特許第6812878号(P6812878)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6812878接着シートおよびそれを用いた接着構造物、接着構造物の製造方法、および剥がす方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6812878
(24)【登録日】2020年12月21日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】接着シートおよびそれを用いた接着構造物、接着構造物の製造方法、および剥がす方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/29 20180101AFI20201228BHJP
   C09J 7/28 20180101ALI20201228BHJP
   C09J 7/35 20180101ALI20201228BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20201228BHJP
   C09J 5/06 20060101ALI20201228BHJP
   C09J 5/02 20060101ALI20201228BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20201228BHJP
   B32B 27/06 20060101ALI20201228BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20201228BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20201228BHJP
   B32B 3/14 20060101ALI20201228BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20201228BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20201228BHJP
   B32B 13/06 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
   C09J7/29
   C09J7/28
   C09J7/35
   C09J201/00
   C09J5/06
   C09J5/02
   B32B15/08 U
   B32B27/06
   B32B7/12
   B32B27/32 Z
   B32B3/14
   B32B27/12
   B32B3/30
   B32B13/06
【請求項の数】17
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2017-64711(P2017-64711)
(22)【出願日】2017年3月29日
(65)【公開番号】特開2017-218577(P2017-218577A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2020年1月17日
(31)【優先権主張番号】特願2016-113217(P2016-113217)
(32)【優先日】2016年6月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石黒 秀之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 越美
(72)【発明者】
【氏名】吉川 猛
【審査官】 田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−136811(JP,A)
【文献】 特開2004−027718(JP,A)
【文献】 特開2013−023601(JP,A)
【文献】 特開平03−007788(JP,A)
【文献】 特開2011−032763(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0011305(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)、金属箔(A)、熱硬化した接着剤層(B3)、メッシュ、フィルム(G)の順で積層されてなる接着シート(X)。
【請求項2】
熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)、金属箔(A)、フィルム(E)、熱硬化した接着剤層(B3)、メッシュ、フィルム(G)の順で積層されてなる接着シート(X1)。
【請求項3】
熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)、熱硬化した接着剤層(B1)、金属箔(A)、熱硬化した接着剤層(B3)、メッシュ、フィルム(G)の順で積層されてなる接着シート(X2)。
【請求項4】
熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)、金属箔(A)、熱硬化した接着剤層(B2)、フィルム(E)、熱硬化した接着剤層(B3)、メッシュ、フィルム(G)の順で積層されてなる接着シート(X3)。
【請求項5】
熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)、熱硬化した接着剤層(B1)、金属箔(A)、フィルム(E)、熱硬化した接着剤層(B3)、メッシュ、フィルム(G)の順で積層されてなる接着シート(X1―1)。
【請求項6】
熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)、熱硬化した接着剤層(B1)、金属箔(A)、熱硬化した接着剤層(B2)、フィルム(E)、熱硬化した接着剤層(B3)、メッシュ、フィルム(G)の順で積層されてなる接着シート(X1―2)。
【請求項7】
フィルム(E)が、ポリエチレン組成であることを特徴とする請求項2または請求項5〜6のいずれかに記載の接着シート(X1―3)。
【請求項8】
請求項1〜7いずれかに記載の接着シートのフィルム(G)側に、さらにパターニングされた導電層が積層されてなる接着シート。
【請求項9】
請求項1〜8いずれかに記載の接着シートの熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)と対向する面の外側に、さらに熱硬化した接着剤層(B4)、不織布の順で積層されてなる接着シート。
【請求項10】
請求項9に記載の接着シートの不織布側に、さらにトップコート層が積層されてなる接着シート。
【請求項11】
熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)の厚さが、10μm以上500μm以下であることを特徴とする請求項1〜10いずれかに記載の接着シート。
【請求項12】
金属箔(A)の厚さが、1μm以上1000μm以下であることを特徴とする請求項1〜11いずれかに記載の接着シート。
【請求項13】
熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)の表面粗さ(Ra)が0.01μm以上100μm以下であることを特徴とした請求項1〜12いずれかに記載の接着シート。
【請求項14】
請求項1〜13いずれかに記載の接着シートと、コンクリートと、を接着してなる接着構造物。
【請求項15】
コンクリートが、プライマー層を有することを特徴とする請求項14に記載の接着構造物。
【請求項16】
請求項1〜13いずれかに記載の接着シートを、電磁誘導加熱装置により加熱し、接着シートと、コンクリートと、を接着することを特徴とする接着構造物の製造方法。
【請求項17】
請求項14または15に記載の接着構造物を、電磁誘導加熱装置により加熱し、熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)を、軟化ないし溶融させ、コンクリートと接着シートとを、剥離する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性ホットメルト接着剤層、金属箔、熱硬化した接着剤層、メッシュ、フィルムの順で積層されてなる接着シート、また上記接着シートと、コンクリートと、を接着した接着構造物、電磁誘導加熱により接着する接着構造物の製造方法、および電磁誘導加熱により剥離する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高度成長時代以来建築・土木関連など多くの産業でコンクリートが使用されてきた。コンクリートと他の部材との接着は、釘、ボルトなどが用いられていた。これらの方法は、比較的作業が簡単であるが、点で接着している為力が一点に集中している。そこで、力を分散させるために面での接着が望まれていた。また、接合部に突起や肉盛りが表れる為、美観が損なわれる問題も発生していた。これらの問題を解決する為に、コンクリートとの接着には、エポキシ系接着剤が使用されている(特許文献1、2)。しかしながら、エポキシ系接着剤は、接着剤が硬化するまでを時間要する為にコンクリートと他の基材と、を貼り合わせた後、長時間固定しなくてはならなかったり、固定しなかった場合剥がれ落ちたりするなどの問題を抱えていた。
接着剤の硬化に時間を必要としない方法として粘着テープが開発された(参考文献3)。しかし、粘着テープは、硬化時間で短縮できるメリットはあるものの、接着力が弱く、水・熱などがかかると接着力が低下す為、実用化は難しい。
一方、近年、電磁誘導加熱方式を用いた接着剤の溶融装置や電磁誘導加熱接着シートなどが開発されている。電磁誘導加熱とは、電磁誘導加熱装置のコイルに高周波の交流電流を流すことにより交流磁界を発生させて、磁界中の導電物質の金属内に渦電流を発生させて、この渦電流に基づくジュール熱で導電物質を発熱させる加熱方法である。コイルに流す交流の周波数を高くする程磁界の変化が速くなり、それに基づく渦電流が大きくなって、加熱時間を短くすることが出来る。電磁誘導加熱による接着方法は硬化時間が短く、水・熱による接着強度の低下を抑えることが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−172597
【特許文献2】特公平6−13689
【特許文献3】特開平8−319462
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、接着シートの構造を熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)、金属箔(A)、熱硬化した接着剤層(B3)、メッシュ、フィルム(G)の順で積層させることにより、コンクリートと接着シートと、を強固に接着した接着構造物を、エージングすることなく短時間で製造可能とすることである。また、コンクリートを傷付けることなく剥離可能とする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、課題を解決する接着シート、それを用いた接着構造物を見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)、金属箔(A)、熱硬化した接着剤層(B3)、メッシュ、フィルム(G)の順で積層されてなる接着シート(X)に関する。
【0007】
また、熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)、金属箔(A)、フィルム(E)、熱硬化した接着剤層(B3)、メッシュ、フィルム(G)の順で積層されてなる接着シート(X1)に関する。
【0008】
また、熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)、熱硬化した接着剤層(B1)、金属箔(A)、熱硬化した接着剤層(B3)、メッシュ、フィルム(G)の順で積層されてなる接着シート(X2)に関する。
【0009】
また、本発明は、熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)、金属箔(A)、熱硬化した接着剤層(B2)、フィルム(E)、熱硬化した接着剤層(B3)、メッシュ、フィルム(G)の順で積層されてなる接着シート(X3)に関する。
また、熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)、熱硬化した接着剤層(B1)、金属箔(A)、フィルム(E)、熱硬化した接着剤層(B3)、メッシュ、フィルム(G)の順で積層されてなる接着シート(X1―1)に関する。
【0010】
また、本発明は、熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)、熱硬化した接着剤層(B1)、金属箔(A)、熱硬化した接着剤層(B2)、フィルム(E)、熱硬化した接着剤層(B3)、メッシュ、フィルム(G)の順で積層されてなる接着シート(X1―2)に関する。
【0011】
また、フィルム(E)が、ポリエチレン組成であることを特徴とする前記接着シート(X1―3)に関する。
【0012】
また、前記接着シートのフィルム(G)側に、さらに熱硬化した接着剤層(B4)、不織布の順で積層されてなる接着シートに関する。
【0013】
また、前記接着シートの不織布側に、さらにトップコート層が積層されてなる接着シートに関する。
【0014】
また、前記接着シートのフィルム(G)側に、さらにパターニングされた導電層が積層されてなる接着シートに関する。
【0015】
また、前記接着シートの熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)と対向する面の外側に、さらに熱硬化した接着剤層(B4)、不織布の順で積層されてなる接着シートに関する。
【0016】
また、熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)の厚さが、10μm以上500μm以下であることを特徴とする前記接着シートに関する。
【0017】
また、金属箔(A)の厚さが、1μm以上1000μm以下であることを特徴とする前記接着シートに関する。
【0018】
また、熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)の表面粗さ(Ra)が0.01μm以上100μm以下であることを特徴とする前記接着シートに関する。
【0019】
また、前記接着シートと、コンクリートと、を接着してなる接着構造物に関する。
【0020】
また、コンクリートが、プライマー層を有することを特徴とする前記接着構造物に関する。
【0021】
さらに、前記接着シートを、電磁誘導加熱装置により加熱し、接着シートと、コンクリートと、を接着することを特徴とする接着構造物の製造方法に関する。
【0022】
更に、前記接着構造物を、電磁誘導加熱装置により加熱し、熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)を、軟化ないし溶融させ、コンクリートと接着シートとを、剥離する方法に関する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、コンクリートと接着シートと、を強固に接着した接着構造物を提供することができる。また、電磁誘導加熱法を用いることで、これらの接着構造物をエージングすることなく短時間で製造可能な製造方法、およびコンクリートを傷付けることなく剥離方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の代表的な実施形態を表す。
図2】本発明の代表的な実施形態を表す。
図3】本発明の代表的な実施形態を表す。
図4】本発明の代表的な実施形態を表す。
図5】本発明の代表的な実施形態を表す。
図6】本発明の代表的な実施形態を表す。
図7】本発明の代表的な実施形態を表す。
図8】本発明の代表的な実施形態を表す。
図9】本発明の代表的な実施形態を表す。
図10】本発明の代表的な実施形態を表す。
図11】本発明の代表的な実施形態を表す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の接着シートについて、更に詳細に説明する。
【0026】
[熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)]
本発明の熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)を作製するために、使用できる熱可塑性ホットメルト接着剤は、ABS、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリイソブチレン、ポリメチルペンテン、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体、エチレン/オクテン共重合体などのポリオレフィン、シクロペンタジエンとエチレン及び/又はプロピレンとの共重合体などの環状ポリオレフィン、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体などの極性基が導入されたポリオレフィン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、アクリル酸変性ポリプロピレン、スチレン系エラストマー、ゴムなどの酸変性ポリプロピレンなどがあげられる。好ましくは、ポリアミドである。
【0027】
本発明の熱可塑性ホットメルト接着剤には、接着性を向上させる為に粘着付与剤などを添加しても良い。主な粘着付与剤は、特に限定されないがフェノール樹脂、変性フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、キシレンフェノール樹脂、シクロペンタジエン−フェノール樹脂、キシレン樹脂、脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の石油樹脂、水素添加された脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の石油樹脂、フェノール−変性石油樹脂、ロジンエステル樹脂、水素添加されたロジンエステル樹脂、低分子量ポリスチレン系樹脂、テルペン樹脂、水素添加されたテルペン樹脂などの粘着付与樹脂が含まれていることが好ましい。粘着付与樹脂は、単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
本発明の熱可塑性ホットメルト接着剤は、低粘度化するなどの目的でワックスなどを添加しても良い。主なワックスは、特に限定されないが、カルナバワックス、キャンデリアワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、これらのワックスの酸化物、エチレンーアクリル酸共重合体、エチレンーメタクリル酸共重合体等が挙げられる。ワックスは、単独もしくは2種類以上を組み合わせて使用できる。
【0028】
本発明の熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)は、表面にコロナ処理を行うことが好ましく、特に極性が低いポリエチレン、ポリプロピレン等は、コロナ処理面に熱硬化性接着剤を塗布して熱硬化させることで、より強固に接着する。コロナ処理は、熱硬化性接着剤塗工する直前に行ってもコロナ処理を前もって行っておいても差し支えない。
【0029】
本発明の熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)は、フィルム状にしたものを好適に用いることができる。本発明の熱可塑性ホットメルト接着剤層の厚さは、10μm以上500μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは20μm以上300μm以下である。熱可塑性ホットメルト接着剤層の厚さが10μm未満又は500μmより厚い場合は、接着不良が発生する場合がある。
熱可塑性ホットメルト接着剤層の添加剤として、必要により各種のものが使用可能である。例えば、着色剤、ブロッキング防止剤、無機フィラー、酸化防止剤、充填剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤や重金属不活性化剤などである。
【0030】
着色剤としては、赤、青、緑、黄などの慣用公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよく、例えば、モノアゾ系、ジズアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系、フタロシアニン系、アントラキノン系があり、顔料系はピグメント、ペリレン系、モノアゾ系、縮合アゾ系、イソインドリノン系、酸化チタン、カーボンなどが挙げられる。
ブロッキング防止剤としてはシリコーン、エルカ酸アミドやオレイン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド、ステアリン酸アミドやベヘニン酸アミドなどの飽和脂肪酸アミドなどが挙げられる。
【0031】
無機フィラーとしては、金属、金属酸化物及び金属水酸化物など粒子、繊維状などが挙げられる。具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、珪酸カルシウム、チタン酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム繊維、フレーク状ガラス、タルク、カオリン、マイカ、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸一水素カルシウム、ワラストナイト、シリカ、ゼオライト、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミナ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、カーボンナノチーブ、グラファイト、銅、銀、アルミニウム、ニッケル、鉄、フッ化カルシウム、雲母、モンモリナイト、アパタイトなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、高分子量ヒンダード多価フェノール、トリアジン誘導体、高分子量ヒンダード・フェノール、ジアルキル・フェノール・スルフィド、2,2−メチレン−ビス−(4−メチル−6−第三−ブチルフェノール)、4,4−メチレン−ビス−(2,6−ジ−第三−ブチルフェノール)、2,6−ジ−第三−ブチルフェノール−p−クレゾール、2,5−ジ−第三−ブチルヒドロキノン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノン、ジブチル・ジチオカルバミン酸ニッケル、1−オキシ−3−メチル−4−イソプロピルベンゼン、4,4−ブチリデンビス−(3−メチル−6−第三−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンゾイミダゾールなどが挙げられる。
【0032】
充填剤としては、湿式シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、モンモリロナイト、マイカ、スメクタイト、有機化モンモリロナイト、有機化マイカ、有機化スメクタイト等が挙げられる。
【0033】
難燃剤としては、燐含有化合物系難燃剤、ハロゲン含有化合物系難燃剤、スルホン酸金属塩系難燃剤、珪素含有化合物系難燃剤等が挙げられる。
可塑剤としては、フタル酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、脂肪族一塩基酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、テトラヒドロフタル酸エステル系可塑剤、グリコール系可塑剤、及びビスフェノールAアルキレンオキサイド誘導体などが挙げられる。
帯電防止剤としては、プラスチックの帯電防止剤として汎用されているものでよく、具体的には、非イオン界面活性剤(例えば、多価アルコールの脂肪酸エステル、アルキルアミンのエチレンオキサイド付加物、及びアルキルアミンのエチレンオキサイド付加物の脂肪酸エステルなど)、陰イオン界面活性剤(例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩など)、陽イオン界面活性剤(例えば、脂肪族アミン塩、4級アンモニウム塩など)、両性界面活性剤(例えばイミダゾリン型、ベタイン型など)が挙げられる。
【0034】
光安定剤としては、ヒンダードアミン系化合物及びベンゾエイト系化合物などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤などが挙げられる。
重金属不活性化剤としては、サリチル酸誘導体、ヒドラジド誘導体又はシュウ酸アミド誘導体などが挙げられる。
【0035】
上記添加剤は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0036】
[金属箔(A)]
本発明の金属箔(A)は、電磁誘導加熱装置による高周波磁束によって渦電流が誘導され、金属層のジュール加熱により、熱可塑性ホットメルト接着層を溶融させ、コンクリートと接着させるためのものである。この金属層磁性体、非磁性体のいずれの金属材料も使用ことができ、例えば、鉄、銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、亜鉛、鉛、マグネシウム及びそれら合金などから選ばれる導電性金属であることが好ましく、アルミニウム、銅、鉄、ステンレスがより好ましく、アルミニウム、銅、が特に好ましい。
これら金属は、フィルム状にしたものを好適に用いることができる。金属層の厚みは、1
μm以上1000μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以上500μm以下であり、さらに好ましくは20μm以上100μm以下である。上記の範囲だと特に、素早い発熱と最適な発熱温度が達成される。
【0037】
[熱硬化した接着層(B1)、(B2)、(B3)、(B4)]
本発明の熱硬化した接着剤層(B1)、(B2)、(B3)、(B4)は、熱硬化しうる接着剤によって生成できる。使用できる熱硬化しうる接着剤は、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂等の官能基を有する主剤と、硬化剤とをベース樹脂とした熱硬化性接着剤により形成されることが好ましい。
【0038】
(主剤)
ポリエステル樹脂として、モノマー組成の酸成分としては、例えばジメチルテレフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸などの芳香族二塩基性酸や、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、ピメリン酸、1,6−ヘキサンジカルボン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸などの脂肪族二塩基性酸と、グルコール成分としては、エチレングリール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタジオール、1,5−ペンタジオール、3−メチルペンタジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのグリコールもしくはその残基形成誘導体もしくはカプロラクトンなどのα,ω−オキシ酸もしくはその残基形成誘導体よりなる飽和二官能性モノマーとを適宜選択して常法により共重合して得ることが可能である。
【0039】
ポリウレタン樹脂としては、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリマーポリオール等のポリオールとポリイソシアネートからなるイソシアネート化合物を上記ポリオール過剰で反応させて得られるが、上記エーテル系ポリオールとしては、例えば、ビスフェノールA、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール類、エチレンジアミン、ブチレンジアミン等のアミン類等からなる活性水素2個以上を有する低分子量活性水素化合物の1種又は2種以上の存在下に、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドの1種又は2種以上を開環重合させて得られる重合体が挙げられる。
【0040】
上記ポリエステル系ポリオールとしては、例えばアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸等の多塩基性酸と、例えばビスフェノールA、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の多価アルコールとを脱水縮合して得られる重合体、又、例えば、ε−カプロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン等のラクトンの重合体、又、例えば、ひまし油、ひまし油とエチレングリコールの反応生成物等のヒドロキシカルボン酸と上記多価アルコールなどの縮合物が挙げられる。
【0041】
上記ポリマーポリオールとしては、例えば前記ポリエーテル系ポリオールないしはポリエステル系ポリオールにアクリロニトリル、スチレン、メチル(メタ)アクリレートなどのエチレン性不飽和化合物をグラフト重合させたものや、1,2−もしくは1,4−ポリブタジエンポリオール、又はこれらの水素添加物が挙げられる。
【0042】
上記ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート類、又、上記ジイソシアネート類の3量体、トリフェニルメタントリイソシアネート等のトリイソシアネート類、又、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等の混合物であるクルードMDIなどが挙げられる。これらのポリイソシアネートは1種類で使用されてもよいが、2種類以上を併用してもよい。
上記水酸基末端ポリウレタンポリマーの水酸基1に対し、イソシアネート化合物のイソシアネート基2〜8となるように配合されて上記接着剤として使用される。
【0043】
エポキシ樹脂としては、1分子中にエポキシ基を2個以上有するものであればよく、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレートエポキシ樹脂、アクリル酸変性エポキシ樹脂(エポキシアクリレート)、リン含有エポキシ樹脂及びこれらハロゲン樹脂(臭素化エポキシ樹脂など)や水素添加物などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。臭素化エポキシ樹脂などは、接着剤に難燃性が要求される場合に、特に有効である。アクリル酸変性エポキシ(エポキシアクリレート)は、感光性を有するため、エポキシ系樹脂組成物に光硬化性を付与するのに有効である。
【0044】
(硬化剤)
硬化剤としては、主剤の硬化に用い得るものであれば、特に制限なく使用することが可能であるが、例えば、イソシアネート系硬化剤、脂肪族アミン系硬化剤、脂環式アミン系硬化剤、芳香族アミン系硬化剤、酸無水物硬化剤、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素アミン錯塩、イミダゾール化合物などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。硬化剤の配合量は主剤に応じて定めることができる。
【0045】
熱硬化接着剤層の添加剤としてはシランカップリング剤、酸化防止剤等などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセチルシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトエチルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシランなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、上記記載の熱可塑性ホットメルト接着剤層に用いられる酸化防止剤が用いられる。
【0046】
本発明の熱硬化しうる接着剤は、各種の溶剤を含有しても良い。例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトンなどのケトン系化合物、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキソランなどの環状エーテル系化合物、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系化合物、トルエン、キシレンなどの芳香族系化合物、カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレンコールモノメチルエーテルなどのアルコール系化合物などが挙げられる。これらは、単独でも使用しても、2種類以上を併用しても良い。
【0047】
また、熱硬化しうる接着剤層(B)としては、接着シートの密着性、耐熱性、耐水性の面より、主剤としてポリエステル樹脂およびウレタン樹脂を用いることが好ましく、特にポリエステル樹脂が好ましい。
更に、硬化剤として芳香族系ポリイソシアネート硬化剤を用いることがより好ましい。
【0048】
(接着剤層(B)の形成方法)
熱硬化した接着剤層(B)の形成方法としては、熱硬化しうる接着剤(B3)を、金属箔(A)又はフィルム(G)に塗工し、乾燥、熱硬化させることが好ましい。更に金属箔(A)に皺が発生することを防ぐ観点から、熱硬化しうる接着剤(B3)はフィルム(G)に塗工して形成することが好ましく、熱硬化しうる接着剤(B3)がメッシュに浸漬することで、フィルム(G)、メッシュ、金属箔(A)の順で積層することができる。
【0049】
また、必要に応じて、熱硬化しうる接着剤(B1)、熱硬化しうる接着剤(B2)、熱硬化しうる接着剤(B4)を塗工することもできる。
1、熱硬化しうる接着剤(B1)の使用:熱硬化しうる接着剤(B1)の存在により、接着シート、接着構造物の表面の皺が無く、より良い外観が得られる効果がある。熱硬化しうる接着剤(B1)を金属箔(A)又は熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)に塗工し、乾燥、熱硬化させることが好ましい。更に、金属箔(A)に皺が発生することを防ぐ観点から、熱硬化しうる接着剤(B1)は熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)に塗工して形成することが好ましい。
2、熱硬化しうる接着剤(B2)の使用:接着シート中に、フィルム(E)を設ける際に、フィルム(E)と金属箔(A)の間に、熱硬化しうる接着剤(B2)を設けることができる。
熱硬化しうる接着剤(B2)を金属箔(A)又はフィルム(E)に塗工し、乾燥、熱硬化させることが好ましい。更に金属箔(A)に皺が発生することを防ぐ観点から、熱硬化しうる接着剤(B2)はフィルム(E)に塗工して形成することが好ましい。
3、熱硬化しうる接着剤(B4)の使用:接着シートの耐光性、耐水性、防汚性、耐候性、耐衝撃性、耐傷付性、耐酸性、耐アルカリ性を向上させるために、トップコートを有する不織布とフィルム(G)と接着シートとを積層することが好ましい。そこで、熱硬化しうる接着剤(B4)が不織布とフィルム(G)との接着作用として存在する。熱硬化しうる接着剤(B4)をフィルム(G)又は不織布に塗工し、乾燥、熱硬化させることが好ましい。
【0050】
上記のいずれの熱硬化しうる接着剤を塗工するための装置としては、コンマコーター、ロールナイフコーター、ダイコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター等が挙げられる。熱硬化性接着剤の塗布量は、乾燥膜厚で1〜50μm程度であることが好ましく、2〜25μmがより好ましく、さらに好ましくは2〜10μmである。
【0051】
一枚の接着シートにおいて、熱硬化しうる接着剤(B1)、(B2)、(B3)、(B4)が同じ組成物で塗布されてもいいし、異なる組成で塗布されてもいい。しかし、塗工工程の効率を向上させる面で考慮すると、一枚の接着シートを作製する際、熱硬化しうる接着剤(B1)、(B2)、(B3)、(B4)が同じ組成物で塗布されることが好ましい。
【0052】
[メッシュ]
メッシュとは、熱硬化しうる接着剤(B3)が、接着シートを製造する際に、フィルム(G)の外側からメッシュに浸透し、金属箔(A)の外側に充分密着され、接着シートと一体となって、コンクリートの剥離を防止するものである。
従って、接着シートを積層するに際しては、熱硬化しうる接着剤(B3)がメッシュにも充分に浸透するよう配慮することが好ましい。このような観点から、メッシュは施工用の熱硬化しうる接着剤(B3)を浸透しやすい繊維基材が好ましい。中でも、メッシュ基材としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ビニロン繊維、カーボン繊維、ガラス繊維又はポリオレフィン繊維からなる群の中から選ばれる一種又はニ種以上の繊維からなることがより好ましい。
これらの中でも軽くて強度に優れることから、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ビニロン繊維、およびポリオレフィン繊維が特に好ましい。
また、メッシュとは、例えば、コンクリート劣化因子が浸入するのを防ぐことができるメッシュであってもよいし、強度が低下しているコンクリートを補強することができるメッシュであってもよいし、その他の機能を有してコンクリートを補修又は補強することができるメッシュであってもよい。
また、これらの全てを満たすメッシュであってもよい。メッシュは、コンクリートを補修又は補強することができるものであれば特に限定されないが、接着シートを電磁誘導加熱装置により加熱する場合、熱がメッシュにダメージを与える可能性があるため、耐熱性が高いメッシュが特に好ましい。
【0053】
本発明におけるポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリアルキレンジオールをソフトセグメントとするポリエステルエーテルブロック共重合体、または、脂肪族ポリエステルをソフトセグメントとするポリエステルエステルブロック共重合体が例示できる。ポリエステルエーテルブロック共重合体としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン− 2 , 6 − ジカルボン酸、
ナフタレン−2 ,7 − ジカルボン酸、ジフェニル− 4 ,4 ’− ジカルボン酸等の
芳香族ジカルボン酸、1 ,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、
琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸または、これらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、1 , 4 − ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等の脂肪族ジオール、1 ,
1−シクロヘキサンジメタノール、1 , 4 − シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール、またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジオール成分の少なくとも1種、およびポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシド− プロピレンオキシド共重合体からなるグリコール
等のポリアルキレンジオールのうち少なくとも1 種から構成される三元ブロック共重合
体である。ポリエステルエステルブロック共重合体としては、上記ジカルボン酸とジオール及びポリラクトン等のポリエステルジオールのうち少なくとも各1種から構成される三元ブロック共重合体である。
【0054】
硬化中の熱及び電磁誘導加熱装置により発生した熱の熱接着性を考慮すると、ジカルボン酸としてはテレフタル酸、または、及びナフタレン2 , 6 − ジカルボン酸、ジオール成分としては1 , 4 − ブタンジオール、ポリアルキレンジオールとしてはポリテトラメチレングリコールの3元ブロック共重合体または、ポリエステルジオールとしてポリラクトンの3 元ブロック共重合体が特に好ましい。特殊な例では、ポリシロキサン系のソ
フトセグメントを導入したものも使うことができる。また、上記ポリエステル系熱可塑性エラストマーに非エラストマー成分をブレンドしたもの、共重合したもの、ポリオレフィン系成分をソフトセグメントにしたもの等も本発明のポリエステル系熱可塑性エラストマーに包含される。さらに、ポリエステル系熱可塑性エラストマーに各種添加剤等を必要に応じ添加したものも包含される。
【0055】
(メッシュの製造方法)
本特許のメッシュは特開平7 − 6 8 0 6 1 号公報等に記載された公知の方法に基
づき得られる。例えば、複数のオリフィスを持つ多列ノズルよりポリエステル系熱可塑性エラストマーをノズルオリフィスに分配し、該ポリエステル系熱可塑性エラストマーの融点より高い紡糸温度で、該ノズルより下方に向け吐出させ、溶融状態で互いに連続線状体を接触させて融着させ3 次元構造を形成しつつ、引取りコンベアネットで挟み込み、冷
却槽中の冷却水で冷却せしめた後、引出し、水切り後または乾燥して、両面または片面が平滑化した網状構造体を得る。片面のみを平滑化させる場合は、傾斜を持つ引取ネット上に吐出させて、溶融状態で互いに接触させて融着させ3次元構造を形成しつつ引取ネット面のみ形態を緩和させつつ冷却すると良い。得られた網状構造体をアニーリング処理することもできる。なお、メッシュの乾燥処理をアニーリング処理としても良い。
【0056】
[フィルム(G)]
フィルム(G)とは、セロハン、各種プラスチックフィルム、及び紙等が挙げられる。なかでも、結晶性が高い各種プラスチックフィルムの使用が好ましい。また、引き裂き強度が強いを用いれば、単層構造であってもよいし、複数の基材を積層してなる多層構造を有するものであってもよく、いずれの構造を有するフィルムであっても好適に使用することができる。
【0057】
フィルム(G)としては、寸法安定性、耐熱性、引き裂き強度に優れた材料が好ましく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン,エチレンー ビ
ニルアルコール共重合体,ポリビニルアルコール,ポリビニルアルコールのホルマル処理したもの( ビニロン) ,ポリメチルアクリレート,ポリスチレン,ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレン2,6ナフタレート、ポリエチレンブチレート等のポリエステル,ナイロン6、ナイロン6−6,ナイロン6−10,ナイロン6−12,ナイロン11、ナイロン12、等のポリミド,ポリメチルペンテン,ポリフェニレンスルフィド,ポリエーテルケトン,ポリエーテルエーテルケトン,ポリエーテルイミド,ポリイミド,ポリカーボネート,ポリケトン,ポリアクリロニトリル,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポリフッカビニル,ポリフッカビニリデン,ポリ三フッカ塩化エチレン,ポリ四フッカエチレン,セルロース,メチルセルロース,カルボキシメチルセルロース等のフィルムが例示できる。当然のことながらこれらのフィルムに限定するものではなく、必要に応じて上記のフィルムを二種以上公知の方法で貼り合わせたものをフィルムとして用いてもいっこうに構わない。
また、フィルム(G)は、引き裂き強度、寸法安定性、耐熱性の点からフィルム製膜時に縦及び横方向の少なくとも一方向に任意の倍率で延伸したいわゆる延伸フィルムとして用いることもできる。当然延伸をしない未延伸フィルムとして用いても良い。
【0058】
[フィルム(E)]
フィルム(E)とは金属箔(A)とメッシュとの間に設けられ、電磁誘導加熱により発生した熱量を一部吸収して、メッシュ、フィルム(G)への熱ダメージを減少させることができる。フィルム(E)の組成には40℃以上メッシュの融点以下に融点を有し、且つ融解潜熱が多い各種プラスチックフィルムの使用が好ましい。また、フィルムが単層構造であってもよいし、複数の基材を積層してなる多層構造を有するものであってもよく、いずれの構造を有するフィルムであっても好適に使用することができる。
【0059】
また、フィルム(E)の組成とはポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等様々の樹脂を採用することができ、厚さには制限がなく任意に設定することができ、色は種々の顔料を添加して自由に設定したり、透明とすることもできる
また、本発明の接着構造物を構成する場合、フィルム(E)の少なくとも一方の面にポリプロピリン、ポリエチレン、ポリエステル、塩化ビニール等の融解潜熱の大きい樹脂を形成することが好ましい。
例えば、熱硬化しうる接着剤(B1)が金属箔(A)と熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)との間で存在する場合、フィルム(E)はポリエチレン系樹脂であることが好ましい。その理由とは、コスト面と電磁誘導加熱により発生した熱量でメッシュの溶融を抑制するためである。
【0060】
[不織布]
不織布は接着シートになる場合、単独で使用してもよく、トップコートと積層して使用して良い。特に、不織布とトップコートと積層する場合、不織布とトップコートとの積層体は接着シートの外側となることが設けられるので、耐光性、耐水性、防汚性、耐候性、耐衝撃性、耐傷付性、耐酸性、耐アルカリ性等のいずれかの機能を付与することができる。そのため、不織布とトップコートと積層することが好ましい。
【0061】
不織布の構成材料としては例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、カーボン繊維、ガラス繊維及びポリオレフィン繊維等から選ばれる1 種
又は2種以上を挙げることができる。これらの中でも、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、及びポリオレフィン繊維は、軽くて強度に優れることから好ましく用いられる。これらの繊維は、混紡されていてもよいし、縦糸や横糸に使い分けられていてもよいし、多層に積層されていてもよい。繊維材料層は、基材である合成樹脂フィルムに樹脂材料で接着させることができる。このときの樹脂材料は特に限定されず、上記した樹脂材料層で用いたものと同種の樹脂材料を用いることができる。
【0062】
[トップコート層]
本発明で用いるトップコート層は、耐光性、耐水性、防汚性、耐候性、耐衝撃性、耐傷付性、耐酸性、耐アルカリ性等の不織布の保護や各種機能を付与することを目的として用いられる。本発明で用いる有機質系または無機系の塗り床材用トップコート用バインダーとしては、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、メタクリル樹脂系、アクリル樹脂系、ポリエステル樹脂系、ビニルエステル樹脂系、フッ素樹脂等から選ばれる1種又は2種以上のトップコートを適宜選択し、1層又は2層以上施工して用いることができる。
不織布にトップコート用バインダーを塗布する方法としては、通常の方法を採用すればよく、例えば、マイヤーバー、アプリケーター、刷毛、スプレー、ローラー、グラビアコーター、ダイコーター、マイクログラビアコーター、リップコーター、コンマコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、リバースコ−ター、スピンコーター等の、周知の様々な方法を適用することができる。また、薄膜塗工又は厚膜塗工等の形態についても、用途に応じて、特に制限なく、選択することができる。
【0063】
<接着構造物>
本発明の接着構造物は、コンクリート層と、本発明の接着シートと、を接着したものである。
【0064】
以下、それぞれの構成成分について説明する。
【0065】
[コンクリート層]
本発明のコンクリートとは、セメントに水を加えて塗り混ぜたペーストを、時間をかけて固めた塊で、骨材として砂などの細骨材、砂利などの粗骨材を含有してもよい。コンクリートは、セメントの溶解析出反応で硬化する。セメントは、カルシウム、珪素、アルミニウム、鉄などの元素から構成されている。水と接すると、カルシウムイオンが溶けだして、水溶液中のカルシウムイオンが増加する。主成分である珪酸(SiO)、アルミナ(Al3)は、それぞれのイオンがお互いに重合しあった安定な物質(ポリマー)とし
て存在し、カルシウムイオンと反応しない。しかし、セメントの中では、珪酸イオンとアルミのイオン(アルミナ−イオン)は比較的反応し易く単量体で存在し、回りのカルシウムイオンが溶脱したことにより、溶液中に溶け出して、カルシウムイオンや水分子と反応して、水に溶けにくいセメント水和物(C−S−H:エトリンガイト)を生成し、余ったカルシウムイオンは、水酸化カルシウムとして析出する。水和物粒子は互いに結合して硬化が始まる。
粒子間の結合は、分子間引力や水素結合で保持されていると考えられ、C−S−Hは、水酸化カルシウムと異なり、0.1μm以下の微細な結合であり、単位体積当たりの粒子同士の結合面積が著しく大きい為、高い結合力を発揮し、硬化体の強度を発揮する。
本発明のコンクリートとしては、セメントと水を混ぜて固めたセメント、セメントと水と細骨材(砂)を混ぜて固めたモルタルと、セメントと水と骨材(細骨材(砂)と粗骨材(砂利))を混ぜて固めたコンクリート等を用いることが出来る。
【0066】
[プライマー層]
本発明のプライマー層は、コンクリート層と熱可塑性ホットメルト接着層との間に存在することが好ましい。
(1)コンクリート上にクラックなどがあった場合クラック内にプライマーが入ることで基材強度を増すだけでなく、
(2)プライマー層が存在することで、コンクリート層と熱可塑性ホットメルト接着層との接着性を大きく向上させる。
プライマー層を形成する樹脂としては、例えばポリウレタン、エポキシ、アクリル酸エステル共重合体、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリエステル等のエマルジョン、またはラテックスがあげられるが、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、又はアクリル樹脂が好ましく、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂がより好ましく、アクリル樹脂が特に好ましい。これらのプライマー層形成用樹脂は、単独または2種以上組合せて使用される。プライマー層の厚さは、0.01mm〜4mm程度であることが好ましい。
コンクリートのプライマー層に用いられるプライマーは、2液混合型が好ましい。塗工後数時間、さらには、数十分で硬化することが好ましい。
プライマー層はコンクリート層にプライマー樹脂を、刷毛又はロールで塗工し、十分に乾燥硬化することで得ることができるが、この方法に限定されない。プライマー樹脂の塗工量は、コンクリートや熱可塑性ホットメルト接着剤の種類によるが、10g/m以上4,000g/m以下、好ましくは50g/m以上500g/m以下であることが好ましい。
【0067】
[パターニングされた導電層]
パターニングされた導電層の形成方法としては、導電性塗料をフォトリソグラフィーする方法、各種印刷によるパターニング方法、導電材料を貼り付ける方法などが挙げられる。
導電性塗料としては、導電性フィラーを樹脂などに分散させた組成物が用いられ、導電性フィラーとしては、銀系,銀・銅複合系,ニッケル系,カーボン系,銅系などが挙げられる。
印刷によるパターニング方法としては、スクリーン印刷、スロットコート、インクジェットなどの方法が採用可能である。
導電層の乾燥膜厚は、1〜1,000μm程度であることが好ましく、5〜500μmがより好ましく、さらに好ましくは50〜200μmである。
また、導電層の外側には、保護層を有することが好ましい。
【0068】
また、必要に応じて、上記パターニングされた導電層に隣接する層として、絶縁層を設けることができる。
絶縁層は、PETフィルム,塩化ビニルフィルム,PENフィルムなどを接着剤などで金属層などと接着する方法によって、金属層と導電層との間に形成できる。また、絶縁塗料を塗布することによっても、形成することができ、絶縁塗料としては、樹脂を溶剤に溶かしたものが一般的である。
また、絶縁層としてPETフィルムなどを、熱ラミによって形成する事も出来る。
絶縁層の乾燥膜厚は、1〜1,000μm程度であることが好ましく、10〜500μmがより好ましく、さらに好ましくは10〜200μmである。
【0069】
<接着シート(X)の製造方法>
1、熱可塑性ホットメルト接着剤をインフレーション法、Tダイ法、溶液流延法、カレンダー法などの他、離型紙又はフィルムなどの上にスリットコーティングして得られた熱可塑性ホットメルト接着剤層を、金属箔に接着する。
2、熱硬化しうる接着剤(B3)を、フィルム(G)に塗工し、乾燥させる。
3、熱可塑性ホットメルト接着剤層、金属箔(A)、メッシュ、熱硬化しうる接着剤(B3)で塗工されたフィルム(G)の順で積層させる。
その際、熱硬化しうる接着剤(B3)がメッシュにも充分に浸透することで、金属層の外側面と、メッシュと、熱硬化しうる接着剤(B3)で塗工されたフィルム(G)とを接着することができる。
また、必要に応じて、熱硬化しうる接着剤(B1)、熱硬化しうる接着剤(B2)、熱硬化しうる接着剤(B4)、フィルム(E)、不織布、トップコート等の構成が好ましく設けられることができる。
例えば、熱硬化しうる接着剤(B1)の存在により、接着シート及び接着構造物の表面に皺が無く、外観が良くなる効果が得られる。
【0070】
その製造方法として、接着シート(X)の製造方法の1の工程において、熱硬化しうる接着剤(B1)を金属箔(A)又は熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)に塗工し、乾燥、熱硬化させる。また、金属箔(A)に皺が発生することを防ぐ観点から、熱硬化しうる接着剤(B1)は熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)に塗工して形成することが好ましい。得られた積層体の構造は熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)、熱硬化しうる接着剤(B1)、金属箔(A)となる。そして、接着シート(X)の製造方法2、3と同様の方法で塗工する。接着シートは熱可塑性ホットメルト接着剤層、熱硬化しうる接着剤(B1)、金属箔(A)、メッシュ、熱硬化しうる接着剤(B3)で塗工されたフィルム(G)の順で積層されることができる。
【0071】
例えば、電磁誘導加熱装置により加熱した際、発生した熱量がメッシュやフィルム(G)にダメージを与える可能性がある。そこで、フィルム(E)を設けられる。フィルム(E)が金属箔(A)とメッシュとの間に設けられるため、熱硬化しうる接着剤(B2)を金属箔(A)又はフィルム(E)に塗工し、乾燥、熱硬化させることが好ましい。また、金属箔(A)に皺が発生することを防ぐ観点から、熱硬化しうる接着剤(B2)はフィルム(E)に塗工して形成することが好ましい。
そして、接着シート(X)の製造方法1と同様の方法で積層させた熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)、金属箔(A)と熱硬化しうる接着剤(B2)で塗工されたフィルム(E)で更に積層される。また、接着シート(X)の製造方法2、3のように、熱硬化しうる接着剤(B3)をフィルム(G)に塗工し、乾燥させる後、熱可塑性ホットメルト接着剤層、金属箔(A)、熱硬化しうる接着剤(B2)で塗工されたフィルム(E)、メッシュ、熱硬化しうる接着剤(B3)で塗工されたフィルム(G)の順で積層される。
【0072】
例えば、接着シートを最表面に耐光性、耐水性、防汚性、耐候性、耐衝撃性、耐傷付性、耐酸性、耐アルカリ性を向上させるために、トップコートを有する不織布とフィルム(G)とを積層することが好ましい。
そこで、熱硬化しうる接着剤(B4)でフィルム(G)又は不織布に塗工し、乾燥、熱硬化させることが好ましい。
接着シート(X)の製造方法1、2と同様の方法で塗工する後、熱硬化しうる接着剤(B4)で塗工されたフィルム(G)とトップコートを有する不織布を積層され、更に熱可塑性ホットメルト接着剤層、金属箔(A)、メッシュ、熱硬化しうる接着剤(B4)で塗工されたフィルム(G)、トップコートを有する不織布の順で積層される。
或いは、熱硬化しうる接着剤(B4)で塗工されトップコートを有する不織布と接着シート(X)の製造方法1、2、3と同様の方法で塗工された積層体と更に積層し、接着シートを得ることができる。
【0073】
上記のいずれかの熱硬化しうる接着剤が乾燥させる後に、接着シートの積層工程の後に、熱硬化しうる接着剤は硬化速度が遅い為、熱硬化しうる接着剤を硬化させる目的でエージングを行う必要がある。
具体的にいえば、熱硬化しうる接着剤(B1)を介して熱可塑性ホットメルト層と熱硬化した接着剤層を貼り合わせた後35〜80℃の保温室にて3〜5日間程度保存してエージングすることにより熱硬化した接着剤層(B1)の接着剤を硬化させる。この際、保存温度が高すぎると例えばロール状にした時に接している熱可塑性ホットメルト接着剤層同士がブロッキングを起こすことがあるので巻圧と保存温度は注意する必要がある。また、エージング条件によって熱硬化性接着剤の硬化の度合いが変わってくる為、接着シートの熱可塑性ホットメルト接着剤層と金属箔の接着強度に影響を及ぼすことがあり、エージングが不十分な場合には、接着剤の硬化不良によるデラミネーション(層剥離)を引き起こすことがある。
【0074】
また、ブロッキングを防止する為に熱硬化した接着剤層の表面にエンボス処理,剥離紙又は剥離フィルムを入れるなどすると効果的である。接着シートの表面粗さが0.01μm以上100μm以下であることが好ましい。
熱可塑性ホットメルト接着剤層の表面粗さRaが0.01μm未満の場合は、熱可塑性ホットメルト接着剤層がブロッキングして、使用できなくなることがあり、接着シートの表面粗さ100μmより大きい場合、接着シートの強度が低くなり、塗工する時接着シートが切れてしまうなど問題が生じることがある。
また、上記のいずれかの熱可塑性ホットメルト接着剤を、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキソフランなどの環状エーテル系化合物、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチルなどのエステル系化合物、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物、カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレンなどのアルコール系化合物等の有機溶剤に溶解した後、金属層に塗工する方法、等によって得ることができる。
【0075】
更に、熱可塑性ホットメルト接着層(C)と熱硬化接着層(B1)、フィルム(E)と熱硬化接着層(B2)、フィルム(G)と熱硬化接着層(B3)、不織布と熱硬化接着層(B4)或いはフィルム(G)と熱硬化接着層(B4)の接着強度を強くする為に熱可塑性ホットメルト接着剤層(C)面、フィルム(E)、フィルム(G)、不織布にコロナ処理を行うことは、有効である。
【0076】
<接着構造物(Y)の製造方法、剥離方法>
接着構造物(Y)の製造方法:
接着シート(X)と、コンクリートと接着する際には、電磁誘導加熱の熱を利用し、接着構造物(X)を得る。
具体的にいえば、接着シート(X)のフィルム(G)の外側から、接着シート(X)、コンクリートの順で入力電圧:100V、消費電力:550Wの電磁誘導加熱装置により加熱し、接着シートの熱可塑性ホットメルト接着剤を軟化させ、加熱を終了することにより、熱可塑性ホットメルト接着剤(C)を固化させ、コンクリートと接着シート(X)とを密着させ、接着構造物(X)が得られる。
(接着構造物の構造:コンクリート/熱可塑性ホットメルト接着剤/金属層/熱硬化しうる接着剤(B3)、メッシュ、フィルム(G))
接着構造物からホットメルト接着シートの剥離方法:
接着構造物を、接着シートのフィルム(G)の外側から電磁誘導加熱装置により加熱し、固体状態にある熱可塑性ホットメルト接着剤層を、軟化ないし溶融させ、コンクリートと接着シート(X)を剥がす。
【実施例】
【0077】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中、「部」および「%」は、「質量部」および「質量%」をそれぞれ表す。
【0078】
<コンクリート層の作製>
(コンクリート(1)の作製:セメントペースト)
セメント70%および水道水30%を良く混合した後、木枠に入れ、30日以上静置してコンクリート(1)を作製した。
(コンクリート(2)の作製:モルタル)
セメント30%および細骨材(砂)50%を良く混合した後、水道水20%を混ぜて撹拌した後、木枠に入れ30日以上静置してコンクリート(2)を作製した。
(コンクリート(3)の作製:コンクリート)
セメント15%、細骨材(砂)30%および粗骨材(砂利)45%を良く混合した後、水道水10%を混ぜて撹拌した後、木枠に入れ30日以上静置してコンクリート(3)を作製した。
【0079】
<プライマーの調整>
(プライマー1の調整:アクリル系)
A剤ハードロックIIDK550−003RA(メタクリル系エステル、デンカ株式会社製)と、B剤ハードロックIIDK550−003RB(メタクリル酸エステル、デンカ株式会社製)と、を質量比で1/1の割合で配合・混合して、プライマー1を調整した。
(プライマー2の調整:エポキシ系)
ShieM−CS プライマー(S)主剤(エポキシ系樹脂 固形分100% 株式会社
ケイ・エフ・シー社製)と、ShieM−CS プライマー(S)硬化剤(エポキシ系樹脂 固形分100% 株式会社ケイ・エフ・シー社製)と、を重量比1/1の割合で配合して、作製した。
【0080】
<コンクリート1〜4の製造>
表1に示すコンクリートおよびプライマーを用いて、コンクリートの表面をサンダーで十分に研磨を行い、表面のゴミ、コンクリートカスなどを掃除機で取り除いた後、コンクリート上にプライマーを刷毛で塗工し、コンクリート1〜4を得た。プライマー1(アクリル系)は、塗工した後、離型処理したPETフィルムを貼り、空気を遮断することにより嫌気反応を促進し、1週間以上静置して十分に硬化させ、コンクリート1、3、4を作製した。プライマー2(エポキシ系)は、塗工した後常温で静置して硬化させ、コンクリート2を作製した。
コンクリート5は、コンクリートの表面をサンダーで十分に研磨を行ったが、プライマーは塗工しなかった。
【0081】
【表1】
【0082】
<熱可塑性ホットメルト接着剤層の作製>
押出しラミネーターを用いて、表2に示す熱可塑性ホットメルト接着剤樹脂を、離型処理したPETフィルム(厚み:25μm)に、膜厚を変えて積層し、巻取部で巻取り、熱可塑性ホットメルト接着剤層1〜8を作製した。
以下に加工条件を示した。
押出しラミネーター:ムサシノキカイ製400M/MテストEXTラミネーター
ダイ直下樹脂温度:140〜240℃(樹脂のMFR等により適宜調整した)
加工速度:30m/分
Tダイ幅:400mm
冷却ロール表面温度:20℃
【0083】
【表2】
【0084】
<熱硬化した接着剤層の調整>
熱硬化しうる接着剤1の調整:
主剤TM−76と硬化剤CAT−RT85とを質量比100/7の割合で配合し、固形分が30%になるように酢酸エチルで希釈した。
主剤:TM−K76(ポリエステル系樹脂 不揮発分51% 東洋モートン(株)社製)硬化剤:CAT−RT85(ポリイソシアネート 不揮発分70% 東洋モートン(株)社製)
熱硬化しうる接着剤2の調整:
主剤LIS−073−50Uと硬化剤CR−001とを質量比17/3の割合で配合し、固形分が30%になるように酢酸エチルで希釈した。
主剤:LIS−073−50U(ウレタン系樹脂 不揮発分30% 東洋モートン(株)社製)
硬化剤:CR−001(脂肪族系ポリイソシアネート 不揮発分70% 東洋モートン(株)社製)
熱硬化しうる接着剤3の調整:
主剤TM−K55と硬化剤CAT−10Lとを質量比100/7の割合で配合し、固形分が30%になるように酢酸エチルで希釈した。
主剤:TM−K55(ポリエステル系)不揮発分30% 東洋モートン(株)社製
硬化剤:CAT−10L(芳香族系)不揮発分52.5% 東洋モートン(株)社製
熱硬化しうる接着剤4の調整:
主剤TM−585−60と硬化剤CAT−10Lとを質量比100/7の割合で配合し、固形分が30%になるように酢酸エチルで希釈した。
主剤:TM−585−60(ポリエステル系)不揮発分60% 東洋モートン(株)社製
硬化剤:CAT−10L(芳香族系)不揮発分52.5% 東洋モートン(株)社製

上記の熱硬化しうる接着剤1〜4を酸素濃度が10%以下に置換された遮光された300mlのマヨネーズ瓶に、表3に示した比率(重量部)で仕込み、ディスパーにて十分に攪拌を行い、十分に脱泡を行った後、熱硬化しうる接着剤1〜4を得た。
【0085】
【表3】
【0086】
<フィルム(E)>:以下示した材料でフィルム(E)として使用した。
フィルム(E1):ポリエチレン組成;X−10S ルミラー(東レ製)
フィルム(E2):ポリエチレンテレフタレート組成;T60 ルミラー(東レ製)

<フィルム(G)>:以下示した材料でフィルム(G)として使用した。
<フィルム(G1)>ナイロン系;ナイロン66 (東レ製)
<フィルム(G2)>ポリエチレンテレフタレート系;ONBC−RT#25 (ユニチ
カ製)
【0087】
<メッシュ>:以下示した材料でメッシュとして使用した。
メッシュ1:2軸積層型メッシュ ネットクレネットE―12100(倉敷紡績株式会社製)
メッシュ2:多軸連続繊維型メッシュ クラマス(倉敷紡績株式会社製)

<不織布>:以下示した材料で不織布として使用した。
不織布1:ポリエステルペーパーA (大王製紙株式会社製)
【0088】
<トップコート>
(1)トップコート用バインダー1の調製:
・主剤1の調整
以下に示す重量%でぞれぞれの成分を配合し、主剤1を得た。
A-9300-1CL(新中村化学製:ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート)20%、
「Ebecryl 885」(ダイセルサイテック社製:ポリエステルアクリレート)10%、
アクリル酸4−ヒドロキシブチル(日本化成製)4%、
アクリル酸2−ヒドロキシエチル(日本化成製)4%、
UV−3000B(日本合成化学工業社製:ポリウレタン系オリゴマー):15%、
ビスコート#195(大阪有機化学工業製:1,4ブタンジオールジアクリレート)20%、
トリプロピレングリコールジアクリレート(大阪有機化学工業製):12%、
ビスコート#700(大阪有機化学工業製:ビスフェノールAEO3.8モル付加物ジアクリレート):15%。

上記で調整した主剤1と硬化剤(TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル―ジフェニル―フォスフィンオキサイド(BASF社製,DAROCUR TPO))を100:1の割合で配合し、酸素濃度10%以下に置換し、遮光した300mlのマヨネーズ瓶に仕込み、ディスパーにて十分に攪拌を行い、十分に脱泡を行った後、トップコート用バインダー1を得た。

(2)トップコート用バインダー2の調製:
・主剤2の合成
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メタクリル酸メチル35.0部、メタクリル酸1.5部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル139.0部、メタクリル酸n−ブチル319.5部、メタクリル酸1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジニル5部、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2―アセタート500部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリルを2.5部加えて2時間重合反応を行った。次いで、アゾビスイソブチロニトリルを転化率が98%以上となるまで1時間毎に0.5部加えて重合反応を行い、転化率が98%以上を確認後、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2―アセタート250部で希釈することにより、数平均分子量が200,000、Tgが34℃、酸価2(mgKOH/g)、水酸基価が120(mgKOH/g)、固形分40%の主剤2溶液を得た。

・ポリイソシアネート化合物溶液の調整
ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体を、酢酸エチルで75%に希釈し、ポリイソシアネート化合物溶液を得た。ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の含有量は16.7%である。

・トップコート用バインダー2の調整
上記で得た主剤2溶液:200部(80部の主剤2を含む)に、酸化チタン(テイカ製「JR−600E」、平均粒子径:0.27μm):20部を混合した後、ポリイソシアネート化合物溶液:104部(78部のポリイソシアネート化合物含む。78部中のイソシアネート基の含有量は16.7%)を混合し、トップコート用バインダー2を得た。

(3)質量平均分子量、ガラス転移温度、酸価、水酸基価は、下記に記述するようにして測定した。
<質量平均分子量(Mw)の測定>
Mwの測定は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって求めた。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
ガラス転移温度の測定は、前述した示差走査熱量測定(DSC)法により求めた。
なお、Tg測定用の試料は、上記のアクリル系樹脂溶液を150℃で約15分、加熱し、乾固させたものを用いた。
<酸価(AV)の測定>
共栓三角フラスコ中に試料(樹脂の溶液:約50%)約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。酸価は次式により求めた。酸価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。酸価(mgKOH/g)={(5.611×a×F)/S}/(不揮発分濃度/100)ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
<水酸基価(OHV)の測定>
共栓三角フラスコ中に試料(樹脂の溶液:約50%)約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。
水酸基価は次式により求めた。水酸基価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。
水酸基価(mgKOH/g)=[{(b−a)×F×28.25}/S]/(不揮発分濃度/100)+D
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
【0089】
<導電塗料の調整>
導電塗料(1):トーヨーケム(株)社製REXALPHA RAFS045(トーヨーケム(株)社製 銀ペースト)
<接着シートの製造>
実施例1:
(1)熱可塑性ホットメルト接着剤層1のコロナ処理面と、厚さ20μmアルミ箔とを、
表面温度を120℃に加熱した圧着ロールを用いて貼り合せる。
(2)熱硬化しうる接着剤4を、バーコーターを用いて、メッシュを介して、フィルム(G)に塗工し、乾燥させる。この時、熱硬化しうる接着剤4の温度は30〜45℃程度に加熱し、乾燥時間は80℃1分とした。
(3)熱可塑性ホットメルト接着剤層、アルミ、熱硬化した接着剤層、メッシュ、フィルムの順で圧着ロールを用いて貼り合せて、40℃4日間の環境下でエージングを行い、熱硬化しうる接着剤4を硬化し、接着シート(X)を得た。
【0090】
実施例2:
(1)熱可塑性ホットメルト接着剤層の種類と膜厚を表4に記載のとおり変更した以外は、実施例1の(1)、(2)と同様にして、塗工を行った。
(2)フィルム(E1)を介して、熱可塑性ホットメルト接着剤層、アルミ、フィルム(E1)、熱硬化した接着剤層、メッシュ、フィルムの順で積層させた。この後、40℃4日間の環境下でエージングを行い、熱硬化しうる接着剤4を硬化し、接着シート(X1)を得た。
【0091】
実施例3:
(1)熱硬化しうる接着剤4を熱可塑性ホットメルト接着剤層3のコロナ処理面にバーコーターを用いて、塗工し、乾燥させる。この時、熱硬化しうる接着剤4の温度は30〜45℃程度に加熱し、乾燥時間は80℃1分とした。
(2)実施例1の(2)、(3)と同様にして、熱硬化しうる接着剤4で塗工された面、
アルミ、熱硬化した接着剤層、メッシュ、フィルムの順で積層させた後、40℃4日間の環境下でエージングを行い、熱硬化しうる接着剤4を硬化し、接着シート(X2)を得た。
【0092】
実施例4:
(1)熱硬化しうる接着剤4をフィルム(E2)にバーコーターを用いて、塗工し、乾燥させる。この時、熱硬化しうる接着剤4の温度は30〜45℃程度に加熱し、乾燥時間は80℃1分とした。
(2)熱可塑性ホットメルト接着剤層の種類と膜厚を表4に記載のとおり変更した以外は、実施例2と同様にして、熱可塑性ホットメルト接着剤層、アルミ、熱硬化した接着剤層、フィルム(E2)、熱硬化した接着剤層、メッシュ、フィルム(G)の順で積層させ、
接着シート(X3)を得た。
【0093】
実施例5:
(1)熱可塑性ホットメルト接着剤の種類と膜厚を表4に記載のとおり変更した以外は、実施例3の(1)と同様にして、塗工を行った。
(2)実施例1の(2)と同様にして、熱硬化しうる接着剤(B3)をメッシュを介して、フィルム(G)に塗工し、乾燥させる。
(3)フィルム(E1)を介して、塗物と圧着ロールを用いて、熱可塑性ホットメルト接着剤層、熱硬化した接着剤層、アルミ、フィルム(E1)、熱硬化した接着剤層、メッシュ、フィルム(G)の順で積層させた。この後、40℃4日間の環境下でエージングを行い、熱硬化しうる接着剤4を硬化し、接着シート(X1−1)を得た。
【0094】
実施例6:
(1)実施例5の(1)と同様にして、塗工を行った。
(2)フィルム(E)の種類を表4に記載のとおり変更した以外は、実施例4の(1)(2)と同様にして、処理を行い、接着シート(X1−2)を得た。
【0095】
実施例7:
熱可塑性ホットメルト接着剤層の種類を表4に記載のとおり変更した以外は、実施例6と同様にして、塗工を行い、接着シート(X1−3)を得た。
【0096】
実施例8:
(1)熱可塑性ホットメルト接着剤層の種類と膜厚を表5に記載のとおり変更した以外は、実施例1の(1)、(2)、(3)と同様にして、接着シートを得た。
(2)熱硬化しうる接着剤4を不織布1にバーコーターを用いて、塗工し、乾燥させる。この時、熱硬化しうる接着剤4の温度は30〜45℃程度に加熱し、乾燥時間は80℃1分とした。
(3)不織布1と接着シートとを圧着ロールを用いて貼り合せて、40℃4日間の環境下でエージングを行い、熱硬化しうる接着剤を硬化し、接着シート(Xa)を得た。
【0097】
実施例9:
(1)熱可塑性ホットメルト接着剤層の種類と膜厚を表5に記載のとおり変更した以外は、実施例2と同様にして、接着シートを得た。
(2)上記の接着シートを用いて、実施例8の(2)、(3)と同様にして、接着シート(X1a)を得た。
【0098】
実施例10:
(1)熱可塑性ホットメルト接着剤層の種類と膜厚を表5に記載のとおり変更した以外は、実施例5と同様にして、接着シートを得た。
(2)上記の接着シートを用いて、実施例8の(2)、(3)と同様にして、接着シート(X1−1a)を得た。
【0099】
実施例11:
(1)熱可塑性ホットメルト接着剤層の種類と膜厚を表5に記載のとおり変更した以外は、実施例6と同様にして、接着シートを得た。
(2)上記の接着シートを用いて、実施例8の(2)、(3)と同様にして、接着シート(X1−2a)を得た。
【0100】
実施例12:
熱可塑性ホットメルト接着剤層の種類と膜厚を表5に記載のとおり変更した以外は、実施例11と同様にして、接着シート(X1−3a)を得た。
【0101】
実施例13:
(1)熱可塑性ホットメルト接着剤層の種類と膜厚を表5に記載のとおり変更した以外は、実施例3と同様にして、接着シートを得た。
(2)上記の接着シートを用いて、実施例8の(2)、(3)と同様にして、接着シート(X2a)を得た。
【0102】
実施例14:
(1)熱可塑性ホットメルト接着剤層の種類と膜厚を表5に記載のとおり変更した以外は、実施例4と同様にして、接着シートを得た。
(2)実施例8の(2)、(3)と同様にして、接着シート(X3a)を得た。
【0103】
実施例15:
(1)トップコート用バインダー1をワイヤーバーコーターで不織布1の外側に塗工し、活性エネルギー線の照射射装置(東芝社製 高圧水銀灯)で照度300mW/cm2、積算光量300mJ/cm2の照射によって重合反応を進行させ、トップコート1が不織布1
に密着した不織布シートを得た。
(2)上記の不織布シートを用いて、実施例8と同様にして、接着シート(Xab)を得た。
【0104】
実施例16:
(1)トップコート用バインダー2をワイヤーバーコーターで不織布1の外側に塗工し、常温乾燥により溶剤を揮散させることで、3日後重合合反応を進行させることによりトップコート2が不織布に密着した不織布シートを得た。
(2)上記の不織布シートを用いて、実施例9と同様にして、接着シート(X1ab)を得た。
【0105】
実施例17:
(1)実施例15の(1)と同様にして、不織布シートを得た。
(2)上記の不織布シートを用いて、実施例10と同様にして、接着シート(X1−1ab)を得た。
【0106】
実施例18:
(1)実施例16の(1)と同様にして、不織布シートを得た。
(2)上記の不織布シートを用いて、実施例11と同様にして、接着シート(X1−2ab)を得た。
【0107】
実施例19:
(1、実施例15の(1)と同様にして、不織布シートを得た。
(2)上記の不織布シートを用いて、実施例12と同様にして、接着シート(X1−3ab)を得た。
【0108】
実施例20:
(1)実施例16の(1)と同様にして、不織布シートを得た。
(2)上記の不織布シートを用いて、実施例13と同様にして、接着シート(X1−2ab)を得た。
【0109】
実施例21:
(1)実施例15の(1)と同様にして、不織布シートを得た。
(2)上記の不織布シートを用いて、実施例14と同様にして、接着シート(X3ab)を得た。
【0110】
実施例22〜30は熱可塑性ホットメルト接着剤層の種類と膜厚、熱硬化した接着剤層の種類と膜厚、フィルム(E)、メッシュ、フィルム(G)、不織布、トップコート層の種類を表6に記載のとおり変更した以外は、実施例18、19の工程と同様にして、接着シートを得た。
実施例31〜35は熱可塑性ホットメルト接着剤層の種類と膜厚、金属箔の種類と厚さ、熱硬化した接着剤層の種類と膜厚を表6に記載のとおり変更した以外は、実施例1の工程と同様にして、接着シートを得た。
【0111】
実施例36は、実施例5のフィルム(G1)の上に導電塗料(1)をスクリーン印刷で印刷した。更に保護層として188μmのPETフィルムを熱硬化しうる接着剤4で接着して、接着シートを得た。
<接着構造物(Y)の製造>
[実施例1]
(構造物1の製造)
コンクリートと接着シートの熱可塑性ホットメルト接着剤層とが接するようにして、電磁誘導加熱装置(アキレス社製、オールオーバー接着装置)を当てて、37kHzで5秒間
加熱した。加熱終了後、室温に戻るまで、24時間放置した。
【0112】
[実施例2]〜[実施例36]
接着シートの構成、熱可塑性ホットメルト接着剤層の種類と膜厚、熱硬化性接着剤層の種類と膜厚、金属箔の種類と厚さ、メッシュ、フィルム(E)、フィルム(G)、不織布、トップコートの種類、接着構造物の作成時の加熱時間を表4〜6に記載のとおり変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜36において、接着シート、および接着構造物を得た。
【0113】
【表4】

【表5】
【表6】
【0114】
[熱可塑性ホットメルト接着剤層、接着シート、および接着構造物の評価]:
下記の評価方法を用いて、実施例1〜35で作成した熱可塑性ホットメルト接着剤層、接着シート、および接着構造物の評価を行った。
【0115】
表4〜6に記載のとおり、評価結果を得た。
(1)表面粗さRaの測定:
Taylar Hobson社製のファームタリサーフシリーズi60を用いて測定した。表面粗さは
Raを用いた。測定条件は下記のとおりであり、5回の測定の平均値をもって値とした。針の種類;先端2μmダイヤモンドスタイラス
カットオフ周波数λc;80μm
測定長;1mm
速度;2mm/min.

(2−1)接着シートとコンクリートとの接着力:
接着強度は、引張り試験機(株式会社エー・アンド・エー社製、商品名RTA−100)を用いて、剥離速度300mm/分でせん断強度を測定し(測定温度:23℃、湿度50
%)、以下の基準で評価した。
評価「×」以外であれば、実際の使用時に特に問題はない。
剥離力は、10N/25mm以上(基材破壊含む)を「〇」、10N未満5N以上/25mmを「△」、5N/25mm未満を「×」とした。
接着強度の評価が「△」、「○」の場合、接着シートとコンクリートと接着強度が強いとと認めた。

(2−2)接着構造物の外観:
目視で、接着シートとコンクリートの接着後の接着構造物を観察した。
接着構造物の表面が皺なく、平滑である:「○」;
接着構造物の表面がやや皺あり、やや凸凹感があるが、接着構造物の使用として問題無「△」;
接着構造物の表面が皺あり、や凸凹感があり、外観が悪く、接着構造物の使用上に影響を与えた:「×」。
接着構造物の外観の評価は「△」、「○」である場合、接着構造物の使用として問題が無ため、接着構造物の外観が良好であると認めた。

(2−3)押し抜き試験
この試験は、接着シートをコンクリートに貼付けて使用した際の特性を確認するためのものである。実施例1〜30に示した接着シートをコンクリートに貼付け、JISA5372(鉄筋コンクリートU形用ふた)の規格に準じて実施した。((プレキャスト鉄筋コンクリート製品)付属書5に規定する上ふた式U形側溝(ふた)の1種呼び名300(400×600×60mm)(以下、「U形ふた」という。))
試験の順番は、以下に示した。
(ア)実施例1〜36において、U形ふたの中央部にφ100mmの形状でコンクリート用コアカッターによりコア抜きする。コア抜き方向は裏面(接着施工面の反対側)により55mm±3mmの深さで行った。
(イ)実施例1〜30、32〜36において、コンクリート層の接着施工面を、プライマー1、2をコンクリート層1〜3に塗布して乾燥させて、コンクリート1〜4を得た。また、実施例31においては、コンクリート5はプライマー層が無いこともあった。
(ウ)実施例1〜36において、接着シートの熱可塑性ホットメルト接着剤層面とコンクリートとが接するようにして、電磁誘導加熱装置(アキレス社製、オールオーバー接着装置)を当てて、37kHzで5秒間加熱した。加熱終了後、室温に戻るまで、24時間放置した。
(エ)実施例1〜36において、接着構造物をスパン450mmにてH型鋼上にガタがないようにセットした。
(オ)コア中心部に鉛直、均等に荷重がかかるように載荷した。
載荷は、まず、1mm/minの速度でU形ふたのコア抜き部が破壊するまで載荷した。
その後、5mm/minで載荷し、最大荷重を測定した。その間、10,20,30mm
の各変位において載荷を一時中断し、剥離範囲にマーキングした。変位30mm時点において、更に耐荷力を有すると判断できる場合には、載荷を継続し、最大50mmの変位までの表面被覆材性能を確認した。
(カ)評価:
50mmの変位までの押抜きの最大耐力:1.5kN以上である:「○」;1.5N未満1N以上を「△」;1N未満を「×」とした。
押抜きの最大耐力が1N以上である場合(「○」、「△」)、押し抜き試験が合格であると認めた。
【0116】
実施例1〜36で得られた接着シートについて、それぞれ、接着工程と同様の電磁誘導加熱条件で加熱したところ、いずれもコンクリートと接着シートとの接着強度が強く、接着構造物の外観が良好で、押し抜き試験における押抜きの最大耐力も合格であった。
【0117】
(3)剥離試験
実施例で得られた接着構造物1〜36について、それぞれ、接着工程と同様の電磁誘導加熱条件で加熱したところ、いずれも容易に被着体より剥離できた。
【0118】
[比較例1]
(1)実施例1の(1)の工程と同様にして、塗工を行った。
(2)熱可塑性ホットメルト接着剤層、金属箔、メッシュ、フィルム(G)の順で圧着ロールを用いて貼り合せて、接着シートを得た。
評価:実施例1〜36と比べ、熱硬化した接着剤層(B3)がなかったため、フィルム、メッシュ、熱可塑性ホットメルト接着剤層、金属箔だけの構造で積層ができなく、接着シートにはならなかったため、「×」で、評価(2)、(3)もできなかった。
【0119】
[比較例2]
(1)実施例1の(1)、(2)と同様にして、塗工を行った。
(2)金属箔と、フィルム(G)とを圧着ロールを用いて貼り合せて、40℃4日間の環境下でエージングを行い、熱硬化しうる接着剤(B3)を硬化し、接着シートを得た。
評価:実施例1〜36と比べ、メッシュがなかったため、コンクリートと接着シートとの接着強度及び押し抜き試験における押抜きの最大耐力が低めであり、評価結果は「×」となった。
【0120】
[比較例3]
(1)実施例1の(1)と同様にして、塗工を行った。
(2)熱硬化しうる接着剤4を金属箔の反対面に塗工し、乾燥させた。この時、熱硬化し
うる接着剤4の温度は30〜45℃程度に加熱し、乾燥時間は80℃1分とした。
(3)熱硬化しうる接着剤4を金属箔と、メッシュとを圧着ロールを用いて貼り合せて、
40℃4日間の環境下でエージングを行い、熱硬化しうる接着剤(B3)を硬化し、接着シートを得た。
評価:実施例1〜36と比べ、フィルム(G)がなかったため、コンクリートと接着シートとの接着強度及び押し抜き試験における押抜きの最大耐力が低めであり、評価結果は「×」となった。
【0121】
比較例1〜3の構成および評価結果を表7に記載する。

【表7】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11