特許第6813343号(P6813343)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6813343
(24)【登録日】2020年12月21日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】画面表示方法及び検査装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/339 20210101AFI20201228BHJP
   A61B 5/333 20210101ALI20201228BHJP
   G16H 15/00 20180101ALI20201228BHJP
【FI】
   A61B5/04 314G
   A61B5/04 314A
   G16H15/00
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-233327(P2016-233327)
(22)【出願日】2016年11月30日
(65)【公開番号】特開2018-89003(P2018-89003A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2019年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋井 洋介
(72)【発明者】
【氏名】打田 博則
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健一
【審査官】 門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−189981(JP,A)
【文献】 広野忠敏,ファイルを開かずに内容を確認する方法,できるネット,2015年12月28日,URL,https://dekiru.net/article/13409/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 − 5/22
A61B 8/00 − 8/15
G16H 10/00 −80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶された被検者の検査結果ファイルを転送するときの画面表示方法であって、
検査結果ファイルのファイルリストを表示するファイルリスト表示ステップと、
前記ファイルリストが表示される親画面に対する子画面に、前記ファイルリストの中でユーザにより選択されたファイルの内容を表示する子画面表示ステップと、
を含み、
前記子画面表示ステップでは、前記ファイルの内容として、検査により測定された時系列波形を含む生体情報を表示する、
画面表示方法。
【請求項2】
前記子画面は、前記ファイルリストの中の被検者名及び又は被検者IDを避けた位置に表示される、
請求項1に記載の画面表示方法。
【請求項3】
前記ファイルリスト及び前記ファイルの内容は、タッチパネルに表示され、
前記子画面表示ステップでは、前記タッチパネルが長押しされた位置のファイルの内容を子画面に表示する、
請求項1又は請求項2に記載の画面表示方法。
【請求項4】
蓄積した複数の検査結果ファイルデータの中からユーザによって選択された検査結果ファイルデータを転送可能な検査装置であって、
前記複数の検査結果ファイルデータを蓄積する記憶部と、表示部と、表示制御部と、を有し、
前記表示制御部は、前記表示部に検査結果ファイルのファイルリストを表示させるとともに、前記表示部に前記ファイルリストの中でユーザにより選択されたファイルの内容を前記記憶部から読み出して前記ファイルリストが表示される親画面に対する子画面に表示させ
前記表示制御部は、前記ファイルの内容として、検査により測定された時系列波形を含む生体情報を前記子画面に表示させる、
検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面表示方法及び検査装置に関し、特に検査結果ファイル転送時の画面表示方法、及び、検査結果ファイルを他の装置に転送可能な検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、心臓疾患の診断指標として、心電図が広く用いられている。心電図は、心臓の電気的な活動を体表面で検出し、それを心電波形として表したものである。この心電波形(心電図)を解析することで、心臓の活動に関する様々な情報を得ることができる。
【0003】
近年では、心電図をデータ化して記録するデジタル心電計の開発により、コンピュータを用いて心電図を自動解析することが可能となっている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
このような心電計においては、複数の検査結果ファイルを保存しておき、ユーザによって適宜選択された検査結果ファイルをデータサーバ等の他の装置に転送可能となっているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−116207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、心電計で保存した検査結果ファイルを他の装置に転送する際には、画面に検査結果ファイルリストを表示し、ユーザがそのファイルリストにおける検査日時と被検者名でファイルを確認し、そのファイルを指定することでファイルデータを転送している。
【0007】
しかし、検査日時と被検者名だけでファイルを確認すると、誤ったファイルを転送してしまう可能性がある。特に、同一被検者について複数の検査結果ファイルがある場合などは、どのファイルを転送すればよいか迷うことがある。
【0008】
転送先が医療用のデータサーバなどの場合、一旦受信して登録されたデータは容易に消去することはできない構成となっているため、誤ったファイルの転送は極力避けたい。
【0009】
そこで、一般には、ファンクションボタンなどを操作することでファイルの内容を別画面に表示して内容を確認してから転送を行う。しかし、このように画面切り替えを伴ったファイル内容の確認は、膨大なファイルを扱う健診現場などでは非常に手間となる。
【0010】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、簡単な操作でファイルの誤転送を抑制できる画面表示方法及び検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の画面表示方法の一つの態様は、
記憶された被検者の検査結果ファイルを転送するときの画面表示方法であって、
検査結果ファイルのファイルリストを表示するファイルリスト表示ステップと、
前記ファイルリストが表示される親画面に対する子画面に、前記ファイルリストの中でユーザにより選択されたファイルの内容を表示する子画面表示ステップと、
を含み、
前記子画面表示ステップでは、前記ファイルの内容として、検査により測定された時系列波形を含む生体情報を表示する
【0012】
本発明の検査装置の一つの態様は、
蓄積した複数の検査結果ファイルデータの中からユーザによって選択された検査結果ファイルデータを転送可能な検査装置であって、
前記複数の検査結果ファイルデータを蓄積する記憶部と、表示部と、表示制御部と、を有し、
前記表示制御部は、前記表示部に検査結果ファイルのファイルリストを表示させるとともに、前記表示部に前記ファイルリストの中でユーザにより選択されたファイルの内容を前記記憶部から読み出して前記ファイルリストが表示される親画面に対する子画面に表示させ
前記表示制御部は、前記ファイルの内容として、検査により測定された時系列波形を含む生体情報を前記子画面に表示させる
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ファイルリストの中でユーザにより選択されたファイルの内容を、ファイルリストが表示されている画面の子画面に表示したので、簡単な操作でファイルの誤転送を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態の心電計の外観構成を示す斜視図
図2】心電計の要部構成を示すブロック図
図3】12誘導検査画面を示す図
図4】メニュー画面を示す図
図5】ファイルモード画面を示す図
図6】ファイルリスト画面を示す図
図7】実施の形態によるポップアップ表示を示す図
図8】タッチパネルから指を離した状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0016】
<1>全体構成
図1は、本実施の形態の心電計の外観構成を示す斜視図である。心電計100は、本体部110と、表示部120と、から構成されている。本体部110には、入力キー104やプリンタ部105が設けられている。表示部120にはタッチパネル121が設けられている。
【0017】
本実施の形態の場合、タッチパネル121のサイズは、15インチとなっている。15インチのサイズは、概ねA4の用紙サイズに相当する。これにより、本実施の形態の心電計100では、A4サイズの用紙に記録したのと同様のレイアウト及び大きさの心電波形を、タッチパネル121上で見ることができるようになる。
【0018】
図2は、心電計100の要部構成を示すブロック図である。本体部110は、演算部101、測定部102、記憶部103、入力キー104、プリンタ部105、表示/印刷制御部106及び通信部107を有する。
【0019】
演算部101は、CPU(Central Processing Unit)などにより構成されており、心電図データ処理プログラムを実行することにより、心電波形の形成、及び、心電波形の解析などを行う。また、演算部101は、心電図データ処理プログラムの実行開始、実行停止及び実行条件(閾値など)設定、測定部102などの各種計測機器制御、タッチパネル121やプリンタ部105などの各種周辺機器制御を、入力コマンドに従って行う。
【0020】
測定部102は、被検者(つまり、心電図計測の対象者)に装着される電極部に接続されており、電極部から入力される測定電圧に対して増幅処理などを施し、処理後の測定電圧を演算部101に出力する。因みに、測定部102には、通常、四肢用電極部及び胸部用電極部が接続されており、12誘導心電図を得るために必要な電圧が入力される。
【0021】
記憶部103は、ハードディスクドライブや半導体メモリなどにより構成される。記憶部103は、演算部101により得られた心電波形のデータ及びその解析データを検査結果データとして記憶する。また、記憶部103は、測定部102から出力される測定データも検査結果データとして記憶しておく。記憶部103には、各被検者の検査ごとの検査結果データが検査結果ファイルとしてファイル形式で記憶されている。
【0022】
さらに、記憶部103には、タッチパネル121又は入力キー104からユーザによって入力された、心電計100の設定データも記憶される。心電計100は、記憶部103に記憶された設定データに基づいて動作する。
【0023】
タッチパネル121には、メニュー画面や各種の設定画面が表示され、ユーザは、タッチパネル121をタッチ操作することで、メニューの選択や各種の設定を行うことができる。また、タッチパネル121には、演算部101により得られた心電波形、解析結果、及び検査結果ファイルリストなどが表示される。
【0024】
プリンタ部105は、レーザ式やサーマルヘッド式などのプリンタであり、演算部101により得られた心電波形及び解析結果などを、ユーザによる指示に従って印刷する。
【0025】
表示/印刷制御部106は、タッチパネル121の画面に表示する、及び、プリンタ部105で記録用紙に印刷する、心電波形のレイアウトなどを制御する。本実施の形態における心電波形及び解析結果の表示制御は、主に、表示/印刷制御部106によって行われる。
【0026】
ユーザによってタッチパネル121又は入力キー104を用いて検査結果ファイルの転送操作が行われると、通信部107は、記憶部103に記憶された検査結果ファイルの中からユーザによって指定された検査結果ファイルを例えば所定のデータサーバ等に転送する。
【0027】
<2>検査結果ファイル転送時の画面表示
次に、本実施の形態による検査結果ファイル転送時の画面表示について説明する。
【0028】
例えば図3に示したような12誘導検査画面において「メニュー」のボタンB1がタッチされると、タッチパネル121には図4に示したようなメニュー画面が表示される。勿論、メニュー画面には12誘導検査画面以外の画面からも入ることができる。メニュー画面においてユーザが「ファイル/通信」のボタンB2をタッチすると、図5に示したようなファイルモード画面が表示される。ユーザが「ファイルリスト」のボタンB3をタッチすると、図6に示したようなファイルリストの画面が表示される。
【0029】
ファイルリストは、検査結果ファイルのリストであり、ファイル番号を示すNo、被検者IDを示すID、被検者名を示すNAME、検査日時を示すDATE、性別、年齢、オーダーNo、オーダー種別、検査種別を示すTYPE、検査結果ファイルの転送先を示す保存先などが表示される。ユーザは、このファイルリストの中から所望のファイルを選択して、データサーバ等の転送先に選択したファイルを転送するようになっている。具体的には、ユーザは、ファイルリストの中の所望のファイルを指でタッチすることで転送したいファイルを選択し、別画面(図示せず)で転送先を指定してファイルを転送させる。
【0030】
これに加えて、本実施の形態の画面表示では、ユーザによって検査結果ファイルリストの中の所望のファイルが長押しされると(つまり所定時間以上タッチし続けられると)、図7に示すように、その長押しされたファイルの内容が、ファイルリストが表示されている画面の子画面に表示される。本実施の形態では、長押しされたファイルの内容がファイルリストが表示されている画面と同一画面にポップアップ表示される。具体的には、ポップアップウィンドウW1を表示して、そのポップアップウィンドウW1内にファイルの内容を表示する。ポップアップ表示されるファイルの内容とは、心電波形及び又は解析結果である。具体的には、表示/印刷制御部106がいずれかのファイルが長押しされたことを検出すると、記憶部103からそのファイルの心電波形や解析結果を読み出して、それをタッチパネル121上にポップアップ表示する。なお、長押しを止めてタッチパネルから指を離すと、図8に示すようにポップアップ表示も終了する。
【0031】
なお、ポップアップ表示は、被検者ID及び被検者名が隠れない位置とすることが好ましい。また、ポップアップ表示を背景のファイルリストが全部隠れてしまわないように半透明とすることも好ましい。また、ポップアップ表示に被検者ID及び被検者名を含めるようにしてもよい。さらに、選択している(長押ししている)ファイルの色を反転又は強調すれば、ユーザが選択しているファイルとポップアップ表示されている内容との関係を誤ることがないので好ましい。
【0032】
このように本実施の形態の画面表示では、ファイルリスト画面においてユーザが画面を長押しするといった簡単な操作で、ファイルリスト画面における子画面としてユーザが長押ししたファイルの内容が表示されるので、ユーザは簡単にファイルの内容を確認できる。よって、簡単な操作で意図しないファイルの誤転送を抑制できるようになり、健診現場などのように膨大なファイルを扱う場合に非常に有効である。
【0033】
ユーザが長押しによってファイル内容を確認した後に、ファイルリスト中の所望のファイルを指でタッチすると、転送したいファイルが選択され、ユーザによって別画面(図示せず)の転送ボタンがタッチされると、選択されたファイルが転送される。なお、長押しした状態で指がスワイプされたことを検知したときに、そのファイルを転送ファイルに設定するようにしてもよい。このようにすれば、一旦長押しを止めた後で再びタッチするといった操作よりも簡単な操作で転送ファイルの選択を行うことができる。
【0034】
なお、本実施の形態では、ファイルリストの中の1つのファイルを長押しすることで、長押しされた1つのファイルの内容をポップアップ表示した場合について述べたが、例えばファイルリストの中でユーザによりタッチされた複数(例えば2つ)のファイルの内容を並べてポップアップ表示してもよい。このようにすれば、複数のファイルの内容を比較して転送するファイルを選択できるようになる。因みに、従来このような比較を行おうとすると画面切り替えを何度も行う必要があったが、本実施の形態の方法を用いれば同一画面上で容易に比較を行うことができる。
【0035】
なお、上述の実施の形態では、ユーザによる選択がタッチパネル121でのタッチによって行われる場合を例に説明したが、勿論、ユーザによる選択はタッチに代えてポインタを移動してマウス操作によって行われてもよい。
【0036】
また、上述の実施の形態では、本発明を心電計に適用した場合について述べたが、本発明は複数の検査結果ファイルデータを蓄積しておき、当該複数の検査結果ファイルデータの中からユーザによって選択された検査結果ファイルデータを転送可能な検査装置に広く有効であり、例えば血圧脈波検査装置や超音波検査装置などにも適用可能である。実施の形態の場合には、ファイルの内容を表示する子画面に心電波形を表示したが、血圧脈波検査装置の場合にはファイルの内容として血圧値や脈波波形を、超音波検査装置の場合にはファイルの内容として取得した超音波画像等を表示すればよく、要は、取得した生体情報を子画面に表示すればよい。
【0037】
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することの無い範囲で、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、蓄積した複数の検査結果ファイルデータの中からユーザによって選択された検査結果ファイルデータを転送可能な検査装置に好適である。
【符号の説明】
【0039】
100 心電計
101 演算部
102 測定部
103 記憶部
104 入力キー
105 プリンタ部
106 表示/印刷制御部
107 通信部
110 本体部
120 表示部
121 タッチパネル
W1 ポップアップウィンドウ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8