(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0028】
≪実施形態≫
本実施形態に係る空気処理装置は、室内の少なくとも温度を調節する空気調和装置(10)である。
図1の空気調和装置(10)は、空気(RA)の温度を調節し、温度を調節した空気を供給空気(SA)として室内に供給する。空気調和装置(10)は、冷房運転と暖房運転とを行う。
【0029】
空気調和装置(10)は、室内ユニット(11)を備える。室内ユニット(11)は、天井裏の空間に設置される。室内ユニット(11)は、冷媒配管を介して室外ユニットに接続される。この接続により、空気調和装置(10)には、冷媒回路が形成される。室外ユニットの図示は、省略する。
【0030】
冷媒回路では、冷媒が循環することで蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。冷媒回路では、圧縮機、室外熱交換器、膨張弁、及び室内熱交換器(43)が接続される。冷媒回路では、第1冷凍サイクルと第2冷凍サイクルとが切り替えて行われる。
【0031】
第1冷凍サイクルは、冷房運転時に行われる。第1冷凍サイクルは、室外熱交換器を放熱器または凝縮器とし、室内熱交換器(43)を蒸発器とする冷房サイクルである。第2冷凍サイクルは、暖房運転時に行われる。第2冷凍サイクルは、室内熱交換器(43)を放熱器または凝縮器とし、室外熱交換器を蒸発器とする暖房サイクルである。
【0032】
<室内ユニットの構成>
室内ユニット(11)の構成について、
図1〜
図4を参照しながら説明する。室内ユニット(11)は、ケーシング(20)、ファン(40)、室内熱交換器(43)、ドレンパン(50)及びドレンポンプ(60)を備える。ケーシング(20)は、天井裏に設置される。ファン(40)、室内熱交換器(43)、ドレンパン(50)及びドレンポンプ(60)は、ケーシング(20)内部に配置される。
【0033】
ファン(40)、室内熱交換器(43)、ドレンパン(50)及びドレンポンプ(60)は、空気調和装置(10)の構成部品である。
【0034】
−ケーシング−
ケーシング(20)は、直方体の中空箱形に形成されている。ケーシング(20)は、天板(21)、底板(22)、前板(23)、後板(24)、第1側板(25)及び第2側板(26)を含む。前板(23)及び後板(24)は、互いに対向する。第1側板(25)及び第2側板(26)は、互いに対向する。
【0035】
前板(23)は、メンテナンス用空間(15)に面している。メンテナンス用空間(15)は、サービス業者の作業用スペースである。前板(23)には、点検口(27)が形成される。点検口(27)には、点検蓋(28)が着脱可能に取り付けられる。点検口(27)の内側には、ドレンパン(50)が配置される。点検口(27)とドレンパン(50)とは、前板(23)の厚さ方向視において重なる。サービス業者は、点検口(27)を通じてドレンパン(50)を視認できる。
【0036】
第1側板(25)には、吸込口(31)が形成されている。ケーシング(20)内部の吸込口(31)付近には、フィルタ(図示せず)が設けられている。吸込口(31)には、吸込ダクトが接続される。吸込ダクトの流入端は、室内空間に繋がっている。第2側板(26)には、吹出口(32)が形成されている。吹出口(32)には、吹出ダクトが接続される。吹出ダクトの流出端は、室内空気に繋がっている。ケーシング(20)の内部には、吸込口(31)から吹出口(32)までの間に空気流路(33)が形成されている。吸込ダクト及び吹出ダクトの図示は、省略している。
【0037】
−ファン−
ファン(40)は、空気流路(33)における第1側板(25)寄りに配置されている。
図1では、空気流路(33)に、ファン(40)が3台配置されている場合を例示する。
【0038】
本実施形態では、各ファン(40)が、シロッコ型ファンである場合を例示する。3台のファン(40)は、回転軸(41)によって互いに連結され、1つのモータ(42)によって駆動される。
【0039】
−室内熱交換器−
室内熱交換器(43)は、空気流路(33)における第2側板(26)寄りに配置されている。本実施形態では、室内熱交換器(43)が、フィンアンドチューブ式の熱交換器である場合を例示する。
図3では、室内熱交換器(43)は、垂直方向に対して斜めに配置されている。
【0040】
第1冷凍サイクル中の室内熱交換器(43)は、空気を冷却する。この際、空気中の水分が結露し、凝縮水が発生する。
【0041】
第2冷凍サイクル中の室内熱交換器(43)は、空気を加熱する。
【0042】
−ドレンパン−
ドレンパン(50)は、ケーシング(20)の内部の底板(22)に設置されている。ドレンパン(50)は、空気流路(33)に配置されている。ドレンパン(50)は、室内熱交換器(43)の下方に配置されている。ドレンパン(50)は、水を受けるトレーである。具体的には、ドレンパン(50)は、室内熱交換器(43)の近傍で発生した凝縮水を受ける。
【0043】
ドレンパン(50)は、第1側壁(51)、第2側壁(52)及び底部(53)を有する。空気流路(33)において、第1側壁(51)は、室内熱交換器(43)に対し空気流の上流側に位置する。空気流路(33)において、第2側壁(52)は、室内熱交換器(43)に対し空気流の下流側に位置する。底部(53)は、第1側壁(51)及び第2側壁(52)に亘って形成される。底部(53)には、凹部(54)が形成されている。この凹部(54)の底面は、ドレンパン(50)の高さ方向において最も低い場所である。
【0044】
ドレンパン(50)は、樹脂材料または金属で構成される。ドレンパン(50)の少なくとも底部(53)の表面の色は、白、ベージュなどの比較的薄い色である。換言すると、ドレンパン(50)の少なくとも底部(53)の色の明度は、比較的高い。
【0045】
−ドレンポンプ−
ドレンポンプ(60)は、ドレンパン(50)の内部に配置される。ドレンポンプ(60)は、ドレンパン(50)内の水を排出するポンプである。ドレンポンプ(60)の下部には、水を吸い込む吸込部(61)が設けられている。この吸込部(61)が、ドレンパン(50)の凹部(54)の内部に配置されるように、ドレンポンプ(60)は配置されている。
【0046】
吸込部(61)の下端には、水が流入する流水口(62)が形成されている。流水口(62)は、凹部(54)の底面に向かって開口する。
【0047】
ドレンポンプ(60)の上部には、排水管(63)が接続されている。排水管(63)は、ドレンポンプ(60)の吐出側に繋がっている。排水管(63)は、ケーシング(20)の前板(23)の上部を、該前板(23)の厚さ方向に貫通する。
【0048】
ドレンポンプ(60)が運転すると、ドレンパンに溜まった水がドレンポンプ(60)の吸込部(61)に吸い込まれる。吸い込まれた水は、ドレンポンプ(60)から吐出される。吐出された水は、排水管(63)を通ってケーシング(20)の外部に排出される。
【0049】
−電装品箱−
図1に示すように、室内ユニット(11)は、電装品箱(16)を備える。
【0050】
電装品箱(16)は、前板(23)及びファン(40)の近くに配置されている。電装品箱(16)の内部には、プリント基板(17)が収容されている。プリント基板(17)には、制御部(18)、記憶部(19)及び電源部が実装されている。
【0051】
制御部(18)は、CPU及びメモリを含むマイクロコンピュータで構成される。制御部(18)は、空気調和装置(10)の構成部品の駆動、及び、空気調和装置(10)自体の運転を制御する。
【0052】
記憶部(19)は、半導体メモリで構成される。記憶部(19)には、後述するログデータが記憶されている。
【0053】
電源部は、空気調和装置(10)を構成する構成部品のうち、駆動に電力を要する構成部品に供給するための電源を生成する。
【0054】
電装品箱(16)は、前側が開口する箱本体(16a)と、箱本体(16a)の開口面を開閉する電装品蓋(16b)とを含む。電装品蓋(16b)は、前板(23)の一部を構成する。電装品蓋(16b)を取り外すことで、電装品箱(16)の内部がメンテナンス用空間(15)に露出される。
【0055】
図示していないが、空気調和装置(10)には、吸込空気用センサ、空気質センサ、熱交換センサ、管温度センサ、ドレンパン用センサ、が設けられている。上記制御部(18)は、これらのセンサに接続されている。制御部(18)には、各センサの検知結果が入力される。各センサの検知結果は、制御部(18)による各種制御動作にて利用される。
【0056】
吸込空気用センサは、吸込口(31)付近に設けられ、ケーシング(20)内に吸い込まれる空気(RA)の温度及び湿度を検知する。空気質センサは、ケーシング(20)内部且つ吸込口(31)付近に設けられ、フィルタ(図示せず)を介してケーシング(20)内部に吸い込まれた空気(RA)の空気質を検知する。空気質には、吸い込み空気(RA)に含まれる粉じん量、VOC(Volatile Organic Compounds)が含まれる。
【0057】
熱交換センサは、室内熱交換器(43)の表面に設けられ、室内熱交換器(43)の温度を検知する。管温度センサは、冷媒回路の液管付近及びガス管付近の少なくとも1つに設けられ、対応する管の温度を検知する。ドレンパン用センサは、ドレンパン(50)の内部に設けられ、ドレンパン(50)内の水位及び温度を検知する。
【0058】
―ステー―
図5に示すように、点検蓋(28)の内面には、ステー(65)が設けられている。ステー(65)は、後述するカメラ(72)が取り付けられる支持部材であって、点検蓋(28)に固定されている。ステー(65)の基端は、点検蓋(28)の内面に締結部材を介して締結されてもよい。ステー(65)の先端には、カメラ(72)が着脱可能に取り付けられる。これにより、点検蓋(28)の内面には、カメラ(72)が支持される。
【0059】
点検口(27)に点検蓋(28)が取りつけられると、カメラ(72)の撮像方向が撮像対象を向いた状態で、カメラ(72)は空気調和装置(10)のケーシング(20)内部に取り付けられた状態となる。
【0060】
なお、カメラ(72)のレンズ(73)が撮像対象を向くように、カメラ(72)が動いても良い。
【0061】
<空気調和装置の運転動作>
空気調和装置(10)の基本的な運転動作を説明する。空気調和装置(10)は、冷房運転と暖房運転とを行う。
【0062】
冷房運転では、室外ユニットの圧縮機で圧縮された冷媒が、室外熱交換器で放熱(凝縮)し、膨張弁で減圧される。減圧された冷媒は、室内ユニット(11)の室内熱交換器(43)で蒸発し、圧縮機で再び圧縮される。
【0063】
ファン(40)が運転されると、空気(RA)が吸込口(31)から空気流路(33)に吸い込まれる。空気流路(33)の空気は、室内熱交換器(43)を通過する。室内熱交換器(43)では、冷媒が空気から吸熱することで、この空気が冷却される。冷却された空気は、吹出口(32)を通過した後、供給空気(SA)として室内空間へ供給される。
【0064】
室内熱交換器(43)で空気が露点温度以下にまで冷却されると、空気中の水分が凝縮する。この凝縮水は、ドレンパン(50)に受け止められる。ドレンパン(50)で受け止められた凝縮水は、ドレンポンプ(60)によってケーシング(20)の外部へ排出される。
【0065】
暖房運転では、室外ユニットの圧縮機で圧縮された冷媒が、室内ユニット(11)の室内熱交換器(43)で放熱(凝縮)し、膨張弁で減圧される。減圧された冷媒は、室外ユニットの室外熱交換器で蒸発し、圧縮機で再び圧縮される。室内熱交換器(43)では、冷媒が空気に放熱し、該空気が加熱される。加熱された空気は、吹出口(32)を通過した後、供給空気(SA)として室内空間へ供給される。
【0066】
<汚れ情報推定システムの構成>
上述したように、冷房運転中、ドレンパン(50)には凝縮水が溜まるため、ドレンパン(50)には細菌やカビが発生及び繁殖することがある。時間の経過とともに、細菌やカビ等の汚れは酷くなる。汚れを除去するためには、空気調和装置(10)のメンテナンスが有効であるが、そのためには、メンテナンスの必要性をサービス業者が認識することが重要である。そこで、本実施形態では、ドレンパン(50)の現在以降の汚れ度合いを推定し、推定結果に応じた推定画像データ等を提供する汚れ情報推定システム(70)が、構築されている。
【0067】
図6の汚れ情報推定システム(70)は、カメラ(72)と、演算装置(80)と、通信端末(90)と、通信ユニット(100)とを備える。カメラ(72)は、撮像部に相当し、空気調和装置(10)内部に位置する。
【0068】
空気調和装置(10)、演算装置(80)、通信端末(90)及び通信ユニット(100)は、ネットワークNを介して通信可能に接続されている。
【0069】
−カメラ−
カメラ(72)は、撮像対象であるドレンパン(50)の、現在の状態を撮像する。カメラ(72)は、撮像した画像データを、「現在の画像データ」として出力する。
【0070】
カメラ(72)は、レンズ(73)及び光源(74)を有する。
【0071】
レンズ(73)には、広角レンズ、魚眼レンズ等が採用される。カメラ(72)が点検蓋(28)の内面に取り付けられている状態の間、レンズ(73)は、ドレンパン(50)の内部を向く。
【0072】
カメラ(72)が撮像を行っている間、光源(74)は、ドレンパン(50)に向かって発光する。ケーシング(20)内部は比較的暗く、撮像にはある程度の光が必要だからである。
【0073】
カメラ(72)は、サービス業者の操作に従って撮像してもよいし、所定時間毎に自動で撮像してもよい。カメラ(72)が撮像した画像データは、演算装置(80)に逐次送信される。
【0074】
−演算装置−
演算装置(80)は、主に、ドレンパン(50)の汚れに関する情報を推定する。
【0075】
演算装置(80)は、記憶部(88)及びCPU(89)等からなるコンピュータで構成されたクラウドサーバである。記憶部(88)は、半導体メモリ、SSD、HDD等で構成される。
【0076】
演算装置(80)は、現在の画像データ、及び、空気調和装置(10)の運転データを、ネットワークNを介して空気調和装置(10)から取得する。演算装置(80)は、自身が推定したドレンパン(50)の汚れに関する情報を、ネットワークNを介して通信端末(90)に送信する。
【0077】
汚れに関する情報には、現在以降の汚れの度合いに応じた推定画像データ、及び、報知情報が含まれる。報知情報の内容については、“−報知情報判定部−”にて説明する。
【0078】
演算装置(80)が取得した画像データ及び運転データの他、推定した汚れに関する情報は、記憶部(88)に記憶される。汚れに関する情報は、推定したタイミングで通信端末(90)に送信されてもよいし、通信端末(90)からの送信要求に応じて該通信端末(90)に送信されてもよい。
【0079】
本実施形態では、演算装置(80)が、空気調和装置(10)とは別の装置である場合を例示している。演算装置(80)は、制御部(18)のように、空気調和装置(10)内に組み込まれていてもよい。
【0080】
演算装置(80)のCPU(89)は、推定部(81)及び報知情報判定部(87)として機能する。報知情報判定部(87)は、期間データ生成部及び推定画像データに相当する。
【0081】
−推定部−
推定部(81)は、現在の画像データに基づいて、ドレンパン(50)の現在以降の汚れ度合いに関する特徴量を求め、該特徴量に応じた推定画像データを生成する。
【0082】
図6及び
図7に示すように、推定部(81)は、4つの推定モデル(82〜85)を有する。各推定モデル(82〜85)は、最終的に推定画像データを生成する専用モデルである。各推定モデル(82〜85)は、機械学習により分類能力を獲得した、多階層のニューラルネットワークとして、予め構築されている。
【0083】
4つの推定モデル(82〜85)とは、汚れ度判定モデル(82)、運転傾向予測モデル(83)、汚れ度予測モデル(84)、及び、推定画像生成モデル(85)である。
【0084】
以下、各推定モデル(82〜85)について、
図7を用いて説明する。
【0085】
−汚れ度判定モデル−
汚れ度判定モデル(82)は、ドレンパン(50)の現在の汚れ度合いを推定部(81)が判定する際に用いられるモデルである。汚れ度判定モデル(82)には、現在の画像データが入力される。推定部(81)は、現在の画像データ及び汚れ度判定モデル(82)を用いて、ドレンパン(50)の現在の汚れ度合いを判定する。
【0086】
汚れ度判定モデル(82)は、CNN(Convolutional Neural Network)のニューラルネットワークで構成される。ニューラルネットワークは、ディープラーニング等の機械学習と、教師あり学習とを駆使して生成される。
【0087】
具体的には、ドレンパン(50)の画像データと、各画像データに対するラベルとが、それぞれ大量に用意される。ドレンパン(50)の画像データは、ニューラルネットワークへの入力データである。ラベルは、ドレンパン(50)の汚れ度合いを示すものであり、教師データである。ドレンパン(50)の画像データ及び対応するラベルを用いてニューラルネットワークを学習させることで、汚れ度判定モデル(82)が生成及び更新される。
【0088】
ラベルの作成は、汚れ情報推定システム(70)の構築者が行っても良いし、AIまたは画像処理プログラムにより自動で行われてもよい。AIまたは画像処理プログラムにより自動で作成されたラベルを、汚れ情報推定システム(70)の構築者が視認してもよい。
【0089】
なお、1つの画像データに、複数のラベルが付与されたり、ラベルには、画像データ内における汚れの位置情報が付与されたりしてもよい。
【0090】
学習に用いる画像データは、回転、拡大、縮小させた画像データであってもよい。学習に用いる画像データは、故意にノイズをのせた画像データ、他のAIによって作成された画像データ、これらが組合せられた画像データ、であってもよい。
【0091】
−運転傾向予測モデル−
運転傾向予測モデル(83)は、現在以降の空気調和装置(10)の運転傾向を推定部(81)が予測する際に用いられるモデルである。運転傾向予測モデル(83)には、空気調和装置(10)の記憶部(19)のログデータ、及び、現在データが入力される。以下では、ログデータ及び現在データを、まとめて「運転データ」と云う。
【0092】
ログデータは、記憶部(19)に記憶されているデータである。ログデータには、空気調和装置(10)の構成部品の過去の駆動及び制御に関するデータ、空気調和装置(10)自体の過去の運転に関するデータ、各種センサの過去の検知データが含まれる。換言すれば、ログデータは、空気調和装置(10)の運転履歴である。
【0093】
現在データとは、現時点における各種センサの検知結果及び現時点における制御部(18)の制御に関する各種データである。
【0094】
推定部(81)は、運転データ及び運転傾向予測モデル(83)を用いて、空気調和装置(10)の今後の運転傾向を予測する。
【0095】
運転データには、空気調和装置(10)のユーザによる各種設定傾向や空気調和装置(10)固有の運転の癖などが反映されている。この運転データから、空気調和装置(10)がこの後のどのような運転を行うかを、推定部(81)は予測することができる。
【0096】
運転傾向予測モデル(83)は、LSTM(Long Short-Term Memory)のニューラルネットワークで構成される。このニューラルネットワークは、ディープラーニング等の機械学習と、教師あり学習または教師なし学習とを駆使して生成される。生成されるニューラルネットワークへの入力データとしては、運転データのうち、空気調和装置(10)の膨大なログデータが利用される。
【0097】
(運転データの内容)
上記「運転データ」には、以下の(a1)〜(a10)の少なくとも1つが含まれる。
(a1)空気調和装置(10)の稼働時間
(a2)室内ユニット(11)の清掃をこれまでに実施したタイミング
(a3)ドレンポンプ(60)の回転数及び電流値
(a4)吸込空気用センサが検知した吸い込み空気(RA)の温度及び湿度
(a5)室内熱交換器(43)の温度
(a6)吹出口(32)から吹き出される空気(SA)の風量
(a7)ファン(40)の駆動に用いられる制御パラメータ
(a8)管温度センサが検知した液管温度及び/またはガス管温度
(a9)ドレンパン(50)内の水位及び温度
(a10)細菌が増殖する可能性のある運転モードの有無
【0098】
上記(a7)には、ファン(40)のモータ(42)に流れる電流値、ファン(40)の回転数が含まれる。
【0099】
−汚れ度予測モデル−
汚れ度予測モデル(84)は、ドレンパン(50)の現在以降の汚れ度合いを推定部(81)が推定する際に用いられるモデルである。汚れ度予測モデル(84)には、ドレンパン(50)の現在の汚れ度合いに関する特徴量と、現在以降の空気調和装置(10)の運転傾向に関する特徴量とが入力される。換言すると、汚れ度予測モデル(84)には、汚れ度判定モデル(82)の判定結果と、運転傾向予測モデル(83)の予測結果とが入力される。
【0100】
推定部(81)は、ドレンパン(50)の現在の汚れ度合いに関する特徴量と、現在以降の空気調和装置(10)の運転傾向に関する特徴量とを用いて、ドレンパン(50)の汚れが今後どのように推移していくかを予測する。
【0101】
上記汚れ度予測モデル(84)は、LSTM(Long Short-Term Memory)のニューラルネットワークで構成される。このニューラルネットワークは、ディープラーニング等の機械学習と、教師あり学習または教師なし学習とを駆使して生成される。
【0102】
ニューラルネットワークが教師あり学習で生成される場合、空気調和装置(10)のログデータと、当該ログデータそれぞれに対するラベルとが、それぞれ大量に用意される。ログデータは、ニューラルネットワークへの入力である。ラベルは、各ログデータが示す制御及び状態の際、ドレンパン(50)が実際にどの程度汚れていたかを示すものであり、教師データである。ログデータ及び対応するラベルを用いてニューラルネットワークを学習させることで、汚れ度予測モデル(84)が生成及び更新される。
【0103】
ラベルの作成は、汚れ情報推定システム(70)の構築者が行っても良いし、AIまたは画像処理プログラムにより自動で行われてもよい。AIまたは画像処理プログラムにより自動で作成されたラベルを、汚れ情報推定システム(70)の構築者が視認してもよい。
【0104】
なお、1つの画像データに、複数のラベルが付与されたり、ラベルには、画像データ内における汚れの位置情報が付与されたりしてもよい。
【0105】
−推定画像生成モデル−
推定画像生成モデル(85)は、ドレンパン(50)の現在以降の汚れ度合いが描写された推定画像データ、を推定部(81)が生成する際に用いられるモデルである。推定画像生成モデル(85)には、現在の画像データと、ドレンパン(50)の現在以降の汚れ度合いに関する特徴量とが入力される。
【0106】
現在の画像データは、汚れ度判定モデル(82)に入力されるデータと同じである。現在以降の汚れ度合いに関する特徴量とは、汚れ度予測モデル(84)の予測結果である。
【0107】
推定部(81)は、現在の画像データに対し、現在以降の汚れ度合いに関する特徴量に基づいて画像処理を施すことにより、ドレンパン(50)の汚れ度合いが今後どのような状態になるかのイメージ画像を、推定画像データとして生成する。
【0108】
上記推定画像生成モデル(85)は、入力された画像データと同じ画像データが出力されるようなニューラルネットワークであって、例えばVAE(Variational Autoencoder)のニューラルネットワークで構成される。このニューラルネットワークは、ディープラーニング等の機械学習と、教師あり学習または教師なし学習とを駆使して生成される。生成されるニューラルネットワークへの入力データとしては、時系列の異なるドレンパン(50)の画像データと、当該画像ドレンパン(50)のその時々の汚れ度合い等が用いられる。
【0109】
生成された推定画像生成モデル(85)は、
図8に示すように、エンコーダ(85a)とデコーダ(85b)とを含む。エンコーダ(85a)とデコーダ(85b)との間には、複数の中間層が存在する。中間層は、入力された画像データXよりも低次元であるため、中間層には、エンコーダ(85a)によって画像データXの特徴量が圧縮されたデータZが出力される。また、この中間層のいずれかの次元では、ドレンパン(50)の汚れ度を表すパラメータが出力される。デコーダ(85b)は、ドレンパン(50)の現在以降の汚れ度を表す特徴量に応じて変更された後のドレンパン(50)の汚れ度を表すパラメータと、潜在変数である圧縮された画像データZとに基づいて、ドレンパン(50)の現在以降の汚れ度が加味された画像データX’を再現する。
【0110】
推定画像生成モデル(85)の学習の際、複数の画像データXが、エンコーダ(85a)に入力されて逐次圧縮される。推定画像生成モデル(85)は、潜在変数である圧縮された画像データZ同士の変化を学習する。推定画像生成モデル(85)は、圧縮された画像データZのどの部分が汚れ度を表しており、当該部分がどの程度変化するとドレンパン(50)の汚れ度合いがどの程度変化するのかを、学習することができる。
【0111】
上記推定画像生成モデル(85)により、ドレンパン(50)の現在の画像データXは、潜在変数である圧縮された画像データZに変換される。上記推定画像生成モデル(85)により、画像データZにおける汚れ度合いを表すパラメータは、現在以降の汚れ度を表す特徴量に応じて変更される。これにより、現在以降の汚れ度合いが描写された推定画像データ(画像データX’)が、推定部(81)から出力される。
【0112】
−報知情報判定部−
報知情報判定部(87)は、報知情報を判定し、判定した報知情報を示すデータをテキストデータ形式にて生成する。報知情報は、汚れに関する情報から推定画像データを除いた、ドレンパン(50)の汚れについての情報である。
【0113】
報知情報には、以下の(b1)〜(b6)の少なくとも1つが含まれる。
【0114】
(b1)汚れ度合いが、現在の状態から所定度合いに達するまでの期間
(b2)汚れの種類及び量
(b3)汚れの位置
(b4)メンテナンスの要否
(b5)メンテナンス方法
(b6)メンテナンスを行うべき時期
【0115】
上記(b1)は、現在からどの程度の期間経過した場合に、ドレンパン(50)の汚れ度合いが所定度合いに達するのかを表す情報であって、期間データある。上記(b1)が生成される場合、推定部(81)は、ドレンパンの汚れ度合いが所定度合いに達する際の推定画像データを生成する。例えば、ドレンパン(50)の汚れ度合いが、3ヶ月後に所定度合いに達する場合、上記(b1)の報知情報は「現在から3ヶ月後」と表され、現在から3ヶ月後の推定画像データが生成される。
【0116】
上記(b2)は、ドレンパン(50)の汚れが、油、カビ、細菌、水垢、及びホコリのうち、何によるものかを表す情報である。
【0117】
上記(b3)は、ドレンパン(50)のうち、どの部分が汚れるかを説明した情報である。
【0118】
上記(b4)は、ドレンパン(50)の現在以降の汚れの度合いを基に、報知情報判定部(87)が判定する情報である。上記(b4)は、推定画像データに描写されたドレンパン(50)の状態に対応させて、空気調和装置(10)のメンテナンスを必要とするか否かを表す情報である。推定画像データに描写されたドレンパン(50)の汚れの度合いが所定度合いを超えている場合、報知情報判定部(87)は、空気調和装置(10)のメンテナンスが必要と判定する。推定画像データに描写されたドレンパン(50)の汚れの度合いが所定度合い以下の場合、報知情報判定部(87)は、空気調和装置(10)のメンテナンスが不要と判定する。
【0119】
上記(b5)は、メンテナンスが必要な構成部品の名称、メンテナンスにおいて使用を推奨する薬剤の名称、メンテナンスの具体的な工程のうち、少なくとも1つを表す情報である。
【0120】
上記(b6)は、空気調和装置(10)のメンテナンスを推奨する時期を表す情報である。推定画像データに描写されたドレンパン(50)の汚れの度合いが所定度合い以下であっても、報知情報判定部(87)は、現在以降の汚れ度合いに応じて、メンテナンスを推奨する時期を概算する。メンテナンスを推奨する時期は、“2020年6月頃”のように表される。
【0121】
−通信ユニット−
通信ユニット(100)は、空気調和装置(10)をネットワークNに接続するためのアダプタであって、受信部(101)と無線通信部(102)とを含む。受信部(101)は、空気調和装置(10)との通信インターフェースであって、画像データ及び空気調和装置(10)の運転データを、空気調和装置(10)から受信する。無線通信部(102)は、受信部(101)が受信した画像データ及び運転データを、無線にてネットワークNに送信する。
【0122】
−通信端末−
図6に示すように、通信端末(90)は、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、パーソナルコンピュータ等で構成される。通信端末(90)は、ドレンパン(50)の汚れに関する情報として、ネットワークNを介して演算装置(80)から、推定画像データ及び報知情報を取得する。
【0123】
通信端末(90)は、操作部(91)、表示部(92)及び音声出力部(93)を有する。
【0124】
操作部(91)は、キーボードやタッチパネル等で構成される。サービス業者等は、操作部(91)を操作して、所定のアプリケーションソフトを操作する。このアプリケーションを介して、サービス業者等は、カメラ(72)の撮像を実行させたり、撮像された推定画像データを通信端末(90)にダウンロードしたりできる。サービス業者等は、推定画像データ及び報知情報を通信端末(90)にダウンロードできる。
【0125】
表示部(92)は、例えば液晶モニタで構成される。表示部(92)には、カメラ(72)で撮像された現在の画像データ、上記推定画像データ、及び、上記(b1)〜(b6)の報知情報が表示される。
【0126】
図9は、表示部(92)に表示される画面例である。
図9では、現在の画像(sc1)、所定度合いに達するまでの現在からの期間が“2ヶ月”である旨の報知情報(sc2)、及び、推定画像(sc3)が、表示されている。“2ヶ月”である旨の報知情報(sc2)は、上記(b1)に対応する。サービス業者は、
図9に基づいて、ドレンパン(50)が今後どの程度汚れるのかのイメージと期間を、視覚にて認識することができる。
【0127】
音声出力部(93)は、スピーカで構成される。音声出力部(93)からは、上記(b1)〜(b6)の上記報知情報が音声にて出力される。サービス業者は、上記(b1)〜(b6)の報知情報を、聞くことができる。
【0128】
<汚れ情報推定システムの動作>
図10は、汚れ情報推定システム(70)の動作を表す。
【0129】
カメラ(72)がドレンパン(50)を撮像すると(ステップSt11)、演算装置(80)は、ステップSt11にて撮像された画像データを、現在の画像データとして取得する。
【0130】
演算装置(80)の推定部(81)は、現在の画像データを汚れ度判定モデル(82)に入力する。推定部(81)は、汚れ度判定モデル(82)を用いて、ドレンパン(50)の現在の汚れ度合いを判定する(ステップSt12)。
【0131】
演算装置(80)は、運転データを、空気調和装置(10)内の制御部(18)、記憶部(19)及び各種センサから取得する。演算装置(80)の推定部(81)は、取得した運転データを運転傾向予測モデル(83)に入力する。推定部(81)は、運転傾向予測モデル(83)を用いて、空気調和装置(10)の現在以降の運転傾向を予測する(ステップSt13)。
【0132】
推定部(81)は、ステップSt12の判定結果及びSt13の予測結果を、汚れ度予測モデル(84)に入力する。推定部(81)は、汚れ度予測モデル(84)を用いて、ドレンパン(50)の現在以降の汚れ度合いを予測する(ステップSt14)。
【0133】
推定部(81)は、ステップSt11の現在の画像データ及びステップSt14の予測結果を、推定画像生成モデル(85)に入力する。推定部(81)は、推定画像生成モデル(85)
を用いて、ドレンパン(50)の現在以降の汚れ度合いに応じた推定画像データを生成して出力する(ステップSt15)。
【0134】
報知情報判定部(87)は、ステップSt14の現在以降汚れ度合いに関する特徴量等に基づいて、報知情報を判定し生成する(ステップSt16)。
【0135】
演算装置(80)は、ステップSt11の現在の画像データ、ステップSt15の推定画像データ、及び、ステップSt16の報知情報を、ネットワークNを介して通信端末(90)に送信する。
【0136】
通信端末(90)の表示部(92)は、ステップSt11の現在の画像データ、ステップSt15の推定画像データ、及び、ステップSt16の報知情報を表示する。音声出力部(93)は、報知情報を音声出力する(ステップSt17)。これにより、サービス業者等のユーザは、ドレンパン(50)が今後どの程度汚れるのかを、推定画像から認識し易くなり、メンテナンスの重要性を意識できる。ユーザは、メンテナンスの要否なども把握できる。
【0137】
<効果>
カメラ(72)は、空気調和装置(10)の構成部品の1つであるドレンパン(50)の、現在の状態を撮像する。推定部(81)は、現在の画像データに基づいて、ドレンパン(50)の現在以降の汚れ度合いに関する特徴量を求め、該特徴量に応じた推定画像データを生成する。この推定画像データにより、サービス業者等のユーザは、ドレンパン(50)の汚れの度合いをイメージし易くなり、ドレンパン(50)のメンテナンスの重要性を認識し易くなる。
【0138】
報知情報判定部(87)は、ドレンパン(50)の汚れ度合いが、現在の状態から所定度合いに達するまでの期間を推測し、当該期間を示す期間データを生成する。期間データにより、サービス業者等のユーザは、現在からどの程度の期間経過後にドレンパン(50)の汚れ度合いが所定度合いに達するのかを、を把握できる。
【0139】
期間データが生成された際、推定部(81)は、ドレンパン(50)の汚れ度合いが所定度合いに達する際の推定画像データを生成する。サービス業者等のユーザは、汚れ度合いが所定度合いに達した際のドレンパン(50)の状態を、推定画像データを基にイメージ易くなる。従って、ドレンパン(50)のメンテナンスの重要性を認識し易くなる。
【0140】
推定部(81)は、現在の画像データに基づく、ドレンパン(50)の現在の汚れ度合いと、空気調和装置(10)の現在までの運転履歴に基づく、現在以降の空気調和装置(10)の運転傾向と、に応じて、ドレンパン(50)の現在以降の汚れ度合いに関する特徴量を求める。ドレンパン(50)の現在以降の汚れ度合いに関する特徴量の推定精度は、向上する。
【0141】
推定部(81)は、汚れ度判定モデル(82)、を有する。汚れ度判定モデル(82)には、現在の画像データが入力される。ドレンパン(50)の現在の汚れ度合いの判定精度は、向上する。
【0142】
推定部(81)は、運転傾向予測モデル(83)、を有する。運転傾向予測モデル(83)には、運転履歴が入力される。現在以降の空気調和装置(10)の運転傾向の予測精度は、向上する。
【0143】
推定部(81)は、汚れ度予測モデル(84)、を有する。汚れ度予測モデル(84)には、ドレンパン(50)の現在の汚れ度合いと、現在以降の空気調和装置(10)の運転傾向とが入力される。ドレンパン(50)の現在以降の汚れ度合いの推定精度は、向上する。
【0144】
推定部(81)は、推定画像生成モデル(85)を有する。推定画像生成モデル(85)には、現在の画像データと、ドレンパン(50)の現在以降の汚れ度合いに関する特徴量とが入力される。推定画像データの生成精度は、向上する。
【0145】
報知情報判定部(87)は、ドレンパン(50)の現在以降の汚れ度合いに基づいて、ドレンパン(50)のメンテナンスの要否を判断する。表示部(92)及び音声出力部(93)は、報知情報判定部(87)の判定結果に関する情報を報知する。サービス業者等のユーザは、ドレンパン(50)のメンテナンスが必要か否かを把握できる。
【0146】
<変形例>
汚れ情報推定システム(70)は、
図11に示すように、天井吊り式ないし天井埋め込み式の空気調和装置(10)にも適用できる。
【0147】
図11の空気調和装置(10)は、室外ユニット(図示省略)と、室内ユニット(11)とを有し、これらが冷媒配管で接続されることで、冷媒回路が構成される。
【0148】
室内ユニット(11)は、天井裏に設置されるケーシング(20)を備えている。ケーシング(20)は、ケーシング本体(20a)と、パネル(
110)とを備える。ケーシング本体(20a)は、下側に開口面が形成される矩形箱状に形成される。パネル(
110)は、ケーシング本体(20a)の開口面に着脱可能に設けられる。パネル(
110)は、矩形枠状のパネル本体(
111)と、パネル本体(
111)の中央に設けられる吸込グリル(
112)とを有する。
【0149】
パネル本体(
111)の中央には1つの吸込口(31)が形成される。吸込口(31)を覆うように、フィルタ(31a)が設けられている。吸込グリル(
112)は、フィルタ(31a)の下方に、吸込口(31)に取り付けられる。パネル本体(
111)の4つの側縁部には、それぞれ吹出口(32)が1つずつ形成される。各吹出口(32)は、4つの側縁に沿うように延びている。各吹出口(32)の内部には、風向を変更するフラップ(103)がそれぞれ設けられる。
【0150】
ケーシング本体(20a)の内部には、ベルマウス(104)と、ファン(40)と、室内熱交換器(43)と、ドレンパン(50)とが設けられる。ベルマウス(104)及びファン(40)は、吸込グリル(
112)の上方に配置される。室内熱交換器(43)は、ファン(40)の周囲を囲むように配置される。室内熱交換器(43)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器で構成される。ドレンパン(50)は、室内熱交換器(43)の下側に配置される。
【0151】
カメラ(72)のレンズ(73)は、ドレンパン(50)の底面を向く。カメラ(72)は、ドレンパン(50)の少なくとも底面を撮像する。
【0152】
図11の空気調和装置(10)でも、
図6の汚れ情報推定システム(70)は、ドレンパン(50)の推定画像データ及び報知情報を生成する。
【0153】
図11の空気調和装置(10)では、上記運転データの内容として、上記(a1)〜(a10)に加えて、“フラップ(103)の角度”が含まれていても良い。
【0154】
≪その他の実施形態≫
汚れに関する情報の推定対象は、ドレンパン(50)に限定されない。ファン(40)、室内熱交換器(43)、エアフィルタ、ダクトの内壁、水流路の内壁等、ドレンパン(50)以外の構成部品が、推定対象であってもよい。水流路とは、ドレンポンプ(60)の吸込部(61)、及び、ドレンポンプ(60)の排水管(63)を含む。
【0155】
カメラ(72)は、フラッシュを焚くための光源(74)以外に、可視光を発するためのLEDを更に有していても良い。汚れに関する情報の推定において、細菌が繁殖していると推定部(81)が把握した場合、LEDは、ドレンパン(50)に向けて可視光を発する。これにより、ドレンパン(50)内の凝縮水には、ラジカルが発生し、細菌の繁殖の程度を軽減させることができる。
【0156】
汚れ情報推定システム(70)は、空気調和装置(10)内、または、室内ユニット(11)内に組み込まれていてもよい。
【0157】
撮像対象であるトレーは、水を受けるものであれば、ドレンパン(50)以外の部品であってもよい。トレーは、加湿タンクの下側に設置される水受けであってもよい。水受けには、加湿タンク内の水が供給される。水受け内の水は、空気の加湿に利用される。加湿タンク及び水受けは、例えば空気清浄機や調湿装置に搭載される。
【0158】
撮像部は、カメラに限定されず、例えば光学センサであってもよい。
【0159】
カメラ(72)の光源(74)は、カメラ本体と別体であってもよい。
【0160】
撮像部は、室外ユニットのケーシングの内部に配置されてもよい。
【0161】
空気処理装置は、空気が流れるケーシングを有する装置であれば、他の装置であってもよい。空気処理装置は、調湿装置、換気装置、及び空気清浄機であってもよい。調湿装置は、対象空間の空気の湿度を調節する。空気清浄機は、対象空間の空気を浄化する。
【0162】
調湿装置及び空気清浄機には、構成部品として、加湿タンク、及び加湿タンクの下側に設置される水受け、が含まれる。調湿装置および空気清浄機の場合、これらの構成部品が撮像対象となり、推定部は、当該構成部品の汚れに関する情報を推定してもよい。換気装置は、対象空間を換気する。換気装置には、構成部品として、全熱交換器が含まれる。換気装置の場合、全熱交換器が、撮像対象となり、推定部は、全熱交換器に関する汚れに関する情報を推定してもよい。
【0163】
例えば、空気調和装置は、取り込んだ室外空気の温度及び湿度を調節する、外気処理方式であってもよい。この空気調和装置は、空気を加湿するための加湿器を備える。加湿器は、複数の吸水部材を有する。この場合、加湿器の下方に、加湿器から流出した水を受けるトレーが配置される。撮像部は、このトレーを撮像し、推定部は、トレーの汚れに関する情報を推定する。
【0164】
空気処理装置の種類によっては、軸流ファンが採用される場合がある。この場合も、上記運転データの内容として、上記(a1)〜(a10)が挙げられる。軸流ファンにおいて、圧力損失が比較的大きくなったり、ファンの回転数が比較的高くなったりした場合、軸流ファンの遠心方向の空気の流れが増大する強くなる。推定部(81)は、上記(a7)を運転データとして推定動作に用いることで、ケーシング内の空気の様子を、より正確に把握できる。
【0165】
報知情報判定部(87)は、上記(b1)に代えて、ドレンパン(50)の汚れ度合いが所定度合いに達する時期を推測し、その時期を期間データとして生成してもよい。例えば、当該期間データは、“ドレンパン(50)の汚れ度合いは「2019年9月」に所定度合いに達する”のように生成される。この場合も、汚れ度合いが所定度合いに達する際の推定画像データが生成されてもよい。
【0166】
なお、上記(b1)または時期が期間データとして生成される場合のいずれにおいても、汚れ度合いが所定度合いに達する際の推定画像データが生成されることは、必須ではない。
【0167】
推定部(81)は、推定画像データを、期間データが表す時期または期間に実際に撮像された画像データと比較してもよい。その比較結果から、推定部(81)は、推定結果と実際の結果との差異を把握し、その差異を各推定デル(82〜85)の学習に用いることができる。これにより、各推定モデル(82〜85)の推定精度は更に向上する。
【0168】
現在の画像データ、及び、推定画像データの少なくとも1つは、静止画データではなく、動画データであってもよい。
【0169】
空気調和装置(10)の記憶部(19)は、当該空気調和装置(10)の据付場所を表すデータ、及び、空気質データ、の少なくとも1つを、更に記憶してもよい。これらのデータの少なくとも1つは、環境データとして、推定画像データの生成に利用されてもよい。環境データの利用は、推定部(81)の推定動作の精度を向上させる。空気調和装置(10)の据付場所を表すデータは、空気調和装置(10)が据え付けられた際に、空気調和装置(10)のリモートコントローラ等を介して、サービス業者等によって入力される。空気質データは、空気質センサが検知する毎に、記憶部(19)に記憶される。
【0170】
各推定モデル(82〜85)を構成するニューラルネットワークは、教師なし学習によって生成及び学習されてもよい。教師なし学習の場合、複数の入力データそれぞれがどの分類に属するかを表したラベルは、事前に付与されない。クラスタリングにより、互いに類似する入力データが同じ分類となるように、複数の入力データを複数の分類にグループ化する学習動作が繰り返されることで、ニューラルネットワークが作成及び更新される。
【0171】
推定部(81)の構成は、
図6及び
図7で説明した各推定モデル(82〜85)を有する構成に限定されない。推定部(81)は、推定動画データを生成することができればよく、どのような構成であってもよい。推定部(81)が有するモデルの数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0172】
図10のステップSt12及びステップSt13の各動作は、同時に行われても良いし、ステップSt13の動作がステップSt12の動作よりも先に行われても良い。
【0173】
報知情報の報知は、必須ではない。報知情報が報知される場合、報知方法は、表示のみ、音声出力のみであってもよい。報知情報判定部(87)は、報知対象である上記(b1)〜(b6)それぞれに対応して、複数設けられてもよい。
【0174】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。