(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
チャンバと、前記チャンバ内において基板を保持する基板保持部と、処理液を吐出する処理液供給部と、前記処理液供給部からの処理液を前記チャンバの外部へと排出する排液部と、を備え、前記基板を処理する基板処理装置のメンテナンス方法であって、
a)前記排液部のメンテナンスの必要性の程度を示すメンテナンス必要度を前記排液部から取得する工程と、
b)前記a)工程にて取得された前記メンテナンス必要度が第1閾値以上かつ第2閾値未満である場合、前記排液部に洗浄液を供給して前記排液部の洗浄を行い、前記a)工程にて取得された前記メンテナンス必要度が前記第2閾値以上である場合、警告信号を発する工程と、
を備えることを特徴とするメンテナンス方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような基板処理装置では、比較的粘度が高い処理液が利用されることがある。また、基板に対して複数種類の処理液を順次供給して処理を行う場合、複数種類の処理液として、混ざることにより相分離を起こしたりゲル化するなどして粘度が高くなるものが使用されることがある。また、複数種類の処理液が混ざることにより、凝固物が生じることもある。このような高粘度の処理液、ゲル状物質または凝固物等が排液部に付着したり詰まったりすると、排液部による処理液の排出が阻害されるおそれがある。
【0006】
特許文献2では、薬液中に形成される反応生成物により液面センサのチューブが詰まることを防止するために、処理槽内の薬液交換時に、あるいは、作業者の判断により、チューブにエア等を圧送して、チューブ内から反応生成物を吹き飛ばすことが提案されている。しかしながら、薬液交換時にチューブの清掃を行う場合、薬液交換よりも前にチューブが詰まると、洗浄装置の誤作動が生じるおそれがある。また、作業者の判断によりチューブの清掃を行う場合、作業者の点検よりも前にチューブが詰まったり、作業者が判断ミスをすると、やはり、洗浄装置の誤作動が生じるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、基板処理装置において、排液部のメンテナンスを好適に行うことを目的としている。また、排液部のメンテナンスの必要性に応じて自動的に処理を切り替えることも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、基板を処理する基板処理装置であって、チャンバと、前記チャンバ内において基板を保持する基板保持部と、処理液を吐出する処理液供給部と、前記処理液供給部からの処理液を前記チャンバの外部へと排出する排液部と、前記排液部に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、前記排液部のメンテナンスの必要性の程度を示すメンテナンス必要度を前記排液部から取得する検出部と、前記検出部により取得された前記メンテナンス必要度が第1閾値以上かつ第2閾値未満である場合、前記洗浄液供給部から前記排液部に前記洗浄液を供給させ
て前記排液部の洗浄を行い、前記検出部により取得された前記メンテナンス必要度が前記第2閾値以上である場合、警告信号を発する制御部とを備える。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板処理装置であって、前記制御部が前記処理液供給部に対する吐出開始指令を発令したことをトリガーとして、前記検出部による前記メンテナンス必要度の取得が行われる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の基板処理装置であって、前記検出部からの出力が前記第1閾値以上かつ前記第2閾値未満である場合、前記吐出開始指令が前記処理液供給部へと伝達され、前記処理液供給部から前記基板に処理液が供給されて前記基板の処理が行われた後、前記洗浄液供給部から前記排液部に前記洗浄液が供給される。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、前記洗浄液供給部から前記排液部に前記洗浄液が供給された後、前記検出部による前記メンテナンス必要度の再取得が行われ、前記検出部により再取得された前記メンテナンス必要度が前記第1閾値以上かつ前記第2閾値未満である場合、前記制御部による制御により、前記洗浄液供給部から前記排液部に前記洗浄液が供給され、前記検出部により再取得された前記メンテナンス必要度が前記第2閾値以上である場合、前記制御部により警告信号が発せられる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の基板処理装置であって、前記検出部が、前記排液部の透明または半透明の排液管に向けて光を出射する発光部と、前記排液管を透過した前記発光部からの光を受ける受光部とを備え、前記処理液供給部から吐出される処理液が有色であり、前記第1閾値が、前記処理液による前記排液管の内面の着色により低下した光量に対応し、前記第2閾値が、前記処理液が前記排液管内に溜まっていることにより低下した光量に対応する。
【0013】
請求項6に記載の発明は、チャンバと、前記チャンバ内において基板を保持する基板保持部と、処理液を吐出する処理液供給部と、前記処理液供給部からの処理液を前記チャンバの外部へと排出する排液部とを備え、前記基板を処理する基板処理装置のメンテナンス方法であって、a)前記排液部のメンテナンスの必要性の程度を示すメンテナンス必要度を前記排液部から取得する工程と、b)前記a)工程にて取得された前記メンテナンス必要度が第1閾値以上かつ第2閾値未満である場合、前記排液部に洗浄液を供給し
て前記排液部の洗浄を行い、前記a)工程にて取得された前記メンテナンス必要度が前記第2閾値以上である場合、警告信号を発する工程とを備える。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のメンテナンス方法であって、前記処理液供給部に対する吐出開始指令の発令をトリガーとして、前記a)工程が行われる。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のメンテナンス方法であって、前記b)工程において、前記メンテナンス必要度が前記第1閾値以上かつ前記第2閾値未満である場合、前記吐出開始指令が前記処理液供給部へと伝達され、前記処理液供給部から前記基板に処理液が供給されて前記基板の処理が行われた後、前記排液部に前記洗浄液が供給される。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項6ないし8のいずれか1つに記載のメンテナンス方法であって、c)前記b)工程において前記排液部に前記洗浄液が供給された場合、前記b)工程よりも後に、前記メンテナンス必要度の再取得を行う工程と、d)前記c)工程にて再取得された前記メンテナンス必要度が前記第1閾値以上かつ前記第2閾値未満である場合、前記排液部に前記洗浄液を供給し、前記c)工程にて再取得された前記メンテナンス必要度が前記第2閾値以上である場合、警告信号を発する工程とをさらに備える。
【0017】
請求項10に記載の発明は、請求項6ないし9のいずれか1つに記載のメンテナンス方法であって、前記a)工程において、前記メンテナンス必要度が、前記排液部の透明または半透明の排液管を透過した光の光量に基づいて取得され、前記処理液供給部から吐出される処理液が有色であり、前記第1閾値が、前記処理液による前記排液管の内面の着色により低下した光量に対応し、前記第2閾値が、前記処理液が前記排液管内に溜まっていることにより低下した光量に対応する。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、排液部のメンテナンスを好適に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る基板処理装置1の構成を示す図である。基板処理装置1は、半導体基板9(以下、単に「基板9」という。)を1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、基板9に処理液を供給して処理を行う。
図1では、基板処理装置1の構成の一部を断面にて示す。
【0021】
基板処理装置1は、チャンバ11と、基板保持部31と、基板回転機構33と、カップ部4と、処理液供給部5と、処理液排出部6と、制御部71とを備える。チャンバ11の内部には、基板保持部31およびカップ部4等が収容される。制御部71は、基板処理装置1の各構成を制御する。制御部71は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶するROMおよび各種情報を記憶するRAM等を含む一般的なコンピュータシステムである。
【0022】
基板保持部31は、上下方向を向く中心軸J1を中心とする略円板状の部材である。基板9は、基板保持部31の上方に配置される。基板9は、チャンバ11内において水平状態にて基板保持部31により保持される。基板回転機構33は、基板保持部31の下方に配置される。基板回転機構33は、中心軸J1を中心として基板9を基板保持部31と共に回転する。基板回転機構33は、有蓋略円筒状の回転機構収容部34の内部に収容される。
【0023】
処理液供給部5は、基板9に向けて処理液を吐出する。
図1に示す例では、処理液供給部5は、基板9に複数種類の処理液を個別に供給する。処理液供給部5は、第1ノズル51と、第2ノズル52と、第3ノズル53とを備える。第1ノズル51および第2ノズル52はそれぞれ、基板9の上方から基板9の上側の主面(以下、「上面91」という。)に向けて処理液を供給する。第1ノズル51から基板9に処理液の供給が行われている状態では、第2ノズル52および第3ノズル53は、基板9の径方向外側へと退避している。第2ノズル52から基板9に処理液の供給が行われる際には、第1ノズル51および第3ノズル53が基板9の径方向外側へと退避し、第2ノズル52が基板9の上方に位置する。第3ノズル53は、基板9の上方から基板9の上面91の周縁領域(すなわち、エッジ部)に向けて処理液を供給する。
図1では、第1ノズル51、第2ノズル52および第3ノズル53を、基板9の上方に描いている。処理液供給部5は、基板9の下方に配置されて基板9の下側の主面に処理液を供給する下部ノズルも備えてもよい。
【0024】
カップ部4は、中心軸J1を中心とする環状の部材であり、基板9および基板保持部31の周囲に配置される。カップ部4は、上カップ部41と、下カップ部42と、カップ移動機構43とを備える。上カップ部41は、中心軸J1を中心とする略円筒状の部材である。上カップ部41は、基板9および基板保持部31の径方向外側に配置され、基板9および基板保持部31の側方を全周に亘って覆う。上カップ部41は、回転中の基板9から周囲に向かって飛散する処理液等を受ける。カップ移動機構43は、上カップ部41を上下方向に移動する。上カップ部41は、
図1に示す基板9の周囲の位置である処理位置と、当該処理位置よりも下方の退避位置との間を、カップ移動機構43により移動する。
【0025】
下カップ部42は、中心軸J1を中心とする有底略円筒状の部材である。下カップ部42は、上カップ部41の下方にて回転機構収容部34の径方向外側に配置される。下カップ部42は、例えば、回転機構収容部34の外側面に固定される。下カップ部42は、上カップ部41の下部に接続される。具体的には、上カップ部41の下端部が、下カップ部42の内部に挿入される。下カップ部42は、上カップ部41にて受けられた処理液等を受ける。下カップ部42の底部には、下カップ部42にて受けられた処理液等を排出する排液ポート44が設けられる。排液ポート44には、処理液等をチャンバ11の外部へと導く処理液排出部6の排液管61(以下、「共通排液管61」と呼ぶ。)が接続される。共通排液管61は、排液ポート44から下方に延びる。共通排液管61は、例えば、略鉛直下方に延びてもよく、上下方向に対して傾斜しつつ下方に延びてもよい。
【0026】
図2は、基板処理装置1の処理液供給部5および処理液排出部6を示すブロック図である。
図2では、処理液供給部5および処理液排出部6以外の構成も併せて示す。第1ノズル51は、薬液供給源54、基板洗浄液供給源55およびIPA(イソプロピルアルコール)供給源56に接続される。第2ノズル52は、充填剤溶液供給源57に接続される。第3ノズル53は、IPA供給源56に接続される。
【0027】
薬液供給源54から送出された薬液は、第1ノズル51を介して基板9の上面91の中央部に供給される。薬液としては、例えば、フッ酸または水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液等のエッチング液が利用される。基板洗浄液供給源55から送出された基板洗浄液も、第1ノズル51を介して基板9の上面91の中央部に供給される。基板洗浄液としては、例えば、純水(DIW:deionized water)や炭酸水が利用される。IPA供給源56から第1ノズル51へと送出されたIPAは、第1ノズル51を介して基板9の上面91の中央部に供給される。
【0028】
第1ノズル51の下端には、例えば、薬液用、基板洗浄液用およびIPA用の複数の吐出口が設けられており、種類の異なる処理液は、異なる配管および吐出口を介して基板9の上面91に供給される。処理液供給部5では、例えば、第1ノズル51に代えて、薬液、基板洗浄液およびIPAを基板9の上面91の中央部にそれぞれ供給する複数の処理液ノズルが設けられてもよい。
【0029】
充填剤溶液供給源57から第2ノズル52へと送出された充填剤溶液は、第2ノズル52を介して基板9の上面91の中央部に供給される。充填剤溶液としては、例えば、固体の溶質であるポリマーを溶媒に溶かした溶液が利用される。ポリマーが非水溶性である場合、溶媒としては、例えばIPAが利用される。当該ポリマーは、基板9上において溶媒が気化することにより固化し、基板処理装置1とは別の装置において昇華されるものであり、昇華剤とも呼ばれる。また、充填剤溶液は、溶媒とは異なる特定の液体(例えば、水)と混ざることにより、相分離を起こしてゲル状物質となる性質を有する。充填剤溶液は、例えば、赤色等の有色の液体である。
【0030】
IPA供給源56から第3ノズル53へと送出されたIPAは、第3ノズル53を介して基板9の上面91の周縁領域に供給される。
【0031】
基板処理装置1における基板9の処理は、例えば、薬液処理、洗浄処理、IPA置換処理、充填剤充填処理、エッジリンス処理および乾燥処理の順で行われる。具体的には、まず、回転中の基板9に対して第1ノズル51から薬液が供給されることにより、基板9に対する薬液処理が行われる。続いて、薬液の供給が停止され、回転中の基板9に対して第1ノズル51から基板洗浄液が供給されることにより、基板9に対する洗浄処理が行われる。次に、基板洗浄液の供給が停止され、回転中の基板9に対して第1ノズル51からIPAが供給されることにより、基板9上の基板洗浄液がIPAに置換される。
【0032】
さらに、IPAの供給が停止され、回転中の基板9に対して第2ノズル52から充填剤溶液が所定時間だけ供給された後、基板9の回転速度が低下され、基板9の上面91全体が充填剤溶液により覆われた状態が維持される。これにより、基板9の上面91上のパターン間に充填剤溶液が充填される。その後、基板9の回転速度が増大され、基板9の上面91の周縁領域に第3ノズル53からIPAが供給されることにより、基板9の周縁領域の充填剤溶液を除去するエッジリンス処理が行われる。そして、基板9の回転速度が増大され、基板9の乾燥処理が行われる。上記処理中に基板9上に供給された薬液、基板洗浄液、IPAおよび充填剤溶液は、カップ部4により受けられ、排液ポート44を介して処理液排出部6の共通排液管61へと排出される。
【0033】
処理液排出部6は、排液部60と、洗浄液供給部63と、検出部64とを備える。排液部60は、上述の共通排液管61と、切り替えバルブ62とを備える。共通排液管61は、処理液供給部5から基板9に供給された複数種類の処理液をチャンバ11の外部へと排出する排液管である。共通排液管61は、例えば、透明または半透明の配管である。切り替えバルブ62は、チャンバ11の外部にて共通排液管61に接続される。切り替えバルブ62は、共通排液管61によりチャンバ11から導かれた複数種類の処理液の送液先を切り替える。
【0034】
図2に示す例では、切り替えバルブ62には、3本の送液管621a,621b,621cが接続されている。切り替えバルブ62は、3つのバルブ62a,62b,62cを有する、いわゆる三連バルブである。切り替えバルブ62では、内蔵されたバルブ62a,62b,62cを切り替えることにより、共通排液管61から流入する液体を、3本の送液管621a,621b,621cの任意のいずれか(複数の送液管が選択されてもよい。)へと導くことができる。また、切り替えバルブ62のバルブ62a,62b,62cの全てを閉鎖状態とすることにより、3本の送液管621a,621b,621cのいずれにも液体を導かず、切り替えバルブ62内に液体を一時的に貯溜することもできる。切り替えバルブ62では、例えば、チャンバ11から排出されたIPAは、図中の最も上側の送液管621aへと導かれる。また、チャンバ11から排出された充填剤溶液は、図中の上側から2番目の送液管621bへと導かれる。さらに、チャンバ11から排出された薬液および基板洗浄液は、図中の最も下側の送液管621cへと導かれる。
【0035】
検出部64は、共通排液管61上の所定の検出位置に設けられ、排液部60のメンテナンス必要度を取得する。排液部60のメンテナンス必要度とは、排液部60のメンテナンスの必要性の程度を示す指標である。排液部60におけるメンテナンスの必要性が高くなるに従って、メンテナンス必要度が大きくなる。上述の検出位置は、排液ポート44と切り替えバルブ62とを接続する共通排液管61上のいずれの位置であってもよい。好ましくは、検出部64による検出位置は、チャンバ11の外部である。検出部64は、例えば、チャンバ11の外部にて共通排液管61に取り付けられる。検出部64の取り付け位置が、上述の検出位置である。
【0036】
検出部64は、例えば、発光部641と、受光部642とを備える光学センサである。発光部641は、透明または半透明の共通排液管61に向けて光を出射する。受光部642は、発光部641から出射されて共通排液管61を透過した光を受ける。上述のメンテナンス必要度は、受光部642により受光された光の光量(すなわち、受光量)に基づいて取得される。
【0037】
メンテナンス必要度は、例えば、共通排液管61が正常な状態である基準状態における受光量を基準受光量として、当該基準受光量に対する受光部642における実際の受光量(以下、「測定受光量」と呼ぶ。)の割合に基づいて取得される。この場合、基準受光量に対する測定受光量の割合が小さくなるに従って、メンテナンス必要度は大きくなる。検出部64により取得されたメンテナンス必要度は、制御部71へと送られる。なお、共通排液管61では、検出部64が設けられる部位(すなわち、検出位置)のみが透明または半透明であり、検出位置以外の部位は不透明であってもよい。
【0038】
洗浄液供給部63は、排液部60に洗浄液(すなわち、排液部洗浄液)を供給する。具体的には、洗浄液供給部63は、チャンバ11と検出部64との間において共通排液管61に接続され、共通排液管61に洗浄液を供給する。洗浄液供給部63から供給される洗浄液としては、例えば、ゲル状物質と化した上記ポリマーを溶かす性質を有する様々な液体が利用される。当該洗浄液は、例えば、充填剤溶液の溶媒と同じ液体である。上述の例では、洗浄液としてIPAが利用される。この場合、洗浄液供給部63からの洗浄液は、処理液供給部5から基板9に供給される複数種類の処理液のうち一の処理液と同じである。
【0039】
制御部71には、メンテナンス必要度に関する第1閾値および第2閾値が予め記憶されている。第2閾値は、第1閾値よりも大きく、第1閾値が示すメンテナンス必要度よりもメンテナンスの必要が高いことを示す。第1閾値は、有色(例えば、赤色)の充填剤溶液が、透明または半透明の共通排液管61の内面に付着して当該内面が着色し、共通排液管61の着色がない基準状態に比べて低下した測定受光量に対応する。第2閾値は、充填剤溶液等の処理液が共通排液管61内に溜まっていることにより、共通排液管61における散乱および屈折等が大きくなり、基準状態に比べて低下した測定受光量に対応する。すなわち、第1閾値は、共通排液管61の汚れに対応する閾値であり、第2閾値は、共通排液管61の詰まりに対応する閾値である。例えば、第1閾値は、基準受光量の約50%の測定受光量に対応し、第2閾値は、基準受光量の約10%の測定受光量に対応する。
【0040】
基板処理装置1では、検出部64により取得されたメンテナンス必要度が第1閾値未満である場合、制御部71は、排液部60のメンテナンスは不要と判断する。また、検出部64により取得されたメンテナンス必要度が第1閾値以上かつ第2閾値未満である場合、制御部71は、排液部60は詰まってはいないが、汚れがある程度進行していると判断する。そして、制御部71は洗浄液供給部63を制御し、洗浄液供給部63から排液部60に洗浄液を供給させて排液部60の洗浄を行わせる。一方、検出部64により取得されたメンテナンス必要度が第2閾値以上である場合、制御部71は、排液部60が詰まっていると判断し、排液部60の洗浄を行うことなく警告信号を発する。
【0041】
以下、基板処理装置1における排液部60のメンテナンスの流れについて、
図3Aおよび
図3Bを参照しつつ説明する。
図3Aおよび
図3Bに例示するメンテナンスでは、基板9に対して、上述のように、薬液処理、洗浄処理、IPA置換処理、充填剤充填処理、エッジリンス処理および乾燥処理(以下、これらの処理をまとめて「一連の処理」とも呼ぶ。)が順に行われる際に、処理液排出部6のメンテナンスの必要性が検討される。具体的には、まず、制御部71から、処理液供給部5に対する薬液の吐出開始指令が発令される(ステップS11)。当該吐出開始指令は、処理液供給部5に対して、基板9に対する薬液の吐出を開始するように指示する指令である。ただし、ステップS11では、制御部71から発令された吐出開始指令は、まだ処理液供給部5には送られない。
【0042】
続いて、ステップS11において吐出開始指令が発令されたことをトリガーとして、制御部71により検出部64が制御され、メンテナンス必要度の取得が行われる(ステップS12)。検出部64により取得されたメンテナンス必要度(すなわち、受光部642により取得された受光量)が制御部71へ送られると、制御部71において、メンテナンス必要度と第1閾値および第2閾値との比較が行われる(ステップS13)。
【0043】
検出部64から出力されたメンテナンス必要度が第1閾値未満である場合、制御部71は、排液部60のメンテナンスは不要と判断する。そして、ステップS11において発令された吐出開始指令が、処理液供給部5へと伝達され、処理液供給部5から基板9に薬液が供給されて薬液処理が行われる。その後、基板9に対する洗浄処理、IPA置換処理、充填剤充填処理、エッジリンス処理および乾燥処理が順次行われる(ステップS141)。この場合、排液部60の洗浄は行われない。基板9に対する上記一連の処理が終了すると、基板9が基板処理装置1から搬出され、次に処理が行われる予定の基板9が基板処理装置1に搬入される。
【0044】
検出部64から出力されたメンテナンス必要度が第2閾値以上である場合、制御部71は、排液部60が詰まっていると判断する。そして、ステップS11において発令された吐出開始指令は、処理液供給部5へと伝達されることなく取り消され、基板9に対する上記一連の処理が中止される。その後、制御部71により警告信号が発せられる(ステップS161)。基板処理装置1では、制御部71からの警告信号に基づいて警告動作が行われ、作業者に警告情報が伝達される。基板処理装置1における警告動作は、例えば、警告音による通知、基板処理装置1の操作画面への警告の表示、作業者の操作端末への警告画像の表示、または、作業者の通信端末への警告メールの送信である。警告情報を受け取った作業者は、例えば、排液部60の詰まりを解消するためのメンテナンス作業を行う。
【0045】
一方、検出部64から出力されたメンテナンス必要度が第1閾値以上かつ第2閾値未満である場合、制御部71は、基板9に対する一連の処理は実行可能だが、排液部60のメンテナンスも必要であると判断する。そして、ステップS11において発令された吐出開始指令が、処理液供給部5へと伝達される。これにより、処理液供給部5から基板9に薬液が供給され、基板9に対する薬液処理が行われる。その後、基板9に対する洗浄処理、IPA置換処理、充填剤充填処理、エッジリンス処理および乾燥処理が順次行われる(ステップS151)。基板9に対する上記一連の処理が終了すると、基板9が基板処理装置1から搬出される。
【0046】
また、制御部71により洗浄液供給部63が制御されることにより、洗浄液供給部63から排液部60の共通排液管61に上述の洗浄液が供給され、排液部60の洗浄が行われる(ステップS152)。当該排液部60の洗浄は、排液部60が詰まることを予防するための予防処理である。なお、排液部60の洗浄は、基板処理装置1からの基板9の搬出と並行して行われてもよく、基板9の搬出前または搬出後に行われてもよい。
【0047】
基板処理装置1では、ステップS152において洗浄液供給部63から排液部60に洗浄液が供給された後、検出部64によるメンテナンス必要度の再取得が行われる(ステップS153)。そして、ステップS153において検出部64により再取得されたメンテナンス必要度が、制御部71において、第1閾値および第2閾値と比較される(ステップS154)。
【0048】
再取得されたメンテナンス必要度が第1閾値未満である場合、制御部71は、排液部60の洗浄が好適に行われ、排液部60の汚れが許容範囲まで除去されたと判断する。この場合、排液部60のメンテナンスは終了し、次に処理される予定の基板9が基板処理装置1に搬入される。
【0049】
再取得されたメンテナンス必要度が第2閾値以上である場合、制御部71は、ステップS151における基板9の処理、および/または、ステップS152における排液部60の洗浄により、排液部60の状態が悪化し、排液部60が詰まったと判断する。そして、制御部71により警告信号が発せられ(ステップS158)、当該警告信号に基づいた警告動作が行われて作業者に警告情報が伝達される。警告情報を受け取った作業者は、例えば、排液部60の詰まりを解消するためのメンテナンス作業を行う。
【0050】
一方、再取得されたメンテナンス必要度が第1閾値以上かつ第2閾値未満である場合、制御部71は、排液部60の汚れは許容範囲まで除去されておらず、排液部60の更なるメンテナンスが必要であると判断する。そして、制御部71により洗浄液供給部63が制御されることにより、洗浄液供給部63から排液部60の共通排液管61に上述の洗浄液が供給され、排液部60の洗浄が再び行われる(ステップS155)。
【0051】
排液部60の洗浄が終了すると、ステップS11以降に行われた排液部60の洗浄の回数(以下、「洗浄回数」と呼ぶ。)が、所定の制限回数と比較される(ステップS156)。当該制限回数は、排液部60に対する洗浄が際限なく行われることを防止する目的で予め設定される。当該制限回数は、2回以上の範囲で適宜設定されてよく、例えば3回である。
【0052】
排液部60の洗浄回数が制限回数未満である場合、ステップS153に戻り、メンテナンス必要度の再取得、および、当該メンテナンス必要度と第1閾値および第2閾値との比較が行われる(ステップS153,S154)。そして、再取得されたメンテナンス必要度が第1閾値未満である場合、排液部60のメンテナンスは終了し、次に処理される予定の基板9が基板処理装置1に搬入される。また、再取得されたメンテナンス必要度が第2閾値以上である場合、制御部71により警告信号が発せられる(ステップS158)。
【0053】
一方、再取得されたメンテナンス必要度が第1閾値以上かつ第2閾値未満である場合、洗浄液供給部63から洗浄液が供給され、排液部60の洗浄が再び行われる(ステップS155)。そして、排液部60の洗浄回数が制限回数と比較され(ステップS156)、洗浄回数が制限回数以上である場合、制御部71は、洗浄液供給部63による洗浄では排液部60の状態は改善されないと判断し、警告信号を発する(ステップS157)。基板処理装置1では、当該警告信号に基づいた警告動作が行われて作業者に警告情報が伝達される。警告情報を受け取った作業者は、例えば、排液部60の汚れを除去するためのメンテナンス作業を行う。
【0054】
以上に説明したように、基板処理装置1は、チャンバ11と、基板保持部31と、排液部60と、洗浄液供給部63と、検出部64と、制御部71とを備える。基板保持部31は、チャンバ11内において基板9を保持する。処理液供給部5は、処理液を吐出する。排液部60は、処理液供給部5からの処理液をチャンバ11の外部へと排出する。洗浄液供給部63は、排液部60に洗浄液を供給する。検出部64は、排液部60のメンテナンスの必要性の程度を示すメンテナンス必要度を、排液部60から取得する。検出部64により取得されたメンテナンス必要度が第1閾値以上かつ第2閾値未満である場合、制御部71は、洗浄液供給部63から排液部60に洗浄液を供給させる。検出部64により取得されたメンテナンス必要度が第2閾値以上である場合、制御部71は警告信号を発する。
【0055】
このように、基板処理装置1では、排液部60からメンテナンス必要度を取得し(ステップS12)、当該メンテナンス必要度に基づいて排液部60のメンテナンスを行う(ステップS152,S161)。これにより、排液部60に汚れや詰まりが生じてメンテナンスが必要となった場合に、排液部60のメンテナンスを自動的にかつ好適に行うことができる。その結果、メンテナンスの必要性がない状態、または、必要性が低い状態であっても定期的にメンテナンスを行う場合に比べて、基板処理装置1におけるメンテナンス時間を短縮し、生産効率を向上することができる。
【0056】
また、基板処理装置1では、排液部60に対するメンテナンスを行うと判断された場合、メンテナンスの必要性の程度に応じてメンテナンスの内容(すなわち、メンテナンスの種類)を自動的に切り替えることができる。このように、基板処理装置1では、排液部60の詰まりを予防する予防処理と、排液部60の詰まりを検出するトラブル検出処理とを、同じ構成にて行うことができる。したがって、基板処理装置1の構造を簡素化することができる。
【0057】
基板処理装置1では、制御部71が処理液供給部5に対する吐出開始指令を発令したこと(ステップS11)をトリガーとして、検出部64によるメンテナンス必要度の取得が行われる(ステップS12)。これにより、排液部60が処理液の排出に利用される機会が生じる毎に、排液部60に対するメンテナンスの必要性が検討される。その結果、排液部60の詰まりを予防する予防処理を好適に行うことができるため、排液部60の詰まりが生じる可能性を低減することができる。
【0058】
上述のように、検出部64からの出力が第1閾値以上かつ第2閾値未満である場合、吐出開始指令は処理液供給部5へと伝達され、処理液供給部5から基板9に処理液が供給されて基板9の処理が行われる(ステップS151)。その後、洗浄液供給部63から排液部60に洗浄液が供給される(ステップS152)。このように、基板9の処理を中止および中断することなく実施した後に、排液部60の洗浄を行うことにより、基板処理装置1の生産効率をさらに向上することができる。
【0059】
基板処理装置1では、洗浄液供給部63から排液部60に洗浄液が供給された後、検出部64によるメンテナンス必要度の再取得が行われる(ステップS152,S153)。検出部64により再取得されたメンテナンス必要度が第1閾値以上かつ第2閾値未満である場合、制御部71による制御により、洗浄液供給部63から排液部60に洗浄液が供給される(ステップS155)。検出部64により再取得されたメンテナンス必要度が第2閾値以上である場合、制御部71により警告信号が発せられる(ステップS158)。これにより、ステップS152における排液部60の洗浄が不足している場合、排液部60を自動的に再洗浄することができる。また、ステップS151における基板9の処理、または、ステップS152における洗浄により、排液部60の状態が悪化した場合(すなわち、排液部60の詰まりの程度が悪化した場合)、次の基板9に対する薬液処理等が行われるよりも前に、排液部60の状態悪化を迅速に発見することができる。
【0060】
上述のように、検出部64は、発光部641と、受光部642とを備える。発光部641は、排液部60の透明または半透明の共通排液管61に向けて光を出射する。受光部642は、共通排液管61を透過した発光部641からの光を受ける。また、処理液供給部5から吐出される処理液(例えば、充填剤溶液)が有色である。第1閾値は、当該処理液による共通排液管61の内面の着色により低下した光量に対応する。第2閾値は、当該処理液が共通排液管61内に溜まっていることにより低下した光量に対応する。これにより、比較的検出しにくい共通排液管61の汚れを容易に、かつ、精度良く検出することができる。また、共通排液管61の汚れ、および、排液部60の詰まりを、精度良く区別して検出することができる。
【0061】
上述の基板処理装置1では、様々な変更が可能である。
【0062】
例えば、検出部64は、必ずしも上述の光センサである必要はなく、他の構造の光センサであってもよい。検出部64は、排液部60からメンテナンス必要度を取得することができるのであれば、光センサ以外の様々なセンサ(例えば、共通排液管61の壁面に取り付けられた静電容量センサ)であってもよい。検出部64として静電容量センサが利用される場合、共通排液管61は不透明であってもよい。また、共通排液管61を流れる処理液は、透明または半透明であってもよい。
【0063】
基板処理装置1における排液部60のメンテナンスの流れは、
図3Aおよび
図3Bに例示するものには限定されず、適宜変更されてよい。例えば、ステップS152における排液部60の洗浄後、ステップS153〜S158は省略され、排液部60のメンテナンスが終了してもよい。
【0064】
基板処理装置1では、必ずしも、基板9に対する上記一連の処理の直前(すなわち、処理液の供給直前)にメンテナンス必要度の取得が行われる必要はない。例えば、
図4に示すように、基板処理装置1に設けられたプリディスペンス部81へのプリディスペンスの直前に、メンテナンス必要度の取得が行われてもよい。プリディスペンスとは、例えば、第1ノズル51から基板9に処理液(例えば、薬液)が供給される前に、第1ノズル51の先端部等に残留している処理液を吐出して捨てることである。プリディスペンスは、第2ノズル52および第3ノズル53についてもそれぞれ行われてよい。なお、
図4では、
図2に示す薬液供給源54、基板洗浄液供給源55、IPA供給源56および充填剤溶液供給源57の図示を省略している。
【0065】
プリディスペンス部81は、チャンバ11内において、カップ部4の径方向外側に配置される。プリディスペンス部81は、第1ノズル51からプリディスペンスされた処理液を受ける。プリディスペンス部81により受けられた処理液は、プリディスペンス配管82によりチャンバ11の外部へと導かれ、チャンバ11の外部において共通排液管61へと導かれる。プリディスペンス配管82は、共通排液管61の上記検出位置よりもチャンバ11側(すなわち、検出部64が設けられる位置よりも上流側)において、共通排液管61に接続される。
図5に示す例では、プリディスペンス配管82は、洗浄液供給部63が共通排液管61に接続される接続部と、検出部64による検出位置との間において、共通排液管61に接続される。なお、プリディスペンス配管82は、チャンバ11内において共通排液管61に接続されてもよい。
【0066】
プリディスペンスの直前にメンテナンス必要度の取得が行われる場合、排液部60のメンテナンスの流れは、
図3Aおよび
図3Bに示すものとほぼ同様である。ただし、
図3AのステップS11では、制御部71から処理液供給部5に対して、薬液のプリディスペンスを行うための吐出開始指令が発令される。また、ステップS141およびステップS151の基板9に対する一連の処理に代えて、上記吐出開始指令が処理液供給部5へと伝達され、処理液供給部5からプリディスペンス部81に薬液がプリディスペンスされる。すなわち、ステップS152における排液部60の洗浄の前に、基板9に対する一連の処理(ステップS151)は行われない。なお、当該薬液のプリディスペンスに続いて、基板洗浄液、IPAおよび充填剤溶液のプリディスペンスがプリディスペンス部81に向けて行われてもよい。その他のステップは、
図3Aおよび
図3Bに示すものと同様である。
【0067】
プリディスペンスの直前にメンテナンス必要度の取得が行われる場合も、
図3Aおよび
図3Bに例示する場合と同様に、排液部60のメンテナンスを自動的にかつ好適に行うことができる。その結果、基板処理装置1におけるメンテナンス時間を短縮し、生産効率を向上することができる。また、基板処理装置1では、排液部60の詰まりを予防する予防処理と、排液部60の詰まりを検出するトラブル検出処理とを、同じ構成にて行うことができる。したがって、基板処理装置1の構造を簡素化することができる。
【0068】
図4に示す基板処理装置1では、制御部71が処理液供給部5に対する吐出開始指令を発令したことをトリガーとして、
図3Aおよび
図3Bに例示する場合と同様に、検出部64によるメンテナンス必要度の取得が行われる(ステップS12)。これにより、排液部60の詰まりを予防する予防処理を好適に行うことができるため、排液部60の詰まりが生じる可能性を低減することができる。
【0069】
基板処理装置1では、検出部64からの出力が第1閾値以上かつ第2閾値未満である場合、吐出開始指令は処理液供給部5へと伝達されてプリディスペンスが行われる。その後、
図3Aおよび
図3Bに例示する場合と同様に、洗浄液供給部63から排液部60に洗浄液が供給される(ステップS152)。これにより、基板処理装置1の生産効率をさらに向上することができる。
【0070】
基板処理装置1では、
図3Aおよび
図3Bに例示する場合と同様に、洗浄液供給部63から排液部60に洗浄液が供給された後、検出部64によるメンテナンス必要度の再取得が行われる(ステップS152,S153)。検出部64により再取得されたメンテナンス必要度が第1閾値以上かつ第2閾値未満である場合、制御部71による制御により、洗浄液供給部63から排液部60に洗浄液が供給される(ステップS155)。検出部64により再取得されたメンテナンス必要度が第2閾値以上である場合、制御部71により警告信号が発せられる(ステップS158)。これにより、ステップS152における排液部60の洗浄が不足している場合、排液部60を自動的に再洗浄することができる。また、処理液のプリディスペンスまたはステップS152における洗浄により、排液部60の状態が悪化した場合(すなわち、排液部60の詰まりの程度が悪化した場合)、排液部60の状態悪化を迅速に発見することができる。
【0071】
図1および
図4に示す基板処理装置1では、必ずしも、基板9に対する一連の処理の直前、または、プリディスペンスの直前にメンテナンス必要度の取得が行われる必要はない。換言すれば、ステップS12におけるメンテナンス必要度の取得は、処理液供給部5に対する処理液の吐出開始指令をトリガーとして行われる必要はない。例えば、メンテナンス必要度の取得(ステップS12)は、前回のメンテナンス必要度の取得から基板9が所定の枚数だけ処理されたことをトリガーとして行われてもよい。あるいは、当該トリガーとして、前回のメンテナンス必要度の取得からの経過時間、または、前回のメンテナンス必要度の取得からの充填剤溶液の吐出回数が利用されてもよい。
【0072】
また、基板処理装置1では、基板9に対する処理が行われていない基板処理装置1の待機状態において、
図3Aおよび
図3Bに示すステップS11〜S13,S141,S151〜S158,S161からステップS11,S141,S151が省略された処理が行われてもよい。当該処理は、例えば、基板処理装置1全体の洗浄処理が行われる際に並行して行われる。いずれの場合も、上記と同様に、排液部60のメンテナンスを自動的にかつ好適に行うことができる。また、排液部60の詰まりを予防する予防処理と、排液部60の詰まりを検出するトラブル検出処理とを、同じ構成にて行うことができるため、基板処理装置1の構造を簡素化することができる。
【0073】
基板処理装置1では、処理液供給部5から基板9に供給される複数種類の処理液は、上述の例には限定されず、様々に変更されてよい。また、洗浄液供給部63から排液部60に供給される洗浄液も、様々に変更されてよい。例えば、上記複数種類の処理液に、混ざることにより析出物を生じる酸性処理液およびアルカリ性処理液が含まれてもよい。この場合、洗浄液供給部63から供給される洗浄液として、当該析出物を溶かす液体が利用される。
【0074】
上述の基板処理装置1は、半導体基板以外に、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、FED(field emission display)等の表示装置に使用されるガラス基板の処理に利用されてもよい。あるいは、上述の基板処理装置1は、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板および太陽電池用基板等の処理に利用されてもよい。
【0075】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。