(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、酸素ガスとアンモニアガスの混合ガスを単一のエジェクタに送り込む場合、給水中の溶存酸素濃度及びpHの管理が困難となる場合がある。例えば混合ガスにおいて酸素ガスの供給量を減らした場合、エジェクタの負圧(つまり吸引圧)が一定であるならば、アンモニアガスの供給量が増加して、給水中のpHが上がるおそれがある。このように、給水のpHが溶存酸素濃度の調整に応じて変動する等、溶存酸素濃度の調整とpH調整とが互いに影響し合い、それぞれの管理が困難となるおそれがある。
【0007】
そこでアンモニアガスと酸素ガスとを別々のエジェクタで給水に注入することが考えられる。しかしながら、アンモニアガスが単体で注入されると給水のpHが急増するいわゆるpHショックが生じて、給水中の溶解鉄が析出し易くなる。
【0008】
このため、アンモニアガスの注入ポイントよりも上流で酸素ガスを注入し、ある程度給水のpHを下げて、下流のアンモニアガス注入によるpHの急増を緩和させることが考えられる。しかしながら、酸素ガスが注入され気液混合状態の給水が、アンモニアガス用のエジェクタ内でキャビテーションを起こし、エジェクタの損傷に繋がるおそれがある。
【0009】
そこで本発明は、従来よりも給水中の溶存酸素濃度及びpHの調整が容易になるとともに、気液混合流のエジェクタへの流入を抑制可能な、ボイラ給水用水処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はボイラ給水用の水処理システムに関する。当該システムは、給水配管から給水を分流させるバイパス管と、バイパス管に分流された給水にアンモニアガスを注入するアンモニアガス配管と、バイパス管に分流された給水に酸素ガスを注入する酸素ガス配管とを備える。バイパス管は、その一部が第一分岐管と第二分岐管とに分岐される。第一分岐管に酸素用エジェクタが設けられ、酸素用エジェクタの吸入管に酸素ガス配管が接続される。第二分岐管にアンモニア用エジェクタが設けられ、アンモニア用エジェクタの吸入管にアンモニアガス配管が接続される。さらに、アンモニア用エジェクタは、第二分岐管の、第一分岐管との合流点近傍に設けられる。
【0011】
上記構成によれば、酸素ガス注入用の分岐管とアンモニアガス注入用の分岐管とがそれぞれ設けられており、各分岐管にエジェクタが設けられる。したがって、酸素注入量とアンモニア注入量とを独立に管理可能となる。さらに、エジェクタを並列に設けることで、直列設置時の下流側のエジェクタのような、エジェクタへの気液混合流の流入が抑制される。加えて、アンモニア用エジェクタが合流点近傍に設けられることで、アンモニアガスが注入された給水は、速やかに酸素が注入された給水と合流されるので、pHの急増による溶解物の析出を抑制可能となる。
【0012】
また上記発明において、第一分岐管に第一の制御弁が設けられ、第二分岐管に第二の制御弁が設けられてよい。
【0013】
また上記発明において、第一分岐管と第二分岐管との合流点に合流継手が設けられてよい。この場合、合流継手の、第二分岐管側の接続管にレデューサが接続される。さらに、レデューサにアンモニア用エジェクタが接続される。
【0014】
上記構成によれば、アンモニア用エジェクタがレデューサを介して合流継手に接続され、アンモニアガスの注入ポイントから、酸素ガスが注入された給水との合流点までの距離を短くできる。
【0015】
また上記発明において、第一分岐管と第二分岐管との合流点より下流のバイパス管と比較して、アンモニア用エジェクタの吐出口は内径が小さくなるように形成されてよい。さらに、第一分岐管と第二分岐管との合流点に合流継手が設けられてよい。この場合、合流継手は、アンモニア用エジェクタの吐出口と内径が等しく当該吐出口が接続される接続管と、第一分岐管と第二分岐管との合流点より下流のバイパス管と内径の等しい接続管とを備える、異径継手であってよい。
【0016】
上記構成によれば、アンモニア用エジェクタが合流継手に直接接続されるので、アンモニアガスの注入ポイントから、酸素ガスが注入された給水との合流点までの距離を短くできる。
【0017】
また上記発明おいて、第一分岐管と第二分岐管との合流点より下流には、バイパス管が給水配管に合流する給水合流点が設けられてよい。この場合、酸素ガス配管と酸素用エジェクタとの接続部から給水合流点までの距離が、アンモニアガス配管とアンモニア用エジェクタとの接続部から給水合流点までの距離よりも長くなるように構成されてよい。
【0018】
一般的に、酸素ガスはアンモニアガスに比べて水への溶解度が低い。そこで、酸素ガス配管と酸素用エジェクタとの接続部から給水合流点までの距離を、アンモニアガス配管とアンモニア用エジェクタとの接続部から給水合流点までの距離よりも長くすることで、酸素ガスの給水への溶解が促進される。
【0019】
また上記発明において、酸素ガス配管には、第一分岐管への酸素ガスの注入量を制御する制御弁が設けられてよい。また、アンモニアガス配管には、第二分岐管へのアンモニアガスの注入量を制御する制御弁が設けられてよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、従来よりも給水中の溶存酸素濃度及びpHの調整が容易になるとともに、気液混合流のエジェクタへの流入を抑制可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1には、本実施形態に係るボイラ給水用の水処理システムを含む、ボイラの給水系の配管図が例示される。当該水処理システムは、バイパス管30、酸素ガス配管60、アンモニアガス配管70、これらの配管に設けられた、酸素用エジェクタ46やアンモニア用エジェクタ56等の、種々の機器、及び制御部80を含んで構成される。このような水処理システムが、給水母管10(給水配管)に接続される。
【0023】
給水母管10は、上流から下流に向かって、復水器16、分流継手12、合流継手14、酸素センサ22、pHセンサ24及び電気伝導度センサ25を備える。さらに給水母管10は、図示しないメインポンプや脱気器を備える。
【0024】
復水器16はタービンを回転駆動させた蒸気を冷却して水(つまり液相)に戻す。分流継手12では、給水母管10(給水配管)を流れる給水の一部が、本実施形態に係る水処理システムに分流される。具体的には分流継手12は例えばT字管であって、その一つの接続管がバイパス管30の上流端に接続される。
【0025】
合流継手14では、バイパス管30を通過してアンモニア及び酸素が注入された給水が給水母管10に戻される。具体的には合流継手14は例えばT字管であって、その一つの接続管がバイパス管30の下流端に接続される。また合流継手14には、第一分岐管40と第二分岐管50との合流点より下流であって、バイパス管30が給水母管10(給水配管)に合流する、給水合流点14Aが設けられる。
【0026】
なお、給水母管10とバイパス管30の内径が異なる場合、例えば、給水母管10と比較してバイパス管30の内径が小さい場合には、両者の内径差を補償するように、図示しないレデューサを設けてもよい。つまり、給水母管10とバイパス管30との接続部、具体的にはバイパス管30の上流端と分流継手12との接続部、及び、バイパス管30の下流端と合流継手14との接続部に、図示しないレデューサを設けてもよい。
【0027】
給水母管10を流れる給水の流量は図示しないメインポンプにより調整される。さらに図示しない脱気器によって給水中の気体(主に過剰酸素ガス)が取り除かれる。脱気器を通過した給水の溶存酸素濃度が酸素センサ22によって測定される。また同給水の水質、言い換えると、給水への薬剤注入濃度を示すパラメータとして電気伝導度が電気伝導度センサ25によって測定される。さらに給水のpHがpHセンサ24によって測定される。酸素センサ22によって測定された溶存酸素濃度は制御部80に送信される。同様にして電気伝導度センサ25によって測定された給水の電気伝導度は制御部80に送信される。さらにpHセンサ24によって測定された給水のpHが制御部80に送信される。
【0028】
制御部80は例えばコンピュータから構成される。制御部80は演算回路を有するCPU、RAMやROMを備える記憶部、及び入出力インターフェース等の機能部材を備える。上述したように制御部80は、酸素センサ22から給水の溶存酸素濃度が送信され、pHセンサ24から給水の電気伝導度が送信され、電気伝導度センサ25から給水の電気伝導度が送信される。
【0029】
さらに制御部80には、酸素ガス配管60に設けられたフローメータ66から当該配管を流れる酸素ガスの流量が送信される。また制御部80には、アンモニアガス配管70に設けられたフローメータ76から当該配管を流れるアンモニアガスの流量が送信される。
【0030】
これらの計測値を受けて、制御部80は、図示しないメインポンプ、バイパス管ポンプ32、制御弁68,78を制御する。また、第一の制御弁44及び第二の制御弁54の開度も制御対象としてもよい。
【0031】
例えば酸素センサ22により、給水中の溶存酸素濃度が設定値よりも低下している場合には、酸素ガス配管60の制御弁68の開度を増加させる指令を制御弁68に送信する。
【0032】
また例えば、アンモニアガスの流量制御において、注入量調整用のセンサとして電気伝導度センサ25が用いられる。例えばpHセンサ24の測定値は対数(Log)であり、アンモニアガスの流量(注入量)変化に対して測定値が指数関数的に変化する。これに対して、電気伝導度センサ25では、アンモニアガスの流量(注入量)変化に対して測定値が一次関数的に変化する。このような測定値の変化の差を比較すると、電気伝導度センサ25はpHセンサ24よりも、注入量を調整するためのセンサとして適している。
【0033】
したがって、例えばJIS B8223付属書A A.4.4.1に定められているように、アンモニアガスの注入濃度が電気伝導度センサ25で測定され、この濃度相当のpH値が管理項目として使用される。つまり電気伝導度センサ25はアンモニアガスの注入量調整用に使用され、pHセンサ24は調整結果の監視用として用いられる。
【0034】
例えば電気伝導度センサ25により、給水中の電気伝導度が設定値より低下している場合には、アンモニアガス配管70の制御弁78の開度を増加させる(より広げる)指令を制御弁78に送信する。
【0035】
図1を参照して、上述したように、バイパス管30は、その上流端が給水母管10の分流継手12に接続され、その下流端が合流継手14に接続される。バイパス管ポンプ32は例えば遠心ポンプから構成され、給水母管10(給水配管)を流れる給水の一部をバイパス管30に分流させる(つまり引き込む)。
【0036】
また、バイパス管30は、その一部が第一分岐管40及び第二分岐管50に分岐される。例えばバイパス管30の中間部分が第一分岐管40及び第二分岐管50に分岐される。後述するように第一分岐管40には酸素ガスが注入され、第二分岐管50にはアンモニアガスが注入される。
【0037】
第一分岐管40及び第二分岐管50はバイパス管30よりも内径が小さくなるように構成される。例えば、第一分岐管40の内径R1と第二分岐管50の内径R2の和が、バイパス管30の内径R0に等しい(R1+R2=R0)との条件下で、内径R1が内径R2よりも大きく(R1>R2)なるように、第一分岐管40及び第二分岐管50が構成される。
【0038】
第一分岐管40及び第二分岐管50の上流端、すなわち分流点には分流継手34が設けられ、下流端、すなわち合流点には合流継手36が設けられる。分流継手34及び合流継手36は例えばともにT字管から構成される。
【0039】
図3に例示されるように、合流継手36は3つの接続管36A,36B,36Cを備える。第一分岐管40側の接続管36Bには、配管49やレデューサ48を介して酸素用エジェクタ46が接続される。第二分岐管50側の接続管36Aには、レデューサ58を介してアンモニア用エジェクタ56が接続される。また接続管36Cにはバイパス管30が接続される。
【0040】
また
図1を参照して、第一分岐管40及び第二分岐管50と分流継手34との接続部にはレデューサ42,52が設けられる。レデューサ42,52の上流端開口の直径は分流継手34の内径に等しく、下流端開口の直径は第一分岐管40及び第二分岐管50の内径に等しい。レデューサ42,52は上流端開口から下流端開口に向かって徐々に内径が小さくなるように構成される。
【0041】
図3を参照して、第一分岐管40及び第二分岐管50と合流継手36との接続部にはレデューサ48,58が設けられる。レデューサ48の上流端開口の直径は酸素用エジェクタ46の吐出口、つまりディフューザ46Cの下流端開口の直径に等しい。またレデューサ48の下流端開口の直径は、配管49の内径に等しい。同様にして、レデューサ58の上流端開口の直径はアンモニア用エジェクタ56の吐出口、つまりディフューザ56Cの下流端開口の直径に等しい。またレデューサ58の下流端開口の直径は、合流継手36の接続管36Aの内径に等しい。レデューサ48,58は上流端開口から下流端開口に向かって徐々に管の内径が大きくなるように構成される。
【0042】
図1に戻り、レデューサ42の下流に流量調整用の制御弁44(第一の制御弁)が設けられ、同様にしてレデューサ52の下流に流量調整用の制御弁54(第二の制御弁)が設けられる。制御弁44,54は手動で開度が設定されてもよく、また制御部80によって開度調整が可能であってもよい。例えば制御弁44は、酸素ガスの目標注入ガス量に応じてその開度が制御される。同様にして制御弁54は、アンモニアガスの目標注入ガス量に応じてその開度が制御される。
【0043】
第一分岐管40には、第一の制御弁44とレデューサ48との間に、酸素用エジェクタ46が設けられる。同様にして、第二分岐管50には、第二の制御弁54とレデューサ58との間に、アンモニア用エジェクタ56が設けられる。
図2にはアンモニア用エジェクタ56の断面構造が例示される。なお、酸素用エジェクタ46も同図と同様の構造を備える。
【0044】
エジェクタは相対的に高圧の作動流体によって相対的に低圧の流体を吸い込み混合させる。アンモニア用エジェクタ56(酸素用エジェクタ46も同様に)は、導入管56A、吸入管56B、ディフューザ56C(吐出管)、及びノズル56Dを備える。
【0045】
導入管56Aには作動流体である給水が導入される。つまり
図3を参照して、導入管56Aには第二分岐管50の下流端が接続される。同様にして、酸素用エジェクタ46の導入管46Aには第一分岐管40の下流端が接続される。酸素用エジェクタ46及びアンモニア用エジェクタ56の詳細な接続構造については後述する。
【0046】
図2を参照して、導入管56Aに導入された給水は、ノズル56Dの通過時に減圧・加速され、ディフューザ56Cにて減速、加圧される。つまりノズル56Dの下流端は低圧領域となっており、この低圧領域に向かって、吸入管56Bから流体が吸込まれる。吸入管56Bにはアンモニアガス配管70が接続される。同様にして
図3を参照して、酸素用エジェクタ46の吸入管46Bには酸素ガス配管60が接続される。
【0047】
図1を参照して、酸素ガス配管60は、第一分岐管40に酸素ガスを注入する。言い換えると、酸素ガス配管60は、バイパス管30から分流され、さらに第一分岐管40に分流された給水に、酸素ガスを注入する。酸素ガス配管60には、上流側から下流側に向かって、酸素製造装置62、レシーバタンク64、フローメータ66、及び制御弁68が設けられる。
【0048】
酸素製造装置62は、例えば、吸着剤によって空気中から窒素ガス等を除去することで、高濃度の酸素ガスを製造する。酸素製造装置62には、例えばプラント配管の一部である計装用空気配管が接続され、当該配管から供給される空気(計装空気)から酸素ガスを製造する。
【0049】
酸素製造装置62によって製造された酸素ガスはレシーバタンク64に送られる。レシーバタンク64では酸素ガスが圧縮蓄積され、一定圧にて酸素ガスを送り出す。
【0050】
レシーバタンク64から送り出された酸素ガスの流量はフローメータ66によって測定される。またフローメータ66の下流の制御弁68によって流量(注入量)が制御される。制御弁68は例えば電気駆動弁であってよい。制御弁68の開度は、上述したように制御部80により制御される。またフローメータ66と制御弁68に代えて、これらの機器を一体化させた流量制御機器を設けてもよい。
【0051】
アンモニアガス配管70は、第二分岐管50にアンモニアガスを注入する。言い換えると、アンモニアガス配管70は、バイパス管30から分流され、さらに第二分岐管50に分流された給水に、アンモニアガスを注入する。アンモニアガス配管70は、例えばプラント配管の一部であるアンモニアガス配管から分岐される。
【0052】
アンモニアガス配管70を流れるアンモニアガスは、フローメータ76によってその流量が測定される。さらにフローメータ76の下流の制御弁78によって流量(注入量)が制御される。制御弁78は例えば電気駆動弁であってよい。制御弁78の開度は、上述したように制御部80により制御される。またフローメータ76と制御弁78に代えて、これらの機器を一体化させた流量制御機器を設けてもよい。
【0053】
図3には、アンモニア用エジェクタ56及び酸素用エジェクタ46の接続構造が例示される。酸素用エジェクタ46の導入管46Aは第一分岐管40の下流端に接続される。また吸入管46Bは酸素ガス配管60の下流端に接続される。さらにディフューザ46Cはレデューサ48の上流端に接続される。レデューサ48の下流端は配管49の上流端に接続される。さらに配管49の下流端は合流継手36の接続管36Bに接続される。
【0054】
このように、酸素用エジェクタ46は配管49を挟んで合流継手36に接続される。つまりアンモニア用エジェクタ56と比較して、酸素用エジェクタ46は合流継手36から上流側に離間される。これにより、酸素ガスの注入ポイント、つまり酸素ガス配管60と酸素用エジェクタ46との接続部から給水合流点14A(
図1参照)までの距離は、アンモニアガスの注入ポイント、つまりアンモニアガス配管70とアンモニア用エジェクタ56との接続部から給水合流点14Aまでの距離よりも長く構成される。
【0055】
上述したように、酸素はアンモニアと比較して水への溶解度が低い。そこで、酸素ガスの注入ポイントから給水合流点14Aまでの距離を、アンモニアガスの注入ポイントから給水合流点14Aまでの距離より長く取ることで、給水への酸素の溶存が図られる。
【0056】
図3に戻り、アンモニア用エジェクタ56の導入管56Aは、第二分岐管50の下流端に接続される。具体的には導入管56Aの上流端に設けられたフランジ56A1と第二分岐管50の下流端に設けられたフランジ50A1とが接続される。また、吸入管56Bの上流端のフランジ56B1とアンモニアガス配管70の下流端のフランジ70B1とが接続される。
【0057】
さらに、アンモニア用エジェクタ56は、第二分岐管50の、第一分岐管40との合流点近傍に設けられる。例えば
図3に例示されるように、アンモニア用エジェクタ56は、レデューサ58を介して合流継手36に接続される。
【0058】
具体的には、アンモニア用エジェクタ56のディフューザ56Cの下流端に設けられたフランジ56C1は、レデューサ58の上流端に設けられたフランジ58C1と接続される。さらにレデューサ58の下流端のフランジ58A1は、合流継手36の、第二分岐管50側の接続管36Aの上流端に形成されたフランジ36A1に接続される。
【0059】
このような構造を備えることで、アンモニアガスの注入ポイントから、酸素ガスが注入された給水との合流点までの距離が短く構成される。上述したように、アンモニアガスの注入に伴って、給水中に溶存した溶解鉄等の物質が析出するおそれがあるが、そのような析出するおそれのある区間が、ディフューザ56Cから合流継手36の接続管36Aまでの区間に限られる。
【0060】
さらにアンモニア用エジェクタ56と酸素用エジェクタ46を並列設置とすることで、例えば直列設置された場合に下流側のエジェクタで生じ得るキャビテーションの発生が回避される。
【0061】
また、注入されるガス別にエジェクタが設けられることで、例えば混合ガスを注入する場合と比較して、一方のガス流量が他方のガス流量の影響を受け難くなり、流量制御、及び、溶存酸素濃度及びpHの調整が容易に行える。
【0062】
<本実施形態に係る水処理システムの別例>
図4には、本実施形態に係る水処理システムの別例が示される。
図3と比較して
図4では、アンモニア用エジェクタ56が合流継手36に直接、つまりレデューサを介さずに接続される。また、このような接続を可能にするために、合流継手36が異径継手から構成される。それ以外の構成は
図3と同様である。
【0063】
合流継手36の、第二分岐管50側の接続管36Aの内径は、アンモニア用エジェクタ56の、ディフューザ56Cの下流端開口、つまり吐出口の直径と等しく構成される。例えば、ディフューザ56Cの下流端開口の直径は、第一分岐管40と第二分岐管50との合流点、つまり合流継手36より下流のバイパス管30の内径よりも小さく構成される。これを踏まえて、合流継手36では、バイパス管30側の接続管36Cの内径及び第一分岐管40側の接続管36Bの内径よりも、接続管36Aの内径が小さく構成される。
【0064】
このような構成において、ディフューザ56Cの下流端開口の直径と合流継手36の接続管36Aの内径は等しく、またバイパス管30の内径と合流継手36の接続管36Cの内径は等しく構成される。例えばアンモニア用エジェクタ56のディフューザ56Cの下流端に設けられたフランジ56C1は、合流継手36の、第二分岐管50側の接続管36Aの上流端に形成されたフランジ36A1に接続される。
【0065】
このような構造を備えることで、アンモニアガスの注入ポイントから、酸素ガスが注入された給水との合流点までの距離が短く構成される。特に
図3と比較して、レデューサ58が省略された分、アンモニアガスの注入ポイントから、酸素ガスが注入された給水との合流点までの距離が短縮される。