特許第6812651号(P6812651)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6812651
(24)【登録日】2020年12月21日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/572 20210101AFI20201228BHJP
   H01M 50/543 20210101ALI20201228BHJP
   H01M 50/172 20210101ALI20201228BHJP
   H01M 50/147 20210101ALI20201228BHJP
   H01G 11/16 20130101ALI20201228BHJP
   H01M 10/613 20140101ALN20201228BHJP
   H01M 10/647 20140101ALN20201228BHJP
   H01M 10/6551 20140101ALN20201228BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALN20201228BHJP
【FI】
   H01M2/34 A
   H01M2/30 D
   H01M2/06 A
   H01M2/04 A
   H01G11/16
   !H01M10/613
   !H01M10/647
   !H01M10/6551
   !H01M10/6554
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-61935(P2016-61935)
(22)【出願日】2016年3月25日
(65)【公開番号】特開2017-174732(P2017-174732A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2018年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗田 幹也
【審査官】 儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−258561(JP,A)
【文献】 特開2013−020965(JP,A)
【文献】 特開2012−064560(JP,A)
【文献】 特開2011−018645(JP,A)
【文献】 特開2011−154992(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0205863(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/34
H01G 11/16
H01M 2/04
H01M 2/06
H01M 2/30
H01M 10/613
H01M 10/647
H01M 10/6551
H01M 10/6554
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースに収容される電極組立体と、
前記ケースに取付けられ、前記電極組立体と電気的に接続される第1電極端子及び第2電極端子と、
前記ケースに設けられ、前記第1電極端子と前記第2電極端子とが絶縁された状態である絶縁状態と、前記第1電極端子と前記第2電極端子とが短絡した状態である短絡状態とに切換える短絡装置と、を備えており、
前記ケースは、その内部と外部とを連通する第1挿通孔及び第2挿通孔を有しており、
前記第1電極端子は、前記第1挿通孔に取付けられると共に、前記ケースから電気的に絶縁されており、
前記第2電極端子は、前記ケースと電気的に接続されており、
前記短絡装置は、
前記ケースの外側に配置され、前記第1電極端子と電気的に接続され、前記第2挿通孔の少なくとも一部を覆う通電板と、
前記ケースと電気的に接続され、前記第2挿通孔に取付けられて前記第2挿通孔を閉じる反転板と、
前記ケースと前記通電板及び前記第1電極端子とを絶縁すると共に、平面視において、前記第2挿通孔と前記通電板とが重なる部分のうち少なくとも一部を開放する絶縁部材と、を備えており、
前記反転板は、平面視において円形であり、前記絶縁状態においては前記通電板から離間して電気的に絶縁されている一方で、前記短絡状態においては前記通電板と当接して電気的に接続され、
前記通電板は、平面視において、前記反転板と重なる部分の少なくとも一部に、その他の部分より剛性が高い高剛性部分を有しており、
前記高剛性部分は、1又は複数のリブであり、
前記リブは、前記反転板の径方向に伸びている、蓄電装置。
【請求項2】
ケースと、
前記ケースに収容される電極組立体と、
前記ケースに取付けられ、前記電極組立体と電気的に接続される第1電極端子及び第2電極端子と、
前記ケースに設けられ、前記第1電極端子と前記第2電極端子とが絶縁された状態である絶縁状態と、前記第1電極端子と前記第2電極端子とが短絡した状態である短絡状態とに切換える短絡装置と、を備えており、
前記ケースは、その内部と外部とを連通する第1挿通孔及び第2挿通孔を有しており、
前記第1電極端子は、前記第1挿通孔に取付けられると共に、前記ケースから電気的に絶縁されており、
前記第2電極端子は、前記ケースと電気的に接続されており、
前記短絡装置は、
前記ケースの外側に配置され、前記第1電極端子と電気的に接続され、前記第2挿通孔の少なくとも一部を覆う通電板と、
前記ケースと電気的に接続され、前記第2挿通孔に取付けられて前記第2挿通孔を閉じる反転板と、
前記ケースと前記通電板及び前記第1電極端子とを絶縁すると共に、平面視において、前記第2挿通孔と前記通電板とが重なる部分のうち少なくとも一部を開放する絶縁部材と、を備えており、
前記反転板は、前記絶縁状態においては前記通電板から離間して電気的に絶縁されている一方で、前記短絡状態においては前記通電板と当接して電気的に接続され、
前記通電板は、平面視において、前記反転板と重なる部分の少なくとも一部に、その他の部分より剛性が高い高剛性部分を有しており、
前記高剛性部分は、1又は複数のリブであり、
前記リブの一部は、平面視において、前記反転板の外周縁より外側を含む範囲に位置する、蓄電装置。
【請求項3】
ケースと、
前記ケースに収容される電極組立体と、
前記ケースに取付けられ、前記電極組立体と電気的に接続される第1電極端子及び第2電極端子と、
前記ケースに設けられ、前記第1電極端子と前記第2電極端子とが絶縁された状態である絶縁状態と、前記第1電極端子と前記第2電極端子とが短絡した状態である短絡状態とに切換える短絡装置と、を備えており、
前記ケースは、その内部と外部とを連通する第1挿通孔及び第2挿通孔を有しており、
前記第1電極端子は、前記第1挿通孔に取付けられると共に、前記ケースから電気的に絶縁されており、
前記第2電極端子は、前記ケースと電気的に接続されており、
前記短絡装置は、
前記ケースの外側に配置され、前記第1電極端子と電気的に接続され、前記第2挿通孔の少なくとも一部を覆う通電板と、
前記ケースと電気的に接続され、前記第2挿通孔に取付けられて前記第2挿通孔を閉じる反転板と、
前記ケースと前記通電板及び前記第1電極端子とを絶縁すると共に、平面視において、前記第2挿通孔と前記通電板とが重なる部分のうち少なくとも一部を開放する絶縁部材と、を備えており、
前記反転板は、前記絶縁状態においては前記通電板から離間して電気的に絶縁されている一方で、前記短絡状態においては前記通電板と当接して電気的に接続され、
前記通電板は、平面視において、前記反転板と重なる部分の少なくとも一部に、その他の部分より剛性が高い高剛性部分を有しており、
前記高剛性部分は、加工硬化により転位密度が高くなった部分である、蓄電装置。
【請求項4】
ケースと、
前記ケースに収容される電極組立体と、
前記ケースに取付けられ、前記電極組立体と電気的に接続される第1電極端子及び第2電極端子と、
前記ケースに設けられ、前記第1電極端子と前記第2電極端子とが絶縁された状態である絶縁状態と、前記第1電極端子と前記第2電極端子とが短絡した状態である短絡状態とに切換える短絡装置と、を備えており、
前記ケースは、その内部と外部とを連通する第1挿通孔及び第2挿通孔を有しており、
前記第1電極端子は、前記第1挿通孔に取付けられると共に、前記ケースから電気的に絶縁されており、
前記第2電極端子は、前記ケースと電気的に接続されており、
前記短絡装置は、
前記ケースの外側に配置され、前記第1電極端子と電気的に接続され、前記第2挿通孔の少なくとも一部を覆う通電板と、
前記ケースと電気的に接続され、前記第2挿通孔に取付けられて前記第2挿通孔を閉じる反転板と、
前記ケースと前記通電板及び前記第1電極端子とを絶縁すると共に、平面視において、前記第2挿通孔と前記通電板とが重なる部分のうち少なくとも一部を開放する絶縁部材と、を備えており、
前記反転板は、前記絶縁状態においては前記通電板から離間して電気的に絶縁されている一方で、前記短絡状態においては前記通電板と当接して電気的に接続され、
前記通電板は、平面視において、前記反転板と重なる部分の少なくとも一部に、その他の部分より剛性が高い高剛性部分を有しており、
前記高剛性部分は、前記通電板に補強板が接合された部分であり、
前記高剛性部分は、前記短絡状態において、前記反転板が前記通電板と当接する部分のみに形成されている、蓄電装置。
【請求項5】
前記通電板は、平面視において、前記第2挿通孔の全体を覆う一方で、少なくとも前記反転板の中心を含む範囲に孔を備えており、
前記孔の外周縁は、前記第2挿通孔の外周縁よりも内側に位置する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電装置は、過充電等により、ケース内部で過度な熱が発生して電解液が分解され、内部圧力が上昇することにより異常が生じる虞がある。このため、蓄電装置においては、過充電時等における安全性を確保できる構造が要求されている。
【0003】
特許文献1には、第1電極端子に接続される短絡タブ(本明細書では、通電板という。)と、第2電極端子に接続される可変プレート(本明細書では、反転板という。)を備える蓄電装置が開示されている。この蓄電装置では、過充電により内部圧力が所定値を超えたときに、可変プレートが短絡タブ側に反転し、短絡タブと接触する。このようにして、第1電極端子と第2電極端子とを強制的に短絡させることにより、蓄電装置の過充電が抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−119303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の蓄電装置では、内部圧力の上昇により可変プレートが短絡タブ側に反転して短絡タブに接触する際に、短絡タブから可変プレートに衝撃力が作用する。このため、衝撃力の大きさや短絡タブの強度によっては短絡タブが変形してしまい、短絡タブと可変プレートの接触不良により短絡状態が維持できない場合が生じ得る。本明細書では、内部圧力の上昇により反転板が反転した際に、反転板と通電板の接触(すなわち、短絡状態)を好適に維持することができる蓄電装置を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する蓄電装置は、ケースと、ケースに収容される電極組立体と、ケースに取付けられ、電極組立体と電気的に接続される第1電極端子及び第2電極端子と、ケースに設けられ、第1電極端子と第2電極端子とが絶縁された状態である絶縁状態と、第1電極端子と第2電極端子とが短絡した状態である短絡状態とに切換える短絡装置とを備えている。ケースは、その内部と外部とを連通する第1挿通孔及び第2挿通孔を有している。第1電極端子は、第1挿通孔に取付けられると共に、ケースから電気的に絶縁されている。第2電極端子は、ケースと電気的に接続されている。短絡装置は、ケースの外側に配置され、第1電極端子と電気的に接続され、第2挿通孔の少なくとも一部を覆う通電板と、ケースと電気的に接続され、第2挿通孔に取付けられて第2挿通孔を閉じる反転板と、ケースと通電板及び第1電極端子とを絶縁すると共に、平面視において、第2挿通孔と通電板とが重なる部分のうち少なくとも一部を開放する絶縁部材とを備えている。反転板は、絶縁状態においては通電板から離間して電気的に絶縁されている一方で、短絡状態においては通電板と当接して電気的に接続されている。通電板は、平面視において、反転板と重なる部分の少なくとも一部に、その他の部分より剛性が高い高剛性部分を有する。
【0007】
上記の蓄電装置では、短絡装置を構成する通電板は、平面視において、反転板と重なる部分の少なくとも一部に、その他の部分より剛性が高い高剛性部分を有している。このため、短絡装置が作動して絶縁状態から短絡状態となる(すなわち、反転板が反転する)際に、通電板に作用する衝撃力を高剛性部分でも受けることができる。したがって、通電板の変形を抑制することができ、短絡状態における反転板と通電板の接触を好適に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の蓄電装置の断面図。
図2】実施例1の蓄電装置の短絡装置の構成を示す断面図(絶縁状態)。
図3】実施例1の蓄電装置の短絡装置の構成を示す平面図。
図4】実施例1の蓄電装置の短絡装置の構成を示す断面図(短絡状態)。
図5】実施例2の蓄電装置の短絡装置の構成を示す断面図(絶縁状態)。
図6】実施例2の蓄電装置の短絡装置の構成を示す平面図。
図7】実施例2の蓄電装置の短絡装置の構成を示す断面図(短絡状態)。
図8】実施例3の蓄電装置の短絡装置の構成を示す断面図。
図9】実施例4の蓄電装置の短絡装置の構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
【0010】
(特徴1) 本明細書に開示する蓄電装置では、通電板は、平面視において、第2挿通孔の全体を覆う一方で、少なくとも反転板の中心を含む範囲に孔を備えていてもよい。また、孔の外周縁は、第2挿通孔の外周縁よりも内側に位置していてもよい。このような構成によると、反転板が反転した際に、通電板に形成された孔の周縁において反転板が通電板と接触するように構成することができる。このため、短絡状態における反転板と通電板との接触面積を大きくすることができ、両者の接触抵抗を低くすることができる。
【0011】
(特徴2) 本明細書に開示する蓄電装置では、高剛性部分は、1又は複数のリブであってもよい。このような構成によると、リブの分だけ表面積を大きくすることができ、短絡状態において流れる電流による熱を放熱することができる。
【0012】
(特徴3) 本明細書に開示する蓄電装置では、リブは、反転板の径方向に伸びていてもよい。このような構成によると、反転板の接触に対する通電板の強度を好適に大きくすることができる。
【0013】
(特徴4) 本明細書に開示する蓄電装置では、リブの一部は、平面視において、反転板の外周縁より外側を含む範囲に位置していてもよい。このような構成によると、反転板の接触に対する通電板の変形をより抑制することができる。
【0014】
(特徴5) 本明細書に開示する蓄電装置では、高剛性部分は、加工硬化により転位密度が高くなった部分であってもよい。このような構成によっても、反転板の接触に対する通電板の強度を大きくすることができる。
【0015】
(特徴6) 本明細書に開示する蓄電装置では、高剛性部分は、通電板に補強板が接合された部分であってもよい。このような構成によっても、反転板の接触に対する通電板の強度を大きくすることができる。
【0016】
(特徴7) 本明細書に開示する蓄電装置では、高剛性部分は、短絡状態において、反転板が通電板と当接する部分のみに形成されていてもよい。このような構成によると、省スペース化や材料コストを低減することができる。
【実施例1】
【0017】
以下、実施例1の蓄電装置100について説明する。図1に示すように、蓄電装置100は、ケース1と、ケース1に収容された電極組立体3と、ケース1に取付けられた第1電極端子5及び第2電極端子7とを備えている。電極組立体3と第1電極端子5及び第2電極端子7とは電気的に接続されている。また、蓄電装置100は、ケース1に設けられた短絡装置10を備えている。ケース1の内部は、電解液が注入されており、電極組立体3は、電解液に浸漬している。
【0018】
ケース1は、金属製であり、略直方体形状の箱型部材である。ケース1は、本体111と、本体111に固定された蓋部112とを備えている。蓋部112は、本体111の上部を覆っている。蓋部112には、第1挿通孔81、第2挿通孔82及び第3挿通孔83が形成されている。第1電極端子5は、第1挿通孔81を介してケース1の内外に通じている。第2電極端子7は、第3挿通孔83を介してケース1の内外に通じている。第1電極端子5と蓋部112との間には、シール部材61が配置されている。シール部材61は、第1電極端子5の外周面を一巡している。シール部材61は、ケース1の蓋部112の下面及び第1挿通孔81の内周面と、第1電極端子5の外周面に当接しており、これにより、第1挿通孔81の内外をシールしている。シール部材61は、絶縁性及び耐電解液性を有する材料(本実施例ではパーフルオロアルコキシアルカン(PFA))によって形成されている。第1電極端子5は、シール部材61によってケース1から電気的に絶縁されている。また、第2電極端子7は、ケース1と電気的に接続されている。本実施例では、第1電極端子5が負極端子、第2電極端子7が正極端子である。なお、シール部材61の材料はこれに限られず、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン(PP)等であってもよい。
【0019】
電極組立体3は、正極シートと、負極シートと、正極シートと負極シートとの間に配置されたセパレータとを備えている。電極組立体3は、複数の正極シート、複数の負極シート及び複数のセパレータが積層されて構成されている。正極シート及び負極シートは、集電部材と、集電部材上に形成されている活物質層とを備えている。集電部材としては、正極シートに用いられるものは例えばアルミ箔であり、負極シートに用いられるものは例えば銅箔である。また、電極組立体3は、正極シート毎に設けられた正極集電タブ51と、負極シート毎に設けられた負極集電タブ52を備えている。正極集電タブ51は、正極シートの上端部に形成されている。負極集電タブ52は、負極シートの上端部に形成されている。正極集電タブ51及び負極集電タブ52は、電極組立体3の上方に突出している。複数の正極集電タブ51は、1つに纏められて正極リード53に固定されている。複数の負極集電タブ52は、1つに纏められて負極リード54に固定されている。
【0020】
正極リード53は、正極集電タブ51と第2電極端子7とに接続されている。正極リード53を介して、正極集電タブ51と第2電極端子7とが電気的に接続されている。負極リード54は、負極集電タブ52と第1電極端子5とに接続されている。負極リード54を介して、負極集電タブ52と第1電極端子5とが電気的に接続されている。
【0021】
次に、短絡装置10について説明する。図2に示すように、短絡装置10は、ケース1の蓋部112に設けられている。短絡装置10は、第1電極端子5と第2電極端子7とが絶縁された状態である絶縁状態と、第1電極端子5と第2電極端子7とが短絡した状態である短絡状態とに切換える。短絡装置10は、通電板20と、反転板30と、絶縁部材62とを備えている。
【0022】
反転板30は、平面視において円形である導電性のダイアフラムであり、絶縁状態では下方に凸となっている。反転板30は、例えば、アルミやアルミ系合金により構成されている。反転板30は、ケース1の蓋部112と電気的に接続されている。反転板30は、第2挿通孔82に取付けられて第2挿通孔82を閉じるように配置されている。別言すると、反転板30は、第2挿通孔82の全体を覆うように配置されている。反転板30は、中央部31及び外周部32を有している。中央部31は、ケース1の内圧が所定値より低い状態では下方に凸となっている。外周部32は、ケース1の蓋部112に固定されている。このため、反転板30の下面にはケース1の内圧が作用する。上述したように、蓋部112は、第2電極端子7と電気的に接続されており、第1電極端子5と絶縁されている。このため、反転板30は、第2電極端子7と電気的に接続されており、第1電極端子5とは絶縁されている。なお、反転板30は、ケース1の蓋部112と一体成形してもよいし、蓋部112とは別体に成形した後に、蓋部112に溶接してもよい。反転板30と蓋部112とを一体成形すると、製造時の加工工程を減らすことができ、蓄電装置100をより容易に製造することができる。
【0023】
通電板20は、金属製の部材であり、導電性を有している。通電板20は、平面視において略矩形状に形成されている。通電板20は、ケース1の外側に配置され、第1電極端子5と電気的に接続されている。通電板20は、反転板30の上方において第2挿通孔82を覆うように配置されている。
【0024】
絶縁部材62は、通電板20とケース1の蓋部112との間に配置されている。絶縁部材62は、平面視において略矩形状に形成されており、通電板20よりわずかに面積が大きい。絶縁部材62の下面は、ケース1の蓋部112と当接している。絶縁部材62の上面は、通電板20と当接している。絶縁部材62は、通電板20を蓋部112上に支持している。絶縁部材62は、通電板20と蓋部112とを絶縁すると共に、第1電極端子5と蓋部112とを絶縁している。このため、通電板20は、蓋部112と絶縁されている。すなわち、通電板20は、第2電極端子7と絶縁されている。また、絶縁部材62は、平面視において、第2挿通孔82と通電板20とが重なる部分が開放されている。具体的には、絶縁部材62は、第2挿通孔82と同形状の貫通孔62aを有している。
【0025】
図3に示すように、通電板20は、平面視において、反転板30と重なる部分の一部に高剛性部分を有している。高剛性部分は、通電板20のその他の部分より剛性が高い。本実施例では、高剛性部分は、複数のリブ20aにより構成されている。複数のリブ20aは、通電板20の上面に突設されている。複数のリブ20aは、平面視すると、反転板30の中心から径方向に放射状に伸びている。本実施例では、平面視において、8つのリブ20aが反転板30の中心から外側に向かって径方向に延在している。複数のリブ20aの一部(径方向における外側の端部)は、平面視において、反転板30の外周縁より外側まで伸びるように形成されている。なお、リブ20aの個数は上記に限られず、通電板20が所望の強度を有するように適宜変更することができる。また、リブ20aは、通電板20と一体成形してもよいし、通電板20とは別体に成形した後に、通電板20に接合してもよい。
【0026】
ここで、図2及び図4を参照して、短絡装置10による第1電極端子5と第2電極端子7との間の短絡動作について説明する。上述した蓄電装置100においては、第1電極端子5と第2電極端子7との間が外部機器(例えば、発電機やモータ等)を介して通電可能な導通状態で用いられる。図2に示すように、ケース1内の圧力が所定値以下のとき、反転板30は下方に凸の状態になっている。すなわち、反転板30は、通電板20から離間して電気的に絶縁されている。上述したように、反転板30は、第2電極端子7と電気的に接続されており、第1電極端子5と絶縁されている。このため、第1電極端子5と第2電極端子7との間には、短絡装置10を介した通電経路は形成されていない。すなわち、第1電極端子5と第2電極端子7とが絶縁された状態である絶縁状態となっている。一方、過充電によりケース1の内圧が上昇すると、反転板30の下面に作用する圧力が上昇する。このため、ケース1内の圧力が上昇して所定値に達すると、図4に示すように、反転板30が反転して、上方に凸の状態に変化して通電板20と接触する。すなわち、反転板30は、通電板20と当接して電気的に接続される。このとき、反転板30は第2電極端子7と電気的に接続されると共に、通電板20も第2電極端子7と電気的に接続されている。このため、通電板20と反転板30とが接触すると、第1電極端子5と第2電極端子7との間には、通電板20及び反転板30を介した通電経路が形成される。すなわち、第1電極端子5と第2電極端子7とが短絡した状態である短絡状態となる。これによって、電極組立体3に電流が流れないようにすることができる。または、電極組立体3に流れる電流が小さくなる。
【0027】
実施例1の蓄電装置100では、短絡装置10により、ケース1内の圧力が所定値に達すると、第1電極端子5と第2電極端子7とが短絡状態となる。この短絡状態において、通電板20に対して反転板30が接続される際(衝突する際)に作用する衝撃力を高剛性部分(複数のリブ20a)により受けることができる。したがって、通電板20に対して反転板30から作用する衝撃力によって、通電板20が変形することを抑制することができる。このため、短絡状態における反転板30と通電板20との接触を好適に維持することができる。
【0028】
また、リブ20aが放熱フィンとしても機能するため、通電板20の熱交換面積が大きくなる。このため、短絡状態において反転板30及び通電板20を流れる短絡電流による熱を効率良く大気に放熱することができる。したがって、反転板30が溶断することを抑制することができる。
【実施例2】
【0029】
次に、実施例2の蓄電装置について説明する。以下では、実施例1と相違する点についてのみ説明し、実施例1と同一の構成についてはその詳細な説明を省略する。その他の実施例についても同様である。
【0030】
図5,6に示すように、通電板24は、反転板30の中心を含む範囲に孔26が形成されている。孔26は、通電板24の上面から下面まで貫通している。孔26の径は、第2挿通孔82の径よりも小さい。孔26の外周縁は、平面視すると、第2挿通孔82の外周縁よりも内側に位置している。通電板24の高剛性部分は、複数のリブ24aにより構成されている。複数のリブ24aは、通電板24の孔26の外周縁から反転板30の径方向に伸びている。
【0031】
実施例2の蓄電装置では、ケース1内の圧力の上昇により反転板30が反転すると、図7に示すように、反転板30は、通電板24の孔26の外周縁に接触する。このため、通電板20が反転板30の中央でのみ接触する場合に比べて、通電板20に作用する衝撃力を低減することができる。また、短絡状態における反転板30と通電板20との接触面積を確保することができ、接触抵抗を低減することができる。このため、短絡電流によるジュール熱を低減することができ、反転板30が溶断することを抑制することができる。
【実施例3】
【0032】
次に、実施例3の蓄電装置について説明する。実施例3では、通電板20の高剛性部分の構成が実施例1とは異なっている。すなわち、図8に示すように、通電板20の高剛性部分が、加工硬化により転位密度が高くなった硬化部分20bにより構成されている。硬化部分20bは、通電板20の他の部分20dよりも剛性が高い。硬化部分20bの形成方法は、種々の方法を採ることができるが、例えば、通電板20の製造工程において、高剛性部分(硬化部分20b)となる部分を他の部分より厚くしておき、この部分に対して高い加工力を加えることで塑性変形させて形成することができる。硬化部分20bは、平面視において、反転板30と重なる位置に形成されている。硬化部分20bの強度は、所望の強度に応じた転位密度まで通電板20を加工硬化することにより調節することができる。なお、本明細書でいう転位密度とは、単位体積あたりの結晶中の転位線の全長であり、転位線とは、結晶中に含まれる線状の結晶欠陥をいう。転位密度が高くなると転位線同士の相互作用が大きくなり、転位線は動きにくくなる(すなわち、剛性が高くなる)。
【0033】
実施例3の蓄電装置においても、高剛性部分により、反転板30から通電板20に作用する衝撃力を受けることができるため、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。なお、本実施例の通電板20は、実施例2に用いた通電板24のように、その上面から下面まで貫通する孔を有していてもよい。
【実施例4】
【0034】
次に、実施例4の蓄電装置について説明する。実施例4では、通電板20の高剛性部分の構成が実施例1とは異なっている。すなわち、図9に示すように、通電板20の高剛性部分は、通電板20に補強板20cが接合されることにより構成されている。補強板20cは、金属製の部材であり、導電性を有している。補強板20cは、平面視において、反転板30と略同一形状に形成されており、反転板30と重なる位置に配置されている。補強板20cの厚み(上下方向の寸法)は、通電板20が所望の強度を有するように、適宜調節することができる。
【0035】
実施例4の蓄電装置においても、高剛性部分により、反転板30から通電板20に作用する衝撃力を受けることができるため、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。なお、本実施例の通電板20は、実施例2に用いた通電板24のように、その上面から下面まで貫通する孔を有していてもよい。
【0036】
以上、本明細書が開示する技術の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0037】
例えば、実施例3及び実施例4において、高剛性部分は、平面視において、反転板と重なる部分に形成されていたが、短絡状態において、反転板が通電板と当接する部分のみに形成されていてもよい。この構成によれば、省スペース化や材料コストを低減することができる。
【0038】
また、上述した実施例において、短絡装置10は、第2電極端子7側に設けられていてもよい。第2電極端子7側に短絡装置10が設けられる場合には、第2電極端子7と蓋部112との間に、上述の実施例の構成と同様に絶縁部材を配置することができる。
【0039】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0040】
1:ケース
3:電極組立体
5:第1電極端子
7:第2電極端子
10:短絡装置
20、24:通電板
20a、24a:リブ
20b:硬化部分
20c:補強板
26:孔
30:反転板
31:中央部
32:外周部
51:正極集電タブ
52:負極集電タブ
53:正極リード
54:負極リード
61:シール部材
62:絶縁部材
62a:貫通孔
81:第1挿通孔
82:第2挿通孔
83:第3挿通孔
100:蓄電装置
111:本体
112:蓋部









図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9