特許第6813504号(P6813504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6813504
(24)【登録日】2020年12月21日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】家具のリーフ用の引き上げシステム
(51)【国際特許分類】
   E05F 1/14 20060101AFI20201228BHJP
   A47B 55/00 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
   E05F1/14 A
   A47B55/00
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-561035(P2017-561035)
(86)(22)【出願日】2016年2月15日
(65)【公表番号】特表2018-508677(P2018-508677A)
(43)【公表日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】EP2016053163
(87)【国際公開番号】WO2016131770
(87)【国際公開日】20160825
【審査請求日】2019年2月6日
(31)【優先権主張番号】MI2015A000221
(32)【優先日】2015年2月17日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517220911
【氏名又は名称】アルトゥーロ・サリチェ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】ARTURO SALICE S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】ルチアーノ・サリチェ
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第01148200(EP,A2)
【文献】 特表2014−510207(JP,A)
【文献】 特表2009−511793(JP,A)
【文献】 特表2008−537075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00−17/00
E05D 1/00− 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉合位置と引き上げ開き位置との間で少なくとも1つの水平軸の周りを回動する家具のリーフ(13)用の引き上げシステム(14)であって、
前記家具の固定部(11,12)に接続可能な支持体(15)と、
前記支持体(15)を前記家具のリーフ(13)に接続する関節式レバーシステム(16)であって、前記関節式レバーシステム(16)は、回転ピン(18)を介して前記支持体(15)に回転可能に接続された一端を有する第1レバー(17)と、前記家具の前記リーフ(13)に固定するための要素(21)に回転可能に接続可能な一端を有する第2レバー(19)とを含み、前記第1レバー(17)と前記第2レバー(19)とは、それぞれの他端において相互に関節接合している、前記関節式レバーシステム(16)と、
前記関節式レバーシステム(16)の回転トルクを発生させるために、前記関節式レバーシステム(16)に接続された弾性作動手段(24,26)と、
を備える前記引き上げシステム(14)において、
前記弾性作動手段(24,26)と協働して、前記リーフの前記引き上げ位置を含む前記リーフの開く方向の少なくとも一部の回動に沿って前記回転トルクを増加させる手段を備え、
前記回転トルクを増加させる前記手段は、前記関節式レバーシステム(16)の前記第1及び第2レバー(17,19)の少なくとも1つに設けられたカム手段(23,25)を有すると共に、
前記カム手段(23,25)は、
前記関節式レバーシステム(16)の前記第1レバー(17)に接続された第1カム要素(23)であって、前記弾性作動手段は、軸方向に変形可能な第1の弾性手段(24)を有し、軸方向に変形可能な前記第1の弾性手段(24)は、前記支持体(15)と前記第1レバー(17)との間に設置され、前記第1カム要素(23)に接続されている、第1カム要素(23)と、
前記関節式レバーシステム(16)の前記第1レバー(17)又は前記第2レバー(19)の一方に接続されている第2カム要素(25)であって、前記弾性作動手段は、軸方向に変形可能な第2の弾性手段(26)を有し、軸方向に変形可能な前記第2の弾性手段(26)は、前記関節式レバーシステム(16)の前記第1レバー(17)又は前記第2レバー(19)の他方に設置され、摺動又はローリング手段(27)を介して前記第2カム要素(25)に接続されており、前記摺動又はローリング手段(27)は、前記第2の弾性手段(26)が設けられたレバーによって摺動可能に支持されている、前記第2カム要素(25)と、
を含むことを特徴とする、引き上げシステム(14)。
【請求項2】
前記関節式レバーシステム(16)の前記支持体(15)と前記第1レバー(17)との間に設置され、前記第1レバー(17)に接続されている軸方向に変形可能な前記第1の弾性手段を有する前記弾性作動手段を備える前記引き上げシステム(14)において、
前記カム手段は、前記関節式レバーシステム(16)の前記第1レバー(17)又は前記第2レバー(19)の一方に接続されているカム要素を含み、
前記弾性作動手段は、軸方向に変形可能な前記第2の弾性手段を有し、
軸方向に変形可能な前記第2の弾性手段は、
前記関節式レバーシステム(16)の前記第1レバー(17)又は前記第2レバー(19)の他方に設置され、摺動又はローリング手段を介して、前記カム要素に接続されており、前記摺動又はローリング手段は、前記第2の弾性手段が設けられた前記第1レバー(17)によって摺動可能のように支持されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の引き上げシステム(14)。
【請求項3】
前記第1の弾性手段(24)は、
前記支持体(15)に回転可能に接続されている第1部分(28)と、
第2部分(29)であって、前記第2部分(29)は、長手軸に沿って摺動可能のように前記第1部分(28)に接続され、前記第1レバー(17)の回転ピン(18)から離れている前記第1レバー(17)における一点で回転及び摺動可能のように前記関節式レバーシステム(16)の前記第1レバー(17)に更に接続されている、第2部分(29)と、
前記第1部分(28)と前記第2部分(29)との間に挿入された少なくとも1つの軸方向に変形可能な弾性要素(30)と、
前記第2部分(29)に接続され、前記第1カム要素(23)に作用するように形成及び設置された摺動又はローリング手段(31)と、
を有することを特徴とする、請求項1に記載の引き上げシステム(14)。
【請求項4】
前記摺動又はローリング手段は、前記カム手段に作用するように形成及び設置されたローラ(31,26)であることを特徴とする、請求項3に記載の引き上げシステム(14)。
【請求項5】
前記第1の弾性手段(24)の前記第2部分(29)と前記関節式レバーシステム(16)の前記第1レバー(17)との間の摺動及び回転の接続には、旋回軸(32)が設けられ、
前記旋回軸(32)は、前記第1レバー(17)と一体化され、前記第1レバー(17)に向けられた前記第1の弾性手段の前記第2部分(29)の端部に形成されたフォーク(33)内で摺動及び回転可能のように係合されている、
ことを特徴とする、請求項3に記載の引き上げシステム(14)。
【請求項6】
前記第2の弾性手段(26)は、
前記関節式レバーシステム(16)の前記第1レバー(17)に接続されている前記第2の弾性手段を収容する第1部分(34)及び第2部分(35)を含み、
前記第2部分(35)は、前記第1レバー(17)の長手軸に沿って摺動可能のように前記第1レバー(17)に接続され、
少なくとも1つの軸方向に変形可能な弾性要素(36)は、前記第1部分(34)と前記第2部分(35)との間に挿入されている、
ことを特徴とする、請求項2又は3に記載の引き上げシステム(14)。
【請求項7】
前記関節式レバーシステム(16)の前記第1レバー(17)に接続された前記カム手段(23)は、前記第1レバー(17)に対して前記カム手段(23)の位置を調節する調節手段(37)を有することを特徴とする、請求項1に記載の引き上げシステム(14)。
【請求項8】
前記調節手段において、前記カム手段(23)は、
前記第1レバー(17)の長手軸に対して横方向に摺動可能のように前記第1レバー(17)に接続され、
前記第1レバー(17)に対して前記カム手段(23)を移動させるように作動することが可能な作動要素(37)を有する、
ことを特徴とする、請求項に記載の引き上げシステム(14)。
【請求項9】
前記軸方向に変形可能な弾性要素(30又は36)は、1つ以上の螺旋状圧縮スプリングを含むことを特徴とする、請求項3又は6に記載の引き上げシステム(14)。
【請求項10】
閉合位置の付近において、前記リーフ(13)の閉じる動作を減速させるように形成及び設置された減速装置(48)を備えることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の引き上げシステム(14)。
【請求項11】
前記減速装置(48)は、流体作動式リニア減速器を含み、前記流体作動式リニア減速器は、移動可能な作動要素(53)によって作動可能のように、前記支持体(15)内に設置され、前記移動可能な作動要素(53)は、前記関節式レバーシステム(16)の第2レバー(19)に接続されていることを特徴とする、請求項10に記載の引き上げシステム(14)。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の引き上げシステム(14)と、
前記引き上げシステム(14)の支持体(15)と前記家具のリーフ(13)との間のヒンジ結合の手段(39,41,42,43,44,45,46)であって、前記家具の前記リーフ(13)に固定可能な可動ヒンジ部を備え、前記可動ヒンジ部は、少なくとも1つのヒンジピン(43,44,45,46)を含む接続手段を介して前記支持体(15)に回動可能のように接続されている、前記ヒンジ結合の手段(39,41,42,43,44,45,46)と、
を備えることを特徴とする、
家具のリーフ用の支持及び引き上げアセンブリ。
【請求項13】
前記支持体(15)と前記可動ヒンジ部との間の接続手段は、
少なくとも第1及び第2の回動アーム(41、42)を有し、前記第1及び第2の回動アーム(41、42)のそれぞれには、第1及び第2のヒンジピン(43,44,45,46)が設けられ、前記第1及び第2のヒンジピン(43,44,45,46)は、前記支持体(15)及び前記可動ヒンジ部のそれぞれに接続されていることを特徴とする、請求項12に記載の家具のリーフ用の支持及び引き上げアセンブリ。
【請求項14】
前記リーフ(13)用の調節手段を備えることを特徴とする、請求項12又は13に記載の家具のリーフ用の支持及び引き上げアセンブリ。
【請求項15】
前記調節手段は、支持体(15)を有し、前記支持体(15)は、
複数の部分(15a、15b、15c、15d)によって形成され、
前記複数の部分(15a、15b、15c、15d)は、
少なくとも2つの互いに横切る方向に沿って移動可能且つ調節可能のように相互に接続され、前記家具の固定部(11,12)に対して、垂直方向、横方向及び/又は前方方向に前記リーフ(13)を移動させるように構成されている、
ことを特徴とする、請求項14に記載の家具のリーフ用の支持及び引き上げアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの水平軸に関して回動する家具のリーフ(leaf:自在板)用の引き上げシステム、及び当該引き上げシステムを備える家具のリーフ用の支持及び引き上げアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
家具分野では、少なくとも1つの水平軸の周りを回動運動によって上方に引き上げることができるリーフを有する家具の使用が知られている。このようなリーフは、ヒンジによって家具の固定した本体に特別に接続されており、ヒンジは、当該リーフがこの回動運動を実行できるように設計されている。リーフを引き上げるために、適合された引き上げシステムが設けられる。当該引き上げシステムは、従来、家具の固定部に接続可能な支持体と、支持体をリーフに接続可能な固定要素に接続する関節式レバーと、引き上げ開き位置に向けてリーフを押すように回転トルクを発生させるために、レバーシステムのレバーに機能的に接続されている弾性作動手段と、を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、第1レバーと第2レバーとを有する関節式レバーシステムを備える引き上げシステムが知られている。第1レバーと第2レバーとは、一端が相互に関節接合し、また、他端において、支持体と家具のリーフ上に設けられた固定要素と、それぞれ回転可能に接続される。
【0004】
このような従来の引き上げシステムは、回動可能のために接続されたガスシリンダアクチュエータ(gas cylinder actuator)を更に備え、当該ガスシリンダアクチュエータは、支持体と関節式レバーシステムの第1レバーとの間に設置される。しかしながら、ガスシリンダアクチュエータは、時間の経過とともに、初期チャージを失う傾向があるため、提供される推力が徐々に低減し、次第にリーフを開くこと又は全開状態を維持することができなくなる欠点を有する。
【0005】
このような欠点を克服するために、ガスシリンダアクチュエータの代わりに、螺旋状スプリング(helical spring)を使用する様々な方法が提案されている。しかしながら、圧縮位置と伸張位置との間の螺旋状スプリングの弾性特性が線形的で、且つ低減するため、リーフが開かれる間にスプリングが伸張し、弾性力が大幅に低減する。リーフが全開位置になったとき弾性力の低減が特に深刻である。これは、リーフを全開にすることができない、又はリーフが落下する危険性に繋がる。
【0006】
したがって、前述した欠点を克服するように構成された引き上げシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目標は、少なくとも1つの水平軸の周りを回動する家具のリーフ用の引き上げシステムを提供することである。耐久的にリーフの開きを駆動すること、及び全開状態を確実に維持することができ、したがって、偶発的又は望ましくない閉合による危険を回避することができる。
【0008】
前記目標内において、本発明の1つの目的は、少なくとも1つの水平軸の周りで回動する家具のリーフ用の引き上げシステムを提供することであり、障害を大幅に低減する効果を有し、また、適合されたリーフのヒンジ手段に一体化することもできる。このようにして、非常にコンパクトで容易に取り付けられる支持及び引き上げアセンブリが構成される。
【0009】
本発明の他の目的は、信頼性が高く、容易かつ実際に実施され、低コストである家具のリーフ用の引き上げシステムを提供することである。
【0010】
この目的及び以下により明らかになるこれら及び他の目的は、閉合位置と引き上げ開き位置との間において少なくとも1つの水平軸の周りを回動する家具のリーフ用の引き上げシステムによって実現される。
前記家具の固定部に接続可能な支持体と、
前記支持体を前記家具のリーフに接続する関節式レバーシステムであって、前記レバーシステムは、回転ピンを介して前記支持体に回転可能に接続された一端を有する第1レバーと、前記家具の前記リーフに固定するための要素に回転可能に接続可能な一端を有する第2レバーとを含み、前記第1レバーと前記第2レバーとは、それぞれの他端において相互に関節接合している、前記関節式レバーシステムと、
前記レバーシステムの回転トルクを発生させるために、前記関節式レバーシステムに機能的に接続された弾性作動手段と、
を備える前記引き上げシステムにおいて、
前記弾性作動手段と協働して、前記リーフの前記引き上げ位置を含む前記リーフの開く方向の少なくとも一部の回動に沿って前記回転トルクを増加させる手段を備えることを特徴とする、引き上げシステムである。
【0011】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面における限定されない例によって示される本発明の好ましいが限定的ではない実施形態の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】リーフが閉合位置にあるように示されている、本発明の一好ましい実施形態に係る少なくとも1つの水平軸の周りを回動する家具のリーフ用の引き上げシステムの縦断面図である。
図2】リーフが部分開き位置にあるように示されている、図1のアセンブリの縦断面図である。
図3】リーフが全開位置にあるように示されている、図1のアセンブリの縦断面図である。
図4図1の線IV−IVに沿って得られた断面図である。
図5】本発明に係る引き上げシステムの一変形例の縦断面図である。
図6】本発明に係る引き上げシステムの第2変形例の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付図面において、同一の参照符号が同一の要素を示しており、家具は、全体的に参照符号10で示されている。家具10は、側壁11と、天板12と、リーフ13とを備え、リーフ13は、以下に説明するように、適合されたヒンジ手段によって少なくとも1つの水平軸の周りを回動することができる。
【0014】
具体的には、リーフ13は、閉合位置と引き上げ開き位置との間で移動することができ、閉合位置は、垂直な平面にあり、引き上げ開き位置は、実質的に水平面にある。
【0015】
前述した開く動作を駆動するために、参照符号14で全体的に示された引き上げシステムは、支持体15を備え、支持体15は、家具の固定部、特に側壁11に接続することができる。また、引き上げシステム14は、支持体15を家具のリーフ13に接続する関節式レバーシステム16と、弾性作動手段とを備える。弾性作動手段は、後述するように、レバーシステムの回転トルクを生成するために、関節式レバーシステム16に機能的に接続されている。
【0016】
次に、レバーシステム16は、第1回転ピン18を介して支持体15に回転可能に接続された一端を有する第1レバー17と、第2回転ピン20を介して家具のリーフ13に取り付け可能な固定要素21に回転可能に接続可能な一端を有する第2レバー19とを含む。また、第1レバー17と第2レバー19とは、中間関節ピン22を介してそれぞれの他端において相互に関節接合している。
【0017】
レバーシステム16の回転トルクを発生するために、通常、支持体15と、レバーの回転ピン18から一定の距離を離れている第1レバー17における一点との間に弾性手段を接続し、弾性手段の力のレバーアームを形成することによって前記トルクを発生させることが可能である。
【0018】
レバー17の回動は、増加するレバーアームを生成し、当該増加するレバーアームは、弾性手段によって生じたトルクを、開く動作中にリーフによって発生される対向トルク
に調整する。
【0019】
本発明によれば、引き上げシステム14は、関節式レバーシステム16のレバー17,19の少なくとも一方にカム手段を設け、このようなカム手段は、弾性作動手段と適切に相互作用するように形成及び設置されることによって、さらなるトルク量を発生する。当該さらなるトルク量は、リーフ13の引き上げ位置にあるリーフの少なくとも一部の回動に沿って、このような便利に構成されたカム手段が存在しない場合に、弾性手段によって生じるレバーシステムの回転トルクに加えられる。
【0020】
図に示す好ましい実施形態において、カム手段は、関節式レバーシステム16の第1レバー17に接続されている第1カム要素23を含み、当該第1カム要素23は、第1の軸方向に変形可能な弾性応力手段24と相互作用する。弾性応力手段24は、支持体15と第1レバー17との間に設置され、第1カム要素23に機能的に接続されている。
【0021】
さらに、好ましくは、カム手段は、関節式レバーシステム16の第1レバー17又は第2レバー19の一方に接続された第2カム要素25を含む。例えば、第2カム要素25は、第2レバー19上の中間関節ピン22で接続される。このような第2要素25は、関節式レバーシステムの第1レバー17又は第2レバー19の他方に設置された第2の軸方向に変形可能な弾性手段26と相互作用する。例えば、弾性手段26は、第1レバー17上に設置され、摺動又はローリング手段27を介して第2カム要素25に機能的に接続される。摺動又はローリング手段27は、第2の弾性手段26が設けられたレバー17によって摺動可能に支持されている。
【0022】
好ましくは、第1弾性手段24は、支持体15に回転可能に接続されている第1部分28と、第1部分28に接続され、縦軸に沿って摺動可能な第2部分29とを有する。第2部分29は、システム16の第1レバー17に接続され、レバー17の回転ピン18から離れている第1レバー17における一点で回転及び摺動することができる。
【0023】
第1部分28と第2部分29との間には、少なくとも1つの軸方向に変形可能な弾性要素、好ましくは、螺旋状スプリング30が挿入されている。
【0024】
更に、摺動またはローリング手段、好ましくは、ローラ31は、第2部分29に接続されている。ローラ31は、第1カム要素23に作用するように形成及び設置される。
【0025】
好ましくは、第1弾性手段24の第2部分29と、レバーシステム16の第1レバー17との間の回転可能且つ摺動可能な接続は、旋回軸32によって得られる。旋回軸32は、第1レバー17と一体化され、より好ましくは、第1カム要素23と一体化され、回転ピン18から離れているレバー17における前記一点に設置される。このような旋回軸32は、第1レバー17に向けられた弾性手段の第2部分29の端部に形成されたフォーク33内で摺動及び回転できるように係合される。
【0026】
第1弾性手段24と、第1カム要素23を有する第1レバー17との間のこのような回転可能且つ摺動可能な接続によって、レバーシステム16の回転トルクの増加及び最適化の第1効果が得られる。具体的には、ローラ31は、第1カム要素23に推力を与え、当該推力は、第1レバー17の角度位置の関数であり、少なくともリーフ13の引き上げ位置において、ピン18に対して推力のレバーアームを最大化する可変方向により方向付けられる。リーフ13の引き上げ位置において、始めに図1のリーフ13の閉合位置の折り畳み状態にあるレバー17,19は、図3の延伸状態になる。
【0027】
レバーシステム16の回転トルクの増加及び最適化のさらなる効果は、例えば、第2レバー19に接続されている第2カム要素25によって得られる。具体的には、このような第2要素25は、第2の軸方向に変形可能な弾性手段26と相互作用する。弾性手段26は、関節式レバーシステムの他方のレバーに、例えば、第1レバー17に設置され、摺動又はローリング手段、例えば、ローラ27、によって第2要素25に機能的に接続される。摺動又はローリング手段は、第2の弾性手段26が設けられたレバー17によって摺動可能に支持されている。
【0028】
好ましくは、第2の弾性手段26は、システム16の第1レバー17に接続されている弾性手段を収容する第1部分34と第2部分35とを含み、第2部分35は、レバー17の長手軸に沿って摺動することができるようにレバー17に接続されている。
【0029】
第1部分34と第2部分35との間には、少なくとも1つの軸方向に変形可能な弾性要素、好ましくは、螺旋状スプリング36が挿入されている。
【0030】
摺動又はローリング手段、好ましくは、ローラ27は、第2カム要素25に作用するように成形及び設置された第2部分35に接続されている。
【0031】
第2カム要素25、及び第2カム要素25と相互作用する第2の弾性手段26によって、レバーシステム16の付加的な回転トルクを得ることが可能である。前記回転トルクとして、特に図3の全開位置における開く方向に作用するトルク、及び、好ましくは、図1の閉合位置における閉じる方向に作用するトルクが得られる。図1の閉合位置における閉じる方向に作用するトルクは、カム要素25を都合よく形成することによってリーフ13を閉合状態に維持するために、前述した位置でスプリング36を解放するように作用する。
【0032】
好ましくは、閉合位置における閉じる方向に作用するトルクは、第2カム要素25を都合よく形成することによって得られる。そうすれば、カムにより規定された死点を通過すると、スプリング36によって生じた力は、レバーアームによってカム要素25に作用する。当該レバーアームは、図1に示すように、ピン22に対して第2レバー19を時計回りに回転させる傾向があるものである。
【0033】
対照的に、リーフが開かれると、カムの上記死点を通過すると、スプリング36は、前記レバーアームに対して反対のレバーアームによってカム要素25に作用する力を生じ、当該力は、図1のピン22に対して第2レバー19を反時計回りに回転させる傾向があるため、リーフの開く方向にトルクが生じる。
【0034】
好ましくは、第1カム手段23は、第1弾性手段24により発生されたトルクを、例えば、リーフ13の重量の関数として適合させることができる調節手段を有する。
【0035】
このような調節手段において、例えば、第1カム要素23は、第1レバー17に接続され、その自身のレバー17の長手軸に対してほぼ横方向に適切に摺動することができる。これは、例えば、スロットを介してカム要素23をピン18に接続することによって実現される。また、第1カム要素23を所望の位置に動かすための作動要素、例えば、ねじ又はねじ付きグラブスクリュー(grub screw)37が設けられてもよい。
【0036】
リーフ13を回動可能に支持するために、ヒンジ手段は、例えば、少なくとも2つのヒンジ38を含む。ヒンジ38のそれぞれは、好ましくは、家具の天板12又は側壁11に接続可能な固定部39と、固定要素21に一致し、且つリーフ13に接続可能な可動部と、少なくとも第1アーム41及び第2アーム42と、を含む。第1アーム41及び第2アーム42は、リーフ13を回動可能にするように、固定部39と、少なくとも第1ヒンジピン43,44及び第2ヒンジピン45,46を介して、それぞれ可動部と接続する。
【0037】
ヒンジ38は、別個の要素であって、引き上げシステム14と独立して家具に固定されてもよい。好ましい実施形態において、それらは、システム14と一体化アセンブリを構成することができる。例えば、ヒンジ38の固定部39は、引き上げシステム14の支持体15の前部又は延長部、又は支持体15の一部分15dによって構成され、部分15dは、その自身の支持体15に対して移動及び調節できるように支持される。
【0038】
このような一体化されたアセンブリは、空間占有の点、及びヒンジと引き上げシステムとを別々に取り付ける点の両方において利点を有する。
【0039】
この観点から、より好ましくは、支持体15を固定して、側壁11及びリーフ13に近接する天板12に付着させる。
【0040】
前述した好ましい実施形態の一代替案として、支持体15とレバーシステム16の第1レバー17との間に設置され、且つ第1レバー17に機能的に接続された軸方向に変形可能な弾性手段が設けられれば、簡素化された実施形態が可能である。当該実施形態において、1つのみのカム要素が設けられ、先程述べた弾性手段(図5参照)と、又はレバーシステム16のレバー17,19の一方に設けられた第2弾性手段(あれば)とのいずれかに相互作用する(図6参照)。
【0041】
具体的には、第2実施形態が可能である。図5に示すように、当該実施形態において、カム手段は、1つのみのカム要素を含み、当該カム要素は、前述した実施形態における関節式レバーシステムの第1レバー17に接続される第1カム要素23に対応するものであって、また、支持体15と第1レバー17との間に設置され、前記カム要素に機能的に接続された弾性作動手段のみが設けられている。
【0042】
この場合、前述した実施形態に類似するように、弾性手段は、支持体に回転可能に接続された第1部分と、当該第1部分に接続され、長手軸に沿って摺動可能な第2部分とを含み、第2部分は、システムの第1レバーに接続され、レバーの回転ピンから離れている第1レバーにおける一点で回転及び摺動することができる。
【0043】
また、弾性手段は、第1部分と第2部分との間に挿入された少なくとも1つの軸方向に変形可能な弾性要素と、第2部分に接続され、カム手段に作用するように形成及び設置された摺動又はローリング手段とを含む。
【0044】
このような第2実施形態は、レバーシステムのレバーに設置されるさらなる弾性手段を有しない。また、それらと相互作用するさらなるカム手段も有しない。従って、得られるのは、レバーシステム16の回転トルクの増加及び最適化の効果であって、当該効果は、主に弾性手段と第1カム要素を有する第1レバー17との間の回転可能且つ摺動可能な接続から導かれるものである。
【0045】
上述のように、他の簡素化された実施形態も可能である。当該実施形態において、1つのみのカム要素が設けられ、レバーシステムのレバーの1つに設けられた第2弾性手段と相互作用する。
【0046】
具体的には、図6に示すように、第3実施形態が可能である。当該実施形態において、弾性作動手段は、支持体と関節式レバーシステムの第1レバーとの間に設置され、前述した実施形態に係る第1カム手段を有することなく、直接的に第1レバーに機能的に接続される第1の軸方向に変形可能な弾性手段を有する。その代わり、第1実施例のカム要素25に対応するカム要素によって構成されたカム手段が設けられ、当該カム手段は、関節式レバーシステムのレバーの1つに接続され、第2の軸方向に変形可能な弾性手段に相互作用する。第2の軸方向に変形可能な弾性手段は、関節式レバーシステムのレバーの他方のレバーに設けられ、摺動又はローリング手段を介してカム要素に機能的に接続される。当該摺動又はローリング手段は、第2弾性手段を有するレバーによって摺動可能のように支持されている。
【0047】
このようなカム要素及びそれと相互作用する第2弾性手段によって、レバーシステムの付加的な回転トルクを得ることができる。当該付加的な回転トルクは、第1レバーと直接に相互作用する第1弾性手段により得られるトルクに加えられる。
【0048】
好ましくは、弾性要素は、1つ以上の螺旋状圧縮スプリングによって構成されるが、異なる類型の弾性手段を使用する可能性は、排除されるものではない。例えば、スプリングを支持する構造に関連する1つ以上の螺旋状牽引スプリングなど、軸方向の推力を提供するために用いられる任意の弾性手段であってもよい。
【0049】
家具の本体11,12に対してリーフ13の位置の調節を可能にするために、好ましくは、支持ヒンジ又はリーフ13を支持及び引き上げるためのアセンブリに係る適切な調節手段が設けられる。
【0050】
特に、引き上げシステムの図1及び図4によりよく示されているように、好ましくは、このような調節手段において、支持体15は、側壁11及び/又は天板12に固定された第1部分15aと、第1偏心要素47’を介して第1方向、例えば、前方方向、に沿って移動及び調節することができるように第1部分15aに接続された第2部分15bと、ねじ47’’を介して第2方向、例えば、横方向、に沿って移動及び調節することができるように第2部分15bに接続された第3部分15cと、第2偏心要素47’’’を介して第3方向、例えば、垂直方向、に沿って移動及び調節することができるように第3部分15cに接続された第4部分15dと、によって形成される。
【0051】
このようにして、リーフ13は、提供された作動手段、特に偏心要素47’、47’’’、及びねじ47’’を、手動又は工具によって作動させることによって、家具の本体に対して前方、横及び垂直に簡単に調節することができる。
【0052】
好ましくは、引き上げシステム14は、全閉位置の付近でリーフ13の閉じる動作を減速させるための減速装置48、例えば、流体作動式リニア減速器又は回転減速器を備える。
【0053】
図示された好ましい解決法において、減速装置48は、支持体15内に設置された流体作動式リニア減速器を備え、当該リニア減速器は、例えば、オイルなどの流体を収容するシリンダ50が移動可能に挿入されている容器49を有する。シリンダ50の内部に、シリンダ50から突出して容器49の後壁に接触するように設けられたロッド52を有する摺動可能なピストン51が設置されている。
【0054】
リニア減速器を作動させるために、移動可能な作動要素53が設けられている。作動要素53は、関節式レバーシステム16のレバーに、好ましくは、ヒンジピン54を介して第2レバー19に機能的に接続され、且つ支持体15と一体の旋回軸55と摺動可能のように接続されて、減速装置48を作動させるためにリーフ13の閉合中に作動要素53に線形的成分を有する動作を与えるように構成されている。
【0055】
実際に、本発明による家具のリーフ用の引き上げシステムが、リーフの全開を駆動すること、及びそのような全開状態を確実に維持することを実現できる点で、設定された目標及び目的を完全に達成したことが明らかになっている。このように、偶発的な閉合の危険を回避する。
【0056】
本発明による家具のリーフ用の引き上げシステムは、多数の修正及び変形が可能であり、それらの全ては添付の特許請求の範囲内に含まれる。更に、全ての詳細は、技術的に同等の要素によって代えてもよい。
【0057】
実際に、使用される材料及び不特定の形状は、要求及び技術水準に応じて任意に採用されてもよい。
【0058】
本出願は、イタリア特許出願番号第MI2015A000221(102015902330881)に基づいて優先権を主張するものであり、その全体の内容が参照によりここに組み込まれる。
【0059】
特許請求の範囲に記載されている技術的特徴の後に参照符号が付されている場合、それらの参照符号は、特許請求の範囲の明瞭性を高めるためのみに含まれている。したがって、そのような参照符号は、例としてそのような参照符号によって識別される各要素の解釈にいかなる限定的な影響も及ぼさないものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6