(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、産業車両の一実施形態について説明する。
図1、
図2(a)、及び、
図2(b)に示すように、産業車両としてのリーチ型フォークリフト(以下、フォークリフト11と称する)は車体12を備える。車体12には、前向に向かって延びる左右一対のリーチレグ13が設けられている。各リーチレグ13の前方にはそれぞれ前輪14が配設されている。車体12の後方には、後輪15とキャスタホイール(補助輪)16が配設されている。後輪15は車体12の左方に設けられており、キャスタホイール16は車体12の右方に設けられている。フォークリフト11は、二つの前輪14、及び、一つの後輪15の三つの車輪14,15で走行する。車体12には、フォークリフト11の駆動源となるモータMと、モータMの電力源となるバッテリBが搭載されている。
【0017】
フォークリフト11は、車体12の前方に、荷役装置21を備える。荷役装置21は、リーチシリンダ(図示せず)の駆動により、各リーチレグ13に沿って前後動作するマスト22を備える。マスト22の前方には、左右一対のフォーク23がリフトブラケット24を介して設けられている。フォーク23は、マスト22に沿って昇降する。
【0018】
フォークリフト11は、立席タイプの運転室31を車体12の後部に備える。運転室31の前方及び左方には、ステアリングテーブル32a,32bが設けられている。運転室31の前方に位置するステアリングテーブル32aには、フォークリフト11を走行動作させるディレクションレバー33、荷役装置21を動作させる複数の荷役レバー34、表示ユニット41、及び、切替スイッチ37が設けられている。運転室31の左方に位置するステアリングテーブル32bには、車輪14,15の操舵を行うハンドル36が設けられている。
【0019】
図3(a)、及び、
図3(b)に示すように、操作器具としての切替スイッチ37は、2つの操作位置を変更することが可能な二位置切替スイッチである。操作者による操作により切替スイッチ37が回動することで、切替スイッチ37の操作位置は第1位置と第2位置に切り替わる。切替スイッチ37は、位置保持型のスイッチであり、操作者による操作により操作位置が変更されると、その操作位置で位置が保持される。切替スイッチ37は、操作位置に応じた電気信号を出力する。
【0020】
図4に示すように、表示ユニット41は、ディスプレイ42、及び、ディスプレイ42の近傍に配置された複数の選択スイッチ43を備える。表示ユニット41は、ディスプレイ42の表示内容を変更する図示しないスイッチを備える。本実施形態では、選択スイッチ43は4つ設けられている。選択スイッチ43は、例えば、操作者(オペレータ)の押圧操作により操作されるスイッチであり、操作に応じて電気信号を出力する。
【0021】
図5に示すように、フォークリフト11は、ディレクションセンサ51と、ハンドル角センサ52と、キースイッチ53と、制御部54とを備える。制御部54は、各種処理を所定の手順で実行する処理部55と、制御プログラムなどの各種制御の情報を記憶する記憶部56とを備える。制御部54には、選択スイッチ43、切替スイッチ37、ディレクションセンサ51、ハンドル角センサ52、及び、キースイッチ53が接続されている。
【0022】
ディレクションセンサ51は、ディレクションレバー33の操作方向と、ディレクションレバー33の操作量とを検出する。ディレクションレバー33の操作方向は、フォークリフト11を前進させる前進指示方向と、後進させる後進指示方向である。ディレクションセンサ51は、ディレクションレバー33の操作方向と操作量に応じた電気信号を制御部54に出力する。制御部54は、ディレクションレバー33の操作方向に応じた進行方向に向けて、操作量に応じた速度で駆動輪となる後輪15を駆動させる。
【0023】
ハンドル角センサ52は、ハンドル36に配設されており、ハンドル36の操作量(角度)を検出する。ハンドル角センサ52は、ハンドル36の操作量に応じた電気信号を制御部54に出力する。制御部54は、ハンドル36の操作量(角度)に応じた舵角となるように操舵輪の向きを制御する。詳細にいえば、フォークリフト11は、前輪14、及び、後輪15の向きを変化させる図示しない駆動部を備えており、制御部54は駆動部を制御することで操舵輪の舵角を制御する。
【0024】
キースイッチ53は、フォークリフト11をキーオフする停止位置と、フォークリフト11をキーオンする始動位置との間で操作可能に構成されている。キーオフ時には、モータMへの電力供給が遮断され、キーオン時にはモータMへの電力供給が可能とされる。キーオフ時でも、制御部54には電力が供給されている。
【0025】
上記したフォークリフト11は、走行用のモードとして、標準モード、及び、複数の多機能モード(オールウェイモード)から1つのモードを設定することができる。本実施形態の多機能モードには、小回りモード、その場旋回モード、横移動モード、平行移動モードが含まれる。各モードには、異なる走行態様が設定されており、モード毎に制御部54が行う操舵輪の制御が異なる。詳細にいえば、モード毎に、操舵輪とする車輪14,15、及び、ハンドル36の操作量に対する操舵輪の舵角(向き)が異なる。
【0026】
標準モード
(標準操向モード)とは、複数のモードのうち最も使用頻度が高いと想定されるモードである。また、多機能モードとは、複数のモードのうち標準モードよりも使用頻度が低いと想定されるモードである。多機能モード
(多機能操向モード)は、例えば、標準モードでの走行態様では走行できない、あるいは、標準モードでの走行態様では走行しにくい特定の場所を走行するために用いられる。
【0027】
図6(a)に示すように、本実施形態のフォークリフト11における標準モードとは、後輪15のみを操舵輪とするモードである。標準モードでの直進の際には、前輪14、及び、後輪15が前後を向いた状態となる。標準モードでの旋回の際には後輪15のみが左右に傾く。
図6(a)では、フォークリフト11が右方に旋回する場合の各車輪14,15を示している。
【0028】
本実施形態のフォークリフト11における多機能モードは、後輪15に加えて、少なくとも1つの前輪14を操舵輪とするモードである。以下、多機能モードについて説明する。
【0029】
図6(b)に示すように、小回りモードとは、2つの前輪14及び後輪15を操舵輪とし、直角のコーナーなど曲がりにくいコーナーを曲がる際に用いられるモードである。小回りモードでの直進の際には、前輪14、及び、後輪15が前後を向いた状態となる。小回りモードでの旋回の際には、左方の前輪14と、後輪15とは左右の異なる方向に傾き、右方の前輪14はほぼ左右方向を向く。即ち、右方の前輪14は、左右方向に対して僅かに傾いた状態となる。
図6(b)では、フォークリフト11が右方に旋回する場合の各車輪14,15を示している。
【0030】
図6(c)に示すように、その場旋回モードとは、2つの前輪14及び後輪15を操舵輪とし、その場で旋回、すなわち、円を描くように旋回するモードである。その場旋回モードは、例えば、狭い通路で旋回する際に用いられる。その場旋回モードでの直進の際には、前輪14、及び、後輪15が前後を向いた状態となる。その場旋回モードでの旋回の際には、2つの前輪14は、互いに近付くように左右に傾き、後輪15は左右に傾く。2つの前輪14はハの字状に傾くともいえる。
図6(c)では、フォークリフト11が右方に旋回する場合の各車輪14,15を示している。
【0031】
図6(d)に示すように、横移動モードとは、1つの前輪14及び後輪15を操舵輪とし、横(左右)を進行方向として走行するモードである。横移動モードでの直進の際には、前輪14、及び、後輪15が左右を向いた状態となる。横移動モードでの旋回の際には左方の前輪14及び後輪15が前後に傾く。
図6(d)では、左方を進行方向とし、フォークリフト11が下方に旋回する場合の各車輪14,15を示している。
【0032】
図6(e)に示すように、平行移動モードとは、2つの前輪14及び後輪15を操舵輪とし、車体12の向きが変わらない状態で走行するモードである。平行移動モードでの走行の際には、前輪14及び後輪15の舵角は全て同一となる。
図6(e)では、フォークリフト11が右斜めに向かい走行する場合の各車輪14,15を示している。
【0033】
フォークリフト11を走行させるときには、標準モード、及び、複数の多機能モードから1つのモードが設定される。本実施形態では、切替スイッチ37、及び、選択スイッチ43の操作によってモードを設定することができる。
【0034】
図3(a)に示すように、切替スイッチ37の第1位置は、標準モードに対応している。切替スイッチ37の操作位置が第1位置の場合、制御部54はモードとして標準モードを設定する。
図3(b)に示すように、切替スイッチ37の第2位置は、多機能モードに対応している。切替スイッチ37の操作位置が第2位置の場合、制御部54はモードとして多機能モードを設定する。4つの多機能モードのうち、いずれの多機能モードが設定されるかは選択スイッチ43により選択される。
【0035】
4つの選択スイッチ43には、小回りモードに対応する選択スイッチ43、その場旋回モードに対応する選択スイッチ43、横移動モードに対応する選択スイッチ43、平行移動モードに対応する選択スイッチ43が含まれる。操作者は、切替スイッチ37により多機能モードが設定されている状態で、選択スイッチ43を操作することで、4つの多機能モードから1つの多機能モードを選択することができる。選択スイッチ43は、切替スイッチ37の操作位置が第2位置の場合に、4つの多機能モードのうちいずれが設定されるかを選択する選択部となる。
【0036】
制御部54は、設定されたモードに応じた操舵を行うとともに、ディスプレイ42の表示内容を更新する。例えば、
図4に示すように、切替スイッチ37の操作位置が第2位置の場合、ディスプレイ42には4つの多機能モードを表わすシンボルS1〜S4が表示される。シンボルS1は小回りモード、シンボルS2はその場旋回モード、シンボルS3は横移動モード、シンボルS4は平行移動モードにそれぞれ対応している。各シンボルS1〜S4は、枠内に表示された矢印の向きによって各モードを表現している。制御部54は、選択されているモードに対応したシンボルS1〜S4の矢印を白抜きとすることで、選択されている多機能モードを表現する。
図4では、小回りモードが設定されている場合のディスプレイ42の表示内容を示している。また、ディスプレイ42には、バッテリBの残容量を示すバッテリシンボルBSや、フォークリフト11の進行方向を示す進行方向シンボルS10など、フォークリフト11の状態が表示される。
【0037】
また、表示ユニット41の操作によって、切替スイッチ37により標準モードが設定された状態でフォークリフト11がキーオンされた後、切替スイッチ37の操作により多機能モードが設定される際に、複数の多機能モードのうちいずれの多機能モード(以下、指定の多機能モードと称する)に切り替わるかを指定することができる。
【0038】
詳細にいえば、表示ユニット41を所定の手順で操作することで、指定の多機能モードを選択することができる状態に制御部54を遷移させることができる。この状態で、1つの多機能モードを選択することで、予め指定の多機能モードを指定可能である。指定の多機能モードの指定は、選択スイッチ43によって行われてもよいし、選択スイッチ43とは異なるスイッチによって選択されてもよい。
【0039】
なお、本実施形態では、制御部54によって、フォークリフト11の操舵の制御や、ディスプレイ42の表示内容の制御が総括的に行われているが、表示ユニット41用の制御部や、操舵用の制御部など、機能毎に個別の制御部(ECU)が設けられていてもよい。
【0040】
次に、フォークリフト11の作用について制御部54が行う制御によるモードの遷移とともに説明する。なお、
図7において、実線の矢印はキースイッチ53のオン・オフ操作によるモードの遷移を示し、一点鎖線の矢印は選択スイッチ43によるモードの遷移を示し、二点鎖線の矢印は切替スイッチ37の操作によるモードの遷移を示す。
【0041】
図7に矢印A1,A2で示すように、キーオフ時においては、切替スイッチ37の操作に伴い、標準モードM1と多機能モードM2とが切り替わる。ここでの多機能モードM2とは、4つの多機能モードを総称したものである。なお、キーオフ時には、選択スイッチ43を操作しても、複数の多機能モードから1つの多機能モードを選択することはできない。
【0042】
次に、キーオフ時に標準モードM1が設定された状態で、フォークリフト11がキーオンされた場合のモードの遷移について説明する。
矢印A3に示すように、標準モードM1が設定された状態で、キースイッチ53がオン操作されると、標準モードM1が維持された状態でフォークリフト11はキーオンされる。
【0043】
矢印A4,A5で示すように、キーオン時において、切替スイッチ37が操作されると、制御部54は、標準モードM1と多機能モードM3とを切り替える。ここで、多機能モードM3は、予め指定された多機能モード(指定の多機能モード)である。制御部54は、標準モードが設定された状態でフォークリフト11がキーオンされ、切替スイッチ37により多機能モードが設定される場合、指定の多機能モードにモードを遷移させるといえる。
【0044】
矢印A6,A7に示すように、多機能モードM3が設定された状態で、多機能モードM3とは異なる多機能モードに対応する選択スイッチ43が操作されると、制御部54は、多機能モードM3とは異なる多機能モードM4,M5にモードを遷移させる。なお、説明の便宜上、その場旋回モードM4へのモードの遷移と、その場旋回モードM4以外の多機能モードM5へのモードの遷移とを分けて説明する。
【0045】
矢印A6に示すように、その場旋回モードM4に対応する選択スイッチ43が操作されると、制御部54は、多機能モードM3からその場旋回モードM4にモードを遷移させる。矢印A7に示すように、その場旋回モードM4とは異なる多機能モードM5に対応する選択スイッチ43が操作されると、制御部54は、多機能モードM3から多機能モードM5にモードを遷移させる。
【0046】
矢印A8,A9に示すように、キーオン時において、制御部54は、選択スイッチ43の操作に応じて、4つの多機能モードのうち、いずれかの多機能モードにモードを遷移させる。すなわち、選択スイッチ43を選択することで、操作者は任意の多機能モードを設定することができる。
【0047】
矢印A10,A11に示すように、多機能モードM4,M5が設定された状態で切替スイッチ37が操作されると、制御部54は、多機能モードM4,M5から標準モードM1にモードを遷移させる。
【0048】
矢印A12に示すように、標準モードM1が設定された状態でキースイッチ53がオフ操作されると、標準モードM1が維持された状態でフォークリフト11はキーオフされる。
【0049】
矢印A13,A14,A15に示すように、各多機能モードM3,M4,M5が設定された状態でキースイッチ53がオフ操作されると、モードは多機能モードM2に遷移する。
【0050】
次に、キーオフ時に多機能モードM2が設定された状態で、フォークリフト11がキーオンされた場合のモードの遷移について説明する。
矢印A16に示すように、多機能モードM2が設定された状態で、キースイッチ53がオン操作されると、制御部54は、その場旋回モードM4にモードを遷移させる。その場旋回モードM4にモードが遷移した後には、切替スイッチ37の操作によって標準モードM1にモードを遷移させることができる。また、選択スイッチ43の操作によってその場旋回モードM4以外の多機能モードM5にモードを遷移させることもできる。すなわち、その場旋回モードM4が設定された後には、キーオフ時に標準モードM1が設定された状態でフォークリフト11がキーオンされた場合と同様な制御が行われる。
【0051】
上記したように、標準モードと多機能モードとの切り替えは、切替スイッチ37によって行われる。切替スイッチ37は、第1位置と第2位置とを切り替えるスイッチであり、操作状態を認識可能に構成された操作器具である。なお、操作状態を認識可能に構成された操作器具とは、操作器具の操作状態が変更されたことを操作者が感覚的に認識できる操作器具である。例えば、本実施形態のように、回動させることで操作位置が変化する回動式スイッチや、押圧操作によりスイッチの高さが変化する押しボタン式スイッチは、操作したときにスイッチの操作位置(操作状態)が変更されたことを操作者が感覚的に認識できる。詳細にいえば、標準モードから多機能モードへの切り替えを行う場合と、多機能モードから標準モードへの切り替えを行う場合で、スイッチを回動させる方向や、スイッチの高さが異なることで、いずれのモードに切り替えたかを感覚的に認識することができる。したがって、これらのスイッチは操作状態を認識可能に構成された操作器具に該当する。
【0052】
一方で、モーメンタリスイッチや、プッシュスイッチなどの自動復帰型スイッチは、操作者の押圧操作により操作位置が変動した後に自動的に操作位置が復帰する。したがって、標準モードから多機能モードへの切り替えを行う場合と、多機能モードから標準モードへの切り替えを行う場合で、同一の操作が行われることになる。すると、操作者は、いずれのモードに切り替えたかを感覚的に認識することができず、意図したモードに変更できたという確信を得ることができない。したがって、自動復帰型スイッチは、操作状態を認識できる操作器具に該当しない。
【0053】
したがって、上記実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)操作状態を認識可能に構成された切替スイッチ37の操作によって、フォークリフト11の走行用のモードを、標準モード又は多機能モードに設定することができる。操作者は、操作状態を認識することで、標準モード及び多機能モードのうち、いずれのモードが設定されたかを認識できる。したがって、モードが切り替わったことをディスプレイ42で確認する必要がなく、モードの切り替えに伴う作業性の悪化を抑制することができる。
【0054】
(2)切替スイッチ37は、第1位置と、第2位置の2つの操作位置を切り替えることができるスイッチである。2つの操作位置を切り替えることで標準モードと多機能モードを切り替えることができるため、操作位置が3箇所以上の切替スイッチ37を用いる場合に比べて、操作状態(操作位置)を認識しやすい。また、複数の多機能モードのうち、切替スイッチ37が第2位置のときにいずれの多機能モードに遷移するかは、選択スイッチ43により選択することができる。
【0055】
前述したように、フォークリフト11は、様々な状況に対応できるように複数の多機能モードを備えている。しかしながら、複数の多機能モードのうち、使用頻度の多い多機能モードはフォークリフト11の使用環境や、操作者によって異なっている。すなわち、フォークリフト11が複数の多機能モードを備えている場合であっても、使用される多機能モードは特定のモードに限られている場合がある。仮に、モードの切り替えをモード毎に個別に設けられたスイッチによって行う場合、操作者は、複数のスイッチの中から、自身の使用したいモードに対応するスイッチの位置を確認し、当該スイッチを操作する必要がある。使用されるモードが特定のモードに限られているにも関わらず、スイッチの数はモードの数と同数設けられているため、自身の使用したいモードに対応したスイッチを探し出すのが煩わしく、作業性の悪化を招く。
【0056】
本実施形態のフォークリフト11のように、選択スイッチ43により、複数の多機能モードのうちのいずれの多機能モードを使用するかを選択することで、標準モードと、最も使用頻度の多い多機能モードとの2つのモードの切り替えを切替スイッチ37で行うことができる。したがって、モード毎に個別に設けられたスイッチを操作することでモードを切り替える場合に比べて、作業性が向上する。また、選択スイッチ43により、使用される多機能モードを任意に設定できるようにしたため、フォークリフト11毎に別の多機能モードを設定することができる。したがって、使用環境や、操作者に合わせた多機能モードを適宜設定することができる。
【0057】
(3)表示ユニット41により、指定の多機能モードを指定できるようにしている。標準モードが設定された状態でフォークリフト11がキーオンされた後、切替スイッチ37が操作された際に、いずれの機能モードに切り替わるかを予め指定することができる。このため、使用頻度の高い多機能モードを予め指定の多機能モードとして設定しておくことで、作業性の悪化を更に抑制することができる。
【0058】
(4)選択スイッチ43は、表示ユニット41の一部として備えられている。ディスプレイ42や、選択スイッチ43がユニット化されることで、ディスプレイ42の近傍に選択スイッチ43が設けられる。したがって、選択スイッチ43により多機能モードが切り替えられたことをディスプレイ42で確認しやすい。
【0059】
(5)キースイッチ53がオンされた時点で多機能モードが選択されている場合、制御部54は、その場旋回モードにモードを遷移させる。操作者は、フォークリフト11のキースイッチ53をオンした段階では、モードとして標準モードが設定されていると認識している場合が多い。これは、多機能モードが使用されるのは、標準モードで走行しにくいような限定的な場所であることからそのような場所でフォークリフト11を停止(キースイッチ53をオフ操作)するのは稀であることや、標準モードは多機能モードに比べて使用される頻度が多いことに起因する。標準モードが設定されていると認識している操作者が、多機能モードが設定されたフォークリフト11で走行しようとすると、走行態様の違いにより、違和感を覚えるおそれがある。
【0060】
その場旋回モードは、本実施形態の多機能モードの中で、走行態様が最も標準モードに近いモードである。このため、操作者が標準モードと認識した状態でフォークリフト11を走行させたとしても、操作者に違和感を与えにくい。
【0061】
なお、実施形態は、以下のように変更してもよい。
○選択スイッチ43は、表示ユニット41の一部として設けられていなくてもよく、表示ユニット41とは別に設けられていてもよい。
【0062】
○ディスプレイ42には、多機能モードを示すシンボルS1〜S4が表示されなくてもよい。
○切替スイッチ37は、3箇所以上の操作位置を備えていてもよい。この場合、操作位置毎に、個別のモードが対応付けられる。したがって、標準モード及び複数の多機能モードを合計したモード数と、操作位置との数は一致する。この場合、選択スイッチ43によって多機能モードを選択する必要がなく、選択スイッチ43を設けなくてもよい。
【0063】
○フォークリフト11は、指定の多機能モードを指定できなくてもよい。この場合、指定の多機能モードは、他の外部機器などによって設定されてもよい。
○ディスプレイ42をタッチパネルとし、タッチパネルの操作によって、切替スイッチ37の操作位置が第2位置の場合に設定される多機能モードを選択できるようにしてもよい。この場合、タッチパネルが選択部として機能する。また、タッチパネルの操作によって、指定の多機能モードを指定することも可能である。
【0064】
○産業車両は、港湾でコンテナを搬送する台車など、標準モードと複数の多機能モードから1つのモードを設定できる産業車両であればよい。
○多機能モードの数は、2つ以上であればよい。この場合、多機能モードの数に合わせて選択スイッチ43の数も変更する。
【0065】
○操作器具は、操作状態を認識できればよく、レバー操作でモードが切り替わる操作器具など、どのような形状であってもよい。
○標準モードの走行態様は、実施形態とは異なる走行態様であってもよい。例えば、実施形態におけるその場旋回モードの走行態様を、標準モードの走行態様としてもよい。