特許第6813512号(P6813512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6813512キャップが引き抜かれるとき穿孔するカートリッジを有する薬物送達デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6813512
(24)【登録日】2020年12月21日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】キャップが引き抜かれるとき穿孔するカートリッジを有する薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20201228BHJP
   A61M 5/24 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
   A61M5/32 500
   A61M5/24 540
   A61M5/24 500
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-566281(P2017-566281)
(86)(22)【出願日】2016年6月15日
(65)【公表番号】特表2018-518298(P2018-518298A)
(43)【公表日】2018年7月12日
(86)【国際出願番号】EP2016063698
(87)【国際公開番号】WO2016207040
(87)【国際公開日】20161229
【審査請求日】2019年6月3日
(31)【優先権主張番号】15173167.6
(32)【優先日】2015年6月22日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】マルク・シャーダー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ヘルマー
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン・ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・プローフ
【審査官】 伊藤 孝佑
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/055592(WO,A1)
【文献】 特表2009−528135(JP,A)
【文献】 米国特許第03368557(US,A)
【文献】 特表2012−513264(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/108575(WO,A1)
【文献】 米国特許第04378015(US,A)
【文献】 実開昭59−100433(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
A61M 5/24− 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体薬物を投薬するための薬物送達デバイス(1)であって、
セプタム(4.1)および可動ストッパ(4.2)で封止された液体薬物を含むカートリッジ(4)を収容するように構成された本体(12)と、
近位および遠位針先端(7.1、7.2)を有する針(7)を本体(12)に対して保持するニードルホルダ(15)と、
少なくとも遠位針先端(7.2)をカバーするように適用されたキャップ(18)と
を含み、
ここで、キャップ(18)はカートリッジ(4)と解放可能に係合し、カートリッジ(4)は本体(12)に対して後退位置から前進位置に向かって可動であり、
カートリッジ(4)を前進位置に向かって動かしている間、近位針先端(7.1)は、セプタム(4.1)を穿孔し、該セプタム(4.1)を通って延び、キャップ(18)はカートリッジ(4)から解放されつつあり、
カートリッジがその前進位置に達したとき、キャップ(18)は、カートリッジ(4)から解放される、前記薬物送達デバイス。
【請求項2】
液体薬物を投薬するための薬物送達デバイス(1)であって、
セプタム(4.1)および可動ストッパ(4.2)で封止された液体薬物を含むカートリッジ(4)を収容するように構成された本体(2)と、
近位および遠位針先端(7.1、7.2)を有する針(7)を本体(2)に対して保持するニードルホルダ(5)と、
少なくとも遠位針先端(7.2)をカバーするように適用されたキャップ(8)
を含み、
ここで、カートリッジ(4)は本体(2)に対して後退位置から前進位置に向かって可動であり、
カートリッジ(4)は、ニードルホルダ(5)を越えて遠位方向に突出するレバー(3.3)を含むカートリッジホルダ(3)によって保持され、レバーは、ニードルキャップ(8)の内面(8.2)に形成された傾斜凹部(8.2.1)と解放可能に係合する、半径方向内方に突出するキャッチ(3.4)をレバー遠位端に有し、
ニードルホルダ(5)は、カートリッジホルダ(3)が前進位置に向かって動かされたときレバー遠位端が半径方向外方に曲がり、それによってキャッチ(3.4)が傾斜凹部(8.2.1)から係合解除されるように、レバー(3.3)と係合し、
カートリッジ(4)を前進位置に向かって動かしている間、近位針先端(7.1)は、セプタム(4.1)を穿孔し、該セプタム(4.1)を通って延び、キャップ(8)はカートリッジ(4)から解放されつつあり、
カートリッジがその前進位置に達したとき、キャップ(8)は、カートリッジ(4)から解放される、前記薬物送達デバイス。
【請求項3】
キャップ(8、18)が薬物送達デバイス(1)から遠位方向に引き抜かれるとき、かつキャップ(8、18)が該前進位置においてカートリッジ(4)から解放されるように、カートリッジ(4)が後退位置から前進位置に向かって動かされる、請求項1または2に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項4】
キャップ(18)のキャップスリーブ(18.1)の近位端にある少なくとも部分的に折り返されたカラー(18.1.1)が、カートリッジ(4)のカートリッジ壁(13)の肩部(13.1)と解放可能に係合し、カートリッジ壁(13)と本体(12)との間に形成されたガイド凹部(12.2)内で案内され、カートリッジ壁(13)がその前進位置に達したとき、ニードルホルダ(15)の側壁(15.1)が、肩部(13.1)よりも近位に突出し、それによって少なくとも部分的に折り返されたカラー(18.1.1)が開いて肩部(13.1)から係合解除されることになる、請求項1に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項5】
キャップスリーブ(18.1)は、それぞれが本体(12)の側方開口部(12.3)に通される少なくとも2つの外周アームによって形成される、請求項4に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項6】
ストッパ(4.2)を遠位方向に駆動するストッパドライバ(10)が、カートリッジホルダ(3)に組み込まれている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項7】
ストッパ(4.2)を遠位方向に駆動するストッパドライバ(10)が、本体(2、12)に取り付けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項8】
カートリッジ(4)を後退位置から前進位置に向かって駆動するカートリッジドライバを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項9】
カートリッジドライバは、事前に応力印加されたばねを含む、請求項8に記載の薬物送達デバイス(1)。
【請求項10】
薬物を含むカートリッジ(4)を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セプタムで封止されたカートリッジに収納された液体薬物を送達するための薬物送達デバイスに関し、この薬物送達デバイスは、キャップによってカバーされた注射針を含む。
【背景技術】
【0002】
組織を貫通するように適用された遠位針先端を有する注射針を用いて、液体薬物を送達する薬物送達デバイスに関連して、液体薬物を充填済みのカートリッジが周知である。収納中の液体薬物に対する負の影響を防止しながらも、注射の準備を容易にするために、現況技術では、充填済みカートリッジを、セプタムを用いて封止することが知られ、このセプタムは、注射の直前に、注射針の近位針先端が貫通する。また、かかる薬物送達デバイスでは、針が誤って刺さらないようにするために、注射針の少なくとも遠位針先端をカバーするキャップが知られている。現況技術によれば、ユーザは、注射に備えるために、注射針の近位針先端が充填済みカートリッジのセプタムを穿孔するように、キャップを取り外して充填済みのカートリッジを薬物送達デバイスに装填する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、針が誤って刺さらないように保護し、かつ収納中の液体薬剤を負の影響から保護しながらも、注射の準備を容易にする、液体薬物を充填済みのカートリッジ用の改良型薬物送達デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1に記載の薬物送達デバイスによって達成される。
【0005】
本発明の例示的な実施形態が、従属請求項に記載されている。
【0006】
本明細書では、用語「遠位」および「近位」は、注射を実施している人の観点から規定される。したがって、遠位方向とは、注射部位に向かう方向を指し、遠位端とは、注射部位に向かう要素の一端部として規定される。または、要素の近位端または近位方向とは、注射部位から離れる方向を向き、遠位端または遠位方向とは反対の向きである。
【0007】
本発明によれば、液体薬物を投薬するための薬物送達デバイスは、
− セプタムおよび可動ストッパで封止された液体薬物を含むカートリッジを収容するように構成された本体と、
− 近位および遠位針先端を有する針を本体に対して保持するニードルホルダ(needle holder)と、
− 少なくとも遠位針先端をカバーするように適用されたキャップと
を含む。
【0008】
カートリッジは、本体に対して後退位置から前進位置に向かって可動であり、カートリッジホルダ(cartridge holder)がその後退位置から前進位置へと動くとき、近位針先端はセプタムを貫通する。キャップは、カートリッジと解放可能に係合され、キャップはその前進位置でカートリッジから解放される。
【0009】
カートリッジを前進位置に向かって動かしている間、近位針先端は、セプタムを穿孔し、セプタムを通って延び、キャップはカートリッジから解放されつつある。カートリッジがその前進位置に達したとき、キャップはカートリッジから解放され、したがってデカップリングする。
【0010】
注射に備えるために、キャップは、薬物送達デバイスから遠位方向に引き抜かれる。あるいは、薬物送達デバイスは、カートリッジがハウジング内を前進するようにトリガされる。
【0011】
キャップはカートリッジと係合しているので、キャップを遠位方向に引き抜くことによって、カートリッジはその後退位置からその前進位置へと動く。あるいは、薬物送達デバイスをトリガした後、カートリッジは、キャップとともに前方に押される。
【0012】
それによって、近位針先端がセプタムを貫通し、したがってカートリッジのストッパが遠位に動くと、液体薬物を針から放出することができる。したがって、薬物送達デバイスは、ユーザが1度の介入としてキャップを引き抜く、または薬物送達デバイスをトリガするだけで、注射の準備ができる。したがって、針を開封し、カートリッジを有するかかる薬物送達デバイスに組み付ける必要がない。したがって、有利には、充填済みシリンジと同様に、便宜的かつ効率的に、液体薬物をカートリッジに封止したまま維持し、その収納を向上させ長期化させることが実現される。
【0013】
薬物送達デバイスの一実施形態では、カートリッジホルダは、カートリッジを保持し、このカートリッジホルダは、ニードルホルダを越えて遠位方向に突出するレバーを含む。レバーの遠位端には、キャッチが、半径方向内方に、すなわち長手方向中心軸に向かって突出している。このキャッチは、ニードルキャップの内面に形成された傾斜凹部と解放可能に係合し、ニードルホルダは、カートリッジホルダが前進位置に向かって移動すると、レバー遠位端が半径方向外方に曲がるようにレバーと係合し、それによって、半径方向のキャッチが傾斜凹部から係合解除される。ニードルホルダは、レバーが係合し、フランジによって曲がるように、半径方向に突出するフランジを有するソケットとして形成することができる。
【0014】
キャッチがカートリッジホルダに対してレバーを介して引張り力を遠位方向に確実に伝達するにつれて、カートリッジホルダは、その前進位置に向かって確実に寄せられ、それによってカートリッジのセプタムを確実に穿孔する。カートリッジホルダがその前進位置に達し、キャッチがキャップから係合解除されたとき、キャップは、薬物送達デバイスから特に容易に取り外すことができる。
【0015】
本発明による薬物送達デバイスの別の実施形態では、キャップは、その開口近位端に少なくとも部分的に折り返されたカラーを有する。この折り返されたカラーは、その後退位置においてカートリッジの壁の肩部と係合する。少なくとも部分的に折り返されたカラーは、遠位に動くとき、カートリッジ壁と本体との間に形成されたガイド凹部で案内され、それによってカートリッジをその前進位置に向かって搬送する。カートリッジがその前進位置に達したとき、ニードルホルダの近位突出部が、円形フランジよりも近位に突出し、それによって折り返されたカラーが開いて円形フランジから係合解除されることになる。折り返されたカラーが開くにつれて、キャップは、カートリッジホルダから、そして薬物送達デバイスから容易に取り外すことができるようになる。
【0016】
一実施形態では、折り返されたカラーは、カートリッジ壁のフランジと係合する少なくとも2つの外周アームによって形成することができる。外周アームは、キャップが遠位に引かれると伸び、または開くことになる、曲がった、または折り返されたスプラインとして形成することができ、したがってニードルホルダの対応する近位突出部がこれらの折り返されたスプラインと出会い、それによってカートリッジ壁のフランジから係合解除される。外周アームは、本体の開口部に通すことができる。ニードルホルダを本体に対して保持する本体の保持部材が、外周アーム間にあるカットアウトに通されている。
【0017】
薬物送達デバイスの一実施形態では、ストッパを遠位方向に駆動するストッパドライバが、カートリッジホルダに組み込まれている。ストッパドライバは、解除されたとき、カートリッジホルダの近位端とストッパとの間で作用する事前に応力印加されたばねとして形成することができる。利点として、ストッパドライバを解除またはトリガしたとき、液体薬物が放出され、したがってユーザのさらなる介入なしに自動的に注射される。かかる事前に応力印加されたばねはカートリッジホルダに組み込まれているので、このばねがストッパに達するために移動しなければならない距離は、カートリッジホルダの位置とは無関係となり、その結果液体薬物を連続し、かつ安定して放出することが可能となる。
【0018】
薬物送達デバイスの一実施形態では、ストッパを遠位方向に駆動するストッパドライバが、本体に取り付けられている。多数のカートリッジを、単一のストッパドライバを含む単一の薬物送達デバイスで使用することができるので、かかる実施形態は、より費用効果が高く、かつ製造および操作をより容易にすることができる。
【0019】
一実施形態では、薬物送達デバイスは、カートリッジを後退位置から前進位置に向かって駆動するカートリッジドライバを含む。利点として、カートリッジをその前進位置に向かって動かすのに必要となる引張り力を低減させることができ、近位針先端によるセプタムの貫通不良を防止することができる。
【0020】
一実施形態では、カートリッジドライバは、特に製造が容易で、費用効果の高い事前に応力印加されたばねを含む。
【0021】
一実施形態では、カートリッジドライバは、キャップを引くことによって解放またはトリガされるように適用され、それによってカートリッジドライバを解放するユーザのさらなる負担を軽減している。カートリッジドライバを解放またはトリガする他の手法、例えばスリーブまたは本体またはそれらの一部を押すなどの手法も同様に可能であることが当業者には理解されよう。
【0022】
例示的な一実施形態では、薬物送達デバイスは、薬物を収容したカートリッジを含む。
【0023】
本発明を適用可能なさらなる範囲は、以下に記載の詳細な説明から明白となろう。しかし、詳細な説明、および具体的な例は、本発明の例示的な実施形態を示すものの、本発明の趣旨および範囲に含まれる様々な変更および改変が、この詳細な説明から当業者には明白となるため、上記の例示的な実施形態は単なる例示によって示すものにすぎないことを理解されたい。
【0024】
本発明は、以下に記載の詳細な説明、および単なる例によって示すものであり、したがって本発明を限定するものではない添付の図面からより完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】傾斜凹部を有するキャップおよびカートリッジホルダが後退位置にある薬物送達デバイスの長手方向断面図である。
図2】傾斜凹部を有するキャップおよびカートリッジホルダが前進位置にある薬物送達デバイスの長手方向断面図である。
図3】傾斜凹部を有するキャップを取り外した後の、カートリッジホルダが前進位置にある、薬物送達デバイスの長手方向断面図である。
図4-1】図4A〜4Dは、キャップを取り外す間の、カラーが部分的に折り返されたキャップを有する薬物送達デバイスの一連の工程を示す複数の長手方向断面図である。
図4-2】図4−1の続き。
図5図5A〜5Dは、薬物送達デバイスをトリガする間の、カラーが部分的に折り返されたキャップを有する薬物送達デバイスの一連の工程を示す複数の長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
すべての図において、対応する部材には同じ参照符号が付されている。
【0027】
図1は、本体2を有する薬物送達デバイス1を、近位端Pおよび遠位端Dとした長手方向軸Aに沿った長手方向断面で示す。本体2の内部で、カートリッジホルダ3が、液体薬物を含むカートリッジ4を保持している。
【0028】
カートリッジ4は、カートリッジホルダ3に対して固定されている。例えば、カートリッジ4は、摩擦によって保持されるようにカートリッジホルダ3に押し込むことができる。カートリッジ4は、その遠位端がセプタム4.1によって封止されている。カートリッジ4は、その近位端がストッパ4.2によって封止され、このストッパ4.2は、カートリッジ4の遠位端に向かって可動である。
【0029】
カートリッジ4を有するカートリッジホルダ3は、長手方向軸Aに沿って可動である。カートリッジホルダ3の近位端には、半径方向外方に突出する、すなわち長手方向中心軸Aから離れるように突出するクリップ3.1が配置されている。この半径方向外方に突出するクリップ3.1の傾斜フランジが、半径方向内方に突出するウェッジ2.2の、対応して傾斜した縁部と係合する。クリップ3.1の傾斜と、突出するウェッジ2.2の対応する傾斜とは、カートリッジホルダ3が不注意によって動かないように、カートリッジホルダ3が遠位に変位するのに抵抗するように形成されている。カートリッジホルダ3を十分な力で遠位方向に引くと、クリップ3.1の傾斜フランジが、突出するウェッジ2.2の傾斜縁部に沿って摺動するにつれてこの抵抗は克服され、それによって本体2が僅かに外方に曲がる。クリップ3.1がウェッジ2.2を通過した後は、ウェッジ2.2はクリップ3.1の近位面を越えてカチッと留まり、カートリッジホルダ3が近位に変位するのを阻止する。
【0030】
カートリッジホルダ3には、遠位方向への所定の変位が生じたとき、本体2の内方に突出する対応するフランジ2.3と係合するように、外方に突出する止め具3.2が形成され、それによってカートリッジホルダ3がカートリッジ4とともに遠位に変位する範囲を制限している。
【0031】
本体2の内部には、ニードルホルダ5が、その近位端にフランジを有するソケットとして形成されている。ニードルホルダ5は、例えば半径方向に突出する端部6.1、6.2を有するポッド6によって、本体2に動かないように取り付けられ、半径方向に突出する近位端部6.1は、本体2の半径方向突出部2.1の近位フランジと係合し、突出する遠位端部6.2は、ニードルホルダ5のフランジと係合している。それによって、ポッド6は、ニードルホルダ5が半径方向突出部2.1から遠位方向に抜け出ないようにしている。ニードルホルダ5は、その中心で皮下注射針7を保持している。針7は、ニードルホルダ5に対して動かない。例えば、針7は、摩擦によって保持されるように、ニードルホルダ5を形成しているソケットの中央孔に押し込むことができる。
【0032】
針7は、カートリッジ4のセプタム4.1を貫通するように適用された近位針先端7.1を有する。カートリッジ4を有するカートリッジホルダ3は、図1に示すその後退位置では、近位針先端7.1がセプタム4.1には達しないが、ニードルホルダ5のフランジよりも近位方向に突出するように近位に変位されており、したがってカートリッジ4がニードルホルダ5に向かって寄せられたとき、近位針先端7.1は、セプタム4.1を安全に貫通することになる。針7はまた、その遠位端で組織を貫通するように適用された遠位針先端7.2を有する。
【0033】
針7の遠位部分は、外側キャップシース8.1、外側キャップシース8.1の内部に同心に配置された内側キャップシース8.2、および遠位キャップ底部8.3を含む二重壁キャップ8によってカバーされている。内側キャップシース8.2は、針7の遠位部分を受けるレセプタクル8.4を保持している。レセプタクル8.4は、例えば針7の遠位部分にぴったりとフィットする中央孔が設けられたゴムで作ることができ、したがってレセプタクル8.4、またそれによってキャップ8が針7に対して摩擦保持されることになる。かかるレセプタクル8.4によって、針7は滅菌環境で安全に保護される。針レセプタクルの他の実施形態も同様に、キャップ8の内部に配置できることが当業者には理解されよう。
【0034】
カートリッジホルダ3は、カートリッジ4の遠位端を越えて遠位方向に突出し、かつニードルホルダ5のフランジを越えてさらに突出する曲げ可能なレバー3.3を含む。半径方向に突出するキャッチ3.4が、キャッチ3.4の先端が遠位端Dの方を向くように、レバー3.3の遠位端に形成されている。ニードルホルダ5のフランジはレバー3.3と係合し、したがってレバー3.3は、半径方向外方に、すなわち長手方向中心軸Aから離れるように僅かに曲がることになる。
【0035】
傾斜凹部8.2.1が、キャッチ3.4を受けるように、内側キャップシース8.2の外面に形成されている。それによって、キャッチ3.4と傾斜凹部8.2.1とは、カートリッジホルダ3とキャップ8との間でスナップイン閉止を成している。キャップ8は、製造中にカートリッジホルダ3に容易にはめることができるが、注射に備えてキャップ8が薬物送達デバイス1から引き抜かれるとき、キャッチ3.4と傾斜凹部8.2.1とによって形成されたスナップイン閉止によって、キャップ8とカートリッジホルダ3とがロックされる。
【0036】
以下、注射に向けた薬物送達デバイス1の準備について、より詳細に説明する。
【0037】
キャップ8が薬物送達デバイス1から引き抜かれるとき、その引張り力が、キャップ8から、傾斜凹部8.2.1に係合しているキャッチ3.4を介してカートリッジホルダ3に伝達される。それによって、カートリッジホルダ3は、図2に示すその前進位置へと遠位に変位する。この前進位置において、カートリッジ4は、ニードルホルダ5の近位表面に向かって寄せられ、それによって近位針先端7.1がセプタム4.1を貫通することになる。カートリッジホルダ3は、フランジ2.3と係合している止め具3.2、およびウェッジ2.2と係合しているクリップ3.1によって、その前進位置にロックされる。
【0038】
カートリッジホルダ3がその後退位置から遠位方向に動くにつれて、レバー3.3は、ニードルホルダ5によって外方に曲がる。カートリッジホルダ3がその前進位置に達したとき、レバー3.3は、キャッチ3.4が傾斜凹部8.2.1から係合解除されるのに十分なだけ曲がり、それによってキャップ8がカートリッジホルダ3から解放される。
【0039】
薬物送達デバイス1は、本体2から遠位に突出する摺動可能なニードルスリーブ9を含むことが可能であり、このニードルスリーブ9は、針による刺傷を防止するために針7の少なくとも遠位部分を保護する。一実施形態では、かかるニードルスリーブ9は、内側キャップシース8.2と、外側キャップシース8.1との間の空間に受けられている。図3に示すように、かかる実施形態では、キャップ8は、キャッチ3.4が傾斜凹部8.2.1から係合解除された後、摺動させてニードルスリーブ9から外すことができる。カートリッジホルダ3がクリップ3.1、および止め具3.2によってその前進位置でロックされているので、カートリッジホルダ3はキャップ8の動きにもはや追従することができなくなるので、キャップ8を引き抜くことは特に容易となる。
【0040】
本発明の一実施形態では、カートリッジホルダ3は、カートリッジ4から液体薬物を放出するために、ストッパ4.2を遠位方向に駆動するストッパドライバ10をさらに保持している。ストッパドライバ10は、事前に圧縮されたばね10として形成し、カートリッジホルダ3に組み込むことができる。ストッパ4.2と本体2との間で作用する事前に圧縮されたばね、例えばストッパ4.2と本体2の近位端との間に配置された事前に圧縮されたばねなど、ストッパドライバの他の実施形態も可能であることが当業者には理解されよう。
【0041】
図4A〜4Dは、キャップ18を有する薬物送達デバイス1の一実施形態の長手方向断面を示し、薬物送達デバイス1からキャップ18を取り外し、それによって薬物送達デバイス1を注射に向けて準備する一連の工程を示している。本発明の本実施形態によれば、カートリッジ4は、カートリッジ壁13を有する。カートリッジ壁13は、カートリッジの遠位端に、近位フランジを有する肩部13.1を有する。キャップ18は、近位端が開口し、遠位端にキャップ底部18.3とキャップスリーブ18.1とを有するシースとして形成されている。キャップスリーブ18.1には、少なくとも1つのカットアウト18.1.2が設けられている。キャップスリーブ18.1には、その近位端に、少なくとも部分的に折り返されたカラー18.1.1が設けられている。
【0042】
キャップ18の、この少なくとも部分的に折り返されたカラー18.1.1は、図4Aに示すように、カートリッジ4がその後退位置にあるとき、肩部13.1の近位フランジと係合している。ニードルホルダ15が、円筒状側壁15.1、および側壁15.1の遠位端にある底部15.2を有するソケットとして形成され、針7を底部15.2の中央孔で保持している。底部15.2、またそれによってニードルホルダ15が、キャップスリーブ18.1のカットアウト18.1.2に通された少なくとも1つの保持部材12.1によって本体12に対して固定されている。キャップスリーブ18.1は、ニードルホルダ15の側壁15.1と同心に配置されている。キャップスリーブ18.1の近位端は、本体12とニードルホルダ15との間に通されている。
【0043】
キャップスリーブ18.1は、少なくとも2つの外周アームによって形成することができ、これらの外周アームの近位端にある折り返されたカラー18.1.1は、肩部13.1の近位フランジと係合する、曲がった、または折り返されたスプラインとして形成されている。外周アームは、本体12の側壁に形成された開口部12.3に通され、したがって保持部材12.1は、本体12に取り付けられ、キャップスリーブ18.1を形成している外周アーム間にあるカットアウト18.1.2に通されている。
【0044】
キャップ18が薬物送達デバイス1から引き抜かれるとき、キャップ18によってカートリッジ4が遠位方向に搬送され、それによって図4Bに示すように近位針先端7.1がカートリッジ4のセプタム4.1を貫通することになる。キャップスリーブ18.1を本体12の内面にある凹部12.2の内部で案内することによって、折り返されたカラー18.1.1が開くことが防止される。キャップスリーブ18.1を本体12の内部で案内する他の実施形態が可能であることが、当業者には理解されよう。
【0045】
折り返されたカラー18.1.1は、図4Cに示すように、キャップ18によって搬送されたカートリッジ4がその前進位置に達した後、開口部12.3において伸びる、または開くことができる。この前進位置において、セプタム4.1の遠位表面は、ニードルホルダ15の底部15.2の近位表面と係合し、ここでは側壁15.1は、肩部13.1の近位フランジよりも近位に突出している。この近位突出部によって、折り返されたカラー18.1.1が開くことになり、したがって図4Dから分かるように、折り返されたカラー18.1.1が肩部13.1から係合解除され、カートリッジ4から解放されることになる。したがって、キャップ18は、注射に向けて準備された薬物送達デバイス1から容易に取り外すことができる。
【0046】
図5A〜5Dは、キャップ18を有する薬物送達デバイス1のさらなる実施形態の長手方向断面を示し、薬物送達デバイス1からキャップ18を解放するために、薬物送達デバイス1をトリガし、それによってカートリッジ4、およびキャップ18を遠位方向Dに前進させ、それによって注射に向けて薬物送達デバイス1を準備する一連の工程を示している。本発明の本実施形態によれば、薬物送達デバイス1は、トリガボタン19、および駆動要素20、例えば駆動ばねを含む。
【0047】
さらに、カートリッジ4、キャップ18、およびニードルホルダ15は、図5Aから5Dに記載の実施形態の部材と同様の部材に対応している。
【0048】
薬物送達デバイス1が、トリガボタン19を押すことによって遠位方向Dにトリガされると、図5Bから5Dから分かるように、駆動要素20が解放され、それによってカートリッジ4がニードルホルダ15に対して遠位方向Dに前進する。それによって、図5Bに示すように、近位針先端7.1がカートリッジ4のセプタム4.1を貫通する。
【0049】
カートリッジ4とキャップ18とが連結されているため、キャップ18もまた、遠位方向Dに前方へと押される。キャップスリーブ18.1を本体12の内面にある凹部12.2の内部で案内することによって、折り返されたカラー18.1.1が開くことが防止される。キャップスリーブ18.1を本体12の内部で案内する他の実施形態が可能であることが、当業者には理解されよう。
【0050】
折り返されたカラー18.1.1は、図5Cに示すように、キャップ18によって搬送されたカートリッジ4がその前進位置に達した後、開口部12.3において伸びる、または開くことができる。この前進位置において、セプタム4.1の遠位表面は、ニードルホルダ15の底部15.2の近位表面と係合し、ここでは側壁15.1は、肩部13.1の近位フランジよりも近位に突出している。この近位突出部によって、折り返されたカラー18.1.1が開き、したがって図5Dから分かるように、折り返されたカラー18.1.1が肩部13.1から係合解除され、カートリッジ4から解放され、したがってデカップリングすることになる。したがって、キャップ18は、注射に向けて準備された薬物送達デバイス1から容易に取り外すことができる。
【0051】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、1つまたはそれ以上の薬学的に活性な化合物を説明するために本明細書において使用される。以下に説明されるように、薬物または薬剤は、1つまたはそれ以上の疾患を処置するための、様々なタイプの製剤の少なくとも1つの低分子もしくは高分子、またはその組み合わせを含むことができる。例示的な薬学的に活性な化合物は、低分子;ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(例えばホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素);炭水化物および多糖類;ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(裸およびcDNAを含む)、RNA、アンチセンスDNAおよびRNAなどのアンチセンス核酸、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドを含むことができる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに組み込むことができる。これらの薬物の1つまたはそれ以上の混合物もまた、企図される。
【0052】
用語「薬物送達デバイス」は、薬物をヒトまたは動物の体内に投薬するように構成されたあらゆるタイプのデバイスまたはシステムを包含するものである。限定されることなく、薬物送達デバイスは、注射デバイス(例えばシリンジ、ペン型注射器、自動注射器、大容量デバイス、ポンプ、かん流システム、または眼内、皮下、筋肉内、もしくは血管内送達にあわせて構成された他のデバイス)、皮膚パッチ(例えば、浸透圧性、化学的、マイクロニードル)、吸入器(例えば鼻用または肺用)、埋め込み(例えば、コーティングされたステント、カプセル)、または胃腸管用の供給システムとすることができる。ここに説明される薬物は、針、例えば小ゲージ針を含む注射デバイスで特に有用であることができる。
【0053】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスで使用するように適用された主要パッケージまたは「薬物容器」内に含むことができる。薬物容器は、例えば、カートリッジ、シリンジ、リザーバ、または1つまたはそれ以上の薬学的に活性な化合物の保存(例えば短期または長期保存)に適したチャンバを提供するように構成された他の容器とすることができる。例えば、一部の場合、チャンバは、少なくとも1日(例えば1日から少なくとも30日まで)の間薬物を保存するように設計することができる。一部の場合、チャンバは、約1ヶ月から約2年の間薬物を保存するように設計することができる。保存は、室温(例えば約20℃)または冷蔵温度(例えば約−4℃から約4℃まで)で行うことができる。一部の場合、薬物容器は、薬物製剤の2つまたはそれ以上の成分(例えば薬物および希釈剤、または2つの異なるタイプの薬物)を別々に、各チャンバに1つずつ保存するように構成された二重チャンバカートリッジとすることができ、またはこれを含むことができる。そのような場合、二重チャンバカートリッジの2つのチャンバは、ヒトまたは動物の体内に投薬する前、および/または投薬中に薬物または薬剤の2つまたはそれ以上の成分間で混合することを可能にするように構成することができる。例えば、2つのチャンバは、これらが(例えば2つのチャンバ間の導管によって)互いに流体連通し、所望の場合、投薬の前にユーザによって2つの成分を混合することを可能にするように構成することができる。代替的に、またはこれに加えて、2つのチャンバは、成分がヒトまたは動物の体内に投薬されているときに混合することを可能にするように構成することができる。
【0054】
本明細書において説明される薬物送達デバイスおよび薬物は、数多くの異なるタイプの障害の処置および/または予防に使用することができる。例示的な障害は、例えば、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病に伴う合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症を含む。さらなる例示的な障害は、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチである。
【0055】
糖尿病または糖尿病に伴う合併症の処置および/または予防のための例示的な薬物は、インスリン、例えばヒトインスリン、またはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、GLP−1類似体もしくはGLP−1受容体アゴニスト、またはその類似体もしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ−4(DPP4)阻害剤、または薬学的に許容される塩もしくはその溶媒和物、またはそれらの任意の混合物を含む。本明細書において使用される用語「誘導体」は、元の物質と構造的に十分同様のものであり、それによって同様の機能または活性(例えば治療効果性)を有することができる任意の物質を指す。
【0056】
例示的なインスリン類似体は、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0057】
例示的なインスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。例示的なGLP−1、GLP−1類似体およびGLP−1受容体アゴニストは、例えば:リキシセナチド(Lixisenatide)/AVE0010/ZP10/リキスミア(Lyxumia)、エキセナチド(Exenatide)/エクセンディン−4(Exendin−4)/バイエッタ(Byetta)/ビデュリオン(Bydureon)/ITCA650/AC−2993(アメリカドクトカゲの唾液腺によって産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(Liraglutide)/ビクトザ(Victoza)、セマグルチド(Semaglutide)、タスポグルチド(Taspoglutide)、シンクリア(Syncria)/アルビグルチド(Albiglutide)、デュラグルチド(Dulaglutide)、rエクセンディン−4、CJC−1134−PC、PB−1023、TTP−054、ラングレナチド(Langlenatide)/HM−11260C、CM−3、GLP−1エリゲン、ORMD−0901、NN−9924、NN−9926、NN−9927、ノデキセン(Nodexen)、ビアドール(Viador)−GLP−1、CVX−096、ZYOG−1、ZYD−1、GSK−2374697、DA−3091、MAR−701、MAR709、ZP−2929、ZP−3022、TT−401、BHM−034、MOD−6030、CAM−2036、DA−15864、ARI−2651、ARI−2255、エキセナチド(Exenatide)−XTENおよびグルカゴン−Xtenである。
【0058】
例示的なオリゴヌクレオチドは、例えば:家族性高コレステロール血症の処置のためのコレステロール低下アンチセンス治療薬である、ミポメルセン(mipomersen)/キナムロ(Kynamro)である。
【0059】
例示的なDPP4阻害剤は、ビルダグリプチン(Vildagliptin)、シタグリプチン(Sitagliptin)、デナグリプチン(Denagliptin)、サキサグリプチン(Saxagliptin)、ベルベリン(Berberine)である。
【0060】
例示的なホルモンは、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンなどの、脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストを含む。
【0061】
例示的な多糖類は、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、例えば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩を含む。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。ヒアルロン酸誘導体の例としては、HylanG−F20/Synvisc、ヒアルロン酸ナトリウムがある。
【0062】
本明細書において使用する用語「抗体」は、免疫グロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。免疫グロブリン分子の抗原結合部分の例は、抗原を結合する能力を保持するF(ab)およびF(ab’)フラグメントを含む。抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、組換え型、キメラ型、非免疫型またはヒト化、完全ヒト型、非ヒト型(例えばマウス)、または一本鎖抗体とすることができる。いくつかの実施形態では、抗体はエフェクター機能を有し、補体を固定することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、Fc受容体と結合する能力が低く、または結合することはできない。例えば、抗体は、アイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは変異体とすることができ、Fc受容体との結合を支持せず、例えば、これは、突然変異したまたは欠失したFc受容体結合領域を有する。
【0063】
用語「フラグメント」または「抗体フラグメント」は、全長抗体ポリペプチドを含まないが、抗原と結合することができる全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を依然として含む、抗体ポリペプチド分子(例えば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)由来のポリペプチドを指す。抗体フラグメントは、全長抗体ポリペププチドの切断された部分を含むことができるが、この用語はそのような切断されたフラグメントに限定されない。本発明に有用である抗体フラグメントは、例えば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、直鎖抗体、二重特異性、三重特異性、および多重特異性抗体(例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)などの単一特異性または多重特異性抗体フラグメント、ミニボディ、キレート組換え抗体、トリボディまたはバイボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュラー免疫薬(SMIP)、結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体を含む。抗原結合抗体フラグメントのさらなる例は、当技術分野で知られている。
【0064】
用語「相補性決定領域」または「CDR」は、特異的抗原認識を仲介する役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。用語「フレームワーク領域」は、CDR配列ではなく、CDR配列の正しい位置決めを維持して抗原結合を可能にする役割を主に担う重鎖および軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、通常、当技術分野で知られているように、抗原結合に直接的に関与しないが、特定の抗体のフレームワーク領域内の特定の残基が、抗原結合に直接的に関与することができ、またはCDR内の1つまたはそれ以上のアミノ酸が抗原と相互作用する能力に影響を与えることができる。
【0065】
例示的な抗体は、アンチPCSK−9mAb(例えばアリロクマブ(Alirocumab))、アンチIL−6mAb(例えばサリルマブ(Sarilumab))、およびアンチIL−4mAb(例えばデュピルマブ(Dupilumab))である。
【0066】
本明細書において説明される化合物は、(a)化合物または薬学的に許容されるその塩、および(b)薬学的に許容される担体を含む医薬製剤において使用することができる。化合物はまた、1つまたはそれ以上の他の医薬品有効成分を含む医薬製剤、または存在する化合物またはその薬学的に許容される塩が唯一の有効成分である医薬製剤において使用することもできる。したがって、本開示の医薬製剤は、本明細書において説明される化合物および薬学的に許容される担体を混合することによって作られる任意の製剤を包含する。
【0067】
本明細書において説明される任意の薬物の薬学的に許容される塩もまた、薬物送達デバイスにおける使用に企図される。薬学的に許容される塩は、例えば酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩は、例えば、HClまたはHBr塩である。塩基性塩は、例えば、アルカリもしくはアルカリ土類金属、例えばNa+、もしくはK+、もしくはCa2+、またはアンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1からR4は互いに独立して:水素、場合により置換されたC1〜C6−アルキル基、場合により置換されたC2〜C6−アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10−アリル基、または場合により置換されたC6〜C10−ヘテロアリール基を意味する)から選択されるカチオンを有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、当業者に知られている。
【0068】
薬学的に許容される溶媒和物は、例えば、水和物またはメタノラートまたはエタノラートなどのアルカノラートである。
【0069】
本明細書に記載の物質、公式、装置、方法、システム、および実施形態の様々な要素には、本発明の完全な範囲および趣旨から逸脱することなく、改変(追加および/または削除)を行うことができ、そのような改変、およびそのいかなる均等物もすべて、本発明の完全な範囲および趣旨に含まれることが当業者には理解されよう。
【符号の説明】
【0070】
1 薬物送達デバイス
2,12 本体
2.1 半径方向突出部
2.2 ウェッジ
2.3 フランジ
3 カートリッジホルダ
3.1 クリップ
3.2 止め具
3.3 レバー
3.4 キャッチ
4 カートリッジ
4.1 セプタム
4.2 ストッパ
5,15 ニードルホルダ
6 ポッド
7 針
7.1 近位針先端
7.2 遠位針先端
8,18 キャップ
8.1 外側キャップシース
8.2 内側キャップシース
8.2.1 傾斜凹部
8.3,18.3 キャップ底部
8.4 レセプタクル
9 ニードルスリーブ
10 ストッパドライバ
12.1 保持部材
12.2 凹部
12.3 開口部
13 カートリッジ壁
13.1 肩部
15.1 側壁
15.2 底部
18.1 キャップスリーブ
18.1.1 折り返されたカラー
18.1.2 カットアウト
19 トリガボタン
20 駆動要素
A 長手方向軸
D 遠位端
P 近位端
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図5