特許第6813595号(P6813595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6813595交通標識の内容および設置位置を検証するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6813595
(24)【登録日】2020年12月21日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】交通標識の内容および設置位置を検証するための方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20201228BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20201228BHJP
   G06K 9/00 20060101ALI20201228BHJP
   G06K 7/14 20060101ALI20201228BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20201228BHJP
   G06K 19/06 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
   G08G1/09 D
   G08G1/09 F
   G01C21/26 C
   G06K9/00 S
   G06K7/14 017
   G06K7/10 464
   G06K19/06 037
   G06K19/06 112
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-558709(P2018-558709)
(86)(22)【出願日】2017年5月18日
(65)【公表番号】特表2019-522260(P2019-522260A)
(43)【公表日】2019年8月8日
(86)【国際出願番号】EP2017061903
(87)【国際公開番号】WO2017198743
(87)【国際公開日】20171123
【審査請求日】2018年11月8日
(31)【優先権主張番号】102016208621.9
(32)【優先日】2016年5月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヘルゲ ツィナー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ アーント
【審査官】 武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−068694(JP,A)
【文献】 特開2006−209511(JP,A)
【文献】 特開2006−031072(JP,A)
【文献】 特開2008−241507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/09
G01C 21/26
G06K 7/10
G06K 7/14
G06K 9/00
G06K 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通標識の内容および設置位置を検証するための方法であって、
少なくとも1つのカメラの画像内で交通標識を検出するステップ(502)と、
人間にとっては視覚的に識別することができる前記交通標識の内容を、前記カメラの少なくとも1つの画像の解析によって特定するステップ(504)と、
を有する方法において、
前記交通標識の地理的な設置位置を特定するステップ(506)と、
前記交通標識によって提供される、少なくとも前記交通標識の内容および設置位置を表し、かつ人間にとっては直接的に識別することができないかまたは解釈することができないデータを取得するステップ(508)と、
前記特定されたデータと、前記取得されたデータとを比較するステップ(510)と、
をさらに含み、
識別された前記交通標識の周囲に存在する視覚的に識別することができるランドマークと、データベース内の対応する画像との照合によって、前記設置位置の特定を行う、
方法。
【請求項2】
前記設置位置の特定を、当該方法を実施する車両のナビゲーション装置によって行う、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記交通標識から提供されるデータを、少なくとも1つのカメラ、少なくとも1つの感光性のセンサ、または少なくとも1つの無線受信器を用いて取得する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記交通標識から取得されたデータは、符号化かつ/または暗号化されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記交通標識から取得された、前記交通標識の内容および設置位置を表すデータは、前記交通標識の設置位置および内容を呼び出し可能に提供するデータベースへの参照を含む、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記特定されたデータと、前記取得されたデータとが一致する場合には、前記交通標識の内容が、車両のドライバに情報提供のために表示または報知され、または車両制御を行うシステムに供給され、一致しない場合には、別の自動的な妥当性検査またはドライバへの問合せを行う、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
移動する交通標識または一時的に設置された交通標識から提供されるデータから、前記交通標識の特別な特性に関する情報を通知する情報を抽出する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
移動する交通標識または一時的に設置された交通標識から提供されるデータから、前記交通標識の現在地を含む情報を抽出する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記交通標識から提供されるデータを、時間的に変化するQRコードの検出によって取得する、請求項8記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも、交通標識の内容および設置位置の検証に関する。
【背景技術】
【0002】
交通標識識別のための装置は、数年来、多くの自動車に設けられており、例えば、所定の場所および/または所定の曜日および/または所定の時刻に有効な速度制限または追い越し禁止をドライバに示唆するために設けられている。識別された交通標識は、計器盤内のディスプレイ、またはナビゲーションシステムのディスプレイにて、ドライバに表示されることが多い。したがって、ドライバは、例えば注意が逸れていることによってドライバ自身が交通標識を認識していなかった場合であっても、今現在、交通に関してどのような制限が有効であるかをいつでも確認することができる。
【0003】
交通標識識別は、通常の場合、カメラを使用して、そのカメラの画像を物体識別アルゴリズムに供給することによって行われる。物体識別アルゴリズムは、例えば車両に設けられているデータベースに記憶されている基本パターンに基づいて、候補物体、すなわち交通標識を表していると考えられる物体を識別し、その候補物体を、データベースに記憶されている、交通標識の代表的な画像または識別特徴と比較する。一致するものが発見された場合には、交通標識を表示することができる。
【0004】
交通標識識別のための装置の一部では、さらに、補助標識によって特徴付けられている、条件付きで有効な交通標識についての検査も実施される。例えば、特定の時刻にのみ交通制限が有効である場合には、現在時刻との照合を行うことができ、または特定の車種に対してのみ交通標識が有効である場合には、交通標識識別のための装置が装備されている車両がその交通制限には該当しない別の車種に属する車両であれば、それらの交通標識を無視することができる。
【0005】
交通標識識別は、自律的または自動的に走行する車両にとっても、例えば速度および進行方向をその都度の状況に適合できるようにするために重要である。このために、データベースには、比較画像または識別に必要とされる別のデータの他に、車両制御に関して許容されるまたは必要とされる動作、例えば相応の進行方向変更に関する情報や、車両制御を行う装置に転送される、許容最高速度に関する設定値が記憶されている。
【0006】
まさにこの自動的または自律的に走行する車両では、妥当性検査としての交通標識の状況に応じた分類が行われないので、上記で説明した交通標識識別では、車両の運転様式に外部から権限なく影響を及ぼす可能性が与えられている。つまり、例えば、速度制限が30km/hに設定されている区間に、「度胸試し」として設置された、別の場所から盗まれた80km/hの速度制限を示す交通標識を、交通標識識別では、それが誤ったものであると容易に識別することができず、またそれによって、自動的または自律的に走行する車両が過度に速い速度で走行してしまうおそれがある。交通標識の他の不正な細工も既に行われている。つまり、自称芸術家が画像の要素を付け足すことによって交通標識に「装飾」を施すことが行われており、そのような装飾によって、人間の考察者は、場合によっては設置位置のコンテキストを利用して、交通標識の本来の内容を依然として識別することができるが、交通標識識別では、その「装飾」が施された交通標識の本来の内容をもはや識別することはできなくなる。そのような装飾の例が、図1および図2に図示されている。
【0007】
この問題の解決手段は、交通標識識別によって識別された交通標識およびその交通標識の設置位置を、データベース内の対応するエントリと照合することである。識別された交通標識の設置位置は、車両のナビゲーションシステムによって、例えば車両に組み込まれた衛星ナビゲーションシステムによって特定される。データベースを車両に設けることができ、または無線通信コネクションを介して、車両の外部に設けられているデータベースへのアクセスが行われる。このための前提は、データベースが、常に最新の状態に維持された完全なデータベースであるということである。しかしながら、個々の車両に設けられているデータベースの更新は煩雑であり、また適時の更新を常に保証することはできない。同様に、車両の外部に設けられているデータベースとのコネクションをどこでも確立できるわけではないと考えられる。さらに、交通標識が一時的にしか設置されていない場合、または交通標識が移動する場合、例えば交通標識が日中行われる工事の現場に設置される場合や、緩慢に走行する道路整備車両に取り付けられる場合には、包括的な適時の更新はほぼ不可能である。交通標識が、ナビゲーションシステムによって正確な位置特定を行うことができない位置、例えばトンネル内に設置されている場合でも、公知の方法では、確実で信頼に足る結果を常にもたらすことはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の課題は、交通標識の、その内容および設置位置についての検査を実現する方法および装置を提供することである。ここで、交通標識の内容は、意味論的な内容、すなわち車両のドライバ、または自律的もしくは自動的に走行する車両にとっての交通標識の意味に関係する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
有効性の確認を目的として、交通標識には付加的な識別特徴が付与されており、それらの識別特徴を自動的かつ電子的に検査することができる。識別特徴は、例えば、ディジタル符号化された情報を含んでいる。ディジタル符号化された情報を、交通標識から、基本的には暗号化せずに提供することができるが、ディジタル符号化された情報の少なくとも一部を、例えば不正操作を困難にするために暗号化して提供することも可能である。識別特徴は、種々のやり方で提供することができ、例えば付加的な光学的な特徴として、または交通標識から対応する受信器に無線で伝送される特徴として提供することができる。すなわち、交通標識の有効性の確認または検証は、カメラ画像における交通標識の意味論的な内容の単なる視覚的な識別を超えた独立したやり方で取得される特徴に基づいて実施される。別の特徴は、特に、交通標識の所在地、有効期間、向きおよび意味論的な内容を表す情報を含んでいる。
【0010】
交通標識の内容および設置位置を検証するための本発明による方法は、少なくとも1つのカメラの1つまたは複数の画像内で交通標識を検出するステップを有する。カメラによって記録され、交通標識が識別された少なくとも1つの画像から、画像解析によって、人間にとっては視覚的に識別することができる、画像に結像された交通標識の内容が特定される。交通標識の検出、および人間にとっては視覚的に識別することができる、交通標識の内容の特定を、慣例のやり方で行うことができる。
【0011】
さらに、交通標識の設置位置が特定され、また、交通標識から提供され、かつ少なくとも交通標識の内容および設置位置を表す、人間にとっては直接的に識別することができないかまたは解釈することができないデータが取得される。「表す」という語句には、例えばデータベースからの対応する情報の取得を実現するデータによって間接的に表すことも含まれる。最後に、特定されたデータと、取得されたデータとの比較が実施される。
【0012】
交通標識の設置位置の特定を、例えば、本方法を実施する車両のナビゲーションシステムによって行うことができ、このナビゲーションシステムは、いずれにせよ、車両のその都度の現在位置を継続的に、または連続する短い時間間隔で特定する。その種のナビゲーション装置には、例えば、衛星ナビゲーション装置および/またはデッドレコニング装置が含まれると考えられる。例えば、地表上の位置を表すデータを、ディジタルマップおよびそこに含まれる交通路と照合することによって、正確な位置を求めるように、ナビゲーション装置を設計することができる。交通標識が識別されると即座に、交通標識の画像を記録したカメラの既知の光学的な特性と、交通標識の画像を記録した時点での車両の位置とから、交通標識の位置を特定することができる。
【0013】
方法の1つの態様によれば、交通標識から提供されるデータが、少なくとも1つのカメラを用いて取得される。この場合、カメラは、交通標識を識別するために使用されたカメラと同一のカメラであってよい。人間にとっては直接的に識別することができないかまたは解釈することができないデータは、例えば、交通標識の構成要素である、1次元または2次元のバイナリコードの形態で存在すると考えられる。1次元のバイナリコードの例はバーコードであり、2次元のバイナリコードの例はいわゆるQRコード(Quick Response Code)である。本発明のこの態様によれば、バーコードまたはQRコードが、交通標識の表側に取り付けられている。コードは、交通標識の内容および設置位置に関する情報、または交通標識の識別子、および交通標識に関する対応する情報が呼び出し可能に記憶されているデータベースへの参照を含んでいる。コードは、さらに、複数ある車線のうちのどの車線に対して交通標識が有効であるか、どの進行方向、またはどの認証局が交通標識を認証したかに関する情報も含むことができる。進行方向を、例えばコンパスの指示の形態で、すなわち北を基準とした角度表示の形態で、または進行方向に位置する場所の記述、例えば「フランクフルト方面」として表すことができる。
【0014】
方法の1つの態様によれば、交通標識から提供されるデータが、感光性のセンサを用いて取得される。感光性のセンサは、この場合、人間にとって可視であるスペクトルにおいて感度を有するものであってよいが、感光性のセンサが、人間にとって不可視であるスペクトルにおいて、例えば赤外線スペクトルにある光に対して感度を有するものであってもよい。交通標識には、相応の光源が備え付けられており、その光源から、符号化されたデータが、光源から送出される光の適切な変調によって伝送され、その光が感光性のセンサによって受信され、車両にて復調および復号される。とりわけ、データ伝送は赤外線スペクトルにおいて行われるので、光源によって車両のドライバの注意が逸れることが回避される。車両内に交通標識識別のために設けられているカメラが、赤外線スペクトルにおいて十分な感度を有しており、また画像記録速度が十分に高い限り、そのようなカメラを、交通標識から提供されるデータを受信するためのセンサとして使用することができる。
【0015】
方法の前述の態様の1つの変形例では、交通標識の光源が、マトリクスの適切な符号化によってデータを伝送するマトリクス光源である。マトリクスの大きさに応じて、マトリクスの連続的な制御によって、より多くのデータを、連続する異なるパターンの表示のために伝送することができる。マトリクスは、方法のこの変形例でも、可視スペクトルまたは赤外線スペクトルにある光を送出することができる。この場合、相応の感光性のセンサは、少なくとも、マトリクスの個々の素子を区別可能に検出できるものでなければならない。方法のこの変形例でも、車両内に交通標識識別のために設けられているカメラが、交通標識から送出される光スペクトルにおいて十分な感度を有しており、また連続的なパターンが逐次的に伝送される場合には、画像記録速度が十分に高い限り、そのようなカメラを検出に使用することができる。
【0016】
方法の1つの態様によれば、交通標識から提供されるデータが、無線受信器を用いて取得される。適切な無線区間は、例えば、IEEE802.11規格で規定されており、またWLANまたはWiFi(登録商標)の名称で公知である伝送システムのヴァリエーションであるが、IEEE802.15.1規格で規定されている、Bluetoothの名称で公知である伝送システムのヴァリエーションであってもよい。他の無線伝送システム、とりわけZ−WaveまたはZigBeeの名称で公知である通信規格も、到達距離およびデータ伝送速度ならびにコネクションの確立に必要とされる時間が十分である限りは、同様に使用することができる。交通標識には、この場合、相応の送信器が備え付けられており、また車両には、適切な受信器が装備されている。
【0017】
交通標識から取得された情報は、交通標識の一義的な識別子、内容および設置位置の代わりに、またはそれらの他に、検証にとって重要なデータに関するハッシュ値を含むことができる。ハッシュ値のみが交通標識から提供される場合には、このハッシュ値を、データベースから取得される、交通標識の地理的な位置に対して有効なハッシュ値と比較することができる。ハッシュ値の使用は、データベースから取得されて比較に使用されるデータの量を低減することができる。
【0018】
データベースへのアクセスが行われる本方法の態様では、交通標識から取得された情報を比較するためのデータを、基本的には、車両内部または車両外部のデータベースに記憶することができる。データベースには、交通標識から取得された情報、または識別された交通標識の地理的な位置を使用して、アクセスすることができる。
【0019】
方法の1つの態様によれば、交通標識から取得されるデータの少なくとも一部が、符号化に加えて暗号化もされている。暗号化を、交通標識から提供されるデータの不正操作を困難にするために使用することができる。その種の不正操作は、例えば、ある場所から盗まれて別の場所に設置された交通標識が、その新たな設置位置に応じてデータを提供するようにするためには必要になると考えられる。
【0020】
方法のこの態様の1つの実施形態では、交通標識から提供されたデータの内容に関して、同様に交通標識から提供される付加的情報の構成要素であるハッシュ値が求められる。ハッシュ値は、例えば、信頼に足る公式の部署にて、秘密鍵を用いて作成される。交通標識の内容を検査するために、検査を行うユニットには、例えば交通標識を識別して検査を行おうとする車両には、暗号化されたハッシュ値を復号することができるようにするために、秘密鍵に対応する公開鍵が既知でなくてはならない。
【0021】
1つまたは複数の公開鍵を、車両における相応のメモリまたは相応のデータベースに記憶することができる。車両に記憶されている公開鍵の、検査を行うユニットへの配布、または車両に記憶されている公開鍵の、検査を行うユニットにおける更新を、例えば、所定の時間に毎日行うことができ、例えば車両が無線ネットワークの到達範囲内に入ったときや、例えば車両が車両所有者のWLANネットワークの到達範囲内にある住居のガレージに停車されたときに行うことができる。伝送すべき、また記憶すべき公開鍵の数を少数に維持するために、特定の領域に関する鍵だけ、または予定されているルートに関する鍵だけをロードすることもできる。この場合、ロードされる鍵の対象となる領域を動的に、過去に行われた走行の分析によって、また種々のユーザに関して適合させることができる。
【0022】
しかしながら、公開鍵を、状況に応じて必要時にロードすることもでき、例えば、交通標識が識別された時にロードすることもできる。この場合、特定の、今まさに識別された交通標識に関する鍵をロードすることもできるし、または識別された交通標識の近傍に位置する交通標識に関する鍵が付加的にロードされる。これによって、車両には設けられていないデータベースまたはサーバとのコネクションの確立に関するプロセスの数を低減することができ、その際に、車両におけるメモリのサイズに対して非常に高い要求が課されることがない。
【0023】
方法の1つの態様に関して既に上記で言及したように、交通標識から提供されるデータは、交通標識の設置位置および内容を呼び出すことができるデータベースへのリンクを含むことができる。好適には、交通標識から提供されるデータは、交通標識の一義的な識別子も含んでいる。
【0024】
方法の1つの態様によれば、交通標識の周囲に存在する、視覚的に識別することができるランドマークと、データベース内の対応する画像との照合によって、設置位置の特定が行われる。この場合、交通標識から、データベースへの対応リンクが提供され、このリンクを用いて、交通標識の周囲の1つまたは複数の画像を、データベースから取得することができる。ランドマークとは、好適には、顕著な変化が見込まれないか、または非常に緩慢にまたは稀にしか変化せず、またカメラによって記録された画像において容易に再識別することができる物体または地形的な特徴である。ランドマークは、道路に永続的に付け加えられたマーキングを含むことができる。この場合、交通標識の識別に使用される車両のカメラは、記録された画像が、比較に適した十分に大きい、交通標識の周囲の領域を含むように構成されている。代わりに、比較に適した画像を提供する、1つまたは複数の別のカメラを車両に設けることができる。それらのカメラを、例えば、自律的もしくは半自律的または自動的な走行モードに関して、車両の周囲を検出するためにも設けることができる。
【0025】
本発明による方法の1つの態様によれば、2つの交通標識間の区間の長さが、それぞれ次の交通標識を検証するために使用される。この場合、車両における交通標識識別が、先ず1つの交通標識を識別し、その交通標識を例えば、方法の前述の態様のうちの1つに従い検証する。検証の過程において、次の交通標識までの区間の長さ、または交通標識の設置位置および交通標識の内容が車両に伝送される。次の交通標識が識別されると、先ず、最後に交通標識を識別してから通過した区間が、伝送された値またはその交通標識の設置位置から特定された値と一致するか否かが検査される。区間の長さを特定するために、いずれにせよ継続的に動作する、車両の走行距離計を使用することができる。この態様では、固定的に設置されている2つの交通標識間に、一時的に交通標識が設置される場合には、それらの一時的な交通標識自体が、自身が単に一時的に設定されたものであって、その種の検証に関しては無視されるべきであることを表す情報を伝送することができる。
【0026】
本発明によれば、特定されたデータと取得されたデータとが一致する場合には、交通標識の内容が、車両のドライバに情報提供のために表示されるかまたは報知される。代わりにまたは加えて、交通標識の内容を、車両制御を行うシステムに供給することができる。一致しない場合には、別の自動的な妥当性検査またはドライバへの問合せ、または車両外部のデータベースへの対応する通知を行うことができる。
【0027】
方法の1つの態様によれば、移動する交通標識または一時的に設置された交通標識から提供されるデータから、交通標識の特別な特性に関する情報を通知する情報が抽出される。一時的に設置された交通標識の場合には、それらの付加的な情報を例えば、検証を目的としたデータベースへのアクセスの試みが失敗したとしても、交通標識を信頼に足るものとして分類するために使用することができる。そのようなアクセスの試みの失敗は、例えば、データベースとのコネクションを確立することができなかった場合に生じる。しかしながらまた、データベースへのアクセスの試みの失敗は、交通標識に関して、例えばその交通標識を設置した際に1つまたは複数の対応する画像を記録してデータベースに保存することが忘れられていたため、比較を目的とした周囲の画像を取得することができない場合にも生じると考えられる。
【0028】
この態様では、データベースへのアクセスが成功した後に完全な検証が行われた場合よりも低い信頼度を割り当てることができる。より低い信頼度は、例えば、自律的または自動的な走行にとって重要な、交通標識の内容の考慮の範囲に影響を及ぼす可能性があり、また例えば、車両に関する制御をドライバに引き渡す可能性がある。
【0029】
移動する交通標識では、例えば交通標識の変化する位置が交通標識から伝送されるデータにおいて考慮される場合には、交通標識から提供されるデータを、時間と共に変更してもよい。交通標識の場合、通常は、固定の設置位置を前提としているので、時間にわたり変化する位置データはエラーと理解される可能性があり、また交通標識は無効なものと解釈される可能性がある。移動する交通標識では、その移動する交通標識の特別な特性に関する対応する情報が提供されるか、またはその都度最新の位置データが提供されるので、位置データが時間にわたり変化しても、自動的に、その交通標識が無効であると解釈されることはなくなる。
【0030】
交通標識の周囲の画像と、データベースから取得された対応する画像との照合による検証は、移動する交通標識の場合にはほぼ不可能である。データベースへの対応する問合せは、ほぼ毎回失敗することになる。この場合でも、移動する交通標識が自身の特別な特性に関する対応する情報を提供するので、画像比較が失敗に終わっても、それによって自動的に、交通標識が無効であると解釈されることはない。しかしながら、この場合でも、交通標識に低い信頼度を対応付けることができ、これは、上記で説明した、一時的に設置された交通標識の例と同様に、相応の処理オプションを与える。
【0031】
本方法を実施するための装置は、少なくとも1つのカメラと、メインメモリおよび不揮発性メモリを備えた少なくとも1つのマイクロプロセッサと、地表上の現在位置を特定するための少なくとも1つの装置と、を備えている。不揮発性メモリは、コンピュータプログラム命令を有しており、このコンピュータプログラム命令は、マイクロプロセッサによってメインメモリにおいて実行されると、本方法の1つまたは複数の態様の方法ステップを実行する。
【0032】
本方法の幾つかの態様を実施するために、装置は、交通標識から提供されるデータを受信することができる、1つまたは複数の感光性のセンサおよび/または1つまたは複数の無線受信器をさらに備えている。
【0033】
ここで、本方法を実施するための装置は、必ずしも単一の機器で実現する必要はない。方法の個々の作業ステップを、データ伝送のためのネットワークによって接続されている別個の機器で実行することも可能であり、この場合には、ネットワークによって接続されており、方法の個々の作業ステップを実行する各装置が全体で1つの装置を形成する。この場合、種々の方法ステップ、例えば交通標識の設置位置の特定および交通標識の内容の特定を並行して、また必要に応じて、接続されている異なる機器で実行することができる。
【0034】
本方法によって検証することができる交通標識は、その物理的な存在の他に、すなわち公知のやり方で種々の材料を使用して、対象物である「交通標識」に調和された形状および色の他に、少なくとも交通標識の内容および設置位置を表し、また人間にとっては直接的に識別または解釈することができないデータを提供するための少なくとも1つの装置を備えている。データを提供するための装置を、その形相による静的な形態で、例えばバーコードまたはQRコードの形態でデータを提供するように設計することができる。しかしながら、データを提供するための装置を、時間的に連続する一連の信号としてデータを提供するように、例えば変調された光信号または無線信号の形態でデータを提供するように設計することができる。この場合、データの完全な検出のためには、一連のすべての信号が特定の期間にわたり検出されなければならない。
【0035】
交通標識に関して、データの提供が持続的に中断せずに行われるか否か、または、要求に応じてまた必要に応じてコネクション確立に関するプロトコルの実行後に初めて提供が行われるか否かは、重要ではない。
【0036】
本発明によるシステムは、少なくとも1つの、本方法によって検証することができる交通標識と、本方法の1つまたは複数の態様を実施するための、車両に配置されている少なくとも1つの装置と、を含む。
【0037】
方法および装置は、有利には、周囲からの信頼に足る情報に依存する、自律的または自動的に走行する車両を、公知の光学的な手段を用いて識別された交通標識の有効性を付加的に検証できるようにすることに適している。ここでは、特に、交通標識の内容および設置位置を検証することができる。この検証によって、自律的または自動的に走行するシステムには、しかしながらまた人間のドライバにも、表示されている標識または識別された標識を信頼することができる保証が提供される。この場合、認証のエラー、または失敗に終わった認証が、必ずしも不正操作を示唆する必要はない。しかしながら、認証または検証のエラーは、自律的または自動的に走行する車両の、識別された交通標識に対する反応に影響を及ぼす可能性がある。例えば、認証されなかった標識の内容が現時点の走行状況と余りに大きく矛盾する場合、例えば30km/hの制限速度を示す交通標識がアウトバーンの走行時に識別された場合には、自律的または自動的に走行する車両自体で、認証されなかった標識を信用するか否かを判断することができる。本方法に従い検証されない交通標識では、そのような場合以外は休止状態にある別のセンサがスイッチオンされること、または加速度、制動過程の強度、安全距離などについての設定値を、より大きい安全マージンが得られる値にセットすることも考えられる。
【0038】
以下では、本発明の態様を、図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】改変された交通標識の第1の例を示す。
図2】改変された交通標識の第2の例を示す。
図3】本発明による方法の1つの態様を実施するためのシステムの例示的な概略図を示す。
図4】本発明による方法の1つの態様の非常に簡略化されたフローチャートを示す。
図5】本発明による方法の1つの態様の例示的な方法経過を示す。
図6】本発明による方法の1つの態様の例示的なフローチャートを示す。
図7a】不正な細工によって、同一カテゴリの新たな内容が与えられた交通標識の例を示す。
図7b】不正な細工によって、異なるカテゴリの新たな内容が与えられた交通標識の例を示す。
図8】本発明による方法の1つの態様の別の例示的なフローチャートを示す。
図9】本発明による方法の1つの態様の別の概略的な例を示す。
図10】本発明による方法を実施するための車両側の装置の簡略化された例示的なブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図面の各図において、同一または類似の要素には、同一の参照番号を付している。
【0041】
図1および図2には、改変された交通標識、ここでは対向車両に対してのみ使用が許可されている道路または車道への進入禁止を表す交通標識が示されている。交通標識の意味は、人間にとっては依然として識別することができるが、カメラベースの交通標識識別は、その内容を確実に識別することはできない。
【0042】
図3には、本発明による方法の1つの態様を実施するためのシステム300が例示的に図示されている。交通標識302には、付加的なメタ情報を伝送するための装置304(例えばQRコード)、または無線コネクションを介してメタ情報を無線伝送するための送信器が備え付けられている。交通標識302に接近する車両306には、光学的な交通標識識別を行うための装置308が装備されており、ここでは、装置308が図案化されたカメラによって図示されている。交通標識302は、装置308の検出領域内に位置しており、例えばカメラから延びる破線によって示唆されている検出領域内に位置しており、公知のやり方で識別される。車両306内または車両306上に配置されている受信器310は、交通標識302の装置304から付加的なメタ情報を受信する。例えば無線コネクションを介してメタ情報が伝送される場合、受信には事前のコネクション確立が必要になると考えられる。メタ情報の伝送は、装置304と受信器310との間の点線の両向き矢印によって示唆されている。メタ情報でもって、装置308によって識別された交通標識の意味論的な内容およびその交通標識の設置位置を検査することができる。この検査を、例えば、車両306内または車両306上に配置されている、データベース314にアクセスする装置312によって行うことができる。つまり、例えば、装置304から伝送されるメタ情報が、そのメタ情報の不正操作を阻止するために、または少なくとも困難にするために秘密鍵で暗号化されており、またそのメタ情報を、対応する公開鍵を用いることでのみ復号することができる。秘密鍵を、例えばデータベース314において生成して記憶することができ、また装置304に伝送することができる。受信器310は、秘密鍵で暗号化されたメタ情報を、交通標識302に配置されている装置304から受信する。装置312は、秘密鍵を含むメッセージをデータベース314に伝送し、そのメッセージに対する応答として、秘密鍵に対応する公開鍵を含むメッセージを、データベース314から受信する。この時点で車両306に存在する秘密鍵および公開鍵を用いて、交通標識302から受信したメタデータを復号することができ、また装置308によって識別された交通標識の内容をメタ情報と比較することができる。
【0043】
図4には、本発明による方法の1つの態様の非常に簡略化されたフローチャートが示されている。ステップ402では、カメラの事前に記録された画像内で交通標識識別が行われる。交通標識が識別された場合には、ステップ404で、識別された交通標識の、人間の考察者にとって視覚的に識別することができる内容の特定が行われ、続くステップ406で、例えばナビゲーション装置を用いて、設置位置の特定が行われる。ステップ408では、識別された交通標識に関して、その交通標識に関する別の情報を直接的に抽出することができ、または別のその種の情報の関連付けを、例えばデータベースへのアクセスによって実現する、交通標識のデータが関連付けられる。最後に、ステップ410で、視覚的に特定された内容が、別の情報と比較される。比較の結果に応じて、交通標識について、有効性が確認されたか否かの分類が行われる(図面には図示せず)。
【0044】
図5には、本発明による方法に関与する複数のエンティティ間でのメッセージ交換を基礎とする、本発明による方法の1つの態様の例示的な方法経過が示されている。この図では、時間経過は上から下に向かって表されている。方法を実施する度に、必ずしもすべてのメッセージが送信される必要はないことを言及しておく。つまり、例えば、データベースから交通標識にはメッセージが一度だけ送信されれば十分である。秘密鍵で暗号化されたメタデータが交通標識の伝送装置に記憶されている場合には、メタデータが変更されるべき時点になって初めて、再度の伝送を行うことが必要になる。すなわち、方法の開始時、または方法の実行前に、差し当たり、秘密鍵で暗号化されたメタデータが、データベースから交通標識に送信される。交通標識識別を行うための装置(VZE)のカメラが、交通標識の1つまたは複数の画像を記録し、それらの画像を交通標識識別のプロセスに提供する。単純化のために、図面内で使用されている交通標識識別を行うための装置(VZE)には、交通標識またはデータベースと通信するために必要とされるすべてのコンポーネントが含まれている。カメラによって1つまたは複数の画像が記録される場合には、交通標識とカメラとの間でいわばメッセージ交換が行われるが、このメッセージ交換は、方法のその他のステップのメッセージ交換とは異なる。したがって、このステップは破線で表されている。交通標識識別を行うための装置(VZE)は、カメラの1つまたは複数の画像に対して交通標識識別を実行し、カメラのその1つまたは複数の画像からメタデータを抽出する。オプションとして、交通標識識別を行うための装置(VZE)は、認証のための問合せを交通標識に送信し、交通標識は、対応する応答を送信する。必要に応じて、交通標識識別を行うための装置(VZE)に対する交通標識の認証が行われた後に、交通標識識別を行うための装置(VZE)は、交通標識の公開鍵を受信するために、データベースに問合せを送信する。問合せに対する応答としてデータベースから受信した公開鍵を用いて、交通標識識別を行うための装置(VZE)は、カメラの1つまたは複数の画像から抽出された、秘密鍵で暗号化されたメタ情報を復号することができる。
【0045】
オプションとして、例えばデータベースからの公開鍵の受信を保護するために、交通標識識別を行うための装置(VZE)と交通標識との間でセッション鍵の取り決めを行うこともできる。
【0046】
図6には、本発明による方法600の1つの態様の例示的なフローチャートが示されている。ステップ602では、先ず、交通標識識別(図示せず)の対象となる画像が記録される。交通標識識別の過程において、例えば、比較に関して有効な交通標識の基準画像を取得するために、データベースへの問合せが行われる(図示せず)。交通標識が識別されなかった場合、ステップ604から「No」に分岐し、ステップ608aで、識別特徴(M)、つまり交通標識に関する付加的なデータを取得することができる特徴がカメラの画像内に存在しているか否か、または別のやり方で、そのような識別特徴(M)が存在していると確認されたか否かが検査される。識別特徴が識別されなかった場合には、ステップ608aから「No」に分岐し、方法は、この方法の経過で検査された画像よりも時間的に後に記録された別の画像に適用される。ステップ604で交通標識が識別された場合には、ステップ604から「Yes」に分岐し、ステップ606で、交通標識の内容(IN)が特定され、ステップ608bで、ステップ608aと同様に、識別特徴(M)が識別されたか否かが検査される。識別特徴(M)が識別されなかった場合には、ステップ608bから「No」に分岐し、交通標識の内容(IN)が出力され、オプションとして、例えば交通標識の内容および設置位置を識別特徴によっては検証することができなかったという付加的な示唆と共に出力される。ステップ608aまたはステップ608bのうちの一方において、識別特徴が識別された場合には、各ステップから「Yes」に分岐し、ステップ610で、交通標識に関係する付加的なデータが、例えばデータベースへの問合せによって、または特徴を表す画像領域の直接的な復号によって取得される。ステップ612では、交通標識に関係するデータが最新で有効なものであるか否かが検査される。このステップも、データベースへの問合せを含むことができる(図示せず)。データが最新のものではない場合には、ステップ612から「No」に分岐し、このデータが、ステップ614における検査の過程で、最新のデータに置換される。最新のデータまたは更新されたデータは、ステップ616で、ステップ606にて特定された、交通標識の内容と比較される。一致する場合には、ステップ616から「Yes」に分岐し、ステップ618で、内容の出力、または選択的にデータの出力が行われるが、この場合には差異はない。一致しない場合には、ステップ616から「No」に分岐し、ステップ620で、ステップ606にて内容に関して特定された交通標識が、識別特徴を介して取得されたデータが示すものと同じカテゴリの交通標識であるか否かが検査される。同一のカテゴリは、例えば、図7aに示すように、2つの交通標識が速度制限(ドイツの道路交通規則の交通標識274)を示すが、異なる最高速度を示す場合に存在する。図示した例では、数字30が数字80に「変換」された不正な細工が行われている可能性があり、このような不正な細工は僅かな手間で実現できる。異なるカテゴリは、例えば、識別された交通標識があらゆる種類の車両に対する禁止(ドイツの道路交通規則の交通標識250)を示すが、識別特徴を介して取得されたデータが、図7bに示すように交通標識は速度制限を表すことを示す場合に存在する。ここでは、数字60を覆うように背景色の白が塗られることによって不正な細工が行われていると考えられる。同一のカテゴリが存在する場合には、ステップ620から「Yes」に分岐し、ステップ622で、ステップ606で特定された内容INの代わりに、識別特徴を介して取得されたデータから求められた内容Mが出力される。異なるカテゴリが存在する場合には、ステップ620から「No」に分岐し、出力は行われない(ステップ624a)。代替的に、ステップ624bでは、有効性の確認が失敗に終わったことの示唆でもって補完して、ステップ606で求められた内容IN、または問合せまたは更新が行われた内容Mが出力される。有効性の確認が失敗に終わったことを、オプションとして、データベースに通知することもでき、それによって、場合によっては存在するエラーを取り除くための適切な措置を講じることができる。
【0047】
出力は、例えば、車両の制御装置に対して行われ、この制御装置は、車両の自律的または自動的な走行モードと関係して制御機能を実施する。代わりにまたは加えて、ドライバの視界内にあるディスプレイにおいて出力を光学的に行うこともできるし、または対応する音声出力によって音響的に行うこともできる。付加的な出力は、例えば、車両がマニュアルで制御されるべきか否かの判定にとって有効であると考えられる。
【0048】
図8には、本発明による方法800の1つの態様の別の例示的なフローチャートが示されている。ステップ802では、車両に配置されているカメラ(図示せず)によって画像が記録され、ステップ804では、画像内の交通標識の識別特徴が識別される。識別された識別特徴に関して、ステップ806では、問合せがバックエンド801に送信され、それによって、識別特徴が設けられている交通標識についてのデータが取得される。データは、例えば、設置位置および内容に関する記述を含んでいるが、また、交通標識の永続的または一時的な有効性についての記述も含んでいる。ステップ808では、事前に記録された画像に属する、車両のGPS位置が、車両に配置されている対応する装置(図示せず)によって問い合わせられる。問い合わせられた位置が、バックエンドから取得された位置と一致する場合には、ステップ810で、バックエンドへの位置の確認が行われる。ステップ812では、例えば画像識別のための装置またはソフトウェア(図示せず)を用いて、交通標識の内容が識別される。交通標識の識別された内容が、取得された内容と一致する場合には、ステップ814で、バックエンドへの内容の確認が行われる。ステップ816では、画像解析が、交通標識の有効性の記述を供給したか否か、すなわち交通標識が現在の曜日および現時刻で既に有効であるか、または依然として有効であるかが検査される。そのような記述は、例えば、交通標識に取り付けられた、有効期間の開始および終了を表す補助標識を介して行われ、またそれらの補助標識を、画像識別および光学的な文字識別(光学文字認識:OCR)によって評価することができる。有効性についての記述が識別された場合、またそれらの記述がバックエンドから取得された記述と一致する場合には、ステップ818で、バックエンドへの対応する確認が行われる。有効性についての記述が識別されなかったが、現在の曜日および現在の時刻では交通標識が依然として有効である場合には、ステップ818で、交通標識は依然として、予定されている位置に設置されていることのバックエンドへの確認が行われる。同じように、有効性についての記述が識別されず、また現在の曜日および現在の時刻では交通標識がもはやその位置に設置されているべきではない場合には、ステップ818で、交通標識は依然として、予定されている位置に設置されているという、バックエンドへの対応する通知が行われる。
【0049】
図8に図示した例示的な方法の個々のステップを、異なる順序で処理することができるか、または並行して処理することができる。
【0050】
図9には、本発明による方法900の1つの態様の別の概略的な例が示されている。図8に示したものと同様に、ステップ902では、車両に配置されているカメラ(図示せず)によって先ず画像が記録され、ステップ904では、画像内の交通標識の識別特徴が識別される。ステップ906では、車両とバックエンドまたはデータベースとの間で時間同期が行われ、この際、コネクションの確立に関する識別特徴に由来する情報を、このために使用することができる。代わりにまたは加えて、時間同期は、別のチャネル、例えば衛星ナビゲーションシステムから受信する信号を介しても行われ、この場合には、それを目的としたコネクションの確立は不要である。ステップ908では、相応のコネクションの確立後に、交通標識に関する公開鍵がバックエンドまたはデータベースから取得される。これに関して、データベースに対して相応の一義的な問合せを行えるようにするために、識別特徴の一部を暗号化しなくてもよい。しかしながら、特徴としての地理的位置を含む問合せを行い、その地理的位置に対応付けられた鍵を受信することも可能である。ステップ910では、車両とバックエンドとの間にセキュアなコネクションが確立される。ステップ912では、続いて、交通標識に関して格納されているデータを車両に伝送する、バックエンドへの要求が行われ、このデータが、ステップ914で対応して受信される。データは、例えば、設置位置および内容についての記述を含んでいるが、また、交通標識の永続的または一時的な有効性についての記述も含んでいる。データベースから供給された設置位置は、検証に使用される付加的な地理データを有する地図区間も含むことができる。少なくとも、識別特徴の一部を暗号化し、例えば鍵ペアの秘密鍵を用いて不正操作を困難にすることができる。この暗号化された部分を、ステップ908で受信した公開鍵を用いて復号し、バックエンドから取得されたデータと、識別特徴によって伝送されたデータとの比較を実現することができる。秘密鍵が、受信した公開鍵に対応していない場合、つまり暗号化された情報を復号することができない場合には、非常に高い確率で、不正操作が行われたと考えられる。データベースから取得されたデータと、交通標識識別を介して求められた内容とが一致する場合には、ステップ918で、現時点において、交通標識は現在の地理的位置において識別されて有効性が確認されたという、バックエンドへの対応する通知が行われる。
【0051】
図8と同様に、図9に図示した例示的な方法の個々のステップを、別の順序で処理することもできるし、または並行して処理することもできる。
【0052】
図10には、本発明による方法を実施するための車両側の装置1000の簡略化された例示的なブロック図が示されている。カメラ1002には、マイクロプロセッサ1004、メインメモリ1006、不揮発性メモリ1008、検証の結果を出力するためのインタフェース1010、および車両の位置を特定するための装置1012が、1つまたは複数のデータバス1014を介して直接的または間接的に、通信を行うように接続されている。不揮発性メモリ1008は、コンピュータプログラム命令を有しており、このコンピュータプログラム命令は、メインメモリ1006に接続されているマイクロプロセッサ1004によって、また必要に応じて別のシステムコンポーネントへのアクセスのもとで実行されると、本発明による方法の1つまたは複数の態様を実施する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8
図9
図10