特許第6813536号(P6813536)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ドイター シュポアト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
  • 特許6813536-リュックサック 図000002
  • 特許6813536-リュックサック 図000003
  • 特許6813536-リュックサック 図000004
  • 特許6813536-リュックサック 図000005
  • 特許6813536-リュックサック 図000006
  • 特許6813536-リュックサック 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6813536
(24)【登録日】2020年12月21日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】リュックサック
(51)【国際特許分類】
   A45F 3/04 20060101AFI20201228BHJP
【FI】
   A45F3/04 300
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-110418(P2018-110418)
(22)【出願日】2018年6月8日
(65)【公開番号】特開2019-34116(P2019-34116A)
(43)【公開日】2019年3月7日
【審査請求日】2018年6月8日
(31)【優先権主張番号】10 2017 112 759.3
(32)【優先日】2017年6月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518078452
【氏名又は名称】ドイター シュポアト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Deuter Sport GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェン ブフィントン
【審査官】 河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/119877(WO,A1)
【文献】 米国特許第09591910(US,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0206805(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0099932(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷室(18)を備えたリュックサックであって、前記荷室(18)は、当該リュックサックの使用者の背中を向く側で、背面部分(20)によって画成されており、メッシュエレメント(12)およびフレームアセンブリ(22)が設けられており、前記メッシュエレメント(12)は、前記背面部分(20)に取り付けられており、前記フレームアセンブリ(22)は、前記メッシュエレメント(12)を緊張させるように設計されており、前記メッシュエレメント(12)の緊張時に前記背面部分(20)と前記メッシュエレメント(12)との間に中間室(24)が形成されるようになっており、さらに、使用者の背中に当該リュックサック(10)を背負うための2つの肩ベルト(14,16)が設けられており
前記2つの肩ベルト(14,16)は、前記メッシュエレメント(12)に形成された2つの貫通部(46)をそれぞれ貫いて前記中間室(24)を横断しており、かつ前記背面部分(20)に固定されている端部領域(42,44)を有しており、
前記背面部分(20)は、少なくとも1つの第1のプレートエレメント(58)と、少なくとも1つの保持エレメント(62,64)とを有しており、前記第1のプレートエレメント(58)は、前記少なくとも1つの保持エレメント(62,64)を用いて前記フレームアセンブリ(22)に結合されており、
前記背面部分(20)は、前記第1のプレートエレメント(58)と、該第1のプレートエレメント(58)とは別体の第2のプレートエレメント(66)とを有しており、前記肩ベルト(14,16)の前記端部領域(42,44)は、第2のプレートエレメント(66)の領域において前記背面部分(20)に固定されている、リュックサックにおいて、
前記背面部分(20)は、前記第2のプレートエレメント(66)の領域に、織布エレメント(74)によって覆われた横ステー(72)を有していることを特徴とする、リュックサック。
【請求項2】
前記肩ベルト(14,16)の前記端部領域(42,44)は、前記第1のプレートエレメント(58)と前記第2のプレートエレメント(66)との間に形成されているそれぞれの結合箇所において、前記背面部分(20)に取り付けられている、請求項記載のリュックサック。
【請求項3】
前記第2のプレートエレメント(66)は、円弧上に形成されかつ織布エレメント(70)によって覆われており、該織布エレメント(70)は、前記第1のプレートエレメント(58)を覆うカバー部分(60)に固定されている、請求項または記載のリュックサック。
【請求項4】
前記カバー部分(60)に、前記少なくとも1つの保持エレメント(62,64)が形成されている、請求項記載のリュックサック。
【請求項5】
前記カバー部分(60)は、織布エレメントとして形成されており、該織布エレメントは、少なくとも1つのトンネルを有しており、該トンネルによって前記少なくとも1つの保持エレメント(62,64)が形成されている、請求項記載のリュックサック。
【請求項6】
前記フレームアセンブリ(22)の、当該リュックサック(10)の高さ方向(34)に延びている第1の脚(30)が、第1のこのようなトンネルを貫いて案内されており、かつ前記フレームアセンブリ(22)の、当該リュックサック(10)の高さ方向(34)に延びている第2の脚(32)が、第2のこのようなトンネルを貫いて案内されている、請求項記載のリュックサック。
【請求項7】
前記メッシュエレメント(12)内に2つの貫通部(46)が形成されており、該貫通部(46)を貫いて前記肩ベルト(14,16)の端部領域(42,44)が貫通案内されている、請求項1からまでのいずれか1項記載のリュックサック。
【請求項8】
前記背面部分(20)は、前記フレームアセンブリ(22)の、当該リュックサック(10)の高さ方向(34)で見て下側の部分領域に、横ステー(94)および/またはU字形の湾曲部材(76)および/または第3のプレートエレメント(86)を有している、請求項1からまでのいずれか1項記載のリュックサック。
【請求項9】
前記U字形の湾曲部材(76)の自由端部が、差込みポケットに導入されており、該差込みポケットは、前記背面部分(20)の横方向で見て、前記フレームアセンブリ(22)の脚(30,32)の自由端部(36,38)が導入されている別の差込みポケット(40)よりも大きな間隔を互いの間にあけて位置している、請求項記載のリュックサック。
【請求項10】
前記背面部分(20)は、当該リュックサック(10)の高さ方向(34)で見て、前記フレームアセンブリ(22)の上側の横ウェブ(26)の高さに配置されている横ステー(96)を有している、請求項1からまでのいずれか1項記載のリュックサック。
【請求項11】
前記フレームアセンブリ(22)の、当該リュックサック(10)の高さ方向(34)に延びている脚(30,32)は、互いの間に最小の間隔が形成されている第1の領域(88)を有しており、前記脚(30,32)は、前記第1の領域(88)に隣接する第2の領域(90)において、一定のまたは次第に増大する第2の間隔を互いの間に有しており、前記脚(30,32)は、前記第1の領域(88)に隣接する第3の領域(92)において、前記脚(30,32)の自由端部(36,38)に向かって次第に増大する間隔を互いの間に有している、請求項1から1までのいずれか1項記載のリュックサック。
【請求項12】
前記肩ベルト(14,16)は、前記脚(30,32)が一定の間隔を互いの間に有している前記第2の領域(90)において、前記フレームアセンブリ(22)に沿って当該リュックサック(10)の高さ方向(34)に移動可能である、請求項1記載のリュックサック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リュックサックの使用者の背中を向く側で荷室が背面部分によって画成されている、荷室を備えたリュックサックに関する。リュックサックは、メッシュエレメントおよびフレームアセンブリを有しており、フレームアセンブリは、メッシュエレメントを緊張させるように設計されている。メッシュエレメントの緊張時に背面部分とメッシュエレメントとの間に中間室が形成されている。使用者の背中にリュックサックを背負うための2つの肩ベルトが設けられている。
【背景技術】
【0002】
このようなリュックサックは、例えば欧州特許出願公開第2407050号明細書に記載されている。この公知のリュックサックでは、肩ベルトはメッシュエレメントの上縁部に固定されている。
【0003】
リュックサックが荷積み状態の場合、つまりリュックサックの使用者によって運ばれる物品が荷室内にある場合に、肩ベルトのこのような固定形式では、メッシュエレメントに引張り負荷が生じる。これによって、メッシュエレメントが望まれずに変形してしまうおそれがある。
【0004】
メッシュエレメントおよびフレームアセンブリは、通常、フレームアセンブリを用いてメッシュエレメントを緊張させている場合に、使用者の背中がリュックサックの背面部分に接触しないように働くことが望ましい。つまり、メッシュエレメントは、フレームアッセンブリと共働して、使用者の背中に対する通気のために、つまりリュックサックを背負ったときの使用者に対する快適なベンチレーションのために機能する。しかしながら、メッシュエレメントの変形は、使用者の背中のベンチレーションを損なうことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、冒頭に述べた形式のリュックサックにおいて、メッシュエレメントの、肩ベルトを介して生じる変形が回避される、リュックサックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に記載の特徴を備えたリュックサックによって解決される。本発明の好適な発展形態を備えた有利な構成は、従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明に係るリュックサックは、リュックサックの使用者の背中に向く側で、リュックサックの背面部分によって画成されている荷室を有している。リュックサックは、メッシュエレメントおよびフレームアセンブリを有している。フレームアセンブリは、メッシュエレメントを緊張させるように設計されており、メッシュエレメントの緊張時に背面部分とメッシュエレメントとの間に中間室が形成されるようになっている。リュックサックは、使用者の背中にリュックサックを背負うための2つの肩ベルトを有している。肩ベルトは、中間室を横断しかつ背面部分に固定されている端部領域を有している。このように構成されていると、肩ベルトを介して、引張り負荷がメッシュエレメントに加えられるおそれを確実に防止することができる。これによって、メッシュエレメントの変形が確実に回避される。
【0008】
さらに、これによって、肩ベルトの固定領域においても、リュックサックの背面部分と使用者の背中との間に間隔が存在することになる。このことは、使用者の背中の通気の改善に有効である。
【0009】
リュックサックの高さ方向で見て、肩ベルトの端部領域は、リュックサックの、メッシュエレメントと背面部分とが一緒に延びている領域から間隔をあけて位置している。このことは、使用者が肩ベルトを用いてリュックサックを背負った場合に、改善された装着快適性と、使用者の背中の通気またはベンチレーションの改善とを、使用者に与える。
【0010】
好ましくは、リュックサックの背面部分は、少なくとも1つの第1のプレートエレメントと、少なくとも1つの保持エレメントとを有している。第1のプレートエレメントは、少なくとも1つの保持エレメントを用いてフレームアセンブリに結合されている。このように構成されていると、第1のプレートエレメントは、背面部分の強化のために役立つ。少なくとも1つの保持エレメントは、第1のプレートエレメントの位置をフレームアセンブリに関して良好に固定するために役立つ。この構成によって、肩ベルトの端部領域の高さにおける、背面部分とメッシュエレメントとの間の間隔にもかかわらず、肩ベルトの端部領域の位置を固定することが可能になる。特に、肩ベルトが背面部分の横方向で互いに離れる方向に移動するのを回避することができる。
【0011】
比較的大きな第1のプレートエレメントは、好ましくは、リュックサックの高さ方向で見て、肩ベルトの端部領域から、フレームアセンブリの、リュックサックの高さ方向に延びる脚が最小間隔を互いの間に有している領域まで、達している。これによって、一方では背面部分の比較的大面積の強化部を得ることができ、かつ他方では、少なくとも1つの保持エレメントを用いたフレームアセンブリの特に確実な結合部を得ることができる。
【0012】
好ましくは、背面部分は、第1のプレートエレメントと、第1のプレートエレメントとは別体の第2のプレートエレメントとを含んでいる。肩ベルトは、第2のプレートエレメントの領域において背面部分に固定されている。リュックサックの背面部分に別体の2つのプレートエレメントが設けられていることによって、背面部分の大きな安定性を得ることができ、かつさらに背面部分における肩ベルトの端部領域の特に丈夫な固定形態を得ることができる。それにもかかわらず、別体の2つのプレートエレメントを設けることは、背面部分にある程度の柔軟性を与えるために役立ち、このような柔軟性は、またリュックサックの装着快適性に役立つ。さらに、フレームアセンブリを用いて、背面部分を良好に、膨らんだまたは湾曲した形状にもたらすことができ、このような形状において背面部分とメッシュエレメントとの間に中間室が形成されている。
【0013】
特に、両プレートエレメントは、数ミリメートルの大きさで互いに相対的に移動することができるようになっており、リュックサックの高さ方向で見て比較的細い第2のプレートエレメントは、単に第1のプレートエレメントの上側領域においてしか、第1のプレートエレメントにオーバラップしていない。両プレートエレメントのこのようなオーバラップによって、背面部分の良好な局部的な安定性を得ることができる。それにもかかわらず、背面部分はその全高にわたって過度の剛性を有しておらず、肩ベルトの端部領域を固定するのに好適である箇所においてのみ剛性を有している。このことはまた、フレームアセンブリを用いて背面部分を良好に、湾曲した形状にもたらすのに役立つ。
【0014】
好ましくは、肩ベルトの端部領域は、第1のプレートエレメントと第2のプレートエレメントとの間に形成されているそれぞれの結合箇所において、背面部分に取り付けられている。これによって、第2のプレートエレメントは、特に第1のプレートエレメントの上側領域において、第1のプレートエレメントとオーバラップしている。これにより、背面部分の、肩ベルトの端部領域が背面部分に固定されている領域に、特に負荷を掛けることができる。このことはまた、背面部分における肩ベルトの特に確実かつ丈夫な固定のために役立つ。
【0015】
好ましくは、第2のプレートエレメントは、織布エレメントによって覆われており、この織布エレメントは、第1のプレートエレメントを覆うカバー部分に固定されている。このように構成されていると、第2のプレートエレメントによって第1のプレートエレメントの局部的な強化を簡単に達成することができる。それにもかかわらず、第1のプレートエレメントも第2のプレートエレメントも露出していない。むしろ、これらのプレートエレメントは、織布エレメントによってまたはカバー部分によって隠されている。さらに、織布エレメントを設けることによって、第1のプレートエレメントの上側領域における第2のプレートエレメントの固定を、縫い付けによって、ひいては特に簡単な形式で行うことができる。なぜならば、第1のプレートエレメントに第2のプレートエレメントを固定するために、織布エレメントをカバー部分に縫い付けることができるからである。特に、相応の負荷を掛けることができる縫い目によって、第2のプレートエレメントを、第1のプレートエレメントに極めて確実に固定することができる。
【0016】
第1のプレートエレメントを覆うカバー部分は、特に、第1のプレートエレメントを使用者の背中に向かってかつ荷室に向かってカバーするかまたは覆うスリーブの形式で形成されていてよい。
【0017】
好ましくは、カバー部分に、少なくとも1つの保持エレメントが形成されている。なぜならば、例えば、カバー部分に形成されている舌状部材、ループまたはこれに類したものによって、フレームアセンブリにおける第1のプレートエレメントの確実な固定を、特に簡単に達成することができるからである。
【0018】
さらに好適なこととして、カバー部分は、織布エレメントとして形成されており、織布エレメントは、少なくとも1つのトンネルを含んでいる。このときトンネルによって少なくとも1つの保持エレメントが形成されている。このようなトンネルまたは織布トンネルを介して、特に丈夫でかつ負荷を掛けることができる、フレームアセンブリへの第1のプレートエレメントの結合を達成することができる。
【0019】
好ましくは、フレームアセンブリの、リュックサックの高さ方向に延びている第1の脚が、第1のこのようなトンネルを貫いて案内されており、かつフレームアセンブリの、リュックサックの高さ方向に延びている第2の脚が、第2のこのようなトンネルを貫いて案内されている。このような構成は、フレームアセンブリを用いて背面部分に、所望の湾曲したまたは凸面状の形状を与えることを簡単に可能にし、このような形状内には、背面部分とメッシュエレメントとの間に中間室が形成される。さらに、フレームアセンブリの脚が第1のプレートエレメントを支持するような構成を得ることが可能であり、それぞれの脚の、トンネルを通して案内された領域は、第1のプレートエレメントの前に配置されている。つまり、言い換えれば、好ましくはそれぞれの脚の、トンネルを通って延びている領域は、使用者がリュックサックを肩ベルトによって背負っている場合に、第1のプレートエレメントと使用者の背中との間に位置している。このようにしてまた、フレームアセンブリは、フレームアセンブリがメッシュエレメントを緊張させている場合に、背面部分を所望の湾曲した形状にもたらすのに役立つ。
【0020】
背面部分は、第2のプレートエレメントの領域に、横ステーを有していてよい。背面部分のこのような追加的な強化形態は、特に、リュックサックの荷室が比較的大きな容積、例えば24リットルを超える容積を有している場合に好適である。好ましくは、横ステーは、織布エレメントによって覆われている。これによって、横ステーを、所望のように簡単に、背面部分の、横ステーのために設けられた箇所に固定することができる。
【0021】
好ましくは、メッシュエレメント内に2つの貫通部が形成されており、この貫通部を貫いて肩ベルトの端部領域が貫通案内されている。これによって、一方では、肩ベルト相互の移動を制限することができる。さらに、背面部分の横方向で見ても特に大きなメッシュエレメントを提供することができ、この大きなメッシュエレメントは、背面部分と使用者の背中との間の間隔のために役立つ。このことは、また使用者の背中の良好な通気またはベンチレーションにも役立つ。
【0022】
背面部分は、フレームアセンブリの、リュックサックの高さ方向で見て下側の部分領域に、横ステーを有していてよい。このように構成されていると、背面部分のこの部分領域においても、強化部を得ることができ、かつそれにもかかわらず、背面部分を所望の湾曲した形状に良好にもたらすことができる。
【0023】
追加的にまたは代替的に、背面部分は、フレームアセンブリの、リュックサックの高さ方向で見て下側の部分領域に、U字形の湾曲部材を有していてもよい。このような湾曲部材によっても、背面部分の下側の部分領域において、背面部分を所望のようにメッシュエレメントから離れるように湾曲させることができ、特に、背面部分の横方向における湾曲を、湾曲部材によって形成することができる。
【0024】
追加的にまたは代替的に、背面部分は、フレームアセンブリの、リュックサックの高さ方向で見て下側の部分領域に、第3のプレートエレメントを有していてもよい。このような構成によっても、背面部分を追加的にかつ局部的に補強することができ、同時に、背面部分の柔軟性は、リュックサックの高さ方向で得られたままである。
【0025】
好ましくは、U字形の湾曲部材の自由端部が、差込みポケットに挿入されており、この差込みポケットは、背面部分の横方向で見て、フレームアセンブリの脚の自由端部が導入されている別の差込みポケットよりも大きな間隔を互いの間にあけて位置している。このように構成されていると、特にひれ状腰安定部材または腰ベルトの領域において、背面部分を湾曲した形状にもたらすことができ、その結果、ひれ状腰安定部材または腰ベルトの領域において、使用者の背中の通気を改善する、背面部分とメッシュエレメントとの間に間隔が与えられる。
【0026】
背面部分は、リュックサックの高さ方向で見て、フレームアセンブリの上側の横ウェブの高さに配置されている横ステーを有していてよい。このような横ステーは、特に大きな容積の荷室を備えたリュックサックにおいて、例えば少なくとも45リットルまたは少なくとも50リットルの荷室を備えたリュックサックでは特に好適である。
【0027】
好ましくは、フレームアセンブリの、リュックサックの高さ方向に延びている脚は、第1の領域において互いの間に最小の間隔を有している。この場合、脚は、第1の領域に隣接する第2の領域において、一定のまたは次第に増大する第2の間隔を互いの間に有している。さらに、脚は、第1の領域に隣接する第3の領域において、脚の自由端部に向かって次第に増大する間隔を互いの間に有している。これに応じて、脚は、第1の領域において互いに接近しており、かつ脚の自由端部に向かって、脚は再び互いに離れている。これによって、背面部分の高い柔軟性と、同時に十分な剛性とが得られる。
【0028】
特に、脚が、第2の領域において、一定の間隔を互いの間に有している場合には、肩ベルトが、第2の領域において、フレームアセンブリに沿ってリュックサックの高さ方向に移動可能であることが提案されてよい。特に無段階式のこのような背面長さ調節によって、リュックサックの装着快適性を高めることができる。
【0029】
上記の特徴および特徴の組合せ、ならびに以下で図面を参照する説明で述べられる、かつ/または図面にのみ示された特徴および特徴の組合せは、それぞれ提供された組合せのみならず、本発明の枠を逸脱することなしに、他の組合せまたは単独でも使用することができる。したがって、図面に詳しく示されていないまたは記載されていないが、個別の特徴の組合せによって説明される構成から生じるかつ発生可能な構成もまた、本発明に含まれかつ開示されているとみなすべきである。
【0030】
本発明の別の利点、特徴および詳細は、請求項、好適な実施形態の以下の記載および図面に開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】リュックサックの使用者に向けられた側にメッシュエレメントを有し、メッシュエレメントを緊張させるためのフレームアセンブリが設けられており、かつリュックサックの肩ベルトの端部領域がリュックサックの背面部分に固定されている、リュックサックを示す背面図である。
図2図1に示されたリュックサックを概略的に示す側面図である。
図3】リュックサックの1つの構成における背面部分の構成部品を概略的に示す図である。
図4】リュックサックの1つの変化形態における、メッシュエレメントを緊張させるフレームアセンブリを示す図である。
図5】リュックサックの別の変化形態における、メッシュエレメントを緊張させるフレームアセンブリを示す図である。
図6】リュックサックのさらに別の変化形態における、メッシュエレメントを緊張させるフレームアセンブリを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1には、リュックサック10が斜視図で示されており、このリュックサック10は、リュックサックの、使用者または装着者の背中に向いた側に、メッシュエレメント12を有している。背面メッシュ(Netzruecken)とも呼ばれるこのようなメッシュエレメント12は、使用者がリュックサック10を背負い、リュックサック10の肩ベルト14,16が使用者の肩にわたって延びているときに、使用者の背中に接触している。リュックサック10の荷室18(図2参照)は、使用者の背中に向いた側で、背面部分20によって画成されている。
【0033】
図3から分かるように、背面部分20にはフレームアセンブリ22が配置されている。フレームアセンブリ22は、メッシュエレメント12を緊張させるように設計されている。その結果、引っ張られたメッシュエレメント12では、背面部分20とメッシュエレメント12との間に中間室24が形成されており、この中間室24は、図2において良好に観察することができる。中間室24内には空気が流入することができる。なぜならば、使用者の背中は、背面部分20に接触しているのではなく、メッシュエレメント12に接触しているからである。メッシュエレメント12と背面部分20との間のこの間隔に基づいて、使用者または装着者がリュックサック10をその背中にバックル留めして背負った場合に、リュックサック10の使用者または装着者の背中への良好な通気が提供される。
【0034】
図3から分かるように、ここでは曲げられた強いワイヤによって形成されており、ゆえにここではワイヤフレームとして形成されているフレームアセンブリ22は、上側の横ウェブ26を有している。フレームアセンブリ22は、上側の横ウェブ26の領域で、リュックサック10のポケット28内に導入されている。ポケットは、例えばファスナを用いて開放することができ、これによってフレームアセンブリ22またはワイヤフレームに接近することが可能である。このようにしてフレームアセンブリ22を、リュックサック10から取り外すことができる。上側の横ウェブ26からは、フレームアセンブリ22の第1の脚30と第2の脚32とが、リュックサック10の高さ方向34で見て下方に向かって延びている。図2の側面図では、第2の脚32は概略的に示されている。
【0035】
第1の脚30の自由端部36(図3参照)は、背面部分20に形成された差込みポケット内に導入されている。同様の形式で、第2の脚32の自由端部38(図3参照)は、差込みポケット40内に導入されており、この差込みポケット40は、図2に概略的に示されている。単に差込みポケット40だけが示されている下側の両差込みポケット内へのフレームアセンブリ22の自由端部36,38の導入、および上側のポケット28内へのフレームアセンブリ22の上側領域の導入によって、メッシュエレメント12が引っ張られ、ひいては中間室24(図2参照)が形成される。
【0036】
ここでは、肩ベルト14,16の端部領域42,44は、背面部分20に固定されている。結果的に端部領域42,44は、メッシュエレメント12と背面部分20との間に形成された中間室24(図2参照)を横断している。これによって、肩ベルト14,16の領域においても、メッシュエレメント12と背面部分20との間に間隔が存在することが保証される。このことは、リュックサック10の使用者の背中の通気を改善するのに役立つ。さらに、肩ベルト14,16がメッシュエレメント12に固定されている場合に発生し得る、メッシュエレメント12の変形が回避される。
【0037】
肩ベルト14,16の端部領域42,44は、ここでは、背面部分20とメッシュエレメント12とが、そのそれぞれの上端部において互いに向かって延びているか、または一緒に延びている、リュックサック10の領域の幾分下側で、中間室24を貫いて延びている(図2参照)。さらに、図1から分かるように、肩ベルト14,16の端部領域42,44は、メッシュエレメント12に形成された2つの貫通部46を貫いて案内されている。したがって、メッシュエレメント12は、肩ベルト14,16の端部領域42,44の高さでは特に広幅である。さらに、メッシュエレメント12のそれぞれの部分領域48,50が、リュックサック10の横方向で見て、端部領域42,44のそばにおいて側部で、リュックサック10の外側に向かってずらされて位置している。
【0038】
図1および図2から認識できるように、メッシュエレメント12と背面部分20とは、腰ベルト52,54の高さにおいて互いに向かって延びており、これらの腰ベルト52,54は、使用者の背中または腰に向けられたその表面に、通気性材料を備えている。リュックサック10の代替的な構成では、腰ベルト52,54の代わりに、単に短いひれ状腰安定部材(Hueftenfloss)またはこれに類したものが設けられていてもよく、または腰ベルト52,54またはひれ状腰安定部材が完全に省かれていてもよい。図2からさらに分かるように、荷室18は、リュックサック10のカバー部分56を用いて上側で閉鎖することができる。
【0039】
図3を参照しながら、背面部分20の構造、および背面部分20における肩ベルト14,16の端部領域42,44の固定について説明する。ここでは背面部分20は、比較的大面積の第1のプレートエレメント58を有しており、この第1のプレートエレメント58は、例えばプラスチック、特にポリエチレン(PE)から形成されていてよい。第1のプレートエレメント58は、スリーブの形式で形成された織布エレメント60内に配置されており、この織布エレメント60は、メッシュエレメント12を通して図1において見ることができる。内部に第1のプレートエレメント58が縫い込まれているこの織布エレメント60は、フレームアセンブリ22に第1のプレートエレメント58を結合するのに役立つ2つのトンネル62,64(図1参照)を有している。したがって、第1の脚30はトンネル64を貫いて、かつ第2の脚32はトンネル62を貫いて案内されており、このときトンネル62,64は、好ましくは背面部分20の中心に向かって引っ張られている。脚30,32は、ここでは第1のプレートエレメント58を、メッシュエレメント12に向けられた側で支持している。
【0040】
背面部分20は、第2のプレートエレメント66を有しており、この第2のプレートエレメント66は、特に同様に例えばポリエチレン(PE)製のプラスチックプレートとして、かつここでは幾分円弧形状に形成されている。これに対応して、第2のプレートエレメント66は、第1のプレートエレメント58の上縁部68の形状にほぼ追従している。肩ベルト14,16の端部領域42,44は、第2のプレートエレメント66の領域において背面部分20に固定されている。特に肩ベルト14,16の端部領域42,44は、背面部分20におけるそれぞれの結合箇所で取り付けられていてよく、これらの結合箇所は、第1のプレートエレメント58の平面に対して垂直な方向で見て、第1のプレートエレメント58と第2のプレートエレメント66との間に形成されている。幾分円弧形状の第2のプレートエレメント66は、織布エレメント70によって覆われており、この織布エレメント70は、ここでは、織布エレメント60に縫い付けられている。第1のプレートエレメント58の上側領域に第2のプレートエレメント66を設けることによって、肩ベルト14,16の固定領域で、背面部分20が良好に補強され、かつ特に丈夫に形成される。しかしながら、背面部分20には、高い柔軟性が与えられており、この柔軟性によって、背面部分20を、図2に示した、メッシュエレメント12を緊張させる湾曲した形状に特に簡単にもたらすことができる。
【0041】
両脚30,32は、前側において、つまり使用者の背中を向く側において、第2のプレートエレメント66を覆っている織布エレメント70の脇を通り過ぎて延びている。図3に示した変化形態では、第1のプレートエレメント58の、フレームアセンブリ22とは反対の側には、リュックサック10の、第2のプレートエレメント66の高さに、上側の横ステー72が配置されている。トンネルを形成する織布エレメント74を用いて、上側の横ステー72はこの変化形態では覆われている。
【0042】
図3に示した、リュックサック10の変化形態では、フレームアセンブリ22の下側の部分領域に、U字形の湾曲部材76が配置されている。湾曲部材76の、下方を向いた脚78,80は、第3のプレートエレメント86の羽根82,84の領域に位置しており、第3のプレートエレメント86は、リュックサック10の高さ方向34で第1のプレートエレメント58から間隔をあけて位置している。第3のプレートエレメント86は、ここでも同様にプラスチックプレートとして、特にポリエチレン(PE)から形成されている。
【0043】
湾曲部材76の脚78,80の自由端部は、背面部分20の差込みポケット(ここには図示せず)内に導入されている。これらの差込みポケットは、リュックサック10の横方向で見て、フレームアセンブリ22の脚30,32の自由端部36,38が導入されている差込みポケット40よりも大きな間隔を互いの間にあけて位置している。
【0044】
下側の湾曲部材76および第3のプレートまたは第3のプレートエレメント86は、図1に示したリュックサック10には設けられているが、背面部分20のこれらの追加的な強化エレメントはオプションである。また、背面部分20は、確かに第3のプレートエレメント86を有しているが、湾曲部材76は設けられていない。
【0045】
上側の横ステー72もまた、必ずしも設けられていなくてよい。したがって、図4には単にフレームアセンブリ22が示されており、横ステー72、湾曲部材76および第3のプレートエレメント86などの、リュックサックの横方向に延びる追加的な強化部分は、リュックサック10に設けられていない。つまり、リュックサック10は、1つの変化形態では、単に、両プレートエレメント58,66を備えた背面部分20、および図4に示したフレームアセンブリ22だけを有することができる。
【0046】
しかしながら、図4によって、フレームアセンブリ22の構成を良好に記載することができる。例えば両脚30,32は、第1の領域88に、互いの間に最小の間隔を有している。この第1の領域88には、上側の横ウェブ26に向かって第2の領域90が接続しており、この第2の領域90において、両脚30,32は、次第に増大する間隔を互いの間に有している。しかしながら、図6から分かるように、両脚30,32は、第2の領域90において、互いの間に一定の間隔を有していてもよい。自由端部36,38に向かって第1の領域88に接続している第3の領域92において、脚30,32は再び次第に増大する間隔を互いの間に有している。
【0047】
図5には、図4に示したフレームアセンブリ22の構成に相当する、フレームアセンブリ22の構成が示されている。しかしながら、図5に示したフレームアセンブリ22を有する、リュックサック10の背面部分20は、図3に示した上側の横ステー72を追加的に有している。しかしながら、図3に示した背面部分20の構成とは異なり、背面部分20の下側領域には、湾曲部材76(図3参照)も第3のプレートエレメント86(図3参照)も設けられていない。
【0048】
フレームアセンブリ22が図6に示されている、リュックサック10の別の変化形態の背面部分20では、フレームアセンブリ22の下側の部分領域に、横ステー94が設けられている。この横ステー94は、ここでは第1の領域88から第2の領域90への移行部に位置しており、第2の領域90において、両脚30,32は、互いの間に一定の間隔を有している。そのために、図6に示したフレームアセンブリ22を湾曲した形状にもたらす背面部分20には、U字形の湾曲部材76も第3のプレートエレメント86(図3参照)も設けられていない。
【0049】
しかしながら、背面部分20は、フレームアセンブリ22の上側の横ウェブ26の領域に、別の横ステー96を有している。横ステー96の長さは、フレームアセンブリ22の自由端部36,38の間の間隔よりも大きくてよい。
【0050】
さらに、図6に示したフレームアセンブリ22を有する、リュックサック10の背面部分20では、肩ベルト14,16の高さ調節ができる機能が設けられていてよい。特に肩ベルト14,16は、脚30,32が一定の間隔を互いの間に有している第2の領域90において、フレームアセンブリ22に沿ってリュックサック10の高さ方向34に移動可能に構成されていてよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6