに関して設定されたニップ力F及びFと適合するためにあるべきものよりも小さいことを示す場合、論理制御ユニット14は、ニップ力N及びNが設定値よりも小さいと結論付ける。これは、例えば、ウェブロール2と支持ロール3、4との間のニップ力F、Fを増加させるように、ライダーロール8を支持ロール3、4に向かって下方に移動させるよう1又は複数のアクチュエータ10に命令することによって打ち消されることができる。代替的に又はそのような命令と組み合わされて、論理制御ユニット14は、ウェブロール2と支持ロール3、4との間のニップ力F、Fの設定値が到達されたことをロードセル12、13からの読み取り値が示すまでコアシャフト5を支持ロール3、4に向けて移動させるように、1又は複数のアクチュエータ11に命じうる。
【0029】
次に、論理制御ユニット14のための異なる制御ループが示されている図8が参照される。ウェブ厚さに関する与えられた値が正しくないことが起こりうる。そのような場合、ウェブロール2の実際の径は、論理制御ユニット14が計算したものではない。しかし、コアシャフト5及びライダーロール8の動きを制御する論理制御ユニット14は、(それはそれらの位置を制御するので)コアシャフト5及びライダーロール8の実際の位置を知ることになる。したがって、論理制御ユニット14は、ロードセル12、13からの力の読み取り値がある限界の範囲内にあることも予期し、偏差に気付く。例えば、繊維性ウェブの厚さが、論理制御ユニットに与えられた想定値よりも高い場合、ロードセル12からの力の読み取り値は、エラーを発生させるはずの値よりも高くなる。図8の制御ループにおいて、PIDユニットからの信号は、アクチュエータ制御装置に直接的に与えられるだけではなく、PID thkで示されるブロックユニットにも与えられる。ユニットPIDthkに与えられた信号がエラーを示す場合、このユニットは、厚さの値を、計算された厚さの値CWTに再計算する。そして新しい厚さの値CWTは、新しい機能値が処理に使用されうるように、更に送られる。そして論理制御ユニット14は、ウェブ厚さの新しい値に基づいて動作し続けることができる。
【0030】
したがって論理制御ユニット14は、ライダーロール8とウェブロール2との間の力に関する期待値と、キャリアチャックがコアシャフト5に及ぼす力に関する期待値と、を計算するようにプログラムされており、それらの期待される力の値はウェブロール2の計算された径に基づいている。そして論理制御ユニットは、測定された力の値が期待値から逸脱する場合、ウェブの厚さの値を再計算することができる。
【0031】
巻き取り機及び巻き取りの方法に関してここでは本発明を説明してきたが、用語「巻き取り機」及び「巻き取りの方法」は、1つの同じ発明の異なる態様を反映するだけであり、方法は本発明の巻き取り機を作動させることの必然的な結果であるようなステップを含んでいてもよく、そのようなステップが明示的に言及されているか否かにはかかわらないことが理解されるべきである。
【0032】
本発明のおかげで、ウェブロール2と支持ロール3、4との間のニップ力の効果的な制御が実現されることができる。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8