(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記送信部は、前記チャンネル情報を取得している状態を示す取得情報、または前記チャンネル情報を取得していない状態を示す非取得情報を前記コンテンツ出力装置に送信する請求項1または2に記載の音響システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、一実施形態に係る音響システム10の構成を説明するための概念図である。
図2は、一実施形態に係る無線スピーカ11の構成を示したブロック図である。
図3は、一実施形態に係るAVレシーバ3の構成を示したブロック図である。
【0010】
図1に示すように、音響システム10は、BDプレーヤ1、AVレシーバ3、及び複数の音響機器(無線スピーカ11、無線スピーカ12、無線スピーカ13、無線スピーカ14、及び無線スピーカ15)を備えている。BDプレーヤ1は、コンテンツを再生する。BDプレーヤ1は再生したコンテンツをAVレシーバ3に送信し、同様の機能を有するものであればこれに代えて利用できる。なお、BDプレーヤ1とAVレシーバ3とは、有線または無線のいずれによって接続されていてもよい。AVレシーバ3はBDプレーヤ1の機能を内蔵していてもよい。
【0011】
複数の音響機器(無線スピーカ11、無線スピーカ12、無線スピーカ13、無線スピーカ14、及び無線スピーカ15)は、それぞれ異なる位置に配置されている。この例では、聴取位置の正面に無線スピーカ11が配置され、聴取位置の右前方に無線スピーカ12が配置され、聴取位置の右後方に無線スピーカ13が配置され、聴取位置の左後方に無線スピーカ14が配置され、聴取位置の左前方に無線スピーカ15が配置されている。AVレシーバ3は、接続される無線ルータ、または自装置が有する無線通信機能を介して、無線LANを構築する。無線ネットワークを介して、AVレシーバ3には、複数の無線スピーカ11、無線スピーカ12、無線スピーカ13、無線スピーカ14、及び無線スピーカ15が接続されている。なお、音響機器の数や配置はユーザの使用状況に応じて適宜変更可能である。
【0012】
AVレシーバ3は、本発明のコンテンツ出力装置に相当する。AVレシーバ3は、複数のチャンネルを含むコンテンツを出力する。本実施形態において、コンテンツは例えば、マルチチャンネルのオーディオデータが挙げられる。本発明のコンテンツ出力装置は、AVレシーバ3以外にも、例えばCPUやDSPを備えるスピーカ、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置により、実現可能である。本発明の複数の音響機器は、レシーバであってもよい。
【0013】
複数の音響機器(無線スピーカ11、無線スピーカ12、無線スピーカ13、無線スピーカ14、及び無線スピーカ15)には、それぞれ本発明の媒体に相当するICタグ51、ICタグ52、ICタグ53、ICタグ54、及びICタグ55が貼り付けられている。ICタグ51、ICタグ52、ICタグ53、ICタグ54、及びICタグ55は、複数の音響機器(無線スピーカ11、無線スピーカ12、無線スピーカ13、無線スピーカ14、及び無線スピーカ15)に着脱可能であり、それぞれ、チャンネル情報を記憶している。
【0014】
各ICタグに記憶されているチャンネル情報は、この実施形態においては、センタ(C)チャンネル、右フロント(FR)チャンネル、右サラウンド(SR)チャンネル、左サラウンド(SL)チャンネル、及び左フロント(FL)チャンネルである。例えば、ICタグ51は、センタ(C)のチャンネル情報を記憶している。同様に、ICタグ52は右フロント(FR)の、ICタグ53は右サラウンド(SR)の、ICタグ54は左サラウンド(SL)の、及びICタグ55は左フロント(FL)の、チャンネル情報をそれぞれ記憶している。
【0015】
各ICタグに記憶されているチャンネル情報は、外観上視認できる態様であってもよい。例えば、ICタグは、記憶されているチャンネル情報をICタグの表面に文字として表示する場合等が挙げられる。これにより、ICタグを異なった音響機器に貼り付けた場合などに、ユーザが間違えに気が付きやすく、正しい音響機器に張り替えることができる。
【0016】
本発明の媒体は、ICタグ以外にも、複数の音響機器(無線スピーカ11、無線スピーカ12、無線スピーカ13、無線スピーカ14、及び無線スピーカ15)に着脱可能であり、チャンネル情報を記憶できるものであれば、採用可能である。またここで、着脱可能とは、スピーカとICタグとを近接させている状態とそうでない状態とを示す。また、貼り付けている状態は、スピーカとICタグとを近接させる状態と接着テープなどによってスピーカに直接貼り付ける場合や、スピーカにICタグを支持可能なフォルダを形成しておき、該フォルダにICタグを挿入する場合であってもよい。
【0017】
次に、音響機器について詳細に説明するが、複数の音響機器(無線スピーカ11、無線スピーカ12、無線スピーカ13、無線スピーカ14、及び無線スピーカ15)は同様の構成であるため、主に無線スピーカ11について説明する。
【0018】
図2に示すように、無線スピーカ11は、CPU21、近接通信部22、通信部24、RAM25、DSP26、ROM27及びスピーカ28を備えている。CPU21は、取得部23を備えている。通信部24は、送信部241及び受信部242を備えている。
【0019】
CPU21は、記憶媒体であるROM27に記憶されているプログラムをRAM25に読み出すことで、以下の種々の動作を行なう。
【0020】
近接通信部22は、本発明の読出部に相当し、例えばRFID、IR等の近距離無線通信技術が採用される。不図示の電源から電力が無線スピーカ11に供給されると、近接通信部22は、ICタグ51に記憶されたチャンネル情報をICタグ51から読み出す。例えば、近接通信部22は、ICタグ51に記憶されたセンタ(C)のチャンネル情報を読み出す。
【0021】
CPU21は、無線スピーカ11の個体識別情報を取得する。CPU21のうちの取得部23が個体識別情報を取得する機能を担っている。個体識別情報は、無線スピーカ11自体に関する固有の情報である。個体識別情報は、例えば、MACアドレス、又は無線スピーカ11自体の製造番号でもよい。
【0022】
通信部24は、例えばWi−Fi(登録商標)規格、Bluetooth(登録商標)規格等の無線信号を入出力する。この通信部24により、無線スピーカ11はAVレシーバ3との通信が可能となる。
【0023】
送信部241は、ICタグ51に記憶されたセンタ(C)のチャンネル情報及び無線スピーカ11の個体識別情報を受信して、AVレシーバ3に送信する。なお、RAM25は、チャンネル情報を一度記憶した後に読み出すことができる。これにより、使用中に、ICタグ51に不具合が生じた場合、有効なチャンネル情報が取得できるまで、RAM25に記憶されたチャンネル情報を使用することができる。
【0024】
受信部242は、後に詳細に説明するが、AVレシーバ3からマルチチャンネルのコンテンツのうち少なくとも一つのチャンネルを受信する。スピーカ28は、AVレシーバ3から受信したコンテンツに係る音を出力する。以下、AVレシーバ3について詳細に説明する。
【0025】
図3に示すように、AVレシーバ3は、CPU31、コンテンツ入力部32、RAM33、通信部34、及びROM35を備えている。CPU31は、割当部36を備えている。通信部34は、送信部341及び受信部342を備えている。
【0026】
コンテンツ入力部32は、BDプレーヤ1からコンテンツを入力する。
【0027】
受信部342は、複数の音響機器(無線スピーカ11、無線スピーカ12、無線スピーカ13、無線スピーカ14、及び無線スピーカ15)から送信されたチャンネル情報及び個体識別情報を受信する。
【0028】
CPU31は、ROM35に記憶されているプログラムをRAM33に読み出すことで、以下の種々の動作を行なう。
【0029】
図4は、AVレシーバ3のメモリに記憶される各ICタグのチャンネル情報と各音響機器(無線スピーカ11、無線スピーカ12、無線スピーカ13、無線スピーカ14、及び無線スピーカ15)に割り当てられるコンテンツのチャンネルの一例を示す表である。CPU31は、受信部342で受信された情報を基に、複数の音響機器(無線スピーカ11、無線スピーカ12、無線スピーカ13、無線スピーカ14、及び無線スピーカ15)毎にチャンネルを割り当てる。CPU31のうちの割当部36がチャンネルを割り当てる機能を担っている。
【0030】
図4に示すように、無線スピーカ11は、AVレシーバ3からチャンネルを受信するためのIPアドレスを有する。また、無線スピーカ11は、無線スピーカ11固有の個体識別情報であるMACアドレスを有する。IPアドレスとMACアドレスとは、予め対応付けられ、AVレシーバ3のメモリに記憶されている。無線スピーカ11にセンタ(C)のチャンネル情報を有するICタグ51が貼り付けられると、無線スピーカ11は、ICタグ51からチャンネル情報を読み出し、個体識別情報と共にAVレシーバ3へ送信する。CPU31は、受信したMACアドレスに対応する無線スピーカのIPアドレスを割り出す。CPU31は、割り出したIPアドレスに対して受信したチャンネル情報に基づくチャンネルを割り当てる。このように、CPU31は、無線スピーカ11にセンタ(C)に適したチャンネルを割り当てる。同様に、CPU31は、他の無線スピーカ12〜無線スピーカ15についてもそれぞれが有する情報に基づいたチャンネルを割り当てる。これにより、複数の音響機器(無線スピーカ11、無線スピーカ12、無線スピーカ13、無線スピーカ14、及び無線スピーカ15)にチャンネルを設定することができる。また、ユーザはチャンネルを割り当てる際にチャンネルの設定のためにボタン等を操作する必要がなく、容易にチャンネルを設定することができる。したがって、複数の無線スピーカを配置する場合であっても、複数名で配置の作業を分業することができるため、コンサートホールなどの大規模な会場であっても効率よく配置することができる。
【0031】
送信部341は、複数の音響機器(無線スピーカ11、無線スピーカ12、無線スピーカ13、無線スピーカ14、及び無線スピーカ15)毎に割り当てられたチャンネルの信号を、それぞれの無線スピーカに送信する。これにより、各無線スピーカに応じたチャンネルが配信され、各無線スピーカは、配信されたチャンネルに対応するコンテンツに係る音を再生する。
図4に示すように、例えば、センタ(C)のチャンネル情報を有するICタグ51が貼り付けられている無線スピーカ11においては、センタ(C)に適したチャンネルが配信される。無線スピーカ11が備えるスピーカ28は、センタ(C)に適したコンテンツに係る音を再生する。したがって、音響システム10は、複数の音響機器及び複数のチャンネルを有する場合であっても、コンテンツに含まれたチャンネルを、特定の音響機器に容易に割り当てることができる。
【0032】
図5(A)及び
図5(B)は、音響システム10において、コンテンツのチャンネルの割り当ての一例を説明するための図である。
【0033】
ICタグ51が無線スピーカ11に貼り付けられている場合、近接通信部22は、近接通信部22がチャンネル情報を取得している状態を示す取得情報を出力する。これに対して、ICタグ51が無線スピーカ11に貼り付けられていない場合、またはICタグ51が存在しているが、無線スピーカ11が故障しているもしくは存在しない場合、近接通信部22は、チャンネル情報を取得していない状態を示す非取得情報を出力してもよい。また、ICタグ51が無線スピーカ11に貼り付けられているが、ICタグ51がチャンネル情報を有していない場合、近接通信部22は非取得情報を出力してもよい。近接通信部22は、例えば、無線スピーカ11に電源が供給されて一定の期間、または送信部241に無線スピーカ11の個体識別情報が入力されて一定の期間に近接通信部22が取得情報を取得しない場合を非取得状態として、非取得情報を出力してもよい。CPU21は、近接通信部22から取得情報または非取得情報を取得して、通信部24に送信する。
【0034】
通信部24の送信部241は、AVレシーバ3へ取得情報または非取得情報を送信する。受信部342は、複数の音響機器(無線スピーカ11、無線スピーカ12、無線スピーカ13、無線スピーカ14、及び無線スピーカ15)から送信されたチャンネル情報及び個体識別情報を受信する。受信部342は、割当部36へ取得情報または非取得情報を送信する。
【0035】
割当部36は、取得情報または非取得情報の取得により、音響システム10における複数の音響機器(例えば、本実施形態における無線スピーカ11、無線スピーカ12、無線スピーカ13、無線スピーカ14、及び無線スピーカ15)からなるグループに含めるか否かを判断してもよい。すなわち、割当部36は、無線スピーカ11、無線スピーカ12、無線スピーカ13、無線スピーカ14、及び無線スピーカ15に対するICタグ51〜ICタグ55からの通信状態によって、無線スピーカ11、無線スピーカ12、無線スピーカ13、無線スピーカ14、及び無線スピーカ15のいずれを同一のコンテンツを配信するグループに含めるか否かを判断する。
【0036】
図5(A)に示すように、無線スピーカ11、無線スピーカ12、無線スピーカ13、無線スピーカ14、及び無線スピーカ15の全てにICタグ51〜ICタグ55がそれぞれ貼り付けられている。この場合、それぞれの無線スピーカはAVレシーバ3へ取得情報が送信される。このため、割当部36は、無線スピーカ11、無線スピーカ12、無線スピーカ13、無線スピーカ14、及び無線スピーカ15の全てが同じグループに含まれた状態であると判断する。これに対して、
図5(B)に示すように、無線スピーカ11にICタグ51が貼り付けられていない場合、無線スピーカ11はAVレシーバ3へ非取得情報が送信される。
【0037】
AVレシーバ3の受信部342が非取得情報を受信した場合、AVレシーバ3はユーザに警告を発報してもよい。例えば、
図5(B)に示すように、無線スピーカ11がICタグ51からチャンネル情報が得られなかった場合、AVレシーバ3は、無線スピーカ11にチャンネル情報が割り振られていない警告をユーザに与える。ユーザは、無線スピーカ11にICタグ51を貼り付けることにより、同一のコンテンツを配信するグループに無線スピーカ11を補充することができる。これにより、ユーザは、音響システム10を、同一のコンテンツを再生するのための適切な環境に整え直すことができる。
【0038】
また、ユーザが同一のコンテンツを配信するグループに含まれる複数の音響機器からICタグを外すことによって、ユーザはコンテンツを再生する環境をユーザの好みに応じて整えることができる。例えば、ユーザが無線スピーカ11からICタグ51を外すことにより、AVレシーバ3はユーザに警告を発報する。ユーザは警告を解除する指示を行う。音響システム10は、同一のコンテンツを配信するグループから無線スピーカ11を除外する。これにより、無線スピーカ12、無線スピーカ13、無線スピーカ14、及び無線スピーカ15に、それぞれ右フロント(FR)チャンネル、右サラウンド(SR)チャンネル、左サラウンド(SL)チャンネル、及び左フロント(FL)チャンネルが配信される。すなわち、音響システム10は、センタ(C)のチャンネルが除外された状態でコンテンツを再生する。ユーザは無線スピーカ11を別の部屋に移動させて、無線スピーカ11を用いて別のコンテンツに係る音を再生することができる。
【0039】
図6(A)及び
図6(B)は、ICタグにおけるチャンネル情報の複製を説明するための図である。
図6(A)に示すように、ICタグ52が無線スピーカ12に貼り付けられている。ユーザはチャンネル情報を保持していないICタグ71を無線スピーカ12に貼り付けることにより、ICタグチャンネル情報を複製することができる。詳細に説明すると、ユーザは不図示の携帯端末等の無線で通信できる機器を用いて、無線スピーカ12にチャンネル情報の複製の指示を与える。携帯端末が無線スピーカ12に複製の指示を与えると、無線スピーカ12は、ICタグ52からICタグ52に記憶された情報を読み出す。無線スピーカ12は、ICタグ52から読み出した情報をICタグ71に書き込む。また、取得情報と非取得情報とが取得された場合、無線スピーカ12は、自動でICタグ52に記憶された情報の複製を行ってもよい。詳細に説明すると、CPU21が取得情報及び非取得情報を取得する。CPU21は、取得情報が取得されたICタグ52に記憶された情報を読み出す。CPU21は、非取得情報が取得されたICタグ71に、ICタグ52から読み出した情報をICタグ71に書き込む。これにより、新たに複製されたICタグ71をICタグ52と同様に使用することができる。なお、この実施形態において、ICタグ71は本発明の第二の媒体に相当する。
【0040】
また、
図6(B)は、無線スピーカ12にICタグ52が貼り付けられている場合であって、ここに第二の媒体として、すでにチャンネル情報を記憶しているICタグ55を貼り付ける場合を示している。ICタグ52は右フロント(FR)のチャンネル情報を、ICタグ55は左フロント(FL)のチャンネル情報をそれぞれ記憶している。ユーザは左フロント(FL)のチャンネル情報を保持するICタグ55を無線スピーカ12に貼り付けることにより、ICタグ52の保持するチャンネル情報を複製することができる。詳細に説明すると、ユーザは不図示の携帯端末等の無線で通信できる機器を用いて、無線スピーカ12にチャンネル情報の複製の指示を与える。携帯端末が無線スピーカ12に複製の指示を与えると、無線スピーカ12は、ICタグ52からICタグ52に記憶された情報を読み出す。無線スピーカ12は、ICタグ52から読み出した情報をICタグ55に上書きする。これにより、不要なチャンネル情報を記憶するICタグであっても、チャンネル情報を上書きして使用することができる。
【0041】
なお、本実施形態において、各ICタグにはそれぞれ貼り付けられる音響機器の配置に対応したチャンネル情報が予めまたは複製によって記憶されているが、ユーザは、後から異なったチャンネル情報に書き換えることができる。AVレシーバ3のメモリは、各ICタグのチャンネル情報と各音響機器(無線スピーカ11、無線スピーカ12、無線スピーカ13、無線スピーカ14、及び無線スピーカ15)に割り当てられるコンテンツのチャンネル情報を記憶している。例えば、
図4に示すように、無線スピーカ11にはICタグ51が貼り付けられ、センタ(C)のチャンネルが割り当てられている。同様に無線スピーカ12〜無線スピーカ15にもそれぞれICタグが貼り付けられ、チャンネルが割り当てられている。ユーザは、受信部342に新たなチャンネルの割り当て情報を入力する。例えば、ユーザは、無線スピーカ11に右フロント(FR)の、無線スピーカ12に右サラウンド(SR)の、無線スピーカ13に左サラウンド(SL)の、無線スピーカ14に左フロント(FL)の、及び無線スピーカ15にセンタ(C)のチャンネルの割り当て情報を入力する。CPU31の割当部36は、新たなチャンネルの割り当て情報に基づき、各音響機器に対するチャンネルを割り当て直す。これにより、AVレシーバ3のメモリは、割り当て直された情報を記憶する。これにより、無線スピーカ15側が正面となる使用形態に変更することができる。使用する状態に変更が生じた場合、ユーザは、AVレシーバ3のメモリに記憶された情報を書き換えることにより対応する事ができる。
【0042】
なお、本実施形態において、AVレシーバ3は無線ネットワークを介して、複数の無線スピーカ11、無線スピーカ12、無線スピーカ13、無線スピーカ14、及び無線スピーカ15と接続されているが、有線で接続されていてもよい。
図7(A)、
図7(B)、及び
図7(C)は、AVレシーバ3と、スピーカ111及びスピーカ112とを有線で接続する場合を説明するための図である。スピーカ111及びスピーカ112は有線スピーカであり、AVレシーバ3とケーブル等によって接続されている。スピーカ111にはICタグ51が、スピーカ112にはICタグ52がそれぞれ貼り付けられている。通常、有線で接続される場合においてAVレシーバ3の出力端子のチャンネルは決まっているが、本実施形態は出力端子のチャンネルを後から変更できるようにしている。
【0043】
例えば、
図7(A)に示すように、AVレシーバ3にスピーカ111及びスピーカ112が接続されている場合、AVレシーバ3の出力端子81及び82は、それぞれ接続されているスピーカ111及びスピーカ112に対応する。出力端子81は、スピーカ111がICタグ51から読み出したセンタ(C)のチャンネル情報に対応する。出力端子82は、スピーカ112がICタグ52から読み出した右フロント(FR)のチャンネルに対応する。
【0044】
ここで、
図7(B)に示すように、スピーカ112からICタグ52が剥がされた場合、出力端子82は、いずれのチャンネルにも対応しない状態となる。
図7(C)に示すように、左フロント(FL)のチャンネル情報を記憶したICタグ55をICタグ52の代わりにスピーカ112に貼り付ける。スピーカ112はICタグ55からチャンネル情報を読み出す。AVレシーバ3は、ICタグ55から読み出したチャンネル情報を基に出力端子82を左フロント(FL)のチャンネルに対応させる。このように、AVレシーバ3の出力端子をフリーアサインとすることができる。
【0045】
なお、本実施形態において、ICタグは音響機器に貼り付けられるものが用いられているが、ICタグの代わりに、電源から電力を供給する不図示の電源ケーブルに媒体を埋め込んで情報を記憶させていてもよい。例えば、予め、所定のチャンネル用の電源ケーブルを用意しておく。電源ケーブルに埋め込まれた媒体は、センタ(C)等のチャンネル情報を記憶している。媒体とスピーカとの情報の伝達は有線または無線のいずれによっても実現される。有線の場合は、電源ケーブルの内に通信線を配線する。スピーカに電源ケーブルが接続されることにより、スピーカは通信線を介して媒体に記憶されたチャンネル情報を読み出すことができる。有線により情報が伝達される場合は、物理的に直接接続されているため、その他の電磁波などによる影響を低減することができる。無線の場合は、スピーカに電源ケーブルが接続されることにより、スピーカと媒体とが近接する。スピーカの近接通信部は、媒体に記憶されたチャンネル情報を読み出すことができる。いずれの場合も、ユーザがスピーカに電源ケーブルを接続することにより、スピーカはチャンネル情報を読み出すことができるため、ICタグを貼り付ける手間を省くことができる。また、ユーザは電源ケーブルを変更することにより、容易にチャンネルを変更することができる。
【0046】
図8は、複数のICタグをスピーカに貼り付ける場合を説明するための図である。上記実施形態においては、各スピーカにICタグを一枚貼り付けたが、スピーカに複数のICタグを貼り付けてもよい。
図8に示すように、無線スピーカ13には、右サラウンド(SR)のチャンネル情報を記憶したICタグ53及び左サラウンド(SL)のチャンネル情報を記憶したICタグ54が貼り付けられている。AVレシーバ3は無線スピーカ13に右サラウンド(SR)及び左サラウンド(SL)に対応するチャンネルを配信する。これにより、無線スピーカ13はコンテンツの内、右サラウンド(SR)及び左サラウンド(SL)のチャンネルに係る音を出力することができる。
【0047】
図9は、他の一実施形態に係る音響システム20の構成を説明するための概念図である。
図9に示すように、音響システム20は、音響機器としてレシーバ85を備える。レシーバ85にはスピーカ18が接続されている。レシーバ85にはサラウンドバック(SB)のチャンネル情報を記憶したICタグ56が貼り付けられている。レシーバ85は、ICタグ56からサラウンドバック(SB)のチャンネル情報を読み出す。
【0048】
ユーザがレシーバ85を他のAVレシーバ3と無線で接続すると、レシーバ85とAVレシーバ3とは双方に通信可能となる。これにより、AVレシーバ3はレシーバ85に同一のコンテンツに含まれたチャンネルを配信することができる。すなわち、AVレシーバ3は、レシーバ85にサラウンドバック(SB)のチャンネルを割り当てることができる。
【0049】
なお、レシーバ85は、単独で使用することもできる。単独で使用する場合、例えば、ユーザはレシーバ85からICタグ56を外す。レシーバ85は、AVレシーバ3からのコンテンツの配信が停止されるため、AVレシーバ3と別のコンテンツを再生することが可能である。
【0050】
図10は、音響システム10の動作を示すフローチャートである。音響システム10の動作により本発明のチャンネル配信方法が実現される。
【0051】
予め、音響システム10においては、ユーザにより再生したいコンテンツが選択される。すなわち、ユーザはBDプレーヤ1にコンテンツの選択の指示を与える。BDプレーヤ1は、ユーザが選択したコンテンツをAVレシーバ3に出力する。
【0052】
図10に示すように、各音響機器の読出部は、ICタグ51〜ICタグ55に記憶されたチャンネル情報をICタグ51〜ICタグ55から取得する(s11)。チャンネル情報の取得がトリガーとなり、音響システム10の動作が開始する。取得部23は、無線スピーカ11〜無線スピーカ15の各個体識別情報を取得する(s12)。無線スピーカ11〜無線スピーカ15の送信部241等は、ICタグ51〜ICタグ55から読み出したチャンネル情報と、取得した個体識別情報とを、AVレシーバ3に送信する(s13)。
【0053】
AVレシーバ3は、無線スピーカ11〜無線スピーカ15が送信した情報を受信する(s21)。AVレシーバ3の割当部36は、チャンネル情報を取得しているか否かを判断する。すなわち、割当部36はチャンネル情報を取得した状態を示す取得情報またはチャンネル情報を取得していない状態を示す非取得情報のいずれかを受信することにより、チャンネル指定の有無を判断する(s22)。
【0054】
チャンネル指定がある場合(s22:YES)、割当部36は、受信したチャンネル情報及び個体識別情報に基づいて、無線スピーカ11〜無線スピーカ15に対するチャンネルを割り当てる(s23)。AVレシーバ3は、割り当てられたチャンネル信号を無線スピーカ11〜無線スピーカ15に送信する(s24)。
【0055】
無線スピーカ11〜無線スピーカ15は、割当部36が割り当てたチャンネルの信号をそれぞれ受信する(s14)。したがって、音響システム10は、複数の無線スピーカ11〜無線スピーカ15及び複数のチャンネルを有する場合であっても、コンテンツに含まれたチャンネルを、特定の音響機器に容易に割り当てることができる。無線スピーカ11〜無線スピーカ15は、それぞれが受信したチャンネルの信号に対応するコンテンツに係る音を再生し(s15)、音響システム10の動作が終了する。
【0056】
チャンネル指定がない場合(s22:NO)、AVレシーバ3はユーザに警告を発報する(s25)。AVレシーバ3のCPU31は、割当部36をチャンネルの割り当てから解除する(s26)。AVレシーバ3は、無線スピーカ11〜無線スピーカ15に割り当てるチャンネル信号の送信を停止する(s27)。これにより、音響システム10の動作が終了する。