(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記二枚の生地のうち一方の生地における少なくとも前記マスク収容部に対応する位置には、前記マスク収容部に対してマスクを出し入れするための開口部が設けられており、
前記開口部は、前記本体部の長手方向に沿って延びる所定幅のスリット状の部分である
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のマスク用洗濯ネット。
【背景技術】
【0002】
従来から花粉・ホコリなどの微粒子が体内に侵入することを防ぐためにマスクを着用する人は多かったが、昨今、コロナウィルスなどのウイルス感染症予防のために殆どの人が日常的にマスクを着用するようになっている。しかしながら、マスクの価格が高騰して容易に手に入らないことなどもあり、本来は使い捨てである不織布製のマスクを洗濯して再利用するケースが増えている。また、繰り返しの使用が可能なガーゼなど布製のマスクの需要も増えている。このような状況では、マスクを毎日洗濯することが必要となる。
【0003】
一般にマスクの洗濯は手洗いで行われており、通常推奨されているマスクの洗い方は、たらいに中性洗剤を溶かし入れ、そこにマスクを静かに入れて押し洗いとすすぎを繰り返し、洗った後にタオルに挟んで粗水を取ってから形を整えて干すようにする。しかしながら、特に女性が使用したマスクは化粧品などが付着している場合があり、このようなマスクに付着した化粧品は除去するのに手間がかかる。そのため、手洗いでは、毎日のマスクの洗濯に手間や時間が掛かってしまうため、マスクを洗濯機で洗うことができるようにすることが求められている。
【0004】
この点に関して、従来、例えば特許文献1,2に示すように、下着や小物衣類などの洗濯物を入れて洗濯機で洗濯するための洗濯ネットがある。この種の洗濯ネットに収容された洗濯物は、洗濯機の洗濯槽に入れられて他の洗濯物と一緒にあるいは単独で洗濯される。ところが、布製のマスクや不織布製の使い捨てマスクを従来の洗濯ネットに入れて洗濯機で洗濯すると、洗濯ネット内でマスクが動き回ったり捩れて引っ張られたりすることで、マスクに型くずれや生地の毛羽立ちが生じるおそれが高い。
【0005】
しかしながら、従来、布製のマスクや不織布製の使い捨てマスクに型くずれやしわや生地の痛みが生じることを極力防止しながら洗濯機による洗濯を簡単に行うことができるマスク用洗濯ネットは無かった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、布製のマスクや不織布製の使い捨てマスクの洗濯機での洗濯に適したマスク用洗濯ネットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るマスク用洗濯ネットは、第一の態様として、二枚の網目状の生地(11,12)を重ねてそれらの外周を縫合して形成された本体部(10)と、多数の合成樹脂製の筒状のストローチップ(51)を有する基材(50)と、前記本体部(10)の一部に設けられて、前記二枚の生地(11,12)の間に形成されて前記基材(50)を収容するための袋状の部分からなる基材収容部(20)と、前記本体部(10)の他の一部に設けられて、前記二枚の生地(11,12)の間に形成されて洗濯対象のマスク(100)を収容するための袋状の部分からなるマスク収容部(30,40)と、前記本体部(10)における前記基材収容部(20)の外面と前記マスク収容部(30,40)の外面とに設けられて、前記マスク収容部(30,40)を前記基材収容部(20)の外面に固定するための固定具(2,3)と、を備え、前記マスク収容部(30,40)を前記基材収容部(20)の外面に巻き付けて前記固定具(2,3)で固定するように構成したことを特徴とする。
【0009】
本発明にかかるマスク用洗濯ネットによれば、多数のストローチップを有する基材を収容した基材収容部の外面に、洗濯対象のマスクを収容したマスク収容部を固定具で固定するように構成したことで、マスクの型崩れを防止でき、かつ生地を極力傷めずに、マスクを洗濯機で洗うことができる。また、マスクを収容した状態での洗濯機による洗濯だけでなく、物干しハンガーによる乾燥も行うことが可能となるので、マスクを洗濯して乾燥させるまでの作業を非常に簡単かつ効率的に行うことができる。
【0010】
すなわち、このマスク用洗濯ネットによれば、本体部は、網目状の生地を二枚重ねた構成であり、かつ、基材もストローチップを網目状の生地からなるカバーに収容してなる構成なので、洗濯機による洗濯で、マスクに付着した汚れを簡単に落とすことができ、マスクを綺麗に洗い上げることが可能となる。これにより、日常において手軽に清潔なマスクを使い続けることができるようになるので、健康の維持にも役立つ効果がある。
【0011】
また、このマスク用洗濯ネットによれば、マスクを洗濯機で他の洗濯物と一緒に洗うことができるので、日常の洗濯の際にマスクを手軽に洗うことができ、家事の負担を大幅に軽減させることができる。また、不織布製の使い捨てマスクも洗濯機で簡単に洗って再利用ができるようになるので、マスクの購入費用を抑えることができる。
【0012】
また、このマスク用洗濯ネットでは、前記本体部(10)は、横長の略長方形状であり、前記基材収容部(20)と複数の前記マスク収容部(30,40)とは、前記二枚の生地(11,12)を縫合してなる縫合線(14)で仕切られた部分であって、それらは前記本体部(10)の長手方向に沿って並べて配置されていてもよい。
【0013】
この構成によれば、簡単な構成のマスク用洗濯ネットでありながら、複数枚のマスクを同時に洗濯機で洗濯できるので、マスクを洗濯する際の効率をさらに向上させることができる。また、複数枚のマスクを同時に洗濯しても、マスクに型崩れや生地の傷み(毛羽立ちなど)が生じることを効果的に回避できるようになる。
【0014】
また、このマスク用洗濯ネットでは、前記基材(50)は、前記多数のストローチップ(51)を網目状の生地からなるカバー(52)に詰めてなるものであり、前記基材収容部(20)は、前記基材(50)を出し入れすることが可能であってもよい。
【0015】
マスク用洗濯ネットの使用を続けると基材が劣化する可能性があるところ、この構成によれば、マスク用洗濯ネットに対して基材を着脱可能にしたことで、基材が劣化した場合には交換することができる。したがって、マスク用洗濯ネットの耐久性を向上させることができるので、長期間に渡っての使用が可能となる。
【0016】
また、本発明に係るマスク用洗濯ネットは、第二の態様として、二枚の網目状の生地(11,12)を重ねてそれらの外周を縫合して形成された本体部(10−2)と、多数の合成樹脂製の筒状のストローチップ(51)をカバー(52)に収容してなる基材(50−2)と、前記本体部(10−2)に設けられて、前記二枚の生地(11,12)の間に形成されて洗濯対象のマスク(100)を収容するための袋状の部分からなるマスク収容部(30,40)と、前記カバー(52)の外面と前記本体部(10−2)の外面とに設けられて、前記本体部(10−2)を前記基材(50−2)の外面に固定するための固定具(2−2,3−2)と、を備え、前記本体部(10−2)の前記マスク収容部(30,40)を前記基材(50−2)の外面に巻き付けて前記固定具(2−2,3−2)で固定するように構成したことを特徴とする。
【0017】
本発明にかかる第二の態様のマスク用洗濯ネットによれば、基材における多数のストローチップを収容してなる網目状の生地からなるカバーの外面に、洗濯対象のマスクを収容したマスク収容部を固定具で固定するように構成したことで、先に示した第一の態様のマスク用洗濯ネットと同様に、マスクの型崩れを防止でき、かつ生地を極力傷めずに、マスクを洗濯機で洗うことができる。また、マスクを収容した状態での洗濯機による洗濯だけでなく、脱水機による脱水、物干しハンガーによる乾燥、又は乾燥機による乾燥なども行うことが可能となるので、マスクを洗濯して乾燥させるまでの作業を非常に簡単かつ効率的に行うことができる。
【0018】
また、この第二の態様のマスク用洗濯ネットでは、前記本体部(10−2)は、横長の略長方形状であり、複数の前記マスク収容部(30,40)とは、前記二枚の生地(11,12)を縫合してなる縫合線(14)で仕切られた部分であって、それらは前記本体部(10−2)の長手方向に沿って並べて配置されていてもよい。
【0019】
この構成によれば、簡単な構成のマスク用洗濯ネットでありながら、複数枚のマスクを同時に洗濯機で洗濯できるので、マスクを洗濯する際の効率をさらに向上させることができる。また、複数枚のマスクを同時に洗濯しても、マスクに型崩れや生地の傷み(毛羽立ちなど)が生じることを効果的に回避できるようになる。
【0020】
また、この第二の態様のマスク用洗濯ネットでは、前記基材(50−2)の縦方向の寸法は、前記本体部(10−2)の縦方向の寸法よりも大きな寸法であることが望ましい。
【0021】
この構成によれば、基材の縦方向の寸法が本体部の縦方向の寸法よりも大きな寸法であることで、本体部のマスク収容部及び該マスク収容部に収容されたマスクが基材の胴体部分(縦方向における上端部及び下端部を除く中間部分)に巻き付けられた状態で固定されるようになる。これにより、洗濯中にマスク収容部及び該マスク収容部に収容されたマスクの端辺(縦方向の両端辺)が基材の表面にしっかりと貼り付いた状態を維持して洗濯できるので、マスクの端辺によれやしわなどが生じることを効果的に防止でき、マスクを極力劣化させずに洗い上げることができる。したがって、繰り返しの洗濯でもマスクに型くずれやしわや生地の痛みなどが生じることを極力防止することができる。
【0022】
また、前記構成を備えた本発明のマスク用洗濯ネットでは、前記二枚の生地(11,12)のうち一方の生地(12)における少なくとも前記マスク収容部(30,40)に対応する位置には、前記マスク収容部(30,40)に対してマスク(100)を出し入れするための開口部(31,41)が設けられており、前記開口部(31,41)は、前記本体部(10,10−2)の長手方向に沿って延びる所定幅のスリット状の部分であってもよい。またこの場合、前記マスク収容部(30,40)における前記開口部(31,41)の一方側(後述する実施形態における上側)の部分と他方側(後述する実施形態における下側)の部分の比が約2:1になるように前記開口部(31,41)が配置されているとよい。
【0023】
この構成によれば、マスク収容部の開口部を所定幅のスリット状の部分としたことで、マスク収容部に対してマスクを出し入れする作業が行い易くなるので、マスクを洗濯する作業の負担をさらに軽減することができる。特に、マスク収容部における開口部の一方側の部分と他方側の部分の比が約2:1になるように開口部を配置したことで、マスクを収容する際、マスク収容部の一方側にマスクを入れてから他方側に入れることなどによって、マスク収容部に対するマスクの出し入れが行い易くなる。
【0024】
また、本発明のマスク用洗濯ネットでは、前記マスク収容部(30,40)における前記二枚の生地(11,12)のうち前記開口部(31,41)を設けた側の生地(12)の内面側には、ポリプロピレン製の不織布からなる滑り防止布(13)が取り付けられていてもよい。
【0025】
この構成によれば、マスク収容部の生地の内面側に取り付けたポリプロピレン製の不織布からなる滑り防止布が、マスク収容部に収容されたマスクの滑り止めとしての機能を発揮することで、マスクを洗濯機で洗濯する際に、マスク収容部内のマスクがずれたりしわになったりすることを効果的に防止できる。このことによっても、マスクの型崩れを防止でき、かつ生地を極力傷めずに済む。
【0026】
また、本発明のマスク用洗濯ネットでは、前記固定具(2,3)は、面ファスナーであってよい。
【0027】
この構成によれば、基材収容部の外面に巻き付けたマスク収容部を面ファスナーで簡単かつ確実に固定することができるので、マスク用洗濯ネットの使い勝手を更に向上させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明にかかるマスク用洗濯ネットによれば、洗濯機による洗濯で布製のマスクや不織布製の使い捨てマスクを簡単かつ綺麗に洗うことを可能としながらも、マスクに型くずれやしわや生地の痛みなどが生じることを極力防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
〔第一実施形態〕
図1及び
図2は、本発明の第一実施形態にかかるマスク用洗濯ネットの本体部を示す図で、
図1は、本体部を表面(外面)側から見た図、
図2は、本体部を裏面(内面)側から見た図である。また、
図3(a)は、
図2のA−A矢視断面図、
図3(b)は、
図2のB−B矢視断面図である。
図4は、マスク用洗濯ネットの本体部及び基材を示す図である。なお、以下の説明で上又は下あるいは左又は右というときは、
図1又は
図2に示す向きでの上又は下あるいは左又は右を指すものとする。
【0031】
これらの図に示すように、本実施形態のマスク用洗濯ネット1は、網目状(メッシュ状)の二枚の生地11,12を表面側と裏面側で二枚重ねてそれらの外周を縫合して形成された本体部10と、多数の合成繊維製の筒状のストローチップ51を網目状の生地からなるカバー52に収容してなる基材50(
図4参照)とを備えている。
【0032】
本体部10は、横長の略長方形状であり、その長手方向の一端(
図2の左端)には、二枚の生地11,12の間に形成された基材50を収容するための袋状の部分からなる基材収容部20が設けられており、長手方向における基材収容部20の隣(
図2の右隣)の位置には、二枚の生地11,12の間に形成された洗濯対象のマスク100(
図4参照)を収容するための袋状の部分からなるマスク収容部30,40が二つ並べて形成されている。すなわち、本体部10の基材収容部20と二つのマスク収容部30,40とは、表面側と裏面側の二枚の布地11,12を縫合してなる縫合線14で仕切られた部分であって、それらは本体部10の長手方向に沿って並べて配置されている。
【0033】
本体部10を構成する二枚の生地11,12は、ポリエステルなど合成繊維製の網目状の生地である。また、これら二枚の生地11,12はそれらの外周縁同士が縫合されている。また、二枚の生地11,12の外周縁には、帯状(テープ状)の補強布15が縫い止められている。この補強布15によって、二枚の生地11,12の形状を安定させることができる。二枚の生地11,12が網目状の生地なので、そのままでは十分な張りがなく、洗濯機による繰り返しの使用で型崩れが生じるおそれがあるところ、外周縁の補強布15で補整することができ、長期に渡って形状の維持が可能となる。
【0034】
また、
図2に示すように、本体部10の裏面側を構成する生地12は、上下方向で二枚に分割されており、それらの間は上下方向で所定幅のスリット状の隙間16になっている。これにより、本体部10の基材収容部20に対応する位置には、基材収容部20に対して基材50を出し入れするための開口部21が設けられている。また、本体部10のマスク収容部30,40それぞれに対応する位置には、マスク収容部30,40に対してマスク100を出し入れするための開口部31,41が設けられている。これら開口部21,31,41は、本体部10の長手方向に沿って延びる所定幅のスリット状の部分である。また、生地12における開口部21,31,41(隙間16)の縁には、帯状の補強布17が縫い付けられており、これにより開口部21,31,41の縁の強度が確保されている。
【0035】
また、本実施形態では、
図2に示すように、マスク収容部30,40におけるスリット状の開口部31,41の上側の部分C1と下側の部分C2の比が約2:1となるように開口部31,41が配置されている。また、スリット状の開口部31,41の幅(上下の幅)は、一例として約2センチメートル程度の寸法にするとよい。このように、マスク収容部30,40の開口部31,41を所定幅のスリット状の部分としたことで、マスク収容部30,40に対してマスク100を出し入れする作業が行い易くなるので、マスク100を洗濯する際の作業の負担をさらに軽減することができる。特に、スリット状の開口部31,41の上側の部分と下側の部分の比が約2:1になるように開口部31,41を配置したことで、上側の部分と下側の部分を均等にする場合よりも、マスク収容部30,40に対するマスク100の出し入れが行い易くなる。
【0036】
基材収容部20に収容される基材50は、
図4に示すように、多数のポリプロピレンなど合成樹脂製の筒状のストローチップ(パイプ部材)51を網目状の生地からなるカバー52に詰め込んだものである。この基材50は、多数のストローチップ51が封筒形又は筒形状のカバー52に詰め込まれていることで枕状に膨らんだ形状となっており、マスク収容部30,40(及び洗濯用のマスク100)をその周囲(外面)に巻き付けて固定するための土台としての役割を有するものである。
【0037】
基材50の中身である合成樹脂製のストローチップ51は、水はけが良く、乾きやすく、軽量である。また、耐久性が高く水洗が可能である。基材50の中身にこれらの特性を有するストローチップ51を使用することで、基材50が撥水性に優れたものとなるので、洗濯機による洗濯の際の取扱性、及びマスク100の洗濯性能が向上する。仮に、基材50の中身をポリウレタン素材や綿類など吸水性の良い材料で構成すると、水分を含んだ基材50が壁のように作用することで、洗濯の際にマスク100を十分に濯ぐことができないおそれがある。また、基材50が水を多く含むとマスク用洗濯ネット1の重量が重くなるため、洗濯機の内胴に偏りができてしまい、洗濯機に負荷がかかることで故障の原因にもなる。このような理由からマスク用洗濯ネット1の基材50としては、網目状のカバー52に多数のストローチップ51を詰めた構成のものが最適である。また、洗濯機による繰り返しの洗濯で基材50が劣化することを極力防止するため、ストローチップ51には、比較的硬質の材料からなるものを用いることが望ましい。
【0038】
なお、マスク用洗濯ネット1は、通常の使用時には、基材収容部20に基材50を収容した状態となっている。基材50は、繰り返しの使用でストローチップ51やカバー52に劣化が生じた場合など、交換が必要なときにのみ基材収容部20から取り出すようにする(
図4参照)。
【0039】
また、本体部10におけるマスク収容部30,40の外面と基材収容部20の外面には、マスク収容部30,40を基材収容部20の外面に巻き付けた状態で固定するための面ファスナー2(2a,2b),3(3a,3b)が設けられている。図示するマスク用洗濯ネット1では、二組の面ファスナー2,3が設けられており、一方の組の面ファスナー2は、基材収容部20の裏面の左縁(
図2の左縁)に沿う位置に設けられた一方の部材(メス部材又はオス部材)2aと、一方のマスク収容部30の裏面の右縁(
図2の右縁)に沿う位置に設けられた他方の部材(オス部材又はメス部材)2bとで構成されている。また、他方の組の面ファスナー3は、基材収容部20の表面の右縁(
図1の右縁)に沿う位置に設けられた一方の部材(メス部材又はオス部材)3aと、他方のマスク収容部40の裏面の右縁(
図2の右縁)に沿う位置に設けられた他方の部材(オス部材又はメス部材)3bとで構成されている。後述するように、基材収容部20の外面にマスク収容部30,40を巻き付ける際に、面ファスナー2の部材2aが部材2bに接合されることで、マスク収容部30が基材収容部20の外面(裏面側)に取り付けられる。また、面ファスナー3の部材3aが部材3bに接合されることで、マスク収容部40が基材収容部20の外面(表面側)に取り付けられる。このように、本実施形態のマスク用洗濯ネット1では、基材50を収容した基材収容部20の外面に巻き付けた洗濯対象のマスク100を収容したマスク収容部30,40を面ファスナー2,3で固定する構成となっている。
【0040】
また、このマスク用洗濯ネット1では、
図3に示すように、マスク収容部30,40の裏側の生地12の内面には、マスク収容部30,40に収容したマスク100の位置ずれを防止するための滑り防止布13が取り付けられている。滑り防止布13は、ポリプロピレン製の不織布からなり、表側の生地11と裏側の生地12との間に挟まれて縫い付けられている。ポリプロピレンは耐薬品性が良く、耐摩擦性に優れている。また、吸湿性が無いため、余分な水分を含むことが無く、マスク用洗濯ネット1の吸水による重量増を防止できるので、洗濯機に余計な負荷を掛けずに済むという利点がある。なお、滑り防止布13を取り付ける位置は、マスク収容部30,40の開口部31,41がある側の生地(裏側の生地)12の内面のみである。仮に、他方の生地(外側の生地)11の内面に取り付けたり、マスク収容部30,40の内側の両面に取り付けたりすると、化粧品などの汚れを落とすための洗剤をマスク用洗濯ネット1の上から塗布したときに洗剤が浸透するのを阻害してしまうため、外側の生地11の裏面には滑り防止布13は取り付けていない。
【0041】
次に、上記構成のマスク用洗濯ネット1を用いてマスク100を洗濯する際の手順を説明する。
【0042】
まず、
図4に示すように、開口部31,41からマスク収容部30,40にマスク100を入れることで、マスク用洗濯ネット1に汚れた(洗濯前の)マスク100をセットする。このとき、マスク100がしわにならないように伸ばして入れる。また、マスク100の汚れている側をマスク用洗濯ネット1の表面10a側に向けて入れる。
【0043】
図5及び
図6は、マスク用洗濯ネットのマスク収容部を基材収容部の外面に巻き付けて固定する手順を示す図である。次に、これらの図に示すように、マスク用洗濯ネット1の表面1aを外側にしてマスク収容部30,40を基材収容部20の外面に巻き付けて面ファスナー2、3で固定する。このとき、
図5に示すように、面ファスナー2の部材2aを部材2bに接合する(貼り合わせる)ことで、マスク収容部30を基材収容部20の外面(裏面10b側)に固定する(貼り付ける)。同様に、
図6に示すように、面ファスナー3の部材3aを部材3bに接合する(貼り合わせる)ことで、マスク収容部40を基材収容部20の外面(表面10a側)に固定する(貼り付ける)。これらにより、基材収容部20の外面、すなわち表面側と裏面側のそれぞれにマスク収容部30,40が貼り付けられた状態で固定される。このように、本実施形態のマスク用洗濯ネット1では、基材収容部20の外面に巻き付けたマスク収容部30,40を面ファスナー2,3で固定する。
【0044】
この状態で、マスク用洗濯ネット1を洗濯機の洗濯槽に投入して洗濯する。この際、他の洗濯物と一緒に洗濯してもよいし、単独で洗濯してもよい。なお、マスク100の汚れがひどい場合には、マスク用洗濯ネット1を洗濯槽に投入する前に、汚れている部分にマスク用洗濯ネット1の上から液体洗剤などの洗剤を塗布する。このとき、マスク用洗濯ネット1の外面1aの側(マスク収容部30,40の外面)からマスク100の汚れている部分に向けて直接洗剤を塗布するようにする。
【0045】
マスク収容部30,40をしっかりとピンと張った状態で面ファスナー2,3を止めていれば、マスク収容部30,40内でマスク100が動かないので、マスク100が洗濯中によれたりしわになったりすることがない。また、マスク用洗濯ネット1の本体部10の生地11,12が撥水性の良い網目状の生地であるだけでなく、基材50の中身のストローチップ51も撥水性に優れており乾き易いものであるため、マスク100に付着した洗剤を良くすすぐことができ、乾きやすい状態になっている。さらに、基材50の中身であるストローチップ51が水分を保持しないので、水を含んだ状態でマスク用洗濯ネット1の重量が必要以上に重くなることがなく、洗濯機の中で偏ることがない。
【0046】
洗濯機による洗濯が完了したら、続けて乾燥させる前に脱水機で脱水を行うことができる。全自動洗濯機の場合は、洗濯工程が終わったらそのまま洗濯槽での脱水工程で脱水を行うことができる。あるいは、二槽式洗濯機のように洗濯槽とは別の脱水槽がある場合には、洗濯槽から取り出したマスク用洗濯ネット1をそのままの状態で脱水槽に入れて脱水することができる。なお、脱水は必ずしも行う必要はなく、省略することも可能である。
【0047】
洗濯機による洗濯、あるいは脱水が完了したら、マスク用洗濯ネット1は、洗濯機の中に入れたときと同じ状態で出てくるので、マスク用洗濯ネット1ごとそのまま干すことができる。このとき、面ファスナー2,3の接合を外して本体部10を開いた状態とし、その状態で本体部10の横方向の右側の端辺(基材収容部20と反対側の端辺)を洗濯ばさみなどでつまんで吊り下げるようにする。このようにすれば、基材50の重みでマスク用洗濯ネット1の本体部10の面がまっすぐに伸びた状態となり、マスク収容部30,40内のマスク100も平らに延ばされた状態となる。なお、布製マスクの場合は、それぞれの生地の特性により洗うだけで多少の縮みが発生するので、良好な形状を維持してより長期に渡って繰り返し使用したい場合には、干す際にマスク用洗濯ネット1から取り出して左右に軽く引っ張ってから干すことが望ましい。
【0048】
以上説明したように、本実施形態のマスク用洗濯ネット1によれば、多数のストローチップ51を網目状の生地からなるカバー52に詰めてなる基材50を収容した基材収容部20の外面に洗濯対象のマスク100を収容したマスク収容部30,40を巻き付けて面ファスナー2,3で固定するように構成したことで、マスク100の型崩れを防止でき、かつ生地を極力傷めずに、マスク100を洗濯機で洗うことができる。特に、不織布製の使い捨てマスクの場合、ノーズクリップがゆがんでしまうことや耳掛け用のゴムが外れてしまったりすることを効果的に防止できる。また、マスク100を収容した状態での洗濯機による洗濯だけでなく、脱水や、物干しハンガーによる乾燥も行うことが可能となるので、マスク100を洗濯して乾燥させるまでの作業を非常に簡単かつ効率的に行うことができる。
【0049】
また、このマスク用洗濯ネット1によれば、本体部10は、二枚の網目状の生地11,12を重ねた構成であり、かつ、基材50もストローチップ51を網目状の生地からなるカバー52に詰めてなる構成なので、洗濯機による洗濯で、マスク100に付着した汚れを簡単に落とすことができ、マスク100を綺麗に洗い上げることが可能となる。これにより、日常において手軽に清潔なマスクを使い続けることができるようになるので、健康の維持にも役立つ効果がある。
【0050】
また、このマスク用洗濯ネット1によれば、マスク100を洗濯機で他の洗濯物と一緒に洗うことができるので、日常の洗濯の際にマスク100を手軽に洗えるようになるので、家事の負担を大幅に軽減させることができる。また、不織布製の使い捨てマスクも洗濯機で簡単に洗って再利用ができるようになるので、マスクの購入費用を抑えることができる。
【0051】
〔第二実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態について説明する。なお、第二実施形態の説明及び対応する図面においては、第一実施形態と同一又は相当する構成部分には同一の符号を付し、以下ではその部分の詳細な説明は省略する。また、以下で説明する事項以外の事項、及び図示する以外の事項については、第一実施形態と同じである。
【0052】
図7は、本発明の第二実施形態にかかるマスク用洗濯ネットを示す図で、マスク用洗濯ネットの本体部及び基材を示す図である。同図に示すように、本実施形態のマスク用洗濯ネット1−2は、二枚の網目状の生地11,12を重ねてそれらの外周を縫合して形成された本体部10−2と、多数の合成樹脂製の筒状のストローチップ51(
図4参照)をカバー52に収容してなる基材50−2とを備え、本体部10−2のマスク収容部30,40を基材50−2の外面に巻き付けて固定するように構成している。すなわち、本実施形態の本体部10−2は、第一実施形態の本体部10が備えていた基材収容部20を備えておらず、マスク収容部30,40のみを備えた構成であり、基材50−2の外面に本体部10−2のマスク収容部30,40を直接巻き付けて固定する構成である。
【0053】
そして、本実施形態のマスク用洗濯ネット1−2では、
図7に示すように、基材50−2の縦方向(
図7の上下方向、以下同じ。)の寸法L1は、本体部10−2の縦方向の寸法L2よりも大きな寸法(L1>L2)である。
【0054】
また、本実施形態のマスク用洗濯ネット1−2では、本体部10−2の外面と基材50−2の外面に、本体部10−2(マスク収容部30,40)を基材50−2の外面に巻き付けた状態で固定するための面ファスナー2−2(2−2a,2−2b),3−2(3−2a,3−2b)が設けられている。図示するマスク用洗濯ネット1−2では、二組の面ファスナー2−2,3−2が設けられており、一方の組の面ファスナー2−2は、基材50−2の表面の右縁(
図7(a)の右縁)に沿う位置に設けられた一方の部材(オス部材)2−2aと、本体部10−2の裏面10−2bの左縁(
図7(a)の左縁)に沿う位置に設けられた他方の部材(メス部材)2−2bとで構成されている。また、他方の組の面ファスナー3−2は、本体部10−2の表面10−2aの右縁(
図7(b)の右縁)に沿う位置に設けられた一方の部材(オス部材)3−2aと、本体部10−2の裏面10−2bの右縁(
図7(a)の右縁)に沿う位置に設けられた他方の部材(メス部材)3−2bとで構成されている。
【0055】
なお、本体部10−2の裏面10−2b側(開口部31,41側)の面ファスナー2−2,3−2をいずれもメス部材2−2b,3−2bとしたことで、開口部31,41からマスク収容部30,40にマスク100(
図4参照)を収容する際に、マスク100が面ファスナー2−2,3−2のメス部材2−2b,3−2bには貼り付くおそれがないため、マスク100を収容する作業が行い易くなるという効果がある。
【0056】
また、本実施形態では、本体部10−2におけるマスク収容部30,40の開口部31,41を開閉するための手段として、ファスナー18を設けている。このファスナー18で開口部31,41を開いてマスク100を出し入れするようになっている。このようなファスナー18を設けたことで、開口部31,41を完全に閉じた状態で洗濯することができるので、洗濯槽内に浮遊している糸くずやゴミがマスク収容部30,40に収容したマスク100に付着することを防止できる。
【0057】
図8は、本実施形態のマスク用洗濯ネット1−2の本体部10−2を基材50−2の外面に巻き付けて固定した状態を示す図で、(a)は表面側から見た図、(b)は上方から見た図である。なお、同図(b)は、本体部10−2と基材50−2及び面ファスナー2−2,3−2の配置関係を説明するための概略図で、本体部10−2のマスク収容部30,40などは詳細な記載を省略して簡単に示してある。同図に示すように、マスク用洗濯ネット1−2では、基材50−2の外面に本体部10−2(マスク収容部30,40)を巻き付ける際に、面ファスナー2−2のオス部材2−2aがメス部材2−2bに接合され、さらに、面ファスナー3−2のオス部材3−2aがメス部材3−2bに接合されることで、マスク収容部30,40が基材50−2の外面(裏面側)に取り付けられる。このように、本実施形態のマスク用洗濯ネット1−2では、基材50−2の外面に巻き付けた洗濯対象のマスク100を収容したマスク収容部30,40を面ファスナー2−2,3−2で固定する構成となっている。
【0058】
ここで、本体部10−2に設けた面ファスナー2−2のメス部材2−2bと面ファスナー3−2のオス部材3−2aは、マスク収容部30の一部(
図7(a)の左端及び
図7(b)の右端の一部)に重なる位置に設けられている。その一方で、面ファスナー3−2のメス部材3−2bは、マスク収容部40に隣接する位置(マスク収容部40と重ならない位置)に設けられている。このように、基材50−2に本体部10−2を巻き付けた際に外面側に配置される面ファスナー3−2のメス部材3−2bをマスク収容部40と重ならない位置に設けたことで、マスク収容部40と重なる位置に設けた場合と比較して、面ファスナー3−2(メス部材3−2b)のより高い強度を確保することができる。したがって、洗濯機による洗濯で面ファスナー3−2(メス部材3−2b)にしわやめくれ等が生じにくくなるので、より耐久性に優れたマスク用洗濯ネット1−2となる。
【0059】
本実施形態のマスク用洗濯ネット1−2でも、多数のストローチップ51を網目状の生地からなるカバー52に詰めてなる基材50−2の外面に洗濯対象のマスク100を収容したマスク収容部30,40を巻き付けて面ファスナー2−2,3−2で固定するように構成したことで、マスク100の型崩れを防止でき、かつ生地を極力傷めずに、マスク100を洗濯機で洗うことができる。
【0060】
また、本実施形態のマスク用洗濯ネット1−2では、基材50−2の縦方向の寸法L1が本体部10−2の縦方向の寸法L2よりも大きな寸法であることで、本体部10−2のマスク収容部30,40及び該マスク収容部30,40に収容されたマスク100が基材50−2の胴体部分(縦方向における上端部50−2a及び下端部50−2bを除く中間部分)に巻き付けられた状態で固定されるようになる。これにより、洗濯中にマスク収容部30,40及び該マスク収容部30,40に収容されたマスク100の端辺(縦方向の両端辺)100a,100b(
図4参照)が基材50−2の表面にしっかりと貼り付いた状態を維持して洗濯できるので、マスク100の端辺100a,100bによれやしわなどが生じることを効果的に防止でき、マスク100を極力劣化させずに洗い上げることができる。したがって、繰り返しの洗濯でもマスク100に型くずれやしわや生地の痛みなどが生じることを極力防止することができる。
【0061】
本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、基材収容部20やマスク収容部30,40の開口部21,31,41を所定幅のスリット状とした場合を示したが、これ以外にも、本発明のマスク収容部や基材収容部の開口部は、線ファスナーなど接合具を設けて開閉が可能な構成としてもよい。また、第一実施形態のマスク用洗濯ネット1では、固定具である面ファスナーは、一方の組の面ファスナー2(2a,2b)と他方の組の面ファスナー3(3a,3b)の両方を設けた場合を示したが、これ以外にも、一方の組の面ファスナー2(2a,2b)のみを設けるようにしてもよい。また、面ファスナー以外の種類の接合具(一例としてスナップやボタンなど)を用いることも可能である。また、上記実施形態では、本体部10(10−2)に二つのマスク収容部30,40を備える場合を示したが、これ以外にも、本発明のマスク用洗濯ネットの本体部のマスク収容部は、一つまたは三つ以上を設けることも可能である。
【解決手段】二枚の網目状の生地(11,12)を重ねてそれらの外周を縫合して形成された本体部(10)と、多数の合成樹脂製の筒状のストローチップ(51)を有する基材(50)と、本体部(10)の一部に設けられて、基材(50)を収容するための袋状の部分からなる基材収容部(20)と、本体部(10)の他の一部に設けられて、洗濯対象のマスク(100)を収容するための袋状の部分からなるマスク収容部(30,40)と、マスク収容部(30,40)を基材収容部(20)の外面に固定するための固定具(2,3)と、を備え、マスク収容部(30,40)を基材収容部(20)の外面に巻き付けて固定具(2,3)で固定するように構成したマスク用洗濯ネット(1)。