特許第6813537号(P6813537)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6813537
(24)【登録日】2020年12月21日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】コネクタ接続用治具
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/00 20060101AFI20201228BHJP
   H05K 7/00 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
   H01R43/00 Z
   H05K7/00 G
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-113641(P2018-113641)
(22)【出願日】2018年6月14日
(65)【公開番号】特開2019-216211(P2019-216211A)
(43)【公開日】2019年12月19日
【審査請求日】2019年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】本脇 淑雄
【審査官】 鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−073253(JP,A)
【文献】 特開2008−235556(JP,A)
【文献】 特開2010−219433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/00
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体状の電子機器本体の底面に一端が固定された帯状のフレキシブルケーブルの他端部に配置された第1コネクタに、前記電子機器本体内に収容される基板の第2コネクタを接続する際に使用されるコネクタ接続用治具であって、
前記第1コネクタが、前記底面に沿って延びる収容状態の前記フレキシブルケーブルの前記底面とは反対側の表面に備えられ、
前記電子機器本体を載置する載置面を備えるベースと、
前記載置面上に前記電子機器本体を位置決め状態に固定する本体固定部と、
前記載置面上に固定された状態の前記電子機器本体の前記底面から前記フレキシブルケーブルが引き起こされた状態で、前記電子機器本体の上方に間隔をあけて配置され、前記第1コネクタの背面側の前記フレキシブルケーブルの表面に密着させられるコネクタ支持部材とを備えるコネクタ接続用治具。
【請求項2】
前記コネクタ支持部材が、前記ベースに前記底面に交差する方向に延びる軸線回りに回転可能に支持され、該コネクタ支持部材を回転させることにより、前記電子機器本体の上方に移動させられて、前記フレキシブルケーブルの前記第1コネクタの背面側の表面と、前記底面との間に配置される請求項1に記載のコネクタ接続用治具。
【請求項3】
前記コネクタ支持部材が、前記軸線に対して一方向に傾斜し前記第1コネクタの背面側の前記フレキシブルケーブルの表面を密着させる支持面を備えるとともに、前記軸線に沿って移動可能に設けられ、
前記軸線回りに回転させられるときには、前記載置面から離間する位置に移動し、前記フレキシブルケーブルを密着させるときには、前記載置面に密着する位置に配置される請求項2に記載のコネクタ接続用治具。
【請求項4】
前記コネクタ支持部材の前記支持面に対して傾斜する方向に沿って、該支持面に前記第1コネクタの背面側の前記フレキシブルケーブルの表面を密着させる方向に押圧する押圧部材と、
前記コネクタ支持部材に設けられ、前記支持面に交差する方向に延び、押圧された前記第1コネクタを突き当てる突き当て面とを備える請求項3に記載のコネクタ接続用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ接続用治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、小型の電子機器本体の内側に配置された短いフレキシブルケーブルの先端に固定された超小型のコネクタに、電子部品を装着した基板のコネクタを接続する作業は、手作業により行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】なし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記作業を自動化しようとする場合に、フレキシブルケーブルの引き出し可能量が非常に小さいため、ロボットハンドでフレキシブルケーブルを把持することが困難であり、自動化することが困難であった。
本発明は、電子機器本体から延びる短いフレキシブルケーブルに設けられたコネクタに、基板のコネクタをロボットによって確実に接続することができるコネクタ接続用治具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、筐体状の電子機器本体の底面に一端が固定された帯状のフレキシブルケーブルの他端部に配置された第1コネクタに、前記電子機器本体内に収容される基板の第2コネクタを接続する際に使用されるコネクタ接続用治具であって、前記第1コネクタが、前記底面に沿って延びる収容状態の前記フレキシブルケーブルの前記底面とは反対側の表面に備えられ、前記電子機器本体を載置する載置面を備えるベースと、前記載置面上に前記電子機器本体を位置決め状態に固定する本体固定部と、前記載置面上に固定された状態の前記電子機器本体の前記底面から前記フレキシブルケーブルが引き起こされた状態で、前記電子機器本体の上方に間隔をあけて配置され、前記第1コネクタの背面側の前記フレキシブルケーブルの表面に密着させられるコネクタ支持部材とを備えるコネクタ接続用治具である。
【0006】
本態様によれば、まず、電子機器本体をベースの載置面上に載置し、本体固定部の作動により、載置面上に位置決め状態に固定する。次いで、電子機器本体の底面に沿って収容されている帯状のフレキシブルケーブルを引き起こし、コネクタ支持部材を電子機器本体の上方に間隔をあけて配置する。これにより、第1コネクタの背面側のフレキシブルケーブルの表面をコネクタ支持部材に密着させた状態に支持させることができる。
【0007】
この状態で、筐体状の電子機器本体内に収容される基板の第2コネクタを第1コネクタに押し付けると、背面側においてコネクタ支持部材によって支持された第1コネクタが押し付け力によって逃げることが防止され確実に接続することができる。すなわち、基板をロボットにより支持して力センサによって押圧力を確認しながら第2コネクタを第1コネクタに接続することが可能となり、組み立て作業を自動化することができる。また、コネクタ支持部材が電子機器本体に接触していないので、第2コネクタを接続するための押圧力が電子機器本体に付与されることを防止して、電子機器本体を健全な状態に維持することができる。
【0008】
上記態様においては、前記コネクタ支持部材が、前記ベースに前記底面に交差する方向に延びる軸線回りに回転可能に支持され、該コネクタ支持部材を回転させることにより、前記電子機器本体の上方に移動させられて、前記フレキシブルケーブルの前記第1コネクタの背面側の表面と、前記底面との間に配置されてもよい。
この構成により、基板の第2コネクタを第1コネクタに接続する際には、コネクタ支持部材を軸線回りに一方向に回転させることにより第1コネクタの背面側の表面と底面との間に配置して、第1コネクタの背面側を支持させ、接続終了後には、コネクタ支持部材を軸線回りに逆方向に回転させることにより、第1コネクタの背面側から退避させ、基板の電子機器本体への収容作業を可能にする。コネクタ支持部材を回転させるだけなので、自動化が容易である。
【0009】
また、上記態様においては、前記コネクタ支持部材が、前記軸線に対して一方向に傾斜し前記第1コネクタの背面側の前記フレキシブルケーブルの表面を密着させる支持面を備えるとともに、前記軸線に沿って移動可能に設けられ、前記軸線回りに回転させられるときには、前記載置面から離間する位置に移動し、前記フレキシブルケーブルを密着させるときには、前記載置面に密着する位置に配置されてもよい。
【0010】
この構成により、コネクタ支持部材を回転させる際には、コネクタ支持部材が載置面から離間しているので、載置面との摩擦を発生させることなく回転することできる。一方、コネクタ支持部材が第1コネクタの背面側に配置された際には、コネクタ支持部材を軸線方向に移動させて載置面に密着させる。
【0011】
これにより、支持面に第1コネクタの背面側のフレキシブルケーブルの表面を密着させる方向に押圧すると、支持面に加わる押圧力の軸線方向の成分によりコネクタ支持部材が軸線方向に押圧されるが、載置面によって受けられているので、第1コネクタを安定して支持することができる。すなわち、第2コネクタを第1コネクタに接続する際に押し付けても、コネクタ支持部材が逃げないので、ロボットの力センサによって簡易に押し付け力を制御して、第1コネクタと第2コネクタとの接続を容易にすることができる。
【0012】
また、上記態様においては、前記コネクタ支持部材の前記支持面に対して傾斜する方向に沿って、該支持面に前記第1コネクタの背面側の前記フレキシブルケーブルの表面を密着させる方向に押圧する押圧部材と、前記コネクタ支持部材に設けられ、前記支持面に交差する方向に延び、押圧された前記第1コネクタを突き当てる突き当て面とを備えていてもよい。
【0013】
この構成により、押圧部材の押圧力の内、支持面に直交する方向の成分により、第1コネクタの背面側のフレキシブルケーブルの表面が支持面に密着させられる。これにより、第1コネクタを支持面に直交する方向に位置決めすることができる。また、押圧力の内、支持面に沿う方向の成分により、第1コネクタが移動するが、支持面に交差する方向に延びる突き当て面に突き当たることにより、支持面に沿う方向にも位置決めすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電子機器本体から延びる短いフレキシブルケーブルに設けられたコネクタに、基板のコネクタをロボットによって確実に接続することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るコネクタ接続用治具を示す斜視図である。
図2図1のコネクタ接続用治具において、クランプシリンダによりコネクタ支持部を回転させた状態を示す斜視図である。
図3図2の状態で、第1コネクタを密着面に配置してプッシャシリンダにより押圧した状態を示す側面図である。
図4図3により位置決めされた第1コネクタに第2コネクタを接続した状態を示す斜視図である。
図5図4の状態からコネクタ支持部を退避位置に回転した状態を示す斜視図である。
図6図5に後続する基板の収容作業を説明する図である。
図7】電子機器ケース内に基板が収容された状態を示す図である。
図8図1のコネクタ接続用治具の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係るコネクタ接続用治具1について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係るコネクタ接続用治具1は、図1に示されるように、筐体状の電子機器ケース(電子機器本体)20の底面に一端が固定された帯状のフレキシブルケーブル30の他端部に配置された第1コネクタ40に、電子機器ケース20内に収容される基板50の第2コネクタ60を接続する際に使用される治具である。
第1コネクタ40は、図1に示されるように、電子機器ケース20内への収容状態において底面に沿って延びるフレキシブルケーブル30の底面とは反対側の表面に備えられている。
【0017】
本実施形態に係るコネクタ接続用治具1は、図1に示されるように、電子機器ケース20を載置する水平な載置面2を有するベース3と、載置面2上に電子機器ケース20を位置決め状態に固定するケース固定部(本体固定部)4と、第1コネクタ40に基板50の第2コネクタ60を接続する際に第1コネクタ40を支持するコネクタ支持部5と、コネクタ支持部5によって支持された第1コネクタ40を位置決めするコネクタ位置決め部6とを備えている。
【0018】
ケース固定部4は、ベース3の載置面2上に載置された電子機器ケース20の一対の対角位置を、相互に対向する方向に水平方向に押し付ける一対のシリンダ7を備えている。各シリンダ7のロッド7aの先端には、電子機器ケース20の角部を保持するL字状の保持部8が備えられている。
【0019】
コネクタ支持部5は、水平方向に延びるコネクタ支持部材9と、コネクタ支持部材9を鉛直軸線回りに回転可能に支持するクランプシリンダ10とを備えている。クランプシリンダ10は、ロッド10aを鉛直上方に向けてベース3の載置面2に固定されており、ロッド10aを鉛直軸線方向に移動させることによりコネクタ支持部材9を鉛直方向にも移動させることができる。
【0020】
コネクタ支持部材9は、クランプシリンダ10の作動により、図1に示されるように、電子機器ケース20の傍らに配置される退避位置と、図2に示されるようにロッド7aの鉛直軸線回りに90°回転させられることにより、電子機器ケース20の上方に配置される装着位置との間で往復移動させられる。
コネクタ支持部材9は、ケース固定部4により位置決め状態に固定された電子機器ケース20内のフレキシブルケーブル30を上向きに引き起こした状態で、クランプシリンダ10を作動させて装着位置まで回転させることにより、電子機器ケース20を幅方向に横断する寸法を有している。そして、コネクタ支持部材9は、装着位置に配置された状態で、引き起こされていたフレキシブルケーブル30を寝かせることにより、第1コネクタ40の背面側のフレキシブルケーブル30の表面を密着させる密着面(支持面)11を備えている。
【0021】
また、コネクタ支持部材9には、先端に、載置面2側に向かって延びる脚部12が設けられている。クランプシリンダ10の作動により、コネクタ支持部材9が軸線に沿ってベース3に近接する方向に移動させられると、コネクタ支持部材9の先端の脚部12が載置面2に突き当たってそれ以上の移動が係止される。これにより、コネクタ支持部材9は、脚部12とクランプシリンダ10のロッド10aとにより両持ち梁状に支持され、電子機器ケース20の上方に隙間を空けて配置される。
【0022】
コネクタ位置決め部6は、コネクタ支持部材9に設けられた密着面11と、密着面11に隣接して設けられた突き当て面14と、ベース3に固定されたプッシャシリンダ(押圧部材)13とを備えている。プッシャシリンダ13は、装着位置に配置されているコネクタ支持部材9に対して、略直交する方向に沿って水平に進退させられるロッド13aを備えている。
【0023】
密着面11は、図3に示されるように、コネクタ支持部材9が装着位置に配置されている状態で、ベース3の載置面2に対して、プッシャシリンダ13のロッド13aの進退方向に沿って、プッシャシリンダ13から離れるに従って高くなる傾斜を有している。突き当て面14は密着面11の傾斜が最も高くなる位置に、密着面11に直交する方向に延びている。
【0024】
また、ベース3の載置面2には、装着位置に配置されたコネクタ支持部材9の脚部12が載置面2に密着している状態で、プッシャシリンダ13とは反対側に配置されて脚部12を水平方向に突き当てる突起15が設けられている。この突起15は、載置面2と脚部12との間隔が最大限に広がった状態では脚部12の下面よりも低くなる高さを有している。
【0025】
このように構成されたコネクタ接続用治具1の作用について以下に説明する。
本実施形態に係るコネクタ接続用治具1を用いて、ロボットにより基板50の第2コネクタ60をフレキシブルケーブル30の第1コネクタ40に接続するには、図1に示されるように、クランプシリンダ10を作動させて、コネクタ支持部材9を退避位置に配置しておく。
【0026】
そして、電子機器ケース20をベース3の載置面2に配置し、ケース固定部4の2つのシリンダ7を作動させて、図2に示されるように、各シリンダ7のロッド7aの先端に設けられた保持部8を電子機器ケース20の対角位置に配置される2つの角部にそれぞれ押し付ける。これにより、電子機器ケース20が、ベース3の載置面2上に位置決め状態に固定される。
【0027】
この状態で、図示しないロボットの図示しない吸着手段によって、図2に示されるように、電子機器ケース20内のフレキシブルケーブル30を吸着して引き起こす。
次いで、図2に示されるように、コネクタ支持部5のクランプシリンダ10を作動させて、コネクタ支持部材9を鉛直軸線回りに回転させ、装着位置に配置するこれにより、コネクタ支持部材9は、ベース3の突起15を乗り越えて、電子機器ケース20を幅方向に跨ぐ位置に配置される。
【0028】
そして、クランプシリンダ10を作動させて、コネクタ支持部材9を鉛直軸線方向に移動させ、コネクタ支持部材9の先端に設けられた脚部12をベース3の載置面2に密着させる。これにより、コネクタ支持部材9が、電子機器ケース20の上方に間隔をあけて、幅方向に跨いだ位置に配置されるので、ロボットによる吸着を解除してフレキシブルケーブル30を横たえることにより、図3に示されるように、第1コネクタ40の背面側のフレキシブルケーブル30の表面がコネクタ支持部材9の密着面11に密着させられる。
【0029】
この状態で、プッシャシリンダ13を作動させ、プッシャシリンダ13のロッド13aの先端によって第1コネクタ40を押圧する。プッシャシリンダ13が水平方向に押圧力Fを作用させ、密着面11が水平面に対して傾斜しているので、プッシャシリンダ13によって押された第1コネクタ40の背面が密着面11に密着させられて高さ方向に位置決めされる。また、プッシャシリンダ13によって押された第1コネクタ40は、密着面11上を滑り、密着面11に直交して設けられている突き当て面14に突き当たることにより、フレキシブルケーブル30の長手方向にも位置決めされる。
【0030】
したがって、図示しないロボットによって把持した基板50の第2コネクタ60を、図4に示されるように、位置決め状態に固定されている第1コネクタ40に押し付けることにより、第1コネクタ40と第2コネクタ60とを接続することができる。
この場合において、第1コネクタ40の背面がコネクタ支持部材9によって支持されているので、第2コネクタ60に挿入力を確実に加えることができ、より確実に接続することができる。すなわち、例えばロボットに設けられた力センサによって挿入力を精度よく管理することができ、より確実な接続作業を行うことができる。
【0031】
また、コネクタ支持部材9は電子機器ケース20の上方に間隔をあけて配置されるので、ロボットによる押圧力が電子機器ケース20に伝達されることが防止され、電子機器ケース20の健全性を担保することができる。
また、脚部12をベース3の載置面2に密着させているので、ロボットによる押圧力が作用してもコネクタ支持部材9が下方に逃げることを防止して、第1コネクタ40と第2コネクタ60との間に確実な挿入力を加えることができる。
【0032】
さらに、第1コネクタ40の位置決めを行うプッシャシリンダ13のロッド13aの進退方向に対して密着面11を傾斜させることにより、第1コネクタ40を2方向に位置決めすることができる。これにより、コネクタ接続用治具1を簡易に構成することができる。
また、ベース3に設けた突起15に脚部12を突き当てることにより、プッシャシリンダ13によって押圧されたコネクタ支持部材9が鉛直軸線回りに回転することを確実に防止して、第1コネクタ40の位置決めをより確実に行うことができるという利点がある。
【0033】
このようにして、第1コネクタ40と第2コネクタ60とが接続された後には、クランプシリンダ10を作動させて、コネクタ支持部材9を上昇させた後に、図5に示されるように、鉛直軸線回りに回転させて退避位置に戻すことにより、図6および図7に示されるように、コネクタ支持部材9によって邪魔されることなく基板50を電子機器ケース20内に収容することができる。
【0034】
なお、密着面11を水平面に対して傾斜させ、プッシャシリンダ13によって水平方向の押圧力Fを第1コネクタ40に作用させることとしたが、これに代えて、密着面11を水平状態とし、プッシャシリンダ13の進退方向を水平面に対して傾斜させてもよい。
いずれにしても、プッシャシリンダ13により第1コネクタ40に加える一方向の力Fが、密着面11に沿う方向の成分f1および密着面11に直交する方向の成分f2を持っていれば、単一のプッシャシリンダ13によって2方向の位置決めを行うことができる。
【0035】
また、本実施形態に係るコネクタ接続用治具1においては、水平面に対して傾斜する密着面11に第1コネクタ40の背面を支持させ、斜め上方から第2コネクタ60を近接させて接続することとしたが、これに代えて、図8に示されるように、密着面11を鉛直方向に配置し、水平方向から第2コネクタ60を近接させて接続することにしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 コネクタ接続用治具
2 載置面
3 ベース
4 ケース固定部(本体固定部)
9 コネクタ支持部材
11 密着面(支持面)
13 プッシャシリンダ(押圧部材)
14 突き当て面
20 電子機器ケース(電子機器本体)
30 フレキシブルケーブル
40 第1コネクタ
50 基板
60 第2コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8