特許第6812576号(P6812576)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6812576信号を発信して反射されたエコー信号を受信するためのセンサ、ならびに制御装置とこのようなセンサとを含むシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6812576
(24)【登録日】2020年12月18日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】信号を発信して反射されたエコー信号を受信するためのセンサ、ならびに制御装置とこのようなセンサとを含むシステム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/52 20060101AFI20201228BHJP
   G01S 15/931 20200101ALI20201228BHJP
   G01S 7/40 20060101ALI20201228BHJP
   G01S 13/931 20200101ALI20201228BHJP
   G08C 19/00 20060101ALI20201228BHJP
   G08C 25/00 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
   G01S7/52 U
   G01S15/931
   G01S7/40 182
   G01S13/931
   G08C19/00 S
   G08C25/00 H
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-561265(P2019-561265)
(86)(22)【出願日】2018年5月7日
(65)【公表番号】特表2020-518828(P2020-518828A)
(43)【公表日】2020年6月25日
(86)【国際出願番号】EP2018061647
(87)【国際公開番号】WO2018206477
(87)【国際公開日】20181115
【審査請求日】2019年11月7日
(31)【優先権主張番号】102017207680.1
(32)【優先日】2017年5月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 依子
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】クロッツ,アルブレヒト
(72)【発明者】
【氏名】トレプトウ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ディルク
(72)【発明者】
【氏名】シューマン,ミヒャエル
【審査官】 藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−265075(JP,A)
【文献】 特開2017−078710(JP,A)
【文献】 特開2006−010446(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0260833(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102014118566(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00− 7/42
G01S 7/52− 7/64
G01S 13/00−15/96
G08C 19/00
G08C 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログ測定信号(101)を出力するようにセットアップされた、信号を発信して反射されたエコー信号を受信するための少なくとも1つの変換器(12)と、アナログ測定信号(101,102)をデジタル測定信号(104)に変換するためのアナログ/デジタルコンバータ(22)と、デジタル測定信号(104)を評価するための評価ユニット(30)と、前記評価ユニット(30)により生成される測定結果(110)をデジタル通信インターフェース(50)を介して伝送するための通信ユニット(40)とを含むセンサ(10)であって、前記通信ユニット(40)は、前記デジタル通信インターフェース(50)を介して診断データ(54)の要求(52)を受信するようにセットアップされ、さらには前記センサ(10)を診断動作に切り換えて、要求される診断データ(54)を前記デジタル通信インターフェース(50)を介して伝送するようにセットアップされる、そのようなセンサにおいて、前記通信ユニット(40)は前記デジタル通信インターフェース(50)を介して少なくとも2つの異なるデータレートで通信をするようにセットアップされ、診断データ(54)を伝送するために、前記センサ(10)の通常動作で前記測定結果(110)を伝送するためよりも高いデータレートが適用されることを特徴とするセンサ。
【請求項2】
前記診断データ(54)が、前記デジタル測定信号(104)、該デジタル測定信号(104)の包絡曲線、および/または前記デジタル測定信号(104)のI/Q復調を含むことを特徴とする、請求項1に記載のセンサ(10)。
【請求項3】
前記デジタル測定信号(104)がデジタルフィルタ(24)を有する前記評価ユニット(30)によって処理され、前記診断データ(54)がフィルタリングされたデジタル測定信号(106)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のセンサ(10)。
【請求項4】
前記評価ユニット(30)が前記デジタル測定信号(104)を参照信号と相関づけるようにセットアップされ、相関づけられた信号が生成され、前記診断データ(54)が、前記参照信号、前記相関づけられた信号の振幅、前記参照信号と前記デジタル測定信号(104)の間の位相位置の一致の程度から選択されたデータ、またはこれらのデータのうち少なくとも2つの組み合わせを含むことを特徴とする、請求項13のいずれか項に記載のセンサ(10)。
【請求項5】
前記評価ユニット(30)が、前記デジタル測定信号(104)、相関づけられた信号、またはフィルタリングされたデジタル測定信号(106)における局所的な最大値を認識するようにセットアップされ、前記診断データ(54)が認識された最大値に関するパラメータを含むことを特徴とする、請求項14のいずれか項に記載のセンサ(10)。
【請求項6】
前記診断データ(54)がセンサパラメータを含むことを特徴とする、請求項15のいずれか項に記載のセンサ(10)。
【請求項7】
前記通信ユニット(40)がコンフィグレーションデータを受信してコンフィグレーションデータに依存してセンサパラメータをコンフィギュレーションするようにセットアップされることを特徴とする、請求項16のいずれか項に記載のセンサ(10)。
【請求項8】
前記デジタル通信インターフェース(50)が、CANバス(4)、PSI5インターフェース、電流変調式のポイント・ツー・ポイント接続、またはLINバスとして構成されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか項に記載のセンサ(10)。
【請求項9】
前記センサ(10)が超音波センサまたはレーダセンサとして構成されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか項に記載のセンサ(10)。
【請求項10】
制御装置(60)と、請求項1〜9のいずれか項に記載の少なくとも1つのセンサ(10)とを含むシステム(2)において、前記制御装置(60)と少なくとも1つの前記センサ(10)とはデジタル通信インターフェース(50)を介して相互に接続されている、そのようなシステムにおいて、前記制御装置(60)が診断データ(54)を少なくとも1つの前記センサ(10)に要求して評価するようにセットアップされることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログ測定信号を出力するようにセットアップされた、信号を発信して反射されたエコー信号を受信するための少なくとも1つの変換器と、アナログ測定信号をデジタル測定信号に変換するためのアナログ/デジタルコンバータと、デジタル測定信号を評価するための評価ユニットと、評価の結果をデジタル通信インターフェースを介して伝送するための通信ユニットとを含むセンサに関する。本発明の別の態様は、制御装置とこのようなセンサとを含むシステムに関し、制御装置と少なくとも1つのセンサとはデジタル通信インターフェースを介して相互に接続される。
【背景技術】
【0002】
現代の車両は数多くのセンサを有しており、これらを通じて車両の周辺に関する情報が取得される。取得されたデータに依拠する車両システムの安全な動作を保証するために、使用されるセンサを車両への組付後にも再点検できるのが望ましい。
【0003】
特許文献1より、自動車のデータ回線への通信接続部を装備する自動車のための超音波センサが公知である。このセンサは試験モードへと切換可能であり、試験モードのときに一般の通信ユニットを迂回したうえで試験信号を通信接続部に出力するようにセットアップされている。その際には、超音波センサが多数の内部ポート、いわゆるデバッグポートを備えていて、これらを介してセンサの製作時のさまざまな信号をピックアップすることができることが活用され、その中には、保存されている閾値曲線、センサの受信信号、または受信増幅のプロフィルが含まれる。ポートはセンサの内部で利用可能であり、そのため、組み付けられた状態ではこれを損傷することなしにはアクセス可能でない。センサの通信接続部を介して、試験信号が変換されることなく通信プロトコルへ出力される。
【0004】
従来技術で知られる解決法は、センサの再点検のために、試験モードのときにセンサから出力されるアナログ信号を評価するために別の診断技術の準備を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102011121092号明細書
【発明の概要】
【0006】
信号を発信して反射されたエコー信号を受信するための少なくとも1つの変換器を含むセンサが提案され、変換器はアナログ測定信号を出力するようにセットアップされる。さらにこのセンサは、アナログ測定信号をデジタル測定信号に変換するためのアナログ/デジタルコンバータと、デジタル測定信号を評価するための評価ユニットと、評価ユニットにより生成される測定結果をデジタル通信インターフェースを介して伝送するための通信ユニットとを含んでいる。通信ユニットは、デジタル通信インターフェースを介して診断データの要求を受信するようにセットアップされ、さらにはセンサを診断動作に切り換えて、要求される診断データをデジタル通信インターフェースを介して伝送するようにセットアップされる。このとき通信ユニットは、デジタル通信インターフェースを介して少なくとも2つの異なるデータレートで通信をするようにセットアップされ、診断動作で診断データを伝送するために、センサの通常動作で測定結果を伝送するためよりも高いデータレートが適用される。
【0007】
提案されるセンサは、変換器に加えて、変換器を制御するために必要なエレクトロニクスと、受信された測定信号を評価するために必要なエレクトロニクスと、測定結果をデジタル通信インターフェースを介してデジタル式に伝送できるようにするための所要のコンポーネントも含んでいる。このような種類のデジタル通信インターフェースはたとえばバスシステムとして施工され、車両との関連では典型的にはたとえばLINバス(Local Interconnect Network)ならびにCANバス(Controller Area Network)が利用される。これらのデータバスでは、それぞれ異なるデータレートで通信を行うことができる。
【0008】
センサの通常動作では、測定結果がデジタル通信インターフェースを介して伝送されるにすぎない。測定結果は、たとえばセンサがどの距離に物体または障害物を認識したかを表す数値表であってよい。このような数値表は、たとえば評価ユニットによるデジタル式の評価のための出発点となるデジタル測定信号と比べて非常に低いデータ容量しか有さないので、低いデータレートであっても、デジタル通信インターフェースを介しての測定結果の伝送を迅速に完了させることができる。このように、大抵はいっそう高いエネルギー消費量といっそう高い故障発生率とを伴う高いデータレートでの通信インターフェースの動作は通常動作において必要ない。
【0009】
センサの診断動作では、要求に依存して診断データが選択されて、デジタル通信インターフェースを介して伝送されることが意図される。それにより、デジタル通信インターフェースを介して伝送されるべきデータ量が著しく増える。したがって、診断動作でセンサが作動するときにはデジタル通信インターフェースを高いデータレートで作動させることが意図される。それによって比較的多いデータ量でも伝送することができ、および/または伝送されるデータをいっそう頻繁に更新することができる。
【0010】
診断データはデジタル測定信号を含んでいるのが好ましい。さらに診断データは、デジタル測定信号の包絡曲線および/またはデジタル測定信号のI/Q復調を追加的または代替的に含むことができる。デジタル測定信号は以後のデジタル式の評価のための出発点包絡線であり、センサにより受信された信号に対するもっとも早期のデジタル式のアクセス手段である。変換器から直接提供されるアナログ測定信号は、アナログ/デジタル変換がなされなければ、デジタル通信インターフェースを介しての伝送のために適さない。デジタル測定信号の包絡曲線は、たとえばデジタル測定信号の整流と平滑化によって得ることができる。
【0011】
デジタル測定信号は、フィルタを有する評価ユニットによって処理されるのが好ましい。その場合、診断データはフィルタリングされたデジタル測定信号を含むのが好ましい。
【0012】
評価ユニットは、デジタル測定信号を参照信号と相関づけるようにセットアップされるのが好ましく、相関づけられた信号が生成される。このケースでは診断データは、参照信号、相関づけられた信号の振幅、参照信号とデジタル測定信号の間の位相位置の一致の程度またはこれらのデータのうち少なくとも2つの組み合わせから選択されたデータを含むのが好ましい。
【0013】
評価ユニットは、デジタル測定信号、相関づけられた信号、またはフィルタリングされデジタル測定信号における局所的な最大値を認識するようにセットアップされるのが好ましく、診断データは認識された最大値に関するパラメータを含む。このようなパラメータは、たとえば認識された最大値に割り当てられる振幅、位相、時間、またはこれらのパラメータのうち少なくとも2つの組み合わせから選択される。
【0014】
診断データはセンサパラメータを含むのが好ましい。さらに通信ユニットは、コンフィグレーションデータを受信して、コンフィグレーションデータに依存してセンサパラメータをコンフィギュレーションするようにセットアップされるのが好ましい。センサパラメータは、増幅曲線、閾値曲線、送信周波数、送信波形、アナログ/デジタルコンバータのサンプルレート、デジタル/アナログコンバータのサンプルレート、フィルタのパラメータ、またはこれらのセンサパラメータのうち少なくとも2つの組み合わせから選択されるのが好ましい。
【0015】
増幅曲線は、変換器から出力されるアナログ測定信号が、アナログ/デジタル変換の前および/または後でどのように増幅されるかを表す。このとき特に、変換器から出力されるアナログ測定信号をアナログ/デジタル変換の前に増幅するアナログ式の増幅器が設けられていてよい。増幅曲線は特に時間依存的であってもよい。それにより、たとえば受信されたエコー信号を、信号の発信から経過したタイムスパンに依存して、それぞれ別様に増幅することが可能である。
【0016】
閾値曲線は、たとえば受信されたエコー信号において、発信された信号の障害物での反射に由来するエコー信号の成分を決定するために、基準として設定することができる。このとき特に、閾値曲線を上回るデジタル測定信号の振幅が認識されたときに障害物の存在が推定されることが意図されていてよい。このとき特に、閾値曲線が時間依存的であり、すなわち閾値曲線により設定される閾値は信号が発信されてから経過した時間に依存することが意図されていてもよい。
【0017】
センサパラメータである送信周波数および/または送信波形を通じて、変換器により発信される信号に影響を及ぼすことができる。このとき送信波形は任意に選択することができ、もっとも単純な送信波形として正弦波形の信号を設定することができる。このケースでは、送信周波数は正弦波信号の周波数となる。
【0018】
さらに別のセンサパラメータは、特にサンプルレートなどのアナログ/デジタルコンバータの動作パラメータを対象とすることができる。サンプルレートは、デジタル測定信号を生成するために、アナログ/デジタルコンバータによってアナログ測定信号がどれだけの頻度で走査されるかを表す。
【0019】
デジタル通信インターフェースは、CANバス)、PSI5(Peripheral Sensor Interface 5)インターフェース、ポイント・ツー・ポイント接続、またはLINバスまたはLINバスとして[構成されるのが好ましい。このときポイント・ツー・ポイント接続は、特に上記のバス型式をベースとして構築することができる。それに応じてセンサの通信ユニットは、相応の通信インターフェースを介して通信をするようにセットアップされる。
【0020】
CANバスとしてのデジタル通信インターフェースの実施形態では、たとえば通常動作のときの125kbit/sの低いデータレートと、診断データを伝送するための1Mbit/sの高いデータレートとを適用することができる。
【0021】
センサは超音波センサまたはレーダセンサとして構成されるのが好ましい。センサが超音波センサとして構成されるとき、変換器は、音響信号を発信するためにセットアップされるとともに、逆に、エコーの形態で音響信号を受信するためにセットアップされる音響変換器である。
【0022】
本発明のさらに別の態様は、制御装置と少なくとも1つのセンサとを含むシステムを提供することにある。センサは上述したように構成されるのが好ましく、制御装置と少なくとも1つのセンサはいずれもデジタル通信インターフェースを介して相互に接続される。このとき制御装置は、診断データを少なくとも1つのセンサに要求して評価するようにセットアップされる。
【0023】
制御装置は、特に、デジタル通信インターフェースを介してさまざまなデータレートで通信をするようにセットアップされ、センサが診断動作のときに伝送する診断データを伝送するために、少なくとも1つのセンサの通常動作での特に測定結果のデータの受信のためよりも高いデータレートが適用される。
【0024】
センサのトラブルを診断するために、特に参照データが制御装置に格納されていてよく、制御装置は、特に、受信された診断データを格納されている参照データと比較し、差異が認識されたときにセンサの不具合を推定するために構成されていてよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によるセンサならびに本発明によるシステムは、処理が完了した測定結果だけでなく、フィルタリングされたデジタル測定信号の、あるいは相関づけられた信号として存在するたとえばデジタル測定信号の形態の中間結果も、診断動作のときにセンサから制御装置へ伝送されようにセットアップされ、それにより、センサの挙動を再点検することができる。診断データの伝送によって伝送されるデータ量が増えるので、診断動作での診断データの伝送時には、センサの通常動作での測定結果の伝送時よりも高いデータレートを適用することが意図されるのが好ましい。
【0026】
ただし高いデータレートの伝送は、いっそう高いエネルギー消費量ならびに通常はいっそう高い故障発生率をデータ伝送時にもたらす。本発明によるセンサならびに本発明によるシステムでは、診断データによって増えたデータ量に基づいて高い伝送容量が必要になったときにのみ、高いデータ伝送レートが適用されるのが好ましい。
【0027】
従来技術で知られている、センサの通信インターフェースでのアナログ測定値の出力と比べたとき、提案される解決法は、評価をするための追加のコンポーネントが必要ないという利点を有する。アナログ試験信号を検出するための外部のアナログ/デジタルコンバータが必要ない。診断データの伝送のために、センサの通常動作のときの測定結果の伝送と同じデジタル通信インターフェースの形態のインフラストラクチャーが利用されるという利点がある。このようにケーブル配線やセンサの接続にあたって、いかなる追加の方策も必要ない。
【0028】
有利な態様では、センサの診断を追加的に可能にするべきである制御装置においても、設計上の変更を行わなくてよい。診断データを同じデジタル通信インターフェースを介して受信することができ、引き続いてデジタル式に制御装置で評価することができる。通常はもともと制御装置にプロセッサやマイクロコントローラが存在するので、そのために別のコンポーネントを準備しておかなくてよい。
【0029】
センサの機能の診断が、提案されるセンサないしシステムの使用のもとで迅速かつ簡単に可能である。
【0030】
本発明の実施例を図面に示し、以下の記述において詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】センサを示す模式図である。
図2】制御装置と2つのセンサとを含むシステムを有する車両を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施例についての以下の説明では、同じコンポーネントや部材は同じ符号で表されており、これらのコンポーネントや部材について個別事例で繰り返して説明することはしない。各図面は本発明の対象物を模式的にのみ示すものである。
【0033】
図1は、変換器12と、評価ユニット30と、通信ユニット40とを含むセンサ10を示している。
【0034】
変換器12は、アナログ送信信号107で負荷されたときに信号を発信するようにセットアップされている。超音波センサとして構成されたセンサ10のケースでは、変換器12は音響変換器であり、それにより、これはアナログ送信信号107で負荷されたときに音響信号を発信する。アナログ送信信号107を生起するために、センサ10は、信号発生器20と、デジタル/アナログコンバータ18と、送信増幅器14とを含んでいる。信号発生器20によってデジタル送信波形が生起され、これがデジタル形式でデジタル/アナログコンバータ18に送られる。デジタル/アナログコンバータがこれを受けてアナログ信号を生成し、これが送信増幅器14による増幅の後にアナログ送信信号107として出力される。
【0035】
変換器12によって、受信された信号がアナログ測定信号101の形態で出力される。しかし評価ユニット30での処理のためには、アナログ測定信号101が事前にデジタル測定信号104に変換されることが必要である。そのために変換器12と評価ユニット30の間に、前置増幅器16ならびにアナログ/デジタルコンバータ22が配置されている。アナログ測定信号101は前置増幅器16により前置増幅されて前処理され、増幅されたアナログ測定信号102の形態でアナログ/デジタルコンバータ22に送られる。変換の後、デジタル測定信号104が評価ユニット30に送られる。
【0036】
図1に示す実施例では、評価ユニット30は、デジタルフィルタ24と、閾値フィルタ28と、計算ユニット32と、エコー検知器34と、エコー選択ユニット36とを含んでいる。デジタルフィルタ24は、たとえば最適フィルタまたは整合フィルタとして構成されていてよい。このとき有効信号を雑音から分離するために、予想される受信信号の基本的に既知の構造が利用される。デジタルフィルタ24から引き続いてフィルタリングされたデジタル測定信号106が分配ユニット26に送られる。そこでフィルタリングされたデジタル測定信号106が、閾値フィルタ28ならびに計算ユニット32に送られる。閾値フィルタ28では、たとえばフィルタリングされたデジタル測定信号106を閾値と比較することができ、閾値を下回る振幅をもつ信号が破棄される。破棄されなかった信号がエコー選択ユニット36に伝送される。
計算ユニット32では、フィルタリングされたデジタル測定信号106が正規化されて、相関係数が時間の関数として計算される。計算ユニット32の結果がエコー検出器34に送られる。エコー検出器34では、前処理された結果の中から、障害物または物体の反射に由来している信号成分が探し出される。エコー検出器34の結果が引き続いてエコー選択ユニット36に送られる。
【0037】
エコー選択ユニット36により、測定結果110として伝送されるべきデータが選択されて、場合によりここで測定結果110のフォーマット化も行われ、それにより測定結果は、図2に示す制御装置が予期するフォーマットに対応するようになる。さらにエコー選択ユニット36によって二重エコーが、すなわちエコー検出器34と閾値フィルタ28の両方により判定されたエコーが統合されて、ただ1つの測定結果が伝送される。
【0038】
測定結果110が引き続いて通信ユニット40に送られる。図1の図面に見て取ることができるように、通信ユニット40はエコー選択ユニット36と接続されるだけでなく、評価ユニット30の他のすべてのコンポーネントへの接続、ならびに信号発生器20、アナログ/デジタルコンバータ22、前置増幅器16、デジタル/アナログコンバータ18、および送信増幅器14への接続も同じく備えている。
【0039】
これらの追加の接続を介して、要求52を受信したときに診断データ54をまとめて、デジタル通信インターフェースを介して送信することが通信ユニット40に可能となる。このときデジタル通信インターフェースは、センサ10の診断動作のときに利用されるだけでなく、センサ10の通常動作のときに測定結果110を伝送する役目も果たす。
【0040】
要求52はコンフィグレーションデータも含むことができ、これを受けて通信ユニット40により、センサ10の個々のコンポーネントの作動のために必要なセンサパラメータを書き込むことができる。逆に通信ユニット40は、センサパラメータを再び読み出すようにもセットアップされる。図1の図面では、パラメーの読取りは符号200で表されている。パラメータの書込みは符号202で表されている。
【0041】
さらに図1から見て取れるように、通信ユニット40はデジタル測定信号104をアナログ/デジタルコンバータ22から受け取り、通信ユニット40はフィルタリングされたデジタル測定信号106をデジタルフィルタ24から受け取り、通信ユニット40は評価ユニット30の他のコンポーネントの結果も受け取る。これらの接続は、それぞれ破線の矢印によって符号201で表されている。
【0042】
このようにセンサ10の通信ユニット40は、測定結果110へとつながる、デジタル形式で存在するすべての中間結果をピックアップし、要求52を受けたときに診断データ54として、図2に示すデジタル通信インターフェースを介して伝送することができる。さらに通信ユニット40は、特にデジタル/アナログコンバータ18とアナログ/デジタルコンバータ22の増幅器14,16ならびに信号発生器20の動作パラメータを読み取り、新たに書き込むようにセットアップされる。
【0043】
このとき、センサ10の個々のコンポーネントは少なくとも部分的に単一の物理的単位として具体化されていてよい。たとえば評価ユニット30の個々のユニットは、たとえばマイクロコントローラなどのプログラミング可能なコンピュータ装置で実行されるコンピュータプログラム製品の形態で具体化されていてよい。その代替として、評価ユニット30はASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成されていてもよい。
【0044】
図2には、制御装置60ならびに図1を参照して説明した2つのセンサ10を含むシステム2を含む車両1が示されている。これらの2つのセンサ10は、たとえばCANバス4として構成されるデジタル通信インターフェース50を介して、制御装置60と接続されている。
【0045】
診断を実行するために、制御装置60がCANバス4を介してセンサ10のうちの1つに要求52を送り、これを受けてセンサが通常動作から診断動作へと切り換わる。したがって、データをさらに伝送するために高いデータレートが適用される。そして、それぞれのセンサ10が診断データ54を送り、その作成と内容は事前に送信された制御装置60への要求52に依存する。そして制御装置60は受け取った診断データ54を評価し、場合により参照データと比較することができる。参照データとの差異が認識されたときには、それぞれのセンサ10の不具合を推定することができる。
【0046】
本発明はここで説明した実施例とその中で強調した態様だけに限定されるものではない。むしろ、特許請求の範囲に記載されている範囲内で、当業者の行為の枠内にある数多くの改変が可能である。特に評価ユニット30の構成は、それぞれのセンサ10の必要性に合わせて適合化されていてよい。
【符号の説明】
【0047】
2 システム
4 CANバス
10 センサ
12 変換器
18 デジタル/アナログコンバータ
22 アナログ/デジタルコンバータ
24 デジタルフィルタ
30 評価ユニット
40 通信ユニット
50 デジタル通信インターフェース
52 要求
54 診断データ
60 制御装置
101,102 アナログ測定信号
104 測定信号
106 測定信号
110 測定結果
図1
図2