(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記調整部は、前記基準範囲内の下側において、前記直流電圧が第3電圧よりも低い第4電圧である場合に、前記直流電圧が前記第3電圧である場合と比較して、前記第1閾値を小さくする請求項1から3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
前記制御部は、前記リカバリ期間の間、前記出力側電力変換器を制御して、前記ハイ側キャパシタおよび前記ロー側キャパシタのうち、充電電圧がより高いキャパシタのみから放電させる請求項9に記載の電力変換装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、本実施形態に係る電源装置1を示す。
電源装置1は、電源10と、電力変換装置2とを備える。
【0011】
電源10は、直流電力の電圧源である。例えば、電源10は、太陽電池などの自家発電機であってもよいし、整流ダイオードおよびコンデンサを含む整流回路によって商用周波数(例えば50Hzまたは60Hz)の交流電力を直流電力に整流して供給する回路であってもよい。
【0012】
電力変換装置2は、電源10から供給される直流電圧を変換して出力する。本実施形態では一例として電力変換装置2は直流電圧を交流電圧に変換することとして説明するが、直流電圧を昇圧または降圧するなど、他の形態の変換を行ってもよい。電力変換装置2は、ハイ側端子P、中間端子M、ロー側端子Nおよび電力出力端子Uと、ハイ側キャパシタ21と、ロー側キャパシタ22と、出力側電力変換器28と、制御装置3とを備える。
【0013】
ハイ側端子Pは、ロー側端子Nおよび中間端子Mよりも高い電圧(例えば正電圧)の入力を受ける端子である。ハイ側端子Pは、電源10のハイ側端子に接続されている。
【0014】
中間端子Mは、ハイ側端子Pおよびロー側端子Nの間の電圧(例えばゼロの電圧)の入力を受ける端子である。中間端子Mは、後述のハイ側およびロー側キャパシタ21,22の間に接続されている。
【0015】
ロー側端子Nは、ハイ側端子Pおよび中間端子Mよりも低い電圧(例えば負電圧)の入力を受ける端子である。ロー側端子Nは、電源10のロー側端子に接続されている。
【0016】
電源出力端子Uは、後述の出力側電力変換器28による変換後の電力を出力する端子である。例えば、電源装置1が3相の交流電力を生成する場合には、電源出力端子Uは、各相の単相インバータ(図示せず)に接続されてよい。また、電源出力端子Uは商用電源に接続されて電力供給を行ってもよい。電源出力端子Uおよびロー側端子Nの間には出力キャパシタ(図示せず)が接続されてもよい。
【0017】
ハイ側キャパシタ21およびロー側キャパシタ22は、それぞれ直流電圧を保持して供給電圧を平滑化する。ハイ側キャパシタ21はハイ側端子Pおよび中間端子Mの間に接続され、ロー側キャパシタ22はロー側端子Nおよび中間端子Mの間に接続される。
【0018】
出力側電力変換器28は、ハイ側端子P、ロー側端子N、および中間端子Mに接続されてハイ側キャパシタ21およびロー側キャパシタ22からの電力を受け、電源出力端子Uから交流電圧V
out、交流電流I
outの電力を出力する。本実施形態では一例として、出力側電力変換器28は3レベルインバータであり、ハイ側キャパシタ21およびロー側キャパシタ22からの直流電圧を3レベルの交流電圧に変換して出力する。
【0019】
制御装置3は、電源装置1の各部を制御する。制御装置3は、ハイ側充電電圧測定部30と、ロー側充電電圧測定部31と、直流電圧測定部32と、交流電流測定部33と、異常検出部35と、調整部37と、制御部39とを有する。
【0020】
ハイ側充電電圧測定部30はハイ側キャパシタ21の充電電圧Vpmを測定し、ロー側充電電圧測定部31は、ロー側キャパシタ22の充電電圧Vnmを測定する。ハイ側充電電圧測定部30およびロー側充電電圧測定部31は、測定した充電電圧Vpm,Vnmを異常検出部35および制御部39にそれぞれ供給してよい。
【0021】
直流電圧測定部32は、ハイ側端子Pおよびロー側端子Nの間の直流電圧Vpnを測定する。直流電圧測定部32は、ハイ側キャパシタ21の充電電圧Vpmとロー側キャパシタ22の充電電圧Vnmとに基づいて直流電圧Vpnを測定してよい。直流電圧測定部32は、測定した直流電圧Vpnを調整部37に供給してよい。
【0022】
交流電流測定部33は、出力側電力変換器28から出力する交流電流I
outを測定する。交流電流測定部33は、測定した交流電流I
outを制御部39に供給してよい。
【0023】
異常検出部35は、ハイ側キャパシタ21の充電電圧Vpmおよびロー側キャパシタ22の充電電圧Vmnの差分電圧が第1閾値を超えた場合に異常を検出する。
【0024】
調整部37は、ハイ側端子Pおよびロー側端子Nの間の直流電圧Vpnに応じて、第1閾値を調整する。調整部37は、調整後の第1閾値を異常検出部35に供給してよい。
【0025】
制御部39は、直流電圧Vpnが基準範囲内となるように電力変換装置2を制御する。例えば、制御部39は、後述の出力側電力変換器28による出力電力の調整、および/または、電源10の制御により、出力側電力変換器28に供給される直流電圧Vpnを制御してよい。ここで、直流電圧Vpnの基準範囲は、電力変換装置2の運転可能な運転範囲(一例として500〜1000(V))に含まれる範囲であってよく、例えば運転範囲と同一の範囲であってよい。
【0026】
また、制御部39は、異常検出部35により異常が検出されたことに応じて電力変換装置2を停止してよい。また、制御部39は、異常が検出されたことに応じ、充電電圧Vpm、充電電圧Vnm、交流電流I
outなどを用いて異常からのリカバリを行ってよく、リカバリ期間の間には電源装置1を電力供給先の系統から切り離してよい。リカバリ時の動作については詳細を後述する。
【0027】
以上の電源装置1によれば、ハイ側キャパシタ21の充電電圧Vpmおよびロー側キャパシタ22の充電電圧Vmnの差分電圧が第1閾値を超えた場合に異常が検出され、ハイ側端子Pおよびロー側端子Nの間の直流電圧Vpnに応じて第1閾値が調整される。従って、直流電圧Vpnの大きさに応じて適切に異常を検出することができる。
【0028】
図2は、調整部37および異常検出部35を示す。
調整部37は、上側範囲閾値調整部371、下側範囲閾値調整部372、比較器375およびスイッチ376を有してよい。上側範囲閾値調整部371および下側範囲閾値調整部372は、直流電圧Vpnが基準範囲(一例として運転範囲)の上側、下側である場合における第1閾値ΔVth1を算出する。
【0029】
ここで、基準範囲の上側の範囲は、本実施形態では一例として基準範囲の中間電圧から上側の範囲、つまり上半分の範囲であるが、その一部の範囲であってもよい。また、基準範囲の下側の範囲は、本実施形態では一例として基準範囲の中間電圧から下側の範囲、つまり下半分の範囲であるが、その一部の範囲であってもよい。
【0030】
上側範囲閾値調整部371は、直流電圧Vpnが基準範囲内のうちの上側の範囲において、第1電圧よりも高い第2電圧である場合に、第1電圧である場合と比較して第1閾値を小さくしてよい。例えば、上側範囲閾値調整部371は、基準範囲内の上側においては、直流電圧Vpnが高くなるにつれて第1閾値をより小さくしてよい。本実施形態では一例として、上側範囲閾値調整部371は、直流電圧Vpnの上昇に対して線形に第1閾値を低下させる。上側範囲閾値調整部371は、減算器3711、乗算器3712、加算器3713および下限値リミッタ3714を含んでよい。
【0031】
減算器3711は、ハイ側端子Pおよびロー側端子Nの間の直流電圧Vpnについての基準範囲の中間電圧Vmから、ハイ側端子Pおよびロー側端子Nの間の直流電圧Vpnを減算する。中間電圧Vmは予め調整部37内に記憶されてよい。直流電圧Vpnは直流電圧測定部32から供給されてよい。本実施形態において直流電圧Vpnが基準範囲の上側の場合には、減算結果は負の値であってよく、乗算器3712に供給されてよい。
【0032】
乗算器3712は、中間電圧Vmおよび直流電圧Vpnの減算結果に対し基準ゲインGain1を乗算する。ここで、本実施形態では一例として、直流電圧Vpnが基準範囲の中間電圧Vmである場合に第1閾値ΔVth1は最大値ΔVth
MAXとなり、直流電圧Vpnが中間電圧Vmから離れるに従って第1閾値ΔVth1は小さくなる。基準ゲインGain1は、直流電圧Vpnが中間電圧Vmより大きい場合での第1閾値ΔVth1の変化率に(−1)を乗じた値であってよく、一例として正の固定値であるが、設定により変更可能な値であってもよい。基準ゲインGain1は予め調整部37内に記憶されてよい。乗算結果は負の値であってよく、加算器3713に供給されてよい。
【0033】
加算器3713は、第1閾値ΔVth1の最大値ΔVth
MAXと乗算器3712による乗算結果(負の値)とを加算する。これにより、直流電圧Vpnが中間電圧Vmから上昇するにつれて第1閾値ΔVth1が線形に低下するように、現在の直流電圧Vpnに対応する仮の第1閾値ΔVth1が算出される。算出結果は下限値リミッタ3714に供給されてよい。
【0034】
ここで、第1閾値ΔVth1の最大値ΔVth
MAXは、直流電圧Vpnについての基準範囲の上限電圧から下限電圧を減じた値に基づいて設定され、予め調整部37内に記憶されてよい。例えば、最大値ΔVth
MAXは、電力変換装置2の運転範囲の上限電圧(一例として1000(V))から下限電圧(一例として500(V))を減じた値であってよい。この場合には、直流電圧Vpnが中間電圧Vm(一例として750(V))であるときにハイ側キャパシタ21およびロー側キャパシタ22の充電電圧Vpm,Vmnの一方が運転範囲の上限電圧、他方が下限電圧であっても、これらの差分電圧ΔVが第一閾値ΔVth1(=ΔVth
MAX)以下となって異常が検出されない。このように、出力電力の品質低下およびキャパシタ破壊の虞が無い場合の第1閾値ΔVth1を大きくすることで、不必要に異常が検知されてしまうのを防止して電力の出力を維持することができる。
【0035】
下限値リミッタ3714は、加算器3713により算出された仮の第1閾値ΔVth1が下限値ΔVthHより小さい場合に、下限値ΔVthHを第1閾値ΔVth1として出力し、これ以外の場合には仮の第1閾値ΔVth1をそのまま第1閾値ΔVth1として出力する。
【0036】
ここで、下限値ΔVthHは、直流電圧Vpnが基準範囲の上限電圧であるときの第1閾値ΔVth1であってよい。これにより、直流電圧Vpnが基準範囲よりも上側である場合に第1閾値ΔVth1が一定となるため、第1閾値ΔVth1が小さくなり過ぎて不必要に異常が検知され、電力の出力が停止してしまうのが防止される。また、下限値ΔVthHは、ハイ側キャパシタ21およびロー側キャパシタ22のうち一つのキャパシタの運転下限電圧(一例として250(V))から、適切な電力変換(一例としてDC/AC変換)を行うのに必要な一つのキャパシタの下限電圧(一例として230(V))を減算した値に基づいて設定されてよい。一例として、下限値ΔVthHは下記の式から算出されてよい。
【0037】
下限値ΔVthH={(一つのキャパシタの運転下限電圧)−(適切な電力変換を行うのに必要な一つのキャパシタの下限電圧)}×2
【0038】
これにより、一方のキャパシタの充電電圧が運転下限電圧であり、他方のキャパシタの充電電圧が適切な電力変換に必要な下限電圧である場合、つまり適切な電力変換が可能である場合に、電力の出力が確保される。
【0039】
下限値リミッタ3714から出力される第1閾値ΔVth1はスイッチ376に供給されてよい。なお、下限値リミッタ3714は必ずしも上側範囲閾値調整部371に具備されなくてもよい。下限値リミッタ3714が具備されない場合には、加算器3713による可算結果がそのまま第1閾値ΔVth1とされてスイッチ376に供給されてよい。
【0040】
下側範囲閾値調整部372は、直流電圧Vpnが基準範囲内のうちの下側において、第3電圧よりも低い第4電圧である場合に、第3電圧である場合と比較して第1閾値を小さくしてよい。例えば、下側範囲閾値調整部372は、基準範囲内の下側においては、直流電圧Vpnが低くなるにつれて第1閾値をより小さくしてよい。本実施形態では一例として、下側範囲閾値調整部372は、直流電圧Vpnの低下に対して線形に第1閾値を低下させる。下側範囲閾値調整部372は、減算器3721、乗算器3722、減算器3723および下限値リミッタ3724を含んでよい。
【0041】
減算器3721は、上側範囲閾値調整部371の減算器3711と同様の減算を行う。但し、本実施形態において直流電圧Vpnが基準範囲の下側の場合には、減算結果は正の値であってよく、乗算器3722に供給されてよい。
【0042】
乗算器3722は、中間電圧Vmおよび直流電圧Vpnの減算結果に対し基準ゲインGain2を乗算する。ここで、基準ゲインGain2は、直流電圧Vpnが中間電圧Vmより小さい場合での第1閾値ΔVth1の変化率であってよく、一例として正の固定値であるが、設定により変更可能な値であってもよい。基準ゲインGain2は予め調整部37内に記憶されてよい。乗算結果は正の値であってよく、減算器3723に供給されてよい。
【0043】
減算器3723は、第1閾値ΔVth1の最大値ΔVth
MAXから乗算器3722による乗算結果を減算する。これにより、直流電圧Vpnが中間電圧Vmから低下するにつれて第1閾値ΔVth1が線形に低下するように、現在の直流電圧Vpnに対応する仮の第1閾値ΔVth1が算出される。算出結果は下限値リミッタ3724に供給されてよい。
【0044】
下限値リミッタ3724は、減算器3723により算出された仮の第1閾値ΔVth1が下限値ΔVthLより小さい場合に、下限値ΔVthLを第1閾値ΔVth1として出力し、これ以外の場合には仮の第1閾値ΔVth1をそのまま第1閾値ΔVth1として出力する。
【0045】
ここで、下限値ΔVthLは、直流電圧Vpnが基準範囲の下限電圧であるときの第1閾値ΔVth1であってよい。これにより、直流電圧Vpnが基準範囲よりも下側である場合に第1閾値ΔVth1が一定となるため、第1閾値ΔVth1が小さくなり過ぎて不必要に異常が検知され、電力の出力が停止してしまうのが防止される。また、下限値ΔVthLは、ハイ側キャパシタ21およびロー側キャパシタ22のうち一つのキャパシタの耐電圧から、運転上限電圧を減算した値に基づいて設定されてよい。一例として、下限値ΔVthLは、下記の式から算出されてよい。
【0046】
下限値ΔVthL={(一つのキャパシタの耐電圧)−(一つのキャパシタの運転上限電圧)}×2
【0047】
これにより、一方のキャパシタの充電電圧が耐電圧であり、他方のキャパシタの充電電圧が運転上限電圧である場合、つまりキャパシタが破壊される虞が無い場合に、電力の出力が確保される。
【0048】
下限値リミッタ3724から出力される第1閾値ΔVth1はスイッチ376に供給されてよい。なお、下限値リミッタ3724は必ずしも下側範囲閾値調整部372に具備されなくてもよい。下限値リミッタ3724が具備されない場合には、減算器3723による減算結果がそのまま第1閾値ΔVth1とされてスイッチ376に供給されてよい。
【0049】
比較器375は、直流電圧Vpnと、直流電圧Vpnについての基準範囲の中間電圧Vmとを比較する。直流電圧Vpnは直流電圧測定部32から供給されてよい。中間電圧Vmは予め異常検出部35に記憶されてよい。比較結果はスイッチ376に供給されてよい。
【0050】
スイッチ376は、直流電圧Vpnが中間電圧Vmよりも大きい場合、つまり直流電圧Vpnが基準範囲内のうちの上側の電圧である場合には、上側範囲閾値調整部371からの第1閾値ΔVth1を選択し、これ以外の場合には下側範囲閾値調整部372からの第1閾値ΔVth1を選択して異常検出部35に供給してよい。
【0051】
以上の調整部37によれば、上側範囲閾値調整部371および下側範囲閾値調整部372によって直流電圧Vpnに応じた第1閾値ΔVth1をそれぞれ算出し、異常検出部35に供給することができる。
【0052】
ここで、直流電圧Vpnが小さい場合に差分電圧が大きいと、ハイ側キャパシタ21およびロー側キャパシタ22のうち充電電圧が小さい方のキャパシタの電圧値が低くなって出力側電力変換器28で適切な電力変換ができずに出力電力の品質が低下する虞がある。一例として、一方のキャパシタの電圧値が低くなると、交流電圧の波形が歪んでしまう虞がある。これに対し、下側範囲閾値調整部372によれば、直流電圧Vpnが基準範囲内の下側範囲において第3電圧よりも低い第4電圧である場合に、第3電圧である場合と比較して第1閾値が小さくされる。これにより、直流電圧Vpnが小さく、出力電力の品質低下が生じうる場合に異常を早期に検出することが可能となるため、出力電力の品質低下を防止することができる。また、直流電圧Vpnが大きく、出力電力の品質低下の虞がない場合には不必要に異常が検知されてしまうのを防止して電力の出力を維持することが可能となる。
【0053】
一方、直流電圧Vpnが大きい場合に差分電圧が大きいと、ハイ側キャパシタ21およびロー側キャパシタ22のうち充電電圧が大きい方のキャパシタが高電圧の印加等によって破壊されてしまう虞がある。これに対し、上側範囲閾値調整部371によれば、直流電圧Vpnが基準範囲内の上側範囲において第1電圧よりも高い第2電圧である場合に、第1電圧である場合と比較して第1閾値が小さくされる。これにより、直流電圧Vpnが大きく、キャパシタ破壊の虞がある場合には異常を早期に検出してキャパシタを保護することが可能となる。また、直流電圧Vpnが小さく、キャパシタ破壊の虞が無い場合には不必要に異常が検知されてしまうのを防止して電力の出力を維持することが可能となる。
【0054】
なお、調整部37は第1閾値ΔVth1の供給を常時行ってもよいし、基準時間間隔ごとに行ってもよい。また、上側範囲閾値調整部371および下側範囲閾値調整部372は、非線形に第1閾値を低下させてもよい。上側範囲閾値調整部371は、直流電圧Vpnが1または複数の基準閾値よりも大きい場合に、当該基準閾値よりも小さい場合と比較して第1閾値を小さくしてもよい。同様に、下側範囲閾値調整部372は、直流電圧Vpnが1または複数の基準閾値よりも小さい場合に、当該基準閾値よりも大きい場合と比較して第1閾値を小さくしてもよい。
【0055】
異常検出部35は、減算器354、絶対値演算器355および比較器357を有してよい。
【0056】
減算器354は、ハイ側キャパシタ21の充電電圧Vpmから、ロー側キャパシタ22の充電電圧Vmnを減算して差分電圧ΔVを算出する。充電電圧Vpm,Vmnはハイ側充電電圧測定部30およびロー側充電電圧測定部31から供給されてよい。算出された差分電圧ΔVは絶対値演算器355に供給されてよい。
【0057】
絶対値演算器355は、差分電圧ΔVの絶対値を算出する。算出された差分電圧ΔVの絶対値は比較器357に供給されてよい。
【0058】
比較器357は、差分電圧ΔVの絶対値と第1閾値ΔVth1とを比較する。比較器247は、差分電圧ΔVの絶対値の方が大きい場合には、異常を検出してよい。
【0059】
以上の異常検出部35によれば、現在の直流電圧Vpnが基準範囲の上側である場合には、上側範囲閾値調整部371からの第1閾値ΔVth1よりも差分電圧ΔVが大きいときに異常を検出し、現在の直流電圧Vpnが基準範囲の下側である場合には、下側範囲閾値調整部372からの第1閾値ΔVth1よりも差分電圧ΔVが大きいときに異常を検出する。なお、異常検出は常時行われてもよいし、基準時間間隔ごとに行われてもよい。
【0060】
図3は、ハイ側およびロー側端子P,N間の直流電圧Vpnと第1閾値ΔVth1との関係の一例を示す。ここで、図中の横軸は直流電圧Vpnを示し、縦軸はハイ側キャパシタ21とロー側キャパシタ22との間の差分電圧ΔVの絶対値を示す。また、図中の太線は差分電圧ΔVについての第1閾値ΔVth1を示し、第1閾値ΔVth1よりも差分電圧ΔVの小さい領域は電力変換装置2の正常運転可能な領域を示し、第1閾値ΔVth1よりも差分電圧ΔVの大きい網掛け領域は、電力変換装置2を異常停止すべき領域を示す。
【0061】
この図に示されるように、差分電圧ΔVについての第1閾値ΔVth1は、直流電圧Vpnが基準範囲(一例として500〜1000(V)の運転範囲)の中間電圧Vm(一例として750(V))である場合に最大値ΔVth
MAX(一例として500(V))となる。
【0062】
また、直流電圧Vpnが基準範囲内のうちの上側の範囲で直流電圧Vpnが基準範囲の中間電圧Vmから上限電圧Vh(一例として1000(V))まで上昇する場合に、第1閾値ΔVth1は最大値ΔVth
MAXから下限値ΔVthHまで直流電圧Vpnに対して線形に低下する。この範囲での第1閾値ΔVth1のグラフの傾きは上述のGain1×(−1)であり、この図では一例としてGain1=−(ΔVth
MAX−ΔVthH)/(Vh−Vm)である。直流電圧Vpnが基準範囲の上限電圧Vhを超えると、第1閾値ΔVth1は下限値ΔVthHで一定となる。
【0063】
また、直流電圧Vpnが基準範囲内のうちの下側の範囲で直流電圧Vpnが基準範囲の中間電圧Vmから下限電圧Vl(一例として500(V))まで低下する場合に、第1閾値ΔVth1は最大値ΔVth
MAXから下限値ΔVthLまで直流電圧Vpnに対して線形に低下する。この範囲での第1閾値ΔVth1のグラフの傾きは上述のGain2であり、この図では一例としてGain2=(ΔVth
MAX−ΔVthL)/(Vm−Vl)である。直流電圧Vpnが基準範囲の下限電圧Vlを下回ると、第1閾値ΔVth1は下限値ΔVthLで一定となる。
【0064】
図4は、リカバリを行うための制御部39の構成を示す。
制御部39は、異常が検出されたことに応じて異常からのリカバリを行い、リカバリ期間の間、出力側電力変換器28を制御して、ハイ側キャパシタ21およびロー側キャパシタ22のうち充電電圧がより高いキャパシタからの放電量をより大きくさせてよい。一例として、制御部39は、リカバリ期間の間、出力側電力変換器28を制御してハイ側キャパシタ21およびロー側キャパシタ22のうち、充電電圧がより高いキャパシタのみから放電させてよい。制御部39は、リカバリの実行/解除を指示するためのリカバリ動作指令を出力するリカバリ動作指令演算部391と、リカバリ時の電圧指令を出力するリカバリ電圧指令演算部392とを有してよい。
【0065】
リカバリ動作指令演算部391は、減算器3911、絶対値演算器3912、比較器3913,3914、フリップフロップ3916およびアンド回路3917を含んでよい。
【0066】
減算器3911は、ハイ側キャパシタ21の充電電圧Vpmから、ロー側キャパシタ22の充電電圧Vmnを減算して差分電圧ΔVを算出する。充電電圧Vpm,Vmnはハイ側充電電圧測定部30およびロー側充電電圧測定部31から供給されてよい。差分電圧ΔVは絶対値演算器3912と、後述のリカバリ動作指令演算部391における比較器3928とにそれぞれ供給されてよい。
【0067】
絶対値演算器3912は、差分電圧ΔVの絶対値を算出する。算出された差分電圧ΔVの絶対値は比較器3913,3914にそれぞれ供給されてよい。
【0068】
比較器3913は、差分電圧ΔVの絶対値と、リカバリを実行するための実行閾値とを比較する。実行閾値は正の値であってよく、上述の下限値ΔVthL,ΔVthHよりも小さくてよい。本実施形態では実行閾値は固定値(一例として5、0.05など)であるが、設定により予め変更可能な値であってもよい。比較結果はフリップフロップ3916に供給されてよい。
【0069】
比較器3914は、差分電圧ΔVの絶対値と、リカバリ動作を解除するための解除閾値とを比較する。解除閾値は正の値であってよく、上述の下限値ΔVthL,ΔVthHよりも小さくてよい。また、解除閾値は、リカバリ動作にヒステリシスを持たせるべく、上述の実行閾値よりも小さくてよい。本実施形態では解除閾値は固定値(一例として1、0.01など)であるが、設定により予め変更可能な値であってもよい。比較結果はフリップフロップ3916に供給されてよい。
【0070】
フリップフロップ3916は、差分電圧ΔVの絶対値が実行閾値よりも大きい場合にリカバリ動作の実行信号を出力し、差分電圧ΔVの絶対値が実行閾値および解除閾値の間の場合に出力信号を維持し、差分電圧ΔVの絶対値が解除閾値未満の場合に解除信号を出力する。例えば、フリップフロップ3916は、RS型のフリップフロップ回路であり、セット端子(S)が比較器3913に接続され、リセット端子(R)が比較器3914に接続されてよい。この場合には、差分電圧ΔVが実行閾値よりも大きいと、実行信号の出力がセットされ、差分電圧ΔVが解除閾値未満になると実行信号の出力がリセットされる。フリップフロップ3916からの出力信号はアンド回路3917に供給されてよい。
【0071】
アンド回路3917は、フリップフロップ3916からリカバリ動作の実行信号が出力され、かつ、異常検出部35から差分電圧ΔVの異常検出信号が出力された場合に、リカバリ動作の実行を指示するリカバリ動作指令を出力する。これ以外の場合には、アンド回路3917は、リカバリ動作の解除を指示するリカバリ動作指令を出力する。
【0072】
以上のリカバリ動作指令演算部391によれば、差分電圧ΔVの絶対値が実行閾値より大きいと、解除閾値よりも小さくなるまでリカバリ動作の実行を指示する指令を出力する。
【0073】
リカバリ電圧指令演算部392は、電流制限演算部393、乗算器3925、下限値リミッタ3926、上限値リミッタ3927、比較器3928、およびスイッチ3929を含んでよい。
【0074】
電流制限演算部393は、リカバリ期間の間に、出力側電力変換器28を制御して、出力側電力変換器28から出力する交流電流I
outの大きさを制限することで素子を保護する。例えば、電流制限演算部393は、電力変換装置2から出力される交流電流I
outが基準より大きい場合に交流電流I
outを低減するべく、出力側電力変換器28に対する電圧指令値の振幅を低減してよい。電流制限演算部393は、減算器3933、PI制御器3934、下限値リミッタ3935、および減算器3936を有してよい。
【0075】
減算器3933は、出力側電力変換器28から出力される交流電流I
outから、過電流閾値を減算して、過電流閾値に対する交流電流I
outの超過量、つまり過電流量を算出する。ここで、過電流閾値は目標電流(第2閾値の一例)以下の値であり、本実施形態では一例として100(A)である。過電流閾値は予め制御部39内に記憶されてよい。交流電流I
outは交流電流測定部33から供給されてよい。なお、電力変換装置2から出力される電力がU相、V相およびW相の交流電力に変換される場合には、3相の交流電力の電流測定値が供給されてよい。算出された過電流量はPI制御器3934に供給されてよい。
【0076】
PI制御器3934は、過電流量を目標値(例えばゼロ)にスムーズに近づけるべく比例積分(PI)制御を行って過電流量を調整する。調整後の過電流量は下限値リミッタ3935に供給されてよい。
【0077】
下限値リミッタ3935は、調整後の過電流量がゼロより小さい場合に、過電流量をゼロとして減算器3936に出力し、これ以外の場合には調整後の過電流量をそのまま出力する。
【0078】
減算器3936は、指令電圧のゲインを示す電圧指令ゲイン値(一例として100%)から過電流量を減算して、低減指令割合を算出する。例えば、過電流量が0、20の場合には、低減指令割合が100%、80%としてそれぞれ算出される。電圧指令ゲイン値は予め制御部39内に記憶されてよい。低減指令割合は乗算器3925に供給されてよい。
【0079】
乗算器3925は、交流電圧V
outについての基準指令値に対し、減算器3936からの低減指令割合を乗算する。これにより、基準指令値の振幅が低減指令割合だけ低減される結果、交流電流I
outの大きさが目標電流以下に制限される。乗算結果は下限値リミッタ3926および上限値リミッタ3927にそれぞれ供給されてよい。
【0080】
下限値リミッタ3926は、乗算器3925から供給される交流電圧V
outについての指令値が基準下限値より小さい場合には基準下限値をハイ側放電用交流電圧指令値として出力し、これ以外の場合には指令値をそのままハイ側放電用交流電圧指令値として出力する。これにより、ハイ側キャパシタ21の放電割合を高くした波形をなすハイ側放電用交流電圧指令値が生成される。なお、本実施形態では一例として、基準下限値はゼロであるが、0.05(V)等であってもよい。ハイ側放電用交流電圧指令値はスイッチ3929に供給されてよい。
【0081】
上限値リミッタ3927は、乗算器3925から供給される交流電圧V
outについての指令値が基準上限値より大きい場合に、基準上限値をロー側放電用交流電圧指令値として出力し、これ以外の場合には指令値をそのままロー側放電用交流電圧指令値として出力する。これにより、ロー側キャパシタ22の放電割合を高くした波形をなすロー側放電用交流電圧指令値が生成される。なお、本実施形態では一例として、基準上限値はゼロであるが、−0.05(V)等であってもよい。ロー側放電用交流電圧指令値はスイッチ3929に供給されてよい。
【0082】
比較器3928は、減算器3911から供給される差分電圧ΔVとゼロとを比較して、差分電圧ΔVが正の場合には「1」を、負の場合には「2」をスイッチ3929に出力する。
【0083】
スイッチ3929は、比較器3928からの出力信号に応じて下限値リミッタ3926および上限値リミッタ3927の何れか一方から出力される交流電圧指令値を選択して出力する。例えば、スイッチ3929は、比較器3928からの出力信号が「1」の場合には下限値リミッタ3926から出力される交流電圧指令値を出力し、出力信号が「2」の場合には上限値リミッタ3927から出力される交流電圧指令値を出力する。スイッチ3929から出力される電圧指令値は制御部39に供給されて、出力側電力変換器28の制御に用いられてよい。
【0084】
以上のリカバリ電圧指令演算部392によれば、差分電圧ΔVの正負に応じてハイ側またはロー側の放電用交流電圧指令値を出力することにより、リカバリ期間の間にハイ側キャパシタ21およびロー側キャパシタ22のうち充電電圧がより高いキャパシタからの放電量をより大きくさせるので、早期に差分電圧を小さくして異常を解消することができる。また、電力変換装置2から出力される交流電流I
outが過電流閾値より大きい場合に出力側電力変換器28に対する電圧指令値の振幅を低減することにより、素子を保護することができる。
【0085】
図5は、リカバリ動作時の電圧指令値の波形を示す。この図に示すように、ハイ側放電用交流電圧指令値は、交流電圧の基準指令値から概ね上部分のみを抽出した波形をなしてよい。また、ロー側放電用交流電圧指令値は、交流電圧の基準指令値から概ね下部分のみを抽出した波形をなしてよい。
【0086】
図6は、本実施形態に係る電力変換方法を示す。電源装置1が運転を開始すると、直流電圧測定部32がハイ側端子Pおよびロー側端子Nの間の直流電圧Vpnを測定する(ステップS1)。
【0087】
次に、測定された直流電圧Vpnに応じて、調整部37が第1閾値ΔVth1を調整する(ステップS3)。例えば、調整部37は、直流電圧Vpnが基準範囲内のうちの上側の範囲において、第1電圧よりも高い第2電圧である場合に、第1電圧である場合と比較して第1閾値ΔVth1を小さくしてよい。また、調整部37は、直流電圧Vpnが基準範囲内のうちの下側において、第3電圧よりも低い第4電圧である場合に、第3電圧である場合と比較して第1閾値ΔVth1を小さくしてよい。
【0088】
次に、ハイ側充電電圧測定部30およびロー側充電電圧測定部31がハイ側およびロー側キャパシタ21,22の充電電圧Vpm,Vmnを測定し、異常検出部35が差分電圧ΔVを算出する(ステップS5)。
【0089】
次に、異常検出部35は、充電電圧Vpm,Vmnの差分電圧ΔVが第1閾値ΔVth1を超えたか否かに基づいて、異常が検出されたか否かを判定する(ステップS7)。ステップS7において異常が検出されないと判定された場合(ステップS7;No)には、電源装置1は処理を上述のステップS1に移行させる。
【0090】
ステップS7において差分電圧ΔVが第1閾値ΔVth1を超えて異常が検出されたと判定された場合(ステップS7;Yes)には、制御部39は電力変換装置2を停止するとともに、電源装置1を電力供給先の系統から切り離す(ステップS9)。
【0091】
次に、制御部39は、リカバリを実行するための実行閾値よりも差分電圧ΔVの絶対値が大きいか否かを判定する(ステップS11)。差分電圧ΔVの絶対値が実行閾値以下である場合(ステップS11;No)には、制御部39は後述のリカバリ動作を実行せずに処理を後述のステップS23に移行させる。
【0092】
ステップS11において差分電圧ΔVの絶対値が実行閾値より大きい場合(ステップS11;Yes)には、制御部39はリカバリモードに移行して(ステップS13)、リカバリ動作を実行する(ステップS15)。例えば、制御部39は、出力側電力変換器28を制御して、ハイ側キャパシタ21およびロー側キャパシタ22のうち充電電圧がより高いキャパシタからの放電量をより大きくさせてよい。リカバリ期間の間には制御部39は電源装置1を電力供給先の系統から切り離してよい。
【0093】
次に、制御部39は、リカバリ動作を解除するための解除閾値よりも差分電圧ΔVの絶対値が小さいか否かを判定する(ステップS17)。差分電圧ΔVの絶対値が解除閾値以上である場合(ステップS17;No)には、制御部39は処理を上述のステップS15に移行させる。
【0094】
ステップS17において差分電圧ΔVの絶対値が解除閾値より小さい場合(ステップS17;Yes)には、制御部39は、リカバリ動作を解除して(ステップS19)、リカバリモードから通常モードに移行する(ステップS21)。
【0095】
次に、制御部39が電力変換装置2を再起動した後(ステップS23)、電源装置1は処理を上述のステップS1に移行させる。
【0096】
なお、上述のステップS1〜S7は、他の順序で行われてもよいし、少なくとも一部が同時に行われてもよい。
【0097】
また、上記の実施形態では、電力変換装置2が制御部39および出力側電力変換器28を備えることとして説明したが、これらを備えないこととしてもよい。電力変換装置2が出力側電力変換器28を備えない場合には、電源装置1内に電力変換装置2とは別個の構成として出力側電力変換器28が具備されてもよい。
【0098】
また、本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0099】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0100】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0101】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0102】
図7は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0103】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インタフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD−ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0104】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0105】
通信インタフェース2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD−ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD−ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0106】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0107】
プログラムが、DVD−ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0108】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD−ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0109】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD−ROMドライブ2226(DVD−ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0110】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0111】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0112】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0113】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。