【実施例】
【0130】
本発明の一般式(I)の具体的な化合物の様々な名称の総括表:
【0131】
【表3】
【0132】
A− 材料及び方法
塩化イットリウム−90は、PerkinElmer Life Sciencesから購入する。含まれていた活性は28μCi〜8.51mCi(1.04〜314.87MBq)であった。製品(HPLC、溶媒、緩衝液等)はそれ以上精製することなしに供給されたままの状態で使用する。別段の記載がない限り、配位子はエタノールに溶解させる。
【0133】
実験は、圧着ホウケイ酸ガラス瓶の中で行った。瓶は、最大6本の瓶を加熱できるBioblock加熱ブロックの中で加熱した。撹拌が必要な場合には、Lab Dancer S40(VWR)ボルテックス装置を使用した。遠心分離はMF20−R遠心分離機(Awel)を用いて行った。
【0134】
活性は、CRC−127Rアクティベーター(Capintec)の中で測定した。これは毎朝較正した。
【0135】
品質の管理は、溶離液としてMeOH/0.1%Et
3N混合物を用いたWhatman1ペーパー上で、TLCにより行った。放射化学的純度は、Optiquantソフトウェアを用いたCyclone phosphoimager(Perkin Elmer)を使用して決定する。
【0136】
ダイオードアレイ検出器とfLumoラジオクロマトグラフ検出器(Berthold)とを備えたDionex Ultimate 3000 HPLCライン上で、Chromeleonソフトウェアにより実行されるHPLC分析も行った。
【0137】
分析は、次のプログラムを用いてAccucore C18 100×3mm,2.6μカラム上で行った:0.4mL/分;A=H
2O;B=ACN;0〜3分:100%のA;3〜20分:0〜90%のB;20〜25分:10%のA/90%のB;25〜26分:90〜0%のB;26〜30分:100%のA。
【0138】
分光学的試験
配位子及びイットリウム(III)錯体のUV−可視スペクトルは、Jasco V−650スペクトロメーターを使用して、298Kで酢酸塩緩衝水溶液(pH=5.5又は3.8,イオン強度の制御なし)中で測定した。
【0139】
NMR実験(COSY、HMBC、及びHMQC)は、Brueker Avance 500スペクトロメーター(500MHz)を使用してD
2O中で配位子及びその錯体について記録した。
【0140】
速度論的試験
do2pa sym、do2pa asym、及びdo1pa symのイットリウム(III)錯体の形成は、擬一次条件下で25℃で酢酸緩衝水溶液(C=0.150M)の中で調べた。UV領域の吸収帯の強度の増加は、C
L=C
M=4×10
−5M及びイオン強度の制御なしで、pH=3.8及び5.5でモニタリングした。
【0141】
イットリウム(III)錯体の酸性媒体中での解離は、擬一次条件下、イオン強度の制御なしで、HCl(0.5、1、2、4、及び5M)の水溶液を錯体溶液(C=4.10
−5M)に添加することにより調べた。
【0142】
解離は、UV領域の錯体の吸収帯の強度の減少、又は配位子の吸収帯の増加によってモニタリングした。t
1/2は、次の擬一次の指数方程式に従って、曲線A
max=f(t)(A
max=錯体又は配位子のλ
maxでの吸光度)を調整することにより計算した:Abs(t)=Abs(eq)+(Abs(0)−Abs(eq))×exp(−x/t1)。
【0143】
電位差測定試験
準備:
この実験は、不活性雰囲気下、サーモスタットにより25.0±0.1℃に維持されている水溶液中で行った。プロトン化及び錯体化の滴定は、Metrohm6.0233.100複合ガラス電極と連結されたMetrohm 702 SM Titrino自動ビュレットを使用してジャケット付のガラス製滴定セルの中で行った。滴定は、長い測定中のモニタリングを回避する適切なパラメータを選択した後、ソフトウェアによって自動制御した。
【0144】
滴定剤は、分析グレードの市販のバイアルから調製した約0.1MのKOH溶液であり、その厳密な濃度は標準的なHNO
3溶液を用いて滴定することによるGran法を適用することによって得られる。
【0145】
配位子溶液は約2.0×10
−3Mで調製し、Cu
2+、Pb
2+、及びY
3+の溶液は分析グレードの塩化物塩から約0.04Mで調製し、H
4edta(エチレンジアミン四酢酸)
1を用いた錯滴定により標準化した。滴定される溶液には、30.00mLの体積中に約0.05mmolの配位子が含まれており、そのイオン強度は電解質としてのKNO
3を使用して0.10Mに維持した。配位子溶液の標準化滴定の際に、1.2当量の金属カチオン(Cu
2+又はPb
2+)を配位子(0.05mmol)に添加した。
【0146】
錯滴定法の際に0.9当量の金属カチオン(Y
3+)を配位子に添加した。
【0147】
測定
溶液の起電力は、標準化された2.10
−3MのHNO
3溶液の滴定による電極の較正後に測定した。溶液の[H
+]は、電池の起電力E=E°’+Qlog[H
+]+Ejを測定することにより決定した。用語「pH」は、−log[H
+]により定義される。E°’及びQは、較正曲線の酸性領域により決定される。液界電位Ejは、使用した実験条件では無視できる。K
eの値=[H
+][OH
−]は10
−13.78である。
【0148】
計算
電位差滴定のデータはHyperquadソフトウェア
2により精密化し、スペシエーションダイアグラムはHySSソフトウェア
3を使用してプロットした。
【0149】
全体の平衡定数β
iH及びβM
mH
hL
lは、βM
mH
hL
l=[M
mH
hL
l]/[M]
m[H]
h[L]
l(β
iH=[H
hL
l]/[H]
h[L]
l及びβMH
−1L=βML(OH)×Ke)により定義される。プロトン化(又は加水分解)の値と非プロトン化定数との間のlog単位での差は、中間体反応定数(logK)(ここでKM
mH
hL
l=[M
mH
hL
l]/[M
mH
h−1L
l][H])を与える。示される誤差は、各システムの全ての実験データからの調整プログラムによって計算される標準偏差である。
【0150】
B− 一般式(I)の化合物の合成
特段の指示がない限り、全ての市販の試薬を供給業者から受け取ったままの状態で使用した。溶媒は、文献に記載の手順に従って使用の前に蒸留した。セミ分取HPLC(高速液体クロマトグラフィー)による精製は、SPD−20 A UV検出器を備えたProminence Shimadzu HPLC/LCMS−2020装置で行った。HPLCクロマトグラフシステムは、H
2O(0.1%のTFA又はHClを含有)−MeCNアイソクラティックグラジエントで溶離するカラム(VisionHT C18 HL 5μ 250×10mm)を使用する。
【0151】
1H及び
13C NMRスペクトルは、
1H及び
13Cについてそれぞれ300.17及び75.47MHzで運転されるBrueker AMX3−300MHzスペクトロメーター上で記録した。全ての測定は25℃で行った。シグナルは次の通りに示される:δケミカルシフト(ppm)、多重度(s、シングレット;d、ダブレット;t、トリプレット;m、マルチプレット;q、カルテット)、積算、ヘルツ単位(Hz)でのカップリング定数J。
【0152】
高分解能質量分析(HRMS−ESI)は、Institut de Chimie Organique et Analytique(ICOA),Orleans,Franceの質量分析部門によりポジティブエレクトロスプレーイオン化モード(ESI+)で行われた。
【0153】
1)「直接」ルートによる式(I)の配位子Pc1a2pa sym P04213の合成
【化23】
【0154】
実施例1−中間体2
直前に蒸留したTHFの中に2−ニトロベンゼンスルホニルクロリド(4.3g,19.4mmol)が入っている溶液に、THF(200ml)の中に入っているジエチレントリアミン(1.0g,9.69mmol)とNaHCO
3(3.26g,38.8mmol)との混合物を0℃で添加する。媒体を室温で20時間撹拌し、次いで固体を濾別する。濾液を乾燥するまで濃縮することで白色固体を得る。この化合物は、精製せずに次の反応で使用する。
1H NMR(300MHz,DMSO−d
6):δ 8.03−7.82(m,8H),2.87(t,4H,
3J=6.0Hz),2.47(t,4H,
3J=6.0Hz).
13C NMR(75.47MHz,DMSO−d
6):δ 147.73,133.99,132.68,132.60,129.49,124.39,47.80,42.65.
【0155】
実施例1−中間体3
ブロモ酢酸tert−ブチル(6.09g,31.2mmol)のTHF(50ml)溶液を、上で合成した化合物(4.93g,10.4mmol)及びトリエチルアミン(6.31g,62.4mmol)のTHF(75ml)溶液に添加する。混合物を24時間還流させる。媒体を冷却した後、50mlの飽和NH
4Cl溶液を添加し、溶媒を減圧下で留去する。その結果得られた水相を、50mlのCH
2Cl
2で3回抽出する。クロロメチレンフラクションを1つに併せ、MgSO
4上で乾燥させ、その後濾過する。溶媒を留去した後、得られた白色固体をシリカゲル上でクロマトグラフ分離(5/5〜8/2の酢酸エチル/ペンタン)することで、溶媒の留去後に白色固体を得る(2.9g,51%(1を出発物質とした計算値))。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ 8.09(m,2H),7.82(m,2H),7.72(m,4H),5.94(t,2H,
3J=5.7Hz),3.17(s,2H),3.07(m,4H),2.76(t,4H,
3J=5.7Hz),1.41(s,9H).
13C NMR(75.47MHz,CDCl
3):δ 170.78,148.27,133.71,133.45,132.78,130.97,125.52,82.13,55.99,54.65,41.90,28.16.
【0156】
実施例1−中間体4
上で合成した化合物(2.86g,4.87mmol)のアセトニトリル(20ml)溶液に、4gのK
2CO
3を添加し、混合物を還流させる。次いで、10mlのアセトニトリルの中に溶解させたジブロモメチルピリジン(1.55g,5.84mmol)を添加する。媒体を一晩還流させ、冷却後に固体を濾別する。溶媒を減圧下で留去する。得られた化合物はそれ以上精製せずに次の反応で使用する。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ 8.1−7.6(m,9H),7.42(d,2H,
3J=7.8Hz),4.56(s,4H),3.30(m,4H),3.17(s,2H),2.57(m,4H),1.37(s,9H).
13C NMR(75.47MHz,CDCl
3):δ 171.09,154.75,148.33,139.17,133.81,132.74,131.91,130.86,124.39,124.27,81.25,57.51,54.33,51.18,44.93,28.18.
【0157】
実施例1−中間体5
上で合成した化合物(2.9g,4.29mmol)を、Na
2CO
3(3.64g,34.3mmol)の存在下でDMF中に溶解させる。次いで、チオフェノール(1.88g,17.2mmol)を添加し、媒体を室温で一晩撹拌する。溶媒を留去した後、残渣をCH
2Cl
2(100ml)の中に入れ、得られた溶液を3×40mlの0.5MのNaOH溶液で洗浄する。MgSO
4上での乾燥及び濾過の後、有機溶液を濃縮し、得られた生成物を中性のアルミナ上でクロマトグラフ分離(99/1のCH
2Cl
2/MeOH)することにより白色固体を得る(0.835g,54%(3を出発物質とした計算値))。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ 7.4(t,1H,
3J=7.5Hz),6.86(d,2H,
3J=7.5Hz),3.83(s,4H),3.22(s,2H),2.48(m,4H),2.40(m,4H),1.28(s,9H).
13C NMR(75.47MHz,CDCl
3):δ 171.06,157.49,136.65,120.03,80.98,59.10,56.00,52.67,47.41,27.95.
【0158】
実施例1−中間体6
上で合成した化合物(0.835g,2.61mmol)のアセトニトリル(35ml)溶液に、K
2CO
3(1.4g,10.4mmol)の存在下で6−クロロメチル−2−ピリジンカルボン酸のメチルエステル(0.872g,4.70mmol)を添加する。媒体を一晩還流させ、その後濾過し、濃縮する。残渣を中性のアルミナ上でクロマトグラフィー(98/2のCH
2Cl
2/MeOH)により精製することで1.09gの黄色オイルを得る(67%)。
13C NMR(75.47MHz,CDCl
3):δ 169.95,164.98,158.48,145.96,138.30,137.54,126.69,123.11,119.93,81.07,62.45,61.81,54.44,53.13,52.18,51.19,27.51.
【0159】
実施例1−中間体7
上で合成した化合物(1.09g,1.76mmol)を6Mの塩酸溶液に溶解し、媒体を一晩還流させる。濃縮後、生成物をC18相(100/0〜10/90のH
2O/アセトニトリル)上でHPLCにより精製することで塩酸塩形態の中間体7を得る(0.690g,57%(3HClについての計算値))。
1H NMR(500.25MHz,D
2O):δ 8.21(t,2H,
3J=7.8Hz),8.07(d,2H,
3J=7.8Hz),7.88(d,2H,
3J=7.8Hz),7.68(t,1H,
3J=7.8Hz),7.07(d,2H,
3J=7.8Hz),4.63(s,4H),4.45(s,br,4H),3.78(s,2H),3.58(m,4H),3.46(s,br,4H).
13C NMR(125.79MHz,D
2O):δ 175.11,170.44,157.33,153.78,152.13,145.76,142.12,131.02,127.79,124.63,62.55,60.72,57.63,56.20,54.67.
【0160】
2)「直接」ルートによる式(I)のPc2a1pa sym P04218の合成
【化24】
【0161】
実施例2−中間体8
化合物2(実施例1−中間体2)(4.935g,10.42mmol)のアセトニトリル(60ml)溶液に、K
2CO
3(4.3g,31.26mmol)の存在下で6−クロロメチル−2−ピリジンカルボン酸のメチルエステル(1.93g,10.42mmol)を添加し、混合物を室温で4日間撹拌する。溶媒を留去し、残渣をCH
2Cl
2の中に溶解させ、濾過し、濃縮し、シリカゲル上でクロマトグラフィー(5/5〜8/2の酢酸エチル/ペンタン)により精製する。生成物を黄色オイルの形態で回収する(2.78g,46%(1を出発物質とした計算値))。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ 8.08−7.99(m,2H),7.95(d,1H,
3J=7.9Hz),7.82−7.61(m,7H),7.47(d,1H,
3J=7.9Hz),6.21(m,2H),3.94(s,3H),3.78(s,2H),3.10(m,4H),2.68(t,4H,
3J=5.5Hz).
13C NMR(75.47MHz,CDCl
3):δ 165.64,159.19,148.11,147.80,138.01,133.58,132.71,130.71,126.16,125.18,123.99,59.45,54.83,53.03,41.58.
【0162】
実施例2−中間体9
30mlのアセトニトリル中の、上で合成した化合物(2.78g,4.46mmol)及び3.7gのK
2CO
3を還流させ、次いでジブロモメチルピリジン(1.42g,5.36mmol)のアセトニトリル(10ml)溶液を添加する。媒体をアセトニトリルの沸点で一晩撹拌し、次いで固体を濾別し、濾液を減圧下で濃縮する。得られた化合物はそれ以上精製せずに次の工程で使用する。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ 7.88−7.50(m,12H),7.35(d,2H,
3J=7.5Hz),4.52(s,4H),3.89(s,3H),3.77(s,2H),3.27(m,4H),2.52(m,4H).
13C NMR(75.47MHz,CDCl
3):δ 165.23,159.52,153.98,147.55,146.63,138.66,137.10,133.39,131.81,131.45,130.08,125.18,123.78,123.57,123.25,120.99,120.56,59.82,53.62,52.33,48.61,43.35.
【0163】
実施例2−中間体10
上で合成した化合物(3.9g,5.5mmol)をNa
2CO
3(4.6g,43.9mmol)の存在下でDMF中に溶解させ、次いで、チオフェノール(2.42g,21.9mmol)を添加し、媒体を室温で一晩撹拌する。次いで溶媒を減圧下での蒸留により除去し、残渣をCH
2Cl
2(100ml)の中に溶解させる。有機相を0.5Mの水酸化ナトリウム溶液で3回(3×40ml)洗浄した後、MgSO
4上で乾燥させてから溶媒を留去し、得られた残渣を中性のアルミナ上でクロマトグラフィー(99/1のCH
2Cl
2/MeOH)により精製することで黄色のオイルを得る(0.297g,19%(8を出発物質とした計算値))。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ 7.93(d,1H,
3J=7.5Hz),7.76(t,1H,
3J=7.5Hz),7.61(t,1H,
3J=7.5Hz),7.40(d,1H,
3J=7.5Hz),7.07(d,2H,
3J=7.5Hz),4.13(s,4H),4.00(s,2H),3.79(s,3H),2.73(m,8H).
13C NMR(75.47MHz,CDCl
3):δ 165.32,159.60,155.26,147.50,137.96,137.52,125.85,123.96,120.60,61.47,55.96,52.67,51.96,47.09.
【0164】
実施例2−中間体11
ブロモ酢酸tert−ブチル(0.294g,1.50mmol)とK
2CO
3(0.464g,3.4mmol)とのアセトニトリル(10ml)中での混合物に、上で合成した化合物(0.297g,0.84mmol)を添加する。媒体を一晩還流させ、次いで固体を濾別し、得られた溶液を濃縮する。得られた残渣を中性のアルミナ上でクロマトグラフィー(100/0〜95/5のCH
2Cl
2/MeOH)により精製することで黄色のオイルの形態の化合物11を得る(0.185g,38%)。
【0165】
実施例2−中間体12
上で合成した化合物(0.185g,0.32mmol)を6Mの塩酸溶液20mlに溶解させ、媒体を一晩還流させる。溶媒を留去した後、生成物をC18相(100/0〜10/90のH
2O/アセトニトリル)上でHPLCにより精製することで塩酸塩形態の目的生成物を得る(0.050g,27%(3HClについての計算値)。
1H NMR(500.25MHz,D
2O):δ 8.33(t,1H,
3J=7.8Hz),8.25(d,1H,
3J=7.8Hz),8.07(d,1H,
3J=7.8Hz),8.00(t,1H,
3J=7.8Hz),7.49(d,2H,
3J=7.8Hz),4.81(s,4H),4.20(s,2H),3.76(s,4H),3.63(m,4H),2.99(s,br,4H).
13C NMR(125.79MHz,D
2O):δ 172.17,168.64,157.78,152.89,150.25,146.36,142.80,131.30.
【0166】
3)合成中間体化合物の合成
【化25】
【0167】
実施例3−中間体3’
直前に蒸留したTHF(150ml)の中に化合物2(実施例1−中間体2)及びトリエチルアミン(3.9g,38.8mmol)が入っている溶液に、炭酸ジ−tert−ブチル(5.07g,23.3mmol)のTHF(50ml、直前に蒸留したもの)溶液を0℃で添加する。媒体を室温で24時間撹拌し、次いでこれを飽和NH
4Cl溶液で処理する。溶媒を減圧下で留去し、水相をジクロロメタン(3×80ml)で洗浄する。MgSO
4上で乾燥させた後、有機溶液を濾過し、減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲル上でクロマトグラフ分離(3/7〜7/3の酢酸エチル/ヘプタン)することで、黄色オイルの形態の目的化合物を得る(7.0g,79%)。
1H NMR (300MHz,CDCl
3):δ 8.05−7.63(m,2H),7.79−7.63(m,6H),5.99(s,br,1H),5.77(s,br,1H),3.3(m,4H),3.19(m,4H),1.37(s,9H).
13C NMR(75.47MHz,CDCl
3):δ 155.78,147.75,133.77,133.09,132.95,130.71,125.20,80.85,42.34,28.16.
【0168】
実施例3−中間体4’
上で合成した生成物(7.0g,12.2mmol)と、Na
2CO
3と、DMF(200ml)とからなる100℃に加熱された混合物に、窒素雰囲気下で2,6−ビス(ブロモメチル)ピリジン(3.23g,12.2mmol)の乾燥DMF(100ml)溶液を添加する。媒体を100℃で24時間撹拌してから冷却する。溶媒を減圧下で留去し、そのようにして得た残渣をCH
2Cl
2の中に溶解させる。有機相を1MのNaOH溶液で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させる。濾過及び濃縮の後、アセトンから生成物を析出させることで白色固体を得る(3.76g,46%)。
1H NMR(300MHz,DMSO−d
6):δ 8.10−7.80(m,9H),7.35(m,2H),4.60(s,4H),3.53(s,8H),1.38(s,9H).
13C NMR(75.47MHz,DMSO−d
6):δ 155.83,155.75,154.59,147.95,147.89,138.40,135.63,134.57,132.75,132.62,131.17,130.97,129.52,129.19,124.62,124.63,122.49,122.44,78.81,55.17,50.02,49.79,45.42,44.72,44.66,43.09,27.97.
【0169】
実施例3−中間体5’
Na
2CO
3のDMF(250ml)懸濁液に、上で合成した化合物(3.59g,5.43mmol)を添加し、次いでチオフェノール(2.35g,21.3mmol)を添加する。混合物を室温で12時間撹拌し、次いで溶媒を減圧下で留去し、得られた残渣をCH
2Cl
2の中に溶解させる。有機相を水で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、次いで濾過及び濃縮する。そのようにして得た残渣をシリカゲル上でクロマトグラフィー(100/0〜95/5のMeOH/32%NH
3aq)により精製することで、黄色オイルの形態の目的化合物を得る(1.06g,76%)。
1H NMR (300MHz,CDCl
3):δ 7.51(t,1H,
3J=7.5Hz),6.94(d,2H,
3J=7.5Hz),3.94(s,4H),3.52(t,4H,
3J=5.1Hz),3.04(s,2H),2。61(t,4H,
3J=5.65Hz),1.49(s,9H).
13C NMR(75.47MHz,CDCl
3):δ 158.22,157.53,136.65,120.34,80.27,52.06,50.78,48.88,28.59.
【0170】
4)「Boc」ルートによる式(I)の配位子Pc2a1pa sym P04218の合成
【化26】
【0171】
実施例4−中間体6’
150mlのアセトニトリルの中に入っている上で得られた生成物(実施例3−中間体5’)(0.803g,2.62mmol)とK
2CO
3とからなる混合物に、ブロモ酢酸tert−ブチル(1.022g,5.24mmol)のアセトニトリル(50ml)溶液を添加し、混合物を室温で24時間撹拌する。溶媒を留去し、残渣をCH
2Cl
2に溶解させ、次いで得られた溶液を濾過及び濃縮する。生成物をシリカゲル上でクロマトグラフィー(100/0〜98/2のCH
2Cl
2/MeOH)により精製することで、黄色オイルを得る(1.06g,76%)。
1H NMR (300MHz,CDCl
3):δ 7.5(t,1H,
3J=7.5Hz),7.08(d,2H,
3J=7.5Hz),3.86(s,br,4H),3.27(d,4H,
3J=9.4Hz),3.01(m,4H),2.75−2.55(m,4H),1.34(s,18H),1.24(s,9H).
13C NMR(75.47MHz,CDCl
3):δ 170.45,170.27,157.44,156.97,155.26,137.18,122.67,122.61,80.75,78.71,59.99,59.60,59.02,58.67,51.77,51.27,45.04,44.81,28.21,28.03.
【0172】
実施例4−中間体7’
上で得られた化合物(1.06g,9.5mmol)を6Mの塩酸20mlに溶解させ、混合物を一晩還流させる。冷却後、溶媒を留去することで、褐色固体の形態の目的生成物を得る(100%)。
1H NMR(300MHz,D
2O):δ 7.91(t,1H,
3J=7.9Hz),7.36(d,2H,
3J=7.9Hz),4.20(s,4H),3.65(s,4H),2.96(m,4H),2.78(m,4H).
13C NMR(75.47MHz,D
2O):δ 175.61,154.59,147.87,127.29,60.26,59.52,54.14,46.69.
【0173】
実施例4−中間体8’
上で得た化合物のメタノール(30ml)溶液に5mlの濃硫酸を添加し、その後混合物を撹拌して一晩還流させる。冷却後、溶媒を留去し、残渣を10mlの水に溶解させ、K
2CO
3を添加することによりpHを7に調整する。水を留去し、残渣をジクロロメタンに溶解させる。その後、有機相をMgSO
4上で乾燥させ、濾過し、濃縮する。目的生成物が黄色オイルの形態で得られる(0.67g,98%(6’を出発物質とした計算値))。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ 7.34(t,1H,
3J=7.5Hz),6.84(d,2H,
3J=7.5Hz),3.86(s,4H),3.51(s,10H),2.69(m,4H),2.02(m,4H).
13C NMR(75.47MHz,CDCl
3):δ 172.12,159.24,136.56,120.66,59.54,57.73,52.59,50.95,46.99.
【0174】
実施例4−中間体9’
50mlのアセトニトリルの中に入っている上で得た生成物(0.67mg,1.9mmol)とK
2CO
3(0.524g,3.8mmol)とからなる混合物に、0.353g(1.9mmol)の6−クロロメチル−2−ピリジンカルボン酸のメチルエステルを添加し、媒体を室温で2日間撹拌する。溶媒を留去し、残渣をCH
2Cl
2の中に溶解させ、その後濾過する。得られた溶液を濃縮し、生成物はそれ以上精製せずに次の反応で直接使用する。
【0175】
実施例4−中間体12’
上で合成した化合物に、6Mの塩酸20mlを添加し、混合物を一晩還流させる。溶媒を留去し、得られた残渣をC18相(100/0〜10/90のH
2O 0.1%HCl/アセトニトリル)上でHPLCにより精製することで無色オイルの形態の目的生成物を得る(0.237g,22%(8’を出発物質とする3HClについての計算値))。
1H NMR(500.25MHz,D
2O):δ 8.33(t,1H,
3J=7.8Hz),8.25(d,1H,
3J=7.8Hz),8.07(d,1H,
3J=7.8Hz),8.00(t,1H,
3J=7.8Hz),7.49(d,2H,
3J=7.8Hz),4.81(s,4H),4.20(s,2H),3.76(s,4H),3.63(m,4H),2.99(s,br,4H).
13C NMR(125.79MHz,D
2O):δ 172.17,168.64,157.78,152.89,150.25,146.36,142.80,131.30,128.33,125.60,62.35,60.08,59.47,56.09,52.88.
【0176】
5)「Boc」ルートによる式(I)の配位子Pc1a2pa sym P04213の合成
【化27】
【0177】
実施例5−中間体11’
50mlのアセトニトリルの中に入っている上で得られた生成物(実施例3−中間体5’)(0.326g,1.06mmol)とK
2CO
3(0.587g,4.3mmol)とからなる混合物に、6−クロロメチル−2−ピリジンカルボン酸のメチルエステル(0.395g,2.13mmol)のアセトニトリル(20ml)溶液を添加する。混合物を室温で5日間撹拌し、溶媒を留去する。残渣をジクロロメタンに溶解させ、懸濁液を濾過する。クロロメチレン溶液を濃縮し、残渣を中性のアルミナ上でのクロマトグラフィー(100/0〜98/2のCH
2Cl
2/MeOH)により精製することで黄色オイルを得る(0.407g,63%)。
1H NMR (300MHz,CDCl
3):δ 8.05−7.95(m,2H),7.87−7.73(m,4H),7.66(t,1H,
3J=7.2Hz),7.2(m,2H),4.10−3.80(m,14H),3.46−3.31(m,4H),2.75−2.50(m,4H),1.17(s,9H).
13C NMR (75.47MHz,CDCl
3):δ 165.91,160.82,160.70,156.80,156.54,155。48,147.44,137.66,137.55,137.38,126.14,126.07,123.83,23.14,122.96,79.03,62.90,62.71,59.96,58.78,53.00,51.59,51.27,45.14,44.75,28.30.
【0178】
実施例5−中間体12’
上で合成した化合物(0.407g,0.67mmol)のメタノール(20ml)溶液に、1mlの濃硫酸を添加する。混合物を還流させながら2日間撹拌する。冷却後、溶媒を留去し、残渣を水(10ml)に溶解させ、K
2CO
3を添加することにより媒体のpHを7に調整する。水を留去し、残渣をジクロロメタンに溶解させる。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮する。生成物を中性のアルミナ上でのクロマトグラフィー(100/0〜98/2のCH
2Cl
2/MeOH)により精製することで黄色オイルを得る(0.214g,63%)。
13C NMR (75.47MHz,CDCl
3):δ 165.60,159.30,159.24,146.64,137.17,127.10,123.58,119.79,61.92,57.51,52.72,52.56,46.12.
【0179】
実施例5−中間体6’
20mlのアセトニトリルの中に入っている上で合成した化合物(0.214g,0.423mmol)とK
2CO
3(0.117g,0.85mmol)との混合物に、ブロモ酢酸tert−ブチル(0.083g,0.423mmol)のアセトニトリル(10ml)溶液を添加する。混合物を室温で24時間撹拌し、次いで濃縮する。残渣をCH
2Cl
2に溶解させ、塩を濾別する。溶媒を留去した後、残渣を中性のアルミナ上でのクロマトグラフィー(100/0〜98/2のCH
2Cl
2/MeOH)により精製することで黄色オイルの形態の目的生成物を得る(0.155g,60%)。
【0180】
実施例5−中間体7’
上で得た化合物を6Mの塩酸20mlに溶解させ、混合物を一晩還流させる。水を留去した後、残渣をC18相(100/0〜90/10のH
2O/ACN)上でのHPLCにより精製することで無色のオイルを得る(0.089g,55%(3HClについての計算値))。
1H NMR(500.25MHz,D
2O):δ 8.21(t,2H,
3J=7.8Hz),8.07(d,2H,
3J=7.8Hz),7.88(d,2H,
3J=7.8Hz),7.68(t,1H,
3J=7.8Hz),7.07(d,2H,
3J=7.8Hz),4.63(s,4H),4.45(s,br,4H),3.78(s,2H),3.58(m,4H),3.46(s,br,4H).
13C NMR(125.79MHz,D
2O):δ 175.11,170.44,157.33,153.78,152.13,145.76,142.12,131.02,127.79,124.63,62.55,60.72,57.63,56.20,54.67.
【0181】
参考文献
1.Schwarzenbach,G.;Flaschka,W.Complexometric Titrations;Methuen&Co.:London,1969.
2.Gans,P.;Sabatini,A.;Vacca,A.Talanta 1996,43,1739−1753.
3.Alderighi,L.;Gans,P.;Ienco,A.;Peters,D.;Sabatini,A.;Vacca,A.Coord.Chem.Rev.1999,184,311−318.
【0182】
6)「シュウ酸エステル」ルートによる式(I)の配位子Pc1a2pa asym P04214の合成
【化28】
【0183】
シュウ酸ジエチル(2.02g,13.8mmol)のEtOH(100mL)溶液に、ピクレン(2.37g,11.5mmol)のEtOH(200mL)溶液を添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、その後濃縮した。得られた残渣をアルミナカラム上でのクロマトグラフィーにより精製した(98/2のCH
2Cl
2/MeOH)。最終生成物は白色固体の形態で得た(0.548g,19%)。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ 7.52(t,1H,
3J=7.7Hz),7.02(d,1H,
3J=7.9Hz),6.93(d,1H,
3J=7.5Hz),5.59(d,1H,
2J=16.2Hz),4.62(ddd,1H,
2J=13.9Hz,
3J=11.1Hz,
3J=2.5Hz),4.08(d,1H,
2J=16.6Hz),3.95(d,1H,
2J=17.3Hz),3.77(ddd,1H,
2J=13.9Hz,
3J=10.6Hz,
3J=4.52Hz),3.70(d,1H,
2J=17.3Hz),3.5(ddd,1H,
2J=12.4Hz,
3J=10.6Hz,
3J=4.5Hz),3.24(dt,1H,
2J=13.9Hz,
3J=4.4Hz),3.13(dt,1H,
2J=12.4Hz,
3J=4.1Hz),3.01(dt,1H,
2J=12.2Hz,
3J=3.2Hz),2.83(dt,1H,
2J=13.9Hz,
3J=3.0Hz),2.74(td,1H,
2J=11.7Hz,
3J=2.3Hz).
13C NMR(75.47MHz,CDCl
3):δ 162.96,161.23,159.10,153.42,136.83,120.58,119.44,55.40,52.53,47.89,47.66,44.61,44.20.
【0184】
ピクレンオキサラート中間体2”の合成:
下に示すように、「ピクレンオキサラート」中間体2”を得るために様々な試験を行った。
【0185】
【化29】
【0186】
【表4】
【0187】
「ピクレンオキサラート」中間体2”は、試験した様々な操作条件及びルートに従って得られることが観察される。特に、メタノールの存在下で90%を超える非常に高い収率が観察される。
【0188】
合成の継続:
【化30】
【0189】
ブロモ酢酸tert−ブチル(0.668g,3.42mmol)のアセトニトリル(100mL)溶液を、2”(0.890g,3.42mmol)及びK
2CO
3(1.42g,10.3mmol)のアセトニトリル(150mL)溶液に添加した。混合物を室温で24時間撹拌した。溶媒を留去し、残渣をジクロロメタンの中に溶解させ、次いで濾過し、濃縮した。望みの生成物を黄色オイルの形態で得た(1.25g)。これは、それ以上精製せずに次の工程で使用した。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ 7.28(t,1H,
3J=7.7Hz),6.8(d,1H,
3J=7.5Hz),6.63(d,1H,
3J=7.5Hz),5.26( d,1H,
2J=16.6Hz),4.08(m,1H),3.89(d,1H,
2J=16.6Hz),3.68(m,4H),3.0(m,4H),2.77(m,2H),2.52(m,1H),1.18(m,9H).
13C NMR(75.47MHz,CDCl
3):δ 170.65,162.42,159.73,158.43,153.60,136.48,119.67,119.11,80.37,61.08,56.45,52.59,52.07,46.64,46.07,44.76,27.61.
【0190】
化合物3”をMeOH(100mL)に溶解させ、濃硫酸(10mL)をゆっくり添加した。混合物を24時間還流させた。室温まで冷却した後、溶媒を留去した。20mLの水を添加し、K
2CO
3を用いてpHを7に調整した。水を留去し、残渣をジクロロメタンの中に溶解させた。硫酸マグネシウムを添加し、有機相を濾過し、その後濃縮した。粗生成物をアルミナカラム上でのクロマトグラフィーにより精製した(98/2〜95/5のCH
2Cl
2/MeOH)。化合物4”を白色固体の形態で得た(0.939g,99%(2”を出発物質とした計算値))。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ 7.52(t,1H,
3J=7.5Hz),6.96(m,2H),3.96(d,4H,
3J=9.8Hz),3.63(m,5H),3.28(m,2H),3.18(m,2H),2.86(dt,4H,
2J=11.3,
3J=5.7Hz).
13C NMR(75.47MHz,CDCl
3):δ 172.17,161.02,159.09,137.57,120.07,119.97,57.69,57.04,52.35,51.72,51.54,46.80,46.29,46.23.
【0191】
クロロメチル−2−ピリジンカルボン酸のメチルエステルを、K
2CO
3(1.8g,13.5mmol)の存在下で化合物4”(0.939g,3.38mmol)のアセトニトリル(150mL)溶液に添加した。混合物を室温で1週間撹拌し、その後濾過し、濃縮した。粗生成物をアルミナカラム上でのクロマトグラフィーにより精製(98/2のCH
2Cl
2/MeOH)することで、化合物5”を黄色オイルの形態で得た(0.822g,42%)。
【0192】
塩酸(20mL,6M)を化合物5”にゆっくり添加した。混合物を24時間還流させ、その後濃縮した。粗生成物を、C18HPLC(90/10〜5/95のH
2O 0.1%のHCl/アセトニトリル)を使用して精製した。配位子6”を無色オイルの形態で得た(0.310g,35%(3HClについての計算値))。
1H NMR(500MHz,D
2O):δ 7.98−7.87(m,5H),7.65(d,1H,
3J=7.3Hz),7.47(m,1H),7.43(d,1H,
3J=7.9Hz),7.31(d,1H,
3J=7.9Hz),4.78(s,2H),4.74(s,br,2H),4.54(s,2H),4.20(s,2H),3.78(s,br,2H),3.63(s,br,2H),3.55(s,2H),3.12(m,4H).
13C NMR(125.77MHz,D
2O):172.25,171.82,170.66,158.41,153.72,153.30,152.78,152.14,151.95,143.56,142.61,142.36,130.33,129.50,127.63,127.24,125.33,125.16,61.91,61.78,61.72,60.08,56.17,56.12,53.57,53.37.
【0193】
7)「シュウ酸エステル」ルートによる式(I)の配位子Pc2a1pa asym P04216の合成
【化31】
【0194】
6−クロロメチル−2−ピリジンカルボン酸のメチルエステル(711g,3.85mmol)を、K
2CO
3(1.5g,12mmol)の存在下で、化合物2”(1.0g,3.85mmol)のアセトニトリル(300mL)溶液に添加した。混合物を4日間還流させ、その後濾過し、濃縮した。粗生成物をアルミナカラム上でクロマトグラフィー(98/2のCH
2Cl
2/MeOH)により精製することで、化合物7”が黄色オイルの形態で得られた(1.56g,99%)。
【0195】
化合物7”(1.56g,3.81mmol)を、MeOH(40mL)の中に溶解させ、濃硫酸(1mL)をゆっくり添加した。混合物を24時間還流させた。室温まで冷却した後、溶媒を留去した。20mLの水を添加し、K
2CO
3を用いてpHを7に調整した。水を留去し、残渣をジクロロメタンの中に溶解させた。硫酸マグネシウムを添加し、有機相を濾過し、その後濃縮した。粗生成物をアルミナカラム上でのクロマトグラフィーにより精製(98/2〜95/5のCH
2Cl
2/MeOH)することで、化合物8”を黄色オイルの形態で得た(1.24g,92%)。
【0196】
ブロモ酢酸tert−ブチル(1.36g,6.98mmol)のアセトニトリル(150mL)溶液を、8”(1.24g,3.49mmol)及びK
2CO
3(1.93g,14mmol)のアセトニトリル(150mL)溶液に添加した。混合物を2日間還流させた。溶媒を留去し、残渣をジクロロメタンの中に溶解させ、濾過し、濃縮した。化合物9”を黄色オイルの形態で得た。これは、それ以上精製せずに次の工程で使用した。
【0197】
塩酸(20mL,6M)を化合物9”にゆっくり添加した。混合物を24時間還流させ、その後濃縮した。粗生成物をC18HPLC(90/10〜5/95のH
2O 0.1%のHCl/アセトニトリル)を使用して精製した。配位子10”を無色オイルの形態で得た。
【0198】
8)式(I)の配位子Pc3pa P04221の合成:
【化32】
【0199】
クロロメチル−2−ピリジンカルボン酸のメチルエステル(1.35g,7.28mmol)を、K
2CO
3(1g,7.28mmol)の存在下で化合物1”(0.50g,2.43mmol)のアセトニトリル(350mL)溶液に添加した。混合物を2日間還流させ、その後濾過し、濃縮した。粗生成物をアルミナカラム上でのクロマトグラフィーにより精製(98/2のCH
2Cl
2/MeOH)した。化合物11”を黄色オイルの形態で得た(862mg,54%)。
【0200】
塩酸(20mL,6M)を化合物11”(862mg,1.32mmol)に添加した。混合物を48時間還流させ、その後濃縮した。粗生成物をアセトンから析出させることにより精製した。化合物12”を塩酸塩の形態で得た(0.574g,57%(4HClについての計算値))。
1H NMR(300MHz,D
2O):δ 7.5−7.25(m,8H),7.12−7.09(m,2H),6.75(d,2H),4.17(s,4H),4.09(s,4H),3.86(s,2H),3.29(m,4H),2.83(m,4H).
13C NMR (75.47MHz,D
2O):δ 170.11,168.95,158.31,154.51,153.79,150.12,149.48,145.95,144.50,143.67,132.57,132.24,129.55,126.76,62.60,62.03,60.78,57.15,54.14.
【0201】
9−1)式(II)のピコリナートブロミド誘導体の合成
【化33】
【0202】
ケリダム酸一水和物1’’’(5g,24.9mmol)及び五臭化リン(34g,79.0mmol)を90℃に加熱した。液体混合物が得られた後、加熱を90℃で2時間継続した。混合物を氷で冷却した後、クロロホルム(100mL)及びMeOH(100mL)を添加した。溶液を室温で20時間混合し、pHを飽和NaHCO
3溶液で7に調整する。溶媒を留去し、ジクロロメタンを使用して水相を抽出した(3×100mL)。有機相をMgSO
4上で乾燥させ、濾過し、濃縮することで化合物2’’’を白色固体の形態で得た(6.43g,94%)。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ 8.42(s,2H),3.99(s,6H).
13C NMR (300MHz,CDCl
3):δ 164.02,149.12,135.13,131.33,53.52.
【0203】
化合物2’’’(6.43g,23.5mmol)をジクロロメタン(50mL)及びメタノール(70mL)の中に溶解させた。窒素下、NaBH
4(1.02g,28.2mmol)を0℃で混合物に少しずつ添加した。4時間撹拌した後、塩酸を添加してpHを5に調整した。溶媒を留去し、Na
2CO
3を用いて水相のpHを12に調整した。ジクロロメタンで水相を抽出(3×100mL)し、有機相をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。アルミナ上での精製の後、化合物3’’’を白色固体の形態で得た(3.92g,68%)。
1H NMR (300MHz,CDCl
3):δ 8.12(s,1H),7.76(s,1H),4.82(s,2H),3.95(s,3H).
13C NMR (300MHz,CDCl
3):δ 164.55,162.33,147.96,134.66,127.31,127.21,64.49,53.29.
【0204】
不活性雰囲気下、Pd(Ph
3)
2Cl
2(232mg,0.33mmol)及びCuI(124.2,0.65mmol)を、トリエチルアミン(10mL)中の1−ドデシン(651mg,3.92mmol)及び直前に蒸留したTHF中の3’’’(800mg,3.26mmol)の脱気した溶液に添加した。混合物を40℃で20時間撹拌した。室温まで冷却した後、懸濁液を濾過し、Et
2O(40mL)で粉砕した。濾液を飽和NH
4Cl溶液(2×50mL)及び食塩水(40mL)で洗浄した。最後に、有機相をMgSO
4上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。粗生成物をシリカゲル上で精製(7/3〜4/6のヘキサン/酢酸エチル)することで化合物4’’’を白色固体の形態で得た(727mg,67%)。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ 7.93(s,1H),7.48(s,1H),4.80(s,2H),3.95(s,3H),2.41(t,2H),1.58(m,2H),1.5−1.1(m,14H),0.85(t,3H).
13C NMR (300MHz,CDCl
3):δ 165.37,160.62,147.05,134.54,126.15,125.98,97.83,78.05,64.62,53.02,31.99,29.67,29.59,29.40,29.21,29.01,28.39,22.77,19.60,14.20.
【0205】
化合物4’’’(727mg,2.15mmol)をジクロロメタン(80mL)及びトリエチルアミン(653g,6.45mmol)の中に溶解させた。メシルクロリド(369mg,3.23mmol)を添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄し、次いでMgSO
4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。化合物5’’’が白色固体の形態で得られる(896mg,定量的収率)。
【0206】
9−2)式(I)の配位子Pc1a2pa asym C12 P04245の合成:
【化34】
【0207】
化合物5’’’(712mg,1.75mmol)のアセトニトリル(50mL)溶液を、K
2CO
3(361g,2.6mmol)の存在下、化合物4”(243mg,0.87mmol)の還流アセトニトリル(100mL)溶液に添加した。混合物を1週間還流させた。室温まで冷却した後、懸濁液を濾過し、溶媒を留去した。粗生成物をアルミナカラム上でのクロマトグラフィーにより精製することで化合物7’’’を黄色オイルの形態で得た。
【0208】
配位子Pc1a2pa asym C12 P04245の製造及び精製:鹸化工程
KOH溶液(5mL,1M)を、化合物7’’’(91mg,0.10mmol)のTHF(6mL)溶液に添加した。混合物を室温で5時間激しく撹拌した。有機相を留去し、次いで残渣を排除クロマトグラフィー(Sephadex LH20,100/0〜90/10のCH
2Cl
2/MeOH)により精製した。生成物8’’’を無色固体の形態で得た(48mg,56%)。
【0209】
10)類似体Pc1a2pa asym C8 P04330の合成:
10−1)C8ピコリナートブロミド誘導体の合成
【化35】
【0210】
不活性雰囲気下、Pd(Ph
3)
2Cl
2(246mg,0.35mmol)及びCuI(134,0.70mmol)を、トリエチルアミン(10mL)中の1−オクチン(464mg,4.21mmol)及び直前に蒸留したTHF(20mL)中の3’’’(863mg,3.51mmol)の脱気した溶液に添加した。混合物を40℃で20時間撹拌した。室温まで冷却した後、懸濁液を濾過し、Et
2O(40mL)で粉砕した。濾液を飽和NH
4Cl溶液(2×20mL)及び食塩水(20mL)で洗浄した。最後に、有機相をMgSO
4上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。粗生成物をシリカゲル上で精製(7/3〜4/6のヘキサン/酢酸エチル)することで化合物4’’’を白色固体の形態で得た(573mg,59%)。
1H NMR (300MHz,CDCl
3):δ 7.69(s,1H),7.39(s,1H),4.63(s,2H),3.74(s,3H),2.22(t,2H),1.40(m,2H),1.24(m,2H),1.35−1.15(m,4H),0.69(t,3H).
13C NMR (300MHz,CDCl
3):δ 164.88,161.27,146.43,133.96,125.53,125.35,97.05,77.74,64.26,52.45,30.96,28.25,27.94,22.18,19.12,13.66.
【0211】
化合物4’’’(573mg,2.08mmol)の無水CH
2Cl
2(50mL)溶液を、不活性雰囲気下で0℃に冷却した。PBr
3(676mg,2.5mmol)を添加し、次いで混合物を2時間還流させた。室温まで冷却した後、50mLの水とK
2CO
3とを用いて反応媒体をpH7まで中和した。有機相をMgSO
4上で乾燥させ、濾過し、次いで真空下で濃縮した。シリカゲル上での精製(9/1〜4/6のヘキサン/酢酸エチル)の後、生成物5’’’を白色固体の形態で得た(289mg,41%)。
1H NMR (300MHz,CDCl
3):δ 7.91(s,1H),7.54(s,1H),4.52(s,2H),3.93(s,3H),2.37(t,2H),1.54(m,2H),1.37(m,2H),1.3−1.2(m,4H),0.85(t,3H).
13C NMR (300MHz,CDCl
3):δ 165.00,157.39,147.63,134.85,128.82,126.58,98.23,77.60,53.04,32.80,31.25,28.55,28.18,22.48,19.48,14.01.
【0212】
10−2)配位子Pc1a2pa asym C8 P04330の合成
【化36】
【0213】
化合物5’’’’(289mg,0.85mmol)を、K
2CO
3(158mg,1.1mmol)の存在下で化合物4”(106mg,0.38mmol)の無水アセトニトリル(30mL)溶液に添加した。混合物を1週間還流させた。室温まで冷却後、懸濁液を濾過し、溶媒を留去した。粗生成物を最少量の酢酸エチルに溶解させ、次いで溶液が濁るまでペンタンを添加した。生成したオイルをペンタンで洗浄し、再度析出させた。化合物7’’’’を黄色オイルの形態で得た(155mg,51%)。
【0214】
KOH(2mL,1M)を、化合物7’’’’(55mL,0.069mmol)のTHF(5mL)溶液に添加した。混合物を室温で5時間、激しく撹拌した。有機相を留去し、次いで残渣を排除クロマトグラフィー(Sephadex LH20,100/0〜90/10のCH
2Cl
2/MeOH)により精製した。生成物8’’’’を無色固体の形態で得た(30mg,58%)。
【0215】
C−式(I)の化合物及び本発明の錯体の検討
C−1 イットリウム錯体の合成
1)錯体Y−Pc1a2pa symP04183の合成手順は下に記載されており、また一般式(I)の全ての配位子に適用可能である:
配位子P04213を超純水の中に溶解させ、1Mの水酸化ナトリウム溶液でpHを5に調整する。塩YCl
3・6H
2O(1.5当量)を超純水の中に溶解させる。撹拌しながら、イットリウム溶液を配位子溶液の中に添加する。pHを5に調整した後、溶液を一晩還流させる。その後、錯体を下のスキームに従ってC18(100/0〜10/90のH
2O/ACN)上でのHPLCにより精製する。
【0216】
【化37】
【0217】
2)イットリウム−90錯体、P04233の合成:
配位子P04214は、非放射性の天然のイットリウムを用いて得られる錯化の結果を確認するために、イットリウム90を用いた錯化反応で使用した。放射性標識化試験を行った。
【0218】
試験したパラメータは次の通りである。
【0219】
【表5】
【0220】
この概要の中で、P04214の標識化のための最適条件は、pH=6.5〜9の酢酸エステル媒体中のイットリウム−90、EtOH中で10
−4〜10
−2Mの配位子P04214;80℃で15分間である。得られる放射性標識化収率は>90%(P04233)である。
【0221】
3)イットリウム−90を用いた配位子P04295の標識化の手順及び結果、錯体P04283の製造:
試験したパラメータは次の通りである。
【0222】
【表6】
【0223】
最適な標識化条件は:
− 酢酸エステル媒体中のイットリウム−90;
− pH=4.65〜9;
− EtOH中で10
−3Mの配位子P04245;
− 50℃で15分間
である。
【0224】
4)錯体P04283のLipiodolでの抽出の手順及び結果、P04284の製造:
錯体P04283を含む溶液を、1mLの食塩水を用いて2mLにし、錯体を含む溶液に等量のLipiodol(2mL)を添加した。撹拌及び遠心分離の後、相を分離して計算する。Lipiodolへの抽出の収率は89.8±5.0%(n=3)である。
【0225】
5)ヒトの生理食塩水の中での安定性試験の手順及び結果:
放射性トレーサーP04284の合成手順
pH7の1mLの酢酸イットリウム−90を、10
−3mol/Lの濃度でエタノール中に溶解させた1mLの配位子P04245に添加して錯体P04283を形成する。溶液を90℃で30分間加熱する。2mLのLipiodolを添加し、混合物を激しく撹拌する。相を遠心分離によって分離させる(3500rpm,15分)。Lipiodolを主成分とする相を回収し、Lipiodolで2mLにすることで目的の放射性トレーサーP04284を得る。
【0226】
合成したばかりの1mLの放射性トレーサーを取り出し、次いで12mLの平底ガラスフラスコの中に入れる。アクティビメーター(activimeter)で活性を測定し、時間を記録する。10mLの0.9%食塩水溶液(生理的食塩水)を添加し、混合物を撹拌する。その後、30rpm(回転毎分)に設定されたスターラーを備えている37℃に設定したインキュベーターの中にフラスコを入れる。
【0227】
系は数日撹拌したままにする。水相から複数回試料採取して放出されたイットリウム−90を分析する。各試料は三重に採取する。
【0228】
結果は
図5に示されている。本発明により形成された及びLipiodolによりベクトル化された錯体は、生理的食塩水の中で安定である。
【0229】
C−2 ランタニド錯体の合成:
1)配位子P04218及びP04216並びに配位子P04213を用いたガドリニウムの錯化反応を、1当量のGdCl
3が存在するpH5〜6の水中で一晩還流して行う。
【0230】
【化38】
【0231】
残存している塩を取り除くために、分取用HPLCによって錯体の精製を行う。
【0232】
2)ガドリニウム錯体の緩和度の試験:
緩和度試験は、37℃の水中の配位子P04218、P04216、及びP04213のガドリニウム錯体について、Minispec Mq−20及びMinispec Mq−60装置(Brueker,Karlsruhe,Germany)上で20MHz(0.47T)及び60MHz(1.4T)で行った。
【0233】
上で合成した各錯体について、0.5から5mMにわたる濃度範囲[Gd]を調製し、次いでこれらの溶液それぞれの値T1及びT2を測定して、式1により緩和度の値r1及びr2を決定した。各配位子について、その相関係数が1と等しいか1に非常に近い傾向曲線が得られた。これにより、式1を確認し、行われた測定の質を確認することができた。プロットした曲線により、直線「ax+b」についての式の係数「a」に相当する緩和度の値「r」を決定することができる。
【0234】
【数3】
式1:緩和度の値r1及びr2を計算するための一般式
【0235】
【表7】
【0236】
観察された緩和度は、例えばDotarem(登録商標)などの臨床的に使用されているガドリニウム系造影剤で得られるものと同程度の大きさであることがわかる。
【0237】
3)競合媒体中でのGd錯体の安定性:
配位子P04218及びP04216のガドリニウム錯体が2.5mMで333mMのリン酸塩緩衝液中に入っている溶液に、2.5mMのZnCl
2溶液を添加する。これらの溶液の緩和度の値を一定の間隔で測定する。Zn溶液の存在下での時間の関数として所定の時間に測定された緩和度とt=0分のものとの間の関係は、
図6に示されている。本発明の錯体は経時的に安定である。
【0238】
4)錯体の合成及びキャラクタリゼーション
ランタニド錯体(Ln=Y
3+、Gd
3+、Eu
3+、Tb
3+、Yb
3+、Lu
3+)合成のための基本手順
【0239】
配位子を水に溶解させ、1MのKOH溶液でpHを5に調整し、その後金属塩化物(M=Y
3+、Gd
3+、Eu
3+、Tb
3+、Yb
3+、Lu
3+)の溶液を添加する(1.2当量)。混合物を一晩還流させ、得られた溶液を濃縮する。水/アセトニトリル混合物で溶出させるC−18でグラフト化されたシリカのカラム上での分取クロマトグラフィーにより錯体を精製する。
【0240】
【表8】
【0241】
[ML1(H
2O)]の合成
【化39】
【0242】
[YL1(H
2O)]
L1.3HCl(27.2mg,0.048mmol),YCl
3.6H
2O(25.0mg,0.082mmol)
収率:24.5mg,91%
ESI−HR−MS(ポジティブ,H
2O)m/z計算値[C
22H
25YN
5O
6]
+,544.0858;測定値544.0858[M+H]
+,計算値[C
22H
26YN
5O
6]
2+,272.5465;測定値272.5469[M+2H]
2+。
【0243】
[GdL1(H
2O)]
L1.3HCl(36.5mg,0.064mmol),GdCl
3.6H
2O(27.5mg,0.074mmol)
収率:39.8mg,98%
ESI−HR−MS(ポジティブ,H
2O)m/z計算値[C
22H
25GdN
5O
6]
+,613.1040;測定値613.1031[M+H]
+,計算値[C
22H
26GdN
5O
6]
2+,307.0557;測定値307.0560[M+2H]
2+。
【0244】
[EuL1(H
2O)]
L1.3HCl(22.0mg,0.039mmol),EuCl
3.6H
2O(17.1mg,0.047mmol)
収率:22.1mg,91%
ESI−HR−MS(ポジティブ,H
2O)m/z計算値[C
22H
25EuN
5O
6]
+,608.1012;測定値608.1004[M+H]
+,計算値[C
22H
26EuN
5O
6]
2+,304.5542;測定値304.5544[M+2H]
2+。
【0245】
[TbL1(H
2O)]
L1.3HCl(22.0mg,0.039mmol),TbCl
3.6H2O(17.4mg,0.047mmol)
収率:22.6mg,95%
ESI−HR−MS(ポジティブ,H
2O)m/z計算値[C
22H
25TbN
5O
6]
+,614.1053;測定値614.1048[M+H]
+,計算値[C
22H
26TbN
5O
6]
2+,307.5563;測定値307.5565[M+2H]
2+。
【0246】
[YbL1(H
2O)]
L1.3HCl(25.0mg,0.044mmol),YbCl
3.6H2O(20.5mg,0.053mmol)
収率:27.3mg,96%
ESI−HR−MS(ポジティブ,H
2O)m/z計算値[C
22H
25YbN
5O
6]
+,629.1188;測定値629.1187[M+H]
+,計算値[C
22H
26YbN
5O
6]
2+,315.0630;測定値315.0635[M+2H]
2+。
【0247】
[LuL1(H
2O)]
L1.3HCl(25.0mg,0.044mmol),LuCl
3.6H
2O(20.6mg,0.053mmol)
収率:26mg,91%
ESI−HR−MS(ポジティブ,H
2O)m/z計算値[C
22H
25LuN
5O
6]
+,630.1207;実測値630.1196[M+H]
+,計算値[C
22H
26LuN
5O
6]
2+,315.5640;実測値315.5641[M+2H]
2+。
【0248】
[ML2]の合成
【化40】
【0249】
[YL2]
L2.3HCl(100.0mg,0.155mmol),YCl
3.6H2O(89.0mg,0.293mmol)
収率:84.8mg,88%
ESI−HR−MS(ポジティブ,H
2O)m/z計算値[C
27H
28YN
6O
6]
+,621.1123;測定値621.1116[M+H]
+,計算値[C
27H
29YN
6O
6]
2+,311.0598;測定値311.0603[M+2H]
2+。
【0250】
[GdL2]
L2.3HCl(39.0mg,0.061mmol),GdCl
3.6H2O(27.0mg,0.073mmol)
収率:41.1mg,99%
ESI−HR−MS(ポジティブ,H
2O)m/z計算値[C
27H
28GdN
6O
6]
+,690.1306;測定値690.1313[M+H]
+,[C
27H
29GdN
6O
6]
2+についての計算値,345.5689;測定値345.5690[M+2H]
2+。
【0251】
[EuL2]
L2.3HCl(25.0mg,0.039mmol),EuCl
3.6H
2O(17.1mg,0.047mmol)
収率:25.3mg,96%
ESI−HR−MS(ポジティブ,H
2O)m/z計算値[C
27H
28EuN
6O
6]
+,685.1277;測定値685.1279[M+H]
+,計算値[C
27H
29EuN
6O
6]
2+,343.0675;測定値343.0680[M+2H]
2+。
【0252】
[TbL2]
L2.3HCl(20.0mg,0.031mmol),TbCl
3.6H
2O(13.9mg,0.037mmol)
収率:19.6mg,92%
ESI−HR−MS(ポジティブ,H
2O)m/z計算値[C
27H
28TbN
6O
6]
+,691.1318;測定値691.1314[M+H]
+,計算値[C
27H
29TbN
6O
6]
2+,346.0696;測定値346.0697[M+2H]
2+。
【0253】
[YbL2]
L2.3HCl(22.0mg,0.034mmol),YbCl
3.6H
2O(15.9mg,0.041mmol)
収率:22.1mg,92%
ESI−HR−MS(ポジティブ,H
2O)m/z計算値[C
27H
28YbN
6O
6]
+,706.1453;測定値706.1454[M+H]
+,計算値[C
27H
29YbN
6O
6]
2+,353.5763;測定値353.5764[M+2H]
2+。
【0254】
[LuL2]
L2.3HCl(22.0mg,0.034mmol),LuCl
3.6H
2O(16.0mg,0.041mmol)
収率:22.8mg,95%
ESI−HR−MS(ポジティブ,H
2O)m/z計算値[C
27H
28LuN
6O
6]
+,707.1473;測定値707.1476[M+H]
+,計算値[C
27H
29LuN
6O
6]
2+,354.0773;測定値354.0776[M+2H]
2+。
【0255】
[ML3(H
2O)]の合成
【化41】
【0256】
[YL3(H
2O)]
L3.3HCl(30.0mg,0.053mmol),YCl
3.6H
2O(24.0mg,0.079mmol)
収率:28.0mg,94%
ESI−HR−MS(ポジティブ,H
2O)m/z計算値[C
22H
25YN
5O
6]
+,544.0858;測定値544.0859[M+H]
+,計算値[C
22H
26YN
5O
6]
2+,272.5465;測定値272.5469[M+2H]
2+。
【0257】
[GdL3(H
2O)]
L3.3HCl(53.0mg,0.093mmol),GdCl
3.6H2O(41.3mg,0.111mmol)
収率:58.7mg,99%
ESI−HR−MS(ポジティブ,H
2O)m/z計算値[C
22H
25GdN
5O
6]
+,613.1040;測定値613.1030[M+H]
+,計算値[C
22H
26GdN
5O
6]
2+,307.0557;測定値307.0568[M+2H]
2+。
【0258】
[EuL3(H
2O)]
L3.3HCl(28.5mg,0.050mmol),EuCl
3.6H
2O(22.1mg,0.060mmol)
収率:29.0mg,92%
ESI−HR−MS(ポジティブ,H
2O)m/z計算値[C
22H
25EuN
5O
6]
+,608.1012;測定値608.1007[M+H]
+,計算値[C
22H
26EuN
5O
6]
2+,304.5542;測定値304.5544[M+2H]
2+。
【0259】
[TbL3(H
2O)]
L3.3HCl(24.0mg,0.042mmol),TbCl
3.6H2O(19.0mg,0.051mmol)
収率:23.2mg,89%
ESI−HR−MS(ポジティブ,H
2O)m/z計算値[C
22H
25TbN
5O
6]
+,614.1053;測定値614.1049[M+H]
+,計算値[C
22H
26TbN
5O
6]
2+,307.5563;測定値307.5563[M+2H]
2+。
【0260】
[YbL3(H
2O)]
L3.3HCl(25.0mg,0.044mmol),YbCl
3.6H2O(20.5mg,0.053mmol)
収率:27.8mg,98%
ESI−HR−MS(ポジティブ,H
2O)m/z計算値[C
22H
25YbN
5O
6]
+,629.1188;測定値629.1182[M+H]
+,計算値[C
22H
26YbN
5O
6]
2+,315.0630;測定値315.0634[M+2H]
2+。
【0261】
[LuL3(H
2O)]
L3.3HCl(28.0mg,0.049mmol),LuCl
3.6H
2O(23.1mg,0.059mmol)
収率:29mg,91%
ESI−HR−MS(ポジティブ,H
2O)m/z計算値[C
22H
25LuN
5O
6]
+,630.1207;測定値630.1204[M+H]
+,計算値[C22H26LuN5O6]
2+,315.5640;測定値315.5642[M+2H]
2+。
【0262】
[ML4(H
2O)]の合成
【化42】
【0263】
[YL4]
L4.3HCl(30.0mg,0.047mmol),YCl
3.6H
2O(24.0mg,0.079mmol)
収率:24.8mg,92%
ESI−HR−MS(ポジティブ,H
2O)m/z計算値[C
27H
28YN
6O
6]
+,621.1123;測定値621.1121[M+H]
+,計算値[C
27H
29YN
6O
6]
2+,311.0598;測定値311.0601[M+2H]
2+。
【0264】
[GdL4]
L4.3HCl(36.2mg,0.056mmol),GdCl
3.6H
2O(25.1mg,0.068mmol)
収率:38.1mg,98%
ESI−HR−MS(ポジティブ,H
2O)m/z計算値[C
27H
28GdN
6O
6]
+,690.1306;測定値690.1321[M+H]
+,計算値[C
27H
29GdN
6O
6]
2+,345.5698;測定値345.5690[M+2H]
2+。
【0265】
[EuL4]
L4.3HCl(23.5mg,0.036mmol),EuCl
3.6H
2O(16.0mg,0.044mmol)
収率:21.8mg,87%
ESI−HR−MS(ポジティブ,H
2O)m/z計算値[C
27H
28EuN
6O
6]
+,685.1277;測定値685.1277[M+H]
+,計算値[C
27H
29EuN
6O
6]
2+,343.0675;測定値343.0680[M+2H]
2+。
【0266】
[TbL4]
L4.3HCl(24.0mg,0.037mmol),TbCl
3.6H
2O(16.4mg,0.044mmol)
収率:25.3mg,98%
ESI−HR−MS(ポジティブ,H
2O)m/z計算値[C
27H
28TbN
6O
6]
+,691.1318;測定値691.1316[M+H]
+,計算値[C
27H
29TbN
6O
6]
2+,346.0696;測定値346.0699[M+2H]
2+。
【0267】
[YbL4]
L4.3HCl(30.0mg,0.047mmol),YbCl
3.6H
2O(21.7mg,0.056mmol)
収率:30.4mg,93%
ESI−HR−MS(ポジティブ,H
2O)m/z計算値[C
27H
28YbN
6O
6]
+,706.1453;測定値706.1454[M+H]
+,計算値[C
27H
29YbN
6O
6]
2+,353.5763;測定値353.5768[M+2H]
2+。
【0268】
[LuL4]
L4.3HCl(30.0mg,0.047mmol),LuCl
3.6H
2O(21.8mg,0.056mmol)
収率:30.4mg,92%
ESI−HR−MS(ポジティブ,H
2O)m/z計算値[C
27H
28LuN
6O
6]
+,707.1473;測定値707.1470[M+H]
+,計算値[C
27H
29LuN
6O
6]
2+,354.0773;測定値354.0776[M+2H]
2+。
【0269】
C−3 溶液中での検討
1)核磁気共鳴による検討
例として、配位子P04213及びそのイットリウム錯体P04183のD
2O中で記録した
1H NMRスペクトルが
図1中に示されている。配位子のスペクトルと比較して、金属カチオンが存在すると非対称性が生じ、その結果シグナルの数が多くなる(
図1参照)。
【0270】
2)UV−可視分光法による検討
配位子及びそのイットリウム錯体の吸収スペクトルを、pH3.8及び5.5の水(酢酸塩緩衝液)の中で記録した。ピリジンのπ−π
*遷移に対応する吸収帯は配位子及び錯体について、240nmから300nmまで延びている(
図2参照)。
【0271】
C−4 錯化の反応速度
イットリウムを有する配位子Pc1a2pa sym P04213、Pc1a2pa asym P04214、及びPc2a1pa sym P04218の錯化反応速度を、酢酸塩緩衝液媒体の中で、UV−可視分光法によりpH3.8及びpH5.5で調べた。錯体の吸収が最大の位置で、最大吸光度に到達するまで吸収強度の増加を2秒毎に測定する。配位子の吸収が最大の場所での吸収強度の減少は、錯体の吸収帯が配位子の吸収帯により覆われるときに観察される。この検討のための配位子Pc1a2pa sym及びPc1a2pa asymの濃度は4×10
−5Mであり、配位子Pc2a1pa symについては8×10
−5Mである。pH5.5及び3.8では、配位子Pc1a2pa symが最も速い錯化速度を有しており、それぞれ30秒及び400秒で完全に錯化する。配位子Pc1a2pa asym及びPc2a1pa symについては、pH3.8では1100秒で、pH5.5では100秒で、錯化が完了する。
【0272】
このように、検討した条件では全ての配位子で錯化が速い(
図3参照)。
【0273】
C−5 競合媒体中での速度論的安定性
濃い酸性媒体中での錯体の解離反応速度により、高度に競合する媒体中での錯体の挙動を決定することができる。脱錯化速度は、0.5、1、2、4、及び5MのHCl媒体中で、錯体Y−Pc1a2pa sym P04183、Y−Pc1a2pa asym P04215、及びY−Pc2a1pa sym P04219について、C
YL=4×10
−5Mで、UV−可視スペクトルによりモニタリングする。錯体の吸収帯は、より短い波長の配位子の吸収帯が現れるより若干早く消失する。時間の関数としての配位子の吸収最大での吸光度の強度の増加(A=f(t))のプロットにより、半減期t
1/2を決定することができる。様々な錯体のt
1/2の値が下の表に記載されている。錯体は、最も不活性から最も活性まで次のように分類することができる:Y−Pc1a2pa asym>>Y−Pc1a2pa sym>Y−PCTA>Y−PCTMB>Y−Pc2a1pa sym。ピクレン大環状分子上の2つのピコリナートアームの存在は、酸性媒体中のイットリウム錯体の安定性を増加させる。更に、錯体Y−Pc1a2pa asymの安定性は、そのそれぞれの対称の類似体よりも大きく、それぞれ、5MのHCl媒体中で8.5分に対して433分のt
1/2である。
【0274】
【表9】
【0275】
C−6 電位差測定法による熱力学的安定性の検討
1)配位子のプロトン化定数
配位子Pc1a2pa sym P04213、Pc1a2pa asym P04214、Pc2a1pa sym P04216、及びPc3pa P04221について、4つのプロトン化定数を決定した。これらの値はPCTMB(ホスホン酸,P,P’,P’’−[3,6,9,15−テトラアザビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(15),11,13−トリエン−3,6,9−トリイルトリス(メチレン)]トリス−,P,P’,P’’−トリブチルエステル)について決定したものとほぼ一致しており、文献中のもの、特にはPCTA(3,6,9,15−テトラアザビシクロ[9.3.1]ペンタデカ−1(15),11,13−トリエン−3,6,9−三酢酸)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、及びDOTA(1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸)のものともほぼ一致している。
【0276】
【表10】
【0277】
誘導体Pc3pa P04221については、得られた値は次の通りである。
【0278】
【表11】
【0279】
2)錯体の安定度定数
錯体の熱力学的プロトン化定数及び安定度定数は、イオン強度を制御ながら(I=0.1MのKNO
3)25℃で電位差測定法により決定した。HyperQuadソフトウェアでの滴定曲線の精緻化により、全体の定数(logβ)を決定することができ、これから部分定数(logk)が計算される。
【0280】
イットリウムを有する配位子Pc1a2pa sym P04213、Pc1a2pa asym P04214、並びにPc2a1pa sym P04218、及びP04221の安定度定数は、直接電位差滴定法により決定した。配位子Pc1a2pa sym、Pc1a2pa asym、及びPc2a1pa symについてのlog K
YL定数の値は、それぞれ19.78、19.49、及び19.28であり、log K
YLH−1定数の値は、11.84、11.79、及び10.60である。
【0281】
【表12】
【0282】
【表13】
【0283】
これらの安定度定数はそのまま比較することができない。配位子の塩基性を考慮する必要がある。この目的のために、定数pM=−log[M]を使用する。これは、pH7.4でのCL=10×CM=10
−5Mを用いて、配位子のプロトン化定数と錯体の安定度定数から計算される。配位子Pc1a2pa asym P04214は17.3のp(Y)を有しており、これはPCTA(p(Y)=17.0)、Pc1a2pa sym P04213(p(Y)=16.8)、及びPc2a1pa sym P04218(p(Y)=16.9)よりも大きい。そうではあるものの、最も大きいp(Y)は18.8の値であるDOTAのままである。
【0284】
【表14】
【0285】
Pc3pa P04222については、計算されるpMは14.7である。
【0286】
イットリウム錯体の熱力学的安定度定数からプロットされたスペシエ―ションダイアグラムから、錯体がpH7.4を含む幅広いpH範囲にわたってYLの形態で排他的に存在することが示唆される。
【0287】
参考文献
1 Aime,S.;Botta,M.;Geninatti Crich,S.;Giovenzana,G.B.;Jommi,G.;Pagliarin,R.;Sisti,M.Inorg.Chem.1997,36,2992−3000.
2 Delgado,R.;Figueira,C.;Quintino,S.Talanta 1997,45,451.
3 Tircso,G.;Kovacs,Z.;Dean Sherry,A.Inorg.Chem.2006,45,9269.
4 Chaves,S.;Delgado,R.;Frausto da Silva,J.J.R.Talanta 1992,39,249.
5 Kumar,K.;Chang C.A.;Francesconi,L.C.;Dischino,D.D.;Malley,M.F.;Gougoutas,J.Z.;Tweedle,M.F.Inorg.Chem.1994,33,3567.
6 Delgado,R.;Frausto da Silva,J.J.R.Talanta 1982,29,815.
7 Cox,J.P.L.;Jankowski,K.J.;Kataky,R.;Parker,D.;Beeley,N.R.A.;Boyce,B.A.;Eaton,M.A.W.;Millar,K.;Millican,A.T.;Harrison,A.;Walkerc,C.J.Chem.Soc.Chem.Commun.1989,797.
【0288】
C−7 固体状態の観察
イットリウム錯体P04183は水の中で結晶化する。X線回折により得られる構造が下に示されている。金属は、大環状分子の4個の窒素原子、ピコリナートアームの2個の窒素原子、及びカルボン酸の3個の酸素原子に配位している。金属の配位圏はN6O3、すなわち9個の配位原子である。ピコリナート及びアセタートのアームの配向由来のヘリシティーΔ及びΛが共に存在し、そのため錯体はラセミ混合物として結晶化する。