特許第6813596号(P6813596)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6813596半導体基板からフォトレジストを除去するための剥離組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6813596
(24)【登録日】2020年12月21日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】半導体基板からフォトレジストを除去するための剥離組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/42 20060101AFI20201228BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20201228BHJP
   C11D 7/50 20060101ALI20201228BHJP
   C11D 7/32 20060101ALI20201228BHJP
   C11D 7/26 20060101ALI20201228BHJP
   C11D 1/62 20060101ALI20201228BHJP
   C11D 3/43 20060101ALI20201228BHJP
   C11D 3/28 20060101ALI20201228BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20201228BHJP
   C11D 3/34 20060101ALI20201228BHJP
   C11D 3/32 20060101ALI20201228BHJP
   C11D 7/34 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
   G03F7/42
   H01L21/30 572
   C11D7/50
   C11D7/32
   C11D7/26
   C11D1/62
   C11D3/43
   C11D3/28
   C11D3/20
   C11D3/34
   C11D3/32
   C11D7/34
【請求項の数】31
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-560013(P2018-560013)
(86)(22)【出願日】2017年5月17日
(65)【公表番号】特表2019-518986(P2019-518986A)
(43)【公表日】2019年7月4日
(86)【国際出願番号】US2017033041
(87)【国際公開番号】WO2017205134
(87)【国際公開日】20171130
【審査請求日】2020年5月12日
(31)【優先権主張番号】62/340,204
(32)【優先日】2016年5月23日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514251329
【氏名又は名称】フジフイルム エレクトロニック マテリアルズ ユー.エス.エー., インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】水谷篤史
(72)【発明者】
【氏名】ヴォイチュクザック、ウィリアム エー.
(72)【発明者】
【氏名】杉島泰雄
【審査官】 塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−255565(JP,A)
【文献】 特開2009−217267(JP,A)
【文献】 特開2009−069505(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/023754(WO,A1)
【文献】 特表2008−527447(JP,A)
【文献】 特表2007−526523(JP,A)
【文献】 米国特許第05665688(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/00 − 7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)少なくとも1種の水溶性極性非プロトン性有機溶剤;
2)少なくとも1種の水酸化第4級アンモニウム;
3)少なくとも3つの水酸基を含む少なくとも1種の化合物;
4)少なくとも1種のカルボン酸;
5)少なくとも1種のII族金属カチオン;
6)6−置換−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジンからなる群より選択される少なくとも1種の銅腐食抑制剤;及び
7) 水
を含むレジスト剥離組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種の水酸化第4級アンモニウムが、式[NROH(式中、R、R、R、およびRはそれぞれ独立して、ヒドロキシ基によって置換されていてもよい線状、分岐状、もしくは環状のアルキル基、置換もしくは非置換のフェニル基、または置換もしくは非置換のベンジル基である)で表される化合物を含む、請求項1に記載のレジスト剥離組成物。
【請求項3】
、R、R、およびRは、それぞれ独立して、C〜Cアルキル基、ヒドロキシエチル基、フェニル基、またはベンジル基である、請求項2に記載のレジスト剥離組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種の水酸化第4級アンモニウムをレジスト剥離組成物の全重量に対して0.1重量%〜10重量%の量で含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のレジスト剥離組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種の銅腐食抑制剤は、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジンの6位上の置換基が、直鎖または分枝鎖である、置換または非置換のC−C12アルキル基、置換または非置換のC−C12シクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、−SCH100、−N(R100101)、又はイミジル(ここでR100及びR101は、それぞれ独立に、直鎖もしくは分枝鎖である、置換もしくは非置換の、窒素原子もしくは酸素原子をアルキル鎖中に含んでいてもよいC−C12アルキル基であるか、置換もしくは非置換の、窒素原子もしくは酸素原子をシクロアルキル環中に含んでいてもよいC−C12シクロアルキル基であるか、置換もしくは非置換のアリール基であるか、またはR100及びR101はそれらが結合している原子と共に環を形成する)である、6−置換−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジンを含む、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のレジスト剥離組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種の銅腐食抑制剤が、6−フェニル−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジンまたは6−メチル−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジンを含む、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のレジスト剥離組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種の銅腐食抑制剤をレジスト剥離組成物の全重量に対して0.1重量%〜10重量%の量で含む、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のレジスト剥離組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種の水溶性極性非プロトン性有機溶剤が、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルスルホン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ガンマ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、またはこれらの混合物を含む、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のレジスト剥離組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種の水溶性極性非プロトン性有機溶剤をレジスト剥離組成物の全重量に対して30重量%〜90重量%の量で含む、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のレジスト剥離組成物。
【請求項10】
少なくとも1種のアルコール溶剤をさらに含む、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のレジスト剥離組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1種のアルコール溶剤が、アルカンジオール、グリコール、アルコキシアルコール、飽和脂肪族一価アルコール、不飽和非芳香族一価アルコール、環構造を含むアルコール、またはこれらの混合物を含む、請求項10に記載のレジスト剥離組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1種のアルコール溶剤をレジスト剥離組成物の全重量に対して5重量%〜60重量%の量で含む、請求項10又は請求項11に記載のレジスト剥離組成物。
【請求項13】
前記水をレジスト剥離組成物の全重量に対して2.5重量%〜25重量%の量で含む、請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載のレジスト剥離組成物。
【請求項14】
少なくとも1種の脱泡界面活性剤をさらに含む、請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載のレジスト剥離組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1種の脱泡界面活性剤をレジスト剥離組成物の全重量に対して0.01重量%〜3重量%の量で含む、請求項14に記載のレジスト剥離組成物。
【請求項16】
前記少なくとも3つの水酸基を含む少なくとも1種の化合物が、糖アルコールを含む、請求項1〜請求項15のいずれか1項に記載のレジスト剥離組成物。
【請求項17】
前記糖アルコールが、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、エリスリトール、アラビトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、キシリトール、トレイトール、リビトール、ガラクチトール、イジトールまたはイノシトールである、請求項16に記載のレジスト剥離組成物。
【請求項18】
前記糖アルコールがグリセロールまたはソルビトールである、請求項16又は請求項17に記載のレジスト剥離組成物。
【請求項19】
前記少なくとも3つの水酸基を含む少なくとも1種の化合物をレジスト剥離組成物の全重量に対して0.1重量%〜10重量%の量で含む、請求項16〜請求項18のいずれか1項に記載のレジスト剥離組成物。
【請求項20】
前記少なくとも1種のカルボン酸が、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、α−ヒドロキシ酸であるモノカルボン酸、β−ヒドロキシ酸であるモノカルボン酸、α−ヒドロキシ酸であるジカルボン酸、β−ヒドロキシ酸であるジカルボン酸、α−ヒドロキシ酸であるトリカルボン酸、およびβ−ヒドロキシ酸であるトリカルボン酸からなる群より選択される、請求項1〜請求項19のいずれか1項に記載のレジスト剥離組成物。
【請求項21】
前記少なくとも1種のカルボン酸が、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、乳酸、グリコール酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸または安息香酸を含む、請求項20に記載のレジスト剥離組成物。
【請求項22】
前記少なくとも1種のカルボン酸が、クエン酸を含む、請求項21に記載のレジスト剥離組成物。
【請求項23】
前記少なくとも1種のカルボン酸をレジスト剥離組成物の全重量に対して0.1重量%〜1.5重量%の量で含む、請求項1〜請求項22のいずれか1項に記載のレジスト剥離組成物。
【請求項24】
前記少なくとも1種のII族金属カチオンが、Mg2+、Ca2+、Sr2+、またはBa2+を含む、請求項1〜請求項23のいずれか1項に記載のレジスト剥離組成物。
【請求項25】
前記少なくとも1種のII族金属カチオンが、Ca2+を含む、請求項1〜請求項24のいずれか1項に記載のレジスト剥離組成物。
【請求項26】
前記少なくとも1種のII族金属カチオンを5ppm〜40ppm含む、請求項1〜請求項25のいずれか1項に記載のレジスト剥離組成物。
【請求項27】
13以上のpHを有する、請求項1〜請求項26のいずれか1項に記載のレジスト剥離組成物。
【請求項28】
フォトレジストまたはフォトレジスト残渣を含む半導体基板を、請求項1〜請求項27のいずれか1項に記載のレジスト剥離組成物と接触させて、前記フォトレジストまたはフォトレジスト残渣を除去することを含む方法。
【請求項29】
前記接触工程の後、前記半導体基板をリンス溶剤でリンスすることをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記リンス工程の後、前記半導体基板を乾燥することをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記半導体基板中のCuまたはAlを実質的に除去しない、請求項28〜請求項30のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
【0002】
本出願は2016年5月23日に出願された米国仮出願第62/340,204号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は一般に、半導体基板からフォトレジスト(例えば、ポジ型またはネガ型のフォトレジスト)またはフォトレジスト残渣を除去するための新規な剥離組成物に関する。特に、本開示は、エッチングまたはプラズマアッシングプロセス後にフォトレジストまたはフォトレジスト残渣を除去するのに有用なアルカリ性組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
集積回路の製造において、ICチップおよび微小電気機械システム(MEMS)のような半導体デバイスを、チップパッド上に堆積されたはんだバンプによって外部回路に相互接続するための、制御された崩壊チップ接続(C4)プロセスとして知られるフリップチッププロセスは、現在では、非常によく確立されている。厚膜ネガ型フォトレジストは、フリップチップまたはC4プロセスの際に一般的に適用され、厚膜ネガ型レジスト用の市販のレジスト剥離配合物は、主にDMSO(ジメチルスルホキシド)またはNMP(N−メチルピロリドン)およびTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)系の配合物である。しかし、厚膜ネガ型レジスト用の市販のレジスト剥離配合物は、レジスト剥離能力が不十分であること、浴寿命が短いこと、または金属基板およびバンプ組成物との適合性が乏しいという問題を示すことがある。さらに、溶解したフォトレジストまたは溶解したフォトレジスト中の界面活性剤によって生じる発泡の問題が起こる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、バンプおよびメタライゼーション材料(例えば、SnAg、CuNiSn、CuCoCu、CoSn、Ni、Cu、Al、W、Sn、Coなど)を含有するデバイス用に調整されたレジスト剥離組成物の開発を記載する。本発明者らは、厚膜ポジ型またはネガ型のレジストを効果的に剥離し、バンプおよび下層のメタライゼーション材料(例えば、SnAg、CuNiSn、CuCoCu、CoSn、Ni、Cu、Al、W、Sn、Coなど)に非腐食性である能力が、本開示の組成物を使用することによって達成され得ることを予想外に発見した。実際、本開示の組成物は優れた剥離および洗浄性能を維持しながら、CuおよびAlエッチングを抑制するのに有効であることが見出された。さらに、本開示の組成物は、広い材料適合性を示し、かつ剥離プロセスの際の発泡の問題を効果的に制御することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの実施形態では、本開示は、下記を含むフォトレジスト剥離組成物を特徴とする。
1)少なくとも1種の水溶性極性非プロトン性有機溶剤;
2)少なくとも1種の水酸化第四級アンモニウム;
3)少なくとも3つの水酸基を含む少なくとも1種の化合物;
4)少なくとも1種のカルボン酸;
5)少なくとも1種のII族金属カチオン;
6)6−置換−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジンからなる群から選択される少なくとも1種の銅腐食抑制剤;及び
7)水。
【0007】
いくつかの実施形態では、本開示は、フォトレジストまたはフォトレジスト残渣を含有する半導体基板を、本開示のフォトレジスト剥離組成物と接触させて、フォトレジストまたはフォトレジスト残渣を除去することを含むフォトレジスト剥離方法に関する。いくつかの実施形態において、剥離方法は、上述の方法によって得られる半導体基板から半導体デバイス(例えば、半導体チップなどの集積回路デバイス)を形成することをさらに含む。
【発明を実施するための形態】
【0008】
定義
本明細書において、別途記述されていない限り、表示されている全ての百分率は、剥離組成物の全重量に対する重量百分率であると理解されるべきである。別途記述されていない限り、周囲温度は、摂氏約16度から約27度(℃)の間であると定義される。
【0009】
本明細書において使用されているとき、「水溶性」物質(例えば、水溶性アルコール、ケトン、エステル、エーテルなど)は、25℃で水に少なくとも5重量%の溶解性を有する物質を指す。
【0010】
本明細書において、用語「極性非プロトン性溶剤」は、酸性プロトンを欠き、そして比較的高い双極子モーメント(例えば、少なくとも2.7)を有する溶剤を指す。
【0011】
本明細書において、「II族金属カチオン」は、周期表のII族における金属のカチオンを指す。
【0012】
互変異性化は、単結合および隣接する二重結合の切り替えに伴う水素原子またはプロトンのホルマール移動として本明細書において定義される。トリアゾール化合物の言及、記載、または特許請求の範囲もまた、トリアゾール環系における互変異性化のための低い活性化エネルギーに起因したトリアゾール化合物の互変異性体も含む。
【0013】
本明細書において使用されているとき、用語「トリアゾール」は、ベンゾトリアゾールもしくはナフトトリアゾールなどの縮環トリアゾール類、またはそれらの誘導体を含まない。本開示のトリアゾール類は環状置換基を有していてよいが、置換基は、唯一の炭素において環に結合している。
【0014】
いくつかの実施形態では、本開示は、以下を含むフォトレジスト剥離組成物に関する。
1)少なくとも1種の水溶性極性非プロトン性有機溶剤;
2)少なくとも1種の水酸化第四級アンモニウム;
3)少なくとも3つの水酸基を含む少なくとも1種の化合物;
4)少なくとも1種のカルボン酸;
5)少なくとも1種のII族金属カチオン;
6)6−置換−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジンからなる群から選択される少なくとも1種の銅腐食抑制剤;及び
7)水。
【0015】
いくつかの実施形態では、本開示の剥離組成物は、少なくとも1種の水溶性極性非プロトン性有機溶剤を含む。水溶性極性非プロトン性有機溶剤は、1種の水溶性溶剤であっても、複数種類の水溶性溶剤を任意の比率で含む混合物(mixture of water soluble solvents in any ratio)であってもよい。本開示における使用に適する、かかる溶剤の例としては、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルスルホン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンおよびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、水溶性極性非プロトン性有機溶剤は、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、またはN−メチルピロリドンである。
【0016】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、少なくとも1種の水溶性極性非プロトン性有機溶剤を、少なくとも約30重量%(例えば、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、もしくは少なくとも約60重量%)および/または最大約90重量%(例えば、最大約85重量%、最大約80重量%、もしくは最大約75重量%)の量で含む。
【0017】
場合により、本開示の剥離組成物は、例えば水溶性アルコール溶剤などの、少なくとも1種のアルコール溶剤を含む。水溶性アルコール溶剤のクラスには、アルカンジオール(アルキレングリコールを含むが、これに限定されない)、グリコール、アルコキシアルコール(グリコールモノエーテルを含むが、これに限定されない)、飽和脂肪族一価アルコール、不飽和非芳香族一価アルコール、環構造を含むアルコール(例えば、低分子量アルコール)、およびそれらの混合物が含まれる。剥離組成物は、1種のアルコール溶剤を含んでもよく、または複数種類のアルコール溶剤を任意の比率で含む混合物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、少なくとも1種のアルコール溶剤を含有しない。
【0018】
水溶性アルカンジオールの例としては、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−ジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ピナコール、およびアルキレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
水溶性アルキレングリコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、およびテトラエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
水溶性アルコキシアルコールの例としては、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、1−メトキシ−2−ブタノール、及び水溶性グリコールモノエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
水溶性グリコールモノエーテルの例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシ−1−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、2−エトキシ−1−プロパノール、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、及びジエチレングリコールモノベンジルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
水溶性飽和脂肪族一価アルコールの例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、2−ペンタノール、t−ペンチルアルコールおよび1−ヘキサノールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
水溶性不飽和非芳香族一価アルコールの例としては、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、2−ブテニルアルコール、3−ブテニルアルコール、および4−ペンテン−2−オールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
環構造を含有する水溶性の低分子量アルコールの例としては、テトラヒドロフルフリルアルコール、フルフリルアルコール、および1,3−シクロペンタンジオールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
いくつかの実施形態では、水溶性アルコール溶剤は、アルコキシアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、及び水溶性アルカンジオールである。いくつかの実施形態では、水溶性アルコール溶剤は、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、1−メトキシ−2−ブタノール、水溶性グリコールモノエーテル、水溶性アルキレングリコール、およびテトラヒドロフルフリルアルコールである。いくつかの実施形態では、水溶性アルコール溶剤は、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、およびテトラヒドロフルフリルアルコールである。
【0026】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のフォトレジスト剥離方法で、加熱した本明細書に記載のフォトレジスト剥離組成物を使用する場合、水溶性アルコールは、安全を考慮して110℃超の沸点を有するものとしうる。
【0027】
いくつかの実施形態では、本開示の剥離組成物は、少なくとも約5重量%(例えば、少なくとも約7重量%、少なくとも約10重量%もしくは少なくとも約12重量%)および/または最大約60重量%(例えば、最大約45重量%、最大約35重量%もしくは最大約25重量%)の量の少なくとも1種のアルコール溶剤を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、本開示の剥離組成物は、少なくとも1種の水酸化第4級アンモニウムを含む。いくつかの実施形態において、好ましい水酸化第4級アンモニウムは、一般式[NROHで表される化合物であり、ここでR、R、RおよびRはそれぞれ独立して、ヒドロキシ基によって置換されていてもよい線状、分岐状、もしくは環状のアルキル基、置換もしくは非置換のフェニル基、または置換もしくは非置換のベンジル基(例えば、そのフェニル基が置換されているかまたは置換されていないベンジル基)である。フェニル基上およびベンジル基のフェニル基上の置換基は、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシまたはアルキルを含むことができる。いくつかの実施形態では、水酸化第4級アンモニウムは水酸化テトラアルキルアンモニウムである。いくつかの実施形態では、水酸化第4級アンモニウムは水酸化テトラアルカノールアンモニウムである。いくつかの実施形態では、水酸化第4級アンモニウムは、2種以上の水酸化第4級アンモニウムを任意の比率で含む混合物(mixture of two or more quaternary ammonium hydroxides in any ratio)である。
【0029】
いくつかの実施形態では、好ましい水酸化第四級アンモニウムは、一般式[NROHで表される化合物であり、ここでR、R、RおよびRはそれぞれ独立してC−Cアルキル基、ヒドロキシエチル基、フェニル基またはベンジル基である。
【0030】
好適な水酸化第四級アンモニウムの例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジエチルジメチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリプロピルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリブチルアンモニウムヒドロキシド、ペンチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(コリン)、(2−ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド、(3−ヒドロキシプロピル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド、トリス−2−ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエタノールアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
いくつかの実施形態において、水酸化第四級アンモニウムは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(コリン)、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、またはテトラブチルアンモニウムヒドロキシドである。
【0032】
いくつかの実施形態において、水酸化第四級アンモニウムは、TMAH、TEAH、TBAH、コリン、又はテトラエタノールアンモニウムヒドロキシドである。
【0033】
いくつかの実施形態では、本開示の剥離組成物は、少なくとも1種の水酸化第4級アンモニウムを、少なくとも約0.1重量%(例えば、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%もしくは少なくとも約1.5重量%)および/または最大で約10重量%(例えば、最大で約8重量%、最大で約5重量%もしくは最大で約3重量%)の量で含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、本開示の剥離組成物は、少なくとも1種のII族金属カチオンを含む。好適なII族金属カチオンの例としては、Ca2+、Mg2+、Sr2+、およびBa2+が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の剥離組成物は、II族金属カチオンを、少なくとも約5ppm(例えば、少なくとも約7ppm、少なくとも約8ppm、もしくは少なくとも約10ppm)および/または最大約40ppm(例えば、最大約35ppm、最大約25ppm、最大約20ppm、もしくは最大約15ppm)の量で含むことができる。
【0035】
理論に束縛されることを望むものではないが、可溶化II族金属カチオン(例えば、カルシウムカチオン)を含有する剥離組成物は、剥離組成物のAlエッチング速度を有意に低下させることができ、それにより、剥離組成物が使用中にAlエッチングを阻害することを可能にすると考えられる。さらに、理論に束縛されることを望むものではないが、II族金属化合物は一般に、本明細書に記載される剥離組成物への溶解性があまり高くないところ、II族金属カチオンを可溶化できる(例えば、II族金属カチオンと錯体を形成することによって可溶化できる)薬剤を添加することで、剥離組成物中の可溶化II族金属カチオンの量を有意に増加させることができ、それによって、剥離組成物のAlエッチング抑制能力を改善しうる。
【0036】
したがって、いくつかの実施形態において、本開示の剥離組成物は、水溶性極性非プロトン性有機溶剤におけるII族金属カチオンの溶解性を改善する1種以上の化合物を含み得る。これらの化合物は、少なくとも3個の水酸基を有する化合物を含む。いくつかの実施形態では、前記化合物は糖アルコールである。本開示の組成物における使用が意図される糖アルコールとしては、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、エリスリトール、アラビトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、キシリトール、トレイトール、リビトール、ガラクチトール、イジトールおよびイノシトールが挙げられる。いくつかの実施形態では、糖アルコールはグリセロールまたはソルビトールである。
【0037】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の剥離組成物は、少なくとも3つの水酸基を有する少なくとも1種の化合物を、約0.1重量%(例えば、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、もしくは少なくとも約1.5重量%)および/または最大で約10重量%(例えば、最大で約8重量%、最大で約5重量%もしくは最大で約3重量%)含むことができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、本開示の剥離組成物はまた、少なくとも1種のカルボン酸を含むことができる。理論に束縛されることを望むものではないが、カルボン酸が少なくとも3個の水酸基を有する化合物と接触すると作用して、水溶性極性非プロトン性有機溶剤中の第II族金属カチオンの溶解性を改善することができると考えられる。いくつかの実施形態では、本開示の組成物における使用が企図される少なくとも1種のカルボン酸の例としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸(bicarboxylic acid)、トリカルボン酸、α−ヒドロキシ酸であるモノカルボン酸、β−ヒドロキシ酸であるモノカルボン酸、α−ヒドロキシ酸であるジカルボン酸、β−ヒドロキシ酸であるジカルボン酸、α−ヒドロキシ酸であるトリカルボン酸、β−ヒドロキシ酸であるトリカルボン酸が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、少なくとも1種のカルボン酸としては、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、乳酸、グリコール酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸及び安息香酸が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、カルボン酸はクエン酸である。
【0039】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の剥離組成物は、少なくとも1種のカルボン酸を、少なくとも約0.1重量%(例えば、少なくとも約0.2重量%、少なくとも約0.3重量%、もしくは少なくとも約0.4重量%)および/または最大約1.5重量%(例えば、最大約1.2重量%、最大約0.9重量%、もしくは最大約0.6重量%)の量で含むことができる。
【0040】
本開示の剥離組成物は、一般に水を含有する。いくつかの実施形態では、水は脱イオン化されており、超純粋であり、有機汚染物質を含まず、約4〜約17メガオームの最小抵抗率を有する。いくつかの実施形態では、水の抵抗率は少なくとも17メガオームである。
【0041】
いくつかの実施形態において、本開示の剥離組成物は、水を、少なくとも約2.5重量%(例えば、少なくとも約5重量%、少なくとも約7重量%、もしくは少なくとも約10重量%)および/または最大約25重量%(例えば、最大約20重量%、最大約15重量%、もしくは最大約12.5重量%)含有する。
【0042】
いくつかの実施形態において、本開示の剥離組成物は、6−置換−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジンである、少なくとも1種の銅腐食抑制剤を含む。2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジンの6位上の置換基は、直鎖または分枝鎖である置換または非置換のC−C12アルキル基(例えば、メチル、ヘキシル、−CH−アリール、CHOR100、−CHSR100、−CH(NR100101))、置換または非置換のC−C12シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、又はヒドロキシシクロヘキシル)、置換もしくは無置換のアリール基(例えばフェニル、メトキシフェニル、又はナフチル)、−SCH100、−N(R100101)、又はイミジル(ここでR100及びR101は、それぞれ独立に、直鎖もしくは分枝鎖である、置換もしくは非置換の、窒素原子もしくは酸素原子をアルキル鎖中に含んでいてもよいC−C12アルキル基であるか、置換もしくは非置換の、窒素原子もしくは酸素原子をシクロアルキル環中に含んでいてもよいC−C12シクロアルキル基であるか、置換もしくは非置換のアリール基であるか、またはR100及びR101はそれらが結合している原子と共に環を形成する)でありうる。アルキル基およびシクロアルキル基上の置換基は、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシル、および置換または非置換アリールを含むことができる。いくつかの実施形態において、アリール基上の置換基は、電子求引性(例えば、ハロゲン)ではなく電子供与性(例えば、アルコキシ)である。
【0043】
適切な6−置換−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジンの例としては、6−メチル−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン;6−フェニル−2,4−ジアミノ−1,3,5−ジメチルトリアジン;1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン、6−[2−(2−フラニル)エチル]−;1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン、6−[(ヘキサヒドロ−1−メチルピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−イル)メチル]−;1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン、6−[[(3−アミノブチル)チオ]メチル]−;1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン、6−(4,4−ジフルオロシクロヘキシル)−;1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン、6−[(3−クロロフェニル)メチル]−;1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン、6−[(フェニルチオ)メチル]−;1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン、6−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)メチル]−;2−(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−フルオロ−フェノール;1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン、6−(1−エチルシクロペンチル)−;1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン、6−[[4−(ジフェニルメチル)−1−ピペラジニル]メチル]−;9−アクリジンカルボン酸、1,2,3,4−テトラヒドロ−4−[(4−メトキシフェニル)メチレン]−、(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)メチルエステル;1H−ベンズ[de]イソキノリン−1,3(2H)−ジオン、2−[[(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)アミノ]メチル]−;9−アクリジンカルボン酸、2−(1,1−ジメチルプロピル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−、(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)メチルエステル;1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、N2−[2−[(7−クロロ−4−キノリニル)アミノ]エチル]−;1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン、6−[[4−(1−メチルエチル)フェノキシ]メチル]−;1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン、6−[[3−(トリフルオロメチル)フェノキシ]メチル]−;1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン、6−[[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)メチル]チオ]−;N−シクロヘキシル−2−[(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)チオ]−プロパンアミド;3−クロロ−4−[(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)メトキシ]−5−メトキシ−ベンゾニトリル;ベンゼン酢酸、3−メトキシ−、(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)メチルエステル;1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン、6−[3−(1−ピロリジニル)フェニル]−;1,3,5−トリアジン−2−オクタンニトリル、4,6−ジアミノ−;s−トリアジン−2−ブチロニトリル、4,6−ジアミノ−;1,3,5−トリアジン−2−プロパン酸、4,6−ジアミノ−;1,3,5−トリアジン−2−メタンチオール、4,6−ジアミノ−;ベンズアミド、N−(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−ヒドロキシ−;及び1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン、6−[(メチルチオ)メチル]−が挙げられる。
【0044】
いくつかの実施形態では、本開示の剥離組成物は、少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%、もしくは少なくとも約0.5重量%)および/または最大で約10重量%(例えば、最大で約7重量%、最大で約5重量%、もしくは最大で約2重量%)の量の少なくとも1種の銅腐食抑制剤を含む。
【0045】
本開示の剥離組成物は、必要に応じて、脱泡界面活性剤を含む。好適な脱泡界面活性剤の例としては、ポリシロキサン(例えば、ポリジメチルシロキサン)、ポリエチレングリコールメチルエーテルポリマー、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー、テトラメチルデシンジオール、およびグリシジルエーテルでキャップされたアセチレン性ジオールエトキシレート(例えば、参照により組み込まれる米国特許第6717019号に記載されている)が挙げられる。市販の脱泡界面活性剤の例として、Surfynol 440、Surfynol 104、Surfynol MD−20、Troysol S366、Coastal 1017F、Aldo LF、Dow DB−100およびDow DSPが挙げられる。いくつかの実施形態において、脱泡界面活性剤は、Surfynol MD−20、Surfynol 104、およびTroysol S366である。いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、脱泡界面活性剤を含有しない。
【0046】
いくつかの実施形態において、本開示の剥離組成物は少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.03重量%、少なくとも約0.05重量%もしくは少なくとも約0.1重量%)および/または最大で約3重量%(例えば、最大で約2重量%、最大で約1重量%もしくは最大で約0.5重量%)の量の少なくとも1つの脱泡界面活性剤を含有する。
【0047】
さらに、いくつかの実施形態では、本開示の剥離組成物は、pH調整剤(有機酸、無機酸、および有機塩基など)、腐食抑制剤、キレート剤、界面活性剤、有機溶剤(例えば、グリコールジエーテル)、および殺生物剤などの追加的添加剤を任意の成分として含有することができる。
【0048】
いくつかの実施形態において、本開示の剥離組成物は、1つより多い場合、任意の組み合わせにおいて、以下の成分の1つ以上を特に排除し得る。このような成分は、脱酸素剤、アミドキシム、酸化剤(例えば過酸化物、オキソアンモニウム化合物、無機酸化剤および過酸)、研磨剤(例えばシリカまたはアルミナ)、フッ化物含有化合物、アルカリ金属およびアルカリ土類塩基(例えば、NaOH、KOH、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムおよびLiOH)、ハロゲン化金属化合物、ホスフィン酸、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリコール類、フラニルアルコール、グリセロール、単糖類、アリールエーテル、N−ヒドロキシホルムアミド、アルカノールアミン類、N−アルキルアルカノールアミン類、スルホン酸化ポリマー、金属スルホネート類、ヒドロキシルアミン、2−アミノベンゾチアゾール、チオベンゾトリアゾール、スルホン酸化ポリエステル類、尿素化合物、シリケート塩基、シラン類、シリコン化合物、脱泡界面活性剤以外の界面活性剤、ピロリドン、例えば、1,3−ジメチル−2−ピペリドンおよび1,5−ジメチル−2−ピペリドンのような立体ヒンダードアミド溶剤、DMSOもしくはジメチルスルホン以外の硫黄化合物または硫黄含有置換基を含有するトリアゾール化合物、テトラゾリウム塩、ホウ酸およびホウ酸の誘導体、ベンズイミダゾール、非トリアゾール含有フェノール化合物、キレート剤、ならびに本開示に記載のCuまたはAl腐食抑制剤以外の腐食抑制剤を含む。
【0049】
いくつかの実施形態において、本開示の剥離組成物は少なくとも約30重量%(例えば、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、もしくは少なくとも約60重量%)および/または最大で約90重量%(例えば、最大で約85重量%、最大で約80重量%、もしくは最大で約75重量%)の少なくとも1種の水溶性極性非プロトン性溶剤と;場合により、少なくとも約5重量%(例えば、少なくとも約7重量%、少なくとも約10重量%もしくは少なくとも約12重量%)および/または最大で約60重量%(例えば、最大で約45重量%、最大で約35重量%もしくは最大で約25重量%)の少なくとも1種のアルコール溶剤と;少なくとも約0.1重量%(例えば、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、もしくは少なくとも約1.5重量%)および/または最大で約10重量%(例えば、最大で約8重量%、最大で約5重量%、もしくは最大で約3重量%)の少なくとも1つの水酸化第4級アンモニウムと;少なくとも約2.5重量%(例えば、少なくとも約5重量%、少なくとも約7重量%、もしくは少なくとも約10重量%)および/または最大で約25重量%(例えば、最大で約20重量%、最大で約15重量%もしくは最大で約12.5重量%)の水と;少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%、もしくは少なくとも約0.5重量%)および/または最大で約10重量%(例えば、最大で約7重量%、最大で約5重量%もしくは最大で約2重量%)の6−置換2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン類から選択される少なくとも1種の銅腐食抑制剤と;場合により、少なくとも約0.01重量%(例えば、少なくとも約0.03重量%、少なくとも約0.05重量%もしくは少なくとも0.1重量%)および/または最大で約3重量%(例えば、最大で約2重量%、最大で約1重量%もしくは最大で約0.5重量%)の少なくとも1つの脱泡界面活性剤と;少なくとも約5ppm(例えば、少なくとも約7ppm、少なくとも約8ppm、または少なくとも約10ppm)および/または最大で約40ppm(例えば、最大で約35ppm、最大で約25ppm、最大で約20ppm、もしくは最大で約15ppm)の少なくとも1つのII族金属カチオンと;少なくとも約0.1重量%(例えば、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、もしくは少なくとも約1.5重量%)および/または最大で約10重量%(例えば、最大で約8重量%、最大で約5重量%、もしくは最大で約3重量%)の少なくとも3つの水酸基を含む少なくとも1種の化合物と;少なくとも約0.1重量%(例えば、少なくとも約0.2重量%、少なくとも約0.3重量%もしくは少なくとも約0.4重量%)および/または最大で約1.5重量%(例えば、最大で約1.2重量%、最大で約0.9重量%、もしくは最大で約0.6重量%)の少なくとも1種のカルボン酸と、を含有するか、これらからなるか、またはこれらから本質的になる。
【0050】
本開示の剥離組成物は、概して、性質がアルカリ性である。いくつかの実施形態において、本開示の剥離組成物は、少なくとも約13(例えば、少なくとも約13.5または少なくとも約14)のpHを有する。理論に束縛されることを望むものではないが、剥離組成物のアルカリ性質が、半導体基板におけるフォトレジストの除去を容易にすることができるとされている。
【0051】
本開示の一実施形態は、半導体基板からフォトレジストを剥離または除去する方法である。この方法は、フォトレジストまたはフォトレジスト残渣を含有する半導体基板を、基板表面からフォトレジストまたはフォトレジスト残渣を除去するのに十分な時間および温度で、本明細書に記載の剥離組成物と接触させることを含む。上記方法は、接触ステップの後に半導体基板をリンス溶剤でリンスすること、および/またはリンスステップの後に半導体基板を乾燥することをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、上記方法は、半導体基板中のCuまたはAlは実質的に除去しない。
【0052】
いくつかの実施形態では、フォトレジスト剥離方法が以下のステップ:
(A)フォトレジストコーティングまたはフォトレジスト残渣を有する半導体基板を提供すること;
(B)前記半導体基板を本明細書に記載の剥離組成物と接触させて、フォトレジストコーティングまたはフォトレジスト残渣を除去すること;
(C)前記半導体基板を適切なリンス溶剤でリンスすること;及び
(D)場合により、前記リンス溶剤を除去しかつ半導体基板の完全性を損なわないいずれかの適切な手段によって前記半導体基板を乾燥させること、を含む。いくつかの実施形態では、前記剥離方法は、上述の方法によって得られた半導体基板から半導体デバイス(例えば、半導体チップなどの集積回路デバイス)を形成することをさらに含む。
【0053】
この方法において剥離に供される半導体基板は、除去される必要がある少なくとも1つのフォトレジスト(例えば、ポジ型またはネガ型フォトレジスト)を有する。半導体基板は、典型的にはシリコン、シリコンゲルマニウム、GaAsのようなIII−V族化合物、またはこれらのいずれかの組合せから構成される。半導体基板は、金属線のような相互接続特徴部などの露出した集積回路構造、および誘電体材料をさらに含んでいてもよい。相互接続特徴部に使用される金属および金属合金としては、アルミニウム、銅によって合金化されたアルミニウム、銅、チタン、タンタル、コバルト、ニッケル、シリコン、ポリシリコン、チタン窒化物、タンタル窒化物、錫、タングステン、SnAg、SnAg/Ni、CuNiSn、CuCoCu、およびCoSnが挙げられるが、これらに限定されない。前記半導体基板は、層間絶縁体、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン炭化物、チタン酸化物、および炭素ドープシリコン酸化物の層を含んでいてもよい。
【0054】
半導体基板は、任意の適切な方法、例えば、剥離組成物をタンク内に入れ、半導体基板を剥離組成物内に浸漬(immersing)および/または浸漬(submerging)する方法、剥離組成物を半導体基板上に噴霧する方法、剥離組成物を半導体基板上に流す方法、またはこれらのいずれかの組み合わせによって、剥離組成物と接触させることができる。いくつかの実施形態では、半導体基板は、剥離組成物中に浸漬される。
【0055】
本開示の剥離組成物は、最高で約90℃の温度まで効果的に使用されうる。いくつかの実施形態では、剥離組成物は、約25℃〜約80℃で使用されうる。いくつかの実施形態では、剥離組成物は、約30℃〜約60℃の温度範囲で使用されうる。いくつかの実施形態では、剥離組成物は、約40℃〜約60℃の温度範囲で使用されうる。最終的には安全上の理由から、最高温度は、使用される溶剤の引火点よりも有意に低く保たれる。
【0056】
同様に、剥離時間は、用いられる特定の剥離方法、温度および剥離組成物に応じて、広範囲にわたって変動し得る。浸漬バッチ型プロセスで剥離する場合、適切な時間範囲は例えば、最大で約60分である。いくつかの実施形態において、バッチ型プロセスに適切な時間範囲は、約1分〜約60分である。いくつかの実施形態において、バッチ型プロセスに適切な時間範囲は、約3分〜約20分である。いくつかの実施形態において、バッチ型剥離プロセスに適切な時間範囲は、約4分〜約15分である。
【0057】
枚葉プロセスの剥離時間は、約10秒〜約5分の範囲であってよい。いくつかの実施形態では、枚葉プロセスの剥離時間は、約15秒〜約4分の範囲であってよい。いくつかの実施形態では、枚葉プロセスの剥離時間は、約15秒〜約3分の範囲であってよい。いくつかの実施形態では、枚葉プロセスの剥離時間は、約20秒〜約2分の範囲であってよい。いくつかの実施形態において、剥離組成物の1つ以上の適用が行われてよい。枚葉プロセスで使用される剥離組成物の体積は、典型的には、基板を完全に覆うのに十分であり、これは、基板のサイズおよび剥離組成物の表面張力に依る。
【0058】
本開示の剥離組成物の剥離能力をさらに促進するために、機械的撹拌手段を用いることができる。適切な撹拌手段の例としては、基板上における剥離組成物の循環、基板上に剥離組成物を流すまたは噴霧すること、および剥離プロセスの際の超音波撹拌またはメガソニック撹拌が挙げられる。地面に対する半導体基板の配向は、いずれの角度であってもよい。いくつかの実施形態では、水平または垂直配向が適切である。
【0059】
本開示の剥離組成物は、当業者に公知の剥離ツールにおいて使用され得る。本開示の剥離組成物の有意な利点は、全体的および部分的において、比較的非毒性、非腐食性、および非反応性の成分を含み、これにより、前記組成物が広い温度範囲およびプロセス時間範囲において安定であることである。本開示の剥離組成物は概して、バッチおよび枚葉剥離のための既存の提案されている半導体ウェーハ剥離プロセスツールを構成するのに使用される実用的なすべての材料と化学的に適合する。
【0060】
剥離に続いて、半導体基板は、撹拌手段の有無にかかわらず、約5秒から約5分間、適切なリンス溶剤によってリンスされる。好適なリンス溶剤の例として、脱イオン(DI)水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、N−メチルピロリジノン、ガンマ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、乳酸エチルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、リンス溶剤の例として、DI水、メタノール、エタノールおよびイソプロピルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、リンス溶剤は、DI水およびイソプロピルアルコールである。いくつかの実施形態において、リンス溶剤は、DI水である。溶剤は、本明細書において記載されている剥離組成物を適用するときに使用されるものと同様の手段を使用して適用されてよい。剥離組成物は、リンスステップの開始の前に半導体基板から除去されていてもよく、またはリンスステップの開始時に半導体基板と依然として接触していてもよい。いくつかの実施形態において、リンスステップにおいて用いられる温度は、16℃と27℃との間である。
【0061】
場合により、半導体基板は、リンスステップの後に乾燥される。当該技術分野で公知のいずれの適切な乾燥手段が用いられてもよい。適切な乾燥手段の例としては、スピン乾燥、半導体基板を横断しての乾燥ガスの流通、ホットプレートもしくは赤外線ランプなどの加熱手段による半導体基板の加熱、マランゴニ乾燥、ロタゴニ乾燥、IPA乾燥、またはこれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。乾燥時間は、使用される具体的な方法に依るが、典型的には、約30秒から数分間のオーダーである。
【0062】
いくつかの実施形態では、半導体基板は、その後に加工されて、基板上に1つまたは複数のさらなる回路を形成することができ、または加工されて、例えば、アセンブリング(例えば、ダイシングおよびボンディング)およびパッケージング(例えば、チップシーリング)によって半導体チップを形成することができる。
【実施例】
【0063】
本開示を以下の実施例を参照してより詳細に説明するが、これらの実施例は例示目的であり、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0064】
一般手順1(剥離組成物の組成)
剥離組成物を、有機溶剤および超純粋脱イオン水(DIW)を撹拌しながら混合することによって調製した。水性(25%)TMAHを撹拌しながらゆっくりと添加し、続いてCu抑制剤を添加した。均一な溶液を得た後、残りの成分を添加し、続いて、使用される場合には任意成分を添加した。使用した全ての成分は商業的に入手可能であり、高純度であった。
【0065】
全ての成分が完全に溶解した後、所望により、pH測定を周囲温度(17〜25℃)で行った。これらのpH測定にはBeckman Coulter Φ400シリーズハンドヘルドメーターを使用することができる。
【0066】
一般手順2(剥離試験)
剥離試験は、カスタマー供給の200mmまたは300mmのフルウェーハを用いて行った。厚膜ポジ型またはネガ型レジストを有するカスタマー供給ウェーハを、剥離試験用の一体型ダイを含む小さなクーポンにダイシングした。試料を、約200mLの本開示の剥離組成物を含む600mL容量のガラスビーカーに入れた。試料を剥離組成物に浸漬する前に、制御された溶液撹拌のために約250rpmに設定されたホットプレート上で、剥離組成物を試験条件温度(典型的には50℃〜80℃)に予熱した。次いで、デバイス側が撹拌棒に「向かい合う」状態で予熱した剥離組成物に試料を入れ、一定に撹拌しながら溶液中に試料を試験条件時間(典型的には0.5〜10分間)にわたって放置することによって、剥離試験を実施した。試料を試験条件の持続時間にわたって溶液中に曝露したら、一対のプラスチックの「固定」ピンセットを用いて試料を試験溶液から迅速に取り出し、周囲温度(約17℃)において、約500mLの超高純度脱イオン水で満たした600mLプラスチックビーカーに入れた。試料を脱イオン水のビーカーにおいて約10〜20秒間、穏やかに撹拌しながら放置し、次いで、取り出し、さらに40〜50秒間、周囲温度で超高純度脱イオン水流(流速〜2L/分)下に置き、次いで取り出した。取り出したら、試料を手持ち式窒素吹き付けガンからの窒素ガスに直ちに曝露して試料表面上の液滴を試料から吹き飛ばし、さらに試料デバイスの表面および裏側を完全に乾燥させた。この最終窒素乾燥工程に続いて、試料をプラスチックピンセットホルダーから取り出し、被覆されたプラスチックキャリヤ内にデバイス側を上にして入れ、約2時間以下の短い期間保存した。次いで、剥離試験試料デバイス表面における主要な特徴部(すなわち、SnAg/Niバンプ)について、走査型電子顕微鏡(SEM)画像を収集した。
【0067】
一般手順3(エッチング速度測定)
試験した剥離組成物の腐食性を決定するために、種々の基板材料のエッチング速度を測定した。試験されるフォトレジスト材料のコーティングを有するウェーハからのクーポン(Cu、Al、W、Ni、Sn、Co、シリコン窒化物、またはポリ−Si)を、試験条件温度に予熱されたある特定の体積の試験剥離組成物に浸漬した。試験条件時間の持続時間にわたって試験剥離組成物中に浸漬した後、一対のプラスチック「固定」ピンセットを用いて試験組成物からクーポンを迅速に取り出し、脱イオン水でリンスし、Nガス流によって吹き付け乾燥した。
【0068】
試験組成物に浸漬する前後でのクーポン上の誘電体膜の厚さを、エリプソメータまたはフィルメトリック膜厚測定装置のいずれかによって測定した。エッチング時間によって除算される膜厚の差を用いてエッチング速度を算出した。
【0069】
試験組成物に浸漬する前後でのクーポン上の金属膜のシート抵抗を、Resmap4点探針装置によって測定した。Sn以外の金属については、膜厚とシート抵抗との相関関係を用いて膜厚を求めた。エッチング速度は、膜厚変化を組成物への浸漬時間によって除算することによって決定した。
【0070】
比較例1(CE−1)および組成例1〜3(FE−1〜FE−33)
表1のデータは、本開示の組成物に対する糖アルコールグリセロールの効果の2つの局面を例示する。第一に、CE−1(グリセロール非含有)と比較して、FE−1〜FE−3は、Caのアルカリ性半水性製剤への溶解をグリセロールが助けることを示している。グリセロールを組成に含めると、透明な組成物が生じ、一方、CE−1では未溶解の白色粉末が観察される。第二に、グリセロール濃度が増加するにつれて、Alエッチング耐性の改善(すなわち、Alエッチング速度の減少)が観察される。
【0071】
【表1】
【0072】
DMSO =ジメチルスルホキシド
MMB = 3−メトキシ−3−メチル−ブタノール
TMAH =水酸化テトラメチルアンモニウム
MD−20 =アセチレン系界面活性剤
DIW =脱イオン水
TSV =シリコンバイアス(through silicon vias)
【0073】
【表2】
【0074】
表2のデータは、II族金属イオンを含有する組成物が、II族金属イオンを含有しない組成物と比較して、Alエッチング速度を抑制することができることを示している。これらの実施例において、その効果は、例示的なII族金属イオンとしてCa2+を用いて実証される。
【0075】
【表3】
【0076】
表3のデータは、本開示の有機溶剤系の組成物中のII族金属イオンの可溶化をカルボン酸が促進したことを示す。理論に束縛されることを望むものではないが、キレート化カルボン酸(クエン酸など)は糖アルコール(グリセロールなど)と協調して作用して、II族金属イオン(例えば、FE−9〜FE−11中のCa2+)を可溶化するものと考えられる。特に、本結果は、組成物FE−9〜FE−11(クエン酸およびグリセロールの両方を含む)が低いAlエッチング速度を呈したことを示す。比較例4(すなわち、グリセロールを含有するがクエン酸を含有しない組成物CE−4)では、24時間の撹拌後でさえ組成物中に固体が存在し、組成物CE−4のAlエッチング速度は許容できないほど高かった。
【0077】
さらに、表3のデータは、II族金属イオンが異なるII族金属塩(例えば、塩化カルシウム、クエン酸カルシウムなど)を使用することによって組成物に導入され得ることを実証している。
【0078】
【表4】
【0079】
表4のデータは、Ca2+以外のII族金属イオンもAlエッチング速度を抑制できることを示している。組成例15および16は、Sr2+による効果的なAlエッチング抑制を示す。表4はまた、II族金属イオンの可溶化における糖アルコールソルビトールの有効性を示す。
【0080】
【表5】
【0081】
表5のデータは、優れたAlおよびCuとの適合性を維持しながらTSVおよびマイクロバンプ構造からフォトレジストを除去することにおける、本開示の組成物の有効性を、さらに実証する。
【0082】
組成例22〜43
本開示の組成をさらに詳述するために、さらなる組成物を表6に記載する。
【0083】
【表6】
【0084】
【0085】
【0086】
本開示はその特定の実施形態を参照して詳細に説明されたが、改変および変形例が説明され特許請求されるものの精神および範囲内にあることが理解される。