特許第6813321号(P6813321)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6813321
(24)【登録日】2020年12月21日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】DCモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/14 20060101AFI20201228BHJP
   H02K 13/00 20060101ALI20201228BHJP
   H02K 5/04 20060101ALI20201228BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20201228BHJP
   H02K 11/25 20160101ALI20201228BHJP
【FI】
   H02K5/14 B
   H02K13/00 X
   H02K5/04
   H02K13/00 V
   H02K5/22
   H02K11/25
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-190562(P2016-190562)
(22)【出願日】2016年9月29日
(65)【公開番号】特開2018-57144(P2018-57144A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110788
【弁理士】
【氏名又は名称】椿 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100124589
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 竜郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166811
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 剛
(72)【発明者】
【氏名】黒田 稔
【審査官】 島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−38889(JP,A)
【文献】 特開2014−226004(JP,A)
【文献】 特開平8−64405(JP,A)
【文献】 特開2015−128342(JP,A)
【文献】 特開2010−127834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/14
H02K 5/04
H02K 5/22
H02K 11/25
H02K 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
整流子に接触するブラシと、
前記ブラシが取り付けられた第1の端子と、
前記第1の端子から離れた位置に配置され、外部の端子が接続可能な第2の端子と、
前記第1の端子と前記第2の端子とが固定されたブラケットと、
前記第1の端子と前記第2の端子との間に配置され、前記第1の端子に接合された第1の電極と前記第2の端子に接合された第2の電極とを有するPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタとを備え、
前記PTCサーミスタは、
前記第1の電極と前記第2の電極とが一面側に露出する面実装型のものであり、
前記一面側において前記第1の電極が前記第1の端子に対向するとともに前記第2の電極が前記第2の端子に対向するように配置されている、DCモータ。
【請求項2】
前記第1の端子及び前記第2の端子の少なくとも一方のうち、前記PTCサーミスタと対向する面には、その面から突出し、前記PTCサーミスタを位置決め可能な突起部が形成されている、請求項1に記載のDCモータ。
【請求項3】
前記第1の端子のうち、前記PTCサーミスタと対向する面には、その面から突出するように形成された第1の突起が設けられており、
前記第2の端子のうち、前記PTCサーミスタと対向する面には、その面から突出するように形成された第2の突起が設けられており、
前記PTCサーミスタは、前記第1の突起と前記第2の突起との間に配置されている、請求項1に記載のDCモータ。
【請求項4】
前記第1の端子及び前記第2の端子の少なくとも一方のうち、前記PTCサーミスタと対向する面のうち、前記PTCサーミスタとの接合部から離れた位置には、その面から突出又は陥没し、前記PTCサーミスタを接合するためのはんだの流れを抑制する流れ抑制部が設けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載のDCモータ。
【請求項5】
前記ブラケットは、前記第1の端子及び前記第2の端子に対する前記PTCサーミスタの位置を位置決め可能な位置決め部を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載のDCモータ。
【請求項6】
前記位置決め部は、前記PTCサーミスタの前記一面側が前記第1の端子及び前記第2の端子に対向する状態で、前記PTCサーミスタの前記一面とは反対側の面に対向する面を有する、請求項5に記載のDCモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、DCモータに関し、特に、PTCサーミスタを備えるDCモータに関する。
【背景技術】
【0002】
DCモータとしては、PTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタを備えるものがある。PTCサーミスタは、回路保護素子として用いられており、所定温度を超えると抵抗が急激に上昇する電流制限素子として機能する。
【0003】
下記特許文献1から3には、PTCサーミスタを用いたDCモータの構造が開示されている。PTCサーミスタは、給電端子とブラシとの間に配置されている。PTCサーミスタは、両面が電極となる板状のものであって、一方の面に給電側の端子が接続されており、他方の面にブラシが接続された端子が接続されて、2つの端子で挟み込むようにして用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−226004号公報
【特許文献2】特開2006−166646号公報
【特許文献3】特開2009−165209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば円筒型や、角形(回転軸に垂直な断面において略四角形の外径を有するもの(ここで略四角形とは、例えば、コーナー部に半径Rの丸みを有する形状が設けられていたり、コーナー部に面取りが施されている形状であったりするものも含まれる))のDCモータにPTCサーミスタを配置する場合において、DCモータが小型になればなるほど、PTCサーミスタを配置するためのスペースをモータの内部に確保することが困難になるという問題がある。具体的には、DCモータの内部にPTCサーミスタを配置するには、整流子やブラシ、及びブラシが接続される端子等を避ける必要がある。そのため、モータの小型化に伴い、小型のPTCサーミスタを用いることが必要になる。
【0006】
一方で、例えば上述の特許文献1から3に記載されているようなモータで用いられている、挟み込むようにして用いるタイプのPTCサーミスタや、いわゆるリード線型のPTCサーミスタでは、小型であって、かつ、必要とされる性能を満たすものを用意することが困難であるという問題がある。すなわち、この種のPTCサーミスタの小型のものは、比較的内部抵抗が高く、DCモータのトルクが減少するという問題がある。また、トリップ時間が短すぎる場合があり、用途によっては連続動作ができなくなる可能性があるという問題がある。
【0007】
このような問題に関し、表面実装型のPTCサーミスタとしては、小型であっても、内部抵抗が比較的低いものや、トリップ時間が比較的長いものがあり、適宜必要な性能を有するものがある。しかしながら、従来では、このような表面実装型のPTCサーミスタをDCモータの内部に実装するには、基板等の別部品を用意する必要があり、DCモータの部品点数が増加するというような問題がある。
【0008】
この発明はそのような問題点を解決するためになされたものであり、表面実装型のPTCサーミスタを利用でき、かつ、部品点数を抑えることができるDCモータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、DCモータは、整流子に接触するブラシと、ブラシが取り付けられた第1の端子と、第1の端子から離れた位置に配置され、外部の端子が接続可能な第2の端子と、第1の端子と第2の端子とが固定されたブラケットと、第1の端子と第2の端子との間に配置され、第1の端子に接合された第1の電極と第2の端子に接合された第2の電極とを有するPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタとを備え、PTCサーミスタは、第1の電極と第2の電極とが一面側に露出する面実装型のものであり、一面側において第1の電極が第1の端子に対向するとともに第2の電極が第2の端子に対向するように配置されている。
【0010】
好ましくは、第1の端子及び第2の端子の少なくとも一方のうち、PTCサーミスタと対向する面には、その面から突出し、PTCサーミスタを位置決め可能な突起部が形成されている。
【0011】
好ましくは、第1の端子のうち、PTCサーミスタと対向する面には、その面から突出するように形成された第1の突起が設けられており、第2の端子のうち、PTCサーミスタと対向する面には、その面から突出するように形成された第2の突起が設けられており、PTCサーミスタは、第1の突起と第2の突起との間に配置されている。
【0012】
好ましくは、第1の端子及び第2の端子の少なくとも一方のうち、PTCサーミスタと対向する面のうち、PTCサーミスタとの接合部から離れた位置には、その面から突出又は陥没し、PTCサーミスタを接合するためのはんだの流れを抑制する流れ抑制部が設けられている。
【0013】
好ましくは、ブラケットは、第1の端子及び第2の端子に対するPTCサーミスタの位置を位置決め可能な位置決め部を有する。
【0014】
好ましくは、位置決め部は、PTCサーミスタの一面側が第1の端子及び第2の端子に対向する状態で、PTCサーミスタの一面とは反対側の面に対向する面を有する。
【発明の効果】
【0015】
これらの発明に従うと、表面実装型のPTCサーミスタを利用でき、かつ、部品点数を抑えることができるDCモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態におけるDCモータを示す側断面図である。
図2】ブラケットユニットの構造を示す斜視図である。
図3】第1の端子、第2の端子、及びPTCサーミスタを示す分解斜視図である。
図4】第3の端子及びブラケットを示す分解斜視図である。
図5】PTCサーミスタの取り付け構造について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態におけるDCモータについて説明する。
【0018】
[実施の形態]
【0019】
図1は、本発明の実施の形態におけるDCモータ1を示す側断面図である。
【0020】
図1に示されるように、DCモータ(以下、単にモータということがある)1は、大まかに、フレーム組立体1aと、フレーム組立体1aに対して回転軸2を中心に回転可能に支持されたアマチュア組立体(以下、単にアマチュアということがある)1bとを有している。
【0021】
アマチュア組立体1bは、回転軸(シャフト)2、アマチュア部4、及び整流子部6などを有している。アマチュア部4は、回転軸2に取り付けられている。アマチュア部4は、ラジアル方向に複数突出する突極を有するアマチュアコア5及び各突極に巻回された巻線(図示せず)などを有している。整流子部6は、回転軸2の基端部(図1において右側の端部)近傍に設けられており、回転軸2と共に回転する。整流子部6は、後述のようにしてフレーム組立体1aに取り付けられているブラシ20に接触する整流子7などを有している。
【0022】
フレーム組立体1aは、フレーム10、ブラケット30、プレート41、マグネット70などで構成されている。
【0023】
フレーム10は、筒形状を有している。フレーム10の一端部から、回転軸2の先端部(図1において左側の端部)が突出するようにしてふさがれている。フレーム10の他端部(図1において右側の端部)の開口部は、プレート41によりふさがれている。フレーム10及びプレート41により構成されるフレーム内に、アマチュア1bが収納されている。アマチュア1bの回転軸2の一端部は、フレーム10から突出している。フレーム10の一端部の中央部には、軸受18が保持されている。また、プレート41の中央部には、軸受19が保持されている。回転軸2は、2箇所の軸受18,19により、フレーム10に対して回転可能に保持されている。
【0024】
プレート41の内側には、ブラケット30が取り付けられている。ブラケット30は、例えば、樹脂製である。ブラケット30及びプレート41は、フレーム10の他端側の開口部に取り付けられている。
【0025】
図2は、ブラケットユニット40の構造を示す斜視図である。
【0026】
図2に示されるように、ブラケットユニット40は、ブラケット30と、ブラシ20と、第1の端子24と、第2の端子25と、PTCサーミスタ26と、第3の端子28とを有している。
【0027】
本実施の形態において、ブラシ20は、金属板製のブラシアームの先端の近傍の部位が整流子7に接触するようにして、第1の端子24及び第3の端子28を介して、ブラケット30に保持されている。ブラシアームは、大まかに、回転軸2に垂直な面内の一方向が長手方向となり回転軸2に平行な方向が幅方向となる矩形板形状を有している。
【0028】
ブラシ20は、先端の近傍の部位が整流子7に接触して自然状態から若干撓んだ状態で、用いられる。ブラシアームは、可撓性を有するように(片持ち梁のように)、第1の端子24又は第3の端子28に保持されている。
【0029】
図3は、第1の端子24、第2の端子25、及びPTCサーミスタ26を示す分解斜視図である。
【0030】
図3に示されるように、第2の端子25は、第1の端子24から離れた位置に配置されている。本実施の形態において、第1の端子24及び第2の端子25のそれぞれは、1つの金属板を曲げたりその他の板金加工を行ったりすることで形成されている。第1の端子24は、ブラシ20のブラシアームが取り付けられる取付部24aと、取付部24aに繋がっている固定部24bと、固定部24bから第2の端子25に向けて延びる接合部24fとを有している。第2の端子25は、固定部25bと、固定部25bに繋がっている外部接続用の接続部25cと、固定部25bに繋がっており、接合部24fと略同じ平面状に位置するように配置されている接合部25fとを有している。
【0031】
PTCサーミスタ26は、全体として矩形の板形状を有している。PTCサーミスタ26の2つの側部には、第1の電極26cと第2の電極26dとが配置されている。電極26c,26dは、PTCサーミスタ26の一方の面26aと、その反対側の面26bと、側方の面とに露出している。すなわち、PTCサーミスタ26は、2つの電極26c,26dが、一面26a側(実装面側)に露出する面実装型のものである。
【0032】
PTCサーミスタ26は、第1の端子24と第2の端子25との間に配置されている。PTCサーミスタ26は、一面26a側において、電極26cが第1の端子24の接合部24fに対向するとともに、電極26dが第2の端子25の接合部25fに対向するように配置されている。第1の端子24の接合部24fは、電極26cにはんだ付けにより接合されている。第2の端子25の接合部25fは、電極26dにはんだ付けにより接合されている。これにより、第1の端子24と第2の端子25とがPTCサーミスタ26を介して電気的に接続される。すなわち、第2の端子25の接続部25cから、第1の端子24の取付部24aに取り付けられたブラシ20まで、導通している。なお、図において、はんだの図示は省略されている。第1の端子24、第2の端子25のそれぞれとPTCサーミスタ26の電極26c,26dとの接合方法は、他の方法であってもよい。
【0033】
図4は、第3の端子28及びブラケット30を示す分解斜視図である。
【0034】
図4に示されるように、第3の端子28は、ブラシ20のブラシアームが取り付けられる取付部28aと、取付部28aに繋がっている固定部28bと、固定部28bに繋がっている接続部28cとを有している。本実施の形態において、第3の端子28は、1つの金属板を曲げることにより形成されている。取付部28a、固定部28b及び接続部28cは、板状である。
【0035】
ブラケット30は、回転軸2の軸方向(長手方向)に厚みを有する樹脂成形品である。ブラケット30は、回転軸2が貫通するように形成されている。また、ブラケット30は、第3の端子の接続部28cと、第2の端子25の接続部25cとがフレーム組立体1aの外部に露出し、外部の端子が差し込み可能になるように形成されている。外部の端子を各接続部25c,28cに接続して駆動電圧を接続部25c,28c間に印加することで、モータ1を駆動させることができる。
【0036】
ブラケット30には、3つの溝部31,32,33が形成されている。各溝部31,32,33は、回転軸2の軸方向が深さ方向となるように形成されている。また、ブラケット30には、柱状突起(位置決め部の一例)35が形成されている。
【0037】
溝部31は、第1の端子24の固定部24bを保持するように形成されている。図3に示されるように、第1の端子24の固定部24bには、隆起部24dが形成されている。第1の端子24は、隆起部24dと取付部24aとでブラケット30を部分的に挟み込むことにより、固定部24bが溝部31に圧入された状態で、ブラケット30に固定されている。
【0038】
溝部32は、第2の端子25の固定部25bを保持するように形成されている。図3に示されるように、接続部25cと接合部25fとのそれぞれは、固定部25bに対して折れ曲がるように接続されている。また、溝部32のうち、PTCサーミスタ26が配置される側の端部には、PTCサーミスタ26に向けて突出する突出部32aが形成されている。第2の端子25は、突出部32aが接続部25cと接合部25fとの間の角度を広げるように接合部25fを付勢することで、固定部25bが溝部32に圧入された状態で、ブラケット30に固定されている。
【0039】
溝部33は、第3の端子28の固定部28bを保持するように形成されている。溝部32は、端子28は、固定部28bが溝部32に圧入された状態でブラケット30に固定されている。
【0040】
図3に示されているように、本実施の形態において、第1の端子24のうち、PTCサーミスタ26と対向する接合部24fの面には、その面から突出するように形成された爪部(第1の突起の一例)24gが設けられている。爪部24gは、回転軸2の軸方向において接合部24fの中央を挟むように、2箇所に設けられている。また、第2の端子25のうち、PTCサーミスタ26と対向する接合部25fの面には、その面から突出するように形成された爪部(第2の突起の一例)25gが設けられている。爪部25gも、回転軸2の軸方向において接合部25fの中央を挟むように、2箇所に設けられている。爪部24g,25gは、PTCサーミスタ26が配置される側に突出している。爪部24g,25gの突出高さは、例えば、PTCサーミスタ26の厚みと略同じかそれより若干低い程度になっているが、これに限られるものではない。
【0041】
図5は、PTCサーミスタ26の取り付け構造について説明する図である。
【0042】
図5に示されるように、PTCサーミスタ26は、爪部24gと爪部25gとの間に配置されている。電極26dが第2の端子25から第1の端子24側に離れないように、爪部24gによって、PTCサーミスタ26の電極26c側の側端部の位置が規制される。また、電極26cが第1の端子24から第2の端子25側に離れないように、爪部25gによって、PTCサーミスタ26の電極26dの側端部の位置が規制される。換言すると、第1の端子24のPTCサーミスタ26と対向する面と、第2の端子25のPTCサーミスタ26と対向する面とのそれぞれには、その面から突出し、PTCサーミスタ26を位置決め可能な爪部24g,25gが形成されている。これにより、PTCサーミスタ26を第1の端子24や第2の端子25に接合する際に、容易に、PTCサーミスタ26を第1の端子24や第2の端子25に対して位置決めできる。
【0043】
また、本実施の形態において、ブラケット30には、柱状突起35が設けられている。柱状突起35は、第1の端子24及び第2の端子25に対するPTCサーミスタ26の位置を、位置決め可能である。具体的には、柱状突起35は、PTCサーミスタ26の実装面26a側が第1の端子24及び第2の端子25に対向する状態で、PTCサーミスタ26の実装面26aとは反対側の面26bに対向する位置決め面35aを有している。
【0044】
このように、第1の端子24と第2の端子25とに爪部24g,25gが設けられている。また、ブラケット30に柱状突起35が設けられている。PTCサーミスタ26を取り付ける際には、ブラケット30に第1の端子24及び第2の端子25が固定されている状態で、まず、接合部24fと、接合部25fと、爪部24gと、爪部25gと、柱状突起35とで囲まれるスペースに、PTCサーミスタ26を配置する。このとき、PTCサーミスタ26は、周囲の各部により、第1の端子24、第2の端子25、及びブラケット30に対して位置決めされた状態となる。換言すると、PTCサーミスタ26は、第1の端子24、第2の端子25、及びブラケット30に仮に固定された状態となる。そして、その状態で、電極26cと接合部24fとをはんだ付けし、また、電極26dと接合部25fとをはんだ付けすることにより、容易に、PTCサーミスタ26を第1の端子24と第2の端子25とに接合することができる。なお、爪部の個数や形状は上記に限られるものではない。また、ブラケット30には、柱状ではない他の形態で、PTCサーミスタ26の面26bに対向する位置決め面を有する構造の位置決め部が形成されていてもよい。
【0045】
また、本実施の形態において、第1の端子24の、PTCサーミスタ26と対向する面のうち、PTCサーミスタ26との接合部24fから離れた位置には、その面から突出するように形成された、流れ抑制部24hが設けられている。流れ抑制部24hは、第1の端子24の一部が隆起するように絞り加工が行われて形成されている。また、第2の端子25の、PTCサーミスタ26と対向する面のうち、PTCサーミスタ26との接合部25fから離れた位置には、その面から突出するように形成された、流れ抑制部25hが設けられている。流れ抑制部25hは、第2の端子25の一部が折り曲げられて形成されている。PTCサーミスタ26の電極26cを接合部24fに接合するためのはんだ(図示せず)の流れは、流れ抑制部24hにせき止められる。電極26dを接合部25fに接合するためのはんだ(図示せず)の流れは、流れ抑制部25hにせき止められる。すなわち、このように流れ抑制部24hが設けられていることにより、モータ1の製造時において、はんだが、アマチュア組立体1bが配置されている領域や、その他モータ1の内部に流れ込むことによる不良が発生することを防止することができる。なお、流れ抑制部24hや流れ抑制部25hは、接合部24f,25fが設けられている面から陥没するように形成されていてもよい。また、第1の端子24と第2の端子25とのいずれか一方にのみ設けられていてもよい。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態では、DCモータ1は、第1の端子24と第2の端子25との間に、面実装型のPTCサーミスタ26が配置され、PTCサーミスタ26を介して第1の端子24と第2の端子25とが接続されている。すなわち、面実装型のPTCサーミスタ26を用いて、DCモータ1の電流制限を行うことができるので、DCモータ1を大型化することなく、必要とされる特性を有するPTCサーミスタ26を用いることができる。具体的には、例えば、素子の大きさに比して内部抵抗が比較的小さいPTCサーミスタ26を用いることができるので、DCモータ1のトルク特性の低下を抑制することができる。PTCサーミスタ26は、第1の端子24及び第2の端子25に接合されるので、別途の実装基板等を用いる必要がなく、DCモータ1の部品点数を少なく抑えることができる。
【0047】
上述の通り、PTCサーミスタ26を第1の端子24と第2の端子25とに接合する前に、PTCサーミスタ26を第1の端子24と第2の端子25とに対して仮に固定された状態にすることができる。したがって、容易にPTCサーミスタ26の接合作業を行うことができ、DCモータ1の製造コストを低く抑えることができる。
【0048】
[その他]
【0049】
上記の実施の形態では、PTCサーミスタが爪部や柱状突起により位置決めされる構造となっているが、爪部や柱状突起は設けられていなくてもよい。面実装型のPTCサーミスタが第1の端子と第2の端子とに接合されている構造が設けられていればよい。第1の端子及び第2の端子がブラケットに固定されている状態で第1の端子と第2の端子とにPTCサーミスタが接合されるものに限られず、予め第1の端子と第2の端子とにPTCサーミスタが接合されているモジュールがブラケットに固定されるようにしてもよい。
【0050】
また、第1の端子、第2の端子、第3の端子、ブラシ等のそれぞれの形状や互いの位置関係は、上述のものに限られない。DCモータの形状や大きさ、第2の端子や第3の端子と外部の端子等との接合態様等に応じて、適宜変更されていてもよい。
【0051】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0052】
1 DCモータ
1a フレーム組立体
1b アマチュア組立体
2 回転軸
7 整流子
20 ブラシ
24 第1の端子
24b 固定部
24f 接合部
24g 爪部(第1の突起の一例)
24h 流れ抑制部
25 第2の端子
25b 固定部
25f 接合部
25g 爪部(第2の突起の一例)
25h 流れ抑制部
26 PTCサーミスタ
26a 実装面
26b 実装面とは反対側の面
26c 第1の電極
26d 第2の電極
28 第3の端子
30 ブラケット
35 柱状突起(位置決め部の一例)
40 ブラケットユニット
図1
図2
図3
図4
図5