(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の説明においては、図中に記した矢印に従って、上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義する。
【0028】
以下では、本発明の一実施形態に係るスペーサ10が採用された壁構造について説明する。
【0029】
図1に示すように、壁構造は、建物の壁(外壁及び内壁)を形成するためのものである。なお、以下においては、前側を建物の屋外側とすると共に後側を建物の屋内側として説明を行う。壁構造は、例えば、集合住宅や一軒家等の建物に採用される。
図1及び
図2に示すように、壁構造は、外装材1、断熱材2、蒸着テープ3、内装下地4、内装材5、ビス6、配線7、配管8及びスペーサ10等を具備する。
【0030】
外装材1は、建物の外壁を成す部材である。外装材1は、その板面を前後方向に向けた略板状に形成される。外装材1は、左右に並んだ建物の鉄骨フレーム2aに外装下地1aを介して固定される。
【0031】
断熱材2は、屋内と屋外との間の熱移動を抑制するためのものである。断熱材2は、その板面を前後方向に向けた略板状に形成される。断熱材2は、鉄骨フレーム2aに挿入され、外装材1よりも後方に配置される。断熱材2は、鉄骨柱Aを挟んで左右に複数設けられる。
【0032】
蒸着テープ3は、室内からの湿気が屋外側(断熱材2側)に侵入することを防止するためのものである。蒸着テープ3は、断熱材2の後側面の略全域に設けられる。本実施形態に係る蒸着テープ3は、アルミニウムによって構成される。
【0033】
内装下地4は、後述する内装材5を支持するための骨組みである。内装下地4は、その左右方向幅及び上下方向幅が断熱材2の左右方向幅及び上下方向幅と略同一の幅となるように形成される。内装下地4は、縦桟4a及び横桟4b・4cを具備する。
【0034】
縦桟4aは、その長手方向を上下方向に向けた直方体状の部材である。縦桟4aは、内装下地4の下端部から上端部までに亘って形成される。縦桟4aは、内装下地4の左端部及び右端部に互いに間隔を空けて配置される。
【0035】
横桟4b・4cは、左右方向に延びるように形成される部材である。横桟4b・4cは、互いに上下方向に間隔を空けた状態で、釘等によって左右の縦桟4aにそれぞれ固定される。
【0036】
横桟のうち、最も上側及び最も下側に配置される横桟4b(以下、「上下の横桟4b」と称する)は、その長手方向を左右方向に向けた直方体状の部材である。上下の横桟4bは、その前後方向幅が縦桟4aの前後方向幅と略同一の幅となるように形成される。上側の横桟4bは、左右の縦桟4aの上端部に固定される。また、下側の横桟4bは、左右の縦桟4aの下端部に固定される。
【0037】
横桟のうち、上下中央部に配置される横桟4c(以下、「中央の横桟4c」と称する)は、その板面を前後方向に向けた略板状の部材である。中央の横桟4cは、その長手方向を左右方向に向けると共に短手方向を上下方向に向けた正面視略矩形状に形成される。中央の横桟4cは、その前後方向幅が縦桟4aの前後方向幅よりも狭くなるように形成される。中央の横桟4cは、縦桟4aの上下中央部における後部に固定され、その前側面が縦桟4a及び上下の横桟4bの前側面よりも後方に配置される。
【0038】
このように構成される内装下地4は、左右の縦桟4aが鉄骨柱Aにそれぞれ固定されることで、断熱材2よりも後方に配置される。当該左右の縦桟4a及び上下の横桟4bは、その前側面が断熱材2の後側面(蒸着テープ3)と当接する。また、断熱材2と中央の横桟4cとの間には、壁の中に残った湿気を外部へと案内するための隙間Sが形成される。内装下地4は、鉄骨柱Aを挟んで左右に複数設けられる。
【0039】
内装材5は、建物の内壁を成す部材である。内装材5は、その板面を前後方向に向けた略板状に形成される。内装材5は、その上下方向幅が内装下地4の上下方向幅と略同一の幅となるように形成される。また、内装材5は、その左右方向幅が内装下地4の左右方向幅よりも広くなるように形成される。なお、
図2においては、他の部材を見易くするために、内装材5の左右方向幅を実際の左右方向幅よりも短くしている。内装材5は、例えば、石膏ボードによって構成される。内装材5の後側面のうち、縦桟4a及び上下の横桟4bと背面視で重複する部分には、釘が打ち込まれる。これにより、内装材5は、内装下地4の縦桟4a及び上下の横桟4bに固定される。
【0040】
ビス6は、内装材5を中央の横桟4cに固定するものである。ビス6は、その軸線方向を前後方向に向けた軸部6aを具備する。軸部6aは、中央の横桟4c及び内装材5を貫通可能に構成される。具体的には、軸部6aは、その長さ(軸線方向幅)が、内装材5の前後方向幅(厚み)と中央の横桟4cの前後方向幅(厚み)とを合算した長さよりも長くなるように形成される。また、軸部6aは、断熱材2及び蒸着テープ3(たわんでいない断熱材2及び蒸着テープ3)に到達不能に構成される。具体的には、軸部6aは、その長さが、内装材5の前後方向幅と上下の横桟4bの前後方向幅とを合算した長さよりも短くなるように形成される。
【0041】
図2及び
図3に示すように、このように構成されるビス6は、内装材5の後側面のうち、中央の横桟4cの左右中央部と背面視で重複する部分に打ち込まれる。ビス6の軸部6aは、内装材5及び中央の横桟4cを後方向から貫通する。当該軸部6aの先端部(前端部)は、断熱材2及び蒸着テープ3よりも後方に配置される。すなわち、軸部6aの先端部は、断熱材2と中央の横桟4cとの隙間Sに配置される。
【0042】
図1及び
図3に示すように、配線7及び配管8は、断熱材2と中央の横桟4cとの隙間Sを上下に通過するように設けられる。配線7は、断熱材2と中央の横桟4cとの隙間Sの右部(ビス6の軸部6aよりも右方)に配設される。配線7としては、例えば、屋内に電気を供給するための電気配線等がある。配管8は、断熱材2と中央の横桟4cとの隙間Sの左部(ビス6の軸部6aよりも左方)に配設される。配管8としては、例えば、屋内に水を供給するための配管や屋内で使用された水を外部に排出するための配管等がある。
【0043】
スペーサ10は、断熱材2と中央の横桟4cとの隙間Sを確保するためのものである。
図4及び
図5に示すように、スペーサ10は、その下部及び後部が開口する略箱状に形成される。スペーサ10の左側面及び右側面は、その上部が他の部分よりも後方向に突出するような側面視略逆L字状に形成される。本実施形態に係るスペーサ10は、金属材料からなる板状の部材を適宜折り曲げることによって形成される。スペーサ10は、受け面部11、天面部12、当接部13及び固定部14等を具備する。
【0044】
受け面部11は、スペーサ10の前側面を成す部分である。受け面部11は、略平板状に形成される。
【0045】
天面部12は、スペーサ10の上側面を成す部分である。天面部12は、略平板状に形成される。天面部12は、受け面部11の上端部から後方向に延びるように形成される。天面部12は、その前後方向幅が断熱材2と中央の横桟4cとの隙間Sの前後方向幅と略同一の幅となるように形成される(
図3参照)。天面部12は、受け面部11の左端部から右端部までに亘って形成される。
【0046】
当接部13は、スペーサ10の左側面及び右側面の前部(左側面及び右側面のうち、後方向に突出していない部分)を成す部分である。左右の当接部13は、それぞれ略平板状に形成される。左右の当接部13は、受け面部11の左端部及び右端部からそれぞれ後方向に延びるように形成される。左右の当接部13は、それぞれ受け面部11の上端部から下端部までに亘って形成される。左右の当接部13は、それぞれその前後方向幅が天面部12の前後方向幅と略同一の幅となるように形成される。左右の当接部13は、互いに対向して配置される。
【0047】
固定部14は、スペーサ10の左側面及び右側面の後上部(左側面及び右側面のうち、後方向に突出している部分)を成す部分である。左右の固定部14は、それぞれ略平板状に形成される。左右の固定部14は、互いに対向して配置される。左右の固定部14は、それぞれ食い込み部14aを具備する。
【0048】
食い込み部14aは、固定部14の下側面に形成される尖った部分である。食い込み部14aは、下方向に向かうにつれてその前後方向幅が徐々に狭くなるような側面視略三角形状に形成される。食い込み部14aは、前後方向に間隔を空けて三つ形成される。
【0049】
図3及び
図6に示すように、このように構成されるスペーサ10は、食い込み部14aが中央の横桟4cの上側面に食い込む(刺し込まれる)ことで、中央の横桟4cの左右中央部に取り付けられる。このとき、左右の当接部13がそれぞれ中央の横桟4cの前側面と当接し、受け面部11は、左右の当接部13の前後方向幅(断熱材2と中央の横桟4cとの隙間Sの前後方向幅と略同一の幅)だけ中央の横桟4cの前側面よりも前方に配置される。これにより、受け面部11は、中央の横桟4cの前側面及びビス6の軸部6aに対して前方に隙間を空けて配置されると共に、中央の横桟4cの前側面と対向する。また、受け面部11は、その前側面が断熱材2の後側面(蒸着テープ3)と当接する。これによって、受け面部11は、断熱材2と中央の横桟4cとの隙間Sを確保する。
【0050】
また、スペーサ10が中央の横桟4cに取り付けられた状態において、天面部12は、中央の横桟4cの上側面よりも上方に配置され、中央の横桟4cの前側面と受け面部11との隙間を上方から塞ぐ。左右の当接部13は、それぞれビス6の軸部6aを挟んで左右に配置され、中央の横桟4cの前側面と受け面部11との隙間を左方及び右方から塞ぐ。左右の固定部14は、それぞれその後端部が中央の横桟4cの前後中途部(内装材5よりも前方)に配置される。
【0051】
以下では、内装材5を内装下地4に固定するまでの手順について説明する。
【0052】
なお、内装材5を内装下地4に固定する作業は、建物の建築現場で行われる。また、外装材1、断熱材2、蒸着テープ3及び内装下地4は、予め工場等で組み立てられた状態(鉄骨柱A等を介して互いに固定された状態)で建物の建築現場に搬送される。すなわち、断熱材2及び内装下地4は、隙間Sが形成された状態で工場等から建物の建築現場に搬送される。
【0053】
まず、
図2に示すように、内装下地4の中央の横桟4cに上方からスペーサ10が取り付けられる。このとき、
図6に示すように、左右の当接部13は、それぞれその後端部が中央の横桟4cの前側面と当接される。左右の固定部14は、左右の当接部13と中央の横桟4cとが当接した状態で、中央の横桟4cの上側面にそれぞれ載置される。天面部12は、このような状態で、上方からハンマー等で叩かれる。これによって、左右の固定部14の食い込み部14aは、中央の横桟4cの上側面に刺し込まれる。これにより、スペーサ10は、中央の横桟4cの上側面の左右中央部に取り付けられる。
【0054】
次に、
図2に示すように、内装下地4の後方に内装材5が配置される。当該内装材5は、その後側面のうち、縦桟4a及び上下の横桟4bと背面視で重なる部分に釘が打ち込まれる。また、内装材5は、その後側面のうち、中央の横桟4cの左右中央部(スペーサ10)と背面視で重なる部分にビス6が打ち込まれる。このとき、
図3及び
図6に示すように、ビス6の軸部6aは、内装材5及び中央の横桟4cを前方向に貫通し、中央の横桟4cと断熱材2との隙間Sに配置される。より詳細には、ビス6の軸部6aは、中央の横桟4cの前側面と受け面部11との隙間(スペーサ10の内側)に配置される。以上により、内装材5は、内装下地4に固定される。
【0055】
なお、スペーサ10が中央の横桟4bに取り付けられた後、かつ内装材5が固定される前に、配線7及び配管8を中央の横桟4cと断熱材2との隙間Sに配設する作業(配設作業)が行われる。当該配設作業において、配線7及び配管8は、建物の上部から下部へと配設される。
【0056】
本実施形態に係る壁構造によれば、断熱材2及び内装下地4の搬送時の振動等の影響で断熱材2及び蒸着テープ3が後側にたわんでしまった場合(断熱材2と中央の横桟4cとの隙間Sが狭くなった場合)でも、断熱材2及び蒸着テープ3をスペーサ10(受け面部11)で前方向に押圧することができる。これによれば、ビス6が打ち込まれる部分において、断熱材2及び蒸着テープ3のたわみを元に戻して断熱材2と中央の横桟4cとの隙間Sを確保することができる。これにより、ビス6の軸部6aが断熱材2と接触することを防止できる。これにより、ビス6の軸部6aの先端部が、蒸着テープ3と接触するのを防止し、ひいては当該蒸着テープ3を突き破ってしまうことを防止できる。このため、蒸着テープ3に孔が空いて室内の湿気が屋外側に侵入してしまうことを防止できる。
【0057】
また、スペーサ10は、ビス6と背面視で重なる位置に配置されている。これによれば、スペーサ10は、ビス6の軸部6aをその内側に配置することができる。これによって、ビス6の軸部6aと断熱材2及び蒸着テープ3との間に受け面部11を介在させることができる。以上により、ビス6の軸部6aが断熱材2と接触することを防止できる。これにより、ビス6の軸部6aの先端部が、蒸着テープ3と接触するのを防止し、ひいては当該蒸着テープ3を突き破ってしまうことを効果的に防止できる。
【0058】
以上の如く、本実施形態に係るスペーサ10は、建物の壁構造を構成する内装下地4(下地)に取り付けられるスペーサ10であって、前記内装下地4の前側面(一側の面)に対して隙間を空けて対向して配置されると共に、前記内装下地4と断熱材2(当該内装下地4よりも前記一側に配置される部材)との隙間Sを確保する受け面部11(対向部)と、前記受け面部11を前記内装下地4に固定する固定部14と、を具備するものである。
【0059】
このように構成することにより、内装下地4(中央の横桟4c)から突出するビス6が断熱材2と接触することを防止できる。これにより、ビス6の軸部6aの先端部が、蒸着テープ3(内装下地4の前側に配置される部材)と接触するのを防止し、ひいては当該蒸着テープ3を突き破ってしまうことを防止できる
【0060】
また、前記前側面と前記受け面部11との隙間を外側から覆う天面部12及び当接部13(遮蔽部)をさらに具備するものである。
なお、本実施形態において「外側」とは、上方、下方、左方又は右方の少なくともいずれかを指す。
また、本実施形態において「覆う」とは、隙間Sの外側全域を塞ぐものではなく、外側の少なくとも一部(例えば、上方の左端部から左右中央部まで)を塞いでいてもよい。
【0061】
このように構成することにより、内装下地4(中央の横桟4c)の前側面と受け面部11との隙間を外側(本実施形態では上方、左方及び右方)から塞ぐことができる。これによれば、スペーサ10の取付後に行われる配設作業時等において、配線7及び配管8が中央の横桟4cの左右中央部近傍(ビス6が打ち込まれる部分の近傍)に配設されることを阻害できる。これにより、ビス6の軸部6aが、内装下地4の前側に配設される配線7及び配管8と接触することを防止できるため、配線7及び配管8が傷ついてしまうことを防止できる。
【0062】
また、前記天面部12は、少なくとも前記前側面と前記受け面部11との隙間を上方から覆うものである。
【0063】
このように構成することにより、ビス6の軸部6aが配線7や配管8と接触することを効果的に防止できる。具体的には、前記配設作業において、配線7及び配管8は、建物の上部から下部へと配設されていく場合が多い。すなわち、この場合、配線7及び配管8は、スペーサ10を上方から下方へと通過しようとする。天面部12によれば、内装下地4(中央の横桟4c)の前側面と受け面部11との隙間のうち、配線7及び配管8が通過しようとする方向(上方)を塞ぐことができるため、配線7及び配管8が中央の横桟4cの左右中央部近傍に配設されることを効果的に阻害できる。これにより、ビス6の軸部6aが配線7や配管8と接触することを効果的に防止できる。
【0064】
また、前記固定部14は、前記内装下地4に食い込み可能な食い込み部14aを具備し、当該食い込み部14aが前記内装下地4に食い込むことで前記内装下地4に固定されるものである。
なお、本実施形態において「食い込む」には、内装下地4に突き刺したり、打ち込んだりすることが含まれる。
【0065】
このように構成することにより、食い込み部14aを内装下地4(中央の横桟4c)に食い込ませるだけで固定部14を簡単に内装下地4に固定することができる。また、釘等を用いることなく固定部14を内装下地4に固定することができる。これによって、スペーサ10を簡単に取り付けることができる。
また、天面部12は、食い込み部14aの基部から先端部に向かう方向(下方向)と同一方向に、その板面を向けて配置されている。これによれば、天面部12をハンマーで叩いたり手で押すことで、食い込み部14aを内装下地4に簡単に食い込ませることができる。
【0066】
また、前記受け面部11から前記前側面に向けて延びるように形成されると共に、当該延びた端部が前記前側面と当接する当接部13(当接部)をさらに具備するものである。
【0067】
このように構成することにより、内装下地4(中央の横桟4c)の前側面と受け面部11との隙間を所定の幅にすることができる。これによって、内装下地4の前側面と受け面部11との隙間を適切な大きさに設定できる。また、当該隙間を簡単に設定できる。
【0068】
また、前記当接部13は、互いに対向するように一対設けられるものである。
【0069】
このように構成することにより、スペーサ10が内装下地4(中央の横桟4c)に対して傾くことを抑制できる。具体的には、当接部13によって左右方向における二箇所で内装下地4の前側面と当接することができるため、スペーサ10が平面視で時計回り方向(又は反時計回り方向)に傾くことを抑制できる。このため、受け面部11の板面が前後方向を向いた状態で、スペーサ10を簡単に取り付けることができる。
また、本実施形態に係る当接部13は、受け面部11の上端部から下端部までに亘って形成されているため、上下方向における広い範囲で内装下地4の前側面と当接可能となる。これによって、スペーサ10が側面視で時計回り方向(又は反時計回り方向)に傾くことを抑制できる。このため、受け面部11の板面が前後方向を向いた状態で、スペーサ10をより簡単に取り付けることができる。
【0070】
また、前記内装下地4は、水平方向に延びる中央の横桟4cを具備し、前記固定部14は、前記中央の横桟4cの上側面に固定されるものである。
【0071】
このように構成することにより、固定部14を簡単に固定することができる。
また、中央の横桟4cの上側面でスペーサ10の自重を受けることができるため、スペーサ10を安定した姿勢で固定できる。
【0072】
また、スペーサ10と、前記建物の内壁を成す内装材5と、前記内装材5よりも前側(前記建物の屋外側)に配置される前記内装下地4と、前記内装下地4よりも前記前側に配置される断熱材2と、前記内装材5及び前記内装下地4を後側(前記建物の屋内側)から貫通し、前記内装材5と前記内装下地4とを固定するビス6(固定部材)と、を具備し、前記スペーサ10の受け面部11は、前記前側面としての前記内装下地4の前記屋外側の面に対して隙間を空けて対向して配置されると共に、前記内装下地4と前記断熱材2との隙間Sを確保するものである。
【0073】
このように構成することにより、スペーサ10により内装下地4と断熱材2との隙間Sが確保できるため、ビス6が断熱材2と接触することを防止できる。
なお、本実施形態においては、断熱材2の後側面には蒸着テープ3が配置されている。すなわち、上述の如き壁構造によって、ビス6の先端部が蒸着テープ3と接触し、当該蒸着テープを突き破ってしまうことを防止できる。
【0074】
なお、本実施形態に係る内装下地4は、本発明に係る下地の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る断熱材2は、本発明に係る下地よりも一側に配置される部材の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る受け面部11は、本発明に係る対向部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る天面部12及び当接部13は、本発明に係る遮蔽部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るビス6は、本発明に係る固定部材の実施の一形態である。
【0075】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0076】
例えば、内装下地4から突出する部材は、ビス6であるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、釘等であってもよい。また、内装下地4に形成された突起部等であってもよい。
【0077】
また、内装下地4の前側に配置される部材(スペーサ10によって接触を防止する部材)は、断熱材2、蒸着テープ3、配線7及び配管8であるものとしたが、これに限定されるものではない。内装下地4の前側に配置される部材は、例えば、可撓性を有する部材であれば、種々の部材を適用することが可能である。
【0078】
ビス6は、スペーサ10の内側に配置される(スペーサ10と背面視で重複する位置に配置される)ものとしたが、これに限定されるものではない。ビス6は、スペーサ10によって確保されたスペースに配置されるものであればよく、例えば、左側の当接部13よりも左方や右側の当接部13よりも右方に配置されるものであってもよい。ただし、断熱材2と軸部6aとの間に受け面部11を介在させることができるという観点から、ビス6は、スペーサ10と背面視で重複する位置に配置されることが好ましい。
【0079】
また、スペーサ10の取付対象は、中央の横桟4cであるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、縦桟4aや上下の横桟4b等であってもよい。
【0080】
また、スペーサ10は、断熱材2と中央の横桟4cとの隙間Sを上方、左方及び右方から塞ぐものとしたが、これに限定されるものではない。スペーサ10は、断熱材2と中央の横桟4cとの隙間Sを、外側、具体的には上方、下方、左方又は右方の少なくともいずれかから塞ぐものであればよい。
【0081】
また、当接部13は、中央の横桟4cに対して二箇所で当接可能であれば、必ずしも左右に対向して配置される必要はなく、例えば、上下に対向して配置されていてもよい。また、当接部13は、互いに対向して配置される必要はなく、例えば、互いに上下及び左右にずれていてもよい。また、当接部13は、必ずしもスペーサ10の端部に配置される必要はなく、例えば、スペーサ10の中途部(上下中途部又は左右中途部)に配置されるものであってもよい。
【0082】
また、当接部13は、略平板状に形成されるものとしたが、当接部13の形状は、これに限定されるものではなく、例えば、略棒状等であってもよい。
【0083】
また、当接部13は、中央の横桟4cの前側面と受け面部11との隙間を所定の幅にすることができれば、その当接箇所の数は問わない。具体的には、当接部13は、三箇所以上で中央の横桟4cと当接してもよい(三つ以上の当接部13によって構成さていてもよい)。また、当接部13は、一箇所で中央の横桟4cと当接してもよい(一つの当接部13によって構成されていてもよい)。
【0084】
また、固定部14は、食い込み部14aを食い込ませて中央の横桟4cの上側面に固定されるものとしたが、固定部14の構成は、これに限定されるものではない。固定部14は、例えば、ビス等の締結部材によって中央の横桟4cの上側面に固定されるものであってもよい。
【0085】
また、食い込み部14aは、側面視略三角形状に形成されるものとしたが、食い込み部14aの形状は、これに限定されるものではない。食い込み部14aの形状は、例えば、その下端部を頂点とする略円錐状等であってもよい。
【0086】
また、スペーサ10の材料は、金属材料であるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、樹脂材料等であってもよい。
【0087】
また、蒸着テープ3の材料は、アルミニウムであるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、適宜の金属材料であってもよい。また、蒸着テープ3の材料は、金属材料に限定されるものではなく、ポリエステル等の樹脂材料であってもよい。
【0088】
また、内装下地4は、その上下中途部に一つの横桟(中央の横桟4c)が設けられるものとしたが、上下中途部に設けられる横桟の数は一つに限定されるものではない。内装下地4は、例えば、その上下中途部に複数の横桟が上下方向に間隔を空けて設けられるものであってもよい。
【0089】
また、配線7及び配管8の配設作業は、スペーサ10が中央の横桟4bに取り付けられた後、かつ内装材5が固定される前に行われるものとしたが、これに限定されるものではなく、内装材5が固定された後で行われるものであってもよい。
【0090】
また、スペーサ10の構成は、本実施形態に限定されるものではなく、
図7及び
図8に示す第一変形例から第三変形例までに係るスペーサ110・210・310のような構成とすることも可能である。
【0091】
図7(a)に示すように、第一変形例に係るスペーサ110は、受け面部111、天面部112、当接部113及び固定部114を具備する。受け面部111及び当接部113は、その上下方向幅が広い点を除いて本実施形態に係る受け面部11及び当接部13と同様に構成される。天面部112は、本実施形態に係る天面部12と同様に構成される。固定部114は、当接部113の上端部及び下端部からそれぞれ後方向に延びるように形成される。上下の固定部114の間隔は、中央の横桟4cの上下方向幅と略同一の幅となるように形成される。このように構成される第一変形例に係るスペーサ110は、上下の固定部114が中央の横桟4cに前方から嵌め合わされることによって中央の横桟4cに取り付けられる。
以上の如く、固定部14は、必ずしも中央の横桟4cの上側面に固定される(上方から固定される)必要はない。また、固定部14は、例えば、中央の横桟4cの下側面や前側面に固定される(下方や前方から固定される)ものであってもよい。
【0092】
図7(b)に示すように、第二変形例に係るスペーサ210は、底面部215を具備する点を除いて第一変形例に係るスペーサ110と同様に構成される。底面部215は、受け面部111の下端部から後方向に延びるように形成される。底面部215は、天面部112と略同一形状に形成される。
このような底面部215を具備することにより、中央の横桟4cと受け面部111との隙間を下方から塞ぐことができる。このため、ビス6の軸部6aが配線7及び配管8と下方から接触することを防止できる。また、第二変形例に係るスペーサ210は、天面部112、当接部113及び底面部215によって、その外側の全域を塞ぐことができる。これによれば、どの方向からもビス6の軸部6aが配線7及び配管8と接触しないようにすることができるため、ビス6の軸部6aが配線7及び配管8と接触することを確実に防止できる。
【0093】
図8に示すように、第三変形例に係るスペーサ310は、受け面部311、天面部312及び底面部315を具備する。受け面部311は、その上下方向幅が中央の横桟4cの上下方向幅と略同一の幅となるように形成される。天面部312及び底面部315は、それぞれ受け面部311の上端部及び下端部から後方向に延びるように形成される。第三変形例に係るスペーサ310は、天面部312及び底面部315が中央の横桟4cに前方から嵌め合わされることによって中央の横桟4cに取り付けられる。
第三変形例に係るスペーサ310は、板状の部材の上部及び下部を折り曲げるだけで形成することができる。これにより、スペーサ310を本実施形態に係るスペーサ10よりも簡単に形成することができる。