(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ペダルクランクを軸支するブラケットユニットに突出形成した連結部を、車体の本体フレームから下方に向けて延びる筒状部に対して着脱可能とした走行練習用自転車であって、
前記筒状部の下端部においてその長手方向に沿って延びるように切欠形成された縦長のスリットと、
前記スリットの上方位置にて前記筒状部に形成された本体側の透孔と、
前記ブラケットユニットの連結部に形成され、前記スリットに嵌め込まれて当該スリットの内側面と上下方向において長く接するように係合する突条と、
前記スリットと前記突条が係合した状態において、前記本体側の透孔と一致する位置にて前記ブラケットユニットの連結部に形成されたブラケットユニット側の透孔と、
を備え、
前記本体側の透孔と前記ブラケットユニット側の透孔に挿通されるボルト、及びナットによって前記筒状部に対して前記ブラケットユニットの連結部を着脱可能に固定した走行練習用自転車であって、
前記本体側の透孔は、前記筒状部の向き合った両側部に各1個形成されており、前記ブラケットユニット側の透孔は、当該ブラケットユニットの連結部の向き合った両側部に各1個形成されており、それら全ての透孔を貫通する棒状のナット及び当該ナットと螺合するボルトによって前記筒状部に対して前記ブラケットユニットの連結部を着脱可能に固定したことを特徴とする走行練習用自転車。
前記筒状部のスリットは、2箇所形成されており、前記突条は、当該筒状部のスリットの両方に係合する板状の部材から構成されており、当該板状の部材が前記ブラケットユニットの連結部を貫通する状態で固定されることで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の走行練習用自転車。
前記本体側の透孔と前記ブラケットユニット側の透孔の形成位置と、前記スリットの形成位置は、車体の前後方向と一致する位置であることを特徴とする請求項1又は2に記載の走行練習用自転車。
前記突条は、上下方向の断面が縦長の長方形状、その他の多角形状、上下方向の断面が縦長の楕円形状、又は、上下方向に延びる直線部分を含む略楕円形状であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の走行練習用自転車。
ペダルクランクを軸支するブラケットユニットに突出形成した連結部を、車体の本体フレームから下方に向けて延びる筒状部に対して着脱可能とした走行練習用自転車であって、
前記筒状部の下端部に切欠形成されたスリットと、
前記スリットの上方位置にて前記筒状部に形成された本体側の透孔と、
前記ブラケットユニットの連結部に形成され、前記スリットに嵌め込まれて当該スリットの内側面全体と接するように係合する突起と、
前記スリットと前記突起が係合した状態において、前記本体側の透孔と一致する位置にて前記ブラケットユニットの連結部に形成されたブラケットユニット側の透孔と、
を備え、
前記本体側の透孔と前記ブラケットユニット側の透孔に挿通されるボルト、及びナットによって前記筒状部に対して前記ブラケットユニットの連結部を着脱可能に固定した走行練習用自転車であって、
前記本体側の透孔は、前記筒状部の向き合った両側部に各1個形成されており、前記ブラケットユニット側の透孔は、当該ブラケットユニットの連結部の向き合った両側部に各1個形成されており、それら全ての透孔を貫通する棒状のナット及び当該ナットと螺合するボルトによって前記筒状部に対して前記ブラケットユニットの連結部を着脱可能に固定したことを特徴とする走行練習用自転車。
【背景技術】
【0002】
従来、子供が自転車に乗ることができるようになるための練習に適した走行練習用自転車として、自転車からペダル及びペダルクランクを備えたブラケットユニット(ペダルユニット)を車体の本体フレームから取り外せるようにしたものが提案されている(特許文献1、2、3)。
【0003】
特許文献1に記載されている走行練習用自転車は、ペダルユニットに突出形成した円筒状の連結部(被収納部)を、車体の本体フレームから下方に向けて延びる円筒状の筒状部(接続部)に対して着脱可能としており、前記筒状部には、その下端部においてその長手方向に沿って延びるように切欠形成された縦長のスリットと、当該スリットの90度側方位置にて前記筒状部に形成された本体側の透孔を設けている。
一方、前記ペダルユニットの連結部には、前記スリットに嵌め込まれる円柱状の突起と、前記スリットと前記突起が係合した状態において、前記本体側の透孔と一致する位置にて前記ペダルユニットの連結部に形成されたペダルユニット側の透孔とを設けている。
そして、前記本体側の透孔と前記ペダルユニット側の透孔に挿通されるボルトによって前記筒状部に対して前記ペダルユニットの連結部を着脱可能に固定している。
【0004】
特許文献2及び特許文献3に記載されている走行練習用自転車は、ペダルユニットに突出形成した多角筒状の連結部を、車体の本体フレームから下方に向けて延びる多角筒状の筒状部に対して着脱可能としており、両者を貫通するボルトによって前記筒状部に対して前記ペダルユニットの連結部を着脱可能に固定している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に記載されている走行練習用自転車は、前記縦長のスリットと前記円柱状の突起とが接する部分が、円柱状の突起の上側半分の側面に限られるため、ペダルを踏んだ時にかかる左右方向の力による振動、撓み又は摩耗などによって互いの係合状態にガタつきが生じ易いという問題があった。
前記特許文献2及び特許文献3に記載されている走行練習用自転車は、連結部と筒状部とを固定しているボルトに負荷が集中するため、ボルトが緩んだり、ボルトが損傷し易いという問題があった。また、多角筒状の連結部と多角筒状の筒状部を用いると、製造コストが上がるという問題がある。
さらに、特許文献3に記載されている走行練習用自転車は、複数本のボルトを締め付ける必要があり、ボルト挿通孔の位置合わせが難しいという問題や、ボルトを締め付ける作業に手間がかかり、作業性が悪いという問題があった。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする主たる課題は、ペダルを踏んだ時にかかる左右方向の力に対する強度を高め、ブラケットユニットに形成した連結部と、車体の本体フレームの筒状部との係合状態にガタつきが生じたり、両者を固定するボルトに負荷が集中することを解決することにある。
よって、本発明の目的は、上記従来の走行練習用自転車における課題を解決し、ブラケットユニットと、車体の本体フレームとの正しい位置合わせが容易であり、それらの強固で安定した係合状態を簡単、迅速かつ確実に得ることができる走行練習用自転車を提供することにある。
【0008】
さらに、本発明の他の目的は、ブラケットユニットを車体の本体フレームに対して着脱可能に固定するためのボルトを1本使用するだけであっても、強固で安定した係合状態を簡単に得ることができる作業性に優れた走行練習用自転車を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、本体フレームの筒状部に形成したスリットと係合する突条を、ブラケットユニットの連結部に対して正確な位置にて簡単かつ強固に固定することができ、かつ、その強度と耐久性に優れたものとすることができる走行練習用自転車を提供することにある。
本発明の他の目的は、ブラケットユニットを自転車の前後方向と一致する正しい方向にて本体フレームに容易に取り付けて固定することができる走行練習用自転車を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、ブラケットユニットを車体の本体フレームに対して着脱可能に固定するためのボルト及びナットとして、特殊形状で強度と耐久性に優れ、かつ、着脱の作業性にも優れたものを用いた走行練習用自転車を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、大人がサドルを持って自転車を支え易い走行練習用自転車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、「ペダルクランクを軸支するブラケットユニットに突出形成した連結部を、車体の本体フレームから下方に向けて延びる筒状部に対して着脱可能とした走行練習用自転車であって、前記筒状部の下端部においてその長手方向に沿って延びるように切欠形成された縦長のスリットと、前記スリットの上方位置にて前記筒状部に形成された本体側の透孔と、前記ブラケットユニットの連結部に形成され、前記スリットに嵌め込まれて当該スリットの内側面と上下方向において長く接するように係合する突条と、前記スリットと前記突条が係合した状態において、前記本体側の透孔と一致する位置にて前記ブラケットユニットの連結部に形成されたブラケットユニット側の透孔と、を備え、前記本体側の透孔と前記ブラケットユニット側の透孔に挿通されるボルト、及びナットによって前記筒状部に対して前記ブラケットユニットの連結部を着脱可能に固定した走行練習用自転車」を主要な特徴とするものである。
【0012】
また、本発明は、「ペダルクランクを軸支するブラケットユニットに突出形成した連結部を、車体の本体フレームから下方に向けて延びる筒状部に対して着脱可能とした走行練習用自転車であって、前記筒状部の下端部に切欠形成されたスリットと、前記スリットの上方位置にて前記筒状部に形成された本体側の透孔と、前記ブラケットユニットの連結部に形成され、前記スリットに嵌め込まれて当該スリットの内側面全体と接するように係合する突起と、前記スリットと前記突起が係合した状態において、前記本体側の透孔と一致する位置にて前記ブラケットユニットの連結部に形成されたブラケットユニット側の透孔と、を備え、前記本体側の透孔と前記ブラケットユニット側の透孔に挿通されるボルト、及びナットによって前記筒状部に対して前記ブラケットユニットの連結部を着脱可能に固定した走行練習用自転車」を主要な特徴とするものである。
【0013】
本発明の走行練習用自転車において、前記筒状部のスリットは、2箇所形成されており、前記突条は、当該筒状部のスリットの両方に係合する板状の部材から構成されており、当該板状の部材が前記ブラケットユニットの連結部を貫通する状態で固定されることで形成されているものであってもよい。
本発明の走行練習用自転車において、前記本体側の透孔と前記ブラケットユニット側の透孔の形成位置と、前記スリットの形成位置は、車体の前後方向と一致する位置であってもよい。
本発明の走行練習用自転車において、前記突条は、上下方向の断面が縦長の長方形状、その他の多角形状、上下方向の断面が縦長の楕円形状、又は、上下方向に延びる直線部分を含む略楕円形状であってもよい。
【0014】
さらに、本発明の走行練習用自転車
は、前記本体側の透孔
が、前記筒状部の向き合った両側部に各1個形成されており、前記ブラケットユニット側の透孔
が、当該ブラケットユニットの連結部の向き合った両側部に各1個形成されており、それら全ての透孔を貫通する棒状のナット(長ナット又は一端部に頭部を備えた長ナット)及び当該ナットと螺合するボルトによって前記筒状部に対して前記ブラケットユニットの連結部を着脱可能に固定したもので
あることを主要な特徴とするものである。
本発明の走行練習用自転車は、前記本体フレームに装着されているサドルが、その後端部に把手が形成されているものであってもよい。
【発明の効果】
【0015】
上記のように構成した本発明の走行練習用自転車においては、筒状部に形成されたスリットに嵌め込まれた突条が、スリットの内側面と上下方向において長く接するように係合し、負荷が狭い範囲に集中することを避けることができる。
即ち、本発明の走行練習用自転車においては、スリットと突条の係合が上方からの負荷や振動に対応できるのみならず、ペダルを踏んだ時にかかる左右方向の力に対する強度を高め、ブラケットユニットに形成した連結部と、車体の本体フレームの筒状部との係合状態にガタつきが生じたり、両者を固定するボルトに負荷が集中することを解決することができる。
【0016】
従って、本発明においては、筒状部に対して前記ブラケットユニットの連結部を強固に固定することができ、通常のペダルを備えた自転車として長期間使用する場合における安定性及び耐久性に優れた走行練習用自転車を提供することができる。
さらに、本発明の走行練習用自転車においては、透孔に1本のボルトを挿通することで筒状部と連結部とを固定することができるため、車体側の筒状部とペダルクランクを軸支するブラケットユニットとを簡単かつ迅速に着脱することができる。
【0017】
また、本発明の走行練習用自転車において、前記筒状部のスリットが2箇所形成されており、前記突条が、前記筒状部のスリットの両方に係合する板状の部材から構成され、当該板状の部材が前記ブラケットユニットの連結部を貫通する状態で固定されることで形成されている場合には、突条の固定強度を高めることができ、さらには突条の固定位置の正確性と、固定作業の効率化を図ることができる。
【0018】
本発明の走行練習用自転車において、前記本体側の透孔と前記ブラケットユニット側の透孔の形成位置と、前記スリットの形成位置を、車体の前後方向と一致する位置にした場合には、ブラケットユニット及び本体フレームの筒状部に透孔やスリットを形成する作業が分かり易く簡単かつ容易に行うことができ、さらに、筒状部に対するブラケットユニットの位置決め及び固定作業も分かり易く簡単かつ迅速に行うことができる。
【0019】
本発明の走行練習用自転車において、前記突条が、上下方向の断面が縦長の長方形状、その他の多角形状、上下方向の断面が縦長の楕円形状、又は、上下方向に延びる直線部分を含む略楕円形状である場合には、突条とスリットの内側面との接触部分を長く得ることができ、ペダルクランクを軸支するブラケットユニットと、車体の本体フレームとの連結部分の強度、安定性及び耐久性に優れた走行練習用自転車とすることができる。
【0020】
さらに、本発明の走行練習用自転車において
は、前記本体側の透孔が、前記筒状部の向き合った両側部に各1個形成されており、前記ブラケットユニット側の透孔が、当該ブラケットユニットの連結部の向き合った両側部に各1個形成されており、それら全ての透孔を貫通する棒状のナット及び当該ナットと螺合するボルトによって前記筒状部に対して前記ブラケットユニットの連結部を着脱可能に固定するものである
ため、ボルトの挿通作業を簡単かつ迅速に行うことができ、しかも、ボルトのネジ山がナットによって保護されるために損傷することも無く、ブラケットユニットと、車体の本体フレームとの連結部分の強度、安定性及び耐久性に優れた走行練習用自転車とすることができる。
即ち、ボルトのネジ山がナットによって保護されるため、ネジ山が損傷してボルトの取り出しが出来なくなることを防ぐことができる。
また、ナットが筒状になっているため、ナット自体の強度を上げることができる。
さらに、通常のナットよりも雌ネジ部が長いため、ボルトとの噛み込み量が多くなり、外れ防止と強度を上げることができる。
なお、頭部の無い長ナットを用いる場合には、その長ナットの両端部に対して頭部を有するボルトを螺合すればよい。
【0021】
本発明の走行練習用自転車において、前記サドルが、その後端部に把手が形成されているものである場合には、大人がサドルを持って自転車を支え易くすることができる。
本発明の走行練習用自転車において、前記縦長のスリットに代えて、前記ブラケットユニットの連結部に形成された突起と係合するスリットを採用し、当該スリットに嵌め込まれた突起と当該スリットの内側面全体とが接するようにした場合においても、上記と同様にペダルクランクを軸支するブラケットユニットと、車体の本体フレームとの連結部分の強度、安定性及び耐久性に優れた走行練習用自転車とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の走行練習用自転車は、好適には「ペダルクランクを軸支するブラケットユニットに突出形成した連結部を、車体の本体フレームから下方に向けて延びる筒状部に対して着脱可能とした走行練習用自転車であって、前記筒状部の下端部においてその長手方向に沿って延びるように切欠形成された縦長のスリットと、前記スリットの上方位置にて前記筒状部に形成された本体側の透孔と、前記ブラケットユニットの連結部に形成され、前記スリットに嵌め込まれて当該スリットの内側面と上下方向において長く接するように係合する突条と、前記スリットと前記突条が係合した状態において、前記本体側の透孔と一致する位置にて前記ブラケットユニットの連結部に形成されたブラケットユニット側の透孔と、を備え、前記本体側の透孔と前記ブラケットユニット側の透孔に挿通されるボルト、及びナットによって前記筒状部に対して前記ブラケットユニットの連結部を着脱可能に固定した走行練習用自転車」であって、以下において説明する実施形態などにより好適に具体化することができる。
【0024】
以下、本発明を具体化した一実施形態の走行練習用自転車1について、図面に基づいて説明する。
本発明の一実施形態の走行練習用自転車1は、通常の自転車と同様に、その車体を構成する主要部品である本体フレーム2と、当該本体フレーム2に組み付けられる付属部品であるハンドルポスト3、ハンドル4、前輪5、後輪6、シートポスト7、サドル8、ペダルクランク9、ペダル9a、ギヤ10、チェーン11、ブレーキシステム12などを備えている。
前記本体フレーム2は、金属製のパイプから構成されており、当該本体フレーム2の前端部には、前記ハンドル4が固定されたハンドルポスト3が装着されている。
前記ハンドルポスト3の下部に形成されたフロントフォーク3aには、前記前輪5が軸支されている。
【0025】
前記本体フレーム2の中央部付近には、若干斜めの上下方向を向いて延びるように配置された円筒状の金属製パイプからなる筒状部21が固定されており、当該筒状部21の上端側には、前記サドル8が上端部に固定されたシートポスト7が嵌め込まれて着脱可能に固定されるようになっている。
なお、本実施形態の走行練習用自転車1において、前記本体フレーム2(筒状部21)に装着されているサドル8は、その後端部の裏側に形成した凹所からなる把手8aが形成されている。
さらに、前記筒状部21の下端側には、前記ペダルクランク9を軸支するブラケットユニット30に突出形成した連結部31が前記筒状部21の内側に密着するように嵌め込まれ、当該ブラケットユニット30が前記筒状部21に対して着脱可能に固定されるようになっている(
図2参照)。
【0026】
前記本体フレーム2の後端部には、前記後輪6が軸支され、前記ペダルクランク9の一方に形成された前記ギヤ10に装着される前記チェーン11によって当該後輪6が回転駆動されるようになっている。なお、ギヤ10が形成されたペダルクランク9は、一般的にギヤクランクとも呼ばれている。
【0027】
前記走行練習用自転車1の前記筒状部21と、前記ブラケットユニット30及びその連結部31の構造について、以下、さらに詳細に説明する。
前記筒状部21は、その下端部においてその長手方向に沿って延びるように切欠形成された縦長のスリット22と、当該スリット22の上方位置にて前記筒状部21に形成された本体側の透孔23とを備えている。
本実施形態の走行練習用自転車1において、前記筒状部21のスリット22は、走行練習用自転車1の前後方向と対応する位置に各1個、即ち、前記筒状部21の2箇所に形成されている。
さらに、前記本体側の透孔23の形成位置は、車体の前後方向と一致する位置において各1個、即ち、2箇所に形成されている。
【0028】
前記ブラケットユニット30は、円筒状の金属製パイプから構成され、一般的にボトムブラケットとも呼ばれる構成に相当する働きを有するものであり、ペダル9aが先端部に軸支された2個のペダルクランク9を連結するクランク軸を軸支することができる軸受構造を備えている。
本発明の走行練習用自転車1において、前記ブラケットユニット30は、その上面側に上方に向けて突出する円筒状の金属製パイプからなる連結部31が溶接にて固定されている。
【0029】
前記ブラケットユニット30の連結部31には、前記スリット22に嵌め込まれて当該スリット22の内側面(上側及び左右を含む)と上下方向において長く接するように係合する突条32が形成されている。
さらに、前記スリット22と前記突条32が係合した状態において、前記本体側の透孔23と一致する位置にて前記ブラケットユニット30の連結部31には、ブラケットユニット側の透孔33が形成されている。
ここで、前記ブラケットユニット側の透孔33の形成位置は、車体の前後方向と一致する位置において各1個、即ち、2箇所に形成されている。
【0030】
そして、前記ペダルクランク9を軸支するブラケットユニット30に突出形成した連結部31を、車体の本体フレーム2から若干斜め前方の下方に向けて延びる筒状部21に対して着脱可能とするために、前記本体側の透孔23と前記ブラケットユニット側の透孔33に挿通されるボルト40によって前記筒状部21に対して前記ブラケットユニット30の連結部31を着脱可能に固定するようになっている。
【0031】
ここで、前記ボルト40としては、1)外面にネジ山を有する通常の形態の細長いボルトを前記両透孔23,33に挿通し、通常の形態の短いナットにて固定する構成を採用することも可能であるが、2)外面が平滑で内面に雌ネジ穴41aが形成され、一端部に抜け止め及び回転操作のための頭部を備えた細長い棒状のナット41を前記両透孔23,33に挿通し、その雌ネジ穴41aにボルト40を螺合する構成を採用するとよい。
上記2)の構成を採用することで、ボルト40のネジ山が損傷することがなく、ボルト40の劣化によるガタつきの発生を防止することができる。また、ナット41を前記両透孔23,33に挿通する作業性も向上する。
また、ボルト40のネジ山がナット41によって保護されるため、ボルト40のネジ山が損傷してボルト40の取り出しが出来なくなることを防ぐことができる。
また、ナット41が筒状になっているため、ナット自体の強度を上げることができる。
さらに、通常のナットよりも雌ネジ部が長いため、ボルト40との噛み込み量が多くなり、外れ防止と強度を上げる効果を得ることができる。
【0032】
上記2)の構成を採用する場合、細長い棒状のナット41の長さは、頭部を除いた部分の長さが前記筒状部21の外径の長さとほぼ一致し、前記筒状部21を丁度貫通するものを用いるとよい(
図3(B)参照)。
なお、前記ボルト40及びナット41の頭部に、回転操作のための6角穴を形成したボルト40及びナット41を用いるとよい。
【0033】
本実施形態の走行練習用自転車1において、前記突条32は、前記筒状部21のスリット22の両方に係合する1個の板状の部材32aから構成されており、当該板状の部材32aが前記ブラケットユニット30の連結部31を貫通して両端部が露出する状態で溶接固定されることで形成されている。
このため、連結部31に対する突条32の固定強度と耐久性を高めることができ、さらには突条32の固定位置の正確性と、固定作業の効率化を図ることができる。
【0034】
次に、上記一実施形態の走行練習用自転車1を製造する方法について説明する。
まず、本発明の走行練習用自転車1を製造するには、シートポスト7を嵌め込む本体フレーム2の筒状部21の下端部にボトムブラケットを直接溶接する従来構造の自転車の製造方法に代えて、本体フレーム2の筒状部21の下端部を開放したままの状態とする。
そして、当該筒状部21の下端部にスリット22を長方形状に打ち抜き又は切削などの方法によって形成する。
また、そのスリット22の上方位置にて本体側の透孔23を円形に打ち抜き又は切削などの方法によって形成する。
【0035】
一方、前記ブラケットユニット30は、2本の円筒状の金属製パイプをT字状に直交するようにして溶接することで、2個のペダルクランク9を連結するクランク軸を軸支することができる軸受構造と、当該ブラケットユニット30の上面側に上方に向けて突出する円筒状の連結部31を製造することができる。
そして、前記連結部31の下端部付近において、突条32を形成するための金属製の板材(板状の部材32a)を嵌め込むことができる長方形状の貫通孔32bを打ち抜き又は切削などの方法で形成する。
【0036】
さらに、前記連結部31の前記貫通孔32bの上方位置にて、ブラケットユニット側の透孔33を円形に打ち抜き又は切削などの方法によって形成する。
また、前記長方形状の貫通孔32bには、突条32を形成するための板状の部材32aを嵌め込んでから、スポット溶接にて当該板状の部材32aの両側を連結部31に固定する。
好適な実施形態において、前記板状の部材32aは鉄製であり、その大きさは、横方向の長さ30mm、高さ16mm、厚さ5mmである。そして、前記連結部31の外径は25.4mmであり、前記板状の部材32aが、前記長方形状の貫通孔32bから外部に露出して前記突条32を形成している長さは、2.3mmである。なお、これらの数値は参考値である。
さらに、前記スリット22と突条32の側面との寸法公差を0.5mm程度とすることで、スリット22と、突条32との間にガタつきが生じることを防ぐことができる。
本発明の一実施形態の走行練習用自転車1の他の構成部分については、従来の自転車の製造方法と同様の方法にて容易に製造することができる。
【0037】
次に、上記構成された走行練習用自転車1の使用方法について説明する。
この実施形態の走行練習用自転車1においては、ブラケットユニット30及びチェーン11を外した状態(
図2の上側に示す状態)にて自転車に乗ることができるようになるための練習を行うことができる。
即ち、通常の自転車におけるペダル、ペダルクランク及びボトムブラケットが無いため、ペダルを漕ぐ動作を習得する前のバランス感覚を習得するための練習に際してペダルなどが邪魔になることが無く、安全かつ効率的にバランス感覚及びハンドル操作などの方法を習得する練習を行うことができる。
【0038】
また、本実施形態の走行練習用自転車1においては、サドル8の後部に把手8aが形成されているため、大人がサドル8を掴んで支え易いという効果を得ることができる。
上記形態の自転車にてバランス感覚及びハンドル操作などの方法を習得した後は、筒状部21に対してブラケットユニット30の連結部31を差し込んで固定し、チェーン11を装着することで、通常の自転車として使用することができるようになる。
【0039】
上記のように筒状部21に対してブラケットユニット30を固定する際には、筒状部21のスリット22に合わせて、ブラケットユニット30の連結部31に形成した突条32を下から嵌め込むことで、筒状部21とブラケットユニット30とは互いに正しい方向、正しい位置にてガタつくこと無く強固に係合する状態を維持することができる。
従って、本発明においては、安価で取り扱い易い円筒状のパイプを筒状部21及び連結部31に用いた場合であっても、スリット22と突条32の係合が上方からの負荷・振動のみならず側方からの負荷・振動に対応できるため、ペダル9aを踏んだ時にかかる左右方向の力に対する強度を高め、ブラケットユニット30に形成した連結部31と、車体の本体フレーム2の筒状部21との係合状態にガタつきが生じたり、両者を固定するボルト40及びナット41に負荷が集中することを解決することができる。
【0040】
次に、前記本体側の透孔23と一致する位置に前記ブラケットユニット側の透孔33が在るので、両透孔23,33を貫通するように、細長い棒状のナット41を挿通する。そして、当該ナット41の雌ネジ穴41aに座金42を環装したボルト40をねじ込むことで、筒状部21に対してブラケットユニット30の連結部31は迅速かつ強固に固定される。
【0041】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、
図4(A)及び
図4(B)に示すように突条32の形状を適宜変更し、当該突条32の側面(上側及び左右を含む)と上下方向において長く接するように係合するスリット22の形状も適宜変更して実施してもよい。
図4(A)に示す突条32は、上下方向に延びる直線部分を含む略楕円形状であるが、この突条32を上下方向の断面が縦長の楕円形状とすることもできる。
さらに、
図4(B)に示す突条32は、上下方向に延びる直線部分を含む多角形状である。
【0042】
また、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上下方向に長い突条32に代えて、正方形又は3角、4角、5角、6角などの多角形の突起にしたり、
図4(C)に示すように上部が半円状の略正方形の突起34として実施してもよい。
上下方向に長い突条32に代えて、上記のような突起34とする場合には、筒状部21と連結部31が正しい位置にて係合した状態で、スリット22の上側及び左右を含む内側面全体が突起34の側面及び上面と長く接するような形状及び位置に形成するとよい。
即ち、突起34の上端から下端(又は下端付近)までの両側面が、スリット22の内側面(上側及び左右を含む)と接するようにするとよい。
上記のように前記突起34とスリット22との接触部分を長くすることで、スリット22と突起34の係合が上方からの負荷や振動に対応できるのみならず、ペダル9aを踏んだ時にかかる左右方向の力に対する強度を高めることができる。
そして、筒状部21とブラケットユニット30の連結部31とは互いに正しい方向、正しい位置にてガタつくこと無く強固に係合する状態を維持することができる。
【0043】
さらに、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本体側の透孔23とブラケットユニット側の透孔33を形成する位置を、車体の進行方向(前後位置)と対応する位置ではなく、車体の左右の側面側に形成したり、
図4(D)に示すように突条32又は突起34の形成位置を車体の進行方向(前後位置)と対応する位置ではなく、車体の左右の側面側に形成するなどの変更が可能である。
【0044】
さらに、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、透孔、スリット、突条、突起の位置、形状、大きさ、材質、数などを適宜変更して実施したり、筒状部及び連結部の形状を適宜変更して実施してもよい。